2020年、基地問題コーナー、トップランク、人権コーナー

2020年12月14日

控訴審逆転勝訴!防衛大いじめ国に責任! 防衛大臣は福岡高裁の判決を受け入れ上告断念を! 再発防止へ国は謝罪を!

12月9日、福岡高裁(増田稔裁判長)は防衛大学校(国)の責任を認めなかった一審福岡地裁判決を変更し、「元学生に対する暴力や、精神的苦痛を与える行為を予見することは可能だった」として、国の責任を認め約268万円の支払いを命じた。増田裁判長は防衛大が導入している「学生間指導」で暴力が横行していたのは上級生らへの指導を怠ったとして同大側の安全配慮義務違反を認めた。原告の青年は判決後の記者会見で「防衛大の組織と仕組みそのものに問題があるのではないか。判決を機に防衛大が変わってくれることを願っている」「二度と同じ被害者が出ないように」と、訴えました。

防衛大人権侵害裁判とは

 2016年3月18日、福岡県内に住む元男子学生が、防衛大学校の学生寮(神奈川県横須賀市)で起きた暴行事件を巡り、「上級生らからいじめを受け、大学側も適切な対応を怠った」として、国と上級生ら計8人に慰謝料など計約3697万2380円(学生1400万円・国2297万2380円)の賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こしました。
教官については「暴行を認識しつつ、助けたり予防したりする対策をとらなかった」として安全配慮義務違反を訴えています。防衛大学校の実態を問う全国初の裁判です。
一審判決は昨年2月5日、学生7人の行為の大半を「指導の範囲を逸脱した」、「およそ指導とは言えず原告に苦痛を与えた」として、7人に計95万円の支払いを命じ、1人について請求を退けました。一方、集団的ないじめが原因との原告の主張は、「各被告の嫌がらせ行為に関連性は認められない」として原告の主張を避けました。
国(防衛大)に対する一審判決は昨年10月3日。どの学生が、いつどこでどのような加害行為を行うかは予見不可能であるとして、防衛大の安全配慮義務違反を認めませんでした。これは学生が学生を指導する学生間指導において、現実に多発する暴力を追認すると言わざるを得ない内容でした。今回の判決は学生間指導により、具体的な危険が発生する可能性がある場合には、この危険の発生を防止する具体的な措置を講ずべき義務も含まれる、と安全配慮義務の内容についてより踏み込んだ判断をしました。
国及び防衛大臣は福岡高裁の判決を受け入れ上告断念をすべきです。そして再発防止を徹底するべきです。

防衛大人権侵害裁判を支援する会 事務局長 前海満広

2020年12月9日

声明文

弁 護 団

 本件は、一審提訴が2016(平成28)年3月18日でした、国に対する一審判決は、2019(令和1)年10月3日でした。本日の高裁判決まで提訴以来、約4年9ヶ月が経過しました。
一審判決は、どの学生が、いつどこでどのような加害行為を行うかは予見不可能であるとして、防衛大の安全配慮義務違反を認めませんでした。これは学生が学生を指導する学生間指導において現実に多発する暴力を追認すると言わざるを得ない判断でした。
今回の高裁の判決は、学生間指導により、具体的な危険が発生する可能性がある場合には、この危険の発生を防止する具体的な措置を講ずべき義務も含まれる、と安全配慮義務の内容について、より踏み込んだ判断をしています。
その上で、防衛大は、学生間指導の実態を具体的に把握する必要があるのに、その意識を欠き、実態の把握のために調査等の措置を講じていなかったとしています。
本件で問題となる、学生による加害行為のうちA学生が、粗相ポイントの罰と称して、一審原告の体毛に火を付ける行為について、見回りにきた教官が、確認を怠ったこと、同じA学生が一審原告に反省文を強要していることを、母親が防衛大に情報提供したにもかかわらず、注意だけですませ、そのような事案についての対応の検討を防衛大内部で行わなかったこと、指導記録に記載しなかったこと、ボクシング部の主将B学生による暴行行為についても注意するだけで、情報共有しなかったことを安全配慮義務違反としました。さらに、一審原告2学年時に福岡帰省の事務手続き不備を指摘され、中隊学生長のC学生から暴行行為を受けた際、指導を指示した教官が、C学生が暴力を振るう可能性があると認識できたとしてやはり安全配慮義務を怠ったとする。
しかし、やはり事務手続き不備とされる件についてのD E学生の暴行、3年生のF学生の恫喝的指導、G H学生による一審原告に対する葬式ごっこと退学を迫る大量のラインスタンプの送付行為、相談室相談員が相談に訪れた一審原告に対して何の対応もしなかったことについては、安全配慮義務の違反を認めませんでした。
損害額については、請求額の約2300万円を大幅に減額しています。一審原告が請求していた幹部自衛官の収入と全国の平均収入との差額約776万円の他、慰謝料についても50万円しか認めませんでした。しかし他方で、医療費、休学により学生手当を受けられなかったことのほか、2学年で退学せざるを得なかったことによる、3学年と4学年の学生手当を失ったことによる損害賠償を認めたことは評価に値します。
不十分な点はありますが、学生間指導に名を借りた3人の学生の加害行為について防衛大の安全配慮義務違反を認めたことは画期的で、学生間指導に司法のメスが入ったことを意味します。国と防衛大に対しては、この判決について上告せず受けり入れ、暴力が蔓延する防衛大の現状を改善することを強く求める次第です。

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