憲法審査会レポート、2025年
2025年11月21日
憲法審査会レポートNo.63
11月20日、今臨時国会2回目となる衆院憲法審査会が開催され、イギリス・ドイツ・EU本部の国民投票制度の調査団派遣(9月)の報告があり、偽情報対策などについて討議しました。なお、来週27日の幹事懇談会には船田元・与党筆頭幹事が、自民・維新の「連立合意」に基づき、憲法審査会への条文起草委員会設置を提案する可能性があります。
参院については幹事懇談会が19日に行われ、26日に今国会初の参院憲法審査会開催で合意しています。
【参考】
衆院憲法審、20日開催へ 偽情報対策の海外事例を報告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA132Z30T11C25A1000000/
参院憲法審、26日に初開催
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025111900475&g=pol
2025年11月20日(木) 第219回国会(臨時会)
第2回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55984
※「はじめから再生」をクリックしてください
【マスコミ報道から】
衆院憲法審 国民投票時の偽情報対策に規制の導入検討すべき
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014981811000
自・立、事業者規制の強化主張 衆院憲法審、偽情報対策巡り討議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025112000129&g=pol
与野党、偽情報巡り議論 衆院憲法審、高市政権で初
https://www.47news.jp/13480892.html
※タイトルには「高市政権で初」とありますが、本文にあるように「初の討議」です(開催自体は2回目)。
高市政権で初の衆院憲法審、与野党が偽情報やフェイクニュース対策めぐり議論
https://www.sankei.com/article/20251120-JVPLLFSR2BKORPQGR6HZKBJ4QY/
【傍聴者の感想】
衆議院憲法審査会が11月20日に開催され、会長は枝野幸男さん(立民)から武正公一さん(立民)になったほか、委員の顔ぶれも若干変わる新たな体制で始まりました。
さて、今回の審査会ではイギリス、EU及びドイツの憲法及び国民投票制度について、現地に赴いた調査報告にたいする各委員から質問や意見を述べ合う自由討議が行われました。
調査を行った議員団は3名で、調査団長の枝野さんが、調査の主たるテーマである「国民投票における偽情報対策及び外国勢力による介入への対応、政治広告規制」について各国の状況を報告し、会長代理の船田元さん(自民)と武正さんが補足の報告を行いました。
偽情報やSNSの拡散情報、政治広告による投票行動への影響、またそれらを規制することと表現の自由のバランスをどのように取りうるか、各委員の質問や意見が集中していましたが、一方で、行政側が一方的に新聞社をフェイク報道呼ばわりした事例や、特定野党を誹謗中傷したことで問題となったSNSアカウント「Dappi」と自民党との関係に触れたうえで、国民投票広報協議会がきちんと自浄作用を含めて機能させることができるのかと疑問を呈する意見が出ていました。それはその通りで、いくらSNS規制と表現の自由のバランスをとったすばらしい制度設計ができたとしても、肝心かなめの広報協議会が偏重したりフェイクしたりしては、お話にならないのでもっともなことでしょう。
その他一部委員からは憲法改正を前提とした議論はするなとの意見もありました。この間の永田町政治の状況を見ていると、どうも憲法の枠内で政治の運営を行うという立憲主義が十分に機能していないきらいがあるようです。「憲法について広範かつ総合的に調査を行う」ことも大切なのでしょうが、こうした政治状況の調査・分析も憲法審査会でされてはいかがかと思いました。
