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教科書協会の教科書検定審議の非公開要請に反対し、教科書検定の透明性を求める声明 

2008年6月20日

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フォーラム平和・人権・環境事務局長 福山真劫

 2007年3月末に公表された「沖縄戦における日本軍の集団自決への関与を否定した文部科学省の検定意見」は、沖縄戦を経験した多くの沖縄県民の反発を買いました。沖縄県議会および沖縄県市町村議会のすべてで検定意見撤回の意見書が上がり、9月29日には検定意見撤回を求めて県民11万人が結集する大集会が開催されました。2007年12月には、教科書会社からの訂正修正を文科省が受け入れるという形で、教科書記述の一定の修正が行われました。その後、2008年3月には、岩波出版社の出版物に記述された「沖縄戦での日本軍指揮官の自決命令」の有無を争った裁判の判決においても、この間の沖縄研究の成果や住民証言を踏まえ、歴史事実を科学的に判断し、日本軍指揮官が自決命令を発したことを直ちに真実と断定できないが、その事実について根拠があると評価できるなどとして、「集団自決」には日本軍が深く関与したと認定しています。「集団自決」に日本軍の関与があったことは明白な歴史事実とされ、日本軍関与の記述の削除を求めた検定意見は誤りであったことが明確になっています。

 このような誤った検定意見がついた原因に、教科書の検定が国民に対して全く非公開で行われていることが指摘され、国民の批判を受けました。「教科書検定審議会」に、沖縄戦の専門家がおらず、文科省の職員である検定調査官が作成した恣意的ともいえる誤った検定意見が、何の議論もなく発表されたことが明らかにされています。

 渡海文部科学大臣は、「様々な疑義が生じないためには、(検定審議会は)公開ということが大事ではないか」と発言し、2008年2月28日に開催された教科書検定審議会総会において「これまでも検定意見を文書で公表するなど、できる限り透明性を向上するよう図ってきたが、いろいろな指摘をふまえて、さらにいっそう向上させる方策が具体的にあるか、ということをご検討いただきたい(事務局答弁)」として、その審議を要請しました。

 しかし、新聞報道によると、教科書会社の業界団体である教科書協会は、2008年6月16日、「教科用図書検定調査審議会(以下、教科書検定審議会)」の求めに応じて、「教科書検定の審議の過程は公開を避け、検定決定後とすべきだ」「執筆者を含め、検定に関わる者は守秘義務を果たすべきだ」との見解を示しましたとされています。教科書協会は、協会内に設置されている「検定専門委員会(委員29人)」を開かずに、正副委員長5人が作成した素案を協会の正副会長が了承することで見解をまとめたとしています。加盟出版社44社の教科書協会の公式見解とするには、あまりにも粗末な議論経過であるといえます。

 教科書協会は、非公開の理由に「予断や憶測などの流布を防止し、公正中立な審議の確保」をあげています。しかし、この教科書検定の改善のための教科書検定審議会の審議が、教科書検定がこれまで非公開の密室の中で行われてきたために、教科書審議官の恣意的ともとれる誤った検定意見が何の批判もなくとおり、沖縄県民、国民の大きな批判を浴びたことへの反省にたって行われていることを考えれば、非公開とする理由には当たりません。加えて、執筆者等へも守秘義務を課すことは、議論の透明性をより阻害することにつながり、これまでの議論の経過からいって許されません。私たち平和フォーラムは、教科書協会に対し、もう一度教科書作成の原点にたって今回の見解を撤回することを、強く要請するものです。

 教育は国民の義務であり権利です。その根幹をなす教科書は、主権者たる国民の要求から作成されなければなりません。将来を担う子どもたちに、何をどのように教えていくかは、本来国民の議論にゆだねられるべきものです。国民に対して教科書検定の審議を公開することでこそ、審議官が主権者である国民の側にたって真摯な議論を重ねていくことができるのです。そして、恣意的な意見を排除していくことができるのです。また、公開することで多くの国民の意見や専門家の意見を反映することができるとも考えられます。非公開でなくてはならない議論は、国民の期待に背を向けるもので、それこそ排除されるべきものです。

 平和フォーラムは、教科書の制作段階から、公開の原則を徹底し、教科書それぞれの内容を国民に知らしめること、そして、そのことを基本に公開の場で教科書の審議が行われるよう教科書検定制度の改善を求めるとともに、このような流れに逆行する教科書協会の見解について、直ちに撤回されることを強く要求します。 

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