声明・申し入れ、2018年

2018年03月15日

山城博治沖縄平和運動センター議長ら3人への不当判決に抗議する

 山城博治沖縄平和運動センター議長ら3人への不当判決に抗議する

フォーラム平和・人権・環境
共同代表 藤本泰成
 
 3月14日、那覇地方裁判所(柴田寿宏裁判長)は、辺野古および高江での米軍基地建設反対の抗議行動中に警察権力によって不当に逮捕され、公務執行妨害や威力業務妨害をねつ造した罪によって、5か月にもおよぶ長期勾留をされた山城博治沖縄平和運動センター議長など3人に対して、有罪の判決を下した。山城議長に対しては、「反対運動のリーダー的存在として主導的役割を果たし共犯者らの犯行をあおった」として懲役2年、執行猶予3年、稲葉博さんには、ブロックを積んで資材の搬入を妨害したとして威力業務妨害罪を認定し懲役8月、執行猶予2年、添田充啓さんには一部無罪としながら懲役1年6月、執行猶予5年を言い渡した。平和フォーラムは、憲法に保障される表現の自由を一顧だにせず、事件の背景を無視したこの不当な判決を、絶対に受け入れることはできない。
 この事件は、沖縄県知事選挙など様々な機会を通じて沖縄県民が示した「辺野古基地建設反対」の声に全く耳を貸さない日本政府が、米国の言いなりに新基地建設を強行する中で起こった。警察法は、その2条で「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」としている。しかし警察は、明らかに工事推進の国の側に立って、抗議する市民への負傷者も出るなどの暴力的な排除や一般道を長時間にわたって閉鎖する工事車両の優先的通行、工事従事者のパトカーでの搬送などの違法行為を繰り返してきた。また自衛隊のヘリコプターが工事車両を搬送するなどの驚くべき行為も確認されている。そのよう現場の状況をこの判決は何ら考慮していない。
 山城議長は「抗議活動の背景を見ず、行為のみに着目して論じている。形式的な不当判決だ」と記者会見で述べた。判決理由で柴田裁判長は、ブロックの積み上げを「表現活動の面を有する」としながらも「憲法で保障される表現の自由の範囲を逸脱している」「公共の福祉のためには表現活動は制限される」とした。警察権力を持って、威圧的に市民の反対運動を排除する国の姿勢が、県民が反対する米軍基地の建設が、公共の福祉に該当するとは考えられない。この状況の中で沖縄県民に許される「主権の行使」「民主的手続」とは何なのだろうか。判決は何も示していない。
 本土決戦の捨て石とされ悲惨な地上戦に追い込まれたあげくに、米国施政下に放り込まれた沖縄県民、本土復帰後も米軍専用施設の7割が集中し米兵による事故や事件が止むことのない中に止め置かれている沖縄県民が、「新しい米軍基地はいらない」とする声をどのように表現すればいいと考えるのか。判決は、沖縄県民の切実な声に何も応えていない。
 数の力を背景に暴走する安倍政権下において、立憲主義、民主主義、法治主義とは何かが問われている。私たちは諦めてはいけない、止まってはならない。そして、この判決を歴史に委ねてはならない。私たちの手で勝利を勝ち取らなくてはならない。山城議長と稲葉さんは即日控訴した。平和フォーラムは、不当判決に屈しない。新基地建設阻止のために辺野古に立ち続ける。沖縄県民とともに全国から訴え続ける。平和と民主主義のために。

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