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政府の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)方針に関する見解

2010年11月10日

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政府の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)方針に関する見解

フォーラム平和・人権・環境
事務局長  藤本 泰成

 政府は11月9日の閣議で、「包括的経済連携に関する基本方針」を決定した。基本方針では、日本が主要貿易国間の自由貿易協定の取り組みが遅れているとして、すべての品目を自由化の対象とした包括的経済連携を強化するとしている。
  特に焦点となった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)については、「その情報収集を進めながら、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」とされている。菅首相が所信表明を行ったような「参加」を必ずしも前提としていないとされているが、今後の動向は予断を許さない状況にある。
  平和フォーラムはTPPに関して、食料や農業、環境等に与える影響が大きいことから、慎重な検討が必要であるとし、この間の対応に当たってきた。改めて、TPPで懸念される問題点を指摘する。
1) TPPでは、関税の例外ない撤廃を迫られることから、農業への打撃が大きく、農水省の試算でも生産額は現在の半分にまで減少するとされている。特に最大の食料基地である北海道や、特産物の多い沖縄などへの影響は大きく、地域経済も大きく落ち込むことが予想される。なお、日本の農産物の平均関税率は他国に比べてかなり低く、高関税品はわずか1割程度の基本的な農産物にしかすぎず、閉鎖的との指摘は当たらない。
2) 国内農業が打撃を受けた場合、食料自給率は大幅に低下する。現在でも先進国中最低の40%であるものが、14%まで低下するとの試算も出されている。世界的に食料需給のひっ迫が予想され、輸出国では禁輸措置が取られることも頻発している。また、自給率を10年後に50%に引き上げる基本計画にも逆行する。
3) 農林業の崩壊は環境や国土保全、景観維持、生物多様性などの多面的機能を著しく損なうことにつながる。また、地域経済への影響も大きく、都市と地方の格差拡大、過疎・過密をさらに促進することにつながる。
4) TPPは農業・食料以外にも、国内の様々な工業、金融、医療、労働者の移動も含むサービス分野など広範な内容を持っている。こうした産業や労働者への影響はほとんど論議されていない。
5) 今回のTPP構想は、アメリカ主導で進められているものである。現在、日中韓とASEANとの経済連携(ASEAN+3)の検討が進められアジア経済圏形成か図られようとすることに対するアメリカのけん制であることが指摘されている。さらに、TPPに中国や韓国は参加しないため、これまで政府が進めてきた東アジア共同体構想とも矛盾するものである。
6) 世界の貿易等のルール作りは、本来は世界貿易機関(WTO)において進められるべきである。世界大戦の原因となったブロック経済の反省から生まれた国際的な協議機関を軽視することを進めていくべきではない。なお、現在の農産物輸出国に有利なWTOのルールの改正も目指す必要がある。

 以上のように、TPPは多くの問題点や懸念を抱えており、これらについて正確な情報や分析がなされていない段階では、軽々に参加を前提とした協議を進めるべきではない。特にアジアとともに持続的発展を目指すことこそ、長期的な「国家戦略」とすべきであり、農業など第一次産業への懸念を払拭する国内の抜本的政策が示されないまま、短期的な一部輸出産業の利害のみで判断すべきではない。
  平和フォーラムは今後とも、農業を含む各国の産業が共存できる貿易ルールを求めて運動をおこなっていく。また、環境保全的農業の発展を含む農業基盤の維持強化によって食料自給率向上と食料安全保障の確保をはかるよう求めていく。

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