憲法審査会レポート、2024年

2024年03月22日

憲法審査会レポート No.32

衆院憲法審査会開催をめぐる動き

この間、衆議院憲法審査会を開催しようという動きが続いてきました。3月21日には会長の職権で幹事懇談会が立てられましたが、野党筆頭幹事(予定)の逢坂誠二委員(立憲民主党)が出席を拒否、流会となりました。

改憲派は「裏金事件と憲法審査会は切り離すべき」「政局と一線を画して粛々と開催すべき」などと言いますが、裏金疑惑のある議員がいまだ委員として居座っている現状で不問とすることはできませんし、政局と一線を画すと言うなら自民党がみずから問題議員を全員更迭すべきです。

民意は改憲発議前提の憲法審査会早期開催など求めていません。むしろ裏金疑惑、統一協会との癒着疑惑の徹底究明こそが喫緊の課題です。腐敗した国会議員が憲法を語り、あまつさえ弄りまわそうなどというのはもってのほかで、「法を犯しているかもしれない議員を(憲法審査会に)存置したままというのは論外だ」という主張は当然と言うべきです。

3月17日、自民党大会が開催され、「総裁任期中」「年内の実現」と表現にブレはありつつも、ともかく改憲発議を叫びたてる方針を継続しています。こうした自民党の路線に急き立てられ、職権での強行開催へと突き進む可能性もありますが、その場合与野党合意のもと、静かな環境で…というこれまでの慣例を踏みにじることになります。

自民党などによる数に恃んだ横暴を許さないためにも、今後も憲法審査会をめぐる動向に、ぜひ注視していただきますようお願いします。

【参考】

立民、衆院憲法審の開催拒否 「裏金議員」説明を優先
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031200925&g=pol
“衆院憲法審査会の与野党筆頭幹事は12日、国会内で会談した。自民党の中谷元氏が14日の憲法審開催を提案したのに対し、立憲民主党の逢坂誠二氏は自民派閥の裏金事件への対応が先だとして応じなかった。”

改憲論議阻む「立民&共産」の壁 維新と国民民主は冷ややか 不記載事件理由に審議応じず
https://www.sankei.com/article/20240313-7YSFRRJL5JJ47BVTEWIXVHKG4A/
“…国民民主の古川元久国対委員長は13日の会見で、事件の追及は重要だと指摘しつつ、「憲法審の議論はやるべきだ」と強調した。また、維新の馬場伸幸代表も産経新聞の取材に「立民には付き合わない」と断言し、憲法審の早期開催を訴えた。”

憲法審査会の状況/逢坂誠二 #7743
https://ohsaka.jp/15378.html
“裏金はいくらだったか、裏金を何に使ったか、領収書はあるのか等の説明を通して、自分の正当性を主張する必要があります。
私は、憲法審の筆頭幹事として、この説明や正当性を主張する場として、政倫審への出席をお願いしています。特段、政倫審への出席にこだわるわけではありませんが、裏金の内容説明や自己の正当性の主張は極めて大事なことです。これがやれないなら5名の裏金議員が、憲法審において最高法規である憲法の議論を行うのは難しいと考えています。”

衆院憲法審、日程協議先送り 立共、「裏金事件優先」主張
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032101039&g=pol
“衆院憲法審査会は21日、森英介会長(自民)が職権で決めていた幹事懇談会の開催を見送った。与党は今国会初の審査会実施に向けて日程協議をしたい考えだったが、自民党派閥の裏金事件への対応が先決だとする立場を崩さない立憲民主党と共産党が欠席した。”

憲法審開催のめど立たず 裏金問題で野党が態度硬化「実態解明が先」
https://www.asahi.com/articles/ASS3P67CCS3PUTFK00H.html
“自民の中谷元・与党筆頭幹事は記者団に、政治とカネの問題は議論の場が別にあるなどとして、憲法審とは「切り離すべきものだ」と主張。だが、野党筆頭幹事に就任する見通しの立憲の逢坂誠二代表代行は「法を犯しているかもしれない議員を存置したままというのは論外だ」と反論。協議入りに応じなかった。“

恐ろしい?日本/逢坂誠二 #7751
https://ohsaka.jp/15400.html
“憲法審について、私が単に出席を拒否しているかのようは報道があります。
19日午後まで与野党筆頭間で憲法審の開催に向けて協議しておりました。
その時点での私の主張は次です。
*5名の裏金の内容説明
*裏金議員処分後の憲法審の対応方針
*岸田総理の憲法議論加速発言への対応方針
この3点を与党筆頭から伺った上で、来週28日の憲法審開催に向けて準備を検討しても良いと、私から話をしました。ところが19日夕刻、21日の憲法審幹事懇談会が、筆頭間の合意なく職権でセットされたのです。しかも懇談会で何を行うのかも知らされず。筆頭間協議の一方的な打ち切りとなったため、幹事懇談会に出席できるはずもないのです。これが経過です。
私から28日の憲法審の開催準備検討にも言及していますが、それすらも反故にしたのですから理解に苦しみます。”

総裁任期中の憲法改正へ議論加速と首相
https://nordot.app/1141929598847664926
“「党総裁任期中に実現するとの思いの下、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」”

自民党大会で首相が改憲に意欲 懸念は参院の「高い壁」 公明の対応が焦点
https://www.sankei.com/article/20240317-APE7NUTFZJIIZDZCWKBVE6XVDU/
“自民党は17日の党大会で採択した令和6年運動方針で、憲法改正に関し「年内の実現」を目指す考えを打ち出した。“

※改憲の時期的目標に関する共同記事(「党総裁任期中」)と産経記事(「年内の実現」)の齟齬は、大会における総裁演説の内容と、運動方針のなかの記述との不統一が原因です。

第91回党大会 岸田文雄総裁 演説(全文)
https://www.jimin.jp/news/information/207820.html
“そして、党是である憲法改正について、総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。“

令和6年党運動方針
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/207758_2.pdf
“来年は、自由民主党結党から70年の節目の年である。本年中にわが党の党是である憲法改正実現のため、国民投票を通じ、主権者である国民の判断を仰ぐことを目指す。“

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改憲をめぐる正念場!
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著者:吉田はるみ(立憲民主党・衆議院議員)
新垣邦男(社会民主党・衆議院議員)
打越さく良(立憲民主党・参議院議員)
杉尾秀哉(立憲民主党・参議院議員)
飯島滋明(名古屋学院大学教授)
編集:フォーラム平和・人権・環境
発売:八月書館
内容:A5判並製・76ページ
定価:本体900円+税

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