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ニュースペーパー2019年12月

2019年12月 1日

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平和・自由・人権 すべての生命を尊重する社会を 憲法理念の実現をめざす第56回護憲大会
 10月4日、第200回臨時国会が開会し、安倍首相は所信表明演説で、「この国のめざす形、その理想をしっかりと掲げるべき時」と語り、「令和の時代の新しい国創り」を提唱し、憲法をその「道しるべ」と位置づけ、理想を議論する場が「憲法審査会」であり、与野党に「国民への責任を果たそう」と議論を呼びかけました。11月7日、衆議院憲法審査会が開催され、自由討議の場で、野党委員からも「憲法の中身についての自由討議を行うべき」との意見が出されるなど、これまでの中で「改憲発議」に最も近づいた厳しい状況であると言わざるを得ません。
 このような情勢の中、11月9日~11日、北海道函館市内で、2,000名が参加し「平和・自由・人権すべての生命を尊重する社会を憲法理念の実現をめざす第56回護憲大会」が開催されました。開会総会でのパネルディスカッション「日本社会は本当にこれでいいのか?安倍政権の7年を問う!」および「非核・平和・安全保障」「地球環境」「人権確立」など7つの分科会、などを通じ、安倍政権の行ってきた諸政策が、憲法理念からかけ離れたものばかりだということを確認しました。そのうえで、憲法理念をないがしろにしてきたうえに、明文改憲に手をつけようとする安倍政権を早急に退陣させるとともに、憲法理念に立ち戻り、そしてまた憲法理念を実現させるために、全力を尽くさなければなりません。

インタビュー・シリーズ:151
寄り添うことと闘うことはセットに成らざるを得ない
幼保の無償化と朝鮮人学校の問題を在日本朝鮮人人権協会の方に聞く


ソン・ヘスク(上)さん
 在日本朝鮮人人権協会事務局。「幼保無償化を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」の活動にも携わる。
パクキム・ウギさん(下)さん
在日本朝鮮人人権協会事務局員、朝鮮大学校講師、歌手。朝鮮学校差別問題をはじめとする在日朝鮮人の人権問題や日本軍性奴隷問題を国連の人権条約機関に働きかけ、数々の差別是正勧告を引き出してきた。

─幼保の無償化に関して今、とんでもないことが続けざまにおきているのですが、在日本朝鮮人人権協会のお二人にお話を伺いたいと思います。まず、いつ頃から活動を始められているのでしょうか?
宋 恵淑:結成は1994年2月です。それ以前にも在日朝鮮人の権利拡充に日本の弁護士の皆さんの力を借りていました。永く日本に暮らすことの中で、法関係の資格を持つ専門家が少しづつ増えてきました。当時は弁護士の資格を持っている在日朝鮮人は1人だけでした。司法書士や税理士、行政書士などの法律関係の有資格者を中心とした在日朝鮮人社会の権利擁護団体をぜひ作りたいということで始まりました。今は朝鮮籍に限らず、韓国籍で朝鮮大学校出身の弁護士もたくさんいます。

─弁護士試験には差別はないのですか?大学入学資格にはありますね。
宋:そうですね。2003年の大学入学資格問題が起こった際も人権協会で関わってきました。それ以前からも懸念事項としてありまして、1990年代から文科省や日本政府に対する要請も行ってきました。広く世論を喚起するということで、日本の大学に通う留学同のみなさん、また人権協会のメンバーも国連の人権委員会(当時)の会議に参加して、大学受験資格における差別の問題を訴えたりもして来ました。

─その前は通学定期の問題もありましたね。日本社会から必要な資格を提示したことなどかつて無く、逆に権利を闘い取るしか無かったのではないでしょうか?
宋:結成の翌年に阪神淡路の大震災がおきました。兵庫県には在日朝鮮人がたくさん住んでいて、生活再建が大変でした。長田区などの在日朝鮮人の長屋がたくさん壊れました。工場まで潰れてしまってどうしようという時に、人権協会の司法書士や税理士の方々が専門家としてとりあえず何をすればよいかという法律的な相談に乗ったりしました。闘う事も必要ですが、在日同胞の生活に寄り添いながら、悩みを聞いたり、法律的に解決しなければならないことは何かを、道しるべになることも大切です。

─生活と結びついた相談事業、法律的問題など想像以上に細かいことがあるようですね
朴金 優綺:ヘイトスピーチの問題も含めて、差別や法制度による障害にぶつかった同胞の方々から、電話や対面での相談を受けて専門家につなげることなども行っています。在日朝鮮人という歴史的存在への無理解からくる行政の対応、例えば婚姻届を出すこと一つをとっても日本人と同じように「戸籍」に関する書類を要求されて困っている等、生活に密着した相談が日常的に寄せられます。たとえば朝鮮半島の北部にルーツがある方は、朝鮮民主主義人民共和国では戦後に戸籍制度が廃止されているため、そもそも「戸籍」など取り寄せられない、という状況があるわけです。このような相談を受けて、現在は在日朝鮮人の歴史的背景を踏まえた身分証明のあり方などについて省庁に要請を行っています。このような意味で、同胞に寄り添うことと闘うことはセットに成らざるを得ないと思います。
宋:ある区に父親が住んでいて、公営住宅の申込みをした際に、父親と、今別の区に住んでいるあなたとの親子関係を証明してくださいと言われる。世帯が別なので住民票には載らない、戸籍がない朝鮮籍の場合は韓国の領事館でも対応できないので、法務省にある外国人登録原本まで遡らないと証明できない。時間も手間暇もかかる、そもそもわからなかったりもするわけです。

─活動の中で、無償化のことなどなかなか見通しが立たない問題もあるのではと思いますが、今後の展望は?
朴金:人権協会の会員が全国に個人で400人くらいいるのですけれども、高校無償化裁判を担っている在日朝鮮人の弁護士はほとんどが人権協会の会員で、中心的に活動されています。裁判支援の事務局的なことも東京では行っていますし、各地での裁判の状況も弁護士と連絡を取り合って情報を共有しています。国際的な世論の喚起として国連の人権条約機関にレポートをし、日本政府への差別の是正勧告を引き出していくという活動をこの9年間行っておりまして、最高裁判決に関わらず、今後もそのような活動を続けていく予定です。

─国連に行かれて、人種差別撤廃委員会や社会権委員会などの委員の受取り方はどういうものでしょうか?
朴金:委員会ごとに切り口・視点が違いますが、私が過去に傍聴した人種差別撤廃委員会では、委員たちは2つの視点から考えていたと思います。ひとつは非差別・平等の視点です。高校無償化問題の場合は、各種学校の認可を得た外国人学校の中で唯一朝鮮学校だけが対象外にされたので、在日朝鮮人の子どもたちへのあからさまな民族差別ということで問題化されました。もうひとつの視点は、こどもの教育の権利を侵害しているという点です。在日朝鮮人の子どもたちは、日本の朝鮮植民地支配の結果ここに住んでいるのであって、自分たちの言葉を学ぶ権利があるし、教育を受ける権利がある。その権利を侵害しているのではないかという切り口でも問題化されています。なぜ日本政府がこのようなあからさまな差別をずっと続けているのかと腹立たしい気持ちを表明される委員もいました。
 なぜ朝鮮学校ができたかというと、日本が植民地支配期に朝鮮人の民族教育を禁止していた・弾圧していたという歴史的な事実があり、植民地支配からの解放後は、もう自由であるのだから、自分たちの言語を学べる場所をつくろうとして学校を建てたという経緯があります。もし日本に、敗戦を機に戦争責任・植民地支配責任を果たそうという態度があったならば、朝鮮人の民族教育に対する態度を変えるべきだったと思います。在日朝鮮人の教育の権利を認め、民族教育を保障するという政策をとるべきでした。日本政府による朝鮮学校の強制閉鎖に反対して在日朝鮮人が命を懸けてたたかった「4.24教育闘争」が70年以上前に起きましたが、多くの同胞たちが今の状況を指して「第二の4.24教育闘争」だと指摘しています。この言葉に象徴されるように、日本政府による朝鮮学校への弾圧は変わっていませんし、日本政府の政策は、植民地支配期から一貫して在日朝鮮人を敵視する政策であったと言えます。

─幼保の無償化に関してはいつ頃から認識されましたか?
宋:2014年から段階的に幼保の無償化が始まっています。2017年12月には、消費税を2019年10月に上げるのと同時に幼保の無償化を全面的に実施するとしました。それを聞いたとき、私が朝鮮幼稚園にこどもを通わす保護者でもあり、その2017年12月、末っ子が2歳になったばかりで翌年の4月に幼稚園に通うというタイミングだったので、自分の子供は対象になるのか、高校無償化からの除外がありましたので、もしかしたら、この過程の中で排除の論理が働くのではないかと危機感を覚えました。まだ、具体的な話が起こる前から、これは排除されないように、どうすればよいのかという問題意識は持っていました。

─その経過の中、いろいろな取組をされてきましたが、議員たちの、政府の態度はどうですか
宋:一応、そうしたご意見があるのは受け止めますという形ですが、朝鮮幼稚園にこどもを通わす保護者の声を、日本政府、あるいは幼保無償化の制度設計をしている内閣府、文部科学省の担当者が、ヒアリングなど一切することはありませんでした。保護者としてどういう思いでいるのか、施設の実態がどうなっているのかは全く把握することが無かったんです。私達が要請に行って初めて、実態を知り、こういう要望があることが分かったという次第です。それはそれとして聞くけれども、政府の方針はこのように出ている、各種学校は一条校の幼稚園などと違うので、幼保無償化の対象には成らないし、認可外施設にも当たらないため、今のままでは対象になりませんよ、という態度です。「今のまま」では成らないというのはどういうことかというと、各種学校から切り離して、認可外保育施設として届け出れば、無償化の対象に入れますよ、と言っています。今の朝鮮学校では、頑なにできません、ということですね。

─ブラジル人学校の保育園は認可外保育の手続きをしました。
宋:ブラジル人学校の幼稚園は、各種学校であり、認可外保育施設という二重の状態です。今までは認められてきました。厚生労働省が、認可外保育施設を担当する部署なのですが、その子ども家庭局に何度も問い合わせをして、各種学校でありながら認可外保育施設として届け出ることは可能ですか、と問い合わせたところ、「はい、出来ます」と、今後それを禁止するルールを作る予定もありません、と昨年の11月時点で言っていました。そう聞いていたので、今年になって、次善策として高校無償化のように完全に除外されないために、各種学校を保ったまま認可外保育施設としての届け出を出したところ、「いや、これは出来ません」といきなり言ってきました。何故かというと、政府がそのような方針を各都道府県の知事あてに通知として出している、と聞きました。  今、ブラジル人学校協議会も、9月の末に幼保無償化の対象施設として各種学校の幼児教育施設も認めよという宣言を出しました。それぞれ、事情が違ったり、保護者の層も違ったりしますので、各種学校から切り離して、認可外保育施設の届け出一本で行って、幼保無償化の対象となっているブラジル人学校もあります。これに対して一部の報道では、ブラジル人学校に対して救済措置が取られたということになっています。そこに通わせている保護者で保育園の必要性のある共働き世帯の子は幼保無償化の対象となって救われた、救済措置だと書かれたわけですが、本当にそうかどうかはよく見極めないといけないと思います。  各種学校であることで、施設に対する固定資産税が免除されたり、利用料に対する消費税とか所得税も免除されるという税制上の優遇措置があります。それが認可外保育施設という収益事業になると免除がなくなります。認可外保育施設も日本にたくさんありますよね。報道でも問題になっていますが、夜間のベビーホテルで、子どもが15人ほど預けられているのに従事者が一人しかいなくて、その人がトイレに行っている間に子どもが外に出てしまい危うく車に惹かれそうになったとか、こどもの安全上の観点から言うと、このまま存在していいのかと疑うような施設もあるので、実際には認可外保育施設として基準というのが、設けられています。政府は、今この基準を満たしていなくても、5年間の経過措置で、その期間は対象にするとしています。ブラジル人学校で、5年後にその基準を満たせるかどうか。  一番難しいのが保育士の資格を持っている人の確保です。認可保育園ほど保育士の数はいらないのですが、3分の2は必要です。保育士資格は筆記試験だけで9科目あるのですが、漢字がいっぱい、ブラジル人学校の先生たちはポルトガル語が母語の方が多く、漢字だらけの試験に合格するのは本当に苦しいと思います。話を聞いてみると、5年間で基準を満たすのはほぼ無理です、自分たちにその見通しは立っていないけれど、今いる保護者や子どもたちを救うために、各種学校から切り離して認可外保育施設一本で行くという方法しか無かったんだ、と言われます。

─朝鮮学校としても各種学校というライセンスをえるためにも相当闘ってきたわけですよね
宋:日本政府は一貫して朝鮮学校を潰そう、無くそうとしてきました。1960年代には外国人学校法案という、朝鮮人学校を始めとする外国人学校を管理規制するための法案まで出してきました。それを日本の皆さんとの闘いによって廃案となった後も、日本に外国人学校が増えていった中で外国人学校振興法のようなものもアイデアとしては出されましたが、今に至っても出来ていない状態です。各種学校という地位の中で、獲得できるものは獲得してきたというところがあります。JR定期券差別もそうですし、各種スポーツ大会出場権もそうですが、子どもたちのために、日々頑張っていて、幻の優勝校と呼ばれたりもして、そうしたことも日本のみなさんと一緒に勝ち取ってきたところです。朝鮮学校は各種学校としても認めてはいけないと言う法務事務次官通達までありました。60年代から各都道府県知事が動き始め、美濃部都知事の英断によって朝鮮大学が認められたのを象徴として、認められてきました。

─高校無償化のなかで、イ、ロ、ハのなかのハを切っていって対象外にしてしまった。今度、幼保無償化から朝鮮幼稚園だけを除外する方向に行きませんか
宋:今のところはそういった動きは見えていません。幼保無償化に関しては、イ、ロ、ハなどの区分けはされずに、一律に各種学校の幼児教育施設は除外されています。インターナショナルスクールの方からは、各種学校の幼児教育施設は対象外であるとするのをアンフェアだと認識されています。

─イギリスが幼稚園教育の無償化をやりました、貧困対策も含めてのことだと思いますが
宋:日本の制度が問題なのは、人気取りのバラマキ制度だということです。幼児教育という重要性、幼児期にどう教育するかという理念の基に作られていなくて、保育というサービスの面、親に対する行政サービス、国としての施作を他の方法でやるべきなんです。これを一緒にしてばら撒く形にしてしまったので、認可外保育施設もいきなりくっつけて、矛盾がおきている。私達だけでなく、日本の利用者さんも無償化と言っていたのに利用料が増えているなど逆転現象がおきたり、制度としておかしいです。こんな中途半端なものなら要らないと日本の認可施設の皆さんも言っています。制度設計自体の理念には「すべての子どもたちの健やかな学びを保証するため」と書いているにも関わらず、そうなっていない。  高校無償化は、高校レベルにある子どもたちが家庭の経済状況に関わりなく、学ぶ意志があればそれを応援しようと、各種学校の子どもたちも含めて高校無償化を実施する、就学支援金を各種学校の子どもたちにも支給するという、非常に画期的なものでした。理念はしっかりしていたと思います。義務教育でない高校レベルに対して学びを支援するということが出来たのであれば、幼児教育の無償化においても出来たはずです。そうならなかったのは、やはり安倍政権によるバラマキ人気取りが先行して、本来もっと重視するべき教育の大切さという理念がすっぽり抜け落ちました。

─高校生や大学生は自分たちで金曜行動とかやっていますね、一方、幼稚園の子供達は、お父さんお母さんが議員会館で要請行動をしたりしていると動揺したり、影響されたりとかしませんか?
宋:こどもにとって非日常的な衆議院会館につれてこられたり、8月の暑い中になんでプールでなくてこんなところに来るのか理解できない、ちょっと異常なんだ、ということは肌で感じていると思います。私もこういう活動をやって、夜も遅い日も多いので、末っ子も毎日「本読んで、本読んで」と言っていたのですが、家でも原稿を書いていたりして本を読んであげられませんでした。そうしたらある日、「本読んで」とは言わなくなったんです。諦めちゃったのか、かわいそうにと思っていたら、絵本を自分で読んでいたんです。ひらがなも勝手に覚えちゃっていて、子どもも、こういう形で寂しさや悔しさ、異常さを感じながら、子どもながらに闘っているんだなと思いますし、こどもの権利条約に、「こどもは余暇・レジャーを楽しむ権利も保証されなければいけない」とあるんですが、本当に教育権が侵害され、こどもがこどもらしく遊ぶ時間さえ奪われているんだと痛感しました。

─厳然と差別のある中で生きていくにはきずなも強くなくてはいけない、一方、日本では年寄りのほうが差別的な感覚が強いけれど、若い人たちは普通に行き来して感じ取っていることがあると思うのですが、今の高校生くらいの世代では意識の変化というのはあるのでしょうか
朴金:例えば文化の面でいうと、Jポップも聞くしKポップも聞くし、いろいろな文化的な側面を、もちろん言語も身に着けて、日本にも愛着を持った方々もいると思います。少し前に長野県にある日本の学校の中学生が、先生から朝鮮学校の存在やチマチョゴリ事件について聞いて、それまで全く繋がりがなかった長野県の朝鮮学校の生徒を文化祭に招待したいとハングルで手紙を出して、受け取った朝鮮学校の生徒たちが実際に文化祭に行き、その後朝鮮学校のバザーにも招待して交流を深めた...という記事を感動的に読みました。子どもたちの感受性、他者と出会い、受け入れようとするオープンな気持ちが本当に素晴らしいなと思います。そういう各地での地道な草の根の交流が重要だと思います。

─Youtubeで韓国に行って発信したり自由に交流する人も出てきています。そういうところから風穴を開けていく運動が出来ないかと思っています
宋:大阪府の代表として大阪朝鮮高校のラグビー部が出場するくらいですから、本当に試合が終わったらノーサイドで他の高校のラグビー部のみなさんが、大阪を代表して頑張れって言う交流が日常的に行われていて、試合だったり、文化だったりの交流は私達の高校時代よりも増えていると思います。ともに何か出来ないか、と先生方も模索されて交換授業なども積極的に行っていますし、昔はなかなか無かったことで、貴重な体験になります。

インタビューを終えて
 高校授業料無償化から朝鮮高校を排除した安倍政権は、10月1日から実施された幼保無償化からも朝鮮幼稚園を外した。国家間の政治課題を理由に、子どもたちの権利を奪うことは許されない。「私たちは、闘うこと無しに何も得ることはできなかった」という声を耳にした。差別無き社会へ、人権協会頑張れではなく、私たち自身が頑張らねばならない。
(藤本 泰成)

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原子力艦の横須賀寄港1000回に抗議する
原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会共同代表 呉東 正彦

事故情報を提供しないことを日本が受け入れ
 11月2日、原子力空母ロナルド・レーガンが米海軍横須賀基地に入港し、これによって原子力艦の横須賀基地寄港は1966年5月の原潜スヌークの初寄港以来、1000回を迎えた。この間、米海軍の原子力艦については、特に近年にも、以下の事故が発生している。

2005年
原潜サンフランシスコが海底火山との衝突。
2006年
原潜ヒューストンが日本国内3ケ所の寄港期 間を含め放射能漏れ。
2006年
横須賀寄港中の原潜ホノルルの周辺海水か ら、コバルト58、60を検出。
2008年
原子力空母ジョージ・ワシントンの大規模火 災事故。
2012年
原潜マイアミの造船所修理中に修理工による 放火による大規模火災。
2016年
戦略原潜が、ワシントン州沖での軍用輸送船 との衝突事故。
2018年
ヘリ・シーホークが原子力空母ロナルド・レー ガン甲板上への墜落事故。
2018年
原子力空母ロナルド・レーガンの原子炉担当 者14名が麻薬所持で処分。

 この問題の根源は、日本国内の原発や、米本国内の造船所での原子力艦修理時等に、原子炉トラブルや放射能漏れが多数報告されているのに、原子力艦の日本寄港は、1964年の合衆国政府の声明で、『寄港に関し、受入国政府に対し、原子力軍艦の設計及び運航に関する技術上の情報を提供しない。』と宣言し、日本政府がそれを受入れて開始されたことにある。その結果、横須賀でも寄港1回目から1000回目まで原子力艦の原子炉の運転にかかる記録を全く日本政府に提供しないという完全な秘密主義を貫き、日本政府もそれを是認し続けてきた点にある。この点、英国は同じようなシステムの自国の原潜を運用しながら、いかなるトラブルについても国民に情報公開している点と対照的である。

日米合意に反して原子炉修理も
 さらに、1964年の原子力艦寄港開始に際しての日米合意であるエード・メモワールは、その当時の全国的原潜寄港反対運動の盛り上がりを受けて、動力装置の修理はしない、放射性廃棄物は港内で搬出しない等の重要な制限を課していたが、2008年に原子力空母が横須賀を母港として以来、禁止されていた原子炉の修理が行われ、放射性廃棄物が搬出される等して、周辺市民の安全を危険にさらしながら、日米合意が破られ続けている。また原潜の寄港についても合衆国声明で24時間前に日本政府に通報されることとされ、それが横須賀市を通じて事前公表されてきたが、2001年以来今日まで事前公表されない状態が続いており、これについては日本政府とともに寄港自治体の責任も重大である。


事故が起これば首 都圏に甚大な被害
 さらに、原子力空母ジョージ・ワシントンの航海日誌によれば、横須賀での原子炉修理直後の試験航海中に、100%稼働の原子炉を緊急停止させ、10分後に再稼働させて100%稼働に急上昇させる極めて過酷、危険なテストが行われ、その直後に日本の経済水域内で、放射性冷却水と放射性気体が放出されていることが、明らかとなった。
 もし地震や津波、台風の高波、船舶航空機の衝突、破壊行為等で、原子力艦の原子炉事故が起これば、放射能は風向により首都圏一帯を汚染し壊滅的被害をもたらしかねない。以上のとおり、この1000回の原子力艦横須賀寄港の歴史は、日本の中枢部に事故が起これば壊滅的被害をもたらす原子炉が、全く運転情報の提供とチェックなしに入出港を継続し、首都圏3000万人の住民の安全と、日本の主権が、日米政府によって犠牲にされ続けた53年であったのであり、この異常事態が繰返されてきたことに対して心から抗議する。
 私達は首都圏3000万人の住民の安全を原子力艦の原子炉事故から守るため日米両政府に
1、原子力艦船のこれ以上の寄港と、原子力空母母港の中止
2、寄港についての合意違反である原子力空母原子炉定期修理と放射性廃棄物搬出の中止
3、全ての寄港原子力艦船についてのトラブル、事故を含む原子炉運転情報の公開
4、原潜寄港についての事前提供情報公表制限の即時解除を強く求める。
 また住民の安全を守るべき横須賀市、神奈川県に対しては、上記1ー3を、日米両政府に対して強く求めること、とともに、自ら事前情報提供を受けている4については、独自の判断で公表することを強く求めるものである。

〔原子力艦の原子炉事故の危険性の詳しい情報につき新パンフレットができました。
原子力空母市民の会(電話0468272713、http://cvn.jpn.org/cvn/

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あえて今日はタブーに臨む
民主国家の象徴天皇とは何か
フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本 泰成

天皇の神格化儀式に公費
 天皇の代替わりの儀式は、2019年5月1日の「剣璽等継承の儀」「即位後朝見の儀」に始まって10月22日の「即位礼正殿の儀」、11月10日には「祝賀御列の儀」と、日本社会は令和元年に騒々しい。宮内庁が掲載する予定表では、12月4日まで32の儀式が並んでいる。その多くは、非公開の宮中祭祀、天皇家としての宗教行事だ。特に重要視される即位直後の一代一回限りの「大嘗祭」は、極めて宗教色が強く、戦後の皇室典範からは削除されている。11月14日から15日にかけて「大嘗祭」の中核を担う「大嘗宮の儀」が執り行われた。根拠法はないが、平成の代替わりと同様に公費で賄われた。平成より規模を縮小したと言うが、その予算を上回る約24億4000万円が使われる。平成の当時は若干の議論や反対があったと記憶しているが、今回は全く見られなかった。主権者たる国民にその内容が知らされない儀式を、公の行事とするには問題がないだろうか。賛否両論ある。百地章日大名誉教授は、皇位継承には不可欠と言う。しかし実際は200年以上にわたって中断していた時代があり、江戸時代に復活したが、明治以降は政府の意向によって規模の拡大がすすめられた。宮内庁は否定しているが、悠紀殿と主基殿の内陣に寝座があり、そこで天皇が皇祖の霊と一体になるとする説がある。天皇の神格化と切り離すことのできない神事であり、そのことを明治政府は徹底して利用した。歴史的経過から言えば、新しい時代の新しい儀式のあり方が、民主国家の象徴天皇としてのあり方が追求されてもおかしくはない。
 天皇は、戦前の大日本帝国憲法第1条が規定する「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」との立場から、敗戦後の日本国憲法において「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」との立場へ、大きく変貌した。権力者から国民統合の象徴などと言う極めて曖昧な存在になったことを、しかし日本社会は何も議論せず、その立場を曖昧なまま容認してきた。昭和から平成、そして令和と三代を重ねる内に、天皇制そのものの課題が大きく膨らんでいると感じる。戦後日本国憲法が意図した国のあり方を揺るがしかねない課題と考えるのは、考えすぎだろうか。

「国民」こぞってを演出する奉祝行事
 安倍政権が、国家主義的であり復古主義であることは明らかだ。その安倍政権の下で、天皇制そのものが変貌しつつあるのではないだろうか。11月9日、翌日に「祝賀御列の儀」を控え「天皇陛下御即位をお祝いする国民の祭典」が、天皇皇后を迎えて皇居前ひろばで開催された。オーケストラとピアニスト辻井伸行の演奏、そして人気タレント嵐により奉祝曲「レイ・オブ・ウォーター」が披露され、お祝いのメッセージを歌舞伎役者松本白鸚と女優の芦田愛菜などが読んだ。この祭典の主催は「天皇陛下御即位奉祝国会議員連盟」「天皇陛下御即位奉祝委員会」「公益財団法人日本文化興隆財団」、議員連盟には、自民党だけではなく立憲民主党、国民民主党、公明党などの議員が名を連ね、その他に経団連、商工会議所、民間放送連盟、経済同友会、全国知事会、日本学術会議などの会長他様々な人々が名を連ねている。ジャーナリスト櫻井よしこの前には神津里季生連合会長の名前もある。大政翼賛会を思い浮かべてしまうのは、私だけなのだろうか。これは、まさに国民統合の象徴と言うべきだろう。圧巻は、伊吹文明元衆議院議長の天皇陛下万歳三唱、その後も会場から万歳の声は続いた。朝日新聞は「少なくとも16回」と記載したが、しっかりと数えた結果、16回、万歳の声は3倍の48回だった。祭典の中では、大きなスクリーンに画家マーク・エステルの古事記をモチーフにした絵画を映しだし、天地創造の神話も紹介した。何の疑問もない祭典の進行と戦前を彷彿とさせる万歳の声に背筋が寒くなる。

天皇制のあり方をしっかりと議論すべき
 退位した平成天皇は、様ざまな時をつかまえて「平和」を発信し続けてきた。がしかし、その発言を素直に評価することも難しいと思う。戦争犠牲者を慰霊する旅を続け、被災地の慰問に積極的に関わってきた。跪いて、被災者を見舞う姿は、多くの国民に感動を呼んだに違いない。しかし、そのことを手放しで喜ぶことにも抵抗がある。抵抗があるのは、戦後を生きてきた人間の証なのだと思う。戦前の社会のあり方に、批判的に生きてきたからこその感覚なのだと思う。そのような感覚を忘れてはなるまい。
 天皇制のあり方を、タブーと考えることなくしっかりと議論すべき時に来ているのではないのだろうか。安倍政権は、徹底して天皇代替わりの行事を、自らの政権維持に利用している。権力が天皇を利用することの恐怖は、歴史が明らかにしている。そして、日本社会の全てが、天皇礼賛で結びついたとき、何が起こるのだろうか。天皇の地位は国民の総意に基づくのだから、タブーを越えて民主国家の象徴としての天皇のあり方、来し方を考えなくてはならない。いまだ、天皇陛下万歳の大声が、頭の中に木霊する。
(ふじもとやすなり)

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ライフラインとしての「生命(いのち)の水」を守る取り組み
大阪市水道事業民営化問題
大阪市水道労働組合 書記次長 今岡 清二

 大阪市は2008年2月、橋下徹元大阪府知事からの申し入れを受け、水道事業の府市統合協議を行ってきました。2010年1月、大阪市を除く府内42市町村は府営水道を受水する市町村の首長会議で、大阪市提案のコンセッション方式は選択せず府域水道事業の今後の方向性として、受水市町村自らが設立する企業団により検討を進めていく事とし、水道事業の府市統合協議は決裂しました。これにより2011年4月大阪市を除く府内42市町村と府が設立した「大阪広域水道企業団」が府水道部の事業を引き継ぎました。

橋下市長がすすめた水道民営化に市民が反発
 橋下氏が大阪市長に就任以降、事業の広域化に向け大阪広域水道企業団との統合協議が行われてきました。2013年5月の大阪市会では、企業団との統合議案は「市民にメリットがない」と、維新の会を除く各会派の反対多数で否決されました。
 否決直後の6月、大阪市戦略会議で「水道事業の民営化の検討」を突然発表し、11月には「水道事業民営化について(検討素案)」が提示されました。素案のポイントは「上下分離方式の民営化」「公共施設等運営権制度を活用」「事業契約期間は30年程度」「運営会社は、設立当初は市が100%出資」「15年度中の業務開始に向け進める」であり、2014年4月には「水道事業民営化基本方針(案)」が提示され、パブリックコメントが募集されました。514人から1,100件の意見が寄せられ、民営化への反対や懸念を示す意見が大半でありました。そのような市民の声もあり、5月の市会でも維新を除く各会派から民営化に対し引き続き慎重な審議が求められ、11月に出された実施プラン案ではスケジュールが「2016年4月から運営会社による業務開始」と当初より後退しました。

大阪市で民営化案は廃案に
 2015年12月に、橋下氏の後任として吉村洋文前市長が大阪市長に就任しましたが、引き続き、大阪市会の中でこの民営化の議論は継続されてきました。しかし、2017年3月市会の会期満了日に、賛否の態度がいずれも過半数に達してないため態度決定に至らず、審議未了により民営化(案)は廃案となりました。廃案後、吉村前大阪市長は、改正水道法の考え方を非常に重要とし「改正法の趣旨をみても水道はこれから広域化の判断をしていかなければならない。民営化も改正水道法で推奨しており、広域化と民営化という視点を入れ込んでいきたい」としました。水道事業には人材育成や人員増、各地域で水道事業体が連携する「公公連携」を軸とした、災害時にも対応できる組織づくりなどの基盤強化が必要であり、広域化と民営化を両立する考え方には危惧の念を抱きます。


イベントブースを借りて市民にアピール
全国に広がりつつある民営化への危惧の声
 大阪市会で民営化の議論がされている中、大阪水労が立ち上げたNPO法人「水政策研究所」は、水問題について意識を共有する各種NPOや市民団体と連携を取り、2014年から市民を対象にシンポジウムや子どもたちが参加しやすいような、様ざまなイベントを開催してきました。また、2016年7月「ちょっと待って!水道の民営化」のイベントを機に集まった仲間たちと、大阪市の水道事情に特化した「ちょっと待って!水道の民営化」のリーフレット作成し、各主要駅での街頭配布行動や他団体のイベントに参加しての配布行動を行い、大阪市の状況を市民にアピールしてきました。大阪市会で民営化(案)が廃案になったのも、市民の力(声)で議員が動いた結果だと思っています。民営化案が廃案後も、水道法改正法案が可決した事を受け、新たなリーフレットを作成し配布行動をしてきました。新たなリーフレットについては、現在も協働しているNPO法人を通じて各地域で使用されています。大阪市民営化問題の時からみますと、水道事業の民営化に対して危惧を抱いている人たちが全国に広がってきていると感じています。
 民営化(案)が廃案となり改正水道法が施行された今、大阪市水道局は2019年2月「改正水道法の適用によるPFI管路更新事業と水道基盤強化方策について(素案)」と「工業用水道事業への公共施設等運営権制度活用について‐導入可能性調査の実施‐」を策定しました。管路更新業務全般を民間事業者で行い事業期間を15年とし、これにより更新期間とコスト削減につながるとしています。工業用水道事業では事業運営、更新業務を民間事業者に運転管理については民間事業者から市へ業務委託としています。また、今回の導入可能性調査結果では、実現性があるともしています。
 近年、地震や台風による被害が続いていますが、各地域、各自治体事業体が連携を図り、迅速な対応をしています。このように「公公連携」を軸とした、ライフラインとしての「生命(いのち)の水」を守る取り組みが求められています。
 大阪では大阪府域ONE水道や大阪市水道局の新たな経営形態見直しなど、これからも様ざまな議論は継続されていきます。私たちは、市民と協働して市民の財産である「生命(いのち)の水」を守り続けていかなければなりません。

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ベトナム人技能実習生が除染作業に従事
雇用契約に反した除染労働に補償も謝罪もなく、裁判提訴
全統一労働組合 書記長 佐々木 史朗

 東日本大震災による福島第一原発事故は、福島と近隣各県に広範囲な放射能汚染を引き起こした。事故から8年を経過した今なお、高線量に汚染されたままの地域が存在し、一時貯蔵された汚染土の再分別や移設など、除染作業は今後も継続される。この除染作業に、ベトナム人技能実習生が従事させられるという事件が発覚した。日本の先進的技術を海外に移転することを目的とした国際貢献事業と喧伝されている技能実習制度で、被ばく労働が行われていたとの報道は、海外でも大きく報道された。 

郡山の建設会社で除染作業に
 2015年8月から、ベトナム人3名が福島県郡山市の建設会社、株式会社日和田で技能実習を開始した。彼らは来日前、鉄筋や型枠の技能を実習する契約を締結していたが、2016年3月から2018年3月にかけて、郡山市と本宮市の住宅地や森林での除染作業、さらに当時は避難指示区域内で立ち入りが禁止されていた福島県浪江町での下水道配管工事に従事させられた。除染作業に従事する際に必要とされる、除染電離則に定められた安全教育は事実上行われておらず、彼らは放射線被ばくの危険性について十分な知識を与えられなかった。健康診断による被ばく線量測定の結果なども、本人には渡されていなかった。
 2018年3月、岩手の建設会社に雇用されていた技能実習生が、郡山市内の除染作業や川俣町、飯舘村での被ばく施設解体工事に従事した事件が大きく報道された。政府は事件を受け、技能実習生の除染作業禁止を通知。報道に接した3人は、自分たちも除染作業をさせられていた事実を知り、地元の支援者を通じて全統一労働組合に相談した。
 組合は、会社と団体交渉を行い、十分な事前教育も行わず、雇用契約に反して除染等の被ばく労働を行わせたことに対して謝罪と補償を求め、浪江町での就労について、被ばく線量、事業発注者、元請業者等の情報の開示を求めたが、会社は応じなかった。
 なお、法務省は昨年10月、会社に対して、「技能実習計画齟齬」などを理由に、技能実習生受入停止3年間の処分を課したことを公表している。


技能実習生除染・被ばく労働事件記者会見
謝罪と補償を求め提訴
 組合は、東京都労働委員会に不当労働行為救済を申し立て、会社が浪江町での作業実態を開示しないこと、契約と異なる除染作業・被ばく労働をさせたことに対する謝罪と補償を求めたが、会社は謝罪も補償もしない、危険な作業ではない、当時は除染はファジーだったなどと主張し、解決に応じようとしなかった。
 団体交渉や労働委員会での解決の見通しが見えないことから、9月2日、3名が原告となり、福島地方裁判所郡山支部に入管法、労働安全衛生法等違反による損害賠償請求訴訟を提起した。9月4日に厚生労働省で記者会見が行われ、テレビ・新聞関各社をはじめ、海外のメディアでも報道された。
 裁判の第一回公判は、10月31日に開かれ、裁判終了後、訴訟弁護団と全統一労働組合は郡山市労働福祉会館で記者会見を開催し、地元福島の報道機関が多数参加した。次回からは弁論準備として審理が行われる。
 技能実習制度では除染作業は禁止されたが、新たに制度化された「特定技能」では除染作業は「差し支えない」として容認され、東京電力は福島第一原発の廃炉作業にも特定技能労働者を投入する方針を公表した(後に「当面見送り」としたが撤回せず)。特定技能労働者の被ばく労働投入に対しては、国会エネルギー調査会での追及などで東京電力や関係省庁への厳しい追及がなされ、さらにベトナム政府から紛争地域や化学物質・放射能汚染地域で自国の労働者が働くことはできないとするベトナム国内法の規定が示された。法務省と国土交通省は、11月に建設分野の運営要領を改定し、除染作業には本人の納得と同意を必要とすること、ベトナム国籍労働者は就労できないことなどを通知した。しかし、特定技能労働者の除染作業そのものを撤回したわけではない。安全にも帰国後の健康にも責任をとらない、身勝手な外国人労働者の使い捨てを許してはならない。
(ささきしろう)

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トカゲの尻尾切で終わらせないぞ!告発で関電幹部の不正を追及へ
関電の原発マネー不正還流を告発する会 事務局 宮下 正一

 9月27日の朝刊を見てビックリした。福井県高浜町の元助役であった森山栄治氏が原発工事会社から3億円授受してその内1億8千万円を関電の幹部役員に配ったと報道された。その日の岩根茂樹関西電力社長による記者会見は、批判が渦巻くものになった。翌日の新聞では、現金をはじめ、金貨や小判、洋服の仕立券などを換算すると3億2千万円相当が関西電力の幹部役員に還流されていたとの報道になった。これらの金品が森山氏から八木誠会長や岩根社長など20名に渡されていた。豊松秀己・副社長が1億1,057万円、鈴木聡・原子力事業本部副本部長が1億2,367万円を授受していたとのこと。私の様な元サラリーマンにとっては、信じられない金額である。1回目の記者会見の内容があまりにも酷いものであったことから10月2日に2回目の記者会見を行った。しかし、その内容は、「森山氏があまりにも酷い人で私たちは脅され、やむなく金品を預かっていずれ返すつもりだった」と繰り返したに過ぎなかったのだ。
 贈収賄事件はたまに報道されるが、会長・社長を含め20人もの幹部役員が3億2千万円もの金品を受け取っていた、まるで会社ぐるみで収賄を行っているようなことは聞いたことがない。それも菓子箱の下に金貨や小判(に似たもの)が入っていたとのこと。まるで時代劇の水戸黄門の場面を想像するようなことが実際に行われていたとは。関西電力の社長ともなると凄いと思ったことは、50万円もする洋服の仕立券が、盆暮れの使い物の範囲と判断するのだそうだ。連日伝えられる報道の中では、地方検察局が動かないのではと思った。世論の高まりの中で、八木会長が退任し、岩根社長も第3者委員会の報告後に退任する事になった。


会社ぐるみの贈収賄
 このままでは、単なる「トカゲの尻尾切」で終わりそうに感じた。日頃から付き合いのある弁護士や友人に告発できないかと相談したが、良い返事が返ってこない。そこで以前から付き合いのあった大阪の「はんげんぱつ新聞」の編集委員をしている末田さんに相談したら「私も告発したいと思っている」との事だった。私は、「告発するなら一緒にやろう」と言ったら「ぜひ」との返事が返ってきた。10月8日に河合弘之弁護士に電話をしたら「海渡弁護士と相談している」との事だったので「みんなで告発できないものか」と伝えたのだった。10月11日早朝に河合弁護士より電話があり、「1,000人の告発人を募り、告発しよう。」との返事が返ってきたのだった。
 それから末田さんと大阪でのキックオフ集会を企画し、私が知っているいくつもの関西の反原発団体に協力を呼びかけた。10月24日の「告発人募集説明会・キックオフ集会」には、50名を超えるみなさんが集まった。(写真)報道関係者も30人ぐらい、テレビカメラも6台あった。河合弁護士の説明は、「原発はみんなが嫌がる施設だから汚いお金をジャブジャブ使わないと建設も運営も出来ない。だからこんな事になる。」といつもながら「熱く、説得力」があった。
 反原発県民会議の代表委員である中嶌哲演氏(明通寺の住職)からは、高浜町で原発建設が進められている頃のお金をめぐることが話された。この集会で「関電の原発マネー不正還流を告発する会」を作ることが決定した。検察庁に対する告発の罪状は(1)特別背任罪、(2)贈収賄罪、(3)所得税法違反(のちに追加)とし。全国から1,000人以上の告発人を募り、年内にも大阪地検に告発することとした。告発人を1,000人集めることなど信じられない目標なので私や末田さんなどは、必死だった。

短期間で告発人の目標突破!
 10月26日に東京に行った時にたんぽぽ舎などの4団体に告発人募集の要請をした。その時に東京での呼びかけ会をしたいと相談して開催を目指した。11月14日の東京集会は、憲政記念会館で行った。80人定員の会場は、次々と椅子が運び入れられ、100人近くになった。この時には、海渡弁護士も参加され、会場からの質問も多く出た。その次は、11月16日に福井集会を行った。
 この時点で告発人は、817人だった。参加者は多くなかったが、熱気はあった。告発人の委任状は、キックオフ集会翌日の10月25日に95名から届き、11月18日には1,040人になった。たった25日間で目標の1,000人を突破したのだ。毎日届く手紙は、日を追うごとに増している。その中には、「告発する会を作ってくださってありがとうございます」とか「大変でしょうが頑張ってください」とのカードも入っていて元気100倍。どれくらいまで行くか分からないが、みなさんからの手紙を毎日待っている。告発する会の事務局は、たった3人でやっていて福井県平和センターと反原発県民会議の事務所となっている。日常業務+告発する会だからてんてこ舞いだ。
 溜まっていく入会届をパソコンに入力する人手がない。そこで、加盟組合にお願いして入力を手伝ってもらうことにした。告発日の12月13日までに全国のみなさんの思いと願いを形にしたいと頑張っている。大阪地方検察庁が、捜査を開始し、該当者を起訴して有罪の判決が出ることを求めて。
(みやしたまさいち)

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英再処理問題専門家逝く
日本のプルトニウムの謎解明に協力

 10月6日、英国再処理施設の地元で反対・監視運動を約30年に亘って展開して来たマーティン・フォーウッドさんが亡くなりました(享年79歳)。刑事、憲兵(ベルリンの壁に派遣)、英国気象庁の技官などの経験を持ち、原子力産業に関する大量の文書を所蔵する彼は、ジャーナリストや活動家にとって、再処理事業者や政府の誰よりも信頼のできる情報源だったと英ガーディアン紙の追悼記事(10月16日)が評しています。以下、日本の使用済み燃料の再処理に関する謎の解明に彼の情報が貢献した二つの例を挙げておきます。

解明例1 2013年英国保管プルトニウム急増の謎
 2014年9月、日本原子力委員会事務局は、英国保管分の日本のプルトニウムの量が2013年に約2.3トン純増と発表しました。事務局は、9月16日の会議でその理由を「英国の再処理施設のほうで処理が進んだ」結果と説明しました。
 しかし、英国のTHORP(ソープ:酸化物燃料再処理工場)における日本の軽水炉(普通の原発)の使用済み燃料の再処理は2004年に終了しているとの情報が以前にフォーウッドさんからもたらされていました。そして、その情報に基づくと、日本が2011年に発表した10年末現在の英国保管のプルトニウム量約17トンは計算より数トン少ないとの指摘が、11年12月に米プリンストン大学のフランク・フォンヒッペル名誉教授からありました。その後、2年弱経過してたところにでてきたのが上記の増大発表です。再処理は10年前に終わっているとの「核情報」の指摘を受け、14年11月13日、事務局は、2.3トンは2013年に実際に日本の使用済み燃料を再処理して分離されたものではないとの説明を電気事業連合会から得たと阿部知子議員事務所に対し認めました。
 増加はその後も続き、2018年9月の発表では、17年末までの増加分が合計約3.6トン、さらに約0.6トンが追加予定となりました。追加分は19年頃までに「分離し、その後在庫として計上」とのことですが実態は?
 再処理施設の閉鎖・除染に当たっている英「原子力廃止措置機関(NDA)」からフォーウッドさんが2016年に得た回答を要約すると、1)THORPにおける日本の軽水炉の使用済み燃料の剪断作業は04年9月に終了、酸化プルトニウム製造は05年3月31日までに終了。(東海ガス冷却炉の使用済み燃料の再処理は06年に終了)2)プルトニウムは各年の個々の顧客の使用済み燃料の再処理量とは関係なく書類上割り当てられ、THORP運転終了に合わせて割り当てが完了する、ということです。原子力委事務局は19年7月の発表でやっと、18年末の英国保管分は約21.2トン、約0.6トンが「今後在庫として計上」予定として、これから分離という意味の表現を削除しました。04年の時点で、日本の軽水炉の使用済み燃料の再処理は終わったが4.2トン(核兵器500発分以上)が割り当て追加予定であると発表すべきでした。隠ぺいか無能力か、どちらも大問題です。THORPの運転は昨年11月に完全に終了しました。

解明例2 東海ガス冷却炉使用済み燃料のプルトニウム
 「核情報」では、最近、日本は軽水炉からのものよりも、核分裂性同位体含有率の大きなプルトニウムを相当量持っているのではとの米国の核問題専門家の質問に答えた際にも、上述の件に関するやり取りの中で2014年10月にフォーウッドさんから送られてきていた資料に助けられました。どのような同位体組成のプルトニウムでも核兵器は作れますが、核分裂性同位体含有率の高いもののことを中国が特に気にしているというのが質問をした専門家の説明でした。質問があったのは今年10月17日、香港に隣接する中国深せん市での会議でのこと。英国で再処理された東海原発の使用済み燃料からのプルトニウムのことだろうと考え、帰国後データを確認してからメモを送りました。東海原発(1966~98年運転)は、軍事用プルトニウム生産と発電の両方を行う二重目的炉である英国コールダーホール型炉を日本用に改良したもので、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)の実験用原子炉の親戚にあたる炉です。
 フォーウッドさんがNACインタナショナル社の1995年の資料から抽出して作成した東海原発使用済み燃料再処理予定表(1969年~2005年)によると、再処理量は合計約1642トン、すべての同位体を含む全プルトニウム(Put)の回収量は3620㎏、核分裂性同位体(Puf)だけだと2862㎏、核分裂性同位体の割合(Puf/Put)約79%です(2018年末の日本の保有量(Put)45.7トンの核分裂性割合は平均66.3%)。この表から得られるトン当たりのプルトニウム(Put)回収量約2.2㎏を、英国に実際に送られた東海の使用済み燃料の量1510トン(資源エネルギー庁の福島みずほ議員事務所への回答:2013年1月16日)に当てはめると、回収プルトニウムの量(Put)は約3300㎏となります。
 このうち日本に返還されたのは、Pufにして660㎏(1970~81年に輸送)だけです(原子力資料情報室英文誌1990年3/4月号及び秋葉忠利議員への1993年10月1日政府答弁書)。英米の専門家による『プルトニウムと高濃縮ウラン1992年』は、これから、Puf/Put83%との推定値を用いて、返還Putを約800㎏と算出しています。NAC表によると、該当時期の1978年1月までの回収量(Put)が約797㎏、Pufが約651㎏、Puf/Putは81.7%。この割合を使うと返還済みPutは約807㎏となり、上記推定と符合します。このおおざっぱに言って約800㎏のプルトニウムはほぼ研究・開発で使われたと推測されます。英国に残っている東海原発のPutは2500㎏となります。(英国からはこのほかに軽水炉からのプルトニウム255㎏(Put)がプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料として1999年に高浜原発に送られましたが、品質保証データねつ造問題のため2002年に送り返されています。)英国にはMOX燃料製造工場がなく、東海原発分を含む合計約22トンの英国保管分が放置されたままになっています。
(「核情報」主宰田窪雅文)

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《投稿コーナー》
防衛大学校の人権侵害裁判
防衛大学校の教官・国の責任認めず
戦争ができる国づくりの中で自衛官の人権は守られるのか
平和・人権・環境福岡県フォーラム 事務局長 前海 満広

審理を重ねた事実を無視する極めて不当な判決
 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の上級生から暴行や嫌がらせを受けたとして福岡県内の元防大生が訴訟を起こした防大人権侵害裁判について、『ニュースペーパー』(2019年4月号)では、加害学生に対しての損害賠償が認められた裁判の経過を報告しました。
 分離裁判となった教官及び防衛大学校など国の責任を問う裁判について、このほど極めて不当な判決が下されました。2019年10月3日、福岡地方裁判所(足立正佳裁判長)が、防衛大学校の教官・国の責任認めないとしたのです。
 原告の元防大生は判決後の報告会で「納得できない」「極めて不当判決」と不満をあらわにし、弁護団の赤松秀岳弁護士も「防衛大の学生間暴力の実態を直視していない」と指摘し、弁護団としても、「本日の判決は,防衛大学校における、学生間指導に伴う、防衛大の安全配慮義務を一般論として認めているものの、学生間の暴力等の実態を全く踏まえず、結局,安全配慮義務を有名無実化するものである。・・・弁護団は、本日の判決を、日常的に暴力行為が横行している防衛大の現状を追認するものとして、強く糾弾する。」という声明を発しました。

防衛大学校、教官が知らなかったわけはない
 防衛大学校当局の資料や加害学生及び教官らの証言などから、暴力、いじめ発生の「予見」も「回避」も十分にできたということは明らかです。
 判決のなかでも、学生間指導での粗相ポイント制と罰ゲームは「伝統的なものとして用いられて」いたこと、そして「殴る蹴るなどの暴力が」起こっていたと認定し、加害学生や教官も「学生間指導を体験した」と証言していました。防大校内の「暴力やいじめ」は原告が入学以前から「伝統的」につづいており、「指導の名を借りて暴力や理不尽な対応等の行き過ぎた指導をする者が現れることも容易に想定できる。」と判断してもいるのです。
 さらに原告の母親は、原告への「暴力やいじめ」の事実と防止について繰り返し教官に電話していました。また、学生アンケートでは、粗相ポイント制・罰ゲームを殆どの学生が見たり、聞いたりしていると答えています。
 これらのことから「適宜、情報を共有し、連帯する体制をとっていた」とする教官らが、暴行やいじめ発生の回避も予見もできていなかったと考えることはきわめて不自然ではないでしょうか。

防衛大の教育はどうなる
 防衛大学校の学生は、入隊時に以下のような宣誓書に署名捺印をする事が義務付けられています。
 「私は防衛大学校学生たる名誉と責任を自覚し、日本国憲法、法令及び校則を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識をかん養し、政治的活動に関与せず、全力を尽して学業に励むことを誓います。」
 ちなみに、自衛官の「宣誓」は、「自衛隊の任務は我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため直接侵略及び間接侵略に対し、我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる者とする」となっています。
 つまり、自衛官は、「日本への直接・間接侵略からの防衛のために」にのみ、「賭命義務」のある宣誓を求められているということです。言い換えると、安倍政権が4年前、国民の多くの反対の声を無視して強行採決した「安保法制(戦争法)」集団的自衛権の行使=他国等防衛」という項目の「主要任務(本来任務)への追加」は、自衛隊法が定める自衛隊の本来の任務ではありません。自衛隊法第3条2項の1号・2号が掲げる「周辺事態」でも「国際社会の平和」でもありません。安倍政権は、自衛隊法第3条の自衛隊の任務規定を改定するだけではなく、それに基づく自衛官の「宣誓」を改めて求めなければならないことになります。安倍首相は自衛官にその「宣誓」を問うことを行いませんでした。海外での武力行使に道をひらく「集団的自衛権の行使」、自衛官の命がかかっています。安倍首相にその覚悟があるのでしょうか?
 「安保法制」施行から4年が経ちました。「自衛隊」を「戦う軍隊」とするために、防衛大学校の教育内容が大きく変わってしまうのではないでしょうか。そして、その教育を担う教官、学校の姿勢は、今回の裁判でも明らかにされたように、人権侵害に対して全く責任を感じていないところにあります。防衛大学校の内部で、ますますいじめなどの人権侵害が蔓延するのではないかと危惧されるところです。
 いじめ、暴力、パワハラ、セクハラなどは人間の尊厳を蹂躙する重大な犯罪として社会あげて根絶にとりくまれている一方で、「軍隊」という特殊な組織内で広がる人権侵害に目を向けなくてはなりません。防衛大学校でも当然根絶されるべきです。自衛官といえども一人の人間であり、人間の尊厳は守られなくてはなりません。
(まえうみみつひろ)

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加盟団体の活動から(第22回)
森林労連の取り組み
全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会


森林労連定期全国大会団結ガンバロー
 森林労連は、日本の森林・林業・木材関連産業で働く労働者の集まりです。林業労働者の労働組合として、雇用安定、労働安全対策、労働条件改善などをめざして、森林・林業・木材関連施策の推進、雇用制度の確立、労働安全対策の強化等が図られるよう取り組みを進めるとともに、振動障害等、職業病に係る対策が図られるよう取り組みを進めています。
 構成組織として、林野労組、全山労、森整労が加盟しているほか、製材所などの木材関連産業の加盟組織や林業事業体ごとの労働組合が直接加盟をしています。
 現在、環境問題が国際的にも大きな課題となる中で、日本の森林は木材生産機能とともに多くの公益的機能を有し、国民の「安心・安全」な生活に欠くことの出来ない公共財として存在しています。また、林業は、木材等の生産活動を通じ、多面的機能の発揮や山村地域における雇用の確保に貢献する産業となっています。「森林・林業基本計画」においても木材などの森林資源を最大限に活用することを通して、地域(山村)振興と地域林業の再生を図り、我が国の社会構造を環境負荷の少ない持続的なものに転換していくとされています。
 こうしたことを踏まえ、森林労連は、「森林・林業基本計画」の着実な推進に向け、森林整備・森林吸収源対策の予算の確保を求めるとともに、「森林環境譲与税」の使途の適正かつ明確化、森林経営管理制度に係る市町村の体制強化、さらには、東日本大震災及び、頻発している甚大な自然災害からの復興・再生と災害対策の強化などにより、地域振興・地域林業の確立や林業労働者の処遇改善に向け取り組みを進めています。

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〔本の紹介〕
『コザから吹く風―中根章の奔流の軌跡』
徳田友子著 ボーダーインク刊

 元沖縄県議の中根章さんの半生を、徳田友子さんが中根さんにインタビューし、関係者への補足取材を重ねてまとめた作品です。米軍占領下のコザ(現在の沖縄市)で、生活のために米軍物資を奪取した戦果アギヤー、米兵相手のAサインバーのバーテンダー、青年団長、平和運動家、政治家、イベント屋、環境問題活動家等々、沖縄戦からアメリカ統治下、琉球政府時代、そして復帰後の沖縄県政時代という、激動の世代の熱き日々をコザンチュが語る、笑いと闘いの沖縄現代史です。
 中根さんは1932年に越来村に生まれました。沖縄戦では中北部の山中を逃げ惑い、収用所で敗戦を迎え、戦後は基地従業員として働きます。人種差別や賃金不平等の理不尽な世界を経験しながら、そんなつらい話も小気味よい語り口で、ユーモアを交えて語られていて、中根さんの柔軟さと大胆さと、権力に抗うしたたかさが感じられます。環境保護という言葉すら聞かれない時代に、汚れきったごみ捨て場となった比謝川を蘇生させる活動に着手し、それを市民運動に広げ、更に青年団のリーダーとして原水禁沖縄県協議会を結成し、政界に身を投じて市議から県議へ。ここでも党派を超えた言動で、政治家らしからぬ興味深い話が随所に出てきます。その中根さんを支え、この本に度々登場する有銘政夫さんも反骨精神旺盛な人で、運動の本質を「権力に抵抗すること」と言い切ります。現在も「自分の土地は基地に使わせない」という信念のもと、防衛省沖縄防衛施設局による賃貸借契約を拒否し、国という巨大な権力と闘い続け、沖縄の平和運動の支柱になっています。翁長前沖縄県知事はこの有銘さんたち反戦地主の闘いを、「沖縄県民は自らの意思で、一度たりとも米軍基地を提供したことはない」と表現し、辺野古に新基地を造らせないという決意を繰り返し訴えていました。
 中根章さんと有銘政夫さん、政治家とそれを支える活動家として、立ち位置は違っても闘う方向は同じ。心にしなやかなバネを持つふたりの絶妙な連係プレーとさまざまなエピソードがふんだんに盛り込まれ、勢いよく活動された日々の活気が伝わってきます。コザから吹く風に乗って、当時の青年団の息吹が届くようです。お薦めの1冊です。
(市原まち子)

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核のキーワード図鑑


危険と汚染と共に原子力艦入港1千回超え

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『忖度と腐敗』田中稔


 社民党の機関誌「社会新報」の編集長の田中稔さんが、「憂国と腐敗」、「隠ぺいと腐敗」に続いて、今回も安倍政権の本質を暴く「忖度と腐敗」を書きました。3部作です。「絶対的権力は絶対に腐敗する」と英国の歴史家ジョン・アクトンの言葉を紹介し、その姿勢で安倍政権を告発しています。
 この本では、84回にわたり、マスコミに報道でされている事実の背景ある真相が明らかにされています。原子力村、沖縄辺野古基地建設の闇、防衛利権、日本会議、マスコミ支配、森友・加計などなどです。具体的事実に即して、権力の私物化・腐敗を書いています。
 安倍政権は誕生以来、7年を経過し、その特徴は2つです。一つは、「日本会議」を中心とする「極右内閣」であること、もうひとつは長期政権からくる「腐敗内閣」であることです。そしてやっていることは、「憲法破壊」と「貧困と格差の拡大」であり、日本の未来を壊し続けています。「桜を見る会」で安倍本人の権力の私物化、公職選挙法違反が明らかになりました。一日でも早く退陣してもらわなければなりません。
(福山真劫)

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