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ニュースペーパー2019年2月

2019年2月 1日

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(Photo Courtesy of High Flyer © 2018)

米国MOX計画の終了―プルトニウムはゴミとして処分されることに
 米国サウスカロライナ州のサバンナリバー核施設で進められていた、米国エネルギー省のプルトニウム混合酸化物燃料(MOX)利用計画の中核であるMOX加工工場の建設を終了する判決を、連邦控訴裁判所が2019年1月8日に下しました。エネルギー省の報告書(2018年4月)によると、MOX工場の建設・操業コストに関する2016年の見積もりは、560億ドル。計画の停止が決まった今後は、遥かに安価な方法で地下処分場に埋められる計画が進められます。プルトニウムは負の遺産であることが誰の目にも明白となりました。巨額の税金を投入して進められた計画の失敗責任がどう果たされるのかは不明ですが、中止の決定は、遅かったにしろ納税者の利益となるものです。一方、日本では48トンのプルトニウムを保有しながら、さらに再処理を進めて負の遺産、プルトニウムを増産する計画を進めています。
〈写真は建設中止したMOX工場(提供HighFlyer©2018、撮影12月16日)関連記事はこちらへ

インタビュー・シリーズ:141
多民族・多文化共生社会をともにつくろう!
移住連の山岸さん・崔(チェ)さんに聞く


【移住連】
 日本に住む移住者の権利を守り、その自立への活動を支え、多民族・多文化が共生する日本社会をつくるために全国で活動する諸団体や個人のネットワーク。1997年発足、2015年にNPO法人化した。
(左)山岸素子さん:理事・事務局長、(右)崔洙連(チェ・スウヨン)さん:事務局員

移住者と連帯する全国フォーラム・東京2019(画像をクリックするとパンフレットをダウンロードできます)

─移住連の正式名称と構成をお聞かせ願います。
山岸素子: 正式名称は「移住者と連帯する全国ネットワーク」です。1997年にネットワーク化したときは「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」の名称でしたが、2015年にNPO化したときに労働者ばかりでなく、結婚定住者や外国ルーツの子どもたちなどを含む、移住者という表記にしました。個人会員が約400名、団体加盟が100団体ほどです。

─日々の活動ではどんなことをやっていますか?
 山岸: 「つくる」、「つながる」、「つたえる」の三つが活動の柱となっています。「つくる」とは、政策提言やロビー活動のことです。外国人の管理・監視を強化する入管法改定に反対、技能実習法の制定やDV防止法改定などでのロビイング活動に取り組んできました。また、「現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する特別報告者」への情報提供、国際人権にかかわる諸条約の審査では、カウンターレポートを作成し、代表団をロビイングに派遣しています。また、これまでに何度か包括的外国人政策提言を発表し、各分野での提言活動を行っています。
 また、移住連に参加する各団体は外国人への権利侵害がはびこる中で様々な支援を行っていますが、どうしても個別対応では限りがあります。そのため、法制度の改善や現行制度の下でも運用面での改善を求め、定期的な省庁交渉を行っています。
 「つながる」とは、国内外での情報交換、経験交流、共同行動のためのネットワークづくりです。外国人移住者の人権擁護活動に取り組んでいる全国の様々なグループ・個人が、これまでの積み上げを結集してさらに大きな力にし、また地域での活動をより豊かなものにしていくための全国フォーラムとワークショップを隔年で開催しています。外国人が抱える様々な課題は、技能実習制度や労働者の権利をめぐる問題、医療・福祉・社会保障の問題、ジェンダーの問題、子どもの教育の問題、貧困の問題、ヘイトスピーチや差別の問題など多岐に渡ります。移住連には、こうしたテーマごとにサブネットワーク・部会等があり、これらのテーマ別の部会の活動が移住連でも重要なものとなっています。
 「つたえる」とは情報誌やSNS等での情報発信の取り組みのことです。情報誌は2か月に一回、関連情報やトピックなどを掲載。また、HP、ML活用、ツイッターなどのSNSも活用しています。

─お二人は、移住連にはどんなきっかけでかかわるようになったのですか?
崔洙連(チェ・スウヨン): 私が大学院生の時に日本人とフィリピン人との間に生まれた子どもたちの支援活動を行うNPO団体のJFC(Japanese-Filipino-Children)の活動にかかわったんですが、そのころ山岸さんと知り合いになりました。大学院が終わるころに就職活動をしていたころ、山岸さんからお誘いを受け、今年の4月から専従職員になりました。
山岸:私の場合、大学卒業後、NPOアジア太平洋資料センター(通称PARC:パルク)に就職し、当時、パルクが国内の外国人の問題に目を向けネットワーク化を始めていたことから、この活動にかかわるようになりました。その後、様々な団体で、現場支援の経験を重ねてきました。移住連には、結成当初からかかわっています。

─現在の移住者の実態は?
 山岸:現在、日本の在留外国人数はおよそ264万人、外国人労働者は128万人を超えています。外国人労働者のうち、問題となっている技能実習が目的で日本に在留している技能実習生の数は28万人を超えています。過酷な労働環境のもとで働かかされ、低賃金、賃金未払い、不当解雇、労災はずし、暴力、パワハラ等、労働法令違反や人権侵害の事例が多く、私たち支援する側も対応が追いつかない実態です。
 来日の際多額の手数料など借金してブローカーに支払っているので、簡単に帰国はできない。ひどい労働環境を訴えると、強制帰国させられるケースも多く、人権侵害に遭っても訴えられない。原則として実習先の移動が認められず、仕事をやめると在留資格を失ってしまうため、我慢せざるをえない。国会で失踪者が年間7000人を超えるとして議論になりましたが、失踪できる方がましで、失踪したくても失踪できない方のほうが多いのではないか。まさに奴隷労働、人身売買もまかり通る実態です。

─昨年の12月、多くの疑念や反対の声がありながら、入管法改定が強行されましたが、今後どうなりますか?
 山岸: 移住連としては、新たな外国人労働者受け入れに向けた入管法改定に対し、「今こそ包括的な移民政策を!」と訴えてきました。その概要は下記のとおりです。

  1. 多くの人権侵害を生み出してきた外国人技能実習制度を新たな受け入れ制度の入り口にしないこと。技能実習制度は直ちに廃止すること。
  2. 「特定技能1」「特定技能2」の区別を止め、家族帯同を認め、永住につながりえる在留資格を設けること。
  3. 技能実習制度の構造に酷似する受け入れ機関や登録支援機関などの仕組みを排除し、日本人と同一の賃金を保障するための体制を整備すること。
  4. 「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」の策定に当たっては、管理強化の体制を全面的に改めること。そのためには、出入国をつかさどる法務省には司令塔的役割を与えず、内閣府もしくは専門的省庁がその役割を担うこと。
  5. 日本人と平等の社会保障(健康保険・年金等)、日本語教育、子どもの教育等、生活者としての権利を保障し、非正規滞在者については日本社会とのつながりを考慮し、正規(合法)化を認めること。
  6. 国籍差別や人種差別の実態を踏まえ、移民基本法、差別禁止法を制定し、移民の権利保障の体制を整えること。
 これらの提言の多くは、今回の法改定では取り入れられていません。このことは、今回の労働者受け入れ制度は、これまでの日本政府の外国人労働者の「使い捨て」政策の延長でしかなく、問題を拡大させる懸念が大きいということです。ますます私たちの運動が必要とされます。

─ 一番必要なことは何ですか?
 崔: 様々な国からやってきた様々な文化を持つ移住者の方々と直接関わり、関係を築くと、多様な方々とともに暮らすことの良さが実感できますが、移住者と直接かかわる機会がない方々にはそうした良さが分かりづらいことが課題の一つではないでしょうか。移住者を「移民」という事象や「労働力」として認識してしまい、ここに暮らす社会の一員として見ていないように感じます。彼・彼女らと接し、つながりを持つような経験がとても大事になると思います。
山岸:やはり、単なる労働力としてではなく、一人の人間として社会に、職場に、受け入れることが大切ではないでしょうか。

─移住者の権利キャンペーン2020「ここにいる koko ni iru」の説明をお願いします。
 崔: これまでは運動の中心に外国人の当事者があまりおらず、日本人支援者中心に政策提言がつくられていく傾向がありました。真に求められている政策制度はどのようなものなのか、やはり当事者の意見が反映されることが重要だという声があって、このキャンペーンがスタートしました。
 移住者と多様なルーツをもつ人々の権利と尊厳が保障される社会、制度、政策をめざして、多くの人が参加し、意見を出し合う場をつくる、これが「移住者の権利キャンペーン2020『ここにいるkokoniiru』」です。
 このキャンペーンは、様々な集会やタウンミーティングを全国各地で開催し、移住者がすでに友人として隣人として、職場の同僚として「ここにいる」ことを発信し、移住者が何を求め、望んでいるのか、その声を吸い上げ、政策提言へ結び付けていくことを目的としています。このキャンペーンをかさねて今年6月の全国フォーラムにつなぎ、政策提言を発表する予定です。
山岸:全国フォーラムに向けてのプレイベントをいくつか重ねる予定ですが、昨年の12月15日も「国際移住者デー」としてイベントを開催しました。「すべての移住労働者及び家族の権利の保護に関する国際条約」を国連で採択した1990年12月18日が「国際移住者デー」です。昨年の12月15日に開催した時のグループワークショップの内容を報告します。
 この日もたくさんの移住者が参加しましたが、テーマは「であい」でした。具体的には、まずランダムに分かれたグループのメンバーで自己紹介をしたあと、一人が目隠しをして倒れるところを他のメンバーが支えるというアクティビティをする。これは自分がこれまで差別体験をして、つらい思いをしたことや、これまで支援団体に支えられてきたことがあることを感じ取る、そのアクティビティを通して、感じた不安や緊張、戸惑い、支えられるという経験、その支えの暖かさ、安心感、などなど...ワークショップを通して感じた様々な思いをシェアします。そして、最後に各グループが一枚の布にそうした経験や思いを表現して、全体で一つの壁画のような作品を作りあげる・・というものです。

─6月の全国フォーラムのことにも触れてください。
 崔: 最近では入管法の改定に関連して、外国人労働者の問題が大きく取り上げられていますし、また、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催で、東京が世界に開かれることになります。その開催を前に、改めて多民族・多文化共生社会について考える機会が必要ではないか...という思いのもと、全国フォーラム2019を東京で開催することにしました。できるだけ幅広い層の方々に参加してもらえるよう、様々な工夫をしています。また、プレイベントとして2月23日にはプレフォーラムを開催、そして全国フォーラムの前日には上野や大久保を訪問するフィールドワークを開催する予定です。6月の全国フォーラムへぜひご参加ください。

インタビューを終えて
 昨年の臨時国会は、入管法改正で揺れた。奴隷制度と批判される「技能実習生制度」を倍の10年に延長するに過ぎない改正、凍死、溺死、自殺などで3年間に69人の実習生が亡くなっていた。問われた安倍首相は「私には答えようがない」と述べている。人を人とも思わない、労働力としか見ない日本政府。移住連の役割はますます重要になる。多民族・多文化共生にむけて、6月の全国フォーラムに結集しよう!
(藤本泰成)

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普天間基地即時閉鎖は日本政府の責務です

 2019年2月、普天間基地は政府が沖縄県に約束した「5年以内の運用停止」の期限を迎える。「世界で最も危険な飛行場」と言われ、欠陥機オスプレイ24機などが配備された米海兵隊の基地である。

沖縄県に責任転嫁する安倍政権
 昨年11月に、就任後初めて沖縄県を訪問した岩屋毅防衛大臣は、この普天間基地問題について、こう述べている。
 「仲井眞元知事との間で、『5年以内の運用停止』という話が、安倍総理との間であったということは承知しております。しかし、その間、状況が移り変わってまいりました。埋立承認についても一旦は撤回になるということもございまして、(中略)当時の約束であった『5年以内の運用停止』は難しいところにきております。」
 つまり、沖縄県が辺野古への新基地建設に反対しているから、運用停止はできないのだと県に責任転嫁しているわけだ。常識的に考えてみても、「最も危険」な飛行場であれば、沖縄に寄り添うことを常に明言している安倍政権であれば、危険性の除去のために運用停止を米国と協議をしてしかるべきだろう。ところが、この問題について政府は米国と話し合いなど全くしていない。それどころか、普天間基地周辺で航空機の部品落下事故などがあっても、米軍の意のままにすぐさま飛行再開を認めている始末。普天間基地を離発着する米軍の飛行航跡を解析した情報提供のウェブも閉鎖してしまった。
 「辺野古移設断念は、普天間基地の固定化」と菅義偉官房長官が、新基地建設反対の姿勢を貫く翁長県知事に対する恫喝じみた発言を記者会見(2015年当時)で述べた後、今日にいたるまで「辺野古反対は普天間の固定化」という情報操作が繰り返されてきた。

辺野古移設と切り離されている「運用停止」
 2013年12月17日、首相官邸で開催された沖縄政策協議会で、仲井眞弘多県知事(当時)は、普天間飛行場の5年以内の運用停止、牧港補給地区の7年以内の全面返還、日米地位協定の改定などを要求し、これに対して安倍首相は「最大限実現するように努力したい」と表明している。その後、経過はいまだに不明だが政府と秘密会談を繰り返し、12月27日の辺野古埋立承認へと突き進んでいった。この承認会見となった2013年12月27日の知事の発言で、辺野古新基地建設と普天間基地の5年以内の運用停止が、切り離されたものとして承認に踏み切ったことが次の発言から見て取れる。
 「5年以内の普天間飛行場の運用停止、すなわち危険性除去は最大の課題であり、安倍総理からは、『認識を共有している』との表明がありました。(中略)現在、政府が示している辺野古移設計画は、約10年の期間を要し、その間、普天間飛行場が現状維持の状態となるような事態は絶対に避けなければなりません。」
 一方で、閣議決定でもない単なる安倍首相の口約束にとどまる「5年以内の運用停止」の確認に向け、年が明けてからも、沖縄県は菅官房長官や政府高官に再三再要請し、知事公室長が訪米するなど、県はそれなりの努力を継続していった。そして、2014年2月18日、関係閣僚と沖縄県知事と宜野湾市長らが「普天間飛行場負担軽減推進会議」の初会合を首相官邸で開くに至り、この推進会議の下に外務・防衛の局長級でつくる「普天間飛行場負担軽減推進作業部会」も設置され協議を進められることとなった。その結果が、2014年4月15日の作業部会第2回目の会合で花開くこととなる。
 首相官邸で開かれたこの会合で、沖縄県、宜野湾市と政府は、「5年以内の運用停止」について、推進会議の初会合があった2月を起点として、2019年2月までの実現で認識を一致させることになったのだ。
 しかしその後の安倍政権は、「運用停止は辺野古の代替施設完成後」とする米国の構えを崩す動きはせず、ヘーゲル米国防長官(当時)に沖縄の要望を伝えるにとどまっていた。とはいえ、沖縄県知事選で何とも勝利したい安倍政権は、「同県から、同年二月から五年をめどとするとの考え方が示されており、政府としては、このような同県の考え方に基づいて取り組む」とする答弁書を2014年10月7日に閣議決定し、沖縄県に同調してみせていた。

脅かし、はぐらかし、お為ごかし
 ところが一転、翁長雄志県知事が誕生した2014年12月以降、政府は「知事にご協力いただければ、(5年以内の運用停止を)行っていきたい」(菅官房長官のNHK番組での発言)、「辺野古移設を取りやめれば、普天間はそのまま続いていくことになる」(2015年2月4日参院予算委員会)と、安倍・菅の二人組で恐喝まがいの揺さぶりをし始めたのだ。加えて、運用停止の定義についても政府内で二転三転する。当初、中谷元元防衛大臣は「(運用停止は)飛行機が飛ばないということだ」と説明していたが、その後「幻想」だとして、これを撤回(2015年4月24日)。その後、菅官房長官が見解を示し「普天間にある三つの機能がなくなること」として、空中給油機能、緊急時着陸機能、オスプレイの運用機能が挙げ、運用停止の定義の水準を一気に下げ、今日にいたるようになる。
 昨年12月の辺野古への土砂投入後、岩屋防衛大臣は日本防衛の最前線は南西諸島だとしたうえで、辺野古新基地建設は「国民のため」と言ってのけた。結局沖縄は日本の「捨て石」か!命とくらしの危険と隣あわせの宜野湾市民、沖縄県民は、「国民」ではないのか。「普天間の危険除去」にならない最大の要因は、政府の無作為でしかないのだ。
 普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設阻止を一体として闘いをすすめていこう。
(近藤賢)

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韓国徴用工問題に関して-戦後補償の基本的解決を急げ
フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本 泰成

 2018年10月30日、韓国の大法院(日本における最高裁判所)は、控訴審判決を支持し、日本支配の植民地時代に日本本土において強制労働をさせられたとする元徴用工4人の訴えを認め、被告である新日鉄住金株式会社に対して、1人あたり1億ウォン(日本円で約1000万円)の支払いを命じました。当時10代だった原告は、旧日本製鉄(現新日鉄住金)の2年間働けば技能を習得でき、朝鮮半島において技術者として就職できるなどの甘い勧誘に応じたりして日本にやってきました。しかし、給料も支払われず24時間の監視の中での労働の過酷さは、想像を超えるものでした。体罰もあたりまえの環境の中で、終戦後は自力で帰国せざるを得なかったのです。2012年に、大法院は「個人の請求権は消滅していない」との判断を下しており、この過酷な労働の強要に対しての慰謝料として1億ウォンの支払いを命じているものです。
 これに対して、河野太郎外相は、補償や賠償については「日韓請求権協定(1965年6月22日締結)」で解決済みとの立場で、「判決は、日韓請求権協定に完全に違反するもので、日本としては受け入れられない」と、判決直後から完全に拒絶する立場に立ちました。安倍晋三首相も「今回の判決は国際法に照らし、あり得ない判決だ。日本政府は毅然として対応していく」と述べています。その後、判決に応じない新日鉄住金に対して、原告代理人が資産の差し押さえの手続を開始しました。強硬姿勢を崩さない日本政府に対して、韓国外務省当局からは「日本側が国際法違反と断定するなど、排外交的で日韓両国関係に逆行する不適切な発言を繰り返している」との非難の声があがっています。

個人の請求権は消滅していない
 この問題には、2つの側面があると思います。ひとつは、個人の請求権が日本政府の主張しているとおり「日韓請求権協定」によって消滅しているのか否かと言うことです。日韓両国は、1965年に関係の正常化のために「日韓基本条約」を結び、同時に無償3億米ドル、有償2億米ドルの供与を基本にした付随条約「日韓請求権協定」を結びました。1965年11月19日の参議院本会議で、椎名悦三郎外相は、「経済協力は賠償の意味を持っているのだと解釈する人もいるが、法律上はこの間に何ら関係はない」と言いきり、「新しい国の出発を祝うという点において、この経済協力を認めた」と述べています。また、1991年8月27日の衆議院予算委員会で、清水澄子衆議院議員(後に平和フォーラム副代表)の質問に答えて、柳井俊二外務省条約局長が、「日韓請求権協定」は、「日韓両国が国家として持つ外交保護権を相互に放棄したものであって、個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」と述べています。河野外相、安倍首相の主張が、過去の日本政府関係者の発言からすると矛盾を抱えていることは明らかです。
 この間、中国人強制連行・強制労働の被害者に関しては、花岡鉱山労働者(被告:鹿島建設)、広島安野発電所建設労働者(被告:西松建設)、美唄炭鉱など全国の炭鉱労働者(被告:三菱マテリアル)に対して被告企業が和解に応じています。花岡の和解は、裁判所が「控訴人らの被った労苦が計り知れないものであったことに思いを致し」として「和解を勧告するのが相当であると考え、職権をもって和解の勧告をした」ものでした。西松の最高裁判決が述べているとおり、「個人請求権は残っており、ただ、訴権が失われただけ」であれば、中国も韓国も、同じくサンフランシスコ講和条約の枠組みの中にあり、加害の側にその労苦に対する対価として金銭の支払いを行う意思があれば何ら問題はないのです。

過去の歴史の反省と継承を行うことから
 この間、私は内田雅敏弁護士や鎌田慧さんや前田哲男さんにお誘いいただき、6月30日に秋田県大館市で毎年開催されている「中国人殉難者慰霊式」に参加させていただいています。大館市長や秋田県知事、在日本中国大使館代表や遺族、多くの方々が集まって追悼の事業を行うことには大きな意味があります。どのような和解においても、事実の認定と謝罪、歴史継承と追悼のための記念碑の建立などの事業展開、そして事実が存在したことへの補償の3つがそろわないとならないと思います。その結果として、被害・加害の別なく多くの人々が集う追悼の事業が成立するのだと思います。そこに初めて、過去の歴史からの開放と共生と信頼の新しい歴史が始まるのです。
 徴用工問題や基金の事業が破綻した慰安婦問題など、なぜ戦後70年を超える長きにわたって解決を見ないのかは明らかです。その理由が、侵略戦争と植民地支配の歴史にしっかりと向き合わない日本政府の姿勢にあることは間違いありません。日本政府は、元徴用工への補償をどうするかを真摯に話し合うとともに、侵略戦争と植民地支配の歴史をしっかりと総括し、心からの反省と歴史の継承への事業展開を約束するべきだと考えます。そのことが基本にあって、初めて加害の責任を全うできる端緒につくのだと思います。1月12日、李洛淵(イ・ナギョン)韓国首相は、3.1独立運動の指導者の墓参に際し、「日本は過去の前で謙虚であり、韓国は未来の前で謙虚であるべきだ」と述べたと伝えられています。まさにこの言葉を、日本政府は真摯に受け止めなくてはなりません。
(ふじもとやすなり)

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水道法改正で「民営化」が進む危険性
「蛇口の向こう側」を考えて行動を
全日本水道労働組合 書記次長 辻谷 貴文

 昨年12月、改正水道法案が可決・成立し、地域水道が大きく変貌する可能性をはらむことになりました。閣議決定から成立まで約2年間にも及んだ改正法案でしたが、実体的な国会審議は衆参それぞれ約10時間にも満たないレベルで、これでは「国民の理解を得た」と言うには程遠い状況でした。国会審議のなかで明らかになったことは、安倍政権の多国籍水企業との不透明な癒着構造であり、ヴェオリアなど多国籍水企業の職員が政府中枢で、法案成立に一役買っていた実態でした。さらに政府は、外国の民営化・コンセッションの失敗事例の多さは把握しながらも、その問題点を深めることなく短い審議時間で強行的に進めてきました。

水道料金が株主配当や役員報酬へ回る
 今後は、これまであまり意識をしなくてもよかった水道の「蛇口の向こう側」について、真剣に考え行動しなければならない時代に入っています。これからは各地域で、リアルに「水道民営化」の話が出てくるのかもしれません。これまで市町村運営が原則だった水道事業は、今回の水道法改正によって民間企業が運営することを可能にしました。民間企業は、短期で収益を上げることが至上命題であり、長期の投資はやらないと考えなければなりません。今までは市民が払った水道料金はすべて市民に還元(再投資)されていましたが、民間企業が運営すると株主配当や役員報酬、さらには法人税や借り入れ利子の支払いに充てられます。また、複雑な契約関係や会計処理を必要とするため、民間企業と自治体の双方において、専門家に対する多額の報酬を支払う必要も出てくるでしょう。
 それらを勘案しても民間運営で効率化するから大丈夫というほど、今の公営水道は非効率なのでしょうか。運営権とは「水道事業を運営して料金を直接収受する権利」のことを言います。物権としての担保機能を持ち、それを担保にグローバルファンドからも資金調達が可能であり、最大限の利益を要求する株主が現れることも容易に想像できます。いくら料金の上限設定などを定めても「値上げしなければ撤退するぞ」と脅されれば、値上げも飲まざるを得なかった事例は世界にいくつもあります。
 また、「ダメだったら再び公営に戻せばいい」という理屈も散見されますが、契約期間(25年)の途中で公営に戻すには解約違約金も発生するでしょうし、民間に売却(設定)した「運営権」を買い戻す必要もあります。いずれも相当なコスト=税金の支出を覚悟しなければならないことはいうまでもありません。
 運営する民間企業を行政がチェックするから大丈夫という論は、行政職員が水道施設の運営状況のチェックが可能なのは公営水道だからであり、民間企業が運営するようになれば、技術を持った職員は民間企業に移り、モニタリングが出来る職員などいなくなるでしょう。


ヨーロッパの水道民営化問題の
ドキュメンタリー映画。
日本語版DVDが発売中。
問合せ・ アジア太平洋資料センター
(電03-5209-3455)
災害時に責任を持たない民間企業
 マスコミなどでも話題の耐用年数を超えた老朽管の更新問題では「公営水道だから老朽管路の更新が進まない」という俗説がひとり歩きしていたようですが、更新が進まないのはあくまでも「国の予算」の問題です。公営であれ民営であれ管路更新コストは同じであり、その調達構造を効率化すれば良いだけです。料金収入で管路更新等のコストを負担できないケースについては、国が責任をもって議論をすべきではないでしょうか。「水道は公営だから非効率だ」とか、「公務員は働かない」などという論点をそらした論理からは脱却すべきです。公共サービスにことごとくコンセッションが本格的に導入された25年前のイギリスでは、推進派によって同様の議論がありましたが、現在では、政策を推進した英国財務省自身が誤りであったことを認めています。
 災害時を想定すれば、イギリスやヨーロッパ会計検査院の報告書にあるように、リスク分担は、いくら事前に契約で定めていても、どうしても官(公)の側に負担が重たいものになります。民間企業は、官(公)がリスクを負担しなければサービス提供を停止する選択肢を持っているからです。民間企業はリスクを負わず料金を収受する権利だけを持つという「丸儲け」の仕組みとなるのです。災害の多い日本の事情など考慮すれば、市民をさらなる不安に晒すもの以外の何物でもないのです。
 24時間365日、この瞬間もそれぞれの地域の水道現場では、市民の暮らしや産業の基盤を支えるため業務に奮闘している人々がいます。水道事業は、天候や気温など自然に左右されながら水づくりする「みんなの共有財産」です。「一人ひとりが水道を自分ごと化する」ことこそが、生命(いのち)を守る唯一の方策です。「公権力としての公営水道」から「みんなで考えるみんなの水道」となることが重要です。
(つじたにたかふみ)

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東京電力福島原発刑事裁判
旧経営陣の責任を問い、厳正な判決を!
福島原発刑事訴訟支援団 佐藤 和良 

 2018年12月26日、日本最大の公害事件、東京電力福島第一原発事故の責任を問い、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3被告に、業務上過失致死傷罪の法定刑として最大の禁錮5年が求刑されました。
 2011年3月11日の事故以来7年10ヶ月、福島県民そして全国から1万4千余の人々が告訴して、2度の不起訴、市民による検査審査会の強制起訴と、粘り強く、あきらめず事故の真相と責任を追及してきた結果です。争点の地震津波の予見可能性と結果回避可能性を巡り、これまで36回の公判が開かれ証人尋問、被告人質問、被害者遺族の意見陳述、論告求刑が行われました。

事故の責任を否定し責任転嫁
 昨年10月の被告人質問で3被告は、「事故により、ご迷惑かけたことをお詫びします」などと、遺族や福島からの傍聴者に尻を向け、陳謝して見せましたが、「記憶にない」「メールはない」「認識もない」「指示はしていない」「権限はない」と、これまで立証されてきた事実を徹頭徹尾、否定。職務権限がなかったなどと、動かぬ証拠まで否定して、自己保身、組織防衛の為の隠蔽を行い、最悪の責任逃れに終始しました。
 特に、裁判所に証拠採用された、2008年当時、地震津波対策の事実上のトップ、新潟県中越沖地震対策センター長であった山下和彦氏の検察官面前調書に示された「部内で耐震バックチェックに(文部科学省地震調査研究推進本部の)長期評価の取り入れを決定。武黒・武藤に伝えられ、平成20年(2008年)2月26日に勝俣・清水に中越沖地震対応打合せ=御前会議で報告した。勝俣からも清水からも反対はなく、耐震バックチェックについての原子力設備管理部の方針は了承された」「平成20年3月11日の第2453常務会で吉田昌郎氏が報告して承認」という内容を否定しようとしました。勝俣被告は「原子力安全を担うのは原子力・立地本部。責任も一義的にそこにある」と、責任を全て現場に転嫁しましたが、これまで立証されてきた事実、津波は予見され、事故は回避できたという真実を隠すことはできませんでした。
 12月26日の第35回公判では、検察官役の指定弁護士による論告求刑が行われ、論告の冒頭、被告人質問での3被告の謝罪について「とても虚しい気持ちで眺めていたのは、我々だけではないと思います」として、「自らの事故の責任を否定し、他者にその責任を転嫁しようとする供述ばかりで」「原子力発電所の運転・安全保全業務をその重要な責務とする原子力事業者の最高経営層に属するものの態度としては、到底考えられないもの」と強く批判しました。
 そして、原子力発電所は「万が一にも、このような重大事故を引き起こすことがあってはならない」とし、「被告人らに『できないことをやるべきだった』と言っているのではなく『できることがあったのに、それをしなかった』」「被告人らには、当然でき、なすべきことであったのに、何もしなかったのではないか、何もしないで、漫然と福島第一原子力発電所の運転を継続することにより、本件事故を引き起こし、多くの人々を死に至らしめ、負傷させ、そして、これに関係する人々にも塗炭の苦しみを強いることになったのではないか」と指摘。検察審査会の判断は「極めて常識的で正鵠を得たもの」、「当初の不起訴の判断は全くの誤りであった」と指摘しました。

重大事故を防ぐことはできた
 被告人らの過失責任を問うための一つのキーワードが、「情報収集義務」。それは、原子力発電所に存在する潜在的、抽象的危険性に関する危惧ではなく、「一定の重要かつ具体的な情報に接し、あるいは接する機会があったことを契機として、東京電力の最高経営層に課せられる具体的義務があり、これを怠ったとして、その刑事責任の存在を指摘」しました。
 その「具体的情報の典型が、『O.P.+15.707m』という情報であり、『中越沖地震対応打ち合わせ』つまり『御前会議』の席上に提供された様々な客観的情報」であり、「これらの情報を契機として、被告人らが他者に物事を委ねることなく、自らその権限と責任において、積極的に情報を取得し、これらの情報に基づいて的確かつ具体的な対策を提起し、これを実行に移してさえいれば、本件のような世界に例をみない悲惨な重大事故を防ぐことができたのです」と結論づけました。
 そして、被告人ら3人の犯情は、結果の大きさ、被告人の地位・立場・権限の大きさ、注意義務懈かいたい怠の大きさの3つの要素がいずれも極めて大きく、業務上過失致死傷罪の中でも、極めて重いとしました。被告人らは「なんらの反省の態度も示していません」「被告人らに有利に斟しんしゃく酌する事情は何ひとつないのです」として、5年の実刑を求めました。
 いよいよ、3月12・13日には、被告人の弁護人による最終弁論を経て結審となり、最終局面です。無念の死を遂げた被害者と遺族の思いにこたえ、厳正判決を求める署名の拡大を呼びかけます。各地で報告会を開催し、厳正判決を求める世論を盛り上げていきましょう。
 署名用紙は以下からダウンロードお願いいたします。
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/syomei-A4.pdf
(さとうかずよし)

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台湾の脱原発政策と原子力維持勢力の巻き返し
鈴木 真奈美(ジャーナリスト)

 台湾は2002年、脱原発の達成を環境基本法で定め、続いて2017年、「原子力発電の運転を2025年までに全て終了する」ことを電気事業法の条文に明記した。こうして台湾は「非核家園」(原発のない郷土)に向けて歩み出したわけだが、その行程に「待った」がかけられた。昨年11月、統一地方選挙に併せて実施された国民投票において、脱原発の達成期限を取り払うことが、賛成約589万票、反対約401万票で成立したのである。


2014年に建設が凍結された
第四原発1号機と2号機(ABWR)。
原子炉は日立と東芝が供給した。(筆者撮影)
原子力維持勢力の巻き返し
 複数の世論調査によると、福島原発事故以降、「非核家園」支持は6割前後で安定的に推移してきた。民意が変化し始めたのは、昨年3月あたりからである。そして11月の国民投票では、支持と不支持の割合が逆転した。要因はいくつか考えられるが、その分析は別の機会にまわし、ここでは原子力維持を求める勢力がどうやって形勢を巻き返したのか、台湾の核エネルギー学会の動きを中心にまとめてみたい。
 核エネルギー学会は昨年1月、「2025年」条文の削除を国民投票に問うことを決め、同年3月、投票請求のための署名運動を正式に立ち上げた。スローガンは「以核養緑」(原子力でもってグリーンエネルギーを育てる)。グリーンを謳っているが、その目的は「脱・脱原発」に他ならない。公開弁論など表舞台に立ったのは学会の権威者ではなく、原発推進を唱道するNGOの若手である。彼らはデモ、ロックコンサート、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ハンストなど、いわば反原発運動が用いてきた手段でもって世論に働きかけた。署名活動では馬英九前総統(国民党)が「以核養緑」とプリントされたTシャツを着て若者たちとともに街頭に立った。核エネルギー学会が公開している資料を見ると、これらは周到に練られた戦略に基づいて進められたことがわかる。
 署名集めと並行して、「福島原発事故で死んだ人はいない」「日本でさえ原発維持を方針としているのに、事故を起こしてもいない台湾が、なぜ脱原発なのか」「原発廃止は電力不足、電気料金の値上げ、石炭火力の増大を招く」「使用済核燃料は再利用できる」といった言説が拡散されていった。それを後押ししたのが、昨年8月に訪台した東京電力の廣瀬直己副会長による「福島復元の現況:東京電力再建の路」と題した講演や、国営台湾電力が進めていた新規石炭火力発電所による健康リスクなどである。また、台湾では再処理問題は一般的ではなく、メディアは十分に検証することなく、「再利用可能」との記事を垂れ流した。
 台湾の報道によると、日本の山本幸三衆議院議員(自民党)がこの1月に「以核養緑」の"顔"となった人物に接触し、国民投票運動が成功した秘訣を尋ねたという。日本でも"国民的"議論を通じた原発再興が画策されているのかもしれない。

脱原発政策の行方
 国民投票では、新規石炭火力発電所計画の廃止と火力発電の削減も賛成多数で可決された。この結果を受け、蔡英文政権(民進党)は2025年の電源構成比率──天然ガス火力50%、石炭火力30%、再生可能エネルギー20%、原子力ゼロ──の見直しを進めている(新しいエネルギー政策は1月末に発表される予定)。焦眉の問題は、原子力の位置づけだ。
 台湾では現在、第一、第二、第三原発で計5基の原子炉が稼働している。これらは原子力法の規定(運転期間は原則,最長40年)に従い、2025年までに順次、廃炉措置に入る。すでに第一原発1号機は昨年末に運転を終了した。建設中だった第四原発は、福島原発事故後に高まった原発廃止世論に押され、2014年、馬英九前政権によって凍結が決定された。
 原子力維持勢力は、電気事業法の条文が失効したのだから、既設原発の運転を延長し、第四原発の建設を再開するよう主張している。しかし、それには原子力法など関連法規に基づく手続きと、立地自治体の同意が必要となる。現状では唯一、第三原発が手続き可能だが、立地自治体は延長に反対だ。第四原発については、1999年の着工以来、設計上の欠陥や機器の破損など深刻なトラブルが多々発生し、安全性が疑問視されてきたこともあって、計画復活は考えにくい。何より、地元住民と立地自治体が同意するとは思われない。
 原子力維持派は、蔡英文政権が第四原発計画を破棄するのなら、同原発の建設再開を求める国民投票運動を立ち上げるとしている。その場合、来年の総統選挙と同時投票となるだろう。第四原発2基は日本が初めて海外に供給した原子炉だ。原発輸出計画が軒並み頓挫するなか、第四原発の復活は日本の原子力政策にとって重要な意味を持つに違いない。日本の「原子力ムラ」の動きにも要注意である。
(すずきまなみ)

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世界の核被害者の次の世代の人権保障と核廃絶をめざして
再びヒバクシャをつくらないために
全国被爆二世団体連絡協議会 会長 原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟 原告団長 崎山 昇


原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟
 2018年12月で、全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)発足から30周年を迎えました。全国被爆二世協では、発足以来、国(厚生労働省)や国会に対して、被爆二世・三世に対する援護対策を求めてきました。しかし、被爆から73年を過ぎた今日に至っても実現していません。私たちは、原爆放射線の影響を否定できない核の被害者であり、5号被爆者(第五の被爆者)として国家補償を明記した被爆者援護法の適用を求めています。

被爆二世の援護対策を求めて提訴
 全国被爆二世協では、被爆70年を迎えるにあたって、今後の活動をどう進めていくか、議論を重ね、2016年2月、被爆地広島で開催した総会で、被爆二世問題を国際社会(国連人権理事会)で人権侵害として訴え、日本政府に被爆二世の人権保障を求める取り組みと、裁判を通して、被爆二世に対する援護対策の実現をめざすことを新たな活動方針として決定しました。
 そして、2017年2月、広島で22人、長崎で25人の原告が、「原爆被爆二世の援護を求める集団訴訟」を起こしました。その後、それぞれ追加提訴し、広島原告26人、長崎原告26人となっています。私たちは、30年にわたって、国や国会に対して被爆二世に対する援護対策を求めてきましたが、実現せず、やむにやまれず、司法での解決をめざすことにしました。私たちは、この訴訟で、被爆二世が遺伝的影響を受けることは否定できないとして、「被爆者」に被爆二世を含めず、援護の対象としていない被爆者援護法は憲法に違反する、そして国会が、被爆者援護法を改正し、適用範囲を被爆二世へ拡大すべき立法義務を負っていたにもかかわらず、この義務を怠って、被爆二世に適用範囲を拡大する法改正を行ってこなかった立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用において違法である、と主張し、長年にわたる精神的苦痛に対して慰謝料を請求しています。しかし、私たちが慰謝料を勝ち取ることが訴訟の目的ではありません。私たち全国被爆二世協の会員が、被爆二世を代表して訴訟を起こし、この訴訟を通して問題の所在を社会的に明らかにし、すべての被爆二世を援護の対象とする国による立法的措置の契機とすることを目的にしています。そのことが、すべての核被害者の次の世代の人権保障につながるものと思っています。

国連の人権勧告を求めて
 また、2017年3月に国連人権理事会に「日本における原爆被爆二世の人権、及び日本政府の取り組みに関する報告書」を提出し、同年11月に開催された普遍的定期審査(UPR)第28会期の作業部会で各国政府から日本政府に対して被爆二世の人権を保障するような勧告を行ってもらう取り組みを進めました。同年10月には国連欧州本部訪問団を派遣し、ジュネーブでの各国政府代表部へのロビー活動を行いました。その成果もあって、日本政府の審査においてコスタリカとメキシコが勧告の一つとして被爆二世の問題に言及し、最終報告でも採択されました。2018年3月1日、日本政府は第37回国連人権理事会にコスタリカやメキシコの被爆二世問題に関する勧告については受け入れないとの報告を行いました。しかし、2つの国の政府が日本政府へ勧告を行い、国連人権理事会で被爆二世問題が議論されたことは初めてのことであり、画期的なことだと思います。また、2018年4月から5月にかけてジュネーブ国連欧州本部で開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議第2回準備委員会に初めて代表団を派遣し、サイドイベントを開催するなど、被爆二世の人権保障と併せて核廃絶を訴えてきました。

 核の最大の人権侵害の一つは、次世代への影響です。被爆者が高齢化していく中、原爆放射線の遺伝的影響を否定できない核被害者、「第五の被爆者」である被爆二世が、国際社会でみずからの人権保障と核廃絶を訴えること、そして被爆者の運動を継承し、原水禁運動の先頭に立つことが、被爆二世の使命であり、責務だと思います。国連での取り組みや集団訴訟は、決して私たち被爆二世の問題だけではなく、フクシマの被害者やチェルノブイリの被害者、そして世界の核被害者の次の世代の問題解決につながります。そして、再びヒバクシャをつくらないために、原発を含む核廃絶につながるものと確信しています。フクシマの被害者やチェルノブイリの被害者など世界の核被害者と連帯して取り組んでいきたいと思います。
(さきやまのぼる)

全国被爆二世協活動支援カンパにご協力をお願いします。
(振込先)中国労働金庫 本店営業部
普通預金6192565
全国被爆二世団体連絡協議会
会長 崎山 昇

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世界の流れに逆行する日本
英米の再処理・MOX計画停止

 最近、日本の再処理・プルトニウム利用計画が世界の流れに逆行していることを示す大きな出来事がありました。世界の二つの商業用再処理工場のうちの一つ、英国のTHORP(ソープ:酸化物燃料再処理工場)の運転が終了したこと、そして、米国の軍事用余剰プルトニウムをウランと混ぜて混合酸化物(MOX)燃料にするためにサウス・カロライナ州サバンナリバー核施設で建設中だった工場の工事完全中止が確定したことです。

英国の商業用再処理工場の運転終了
 英国は11月14日、セラフィ―ルド施設のTHORPが運転を終了したと発表しました。同工場は主として日本及びヨーロッパの国々の軽水炉の使用済み燃料の再処理用として建設され、1994年に運転を開始しました。再処理は、元々、ウランが近い将来枯渇するとの想定に基づき、プルトニウムを燃やしながら使った以上のプルトニウムを生み出す夢の「高速増殖炉」に初期装荷燃料を提供するために構想されました。英国の改良型ガス冷却炉の使用済み燃料も再処理し、取り出されたプルトニウムは高速増殖炉で使うはずでした。しかし英国はこの工場運転開始と同じ年に高速増殖炉計画を放棄しました。
 他の国々も再処理計画を放棄して行きます。ドイツは契約の一部をキャンセルします。英国は、2012年、追加の再処理契約が得られないことを理由に、既存契約分の再処理終了とともに工場を閉鎖するとの決定をします。これが終わり操業終了となったのです。改良型ガス冷却炉の未再処理燃料は施設で保管する計画です。
 英国には、B205というもう一つの再処理工場があります。これは東海第一原発と同じ第一世代の黒鉛減速ガス冷却炉の燃料用です。この型の最後の原発の運転が終わったのが2015年。残っている使用済み燃料の再処理が終わるのが20年の予定です。二つの工場の再処理で分離され、英国に保管されているプルトニウムの量は外国籍のものも含め約140トンに達する予定です。政府は、施設の監視団体COREの情報公開請求に対し、両工場のプルトニウムの割合を40%と60%と答えています。同団体はこれを基にTHORP分を約56トン、B205分を84トンとしています。16年末現在の外国分が23トン。日本の原子力委員会によると17年末の英国保管の日本の量は21.2トンですが、0.6トンが日本割り当てとして追加されることになっているので、実際には約22トンです。THORPでの日本分の再処理は04年9月に終わっていますが、物理的再処理のタイミングとは別の割り当てシステムが採用されているためです。
 英国は2011年12月に自国分のと合わせ、外国分の処分も引き受けてもいいと申し出ています。ただし、プルトニウムは「価値ゼロの資産」とされていますが、要するにゴミなので、処分をお願いするには、金を払う必要があります。英国分約120トンには、17年1月現在で外国から移譲された8.5トンも含まれています。
 英国は自国のプルトニウムに関し、2014年にはMOX燃料にして軽水炉で燃やす方向で考えたいとしていたのですが、引き受ける電力会社もなく、16年には25年頃までは決められないとしています。プルトニウムが溶け出しにくい母材内に固定して地下処分する方法も検討されています。


『原子力長期計画』で示された高速増殖炉計画
米国余剰プルトニウム用MOX工場工事停止確定
 米ロ両国は2000年にそれぞれ34トンの兵器級プルトニウムを余剰として処分することで合意しました。米国は02年に米国分をMOX燃料にして軽水炉で処分すると決定。核分裂生成物と混ざった形にして兵器用の利用を難しくしようというわけです。ところが、サバンナリバーで建設が始まった工場は工事の遅れと建設費高騰が続き、オバマ政権もトランプ政権も計画中止を提案していました。地元州が抵抗し裁判闘争にまで至っていたのですが、1月8日、バージニア連邦控訴裁判所が政府の工事完全中止の決定を支持する判決を下し、計画中止が確定しました。プルトニウムを特殊な化学物質と混ぜ、分離が難しい状態にしたうえで、ニューメキシコ州の岩塩層に設けられた地下処分場「廃棄物隔離パイロット・プラント(WIPP)」に入れて処分するという「希釈・処分(D&D)」方式が進められることになります。米国が余剰と宣言したプルトニウムは合計約50トンです。
 一方、米国の余剰量とほぼ同量のプルトニウムを抱える日本は六ヶ所再処理工場の運転を2021年にも始めようとしています。夢の高速増殖炉の実用化予測時期はドントンと遠ざかり、挙句の果てに、同じ技術を増殖ではなくプルトニウム他の燃焼に使うという夢物語に変えてのことです。
(「核情報」主宰 田窪 雅文)

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加盟団体の活動から(第13回)
オリジン電気労働組合の活動について
オリジン電気労働組合 書記長 関上 哲生


職場でのビラ入れ
 オリジン労組はオリジン電気株式会社内の労働者で組織されています。会社の工場は大きく3つの地域(埼玉県さいたま市、栃木県小山市間々田、東京都西多摩郡瑞穂町)にあり、各工場毎で各支部となっています。会社は製造業で、製品は電源、整流装置、硬化樹脂を用いる貼合装置、溶接機、ベアリング、塗料、半導体等、多種に渡っています。
 現在の組合員数は、本社支部約125名、間々田支部約100名、瑞穂支部約75名の合計約300名(組織率約75%)となっています。
 オリジン労組では、「自らの生活は自ら守る」を合い言葉に、職場からの行動を中心とした組織運営を行っています。賃金闘争はもとより、様々な労働条件を会社と交渉する際には、基本的に職場討議(各20名程度)にかけて、職場からの意見や賛否状況を吸い上げ、それを反映させる形で方針決定しています。職場での討議が頻繁になりますが、組合員一人一人が主役の組織運営のためには欠かせないことです。組合員もそれを理解しています。また、重要な交渉については、職場からもビラ配付や要請文を会社に提出しますし、闘争の終結時は全組合員の一票投票により決定することが組合規約で決まっています。
 会社との交渉は、過去においては合理化攻撃等への闘いも行われてきていますが、通常は、「春闘」での賃上げと夏季一時金、「秋闘」として年末一時金と職場環境改善、それ以外では、労働時間や時間外労働、休業日、福利厚生関係、各種制度、退職金、60才以降の雇用制度等です。会社側も「組合に提案し理解を得る必要がある」という認識を持っており、これは過去に於ける先輩組合員方が闘いの中で培ってきた労使関係による賜物です。
 労使交渉以外では、レク活動や学習会、相談窓口、健康保険組合への議員参加、共済制度、有休促進、労金窓口、そして平和、安全、健康な社会を築くための教宣活動も行っています。
 組合が抱える課題としては、やはり活動家の減少や次世代組合役員の育成、組合意識の低下、組合員数と組織率の維持・拡大、等でしょうか。時代を築いてきた先輩方が定年退職となりましたが、オリジン労組の伝統と理念を引き継ぐ活動を行っていきたいと思います。
(せきがみのりお)

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〔本の紹介〕
『自衛隊の存在をどう受け止めるか』
末延隆成、飯島滋明、清末愛砂 編著/現代人文社刊

 元陸上自衛官の末延隆成さんの発言をきっかけに、安倍首相が進める憲法9条に自衛隊を明記する憲法改「正」問題を考え、自衛隊をどのように捉えるかを考える本です。
 現在、現職の自衛官は政治的発言が禁じられている中で、これまで安全保障問題を議論するときに、「最大の利害当事者」である自衛官の存在が無視され、その思いが置き去りにされてきたことに、末延さんは、現職の自衛官に代わり発言しなければならないとして、この間の安保法制の集会等で発言してきました。末延さんは、日本の防衛のためなら命を懸けるが、それとはまったく関係がない海外派兵には断固反対しています。日本防衛に無関係な武力行使によって仲間の自衛官が殺されることに心底我慢ができないと言っています。「安倍総理、隊員はあなたのオモチャではありません。安倍政権は隊員たちの流す血、家族の涙にどう責任とるのでしょうか」と発言しています。
 当事者が置き去りにされたまま、「戦争する国」に変貌させる動きが加速する中で、私たちは、その最前線に立つ自衛官の思いをはせることの必要性が求められています。特に紛争の現場に立たされる「曹士自衛官(陸士~曹長)」は、「幹部自衛官」より複雑な立場で、自衛隊の階級社会、閉鎖社会の中で、声が押しつぶされています。そのことは、巻末に掲載された元衆議院議員の今川正美さんのレポート「パワハラ、いじめ自殺に見る自衛官の思い」からも読み取ることができます。
 また、本書では「専守防衛」をどのように見るかを考察しています。「専守防衛」に賛成できるかと問われれば、清末さんははっきり「賛成できない」としています。そのうえで「攻められないように外交努力を重ねる努力を」訴えています。武力で平和が作れないことは彼女のパレスチナでの体験からも導きだされています。しかし、その論に固執することなく安倍政権の危険な動きにどう対応していくかについては「立場はどうであれ、安倍改憲に反対」の一点でつながることを訴えています。
 また、本書の中で、末延さんが務めた保安警務隊の話は、旧日本軍の経験が連綿と続き、自衛隊は国民を守るとは限らないことを教えています。それらを含め、自衛隊の存在をどう受け止めるかを考える一冊となっています。
(井上年弘)

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核のキーワード図鑑 橋本 勝


核の相合傘

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憲法と「建国記念の日」を 考える2月11日集会

 2月11日の「建国記念の日」は、神話をもとに明治政府が制定し侵略戦争を美化し天皇を賛美する象徴的な日だった戦前の「紀元節」を、1967年に時の政府、自民党政権が各界の反対を押し切って制定した日です。

日時:2月11日(月・休日)14:00~場所:連合会館2階大会議室(地下鉄「新御茶ノ水」「淡路町」「小川町」、JR「御茶ノ水」下車)
内容:講演「現代日本のレイシズムと反レイシズム」
講師 明戸隆浩さん
報告「朝鮮学校高校無償化裁判の不当判決と今後求められる運動」(仮題)在日本朝鮮人人権協会
参加費:500円(資料代含む)
主催:フォーラム平和・人権・環境

安倍9条改憲を許さない、安倍内閣の退陣を要求する2・19行動
日時:2月19日(火)18:30~20:00
場所:国会議事堂正門前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

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