2023年、声明・申し入れ

2023年03月03日

関西生コン事件 正当な組合活動を弾圧する不当判決を許さない声明

労働組合活動に対する弾圧は、労働組合の権利を侵害するものであり、今後も同様の手法による攻撃がしかけられる可能性があります。このことから平和フォーラムは、関西生コン事件につき労働組合全体の問題としてとらえ、大津地裁判決について抗議声明を発信しました。また、関西生コンを支える会も同様の声明を発信しています。

平和フォーラムの抗議声明PDF
関西生コンを支える会抗議声明PDF

大津地裁の不当判決に対する抗議声明

本判決に、平和フォーラムは、渾身の怒りをもって抗議する。

3月2日、生コンの品質改善・労働安全の確保や法令遵守などを求める全日本建設運輸労働組合関西地区生コン支部(関生支部)のコンプライアンス活動が、恐喝未遂や威力業務妨害罪に問われた事件で、大津地裁(畑山靖裁判長)は、関生支部湯川裕司執行委員長に対して懲役4年の実刑判決を、執行委員など5人に対して懲役3年から1年(執行猶予つき)の判決を言い渡した。

労働組合活動に関する裁判における殺人罪(懲役5年以上)並みの実刑判決は、前代未聞と言って良い。これまでの判例や法解釈を大きくこえる今回の判決は、労働組合による労働者の権利を守る正当なとりくみを犯罪と認定するきわめて恣意的な判断であり、労働者の権利を規定する憲法規定に反するもので決して許されない。

近年、コンプライアンス(法令遵守)は企業においても活動の重要な要素として周知徹底が図られている。個人情報の流失、安全への脅威、労働災害や過労死など、法令違反は多くの問題を引き起こす。2020年には「公益通報者保護法」が改正され、規模の大きい企業や医療法人、学校法人、その他公益法人等に「内部通報制度」の整備が義務付けられた。コンプライアンスの徹底は、いまや企業活動の基本をなしている。企業の社会的責任が重要性を増す今日、労働組合によるコンプライアンス活動は、国際的にも当然に行われ、正当な企業活動を支える重要な柱となっている。

しかし、本判決は、法的手続を踏んで労働組合と認定されている関生支部を暴力組織と同様に扱い、企業の法令違反を不問に付してコンプライアンス活動を「恐喝」と認定している。しかも、「強要の証拠はないが、企業が関生支部の行う産業政策へのカンパを行う理由もないから、関生支部がカンパを強要したと推認される」とする。あまりにも稚拙で恣意的な判断に開いた口がふさがらない。また、取り調べに際しての検察官の「関生を削る」との発言に明らかな団結権の侵害行為に関しても、「捜査過程で職務違反があったとは認められない」と一蹴した。企業の法令遵守を求め労働者の権利を確保しようとする労働組合への、検察と司法が結託した大弾圧としか言いようがない。

関生支部に対しては、ストライキが威力業務妨害、正社員化の要求や就労証明書の請求が強要、雇用確保の工場占拠闘争が恐喝などとするなど、でっち上げと言える事件・裁判がこの間10件以上にのぼっている。このような事態は常識では考えられない。このような公権力の不当な弾圧の中で、労働組合が正常な機能を確保することは困難といえる。その意味で、本判決を含めこの間の状況は憲法に規定される労働者の権利を著しく侵害するものである。

平和フォーラムは、労働組合が担う社会的役割が正当に行使される状況をつくりあげ、労働者の働く権利を確保できる社会をめざす。本判決の持つ意図を許さず、裁判勝利を求めて闘いを強化する。

2023年3月3日
フォーラム平和・人権・環境
(平和フォーラム)
共同代表 勝島一博
藤本泰成

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