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ニュースペーパー2013年7月号

2013年7月 1日

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6.2NONUKESDAY
6月2日、東京・芝公園23号地を会場に、「6.2つながろうフクシマ!さようなら原発集会」が開催され、7500人が参加しました。この集会は、さようなら原発1000万人アクションを含む3つの脱原発グループが「6.2NONUKESDAY」として、共通のロゴマークを掲げてそれぞれの会場で集会などを企画したものの一つです。集会では呼びかけ人の大江健三郎さんが「原発の運転を再開するということは、福島の事故で苦しむ人たちに対する裏切り」と発言しました。また、福島からは有機農業を営んでいた渡辺ミヨ子さんが登壇し、「政府は原発を輸出すると言うが、道を誤ってはならない」と訴えました。ゼロノミクマくんも登場、集会後は東京電力本店前を通るパレードを行いました。(写真:今井明)

【インタビュー・シリーズその79】
きれいな言葉に踊らされてはいけない
平和フォーラム副代表・I女性会議中央本部共同代表村上克子さんに聞く

【プロフィール】
議会議員に当選、市川市初の女性県議として2期を務めた。
 I女性会議中央本部共同代表、I女性会議千葉県本部副議長。今年4月から平和フォーラム副代表に就任

―村上さんは教員出身ですね。
 生まれ育ちは東京で、大学も東京学芸大学の国語科に通いました。いま国立大学の学費は何十万円もかかるのでしょうけど、その当時は学費が年間9千円と、とても安かったんです。ひと月家庭教師のアルバイトをすれば1万円もらえましたから、親から一銭ももらわずに学校にも行けたし、学生生活のなかで何でもできました。
 卒業後25年間、教員生活を送りました。中学校の教員をスタートに、その後小学校の教員免許も取り、多古、浦安、市川と千葉のあちこちの小学校と中学校に勤めました。私が勤めたころの浦安は「べか舟」(小さな木造船)の並ぶ漁師の町で、今のように大きく発展するとは思ってもみませんでしたね。

―運動とのかかわりについて教えていただけますか?
 私は60年安保の世代で、国会前でのデモもやりました。そんな時代でしたから、組合に入るのも当たり前だと思っていました。
 学校の先生になってからはずっと組合員でしたが、市川に勤めていたときに、主任だった石井和代先生に「村上さん、やってみない?1年間でいいから」と勧められて、執行委員になったのが皮切りです。この石井さんは今年、椋鳩十児童文学賞を歴代最高齢の90歳で受賞された方なのですが、お祝いの電話をしたら「私の一言で、村上さんの人生を変えてしまったね」って仰っていました(笑)。しかし、私の素質に合っていたのでしょう。それからも女性部の副部長・部長、そして副委員長に就きました。
 そのころ市川市教職員組合は、市川市議会に組織内から議員を出していました。前任の方が引退されるということで、断れない性格の私が後継者となったんです。47歳のときでした。落選しても元の職場に戻れないので、これは冒険でした。でも、社会党が元気な時代でしたから、高位当選を果たすことができました。市議会議員を3期、それ以後は千葉県議会議員を2期務め、合計20年の議員生活を送りました。また、この間にI女性会議の会員としての活動にもとりくみ始めましたね。

―教員生活、議員生活を経て、地域でのとりくみを精力的にすすめられていますね。
 地域でも、議会でも、教育と女性、そして福祉を三本柱にして活動してきました。
 子どもや女性の権利・平等だけではなく、障碍のある人も人間らしく生きていける社会・環境づくりをめざしてきました。バリアフリーの検証にはとくに力を注いできました。平和の課題にもとりくんできました。憲法については、第1次安倍政権のときに改憲問題が浮上してからとりくみを強めてきました。
 福島第一原発事故によって、千葉県内には放射性物質が多く検出された「ホットスポット」ができています。この間、「脱原発市川市民の会」を立ち上げ、地域で放射線量の測定や学習会などのとりくみをすすめてきました。福島現地集会にもバスを仕立てて参加しました。

―第2次安倍政権が成立して以降、改憲への動きが強まってきていますね。
 現在の自民党の改憲草案はお話になりません。9条(平和条項)や96条(改憲条項)だけの問題ではありません。国民の義務規定が増え、「家族が助け合わなくてはならない」なんて余計なお世話です。自己責任、「自助」・「共助」の強調の一方で、「公助」が消えています。これでは社会福祉の切り捨てです。こうした改「正」は、男尊女卑・家父長制の復活へとつながっていきます。
 「憲法はアメリカの押しつけだ」などとも言っていますが、憲法の制定過程を見れば押しつけでも何でもありません。もし憲法を押しつけだと言うのなら、原発やTPPこそ押しつけでしょう。そして9条改憲にしても、朝鮮戦争のときに日本を共産主義の防波堤にしようとして警察予備隊を設置したアメリカの思惑から始まったものであって、これこそ押しつけではないでしょうか。
 教育基本法の改悪もそうですが、愛国心を植えつけて、お国のために命を投げ出せる人間づくりを狙っているのでしょう。高橋哲哉さんの『教育と国家』(講談社現代新書)によると、教育課程審議会の会長だった三浦朱門は「できん者はできんままで結構」「戦後五十年、落ちこぼれの底辺を上げることにばかり注いできた労力を、できる者を限りなく伸ばすことに振り向ける」「限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養っておいてもらえればいいんです」などと言っています。1%のエリートを養成し、それ以外はお国の言いなりになる子どもをつくればいいということですね。
 こうした動きはかなり長い時間をかけてじわじわとすすめられてきました。教育における憲法とも言うべき教育基本法が軽んじられ、学習指導要領の改定のなかで、どんどん教育の中身が変えられてきています。

―「教育再生」などと叫ばれていますが、教育の現状をどうお考えになりますか?
 教育の現場には教員の多忙化、勤務の長時間化があります。教員のゆとりの問題は子どもたちに大きな影響を与えます。精神的疾患による休職も増えているようですね。
 いじめも問題になっています。ストレスがたまっているとか、非常に忙しいとか、人間らしい暮らしができないなかで、その不満のはけ口としていじめが生まれるのだと思います。
 私自身の体験では、ひどいいじめがあったという記憶はありません。職場の人間関係も和やかで、放課後には子どもたちが職員室に遊びにくる光景がよく見られました。そうした教員や子どもたちのコミュニケーションは大事なことだと思うのです。いじめ解消だ、教育再生だとよく言われますが、それよりもまず、人間らしい生活のできる時間を返せ、と言いたいですね。考える時間、ゆとりをもって動ける時間、仲間をつくれる時間。そういう時間が持てない、忙しいということが、その「忙」の字のとおりに、人間の心を亡ぼします。

―女性の立場からこの間の政治の動きをどうご覧になりますか?
 いま「女性手帳」が問題になっていますが、こうしたものの根底にあるのは、「産めよ増やせよ」です。女性を、子どもを産むための道具扱いするものです。女性を性のための道具扱いする橋下発言も同じ発想です。こうした動きの先にあるものは女性だけではなく、すべての人間を道具扱いする社会です。  人気取りのためのきれいな言葉に踊らされてはいけません。「抱っこし放題3年間」、育児休業を3年間に延長するなどと言いますが、今の状態でそれをやれば女性は復職できなくなってしまいますし、そこには子どもは女性が育てるものだという前提が隠されています。  女性も、男性も、ともに働き助け合って家庭を築いていこうという、女性差別撤廃条約をはじめ、そうした立場に立ってとりくんできたにもかかわらず、また戦前帰りのような政策を打ち出してきているということです。そこにあるのは、社会進出を勝ち取ってきた女性をもう一度家庭のなかに押し込めて、介護も育児もやらせれば社会福祉を縮小できるという、男性中心的な考え方にほかなりません。

―村上さんは今年の4月から、平和フォーラムの副代表に就任されました。平和フォーラムへのご意見などありましたらお願いします
 平和フォーラムがとりくんでいる内容は、これまで私が考えてきたこと、とりくんできたものと同じものと言っていいかと思います。平和フォーラムの運動は、いま日本でもっとも真っ当なものだと思いますし、こうした運動をもっともっと、広げていかなくてはなりません。私自身、この運動に前向きな気持ちでとりくんでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

〈インタビューを終えて〉
 千葉の市川市で「平和フォーラムとして憲法の話をしてほしい」、そんな呼びかけで出かけて行った先に村上さんがおられました。市議、県議通算して20年、地域社会とのしっかりとしたつながりがあります。いつもにこやかな笑顔の向こうに、話してみると安保世代の社会を見つめる姿勢を感じました。平和フォーラムをよろしくお願いします。
(藤本泰成)

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第2回憲法問題連続学習集会から
安保条約こそアメリカの押しつけ

第2回憲法問題連続学習集会が5月22日開かれ、ルポライターの鎌田慧さんと名古屋学院大の飯島滋明准教授の講演を受けました。講演要旨は以下です。

鎌田慧さん─自民党改憲案には何の理想もない


 50%を超える意見を採用するのが民主主義だろうか。日本人は、このような発想とは違う話し合い-「寄り合いの民主主義」を古くから採用してきたのではないでしょうか。意見が分かれ、対立した時、お互いの意見を尊重し譲りあう「ムラ社会の民主主義」というものが、この国の風土に根ざした民主主義ではなかったでしょうか。「誰もいないところで、暗夜ひとり胸に手を当て、私の家は三代にさかのぼって、少しも不正をしたことはないという人は申し出て下さい」と。宮本常一さんが書かれた『忘れられた日本人』を読んでみてください。「若い者が大きな声を出して自説を言うが、そんなにとき、年寄りは若い者に自分の足元をみてものを言いなさい」と。それが社会を構成する者同士の民主主義であると説いています。過半数の意見を採ることは正しい選択でも、民主主義でもないということです。
 大江健三郎さん、澤地久枝さん、そして私の世代は、憲法の青空が身に沁みています。憲法を否定されることは自分を否定されるような思いです。自民党改憲草案の「前文」は何の理想も書いてないではないですか。それに対し、「憲法の前文」は、素晴らしい理想が書いてあります。しかしその理想は、いやこの憲法全体は、日本の経験だけでつくられたのではありません。第二次世界大戦を経験した世界の知性が集約されたものです。世界的な反ファシズムの成果が日本国憲法に実っているのです。そしてこれをほとんどの日本人が受入れてきたのです。
 憲法はアメリカが押し付けたと安倍首相は言うが、いまアメリカが押し付けようとしているのは集団的自衛権ではないですか。「自衛」ということについてすら、戦後の保守政治家も懐疑的でした。吉田茂首相は「国家の正当防衛すなわち自衛権というものを認めることは有害であると考えます。正当防衛の名のもとで戦争が始まったのです」と国会で発言しています。「日本を取り戻す」と安倍首相は言っているが、軍服の日本を取り戻す、戒厳令の社会を取り戻すと言っているに等しいのです。安倍、橋下、石原、知性の無い政治家が大きな声を出す、これが今日の政治の恐怖です。戦争が文明を破壊する。余っていた戦争の道具であるウランをアメリカが売りつけようとして日本の原発は始まった。文明と戦争が相容れないように文明と原発も相容れないものです。

飯島滋明さん─オスプレイの配備は憲法違反


 よく現憲法を「アメリカによる押しつけ」と言いますが、日米安保条約こそ実態的にアメリカの「強制」によってつくられた条約です。この条約によって侵害されているものこそ主権の侵害と言わなければなりません。沖縄で起こってきた多くの現実をみてください。米軍ヘリが突如大学に墜落し、警察権力もおよばないところで事故現場をしきってしまう米軍。沖縄だけではありません。1977年に横浜緑区に米海軍の艦載機が墜落しました。3歳と1歳の子どもが命を奪われ、重症をおった母親も亡くなりました。父親はせめて葬式の日には米軍機訓練を止めるよう求めていましたが、聞き入れられることはありませんでした。これらの事件を主権侵害と言わずにどのように言うのでしょうか。
 安保条約の成立は、形の上では日本がアメリカにお願いして締結されているように思われていますが、実質上、アメリカの強制によって出来た条約です。このような背景から、安保条約の条文には「自国の憲法上の規定及び手続に従って」と書いてあります。
 安保条約が憲法上許されるのかということを問う裁判がありました。砂川事件です。この裁判の判決が、鋭い指摘をしました。一審の伊達裁判長の判決(1959年3月)は、安保条約とその運用は憲法違反だと断じたのです。アメリカはこの判決に動揺しましたが、公式にはコメントはしないという立場でした。しかし駐日大使のマッカーサー二世は、当時の藤山愛一郎外務大臣や最高裁判所の田中耕太郎長官に直接会って裁判の干渉を行っています。司法権にさえ介入した事実です。領土問題で「主権」を騒ぎ立てていますが、このような事が主権の根幹にかかわる侵害なのではないでしょうか。また、オスプレイは象徴的な問題なのです。憲法13条は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については...最大の尊重を必要とする」と定められています。環境権と言われる権利の根拠もここにあります。また、25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれており、これも良好な環境を享受するための根拠と考えてもいいでしょう。オスプレイの配備は憲法が示している環境権と生存権を脅かしています。オートローテーション機能を持っていない機体、爆音や低周波音をまき散らして妊娠中毒などの被害を起こしているオスプレイはそれ自体が憲法違反の存在です。

・砂川事件現東京都立川市にあった米軍基地の拡張に反対したデモ隊の一部が、基地境界柵を壊し、基地内に立ち入ったとして、7人が安保条約に基づく刑事特別法違反で起訴された事件。東京地裁は全員の無罪を言い渡したが、最高裁はこれを破棄し、最終的には全員の逆転有罪が確定した。

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日本の右傾化を阻止する取り組みを
橋下「慰安婦」発言と教科書問題
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会相可文代

橋下発言が意味するもの
 5月13日、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)は日本軍「慰安婦」問題について発言し、批判の集中砲火をあびた。発言はおおむね次の3点にまとめることができる。  (1)日本軍が「慰安婦」を「強制連行」したという証拠はない。  (2)戦争と軍隊には「慰安婦」はつきもので、日本だけが特別に批判されるのはおかしい。  (3)沖縄米軍は女性暴行事件をふせぐために「風俗店」を利用してほしい。  国内外からの厳しい批判に、橋下市長は(3)については撤回し謝罪したものの、(1)(2)については今も撤回していない。  しかし、橋下発言はすべて誤りである。(1)についていえば、女性たちを騙して無理やり「慰安婦」にさせ、戦場を連れまわしたことは「強制連行」以外のなにものでもない。(2)については、日本軍が組織的に設置し管理していたという点において、世界の戦争史上例をみない。  橋下発言は戦争と性に関する誤った認識、女性の人権を踏みにじって平然としている感覚など、すべてにおいて許されるものではない。だが、問題は今なぜこのような"妄言"が語られるかにある。現在橋下発言ばかりがクローズアップされているが、(1)(2)については安倍首相や自民党が一貫して主張してきたことである。橋下市長は「河野談話」「村山談話」の見直しをもくろむ安倍首相を援護射撃したのである。  そもそも橋下市長にしろ安倍首相にしろ、世界中のひんしゅくを買いながらなぜ躍起となって「強制連行」を否定するのか?それは軍の責任つまりは国家の責任を回避し、過去の侵略戦争を正当化したいからである。安倍首相は昨年末の衆議院総選挙で「日本をとりもどす」と連呼した。戦争のできる「強い日本」を取りもどしたい、そのために歴史を歪曲し、憲法を改悪し、「戦争のできる国」をつくることが彼らの真の目的である。

着々と進められている教科書改悪


橋下発言への抗議集会(大阪市役所前5月24日)
 5月28日、自民党の教科書検定見直し部会は、東京書籍、教育出版、実教出版の社長らを呼びつけ、「南京虐殺」「慰安婦」「領土」「原発」などについて「記述が偏っている」と圧力をかけた。教育基本法と学習指導要領を改悪したものの、思うように進まない「愛国心教育」にいらだった彼らは「近隣諸国条項」の撤廃、教科書検定の強化、教科書採択における首長の権限強化など、2015年の中学校教科書改悪のための布石を着々と打ってきている。一方では「つくる会」系教科書の採択をふやし、他方では他社の教科書を「つくる会」系教科書にかぎりなく近づけさせることが企まれているのである。
 いくら憲法を変えても国民が戦争に行くことを拒否したら意味がない。それゆえに憲法を変える前から子どもたちを"洗脳"し、「お国のために」喜んで命を投げ出す覚悟を植えつけようとするのが教科書の改悪であり、「愛国心教育」にいそしむ教員の育成である。この間「日の丸・君が代」の強制に反対する教員は処分し、「評価制度」という待遇差別によって教員をコントロールすることも強化されてきた。大阪では維新系の首長により教育委員の入れ替えがおこなわれ、2015年には育鵬社や自由社などの教科書を採択するための環境が整えられつつある。また、「ピースおおさか」から戦争での日本による加害展示の撤去、近現代史歪曲博物館建設の動きもある。学校の内外で子どもたちの"洗脳"をおこなおうとしているのだ。

 今、私たちに問われているのは日本が再び侵略と戦争への道に進むのを阻止し、世界の、とりわけ東アジアの平和を実現することである。幸い、橋下市長と安倍首相については国際的にも厳しい批判が起こっている。国連は「慰安婦」について教科書に記述することを求めた。私たちは橋下発言に対する批判を一過性のものにすることなく、国際的な平和と人権を求める人々と連帯して、日本の右傾化を阻止する大きなうねりをつくりださなければならないだろう。
(おうかふみよ)

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各国の研究者や活動家で国際シンポジウム開催
韓国・メキシコの経験から見えるTPP問題
単なる自由貿易協定でなく、主権の侵害もたらす

法制度の変更が迫られる韓国
 米国などが進める環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に対し、安倍晋三首相は3月15日に参加表明を行い、4月に交渉参加11ヶ国は日本の参加を承認しました。米国議会での承認が必要なため、7月下旬のマレーシアでの交渉から日本が参加する見込みです。
 しかし、すでに多くの分野では交渉が進んでおり、10月の大枠合意をめざすなかで、日本は既に合意された事項すべての受け入れを求められます。そのため、農産物の関税の例外化など、日本の主張を反映することは極めて困難と言われています。また、TPPは農業問題だけでなく、食の安全、医療や公共サービス、労働、金融など、広範な「社会的共通資本」に大きな打撃を与えることが予想されます。
 こうした状況の中、平和フォーラムは関係団体とともに、5月下旬~6月初めに、アメリカやニュージーランド、韓国、メキシコの運動団体代表や研究者など6人を招聘し、TPP問題の国際シンポジウムや各地での集会を開催してきました。中でも、TPPのモデルといわれる、米国との自由貿易協定(FTA)発効から1年が経った韓国や、20年前に米国とカナダ、メキシコの間で締結された「北米自由貿易協定」(NAFTA)によるメキシコ社会への影響についての報告が注目されました。
 韓米FTAは、韓国市民の大きな反対を押し切って、昨年3月に発効しました。広範な団体が結集した「韓米FTAに反対する国民運動本部」の共同代表を務めるパク・ソグゥン(朴錫運)さんは、「これは単純な貿易協定ではなく、国家主権を侵害し、韓国の法律体系を米国化するものだ」と指摘。「政府は『輸出増加』を強調したが、逆に前年より減り、雇用も増えていない。政府が大々的に宣伝した『明るい未来』が虚像であることがはっきりした」と厳しく批判しました。
 韓国のキム・ジョンウ(金鐘佑)弁護士も、韓国の経済自由区域内に米国の法律によって設立・運営される病院が認められ、混合診療も開始されていることや、温室効果ガス削減のために検討された二酸化炭素排出の多い自動車への課税が、米国の自動車業界の圧力で制度導入が遅れたことなど、「すでに多くの法律の変更を迫られている」と報告しました。

所得大幅減で貧困が進むメキシコ


TPPをとめる!国際シンポジウム(5月30日・連合会館)
 NAFTAの問題を追求している、メキシコの労働組合活動者のマリカルメン・リャマスさんは、「NAFTAによって様々な被害が現実化している。労働者の実質所得が低下した。かつては一家は1人の労働で蓄えたものが、今では3人が働かないと食べていけない。食料主権も奪われた。メキシコはかつてトウモロコシの輸出国だったが、NAFTAで米国から安いトウモロコシが入り、農家は失業し、国内外への移住を余儀なくされた」と、厳しい現実を報告しました。
 さらに、「恩恵を受けたのは食料の輸出入業者や一部のビール会社、テキーラ製造会社だけだ。政府はNAFTAによって雇用創出、所得向上を実現すると約束したが、現実は真逆だ。日本はこの苦い経験をきちんと勉強し、TPP交渉参加を慎重に考えてほしい」と訴えました。
 日本の中でも、幅広い分野の研究者ら900人でつくる「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」では、5月下旬にTPPの影響に関する独自試算を発表しました。農業に関連する商業や製造業、運輸業などの生産額は7兆700億円減少、さらに農林水産物の生産も3.5兆円減少し、計10兆5400億円のマイナスと算出しました。そのため、国民総生産(GDP)は、政府試算とは逆に、4.8兆円減少し、雇用も農林水産業で146万人、関連産業でも44万人が失われ、計190万人の雇用が減るとしています。韓国やメキシコの現実は、こうした試算の数字を裏付けているようです。
 シンポジウムの中で、国際貿易交渉の問題点を調査している米国の市民団体「パブリック・シチズン」のローリー・ワラックさんは、米国の通商代表部の代表が大手金融機関出身であることなどを指摘し、「TPPは貿易交渉の場を借りた大企業の侵略だ。どの国の人々にとってもよくない交渉だ」と強調しています。

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被爆68周年原水禁世界大会に向けて(1)
不安定に向かう世界
危険な安倍政権の対応

軍事でつながる日本と米国、核兵器の削減を
 今年の原水禁世界大会では多くの課題が存在しています。誤った歴史認識と軍事的強硬論で対応する以外の政策を持ち得ない安倍政権は、武力紛争にまで発展しかねない尖閣諸島問題で、中国との対話は当面不可能といえます。
 日本に核の傘を提供する米国で、尖閣諸島問題の棚上げ論が強まる中で、6月に、米中首脳会談が行われ、当分、アジアの安定を図ろうということで一致しました。
 米中の狭間で孤立していた日本は、直後の安倍・オバマ電話会談で、米の関与政策は変わらないとの発言を米側から引き出し、日本の孤立は回避された形ですが、その代償は大きく、米軍普天間基地の早期の名護市辺野古への移転を約束せざるを得ない状況に追い込まれています。米上院は海兵隊のグアム移転が遅れていることにしびれをきらして、移転費用を削除するなどの措置をとっています。私たちは今秋以降の、安倍政権の沖縄への強硬策を警戒しなければなりません。一方の米国は経済的な理由から、これまでペルシャ湾に配備していた空母を2隻から1隻に減らしましたが、シリア内戦で、政府軍が反体制派にサリンガス攻撃を行ったとの理由で、シリア反体制派に武器援助することを決定しました。これは軍事参加と同じことであり、すでに始まっている中東でのシーア・スンニ両派の闘いを、さらに泥沼の戦争へと進める愚挙といえます。

中東での核拡散
 背景にはイランの支援するシリアを反体制派に転換させ、イランを孤立させることによって、イランの核武装化を阻止する狙いがあると考えますが、いま求められているのは2010年のNPT再検討会議で採択された、中東非核化会議の開催です。中東情勢は流動的で、イスラエルには核兵器を破棄する考えもなく、中東非核化会議への参加も拒否していますが、現在の姿勢を続ける限り、いずれ中東で核兵器保有の動きが強まり、さらなる混乱の時を迎えるでしょう。
 第2期目を迎えたオバマ米政権ですが、結局、軍産複合体やイスラエル問題などが足かせとなっていることを露呈しました。本来なら、核兵器の被害を受けた日本が積極的に核兵器廃絶へと行動しなければならないのですが、安倍政権にはそのような考えはありません。2年後に核不拡散条約(NPT)再検討会議が開催されますが、私たちは日本、世界の運動と連帯した運動を続けなければなりません。とりわけ米ロに対しては、大幅な戦略核兵器の削減を求める必要があります。しかし、まず私たち自らが、政府に非核3原則の法制化を含む非核政策を求めなければなりません。

原発事故対策の徹底求め、原発輸出を止めよう
 福島第1原発の状況は、いまだ収束にほど遠い状況です。現在も大量の放射性物質が環境に漏れ続け、さまざまな形で、周辺住民を含めて、広範に被害を広げています。心配された甲状腺への影響も少しずつ明らかになりつつあります。
 さらに最も危惧されるのは、福島第1原発で作業を続けている労働者です。情報をすべて明らかにさせるとともに、放射線管理、将来に渡る健康調査と補償体制が確立されなければなりません。マスコミでは原子力ムラの人たちが勢いを盛り返してきたようで、大飯原発運転差し止め訴訟で争われている「制御棒落下の時間差」問題など、ほとんど報道されません。また韓国の原発も問題が多く、連帯した運動が求められます。
 安倍首相は中国・韓国などとの対話ができないなかで、中東諸国を歴訪して、積極的に原発売り込みを行いました。6月の英国でのG8サミットにかこつけて、東欧諸国を回り、原発売り込みをはかっています。「日本は福島第1原発事故を体験しているから、日本の原発は安全だ」と主張しています。
 しかし、福島原発事故原因から地震説が排除できない中での、原発売り込みはあまりにも無謀というべきでしょう。売り込み先にはトルコやベトナムなどの地震国が含まれます。さらに原発から大量に作り出される放射性物質をどう処理するのかもはっきりしていません。万年単位で放射線を出し続ける放射性物質を作り出す原発の売り込みは、戦争する各国に兵器を売りつける「死の商人」以上に悪質といえます。

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日本政府による原発輸出攻勢を絶対に許さない
ノーニュークス・アジアフォーラム宇野田陽子

安倍首相自らが売り込みを行う
 毎日のように原発輸出に関連する記事が新聞の一面を飾っている。4月末には安倍首相が中東を歴訪し、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)との間で原子力協定を締結、サウジアラビアとも締結に向けた交渉を進めることで合意した。5月末にはインドのマンモハン・シン首相が来日、日印原子力協定締結交渉の本格再開が確認された。6月に入ると、今後の経済政策における成長戦略の柱として原発などの「インフラ輸出」を推進することが明らかにされ、ヨルダンなどを念頭に日仏の原発輸出協力も合意された。6月中旬には首相自ら東欧4カ国を訪問して原発を売り込むという。まさに、日本政府による原発輸出は前のめりの暴走の域に入ったようだ。
 安倍首相は中東を歴訪した際に、「地震と事故を経験したことで、日本は世界一安全な原発を提供できる」などと発言している。このような詭弁を弄して、一部の企業の利益のために行われる原発輸出は、いわば最悪の公害輸出ではないのか。
 日本が積極的に原発を売り込んでいる相手国を見ると、見過ごせない問題が山積している。ベトナムは、一党独裁で言論や集会の自由がない中、汚職がはびこっており、ODAで建設中の橋が崩落するなど建築物の安全確保にも問題が大きく、人材不足を懸念する声も根強い。しかしすでに実施可能性調査に経産省から約20億円がつぎ込まれており、民主的な議論のない中で日本は利益追求に走っている。大事故が起きれば、インドシナ半島全体に汚染が広がる危険性がある。
 日本政府がにわかに売り込みを強化し始めた中東諸国はどうだろうか。トルコは日本と同じく地震国であり、ヨルダンでの原発計画は砂漠地帯で冷却水確保が難しいので下水処理場から取水して原子炉を冷却するとの方針が問題視された。サウジアラビアにせよ、UAEにせよ、情勢が極めて不安定な中東諸国に原発を輸出することを、テロの可能性や核拡散の危険性と切り離しては考えられないのではないだろうか。

NPTに入らないインド、台湾にも


インド・クダンクラムでの原発建設抗議行動
 そのことは、インドとの原子力協力についても言える。インドは核拡散防止条約(NPT)に加入しないまま1974年に核実験を行い、1998年にも再度の核実験を強行した。これらの核兵器は、カナダから導入した原発技術を用いて開発されたものであった。
 それ以来インドとの原子力関連貿易に対して厳格な規制を課してきた国際社会は、2000年中頃からアメリカがインドへの原子力協力へと舵を切ったのをきっかけに、インドへの原子力協力を容認はしないが「加盟国が独自の方針で対応する」流れとなった。
 インドの側を見ると、今後核実験をしないと約束もしていないし、国際原子力機関(IAEA)による核関連施設への査察を部分的にしか受け入れず、原発増設と核兵器の増産にひた走っている。このような状況で、東芝、日立、三菱などの原発企業を通じて日本がインドへの原発輸出に関与することは、インドの核兵器の増強に加担することになりかねない。日本が進んでNPTをないがしろにする必要がどこにあるのだろうか。
 思えば、日本初の原子炉輸出となった台湾第四原発のケースにおいて、すでに日本は「経済」のためなら核拡散の危険性を軽視する態度であった。1996年に行われた第四原発の入札でジェネラル・エレクトリックが落札、日立と東芝が原子炉を製造することとなった。
 このとき、NPTに加盟していない台湾に原子炉を輸出することについて、核不拡散のための保障措置はどうなるのかを政府に問いただすべく質問主意書を提出した。政府の返答は、「交換公文を取り交わしたので問題ない」であった。
 世界中で原発建設計画がひしめいており、米、仏、露、日など世界の原子力産業が手を組んで世界中の原発市場を分け合っている。福島原発事故を経験した私たちは、原発事故がいったいどれほどの災厄をもたらすのか、世界に向かって、耳をろうさんばかりに大声で叫ぼう。そして、どの国に対しても原発輸出という不正義を絶対に許さない闘いを日本国内で強力に作っていこう。
 輸出先となる国と輸出元となる国の双方の人々と、より強固なつながりを創り出そう。世界中の仲間とつながりあえるか、いま私たちが問われている。
(うのだようこ)

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世界の核兵器、未だに1万7000発
日米の運動で米海軍戦術核ゼロに


 核兵器の数を追い続けている専門家として著名な「米国科学者連合(FAS)」のハンス・クリステンセンと「自然資源防護協議会(NRDC)」のロバート・ノリスによると、現在世界にある核兵器の数は、約1万7000発です。1986年の約7万発という数と比べると、相当少なくなってはいますが、オバマ大統領の2009年4月のプラハ演説の影響は数の上ではあまり見られません。
 上の表は、FASのサイトにクリステンセンが載せているものです。世界の核兵器は、実際に配備されているもののほか予備などを含む「軍用保有核」が約1万200発、退役して解体待ちのものを入れると、総数約1万7300発という推定です。解体待ちの状態の退役核は、米国が約3000発、ロシアが約4000発です。米国は他に、核弾頭の芯の部分(プルトニウム・ピット)を1万5000個以上保管しています。
 世界の「保有核」1万200発のうち、約4400発が運用状態にある「配備核」です。このうち、米ロ合わせて約1800発が数分で発射可能な「高い警戒態勢」(ハイ・アラート)状態に置かれていると、二人は見ます。両国の核兵器は、今も一触即発の状態にあるのです。英仏も、レベルは下がりますが、短時間で使用可能な状態の核兵器を維持しています。この4ヶ国を合わせると2000発近くになるこの範疇の核弾頭をなくす事が重要です。

ロシア、1550発の新START規定達成


米ロ新START条約の戦略核データ交換( )内は上限
 ロシアは、2018年までに戦略核弾頭を1550発以下にするとの新戦略兵器削減条約(新START)の規定を、同条約が発効した2011年2月5日の時点ですでに達成していました。これは、新条約の数え方のためでもあります。核搭載可能重爆撃機は各1発搭載と計算する新ルール(実際は1機に6~20発搭載可)の計算方式を使うと、2010年初頭の米ロの戦略核は、それぞれ次のように減るとクリステンセンが指摘していました。米国2100→1650。ロシア2600→1740。いずれにせよ、米国は削減の速度を上げるとともに、ロシア側より圧倒的に多い配備運搬手段(ミサイルや重爆撃機)の数を減らす措置を講じるべきです。

日米の運動でゼロとなった米海軍戦術核


米国の保有核1945-2010年
  米国の配備核は2012年とほぼ同じで、2010年と比べても大差ありません。変わったのは、配備戦術核の数が500から200に減ったことです。これは、海軍用の核付きトマホーク用弾頭300発が退役となったためです。これらのミサイルは、1991年9月27日にブッシュ(父)大統領が、水上艦船及び攻撃原潜から核兵器を撤退すると宣言した後、陸上保管されていました。
 2009年、オバマ政権の核態勢の見直しに関連して、トマホークを維持しないと日本が不安に感じ、核武装すると主張する勢力が日本の外交官による「維持要請」を利用しているとクリステンが警告しました。これを受けた日米の運動やマスコミ報道の結果、岡田克也外相(当時)は、同年12月24日、米国務・国防両長官に書簡を送り、そのような要請があったとすれば「それは核軍縮をめざす私の考えとは明らかに異なる」と伝え、退役決定に重要な役割を果たしました。
 2012年10月のパンテックス工場報告書が、トマホーク用核弾頭W80-0の解体終了と記しています。日本に寄港する艦船に載せる核弾頭はなくなりました。戦略核を積んだ戦略原子力潜水艦は、寄港しません。残る戦術核は、欧州配備のB61型核爆弾約200発(+米国内予備300)で、5ヶ国(ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ)の6基地に配備されています。
 オバマ大統領は、6月19日にベルリンで米ロの配備戦略核を1000発ずつに減らそうと提唱しました。米国に対し、核の唯一の役割を核攻撃の抑止に限り、欧州ミサイル防衛面でも譲歩するなど、迅速な核軍縮に向けて動くよう求めることが必要です。核態勢の見直しの際に、「唯一の役割」策を支持する岡田外相がいたのは幸運でした。この考えを日本政府のものとするという課題が残っています。
(田窪雅文:ウェブサイト核情報主宰)

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原子力体制の維持は大きなマイナス
電気料金と税金で延命をはかる東京電力
東電株主代表訴訟原告 堀江鉄雄

 3.11から2年以上たっても、未だにその「事故責任」は誰も取っていません。事故の損害と賠償によって「破たん企業」となった東京電力は、会計規則、市場ルールを曲げ税金の投入により無理矢理「存続」しているのです。会社更生法による「清算」をしないため、事故の原因である「東電体質」と「東電体制」も存続したままで弊害を起こしているのです。

東電が事故管理する限り「悪魔の連鎖」はいつでも起きる
 一番の課題は事故を収束させることです。3.11以降、あの「悪魔の連鎖」から原子炉内の温度が安定しているのは、特に有効な対策を取ったからではなく、全くの偶然であり、いつ「悪魔の連鎖」が起きてもおかしくない状況に変わりはありません。
 今も拡散している放射能、4号機の使用済燃料プール、ねずみによる停電、大量の汚染水と管理といった事態を見ても、事故を起こした東電には事故収束はできないのです。さらに、現場で働く被曝労働者の管理はずさんで、メーカー・ゼネコンの支配する6次、7次に至る下請けピンハネ体制もそのまま存続しています。

被害者への損害賠償は最小化


原賠機構による東電支援のしくみ
出典:日本経済再生のための東電解体(eシフト・ブックレット3)
 東電財務経営調査委員会は、当初の2年間で「要損害賠償見積額」を4兆5千億円、10年間で11兆円と少なめに見積り、「交付金」5兆円を用意しましたが2年間で被害者に渡ったのは僅か2兆円でした。
 これも「加害者」である東電が窓口で蛇口を絞めるからで、役所よりも役所と言われた東電の得意とするところです。請求するにも生活基盤の不安定な「被害者」は、苛立ち、疲労から気力を失い諦めへとなります。勝俣恒久東電前会長が枝野幸男官房長官(当時)に「賠償は任せなさい」と言った意味はここにあるのです。
 「賠償責任」は東電にある、と言っても実際には、損害賠償金は全額「交付金(税金)」で、東電は一銭も出していません。それどころか交付金を「前受け」し賠償金を「後払い」しているのが実態です。本来、毎日の生活費に困っている被害者を保護すべきなのに、被害者は請求から受取まで1年以上を要しています。支援機構法は「東電救済法」と言っても良い程で、こんなにも「被害者」と「加害者」を逆転させた支援法は他にありません。

損害賠償金の負担は国民と消費者に
 5兆円の交付金は、東電が機構から貰ったお金ですが、機構は国庫へ納付(返済)しなければなりません。この返済を「一般負担金」からすることにしました。この一般負担金は、東電を含む11社が機構に支払うものです。そして一般負担金は、経費処理するので電気料金に上乗せされることになっています。
 結果的に、東電の支払うべき「損害賠償金」は、交付金という「税金」で全額支払い、一般負担金という「電気料金」で国庫に返済されることになります。損害賠償金支払の実態は、損害賠償責任は東電ではなく国民と消費者にあることになります。こんな国家的詐欺を許せるのでしょうか。

利害関係者の責任が問われない
 東電が「存続」することで、会社(役員、社員)、株主、金融機関、メーカー・ゼネコンなど関連企業等の利害関係者は債権放棄などの責任を取らずに済んでいます。それどころか金融機関は「与信維持」と言いながら、裏で東電の破たんに備えて「社債」償還、貸付金の回収あるいは無担保の貸付金を優先順位の高い「私募債」へ乗り換えています。
 東電の破たんは、原子力産業全体の1/3の破たんで、原子力体制の崩壊を意味していました。そこで、東電の存続、維持は原子力体制の維持となったのです。再稼働、電気料金値上げ、原発輸出は、原子力産業延命のための手段ですが、日本の将来にとっていかに危険なことなのか、日本経済にとっていかに負担となるのか、日本のエネルギー改革をいかに遅らせることなのか─目先の利益を追求したことで起きた3.11を繰り返す事になります。

東電の取締役に責任を取らせる
 まずは事故責任を取らせることです、重大事故があれば、翌日には検察が家宅捜査に入ります。何故、検察は直ちに強制捜査に入らなかったのでしょうか。私たちは「東電株主代表訴訟」を起こし、その過程でテレビ会議録画の保存・公開、刑事告発の資料提供など一定の成果を上げながら、いよいよ取締役一人一人の「責任を立証」するという非常に困難な課題に取り組んでいます。次回、第8回口頭弁論は9月26日10時半になります。是非、皆様の傍聴、報告会への参加などの支援をお願い致します。 http://tepcodaihyososho.blog.fc2.com/
(ほりえてつお)

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《各地からのメッセージ》
「前年より充実した活動を」めざして努力
埼玉県平和運動センター事務局次長中島修


県内の幅広い団体が参加して成功した脱原発集会
(2012年10月8日、さいたま市)
 埼玉県平和運動センターは、99年12月に結成されました。現在は官公労6単産、民間11単産・単組、民主団体2組織、5地域組織が結集しています。「食とみどり、水と環境を守る県民会議」を除く平和フォーラムの運動領域に加え、部落解放共闘の事務局も担っています。
 私たちの活動の大きな転機となったのは05年11月にさいたま市で開かれた第42回護憲大会です。関東ブロックをはじめ全国のみなさんに大きな協力をいただいての開催でしたが、開会総会には4千人が結集して大きな自信を持つことができましたし、改めて「地域からの取り組みの重要性」を実感できました。大会を受けて地域組織も生まれました。
 事務局としては「前年よりは一つは新しい企画を実施したり、より充実した活動を行おう」という姿勢で取り組んできました。他県の活動に学んで始めた「ヒロシマに学ぶ埼玉子ども代表団」は今年20回を迎え、"同窓会"-年齢差があるため、運営は難しいのですがーも2回開きました。個人会員制度を設けて10年目ですが、組合OBや自治体議員らを中心に、80人余りに入会していただいています。財政支援のお願いだけでなく、集会などの案内を送付し、運動面でも協力を受けています。また「Faxニュース」を月1回発行し、構成組織や希望する個人会員に送付しています。県独自の沖縄平和交流も14回実施しています。
 県被団協を支えるために原爆被爆者慰霊式や吉永小百合さんの朗読会を県生協連や県原水協などと共に開催してきましたが、この経験が「3・11」を受けた脱原発集会の成功につながりました。昨年10月8日に集会を開きましたが、2,800人が参加し、大きな成功を勝ち取りました。今秋にも同様の規模を目標に集会を開くための準備を始めています。
 もちろん課題も山積しています。組織上の問題でいえば、全国共通でしょうが、カネ・ヒトです。安倍政権が日本を危険な方向に誘導しようとしている今日、平和フォーラムをはじめ強固な大衆運動組織を築いていくことは何としても重要です。ともにがんばりたいと思います。

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【本の紹介】
詩集 わが涙滂々 原発にふるさとを追われて
小島力著 西田書店2013年刊


 本が出版されるということは、基本的におめでたいことだろう。しかし、その経緯を思えば一瞬心が曇る。しかし、その内容に触れ、やはりこれは多くの人に読まれるべきで、とりあえずここは「おめでとう」でよいのではないかと思い直すことになる一冊。本書を読み、そんなことを考える。
 著者は福島県葛尾村で、長年脱原発運動に携わり、詩作を行ってきたという。本書は2011年3月11日に発生した、東京電力福島第一原発事故後に書き下ろされた作品を含む詩集であり、『原発にふるさとを追われて』、『折々の山旅から』、『三十年前の作品から』の3章で構成されている。あとがきに「公刊をためらう私に『同志』としての立場で刊行をうながし」とあるように、編集者らの手に原稿が渡り、本書が出版されるに至るまで、著者の娘さんの尽力が大きかったという。
 福島原発事故が起こらなければ、この詩集が編まれることはなかったかもしれない。これが「出版おめでとう」が一瞬ためらわれる最大にして唯一の理由だが、東京都武蔵野市で避難生活を送る著者の視点から生まれた、豊穣の言葉の海に身を委ねることが出来ることを、詩や文学に関心のある一人の読者として喜びたいと思う。原発事故後の作品の印象が強い本書だが、30年前の作品に描かれた、原発の危険性に警鐘を鳴らし、また静物が語りだすかのような作品群も見逃せない。本書には現代詩にありがちな難解さは皆無で、それゆえに読者の心をまっすぐにゆさぶる。
 『五人のデモ隊』という詩が所収されている。2011年9月19日に、東京・明治公園で6万人の参加者を得て開催された集会のデモでのことが書かれたこの詩。あの「人々々の明治公園」で、「熟年五人がゆっくり歩いた」場面を思い浮かべ、熱いものがこみ上げてきた。私はスタッフとして、この集会に参加していた。立場上、つつがなく終わらせることに注力して、ややもすればなぜここにいるのか、ということを見失いがちになる私に、『五人のデモ隊』はたくさんの思いで運動が成り立っていることを再認識させてくれた。詩の力は偉大である。
(阿部浩一)

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被曝68周年原水爆禁止世界大会の日程

福島大会
7月28日13:00~17:00(福島県教育会館)、29日被災地フィールドワーク

広島大会
8月4日15:00~16:15折鶴平和行進、16:30~18:30開会総会(県立体育館)
5日9:30~分科会・ひろば・フィールドワーク(広島市内)
6日9:30~11:30広島大会まとめ集会(中国新聞ホール)

国際会議
8月5日13:30~17:00(アークホテル広島)

長崎大会
8月7日15:30~17:30開会総会(長崎ブリックホール)
8日9:30~分科会・ひろば・フィールドワーク(長崎市内)
9日9:00~10:00長崎大会まとめ集会(県立総合体育館)、10:15~11:00非核平和行進

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事務局の新スタッフ紹介(1)(2)

事務局の新スタッフ紹介(1)


 6月から事務局入りしましたルーキーの近藤賢(こんどうけん)です。とは言っても半世紀も齢を重ねてきたロートルでもあります。右を向いても左を向いてもろくでもない状況にあるなか、前向きなことをしなくては!「だめなものはだめ!」(その昔どこかで聞いたような)というかたくなさは維持しつつも、行動は柔軟にやっていくことを肝に銘じて、まっとうなロートルをめざそうと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局の新スタッフ紹介(2)


 はじめまして、朴承夏(パク・スンハ)と申します。全日本建設運輸連帯労働組合からの研修派遣という形で働かせてもらうことになりました。小学生の頃に先生から教わった平和憲法の理念が、いままさに危機を迎えていると思います。誰もが安心して生きられるような日本社会をつくるために、在日コリアンという立場から頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

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核のキーワード図鑑


日仏で原発推進、その背後には......

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