2016年、WE INSIST!

2016年10月01日

もんじゅは廃炉へ- プルトニウム利用の放棄を!

9月9日、北朝鮮が5回目となる核実験を行った。9月14日付けの朝日新聞は、韓国政府が米国に対して「核兵器の共同管理」に言及したと伝えている。朝鮮半島情勢をめぐって、核問題がきわめて具体的な様相を帯びてきたことは否めない。米国の核の傘の下にあって、北朝鮮の核政策に対して、核の抑止で対抗する日本や韓国の姿勢は、解決の糸口さえつかんでいない。

そうした中、9月14日付の朝日新聞は、「政府は9月13日、高速増殖原型炉『もんじゅ』について、廃炉も含めた検討に入った」と報じた。もんじゅは、夢のエネルギーといわれて、1983年に国による原子炉設置許可を受けて、1994年4月に初臨界に達したが、同年12月にはナトリウム漏洩事故を起こし長期の運転停止に追い込まれた。2010年5月に試験運転を再開するものの、警報が鳴るなどの事態が多発、以来運転の目途が立っていない。その間、1万点にも及ぶ機器の点検漏れなど多くの問題が発生し、2015年11月には、原子力規制委員会が運営主体を変えるよう文部科学大臣に勧告を行っていた。
もんじゅのプロジェクトには1兆円を超す巨費が投じられながら、何ら成果を上げられず、今後の再稼働には数千億円の出費を余儀なくされるとするなら、到底国民の理解は得られない。

プルトニウムを利用する高速増殖炉は、プルトニウムを再生産する「夢の原子炉」といわれたが、各国で多くの計画が破綻し、今や日本の計画は世界のエネルギー政策の潮流から孤立している。もんじゅ廃炉は当然だが、しかし政府は、核燃料サイクル計画は堅持し、高速増殖炉実用化へのロードマップを作成するとしている。笑止な判断ではないか。中国は、国連の場で、日本の核燃料サイクル計画すなわち原子爆弾の原料であるプルトニウムを利用することを批判し続けてきた。核セキュリティサミットを主宰し、分離プルトニウムをつくるなと主張している米国オバマ大統領サイドからも、日本の再処理=プルトニウム利用計画が批判されている。日本は、今すぐにでも原爆を手にすることのできる国と見られている。

原水禁・平和フォーラムは、東北アジアの非核地帯構想を支持し、プルトニウムを生む再処理に反対し続けてきた。「核なき世界」のために、そして東北アジアから核兵器をなくすためにも、日本は、今すぐにプルトニウム利用計画=核燃料サイクル計画を放棄すべきだ。
(藤本泰成)

TOPに戻る