声明・申し入れ、2014年、東北アジア平和キャンペーン

2014年06月11日

日朝国交正常化を求める連絡会/見解 日朝交渉の着実な一層の前進を期待する

2014年6月11日

見解 日朝交渉の着実な一層の前進を期待する

日朝国交正常化連絡会
(東北アジアに非核・平和の確立を!
日朝国交正常化を求める連絡会)
事務局長 石坂浩一

   2014年5月29日、安倍晋三首相は日朝協議における合意事項を発表した。発表によると、日朝平壌宣言に基づき不幸な過去を清算し国交正常化の実現をめざすため、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が「すべての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に日本人に関するすべての問題を解決する意思を表明」し、日本側は包括的調査のための特別調査委員会が立ち上げ調査を開始した時点で北朝鮮への規制措置を緩和することに合意したという。2008年に北朝鮮が再調査に合意しながら、その後前進のなかった日朝交渉において、このような合意がなされたことは貴重であり、歓迎したい。
   今回の合意について、日本のマスコミでは拉致問題にばかり目を奪われているが、この間北朝鮮に残された日本人の遺骨等に関する発掘・調査が着実に日朝間の協力で行なわれてきたことも、見逃すことのできない要因になっている。私たちは歴史を直視し過去を清算する課題と、今まさに直面する東北アジアにおける平和定着の課題とを、ともに担っていくべきことが、あらためて確認されたことになる。
   その後、週刊誌などでは安倍首相訪朝といった情報が飛び交っているものの、今後の方向はまだはっきりとは見えていない。東北アジアの市民社会が今後の動向をしっかりと見守り、平和の定着と歴史の清算の方向へと促していくことが求められている。
   現在の状況には懸念材料も存在する。安倍首相は集団的自衛権をめぐる閣議決定を急ぎ、東北アジアにおける周辺国の憂慮を呼び起こして、日本の将来に大きな不安を投げかけている。また、朝鮮学校に対する無償化除外という非人道的措置について日本政府は説明していない。この合意を機会として、安倍政権が日本をこれ以上軍事的に危険な方向へ導こうとする意図を放棄し、今後、拉致問題などで交渉が行き詰まっても緊張を高める政策をとらないよう、また、制裁措置により苦痛を受けた在日コリアンに対し謝罪するよう、一層の政策転換を促したい。。
   一方、北朝鮮は協議の過程で、核兵器を放棄することはないと言明したとも伝えられている。核兵器はどの国であろうと保有してはならないと考える私たちは、北朝鮮が核をはじめとする平和への取り組みを強めるよう呼びかけたい。。
   北朝鮮が平和に向けた努力を進め、日朝交渉、六者協議の過程で朝鮮半島の非核化をともに実現するパートナーとなるよう、日本政府に対して今後ますます交渉を通じて努力していくよう求めたい。同時に日朝関係の改善は、韓国に対する誠実な外交姿勢なくしてはうまく進むはずがない。今日、葛藤が高まっている韓国との関係を改善し、相互理解と協力のもと、日朝交渉がよりつつがなく進められるように、日本政府が誠実な態度をとるよう促したい。

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