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松江市教育委員会による「はだしのゲン」閲覧制限措置に対する見解

2013年8月21日

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2013年8月21日
 

松江市教育委員会による「はだしのゲン」閲覧制限措置に対する見解

 
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 藤本泰成
 
 故・中沢啓治さんの漫画作品『はだしのゲン』について、島根県・松江市教育委員会が2012年12月、市内の小中学校に対し図書室での閲覧制限措置をとるよう求め、『はだしのゲン』を所蔵するすべての学校がこれに応じていたことが明らかになりました。
 
 昨年8月に「『はだしのゲン』は間違った歴史認識を植え付ける」とする陳情が松江市議会に上がったものの、陳情は全会一致で不採択となりました。しかし、松江市教委は事務局の判断で、「過激な描写があり、子どもが自由に読むのは不適切」とし、各小中学校での閲覧を制限するよう校長会において要請したものです。多くの市民・学校関係者などからの批判を受けて、松江市教委は要請の撤回を視野に再検討を行うとしています。
 
 『はだしのゲン』は原爆被害の実相を伝える作品として、これまでに高い評価を得ています。また、約20カ国語に翻訳され、世界の人々にも読まれているものです。戦争の実態を知り平和の尊さを学ぶことは、侵略戦争の反省に立つべき日本にとって教育の重要な要素であり、平和教育を推進すべき教育委員会がとる判断として、失当であると考えます。
 
 松江市教委は「過激な描写」が問題であるとしていますが、戦争自体が残酷なものである以上、そのことを隠して戦争の実相を伝えること、そして理解することは困難です。子どもたちから戦争を考えることを奪う行為に他なりませんし、何をどう描き、何を伝えようとしたのか、そのことを踏まえない今回の規制は、表現の自由を侵すおそれがあるものです。直ちに撤回することを心から要請します。
 
 この間、歴史認識に関して、侵略戦争や植民地支配を否定する考えや、国家主義的な考えに基づく陳情が各地で繰り返し行われています。例えば神奈川県でも、「日の丸・君が代」に関する記述から、特定の教科書の不使用を要求する陳情が行われました。この陳情が不採択となったにもかかわらず、神奈川県教育委員会はこの教科書を選択しないよう各校に要請したことが明らかになり、問題になっています。 
 
 教育は市民社会全体で責任を負うものであり、政治的な思惑に基づいた陳情によって左右されてはなりません。教育は、憲法の理念に基づいて、各学校の方針、生徒や地域社会の実態、直接子どもたちの教育に携わる保護者・教職員の考えなど、各学校が総合的な判断からその責任によって行うものであるべきだと考えます。
 
 日本国憲法前文には「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」とあります。この理想に向けて、次代を担う子どもたちが胸を張って進んでいくために、そしてまた、過去の歴史をしっかりと見つめその反省に立ち、憲法で保障された国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を基本にした教育の発展のために、教育行政はすすめられなくてはならないと考えます。
 

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