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高齢者の免許返納について考える

2019年7月 1日

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 福岡市早良区や東京都池袋の事故など、高齢者が引き起こした悲惨な交通事故によって、高齢者の運転が社会問題化している。俳優の杉良太郎さんや教育評論家の尾木直樹さんが免許を返納したと伝えられ、高齢者の免許の返納があたりまえのように報道される。63才の私がこのまま運転を続けると非難されかねない勢いがある。この議論は正しいのか。

 警視庁発表の資料を見ると高齢者(65才以上)の事故が増えているという。高齢運転者(第1次当事者)交通事故発生件数は平成22年6979件をピークに減少傾向にあり、平成30年は5860件だ。しかし、事故全体に占める高齢運転者事故の割合は年々増加し、平成20年の11.1%から平成30年には18.0%となっている。これが、高齢者の交通事故が増えているという根拠となっている。がしかし、65才以上の免許保有者は、社会の高齢化(65才以上は27.7%)に伴って平成14年に826万人であったものが、10年間で1421万人と1.7倍となっている。免許保有者の割合が増えれば事故の割合も増えるのはあたりまえだ。平成24年の統計では、16才から24才の免許保有者の1.54%が事故を起こしているとされるが、65才以上では0.72%となっている。事故全体に占める割合は65才以上で16%(保有者割合は17%)だったが、20代では21%(同14%)、30代は19%(同20%)だった。精神科医の和田秀樹さんは、「75才以上の高齢者より16~24才の若者の方が事故は多い。それより免許を返納して外出しなくなることで、認知症の発症や進行を呼ぶ」と述べている。

 一方で、車の技術革新はめざましい。斜め後方から車が近づくとか、レーンを逸脱しそうだとか、前方の車や歩行者を認識したりすると警報がなり、自動的にブレーキが掛かり、危険を回避しようとする。前・後方への急発進にも自動的にブレーキがかかる。スバル自動車は、アイサイト(予防安全システム)を搭載してから追突事故率発生率が84%、歩行者事故発生率が49%減少したとしている。企業の広告だから鵜呑みにはできないが、乗ってみると実感できる。

 地方都市では、食料品のスーパー、衣料品店、大規模病院など多くは郊外にある。車の運転ができないと生活の質は大きく低下する。20代から70代の男女を対象としたある調査では、64.7%の人が運転免許は「いつかは返納するつもり」と答え、39%「一定年齢になったら返納すべき」と答えているという。しかし一方で、買い物、仕事、通院に必要で返納するつもりはないとの声も聞こえる。事故というひとつの現象を捉えて、全体を評価することは難しい。画一的な制限には、熟慮が必要だ。
(藤本泰成)

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