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2016年11月14日

憲法理念の実現をめざす第53回大会(護憲大会)まとめ 勝島一博事務局長

憲法理念の実現を目指す第53回大会に全国から参加された皆さんに心から感謝いたしますとともに、昨年の9月19日の戦争法の強行成立以降、憲法違反の集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回と戦争法の廃止を求めて全国の職場や地域で奮闘いただいた皆さんに心から敬意を表します。
また、各級選挙闘争が続く中、本大会開催に向けてご苦労いただいた富山県実行委員会の皆さんに心から感謝申し上げます。
さて、昨年の第52回青森大会では、この戦争法の成立に対し、安倍政権の暴挙を許さず、「自衛官を戦場に送らない」「殺すことなく、殺されることなく」をタイトルに据え、「戦争法」の発動を許さず、その廃止に向けて粘り強く取り組むことを全体で確認しました。
そして、この1年間の戦争法の廃案を求める2000万署名運動をはじめとしたさまざまな取り組み経過を踏まえ、今回は、「譲れない命の尊厳!人権・戦争・沖縄」というタイトルのもと、第53回護憲大会を開催することとなりました。
少しの時間をいただき大会基調を提案させていただきますが、限られた時間の中で全体に触れることはできません。お手元に基調をお配りしておりますので詳細はお読み取りいただくとして、私からは、4点に絞って提案することをお許しいただきたいと思います。

まず、1つ目の課題は、公布70年の節目を迎え大きな岐路に立った日本国憲法についてです。
過去の侵略戦争と植民地支配の反省から、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう」誓った日本国憲法が、安倍政権のもとでいよいよ戦争ができる国へと大きく変えられようとしています。
2012年の自民党の憲法改正草案の発表に始まり、特定秘密保護法の制定や昨年の憲法違反の集団的自衛権行使を容認する戦争法の強行成立。そして、先の参議院選挙により改憲勢力が3分の2を占めるなど、今国会での憲法審査会の開催と合わせて、安倍政権は9条改憲を柱とした明文改憲へと突き進もうとしています。
特に、憲法改正を党是とする自民党の憲法改正草案では、現憲法に貫かれた「天賦人権」に基づく「犯すことのできない永久の権利」としての基本的人権が否定され、また、国民主権が軽んじられ、あくまでも国があっての国民へと変えられています。さらに、先の戦争への反省はなく、9条の「戦争放棄」の題は「安全保障」に置き換えられ、「国防軍」が創設されることにより集団的自衛権が全面的に認められ、国内の治安維持にも「国防軍」が展開されようとしています。
さらに、「公益及び公の秩序」の名のもとに基本的人権が制限されるばかりか、 立憲体制を一時停止させる「緊急事態宣言」という制度も設けられています。
一方、「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防衛」などの新任務を付与された南スーダンへのPKO部隊の派遣は、15日にも閣議決定されようとしています。この新任務の付与は武器使用基準の緩和と合わせ、事実上の内戦状態の中で隊員らは武力行使を行うことになり「殺し殺される」現実がすぐそこまで近づいているといえます。
新任務による派遣はまさに憲法違反であり派遣中止に向けた早急な取り組みが求められています。
このように、加速する憲法改正や新任務によるPKO部隊の派遣など、いよいよ、巨大な安倍政権に対し、日本における立憲主義、民主主義、平和主義を守る闘いが正念場を迎えています。ありとあらゆる闘を全国で展開していかなければなりません。

2つ目の課題は、安倍政権のもとで進められる軍学共同体制や軍需産業の育成についてです。
2017年度の概算要求では、軍事に応用可能な大学や独立行政法人の基礎研究に対する助成額が2015年度の3億円から2017年度には110億円へ著しく拡大されていることに注目しなければなりません。日本学術会議はこうした軍事研究を後押しする制度に対し、かつて科学者が戦争に協力した反省から、戦後2 度にわたって「戦争目的の軍事研究はしない」とする声明を決議するとともに、現在も軍学共同に異を唱える大学も数多くあります。このような防衛省資金に対する学術研究への助成を警戒するとともに、軍事と学術研究の一体化に警鐘を鳴らしていかなければなりません。
また、ここ数年、経済界からの要望により軍需産業を育成して経済危機を乗り切ろうとする動きが活発化してきています。
これを受け、安倍首相は、2014年4月には武器輸出三原則を撤廃、新たに「防衛装備移転三原則」を決定し、武器輸出や他国との共同研究が自由化されることになりました。
そもそも、武器輸出三原則は、これまで他国が武力を保持することに日本が加担しないことを決めた原則で、日本経済が生産と武器の輸出に依存しないように歯止めをかけ、武器に対する日本経済の常習性(依存度)を低くとどめる効果をもった原則でもありました。
この武器輸出三原則については、国会決議も行われましたが、その内容は、憲法の平和主義に基づき、衆参両議院で国会の総意として可決されたものです。したがって、安倍政権下で国民的議論や国会審議もほとんどなく一内閣の閣議決定で変更できるものではありません。
その後、2015年10月には武器輸出や武器の開発・生産、調達などを担う防衛装備庁が新設されましたが、この防衛装備庁により日本の産軍複合体が強められていくことを警戒しなければなりません。
戦後、日本は、憲法9条のもと、平和主義を掲げ戦争に加担しない国づくりをめざしてきました。しかし、武器輸出の国策化はこの流れに明らかに逆行するものです。
また、武器輸出を禁じた政策は、世界に例のない貴重で先進的な原則でした。本来なら、武器の代わりに武器輸出を禁じた武器輸出三原則こそ世界に輸出し広めるべきではないでしょうか。
一方、2015年7月には防衛省の後押しで、横浜で国内初の大規模な兵器展示会が開催され、日本から海上自衛隊と共に20社が参加しました。さらに、2017年5月には幕張メッセで2回目の展示会が予定されています。このように近隣諸国の紛争を日本のビジネスチャンスにするなど許すわけにはいきません。
戦後、日本は、憲法の平和主義に基づいて戦争に加わることはありませんでした。そして、武器を輸出しない、「死の商人」にはならないとする日本のモラルはその象徴でもありました。
また、日本製の武器によって人が殺されるということが現実となればその被害をこうむった国や人たちは当然日本を敵国とみなすことにもなりかねません。安倍政権は、武器輸出を「防衛装備移転」という言葉でごまかそうとしていますが、みなさん、ほんの少し想像力を働かせてみて下さい。武器が輸出されたその先に人が殺される光景を思い浮かべることは容易なことではないでしょうか。
いわゆる「原子力ムラ」がそうであるように、いったん「兵器ムラ」という軍学・軍産複合体という利益共同体 (相互の依存体質) ができてしまうと引き戻れなくなり、取り返しのつかないことになりかねません。今が正念場であり、憲法の平和主義を守る闘いと位置づけ、日本の武器で人を殺し殺されることがないようとりくみを強めなければなりません。

3つ目の課題は、沖縄です。
現在、米軍施設の74%が日本の0.6%の面積の沖縄に集中しています。そして、沖縄県民は、基地あるが故の事件・事故が多発するなど過重な負担を負わされ続けています。
1996年には、その前年の少女暴行事件を契機に発足した日米特別行動委員会で米軍普天間基地を5年ないし7年以内で日本に返還することが合意されました。しかし、20年たった今も普天間基地は返還されず、今年の5月には、またしても元海兵隊員による女性暴行殺害事件が起きるなど米軍関係者による凶悪犯罪も後を絶ちません。
また、普天間基地の返還とあわせ、日本の主権が制限されている日米地位協定の抜本的見直しも強く求められてきましたが、協定そのものの見直しは今日まで行われず運用の見直しにとどまっています。
また、辺野古新基地建設をめぐっては、15年10月13日、翁長雄志知事による仲井眞前知事の「辺野古埋立承認」の取り消し以降、国が翁長知事を訴えた代執行裁判で3月4日に「和解」が成立し、現在新基地建設は一時中断しています。
しかし、7月22日、国が「不作為の違法確認訴訟」を福岡高裁那覇支部に提訴した結果、9月16日、福岡高裁那覇支部は、翁長知事が埋立て承認の取り消しを取り消すよう求めた是正指示に従わないのは「違法」であるとして国側全面勝訴の不当な判決を言い渡しました。
この判決内容は、新基地建設の妥当性にまで踏み込み、埋立承認を取り消したことを「日米間の信頼関係を破壊するもの」とまで言い切りました。また、辺野古新基地建設反対の民意についても、「反対する民意に沿わないとしても、基地負担軽減を求める民意に反するとは言えない」「普天間飛行場の被害を除去するには新施設を建設する以外にない」と述べ、県側の主張はすべて否定し、「辺野古が唯一」とする国の代弁者と間違えるほど国の主張を全面的に追認する不当な内容となっています。非政治的であるべき司法権の独立とは何なのか強い疑問を持たざるを得ません。
翁長知事は、この判決に激しい憤りを表すとともに、「長い長い闘いになろうかと思う。新基地は絶対に作らせないという信念を持ってこれからも頑張っていきたい」と表明しています。
一方、7月11日、突然国は、米軍北部訓練場のヘリパッド建設に強制着工しました。そして、強制着工にあたっては、警視庁をはじめとする全国から500人規模の機動隊を動員し、抗議する市民に暴力を加え排除するとともに、県道を長時間にわたって封鎖し工事資材等を運搬する大型ダンプを先導しています。
一方、世界は今、「自然と共生する社会」の実現に向け進み始め、日本も生物多様性条約を締結し、それに沿って、沖縄でも2013年に「生物多様性おきなわ戦略」がつくられました。
この計画は、沖縄の未来を創る素晴らしい計画です。
しかし、ヘリパッド建設の名のもとに、生物多様性に富み、希少種が多く、現在世界遺産への登録も目指しているやんばるの森は、オスプレイが飛び交い、伐採手続きを経ずに木々を切り倒す違法行為すらまかり通っています。まさに、「自然と共生する社会」を否定する行為以外の何物でもありません。
また、この間の、個人を名乗った沖縄防衛局の行政不服審査請求や、地方自治法を踏みにじる国の代執行訴訟に対し、多くの行政法学者が政府の手法を「適法でない」と指摘するとともに、翁長知事は「訴権の濫用」と厳しく批判しています。
このように、原発再稼働や戦争法成立と同様に、辺野古・高江の新基地建設においても、沖縄の民意も顧みず、法を乱用し基地建設に向けた手続きや工事をやみくもに進める。まさに法治国家、民主主義国家を破壊する行為が行われています。
そして、この沖縄の姿は日本の映し鏡であり、辺野古問題を私たち自身が自らの課題として取り組むことが今求められています。
また、現在、沖縄の闘いの先頭に立って闘いを指導してきた山城平和運動センター議長が不当逮捕され拘留されています。このことに強く抗議するとともに、今後、最高裁に向け、12月10日には「高江オスプレイパッド、辺野古新基地の建設を許さない!東京集会」やこの東京集会と連動した全国の同時アクションが予定されており、現在進められている署名活動と合わせて多くの方の参加をお願いいたします。

最後に、脱原発社会への転換を求める取り組みについてです。
福島原発事故から5年半が経過しましたが、いまだに9万人近い被災者が避難生活を余儀なくされ、子どもたちの甲状腺問題、原発労働者の被曝、中間貯蔵施設や避難住民の帰還と補償の打ち切りなど課題は山積しています。
そして、多くの国民は脱原発社会を求め、再生可能エネルギーへの転換を求めています。しかし、政府はこうした声を無視して2015年8月11日の鹿児島川内原発に続き、翌年には、福井県・高浜原発や愛媛県・伊方原発を再稼働させました。
さらに、現在、再稼働に向けて、原子力規制委員会で新規制基準に基づいて21発電所28機の審査が行われていますが、この中で、あろうことか老朽原発を60年間継続運転しようとする流れが定着しようとしています。
安倍政権は、2030年度の電力供給における原発比率を20~22%にする計画を掲げるなど、いよいよ本格的に原発推進路線へ立ち返ろうとしており、脱原発社会を求める多くの国民の声とは真逆の方向へ進もうとしていると言えます。
一方、3月9日の大津地裁の稼働中の高浜原発の運転差し止めの仮処分決定や、三反園鹿児島県知事の川内原発の停止要請など、司法や行政による原子力発電への警鐘もならされ始めています。
そして、10月16日投開票で行われたお隣りの新潟県知事選挙は、原発再稼働反対の声を背景に、再稼働に慎重な米山隆一氏が与党の原発推進候補を約6万票の大差で破る結果となったことも新潟県民の民意の表れとして注目しなければなりません。
さて、現在、核燃料サイクルの中心施設である「もんじゅ」に廃炉の方向が出されようとしています。この「もんじゅ」の廃炉は、これまで進めてきた核燃料サイクルの破綻以外の何物でもなく、廃炉を契機に、私たちは改めて脱原発社会の実現に向けて原発政策の抜本的な見直しこそいま求めていかなければなりません。

以上大変雑駁ではありましたが、基調に盛り込まれたいくつかの課題について触れさせていただくとともに、3日間参加者の皆さんの討論によってさらに豊富化されることをお願いし、基調の提案とさせていただきます。

 

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