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ニュースペーパー2012年10月号

2012年10月 1日

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 沖縄県宜野湾市の海浜公園で9月9日、「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が開かれました。この大会は、県議会の各会派を中心に、県内の市町村長、労働組合、経済団体、各種社会団体が共同して開催したものです。炎天下の会場には10万1000人が集まり、オスプレイに反対する県民意思を示しました。平和フォーラムの各地域組織や中央団体代表等も参加しました。大会では共同代表として、喜納昌春さん(県議会議長)、翁長雄志さん(市長会会長)、照屋義実さん(商工連合会会長)、仲村信正さん(連合会長)、平良菊さん(婦人連合会会長)があいさつ。その後に宜野湾市長の佐喜真淳さんや、若者代表の加治工綾美さんが続きました(写真は会場を埋めた参加者)。

【インタビュー・シリーズ その70】
沖縄へのオスプレイ配備はやめるべきだ
アメリカ・ピースアクション ディレクター ポール・マーティンさんに聞く

【プロフィール】
1969年アメリカ・カリフォルニア州生まれ。これまで多くの環境、平和、動物の権利、人権課題などに取り組む。その活動はニューヨークタイムスをはじめ、様々なメディアで取り上げられている。ピースアクションは1957年に創設。10万人以上の会員を持つ全米最大の平和・軍縮運動団体。マーティンさんは93年から組織化・政策担当として活動。今年の原水禁世界大会では、広島、長崎大会の海外ゲストとして参加した。
ピースアクションHP
http://peace-action.org/

――最近のアメリカ社会の動き、特に保守派の傾向について教えてください。
 11月に大統領選挙が行われますが、オバマ大統領の支持率は低迷しています。争点は景気問題になると思いますが、保守派は同性愛者の問題などを取り上げるより、景気の低迷は大統領のせいだと声高に言い立てることで、有利な展開をめざしています。その状況次第で選挙の行方は左右されると思われますが、この不況はオバマ大統領が原因というわけではありません。
 保守系の潮流は複数あって、まとめるのは難しいのですが、一つはレーガン大統領時代の「レーガノミックス」です。税制改革を行い、富裕層を優遇することで、中産階級が低所得者層に没落するという、格差を容認していた勢力です。現在、保守派はオバマ政権の政策は中産階級にも低所得者層にも何もいいことはないと主張しています。しかし、そういう勢力ほど、中産階級や低所得者層がどうなろうと知ったことではないという考え方です。最近の保守の側の傾向は、穏健派への寛容さが低くなっている点です。政治傾向として、両極化が進んでいると言えます。穏健派よりも、急進派が幅をきかせるようになっていて、特にティーパーティー(保守派の運動体)は穏健派的な政治路線に対し、ほとんど寛容な考え方を持っていません。

――オバマ大統領の「核なき世界」のスピーチ(2009年・プラハ演説)の受け止められ方はいかがですか。
 保守派の大半は当然、軍事力をもっと拡大させるべきだと考えているし、そのため核兵器にももっと予算を費やすべきだと考えています。もちろん例外もあります。レーガン政権で国務長官を務めたジョージ・シュルツやリチャード・ルーガーなどが、核廃絶を訴えるようにもなっています。また、ティーパーティーの中にも、政府が巨大になりすぎたとして、国防総省を含めた予算を削減すべきだという人もいます。とは言え、あくまで例外的なものであって、大多数は軍事力と核兵器の予算拡大を支持しています。
 保守派以外にも、プラハ演説を批判するグループは、私たちを含めていくつかありました。どんな点を批判したかと言いますと、「私が生きている間の核兵器廃絶はない」などといった発言についてです。ただ、あのような場で核廃絶ということを口にしたことは、歴史的には非常に意味のある重要な出来事だと思っています。「一定の評価」という点では、ピースアクションも私個人も同じ意見です。核廃絶への道というものを示したということでは、必ずしも悲観的ではありません。

――2015年に開催される核拡散防止条約(NPT)再検討会議の課題は何でしょうか。


オスプレイ反対集会で発言するマーティンさん
(8月5日・広島市)
 このNPT再検討会議のプロセスには、アメリカも大きな影響を与えます。今年の大統領選は今後を左右するでしょう。共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事が選出された場合、その進展はゼロ以下、マイナスになってしまうと思います。オバマ大統領が再選されれば、課題はあるもののまだ可能性はあると言えます。ただ、議会の中に核兵器を支持する勢力が一定数いる以上は楽観視できません。
 これはNPT再検討会議が目的とするところではありませんが、問題なのはイスラエルです。中東の国であるイスラエルが秘密裏に核兵器を製造しているのではないかという疑惑があります。あと、NPTは「原子力の平和利用」を謳っていますが、これについても疑問が残ります。「平和利用」であっても核兵器の取得につながるということです。インドは実際に核兵器を所有しています。強調したいのは、核の平和利用は核兵器の所有につながるという問題です。

――広島で開催されたオスプレイ配備反対集会でマーティンさんは日本の皆さんに謝罪しますと発言されました。これはとても印象に残るスピーチでした。日本は過去の戦争について国家的な謝罪ができていません。
 アメリカ政府も広島と長崎への原爆投下を謝罪していません。これは被爆者が全員、この世を去ったときではないと難しいのかもしれません。日本政府にも真珠湾攻撃など、過去の間違いについて謝罪をさせるには、とても時間がかかるのかもしれません。
 オスプレイ配備の問題に関しては、反対の署名をできるだけ多く集めて、アメリカ政府、国務省や国防総省に提出するような運動は必要ですね。あとは、デモなどで民衆の側から、日本政府に対して圧力をかけていくことです。当然のことかもしれませんが、こうした活動を続けていくことが大切です。

●原水禁大会で配布されたマーティンさんの資料から、オスプレイ問題に関する部分を抜粋しました。
 沖縄へのオスプレイ配備を止めるべき理由として、2点あげたいと思います。一つが安全上の深刻な懸念、そしてもう一つが騒音問題です。
 4月には新しいオスプレイが1機モロッコで墜落し、兵士2名が死亡し、米国でもフロリダで7月初め、別のオスプレイが墜落しました。さらに、つい最近、F-16戦闘機が日本沿岸で墜落した事故を見ても、事故は起こるということがわかります。
 オスプレイが墜落する可能性はどれくらいでしょうか? タイム誌は、オスプレイが危険であると非難する記事を載せました。軍事技術の専門家によれば、沖縄の山岳地帯で計画されている低空飛行訓練に重大な危険性があります。そして、編隊飛行が行われた場合、危険性はさらに高まります。
 オスプレイがエンジン2基のうち1基が故障しても飛行できる一方、2基とも故障した場合、深刻なトラブルに陥ります。こうしたケースは少ないですが、全くないわけではありません。ヘリコプターと違い、オスプレイは緊急着陸用のオートローテーションが使えません。オスプレイが安全のため、飛行機のように滑空できるかどうかについては、肯定意見と否定意見の両方あります。おそらく状況によるのでしょうが、低空ではおそらくできないでしょう。オスプレイには他にも非常に深刻な技術上の欠陥があると考えられ、過去10回死亡事故が起きています。実際、オスプレイの開発に当たり、約30名が死亡しています。
 これまで私が指摘してきた問題にもかかわらず、オスプレイは戦闘に参加し、海兵隊の回転翼機の中では最も安全だと考えられています。
 それでも、普天間基地周辺の人口密度の高さを考えれば、墜落した場合、その被害は壊滅的でしょう。
 懸念材料があるのは日本だけではなく、安全問題以外にもオスプレイ配備を止めるべき理由があります。ハワイの基地周辺では、主に騒音問題で、オスプレイの配備を提案されていることへの懸念が高まっています。私が沖縄へ行く機会があったのは幸運でした。そして、普天間基地に行かれた方なら、町のど真ん中に巨大な基地があることがおわかりだと思います。米国内では緩衝地帯がはるかに広いことを考えると、沖縄での騒音の影響は米国よりはるかに深刻です。
 米国人として、私がオスプレイ製造を止めたいと思う理由が他にもあります。多くのペンタゴンのプロジェクト同様、オスプレイも当初の計画よりはるかに費用がかさんでいます。研究開発計画での見積額は390億ドルだったのが、独立した見積予測では560億ドルと1.5倍近くになっています。現在、オスプレイの製造費は1億ドルで、その信頼性の低さから、メンテナンス費用は跳ね上がっています。
 非常に深刻な安全上の懸念と、騒音の問題から、オスプレイの日本への配備は止めるべきです。日本政府に圧力をかけ続け、オスプレイを米国へ戻してほしいと米国政府に要求させてください。現在の米国の景気状況を考慮すれば、皆様の取り組みでオスプレイを米国に送り返せるでしょう。

〈インタビューを終えて〉
 8月5日、被爆67周年原水禁大会・国際会議の後、オスプレイ反対集会を広島で開催しましたが、マイクをとったポール・マーティンさんは、講演の冒頭、「私はアメリカ国民として謝罪します」と述べました。彼は二度三度「謝罪」という言葉を発しました。こうした態度、こうした機微は、運動を知り、運動の現場を数多く経験した活動家しか持ち合わせないセンスであると感じました。もちろん彼が述べた「謝罪」という言葉は、センス(感性)ではなく、もっと大きな思想に由来していると思いますが。彼の意識は、はや米大統領選にあるのではないかと感じられるインタビューでした。
(道田 哲朗)

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オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会
民主主義の基本を忘れるな!
平和フォーラム・原水禁 事務局長 藤本 泰成

 「何回繰り返せばいいのだろうか」。沖縄県民の偽らざる思いです。9月9日、快晴の宜野湾市の海浜公園に、再び10万人の沖縄県民が集まりました。沖縄県内の全ての団体、全ての市町村、突然参加を見合わせた仲井真弘多沖縄県知事を除いて、本当に多くの人々が「オスプレイ配備反対」の声をあげました。
 私が、2007年に平和フォーラムに着任して以来、三度目の県民集会です。そのたびに、沖縄県民の思いは裏切られ続けてきました。ただただ、「もうあの沖縄戦の悲惨な思いはしたくない」「静かな安心できる暮らしがしたい」という、独善でもない、贅沢でもない、ごく普通の思い、そのことが通らない沖縄の現実が蒼く澄み切った空の下にありました。

オスプレイ配備は重要な装備変更


県民集会では手作りのプラカード
持参の参加者も目立った
 今回の米海兵隊による、普天間基地への垂直離着陸機MV-22オスプレイの配備は、多くの問題を市民社会に投げかけています。一つは「日本政府がどうこう言える問題ではない」とする日本政府の姿勢です。基地の運用は米国の専権事項で、今回のオスプレイ配備は、CH-46からの機種変更に過ぎないとする立場を取っています。しかし、試作段階から事故を繰り返し、配備が決定した後も墜落事故や緊急着陸を繰り返す欠陥機とも言えるオスプレイは、単に機種変更では済まされません。
 また、「これまで通常ルートでの基地間移動」と強弁してきた政府は、全国6ルートでの低空飛行訓練を認めざる得ない立場に立たされました。いつオスプレイが墜落して、1959年の沖縄・宮森小学校米軍機墜落事件や1977年の横浜市の米軍機墜落事件などの悲劇を繰り返さないと言えるのでしょうか。
 1960年の日米安保条約改定に伴って取り交わされた「岸・ハーター交換公文」では、在日米軍に関する(1)重要な配置の変更、(2)重要な装備の変更、(3)日本国内の基地から行われる戦闘作戦行動の三項目については、「事前の協議の主題とする」とされています。しかし、日本政府はこれまで事前協議の内容は核兵器と弾道ミサイルの配備に限るとし、実際には一度も事前協議を行わないできました。今、まさに危険性の高い重要な装備の変更というオスプレイ配備に関して、政府は主権国家として、市民の立場に立って対応することが求められます。どこの国の政府かと疑念を抱かれることのないよう毅然とした対応が必要です。

米国内では住民の反対を受け入れ
 米海兵隊が普天間へのオスプレイ配備を急ぐ一方で、ニューメキシコ州やハワイ州では、住民の反対によって、オスプレイの訓練飛行に関わる環境影響調査が中止される事態となっています。米国内において中止せざる得ないオスプレイの飛行訓練を、世界で一番危険と言われる住宅密集地にある普天間飛行場で強行しようとしています。米国政府は、沖縄県民の反対の意志を考慮することなく傲慢とも言える態度に終始しています。
 このような米国の姿勢を許してはなりません。これまでも、在日米軍は不平等な日米地位協定によって守られてきました。幾度となく沖縄県民は悔しい思いをしてきました。米国政府に、また米軍に、日本に対する差別意識があるとすれば、そのことを問題にすべきであり、日本政府は、日本国内におけるオスプレイ配備についても、米国内同様の配慮義務を米国政府に課すべきです。
 日本政府はこれまでも低空飛行訓練の実態を否定し、東村のヘリパット建設はオスプレイのためではないと強弁し、米国政府との間に多くの密約を結び、国民を欺いてきました。あらためて「国民の、国民による、国民のための政治」という民主主義の基本を自らに問い直すべきと考えます。

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「生命の尊厳」をもとに、基地も原発もない平和な社会へ
憲法理念の実現をめざす第49回大会の課題

「豊かさ」とは何だったのか
 日本は、世界で十指に入る自殺大国です。毎日100人近くが自ら死を選ぶ社会─東京周辺では「人身事故により、大幅に遅れが発生」との電車のアナウンスが毎日のように流されています。「生存する権利」を規定した憲法理念はどこに存在するのでしょうか。
 昨年3月11日に発生した「東日本大震災」は、東北地方をはじめ日本各地に大きな被害をもたらしました。とりわけ、東京電力福島第一原発事故は、いまだに収束せず、各地に飛散した大量の放射性物質による環境汚染は、人々から故郷を奪い生活の基盤と雇用を奪いました。高度経済成長の下でめざしてきた「豊かさ」とは何だったのでしょうか。
 米軍基地の重圧の続く沖縄では、普天間基地の国外・県外移設が裏切られたばかりか、危険な垂直離着陸機MV-22オスプレイ配備が強行されようとしています。そして日本国中で低空飛行訓練を実施するとさえ言われています。戦後67年、本土復帰40年、未だ戦争の影を引きずる「沖縄」そして「日本」の現実を直視するとき、中国および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を敵視する安全保障体制が、東アジアの平和醸成をいかに阻んでいるのか明らかです。

憲法を変えようとの動きも強まる
 ひっ迫する世界経済の下で「生活が第一」として2009年に成立した民主党政権は、いま混迷を極めています。野田佳彦首相のもとで、武器輸出三原則の見直しが閣議決定で強行され、文民統制上の疑義もある元自衛官の森本敏防衛大臣を就任させました。1980年代に廃案となった国家秘密法を焼き直した秘密保全法制制定やPKO参加5原則の見直し、消費税増税や社会保障の制限、原発再稼働、無原則なTPP参加など国民生活の犠牲や人権侵害を強いる動きも顕著となっています。自公政権下で強められた「格差と貧困」は、ますます拡大しようとしています。
 国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を規定した日本国憲法の姿が見えてきません。社会が、政治が「一人ひとりの命に寄り添う」こと、憲法が規定する基本に戻ることが、戦後これほど求められる状況はなかったのではないでしょうか。
 衆参両院で憲法審査会が動き出しました。改憲発議を3分の2から過半数に引き下げようとする「憲法96条改正議連」、憲法第42条の二院制改定議員立法案を衆院議長に手渡した「一院制議連」、天皇元首化や自衛軍の明記など伝来の復古的改憲色を強く打ち出した「自民党改憲草案」、明確に改憲を打ち出した「大阪維新の会」など、憲法を変えようとの動きも強まっています。議論は、憲法理念と社会のあり方を問うものではなく、変えられつつある社会構造に憲法を迎合させようとするものでしかありません。

上関原発や岩国基地を抱える山口で開催


今年の大会ポスター
 こうしたなか、時々の課題をテーマに憲法の平和・人権・民主主義の学習と交流の場として、全国持ち回りで毎年開催してきた「護憲大会」は、本年は上関原発建設や米軍岩国基地に対して長年取り組みを続けてきた山口県山口市で「『生命の尊厳』をもとに、原発も基地もない平和な社会へ 憲法理念の実現をめざす第49回大会」(第49回護憲大会)を名称に11月9日~11日の日程で開催されます。  大会は、名称通り、「生命の尊厳」の憲法理念を前面に出したものです。スローガンとしては、「『人間の安全保障』を確立し、『格差と貧困』をなくそう」「憲法の生存権のもと、震災・原発事故・放射能被害などの補償と復旧を進めよう」「脱原発・温暖化克服の環境づくりとライフスタイルを築こう」「米軍の原子力空母やオスプレイ配備をやめさせ、沖縄をはじめ基地を縮小・撤去しよう」他、例年の課題に加えて震災・原発・オスプレイ問題などを踏まえた11本を掲げています。  9日には、開会総会とシンポジウム。10日には、(1)地球環境-脱原発に向けて、(2)非核・平和・安全保障、(3)歴史認識と戦後補償、(4)教育と子どもの権利、(5)人権確立、(6)地方の自立・市民政治、(7)憲法の七つの分科会を行います。上関原発学習ツアーや歴史と自然をめぐるツアー(萩~美祢)の2コースのフィールドワーク、男女共同参画、上関原発映画「祝の島」上映会などのひろばも行います。

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TPP交渉ここが問題(その3) 知的財産権の強化の狙い
ネットでコンテンツをダウンロードしたら訴えられる?!

停滞するTPP交渉 アメリカは著作権を重視
 米国やオーストラリアなど9ヵ国による環太平洋連携協定(TPP)の交渉は、当初、今年末の合意をめざしていましたが、米国の通商代表部(USTR)は9月初めに、年内の妥結を断念する報告書を提出しました。その背景には、11月の米国大統領選挙もありますが、主要な交渉分野で参加国の主張に隔たりが大きく、交渉が停滞していると見られています。
 その交渉で難航している分野の一つが知的財産権の問題です。この問題に詳しい弁護士の福井健策さんは「日本ではあまり問題視されないが、米国がTPP交渉の中で関税の引き下げなどよりも力を入れているのが知的財産権の分野だ」と指摘しています。例えば、米国は映画や出版物などの著作権や特許の使用料として、海外から年間10兆円もの収入をあげています。
 知的財産権の交渉の内容は、交渉国以外はもとより、交渉国の国会議員さえ知らされていませんが、今年発効した米国と韓国との自由貿易協定(米韓FTA)や、米国が日本の制度改革について要望する「日米経済調和対話」と同じような内容だと言われています。

厳罰化は新たな文化の創造を萎縮させる


TPP交渉に反対して13党会派が集まった集会
(8月30日・憲政記念館)
 その一つが「著作権侵害の非親告罪化」の適用です。現在これは「親告罪」であるため、著作権者などが告訴しなければ罪は問われません。しかし、「非親告罪」が導入されると著作権者が告訴しなくても侵害者に刑事責任を問えることになります。極端には「ネットでコンテンツ(情報内容)をダウンロードしたら訴えられる」ことになるのです。しかも、日本では小泉改革で、著作権侵害では「最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金」と刑罰が重くなっています。
 いま若者を中心に、パロディーや同人誌が流行しています。これらは、すでに存在している著作物を使って、新たな文化や創作を醸成する源泉として重要なものです。「非親告罪化」はこうした動きを萎縮させるなど重大な影響を与える恐れがあります。
 また、著作権の保護期間の延長も出されています。現在でも「著作者の死後50年」となっているのを、さらに20年の延長が図られようとしています。これは「ミッキーマウス保護法」とも呼ばれ、ミッキーマウスの著作権が切れそうになる度にハリウッドが圧力をかけて延長が繰り返されてきました。これにより、「古い作品の活用と新たな創作が困難になる」(福井健策さん)ことが危惧されています。
 他にも、診断治療方法を特許の対象にすることや、医薬品データの保護もあげられています。これにより、患者は特許使用料を払わなければ適切な治療を受けられなくなったり、安価なジェネリック薬がつくれなくなるなど、医療問題にも関わってきます。

アメリカ型ルールの適用強制でいいのか
 これらは、米国の制度に加盟国を合わせて、多国籍企業が活動しやすくするものです。どこまで保護をして、どこから公開するべきかのルールづくりが求められています。福井さんは「訴訟社会の米国と日本との違いがあるなかで、米国型ルールを適合しようとするTPPに安易に参加していいのか。知的財産権の拡大を目論む者にとってはTPPが最終兵器となる」と懸念をしています。
 条約は国内法に優先することから、TPPに参加すれば、国内制度を大幅に変更せざるを得なくなります。すでに、TPP交渉の前に同様の制度導入の動きが起きています。今期の通常国会の最終版に国会で可決された「偽造品取引防止協定」(ACTA)というものです。著作権や商標権を侵害する海賊版・模造品の輸入・販売を規制するものですが、欧州議会は表現の自由を奪うものとして、大差で協定を否決しました。知的財産権の一定の保護は行われる必要はありますが、どのようなルールが最適かを検討する必要があります。福井さんは「情報流通を促進しつつ、創作者に収益還元できる制度を考えるべき」と提起しています。

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脱原発へ市民の意思を実現させよう
基本法制定へ全国ネットワークが活動
脱原発法制定全国ネットワーク 松田 奈津子

世論の高まりを受けて法案提出
 「脱原発法制定全国ネットワーク」は、脱原発法の制定を求める市民団体です。今年8月22日に設立し、通常国会会期末の9月7日に103名の国会議員の賛成・賛同を得て、議員立法として「脱原発基本法案」を提出し、継続審議となりました。
 私たちの代表世話人は、河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)、上原公子(元国立市長)、内橋克人(経済評論家)、宇都宮健児(前日本弁護士連合会会長)、小野寺利孝(福島原発被害弁護団共同代表)、大江健三郎(作家)、鎌田慧(作家)、坂本龍一(音楽家)、桜井勝延(南相馬市長)、瀬戸内寂聴(作家)、伴英幸(原子力資料情報室共同代表)、村上達也(東海村村長)、村田光平(元スイス大使)、吉原毅(城南信用金庫理事長)ほか、様々な分野で脱原発を求めて活動している方22名です。
 また、平和フォーラム・原水禁のほか、原子力資料情報室、脱原発弁護団全国連絡会、日本消費者連盟、ふぇみん婦人民主クラブ、日本環境法律家連盟が呼びかけ団体となりました。
 脱原発法の提出の際に、伴英幸さんは「故・高木仁三郎は1988年に脱原発法の制定に尽力したが、350万人以上の署名を集めても法案の提出に至らなかった。法案提出にこぎ着けたことは感慨深い」と述べました。今回、短期間に提出できたのは、国会議員が取りまとめてくださったのはもちろんですが、3.11以降、全国各地で広がったデモやパブコメに見られるような、原発ゼロの世論の高まりがあってこそと言えます。

衆議院選挙で争点を提示
 法案は、国策として進めた原発を明確に否定し、脱原発を国家として進めることを宣言しています。そして、政府に対し、遅くとも2020~25年までのできる限り早い時期に脱原発を実現させるとして目標を明示しています。さらに、「最新の科学的知見に基づく災害防止基準に適合しなければ、原発の運転を認めない」として、再稼働にも厳しいハードルを課しています。
 この法案が通れば、現行の原子力基本法をはじめ原子力発電を支えてきた電源三法等の法律は改正を余儀なくされます。このように、明確に脱原発の目標を示し、再稼働を許さず、脱原発への行程を示す基本法案となっています。
 全国ネットワークを立ち上げて以降、通常国会中の法案提出を第一の目的として活動してきました。このような方針をとった理由は、秋以降の早い時期に衆院解散が実施される可能性が高く、総選挙では今後の原子力政策が大きな争点となるにもかかわらず、各政党、候補者の政策は明確ではないため、はっきりと争点を提示する必要があると考えたからです。そして、候補者にこの法案への賛否表明をしてもらうことで、だれが本物の脱原発候補者であるかを有権者が判断するリトマス試験紙とするためです。

議会制民主主義を私たちの手に
 いま必要なことは、一つ一つの原発の再稼働を止めるだけではなく、これまで54基もの原発の設置を許可し、運転を認めてきた国の政策を、法律によって明確に方向転換することです。なぜなら、日本が国として脱原発政策を選択し、廃炉や立地地域の産業復興などに国を挙げて取り組むためには、再稼働を止めるだけでは不十分であり、新たな法律が必要だからです。
 脱原発法成立によって、既存の法制度は大改正を迫られます。また、行政機関や裁判所、地方自治体へも大きな影響を与えることになり、脱原発へ大きく舵を切ることができます。これは、脱原発を願う多くの国民、市民の意思を実現する、すなわち議会制民主主義を私たちの手に取り戻すことに他なりません。
 脱原発法の実現に向けた活動に、みなさまのご協力を心よりお願いします。

脱原発法制定全国ネットワークの連絡先(事務局)

・さくら共同法律事務所
(代表世話人 河合弘之)
TEL:03-5511-4386(事務局)03-5511-4400 FAX:03-5511-4411

・東京共同法律事務所
(事務局長 海渡雄一・事務局次長 只野 靖)
TEL:03-3341-3133 FAX:03-3355-0445

郵便振替口座 00140-0-282496「脱原発フォーラム」
E-mail:datsugenpatuhounet@gmail.com
ブログ:http://datsugenpatuhounet.blog.fc2.com/

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福島で食品放射能測定所が活動を開始
市民が気軽に利用できる仕組みをめざす
福島県平和フォーラム 顧問 竹中 柳一

 平和フォーラムは、東京電力福島第一原発事故を機に進めている福島支援の一環として、福島県平和フォーラムに放射線測定器を贈り、食品の放射能検査をする活動を呼びかけてきました。これは、放射能汚染問題の現状をとらえ、運動を拡大するためです。その測定活動について、福島から報告をもらいました。

全国からのカンパで設置される


 平和フォーラムの全国の皆さんから寄せていただいたカンパによって、ベラルーシ製の食品放射能測定器2台が、福島県平和フォーラムに納入されました。県平和フォーラムでは、市民が気軽に活用できる設置場所を検討した結果、広い駐車場がある、県の教育会館の一室を借り受け、食品放射能測定所として設置することにしました。
 事前の準備として、スタッフによる測定のための講習や勉強会などを開催し、7月から現在まで毎週金曜日と土曜日を測定実施日に決めて、教育会館が予約の窓口となって活動を開始しました。

測定器を常に稼働させる工夫が必要
 福島県でも行政サービスとして、多くの場所で無料測定を実施しています。そうした中で、行政の方ではなく、県平和フォーラムへ測定を申し込む県民は、非常に放射能についての知識や関心も高く、結果について細かく質問をしてくるケースが多いので、スタッフも放射能に関する知識を向上させることが必要となっています。そのために、測定結果の分析についての学習会を実施するなどして、それらの質問にできる限り正確に答えられるように努めています。
 米などの検査では下限値が25ベクレル以下なので、自家用の米などは、なるべく下限値を下げて測定したいという県民も多いと考えています。そのためには、活動をもっと広く県民に知っていただきたいのですが、宣伝が組織内にとどまっている点を、どう克服するかも課題です。
 現在の取り組みとしては、測定所を知ってもらうために、スタッフによるチラシの配布、タウン誌への広告掲載などがあります。せっかく全国の皆さんの善意による寄付で設置された測定所ですから、費用などの問題はありますが、常に稼働させることができるように、宣伝や運営の仕組みを工夫していかなければならないと考えています。


広くこの測定所を県民に
知ってもらえるよう活動中


長く運営することをめざしたい
 原発からのセシウムは、半減期30年の137が量的には圧倒的に多いので食品検査は長い期間必要になります。県平和フォーラムとしても、測定所を長く運営しながら、市民が気楽に利用でき、学習して知識を深めることにより、測定結果についても主体的に判断できるような仕組みをめざしたいと考えています。今後とも、全国の皆様のご協力とご支援をお願いいたします。

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用途のないプルトニウム製造を続ける「エネルギー戦略」

 政府は、9月14日、「2030年代に原発稼働ゼロ」をめざすと同時に、再処理政策を継続するという「革新的エネルギー・環境戦略」を決定しました。日本はすでに、長崎型原爆5,000発分以上のプルトニウムを持っています。再処理の元々の目的は、使用した以上のプルトニウムをつくる「夢の原子炉」に初期装荷燃料を提供することでした。希少なウランを「有効活用」するためのはずでしたが、ウランの埋蔵量は予想を上回り、原発の成長は予想を遙かに下回る一方、「夢の炉」の実現は遠ざかり続けました。
 国内外の再処理で蓄積してしまったプルトニウムを普通の原子炉で燃やそうと導入されたプルサーマル計画も遅々として進まないまま起きた福島事故。原発をゼロにするとしながら、さらにプルトニウムを増やす政策は、世界の懸念と疑惑を呼びます。
 韓国は、2014年3月に期限切れとなる韓米原子力協力協定の改定交渉で、日本と同じ再処理の権利を認めるよう米国に求めています。日本が再処理政策を続行すると、米国にとって韓国の要求を拒否するのが難しくなります。受け入れれば、「南と北は核再処理施設とウラン濃縮施設を保有しない」との1992年の南北非核化共同宣言に基づく北朝鮮の核問題の解決の可能性も縮小します。また、韓国が再処理政策をとり、他の国もこれに倣えば、核拡散の危険が高まります。

再処理政策継続の理由と実質的モラトリアム


1975年と2011年の原発発電容量拡大予測と
推定埋蔵量のウランで40年維持可能な発電容量
出典:フランク・フォンヒッペル講演資料(2012年5月)
 2005年原子力政策大綱策定でも、今回も、再処理政策続行とした決め手は、使用済み燃料の置き場の問題です。各地の原発の使用済み燃料プールが満杯になりつつあり、六ヶ所工場の横にある受け入れプールもほぼ満杯で、空きをつくるためには、使用済み燃料を工場に送り込むしかないというのです。
 また、六ヶ所村や青森県は、再処理をしないなら使用済み燃料を各地の原発に送り返す、英仏からの返還廃棄物も受け入れない、と主張しています。約束が違うからといって、無用かつ危険な物質の生産を迫るのは理にかないません。交渉なしで返送となれば交付金や核燃料税が途絶え、新しい村つくりの協力も得られなくなります。政府は、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組みながら、今後、政府として青森県をはじめとする関係自治体や国際社会とコミュニケーション」を図るとその場しのぎの約束をしています。
 再処理事業を止めて議論するのが筋ですが、実質的には再処理はモラトリアム状態にあります。試運転で生じた高レベル廃棄のガラス固化がうまくいっておらず、少なくともあと1年余り、実際の運転はできないからです。この間に、何としても、再処理政策の完全放棄の道筋をつくるようにしなければなりません。

使用済み燃料の置き場問題解決は乾式貯蔵
 福島第一原発4号機の例が示した通り、プールに詰め込んで保管する方法だと冷却水喪失により大事故となる危険性があります。自然対流による空冷式の乾式貯蔵施設を各地の原子力発電所につくり、炉から取り出し後5年以上経って温度の下がった使用済み燃料をそこに移して、プールに余裕を持たせる必要があります。脱原子力を決めたドイツもこの方法を採用しています。建設が間に合わない原発では、1~2ヵ月で建設可能な暫定貯蔵施設の設置を認めました。1年半~2年後に本格的施設に移すことを前提とした措置です。
 現在世界に存在する分離済みプルトニウムの量は500トンで、民生用と軍事用がほぼ同量の250トンずつです。核軍縮を進めて、約2万発ある世界の核兵器の総数が1,000発となると、1発当たり4㎏として、総量は4トンとなります。核兵器利用可能な民生用プルトニウムが増え続けていたのでは、核兵器国は、自国の軍事用余剰プルトニウムの処分を拒むかもしれません。民生用プルトニウムの増加は、核拡散防止、核テロ防止の努力の障害にもなります。日本は、不要なプルトニウムを増やすことにではなく、使用済み燃料と一緒に埋設するなどのプルトニウム処分方法の共同開発にこそ力を注ぐべきです。
(田窪 雅文)

 今号よりこのコーナーは、田窪雅文さん(ウェブサイト「核情報」主宰)に執筆していただきます。なお、これまでは和田長久さん(原水禁専門委員)に書いていただきました。

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水俣病問題の今日的課題と福島原発事故との関連
新潟県平和運動センター 事務局長 高野 秀男

 「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(水俣病特措法)に基づく被害者の救済申請の受付が、7月31日をもって打ち切られた。
 同法は、被害を拡大させた国の責任と国の基準より幅広い被害補償を認めた2004年の関西訴訟最高裁判決に端を発する。判決を受けて、認定申請者が増え続けたが、国は基準の見直しを拒み、熊本では認定審査会が開けない異常事態に陥った。国相手の新たな訴訟も起き、被害者の多くが反対するなか、水俣病特措法は09年の総選挙直前に自・公・民の賛成多数によって成立した。その後、鳩山内閣によって救済方法等で前進が図られ、訴訟上の和解と合わせて、10年5月から同法による申請受付が開始された。

水俣病はまだ終わっていない
 2年3ヵ月の間に申請した人は、熊本・鹿児島県で603,043人、新潟県で2,108人を数えた。行政認定患者約3,000人、95年政治決着による医療事業対象者約11,000人をはるかに超える。水俣病被害の深刻さ、広がりに衝撃を受けるとともに、あらためて放置してきた国と加害企業に怒りを覚える。
 今後、どれだけの人が被害者として対象になるのか、来春には判明すると思われるが、これで水俣病は終わったわけではない。次のような課題が残っている。

(1)「線引き」解消と特措法の受付再開、住民健康調査の実施――
 水俣病特措法で最も大きな問題が「対象地域」と「出生年・居住時期」による不当な線引きである。熊本では天草市在住で不知火海の魚を食べ、手足のしびれなど水俣病特有の症状があるにもかかわらず、対象地域外として多くの被害者が非該当になっている。魚は回遊しており、陸で線引きする理由はない。
 また、新潟では1960~65年の間に1年以上居住しなかった人を非該当にしている。57年発症の認定患者がおり、県が「阿賀野川安全宣言」を出したのは78年だ。被害の現実、実態に見合った救済策になっていない。さらに、いまだ社会的差別を恐れて申請をためらっている人や、自分の症状が水俣病と気づかず申請していない人が多数いることが想定される。
 事件公表から半世紀が過ぎた。これ以上、解決を先送りしてはならない。「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されること」とする特措法の趣旨からも受付を再開すべきだ。何よりも、いまだに被害の全容が明らかでないこと自体が異常なこと。遅きに失しているとは言え、国は加害者の立場からも不知火海沿岸、阿賀野川流域の住民健康調査を実施すべきだ。

(2)認定基準の見直し――


新潟水俣病加害企業前での現地調査
(9月22日・新潟県阿賀町)
 水俣病が終わらない要因の一つに「厳しすぎる認定基準・不当な認定制度」がある。国の基準では広範な被害者を救済し得ないことは、上述の最高裁判決をはじめ、すでに言い渡されている地裁・高裁判決で明らかだ。35年前に定めた基準に固執していることも、医学的知見の進展に照らして奇異である。「行政と司法の判断は違っていい」と開き直る行政を放置する国会の責任も厳しく指摘せざるを得ない。
 このほか、患者の苦痛を和らげる治療薬の開発、生活支援、被害者への差別偏見をなくす「もやい直し」の取り組みなど、課題は山積している。

水俣病の経験を福島原発事故に活かそう
 一方、こうした経過と現状を省みて、水俣病の関係者の多くは、福島原発事故の被害者の権利回復や地域の再生に関心と思いを寄せている。水俣病と原発事故にいくつかの共通項を見るからだ。国策遂行の中で「人災」によって引き起こされたこと。情報の隠ぺいと操作により、被害がとてつもなく広がり深刻化したこと。水俣病の「専門家」によって被害が矮小化され、結果として被害者が長期間放置されたが、福島にもその恐れがあること。被害者は何の罪も咎もないのに社会的差別を恐れて肩身の狭い思いをしていること。地域や職場、家族の中で分断が起きていることなどだ。
 水俣病における国と加害企業の一貫した政策は「いかに被害を小さく見せるか。いかに安く仕上げるか」でしかなかった。「水俣病の失敗」を福島では繰り返さないよう強く願うと同時に、水俣病の経験と教訓を原発事故に少しでも活かしていきたいと思う。 

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《各地からのメッセージ》
三度の原発立地計画を撤回させた運動の歴史
フォーラム平和・三重 事務局長 長澤 和也


写真は昨年の
9.19さようなら原発集会(東京)。
前列右が長澤さん。
 フォーラム平和・三重は、労働組合や地区労センターなど22の団体と40数名の個人会員から構成されています。主な取り組みとして、「5.3憲法を考えようフォーラム」、「12.8永久に不戦を誓う日集会」、「WPN in みえ」、「非核・平和行進」などを毎年開催、沖縄平和行進や原水禁大会への参加についても力を入れています。とりわけ、原水禁広島大会へは、組合員や会員からのカンパによって、小中学生を中心に子ども派遣団を組織し、平和の尊さを学ぶ機会を提供するとともに、子どもたちによる報告集も作成しています。
 また、非核・平和行進に先立って、平和行政の充実や平和市長会議への加盟などを求めて、県下の自治体への要請行動にも取り組んでいます。今年は、平和市長会議に未加盟の7自治体と県知事、市長会長、町村会長宛にそれぞれ要請書を提出しました。昨年、一昨年とこの要請行動の後に、平和市長会議へ加盟する自治体が増えました。今年も2自治体が加盟し、29自治体のうち、24自治体が加盟済みということになりました。昨年実施した自治体へのアンケートでは、要請行動に取り組み始めた頃と比べ、行政として平和を啓発する事業も徐々に拡大しています。運動の成果が、少しずつ現れてきているのではないかと考えています。
 三重県では、かつて三度の原発立地計画を撤回させてきた運動の歴史があります。今でも、県内には米軍基地も原発もありません。それだけに、運動を担う者や地域の人々の反戦・平和・反原発への思いも徐々に薄れつつあり、この運動を継続して行く難しさを身にしみて感じています。しかし同時に、地道ではあっても、先達に学び、粘り強く取り組みを進めていく大切さも実感しています。大変厳しい状況下ではありますが、運動の前進のために、ともにがんばりましょう!

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【本の紹介】
あんぽん・孫正義伝
佐野眞一 著


小学館2012年刊
 歴史が負った鬱積(うっせき)。この鬱積が人間のエネルギーに転化する。差別、略奪、人としての辛酸は、それが大きければ大きいほど、個人のドラマで完結しない。人の記憶と遺伝子によって必ず引き継がれる。
 本書は、孫正義の誕生と人生を、東アジアの中の日本から描いている。対馬海峡を挟んだ孫家三代の歴史である。「あんぽん」とは孫家が差別から逃れるために使った日本姓・安本を、からかわれて呼ばれた蔑称であり愛称だ。
 この書の主人公、孫正義は、1957年、父三憲・母李玉子の次男として佐賀県鳥栖市で生まれる。ドブ川が流れる朝鮮部落で養豚と密造酒造りの中で幼少時代を過ごす。「差別? それはされました。朝鮮部落の掘っ立て小屋に石を投げられることなんて、当たり前でしたね。『汚い家に住んでいる』とか『近寄るな』とか、さんざんいじめられました。朝鮮人というだけで就職もできなかった。だから密造酒をつくって家族を食わせなければならなかった」。
 人間孫正義の出発は、鳥栖の幼稚園時代に頭にぶつけられた石の痛みだったからかも知れない。作者佐野眞一の追跡は、正義の父・安本三憲、母・玉子、そして父方の祖父で在日一世にあたる孫鐘慶(ソン・ジョンギョン)、祖母・李元照(イ・ウォンゾ)におよぶ。佐野氏は韓国にわたり、孫家の故郷、慶尚北道・大邱市などを巡った。ノンフィクション作家としての真骨頂がここにあるが、祖父と祖母、そしてかれら家族がどのような運命をたどったのか、調べるうちに作者の筆致はすごみをおびてくる。孫家の田畑は最初日本軍に奪われ、つぎに米軍によって破壊される。戦後、孫鐘慶は日本から逃れるように故郷に戻るが、故郷の惨状をみてふたたび日本に向かう...。
 2010年6月、ソフトバンクが開いた「新ビジョン発表会」で、孫正義は、大スクリーンに映した祖母李元照の前で泣きながら述べている。「家で飼っていた豚の餌の残飯集めをするとき、いつもリヤカーに乗せて連れて行ってくれたおばあちゃんが、私は大好きでした」。
 映画「市民ケーン」なら、バラのつぼみと書かれた橇(そり)が原点であった。孫正義にとっての橇は、おばあちゃんのリヤカーに違いない。脱原発を語り、拉致問題と東アジアの平和について語る。彼の世界観はある鬱積の意味を物語ってくれている。
(道田 哲朗)

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10月13日は日比谷野外音楽堂へ
「さようなら原発集会」を開催

 政府は、今後の2030年までの原発・エネルギー政策のあり方を検討するため、三つの選択肢(原発ゼロ、15%、20~25%)を示して、国民からの意見を募集しましたが、圧倒的にできるだけ早い時期の原発依存0%が支持されました。こうした声を背景に、脱原発への流れをより盛り上げていくための集会を、10月13日に開催します。どなたでも参加できます。

日時:10月13日(土)13:00~15:00
会場:東京・日比谷野外音楽堂(日比谷公園内)
(地下鉄「霞ヶ関駅」「日比谷駅」下車)
内容:オープニングコンサート/呼びかけ人の発言など。集会後はパレードがあります。
主催:さようなら原発1000万人アクション実行委員会
連絡先:原水禁(TEL03-5289-8224)
http://sayonara-nukes.org/2012/09/121013/

 これまで進めてきた「さようなら原発1000万人署名」は、現在800万筆を超えました。第二次提出のための集約締切を10月15日に設定しました。1000万筆達成まで引き続きご協力よろしくお願い致します。

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