2025年、声明・申し入れ

2025年11月06日

【平和フォーラム声明】関西生コン事件・国家賠償請求訴訟の不当判決への抗議声明

平和フォーラムは11月3日、以下の声明を発表しましたので、お知らせします。

関西生コン事件・国家賠償請求訴訟の不当判決への抗議声明

傍聴席は、虚を突かれたように静まり返った。団体交渉やストライキなどの正当な労働組合活動に加わった組合員が、恐喝や強要未遂の疑いで摘発された「関西生コン事件」を巡る国家賠償請求訴訟の一審判決が10月31日、東京地裁で出された。判決は「原告の請求を棄却する」というもので、労働組合への弾圧や組合つぶしを目的とした警察や検察、裁判所の違法捜査や⾧期拘留などの責任を不問とするこの不当判決に「関西生コン事件を支援する会」は満腔の怒りをもって抗議する。

「関西生コン事件」は、2018年7月~2019年11月にかけて、組合員延べ81人が逮捕され、延べ66人が起訴された事件である。会社や権力側が労働組合を反社会的集団とみなし、正当な組合活動を恐喝や威力業務妨害という犯罪としてでっち上げ、これを司法が追認するという驚愕すべき実態が明らかにされてきた。

組合員の刑事裁判は様々に分離併合されながら8つの裁判で審理され、2025年10月段階で既に4つの裁判が終結している。①和歌山広域協組事件は2023年3月に大阪高裁で組合員3人に逆転無罪判決が出され、検察が上告を断念して無罪が確定している。その他にも、②タイヨー事件、③コンプライアンス第2事件(ビラまき)、④加茂生コン第1事件の4件12人に対し無罪判決が確定している。日本の司法では起訴されると99.9%が有罪となる中、異例ともいえる率で無罪となっていることは、一連の摘発が労働組合の弾圧を目的とした不当なものであることが明らかである。

6月26日の最終弁論で再生された取調べの記録映像では、取り調べにあたった検事が「私は一人でやっているわけじゃない。警察と検察官は何人もいるからね。これを機会として、皆さん連帯きちっと削ってくださいよって話もあるわけですよね。当然やりますよ」という発言が明らかにされた。こうした恫喝といえる不当な取り調べの実態や、明らかに恣意的な捜査であったことがはっきりしているにもかかわらず、この日の判決では、「(検事の発言は)表現方法が適切だったかは疑問の余地がある」と指摘したものの、「組合を弾圧し、弱体化させる意図を述べたものとは解されない」とするなど、捜査過程の権力側の重大な不当性を一顧だにしないものであった。こうした国家権力と企業が一体となった労働組合への弾圧と敵視攻撃は、権力の乱用に他ならず、労働運動や草の根の市民運動を萎縮させる意図があったものと捉えざるを得ない。

戦前の軍国主義・全体主義の台頭は、労働運動の存在そのものが否定され、“産業報国”のスローガンによって1940年頃はすべての労働組合が自発的な解散に追い込まれ、日本は第二次世界大戦に参戦していくことになった。民主的で公正、公平な社会を実現するためにも労働組合が不当なことに毅然と異を唱える姿勢が問われ、その先頭にこの関西生コン事件があり、私たちの底力が試されている。「関西生コン事件を支援する会」は引き続き、今回の不当判決に屈することなく闘いを継続し、全国の仲間の皆さんとともに奮闘することを決意する。

2025 年11月3日
関西生コン事件を支援する会 事務局⾧
フォーラム平和・人権・環境 共同代表
染 裕之

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