声明・申し入れ、2006年

2006年01月23日

米国産牛肉は安全か?―BSEを問う消費者・生産者緊急集会決議文「デタラメ米国産牛肉輸入を糾弾する」

決議文「デタラメ米国産牛肉輸入を糾弾する」

 
 2005年12月12日、日本政府はBSE発生国であるアメリカ・カナダ産牛肉の輸入再開を決定し、食肉事業者は早くも輸入を開始しました。この政府決定は食品安全委員会の12月8日の答申に基づくものでした。この答申は多くの仮定に基づくものでありアメリカ・カナダ産牛肉の安全性を科学的に証明したものではありません。加えて、そこで指摘されていた、アメリカでのBSE対策と日本向けの輸出プログラムが守られればという仮定は、2006年1月20日にアメリカから輸入された牛肉の成田空港検疫所での検査でもろくもくずれました。輸入牛肉390キロからSRM(特定危険部位)の脊柱が発見されたのです。また、アメリカでは家畜の飼料・代用乳・人工乳に肉骨粉、牛脂、血粉、を使用するなど、動物の共食いが依然として行われていることもBSE対策のずさんさを示しています。アメリカから輸入された牛肉には骨付きのものも認められていたことも問題です。
 本緊急集会に集まった私たちは、こうした食の安全をないがしろにしたアメリカ政府のやり方を糾弾するとともに、輸入再開を拙速に決定した厚生労働省・農林水産省の責任を問い糺します。また食品安全委員会は12月8日の答申を撤回し、ただちにアメリカ・カナダ産牛肉の安全性評価の見直しを行うべきです。関係機関は当面以下の要請に応え対策をとられることを要請します。
 
 
1.アメリカ政府は日米合意を反故にし、食の安全をないがしろにした行為を日本の消費 者に謝罪すべきです。
2.日本政府がアメリカ・カナダ産牛肉の輸入再開を決定した責任を糺します。アメリカ 産ばかりでなくカナダからの輸入停止を求めます。
3.政府は、脊柱が発見された390キログラムのロットの牛肉を積み戻しまたは焼却処 分させるだけでなく、すでに輸入された約1500トンのアメリカ産牛肉、またカナダ産牛肉につき、その輸入業者のリストを公開したうえで、それらの牛肉の行方を明らかにし、それを販売停止にして回収し、全量焼却処分すべきです。
4.食品安全委員会はアメリカ・カナダ産牛肉の再評価を行う必要があります。その際に は日本で実施されているBSE対策である、全頭検査、トレーサビリティ、全頭からのSRMの除去、肉骨粉の禁止を基準に評価すべきです。そして日本が輸入する可能性のある牛肉を生産する国のBSEリスクを評価し、ランク付けすべきです。
5.牛肉およびそのすべての加工品の販売、外食、中食において、原料・原産地表示を義 務化することを求めます。消費者の選択権を確保し食の安全を実現するためには政府ば かりでなく、事業者の情報開示が必要だからです。
6.アメリカ産牛肉の輸入再開をめぐるメディアのあり方については、食品安全委員会の 05年12月8日の答申を「アメリカ産牛肉の安全性を認めた」などと歪曲して伝えた一例があります。今後マスメディアは政府や業界にすり寄ることなく正確な情報を国民に伝えることを求めます。また、政府においては情報公開を徹底するとともに、誤ったマスメディア情報はすみやかにただすよう求めます。
 
以上
 
2006年1月23日
「BSEを問う消費者・生産者緊急集会」参加者一同
 
連絡先:日本消費者連盟事務局
東京都新宿区早稲田町75日研ビル2F
Tel:03-5155-4765 Fax:03-5155-4767
Mail:nishoren@jca.apc.org

 

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