声明・申し入れ、2007年

2007年11月13日

新テロ特措法の衆議院本会議での可決に対する抗議声明

フォーラム平和・人権・環境事務局長 福山真劫

 福田内閣と自民党・公明党は本日、衆議院本会議において、新テロ特措法を可決しました。米国の軍事政策に無条件に追従する福田内閣に対して、フォーラム平和・人権・環境は強く抗議します。

 2001年9月11日、米国で同時多発テロが発生しました。10月7日には米国が、自衛権の行使によりアフガニスタンのタリバン政権への攻撃を開始し、以来6年間に及ぶ戦争が続いています。この間、01年11月13日には首都カブールが陥落してタリバン政権は崩壊、12月22日にはカルザイ議長(現大統領)を中心に暫定行政機構が発足しました。しかし05年後半からはタリバン派の攻勢が激しくなり、現在のアフガニスタンは、カルザイ現政権派とタリバン前政権派との内戦状態になっています。

 米国は「9.11同時多発テロ」を、イスラム原理主義組織アルカイダの犯行と認定しました。自衛権は国際法上、「国家」と「国家」の関係で認められるものであり、相手がアルカイダのような非国家集団の場合は、警察的な手段で対処しなければなりません。またタリバン政権は、アルカイダがアフガニスタンに拠点を置くことを認め、協力関係にありましたが、「9.11同時多発テロ」に直接関わっていたわけではありませんでした。アルカイダと関係があるだけで行われたアフガニスタンへの侵攻は、そもそも国際法違反なのです。

 国際法は自衛権の行使に際して、急迫不正の侵害があることを重要な用件にしています。「9.11 同時多発テロ」から6年が過ぎ、タリバン政権が崩壊した後の軍事行動を、自衛権の行使と認めることはできません。さらに国際法は、内戦状態にある国の一方を軍事的に支援することを禁じています。米国によるアフガニスタン侵攻とその後の占領・戦闘は、国際法に違反する行為なのです。

 日本政府は01年11月にテロ特措法を成立させ、海上自衛隊の補給艦と護衛艦をインド洋に派遣して、米同盟軍艦船への燃料補給活動を開始しました。6年間続いた活動で、延べ59隻の海上自衛隊艦船が参加し、794回にわたって補給活動を実施、日本が提供した燃料は221億円分で、自衛官の人件費などを含めた日本の負担総額は約600億円です。

 長期にわたって自衛隊を海外での戦争に参加させ、多額の費用を支出しているにも関わらず、自衛隊と日本政府は、国会に対してさえ十分な報告を行っていません。そうした中で新テロ法案の審議を通して、1)海上自衛隊の補給艦から間接補給を受けた空母キティーホークが、イラク作戦に従事していたこと、2)海上自衛隊からキティーホークに提供した燃料80万ガロンを20万ガロンと誤報告し、間違いが判明した後も海上自衛隊は政府に報告せず事実を隠蔽していたこと、3)海上自衛隊艦船の航海日誌が、不正に廃棄されていたことなど多くの問題が明らかになりました。

 海上自衛隊の戦地派兵と米軍支援は、そもそも日本国憲法に違反します。しかしそれだけではなく、文民統制の原則を踏みにじる行為が、海上自衛隊によって行われていたのです。

 アフガニスタンでは今なお、米軍の攻撃によって多くの市民が犠牲になっています。新テロ特措法を成立させ、自衛隊による米軍支援を再開させるわけにはいきません。フォーラム平和・人権・環境は、新テロ特措法の成立を止めるために、民主党・社民党など野党と連帯して、全力で取り組みます。 

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