憲法審査会 | 平和フォーラム

2024年04月12日

憲法審査会レポート No.34

4月10日、参議院憲法審査会が開催され、幹事選任の手続きのみ行われました。また、11日には衆議院憲法審査会で自由討議が行われました。

2024年4月10日(水) 第213回国会(常会)
第1回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7868

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

参院憲法審、今国会で初開催 幹事を選任、進め方協議へ
https://mainichi.jp/articles/20240410/k00/00m/010/235000c
“参院憲法審査会が10日、今国会で初めて開かれ、幹事選任の事務手続きを実施した。終了後に与野党の筆頭幹事が会談し、17日に幹事懇談会を開く方向で調整することを確認した。”

参院憲法審が初開催
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041000532&g=pol
“幹事の選任のみで、約2分で散会となった。審査会後、与野党の筆頭幹事が協議し、17日に幹事懇談会を開いてその後の日程や議題を話し合うことで合意した。”

辻元清美氏が筆頭幹事…野党「護憲シフト」 参院憲法審の実質審議は見通せず
https://www.sankei.com/article/20240410-724GSCP2R5KSPIL27UP3UD76JY/
“衆院憲法審に比べて議論の遅れが指摘されている中、参院立憲民主党は「護憲シフト」を押し出している。参院公明党も憲法改正には慎重な立場との見方が根強く、活性化は困難との空気が漂っている。”

2024年4月11日(木) 第213回国会(常会)
第2回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55137
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

緊急事態条項で起草委 自民提案、立民は難色―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041100894&g=pol
“衆院憲法審査会は11日、今国会初の自由討議を行った。大規模災害時の国会議員任期延長など「緊急事態条項」を創設する憲法改正に関し、自民党は条文案の起草委員会を立ち上げるよう主張。立憲民主党は難色を示した。”

衆院憲法審 自民「国会機能維持の条文起草作業を」、立憲「不見識」
https://www.asahi.com/articles/ASS4C319JS4CUTFK002M.html
“衆院憲法審査会が11日に開かれ、今の国会で実質的な討議が初めて行われた。憲法改正に向けた原案づくりに自民、公明両党と、日本維新の会、国民民主党が前向きな考えを示した一方で、立憲民主党と共産党は改めて反対を主張。先行きは見通せない。”

「裏金問題解決できないのに改憲を論ずる正当性なし」衆・憲法審で立憲が批判
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000344701.html
“自民党 中谷元衆院議員
「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案を致します」”
“立憲民主党 逢坂誠二衆院議員
「裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が憲法改正を論ずることに正当性があるのでしょうか」”

改憲案の起草委設置を自民が提案 立民反発 募る維新や国民民主の不満 衆院憲法審
https://www.sankei.com/article/20240411-U7R636PVGVOV5FMJC447GPSJNY/
“「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案する」。中谷氏は衆院憲法審で、幹事懇談会を念頭に置いた起草委設置を提起した。憲法への自衛隊明記に関しても条文化を進めたいとの意向を表明。”

国と自治体が上下関係…「自治権の保障が壊れる」 政府が目指す「地方自治法改正」、衆院憲法審で異論
https://www.tokyo-np.co.jp/article/320695
“立憲民主党の近藤昭一衆院議員は11日、衆院憲法審査会の自由討議で、政府が今国会成立を目指す地方自治法改正案への懸念を示した。「強大な政府の権限をより強大にし、政府と地方自治体の関係に上下関係を持ち込むことになるのではないか」と述べた。”

【傍聴者の感想】

きょうの憲法審査会では、まず自民党の中谷筆頭幹事が「緊急時の国会機能の維持について、いつでも条文起草作業に入れるところまで議論が進んでいる」と述べました。馬場代表はじめ日本維新の会の幹事は、立憲民主党と日本共産党に対して「憲法改正のブレーキとなっている」と批判すると同時に、自民党に対しても「立民とのなれあい」をやめ、改正原案の合意に向けた動きを促していました。さらに、自民党の中谷筆頭幹事が緊急事態条項の起草委員会の創設に言及したことを「評価」し、スケジュールの提示と具体的な条文案を「テーブルに乗せる」ことを求めていました。ほかにも、維新の会や国民民主党からは、岸田首相の施政方針演説における「任期中=9月」という発言を言質とし、その具体化を求める発言が相次ぎました。

改憲政党の前のめりな姿勢に対し、野党筆頭幹事の逢坂衆議院議員は「憲法改正の主体は主権者である国民だが、それがゆらいでいる」と、憲法を変えることそのものが自己目的化している問題を指摘していました。共産党の赤嶺幹事も「国民の側から改憲を求める声はない」と訴えていました。

大規模災害の発生時の国会議員の任期、選挙の実施をめぐり、東日本大震災当時の自治体議員選挙について言及がありました。国会議員の任期については憲法で定められていることから、東日本大震災の発生後の2011年11月に当時の野田首相から特例法による国政選挙の延期、国会議員の任期の延長はできないという答弁が示されています。ここが改憲派の憲法改正の必要論の根拠の一つとなっていると思われます。

これを聞き、私自身は1995年1月に発生した阪神淡路大震災を思い出しました。同年4月に予定されていた統一自治体選挙のうち、兵庫県議選、神戸市議選、芦屋市議選、芦屋市長選、西宮市議選は特例法が成立し、4月から6月へと延期されました。1999年の選挙の投票期日は4月へ戻されましたが、当該自治体の議員の任期は後年にあらためて特例法で調整した経緯があります。私が関わった兵庫県議選を思い出すと、被災地で有権者の投票の権利をどう保障するかが大きな課題だったように記憶しています。候補・選対では、倒壊・焼失した自宅から避難した支持者の消息がつかめませんでした。これを有権者の側から見れば、震災発生から6カ月が経っても雇用や住宅をめぐって生活が困難な状態のままに置かれ、もとの生活が取り戻せていなかったということです。

東日本大震災や能登半島沖地震などその後の大規模災害では、人員削減により各自治体の行政機能が劣化している状況が指摘されています。インフラの再建の遅れも大きな問題です。政治に求められるのは議員の任期や選挙の期日をめぐる議論ではなく、大規模災害の発生時に行政が地域の復旧・復興に向けて確実に機能し、被災者の暮らしがいちはやく安定し、再建される社会をつくることです。

また、大規模な地震をはじめ災害の発生そのものは避けることはできませんが、戦争は平和運動の強化によって避けることができます。有事を口実にした改憲に向けた動きを許さない運動が求められている、ということが立憲野党の幹事から「主権者たる国民」への提起だったように思います。

【国会議員から】近藤昭一さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)

4月11日、衆議院憲法審査会で私は以下の趣旨の発言をしました。

1.地方自治法改正案が閣議決定され、3月1日、国会に提出されました。

この法案については、総務委員会でしっかり議論されるものと思いますが、私は、憲法92条に定めた地方自治権の保障の観点から、国会法102条の6に規定されている審査会の目的のうち「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うこと」に関連した問題と考え、発言します。

2.そもそも、日本国憲法に、大日本帝国憲法に定めのなかった地方自治の制度の規定を設けこれを保障した意義は、第一に、中央政府から独立した地方公共団体が地方の事務を処理することによって強大な中央政府の権限を抑制すること、第二に、地域の特性に応じて処理されるべき事務は、そこに居住し、生活する住民の意思に基づいて決定し、住民の権利を保障することと言われています。前者が地方自治の分権的側面を示す団体自治であり、後者が地方自治の民主主義的側面を示す住民自治です。

こうした意義をよりよく果たしていくために重要なことは、強大な中央政府と地方自治体が対等平等な関係に立つことです。

ところが、今回の地方自治法の改正案は、強大な中央政府の権限をより強大にし、中央政府と地方自治体との関係に「上下関係」を持ち込むことになるのではないかという危惧を抱かざるを得ません。

3.具体的に地方自治法改正案の条文を見ていきます。

改正の中心は、「第14章 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例」を新設することです。

252条の26の3から252条の6の10までですが、いずれも「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」に適用されます。

災害や感染症に限らず「その他」にも適用されるので、適用される事由は無制限です。戦争や内乱なども含まれるでしょう。また、被害の程度が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」というのは、一般抽象的で恣意的運用の可能性が大です。しかも、その「おそれ」がある場合、つまり現実の被害が生じていなくても適用され、運用の恣意性は無制限に膨らむのではないでしょうか。

こうした恣意的運用の危険が大きい「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」に生じる法律効果は、国が地方公共団体に対し、「必要な措置を講ずるよう指示ができる」(252条の26の4、5)というものです。この必要な措置の「指示」にも限定・制約がありません。

しかも、以上の第14章の規定は現行法の特則として新設されるので、新設される「指示」(ただし、法定受託事務に限られる、245の7)への地方公共団体の義務違反に基づいて代執行(245の8)のできる範囲も大きく広がるのではないでしょうか。

4.以上みてきたように、地方自治法改正案は、適用事由、要件、国に与える権限、いずれについても具体的客観的な制約がなく、地方自治体に対する国の指示権限を無制限に認めるもので、国と地方自治体の関係を大きく変容させ、憲法92条の地方自治権の保障を壊しかねない重大な問題を孕んでいます。また、立憲主義の見地からも到底容認できません。

玉城沖縄県知事は、代執行の濫発を招くのではないかとの懸念を示し、元鳥取県知事の片山善博氏は、時代を逆行させるものと断じ、日本弁護士連合会は、地方自治法改正案の原案となった答申に反対する立場から意見書を提出し、国の指示権を認める法改正案文の削除等を求める会長声明を発表しています。

憲法92条「地方自治の本旨」の原点に立ち返った真摯な調査と検討が必要です。

【国会議員から】逢坂誠二さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会幹事)

日本国憲法といえども、決してすり減ることのない不磨の大典ではないと考えております。したがいまして、一字一句変えてはならないというものではありません。社会の変化に応じて不断の見直しを行うことが求められていると考えております。

ただ、その見直しを行う主体、これは憲法で命令される側の国会ではなく、主権者である国民自身です。ここに立憲政治の核心があると考えています。

ところが、最近の憲法議論を見ていると、この立憲政治の核心が揺らいでいると感じております。

一月三十日、岸田総理は施政方針演説で次のように述べました。総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力をしたいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。

本来まないたの上のコイである公権力の側の総理自身が、期限を区切った上で条文案の具体化と議論を加速することに言及したことに、私は大変驚きました。

三月三日の衆議院予算委員会で、この総理発言に対する私の質問に、岸田総理は次のように答弁しました。昨年十二月、自民党総裁として、衆参の憲法審査会の幹事など関係者に対して、国会の発議に向けて、各党と共有できるようなたたき台、案について是非議論を進めてもらいたい、党総裁としてはそういった要請をした。国会において条文案の具体化を加速していくためにも、我々自民党として、そういった議論をリードするべく、まずは自らの考え方を整理し、その議論に臨んでいかなければならない。

私は、岸田総理のこうした姿勢や答弁に触れ、憲法を変えること自体が目的化していると危惧しております。これは極めて危ういことであり、こんなことをすれば憲法の価値を毀損させてしまいます。

立憲主義を深化させる観点から憲法議論を真面目にひたむきに行うことは、憲法の役割、その意義を常に確認する観点からも極めて大切なことです。しかし、とにかく憲法を変えたい、どこか変えやすいところから取りあえず変える、こうしたことが目的化する議論は不見識です。特に、数の力でその議論を押し切る姿勢は慎まねばなりません。

さて、自民党の裏金問題、そのお金の使い道も含め、全容は全く明らかになっておりません。法律を犯しているかもしれない議員を多く抱える自民党及びその総裁が、国会議員を縛るともいうべき憲法改正を声高に叫ぶ節度のなさに驚きを禁じ得ません。裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が憲法改正を論ずることに正当性があるのでしょうか。一刻も早く裏金問題にけりをつけていただくことを強く要請します。

私は、本来の当事者である国民自身の議論を喚起することこそが重要であり、そのための素材を提供するという謙虚な姿勢で憲法議論に臨みたいと思っています。

次に、立憲民主党の綱領の話をさせていただきます。

「私たちは、立憲主義を深化させる観点から未来志向の憲法議論を真摯に行います。」。これは立憲民主党の綱領の一文です。綱領の素案は私が書きましたが、この一文も私が書いたものです。

立憲主義とは、権力者、国会議員、公務員、裁判官などの権力濫用を抑えるために憲法を制定するという考え方です。立憲主義を深化させるとは、権力者の権力の濫用を抑制する方向で考えを深めることです。

次に、未来志向。この言葉は難しいのですが、幾つかの思いを込めています。未来志向といえば、過去を一切不問に付すかのように聞こえるかもしれませんが、もちろんそうではありません。日本国憲法の国民主権、基本的人権、平和主義、この三大原則を守ることは当然です。日本国憲法の平和主義は、さきの戦争への反省に基づいて基本原則として採用されたものです。三大原則を守るということは、過去への反省を前提にした未来志向であることは言うまでもありません。

また、日本国憲法の成り立ちについていろいろな御意見があることは十分承知しております。一方、今の日本国憲法は、施行後七十年以上が経過し、この憲法の下で日本の様々な営みが行われてきたのは厳然たる事実です。その事実を消し去ることはできません。したがって、成り立ち云々に言及してはならないとは考えておりませんが、殊更強調するのは意味を成さないとも言えます。

未来は、過去の積み重ねと今の延長線上にあり、時代や社会は動いています。過去を踏まえた上で、時代の変化などに合わせて憲法をよりよくするために、変えるべきところがあれば積極的に対応する、これが私の思う未来志向の憲法議論です。

私は、立法事実の存在と国民の納得があれば、いずれかの日には憲法改正をすべき時期を迎えると思っています。しかし、その際には、多くの国民が納得する結果となるように私たちは努める必要があると考えます。よもや、国民の対立をあおり、国民が分断されるようなことはしてはなりません。憲法に関する議論を落ち着いて進めたいと思います。

(憲法審査会での発言から)

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著者:吉田はるみ(立憲民主党・衆議院議員)
新垣邦男(社会民主党・衆議院議員)
打越さく良(立憲民主党・参議院議員)
杉尾秀哉(立憲民主党・参議院議員)
飯島滋明(名古屋学院大学教授)
編集:フォーラム平和・人権・環境
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2024年04月05日

憲法審査会レポート No.33

4月4日、衆議院憲法審査会が開催され、幹事選任の手続きのみ行われました。来週の4月11日以降、この間のような定例的な開催になるのかが注目されます。

2024年4月4日(木) 第213回国会(常会)
第1回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55104
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【会議録】

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【マスコミ報道から】

衆院憲法審 今国会で初めて開催
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240404/k10014412211000.html
“今の国会で初めてとなる衆議院憲法審査会が開かれ、幹事を選任する手続きが行われました。今後の日程について、自民党は来週、審査会を開いて自由討議を行うことを提案し、立憲民主党は持ち帰って検討すると伝えました。”

衆院憲法審が初開催 裏金問題のあおり受け開催遅れ
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1095328
“衆院の憲法審をめぐっては、これまで立憲民主党などが委員のなかに自民党の派閥の裏金事件に関係した議員がいることから開催に反発。”
“自民党側が3日、処分の対象となった3人の議員を委員から外したことで開催にこぎつけました。”

衆院憲法審が今国会初開催、自由討議の11日開催で調整
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA03EMR0T00C24A4000000/
“逢坂氏は自民党の対応を「一定程度整理された」と評価した。不記載額が500万円以下だった議員2人が委員に就いたままだと指摘し「国民が納得するのか。与党には問題を明らかにしてもらいたい」とも言及した。”

衆院憲法審、11日に今国会初の実質審議へ 裏金議員の幹事3人交代
https://www.asahi.com/articles/ASS442DBVS44UTFK006M.html
“立憲の逢坂誠二・野党筆頭幹事は4日、記者団に「委員の正当性に異議があると申し上げてきたが、一定程度整理された」と理解を示した。自民の提案する11日の実質審議入りについて「今のところ開催できないという理由はない」と述べた。”

今国会初の衆院憲法審、首相の目標実現は視界不良 維新は立民を牽制「わきまえて」
https://www.sankei.com/article/20240404-N3RZBXETIFLIHG6SMINIXHQQNE/
“…自民は4日、党本部で憲法改正実現本部などの合同会議を開き、改憲項目の絞り込みなどの戦略を練った。党重鎮は首相の目標を念頭に「時間はそれほど残されていない」と述べた。”

【参考】

衆院憲法審の動き/逢坂誠二 #7765
https://ohsaka.jp/15414.html
“今回は、裏金処分議員3名の交代が行われたことを受け、一歩前進と受け止めて、審査会に臨むこととなりました。

しかし、裏金の説明は皆無、総理発言への対応も不明、さらに憲法審には処分は受けていない裏金議員がまだ2名おります。こうしたことを、これからも丁寧に与党筆頭と協議したいと思います。”

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2024年03月22日

憲法審査会レポート No.32

衆院憲法審査会開催をめぐる動き

この間、衆議院憲法審査会を開催しようという動きが続いてきました。3月21日には会長の職権で幹事懇談会が立てられましたが、野党筆頭幹事(予定)の逢坂誠二委員(立憲民主党)が出席を拒否、流会となりました。

改憲派は「裏金事件と憲法審査会は切り離すべき」「政局と一線を画して粛々と開催すべき」などと言いますが、裏金疑惑のある議員がいまだ委員として居座っている現状で不問とすることはできませんし、政局と一線を画すと言うなら自民党がみずから問題議員を全員更迭すべきです。

民意は改憲発議前提の憲法審査会早期開催など求めていません。むしろ裏金疑惑、統一協会との癒着疑惑の徹底究明こそが喫緊の課題です。腐敗した国会議員が憲法を語り、あまつさえ弄りまわそうなどというのはもってのほかで、「法を犯しているかもしれない議員を(憲法審査会に)存置したままというのは論外だ」という主張は当然と言うべきです。

3月17日、自民党大会が開催され、「総裁任期中」「年内の実現」と表現にブレはありつつも、ともかく改憲発議を叫びたてる方針を継続しています。こうした自民党の路線に急き立てられ、職権での強行開催へと突き進む可能性もありますが、その場合与野党合意のもと、静かな環境で…というこれまでの慣例を踏みにじることになります。

自民党などによる数に恃んだ横暴を許さないためにも、今後も憲法審査会をめぐる動向に、ぜひ注視していただきますようお願いします。

【参考】

立民、衆院憲法審の開催拒否 「裏金議員」説明を優先
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031200925&g=pol
“衆院憲法審査会の与野党筆頭幹事は12日、国会内で会談した。自民党の中谷元氏が14日の憲法審開催を提案したのに対し、立憲民主党の逢坂誠二氏は自民派閥の裏金事件への対応が先だとして応じなかった。”

改憲論議阻む「立民&共産」の壁 維新と国民民主は冷ややか 不記載事件理由に審議応じず
https://www.sankei.com/article/20240313-7YSFRRJL5JJ47BVTEWIXVHKG4A/
“…国民民主の古川元久国対委員長は13日の会見で、事件の追及は重要だと指摘しつつ、「憲法審の議論はやるべきだ」と強調した。また、維新の馬場伸幸代表も産経新聞の取材に「立民には付き合わない」と断言し、憲法審の早期開催を訴えた。”

憲法審査会の状況/逢坂誠二 #7743
https://ohsaka.jp/15378.html
“裏金はいくらだったか、裏金を何に使ったか、領収書はあるのか等の説明を通して、自分の正当性を主張する必要があります。
私は、憲法審の筆頭幹事として、この説明や正当性を主張する場として、政倫審への出席をお願いしています。特段、政倫審への出席にこだわるわけではありませんが、裏金の内容説明や自己の正当性の主張は極めて大事なことです。これがやれないなら5名の裏金議員が、憲法審において最高法規である憲法の議論を行うのは難しいと考えています。”

衆院憲法審、日程協議先送り 立共、「裏金事件優先」主張
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032101039&g=pol
“衆院憲法審査会は21日、森英介会長(自民)が職権で決めていた幹事懇談会の開催を見送った。与党は今国会初の審査会実施に向けて日程協議をしたい考えだったが、自民党派閥の裏金事件への対応が先決だとする立場を崩さない立憲民主党と共産党が欠席した。”

憲法審開催のめど立たず 裏金問題で野党が態度硬化「実態解明が先」
https://www.asahi.com/articles/ASS3P67CCS3PUTFK00H.html
“自民の中谷元・与党筆頭幹事は記者団に、政治とカネの問題は議論の場が別にあるなどとして、憲法審とは「切り離すべきものだ」と主張。だが、野党筆頭幹事に就任する見通しの立憲の逢坂誠二代表代行は「法を犯しているかもしれない議員を存置したままというのは論外だ」と反論。協議入りに応じなかった。“

恐ろしい?日本/逢坂誠二 #7751
https://ohsaka.jp/15400.html
“憲法審について、私が単に出席を拒否しているかのようは報道があります。
19日午後まで与野党筆頭間で憲法審の開催に向けて協議しておりました。
その時点での私の主張は次です。
*5名の裏金の内容説明
*裏金議員処分後の憲法審の対応方針
*岸田総理の憲法議論加速発言への対応方針
この3点を与党筆頭から伺った上で、来週28日の憲法審開催に向けて準備を検討しても良いと、私から話をしました。ところが19日夕刻、21日の憲法審幹事懇談会が、筆頭間の合意なく職権でセットされたのです。しかも懇談会で何を行うのかも知らされず。筆頭間協議の一方的な打ち切りとなったため、幹事懇談会に出席できるはずもないのです。これが経過です。
私から28日の憲法審の開催準備検討にも言及していますが、それすらも反故にしたのですから理解に苦しみます。”

総裁任期中の憲法改正へ議論加速と首相
https://nordot.app/1141929598847664926
“「党総裁任期中に実現するとの思いの下、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」”

自民党大会で首相が改憲に意欲 懸念は参院の「高い壁」 公明の対応が焦点
https://www.sankei.com/article/20240317-APE7NUTFZJIIZDZCWKBVE6XVDU/
“自民党は17日の党大会で採択した令和6年運動方針で、憲法改正に関し「年内の実現」を目指す考えを打ち出した。“

※改憲の時期的目標に関する共同記事(「党総裁任期中」)と産経記事(「年内の実現」)の齟齬は、大会における総裁演説の内容と、運動方針のなかの記述との不統一が原因です。

第91回党大会 岸田文雄総裁 演説(全文)
https://www.jimin.jp/news/information/207820.html
“そして、党是である憲法改正について、総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。“

令和6年党運動方針
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/207758_2.pdf
“来年は、自由民主党結党から70年の節目の年である。本年中にわが党の党是である憲法改正実現のため、国民投票を通じ、主権者である国民の判断を仰ぐことを目指す。“

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2024年03月08日

憲法審査会レポート No.31

憲法審査会の開催めど立たず

前号(No.30)発行から1か月以上が経過しました。

3月2日には国会の土曜日開催の強行までしてなんとか衆議院での予算案採決を行い、現在参議院での審議に移っています(年度内成立は確定)。

例年であれば、この時期には憲法審査会開催に向けた動きも出てくるところですが、いまだ裏金問題や統一協会問題といった自民党の政治腐敗をめぐる追及が続いており、具体的な動きはありません。

とは言え、支持率低下のなかにあっても、あるいはそれゆえ求心力維持のためにか、岸田政権はなりふりかまわず悪法や改悪の強行へと突き進んでいます。「9月の総裁任期中」から「本年中に」(自民党運動方針案)と目標が後退しつつも、なおも改憲発議をスローガンに掲げ続けていますので、引き続きの注意・警戒が必要です。

【参考】

憲法審、開催めど立たず/立民硬化、交渉役も変更/首相改憲にハードル
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1730377
“「筆頭間協議をする状況ではない」。2月上旬、与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)が日程調整を打診したものの、野党筆頭幹事の逢坂誠二氏(立民)は突き返した。実質的な討議入りに先立つ幹事選任の事務手続きを行う審査会の開会すら見通せない状況だ。”

憲法学者らが改憲5会派に公開質問状 任期延長は「居座りの危険」
https://www.asahi.com/articles/ASS346K4PS34UTIL019.html
“自民党など5会派が「国家有事や大規模自然災害などの事態に備え、国会議員の任期延長を認める改憲が必要」と主張しているのに対し、「国民の選挙権を制限し、議員や政権が居座る『緊急事態の恒久化』の危険性にどう対処するのか」とただしている。”

法律を守れない国会議員「居座り続けられる」…緊急事態の任期延長、改憲に前向きな5党派が「回答せず」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/313085
“…緊急事態時の国会議員任期延長に関する公開質問状に対し、自民など改憲に前向きな5党派が回答しなかったと説明した。研究者らは会見で「裏金問題のように法律を守れない議員でも国会議員に居座り続けることができる」と任期延長を問題視した。”

自民運動方針案、保守層にアピール? 年内改憲、皇位継承議論、護国神社参拝など明記
https://www.sankei.com/article/20240305-3VB7N7AD5RLOVAXI2TRN5CGTRE/
“…憲法改正に関し「本年中に改憲実現のため、国民投票を通じ国民の判断を仰ぐことを目指す」と期限を明記した。3月17日の党大会で運動方針案を正式決定する。”
“憲法改正については、緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文起草のための機関を国会に設置し、改正原案を作成し、国会発議を経て国民投票で過半数の賛成を得られるよう「全力を傾注する」と強調した。”

ご活用ください! ブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』

著者:吉田はるみ(立憲民主党・衆議院議員)
/新垣邦男(社会民主党・衆議院議員)
/打越さく良(立憲民主党・参議院議員)
/杉尾秀哉(立憲民主党・参議院議員)
/飯島滋明(名古屋学院大学教授)
編集:フォーラム平和・人権・環境
発売:八月書館
内容:A5判並製・76ページ
定価:本体900円+税

2024年03月07日

ブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』のご紹介

平和フォーラムはこの間、改憲発議をめぐる重要な局面にあることを踏まえ、国会における改憲議論、とりわけ衆参における憲法審査会の動向に注視し情報共有をすすめてきました。

その一環として、昨年11月に新潟市で開催した第60回護憲大会では、新垣邦男さん(社会民主党・衆議院議員)吉田はるみさん(立憲民主党・衆議院議員)打越さく良さん(立憲民主党・参議院議員)杉尾秀哉さん(立憲民主党・参議院議員)をパネリストに、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)をコーディネーターに迎えてシンポジウムを行い、憲法審査会の危険な現状を把握し、改憲発議阻止に向けともにとりくむ決意を確認しました。

このたび、このシンポジウムの内容をまとめたブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』が刊行されましたので、ご紹介します。

ブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』

著者:吉田はるみ/新垣邦男/打越さく良/杉尾秀哉/飯島滋明
編集:フォーラム平和・人権・環境
発売:八月書館
内容:A5判並製・76ページ
定価:本体900円+税

→ amazon でも購入できます

2024年02月02日

憲法審査会レポート No.30

第213回通常国会 憲法審査会をめぐる動向について

1月26日から、通常国会が開催されています。

昨年から浮上した自民党の裏金問題は、その全容は自民党の事実究明への非協力的態度もありいまだ不明ですが、発端の安倍派に限っても所属議員95人(ほぼ全員!)に対して5年間で計6億7654万円が流れていたと報道されており、規模の大きさがうかがえます。

日ごろ「愛国心」「道徳」を振りかざしてきた人たちが、その実まるごと腐敗していたことは、うすうすわかっていたとは言え、しかしここまでひどいものなのかとあきれるばかりです。そしてこんな人たちが徒党を組んで憲法に手を付けようとしてきた事実を思い起こし、心底嫌悪感を覚えます。

普通に考えれば、自らを恥じ、改憲を云々する資格などないことを自覚するところですが、1月31日の施政方針演説で、岸田首相は次のように述べています。「衆・参両院の憲法審査会において、活発な議論をいただいたことを歓迎します。国民の皆様に御判断をいただくためにも、国会の発議に向け、これまで以上に積極的な議論が行われることを期待します。また、あえて自民党総裁として申し上げれば、自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります」。恥を知らねば恥かかず、とはこのことでしょうか。

さらに恥知らずなことに、辻元清美議員の指摘によれば参議院憲法審査会の自民党の委員21人中に安倍派13人、さらにそのうち11人が「裏金議員」と報道されている人物だそうです。こんなメンバーで憲法を議論しようなどというのは、悪い冗談でしかありません。

いっぽう、昨年の衆議院憲法審査会のなかで持ち出されてきた、国会議員の任期延長などに関する具体的な改憲条文案作成のための作業部会設置については、改憲会派内でも議論がまとまっていないことを踏まえればそもそも検討に値しませんし、早急な災害対策と政治腐敗究明が第一に問われる状況にあって優先してとりくむべき事項だとも思われませんが、公明党の北側一雄副代表は記者会見で、あらためて前向きな態度を示しています。

私たちとしては、残念ながらいまなお危険な改憲情勢の只中にあることを確認するとともに、今後の国会内外の動きにいっそう注視していきます。

なお、今年度予算が成立するまでは、衆参ともに憲法審査会が開かれないことが通例ですので、2月中は開催がないものと思われますが、2022年のように維新・国民など改憲会派の後押しに勢いづいて衆議院で早期開催が行われたこともあり、注意が必要です。

改憲をめぐってのなんらかの動きがあり次第、本「憲法審査会レポート」の発行も適宜行っていく予定です。ぜひ引き続きのご注目とご活用をお願いします。

【参考】

第二百十三回国会における岸田内閣総理大臣施政方針演説
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0130shiseihoshin.html

岸田首相、改憲に強い決意 「総裁任期中に実現」 国会演説で初めて言及
https://www.sankei.com/article/20240130-CWPLNTP6K5IGHN5KXIIQGIIZMA/
“改憲の国民投票には国会発議から周知期間として60~180日間を要する。1期目の任期中の改憲を実現するには、今国会がラストチャンスだ。一方、当面は最優先の課題として、政治への信頼回復が首相の前途に立ちはだかる。政治資金規正法の改正など政治改革がおざなりであれば、一部野党が改憲議論を拒む口実に使いかねない。”

憲法改正、岸田首相が笛吹けど踊らず 質問は維新・馬場代表と国民・玉木代表だけ
https://www.sankei.com/article/20240201-GXMFURN5VNPFXP6ZGSRDNOI6KQ/
“岸田文雄首相(自民党総裁)は施政方針演説で9月までの総裁任期中の憲法改正に意欲を示したが、1日までに衆参両院の代表質問で触れたのは日本維新の会と国民民主党だけだった。自民派閥の政治資金パーティー収入不記載事件に関心が集まり、改憲は「笛吹けど踊らず」の状況だ。”

公明、改憲条文案を検討 緊急事態時の国会議員の任期延長
https://mainichi.jp/articles/20240131/k00/00m/010/153000c
“公明党の北側一雄副代表は31日の記者会見で、緊急事態時の国会議員任期延長を巡り、憲法改正に向けた条文案の検討を進める考えを示した。”

立憲・泉氏「汚れた手で憲法を触るな」 与野党が首相演説を批判
https://www.asahi.com/articles/ASS1Z6VXSS1ZUTFK00P.html
“岸田文雄首相が30日に衆参両院で行った施政方針演説に対し、与野党からは「やる気があるのか」「説得力がない」といった批判が相次いだ。自民党派閥の裏金問題の実態解明には言及がなく、焦点の政治改革も「肩透かし」の内容だったためだ。”

辻元議員が激怒「丸川珠代議員に、山谷えり子議員…
自民党の憲法審査会21人中11人が『裏金議員』!」裏金総額はなんと5000万円
https://jisin.jp/domestic/2289772/
“《今日届いた参議院憲法審査会のメンバー表で驚いた。自民党21名中、安倍派13名、報道によればうち11名が「裏金議員」。しかも差し替えた幹事が二人とも該当とは!2403万円の山谷議員、700万円の丸川議員ら11名で計五千万以上。「裏金」を作った議員に憲法審査会の資格なし。変えない限り議論はできない》”

2023年12月08日

憲法審査会レポート No.29

今週は参議院・衆議院ともに憲法審査会が開催されました。今臨時国会は12月13日閉会予定ですので、今国会での憲法審査会はこれをもって終了の見込みです。

【参考】

首相 緊急事態条項など4項目の憲法改正案踏まえ 絞り込み指示
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231205/k10014278941000.html
“憲法改正に向けた自民党の会合で岸田総理大臣は、党としてまとめている「緊急事態条項」など4項目の改正案を踏まえ、党派を超えて連携できる項目を絞り込むよう指示しました。”

憲法改正「項目取りまとめを」 岸田首相、実現本部に出席
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120500918&g=pol
“内閣支持率が低迷する中、改憲に本気で取り組む姿勢を保守層にアピールする狙いがある。古屋圭司本部長は「(会議への出席は)党総裁としての思いを象徴している」と記者団に語った。”

憲法審査会が給料ドロボーと呼ばれないように
https://www.sankei.com/article/20231202-M7VE32UPQVLI7BYDZTTMWUGPWU/
“「実現できなければ、岸田文雄政権は終わり。はっきり言って、完全に終わりだ」。自民党の憲法改正推進議員連盟の衛藤征士郎会長は11月30日、断言した。首相が来年9月までの党総裁任期中の実現を目指す憲法改正について、である。強烈な言葉だが、「やるやる詐欺」にうんざりしている国民感情を代弁している。”

改憲実現に課題山積の自民 高村正彦元副総裁が公明と調整へ
https://www.sankei.com/article/20231207-YYHGW5MVZNKYZB6PPAXI7ECD7A/
“ただ、臨時国会は改憲案作りが具体化しないまま終了する見通しで、改憲を期待する他党や保守陣営では自民に対し、不信感が芽生えつつある。維新や国民民主などは自民の本気度が見えない場合、改憲の可否を問う国民投票に向けたスケジュール設定や定例日以外の憲法審の開催、閉会中審査などを求める書面を突き付ける構えだ。”

2023年12月6日(水)第212回国会(臨時会)
第2回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7679

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

参院 憲法審査会 憲法9条改正などめぐり各党が主張展開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231206/k10014280031000.html
“参議院の憲法審査会で自由討議が行われ、大規模災害など緊急事態での国会の機能を憲法に規定するかや憲法9条を改正して自衛隊を明記するかなどをめぐり各党が主張を展開しました。”

自民、条文案へ作業部会提案 参院憲法審、立民反発
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120600928&g=pol
“自民党の衛藤晟一氏は、緊急事態条項の創設や自衛隊の明記を挙げて、作業部会の設置を主張。「憲法改正原案を具体的に詰める」と強調した。”
“これに対し、立民の辻元清美氏は自民党派閥の裏金疑惑に触れ、「政治の信頼なくして憲法論議は成り立たない」と反発。”

参院憲法審 改憲に積極的な4党、緊急事態条項議論で温度差
https://mainichi.jp/articles/20231206/k00/00m/010/167000c
“自民、日本維新の会、国民民主の3党は、選挙の実施が困難な時に特例的に衆院議員の任期を延長する緊急事態条項創設に向けた早期の条文案作成を主張。一方、公明党は、衆院議員不在時の国会機能を代行する憲法54条2項の「参院の緊急集会」の権限も含めた議論の継続を求めた。衆院では条文案作成の方向で共同歩調をとった4党だが、参院では歩みに乱れが生じた。”

【傍聴者の感想】

12月6日の参議院憲法審査会では、各会派による憲法に対する考え方の表明から始まり、その後各委員から個別案件について意見表明が行われました。

与党会派は、自衛隊明記、緊急事態条項について憲法改正が必要であることが強く訴えました。また、憲法改正原案を作る作業チームを作り、具体的に進めていくべきと主張しました。

野党会派からは、パーティー券による裏金問題が起きていることを挙げ、そもそも憲法改正議論をする以前に「政治に対する信頼」という土台が成り立っていないと意見が出ました。

各委員からの発言が次々に行われましたが、やや感情的な発言が続きました。中曽根弘文会長(自民)が、委員からの発言や提案のうちの一部については「幹事会で取り扱う」としたうえでこの日の審査会は閉会しました。

初めての憲法審査会傍聴でした。参議院では比較的落ち着いた議論であると聞いていましたが、一度の発言に言葉を詰め込み、意見をぶつけ合う姿勢には驚きました。

とくに印象的だったのは、片山さつき議員(自民)が国防について「9条の通りにはなっていません」と言い切り、場内がざわつく場面でした。

ほかにも衛藤晟一議員(自民)の「崇高な仕事である」という理由から自衛隊を憲法に明記する必要があるとし、「集団的自衛権を全面的に認めるべき」だという主張。

松川るい議員(自民)の「憲法改正に意欲的な政党が多い」ことを理由として9条改憲を急ぐべきだという主張。

さらに古床玄知議員(自民)からは裁判所が積極的な憲法判断をするようになれば「自衛隊が憲法違反となる可能性があるため早く改憲すべき」という本末転倒な主張がありました。

改憲ありきの思惑ばかりが先走り、乱暴な改憲根拠を並べ立てる様子は、あきれるばかりでした。

高木真理議員(立憲)が「教育の無償化にかこつけた改憲議論は許されない」と指摘していましたが、誰も異論をはさめない課題で改憲につなげるようなやり方は、改憲がなし崩し的に行われていってしまうのではと心配になります。本当に憲法改正が必要なのか、法改正で対応可能なのか、腰を据えた議論こそ必要なのだと思います。

自分にとって都合のいい意見だけに耳を傾けるような政治では、決してよい未来は拓けません。改憲こそ日本全体の総意だと言わんばかりの主張がされている憲法審査会の現状は、広く共有されるべきだと思いました。

【国会議員から】小沢雅仁さん(立憲民主党・参議院議員/憲法審査会委員)

議員任期延長改憲論について意見を申し上げます。

任期延長改憲の論拠となっている緊急集会70日間限定説は、憲法審で改憲を主張する会派の説明では、54条1項の40日プラス30日という文理解釈によってのみ、緊急集会を次の新しい国会が70日以内に召集されることを前提とした平時の制度と断定するものです。

しかし、こうした憲法解釈は、54条2項の国に緊急の必要があるときという文理や、緊急集会がナショナルエマージェンシーという大震災等の深刻な国家緊急事態にも対処する有事の制度として制定された立法事実に明確に反する上、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するなどの戦前の反省に立った非常時の権力濫用の排除です。

また、54条1項の40日プラス30日という規定の趣旨は、解散・総選挙の際の内閣の居座りを排除するものであり、権力の濫用を排除するために設けられた緊急集会の根本趣旨そのものにも全く反します。

すなわち、緊急集会は、1日も早い総選挙の実施を必須としつつ、その間に緊急性を要する立法等を行う必要がある場合に限り、70日を超えても開催できると当然に解すべきものです。にもかかわらず、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨に一言の言及もないまま、70日間限定説を繰り返すのは、緊急集会を恣意的に曲解するもので、濫用排除の制度を破壊して濫用可能な憲法改正を行おうとするものと断ぜざるを得ません。

憲法99条の憲法尊重擁護の義務と立憲主義に反する暴論は国民と参議院を愚弄するもので、我が会派は絶対に容認できず、議員任期延長改憲には明確に反対します。

緊急時における衆院の任期延長は、憲法制定時の経緯や国民主権、基本的人権の尊重、国会中心主義のいずれの観点においても重大な問題をはらむものと言わざるを得ません。

改めて議員任期延長改憲には断固反対を申し上げて私の意見とします。

(憲法審査会の発言から)

2023年12月7日(木) 第212回国会(臨時会)
第5回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54808

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【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

国会議員の任期延長 自民 憲法改正条文案の起草機関を提案
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231207/k10014281041000.html
“衆議院憲法審査会が開かれ、大規模災害など緊急事態での国会議員の任期延長をめぐり、自民党が憲法改正の条文案の起草作業を行う機関を設置するよう提案したのに対し、立憲民主党は現時点で憲法に明記する必要はないと主張しました。”

自民、改憲へ作業機関の設置提案 緊急事態巡り条文案作成
https://www.47news.jp/10231446.html
“与党筆頭幹事を務める自民党の中谷元氏は、緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などの改憲条文案を作成するため、来年の通常国会で作業機関を設置することを提案した。日本維新の会と国民民主党も賛同した。”

自民、条文起草へ機関設置提案 衆院憲法審、緊急事態条項を想定
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120700951&g=pol
“審査会後、自民・中谷氏は記者団に、起草機関について、立民の関心が高い「デジタル時代における人権保障」も取り扱う可能性に言及し、立民の理解を求めた。臨時国会での実質的な討議は、今回が最後の見通しだ。”

【傍聴者の感想】

今国会では初めて傍聴しました。

自民党からは緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などを中心に条文案作成の作業を行う機関設置を提案し、これに公明・維新・国民が賛意を表明するなど、改憲発議に向けた具体的なステップを進めようという方向性が顕著にあらわれていました。

ただ、それぞれの発言内容をみると、改憲それ自体が目的となっているのかどうかという点においては、改憲派のなかでも傾向が分かれている雰囲気を感じました。

改憲のためにスケジュール優先で手続きを事務的に進めるのか、一定議論を積み重ねたうえで進めるのか、という違いもあるように感じます。

時代とともに従来の制度だけでは解決できない問題も多々出てきていると思いますが、改憲それ自体を目的とせず、時代と社会環境の変化をしっかり見据えたうえで、その改善に向けた議論を行うべきだと思います。

一部改憲派野党の議員の私語は、議事進行のみならず、傍聴にも差し障りが出るもので、憲法審査会に対する向き合い方が問われているように感じました。

【国会議員から】中川正春さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会幹事)

今日は、今国会最後の発言の機会をいただきましたので、憲法審査会の在り方と議論の進め方について、先日の北側幹事の問いかけに答える意味も含め、基本的な認識を共有していきたいと思います。

憲法をテーマにして、各党の政治的な立場を主張することは、もちろん否定されることではありません。その上で、私たちの憲法審査会では、何を行ってきたのか。もう一度、ここで確認してみたいと思います。

これまでの審議過程の中では、少なくとも我々与野党の筆頭幹事の間では、一つの共通した認識がありました。それは、憲法議論では、国民の分断を引き起こすようなことがあってはならないということです。だから、各党が策定した具体的な憲法改正案を、この審査会に正式な形で提出して、多数決でもって決していくことは、しないという暗黙のルールが尊重されてきました。憲法改正の議論は、出来得る限り幅の広い合意を形成することを目指すこと。その合意のもとに、幹事会なり、特別の小委員会なりを作って、それぞれ話し合いのもとに、憲法改正素案を練っていくことが前提になっていると理解しています。

時に、審査会の自由討議に対して、それぞれが言いっぱなしで何も出てこないではないかと批判する人がいます。しかし、これまでの、私達筆頭幹事間での理解は、違います。それぞれ、議員個人として、または党としての場合もありますが、自由討議で表明されたのは、審査会の委員による様々な立法事実とその解決策の提起だったと思っています。現在の憲法に照らして、憲法違反と判断される現実が指摘されたこともある。あるいは、時代の変遷の中で、これまで憲法によって捉えられなかった新しい課題が生じ、憲法改正の必要性が主張されたこともあります。私達の課題は、これらの議論を、どのように発展させていくかということだと思います。

以上のような前提に立って、これからの憲法審査会の進め方として、主に二つの作業を進めることを提案します。

まず一つは、それぞれ提起される課題について、その課題ごとに、どこまで広い合意が可能となるのか、積極的に見極めていくプロセスは必要だと思います。

9条関連、解散権、憲法裁判所、人権委員会、情報分野の人権保障、環境権、一票の格差と地方分権、教育の無償化、同性婚など、それぞれの課題にどこで大方の合意を見出すことができるのか。さらに、幹事会の合意を前提として、次のステップに移って行けるのか。もう少し焦点を絞って、深掘りのできる議論をしていく必要があります。

そのためには、自由討議において、具体的な課題を絞って議論を集約することで、それぞれの方向性を確認していく作業が必要だと思います。ただし、特に、前回の審査会において北側幹事からも指摘のあった、緊急事態条項については、現時点では、私達は憲法に明記する必要はないと考えていることを、これまで何回も申しあげてきました。この課題については、合意が見えていないと判断しています。

今の時点で意見集約できそうだと思われる課題は、国民投票法に関連した見直し作業です。この課題については、特に、ネット社会の進展などによって、当初の国民投票法のあり方では公平、公正な国民投票の実施が出来ない、新しい要素を入れた見直しが必要だという方向性は、確認できていると思います。その原案作成のための作業部会などの設置も含め、前に進めることが出来るのではないでしょうか。

第二に考えていかなければならない事は、国民との対話です。多くの皆さんに指摘されているように、憲法議論に対する国民の関心は、まったく低いものだと思います。この現状を踏まえれば、憲法改正ありきを前提に、それを政治キャンペーン化して利用することは、厳に慎まなければならないと思うのです。

具体的な憲法課題を抜きにして、単に、憲法改正に賛成か、それとも反対かの2極化した世論形成は、国民の中の憲法議論を空洞化します。私達が、審査会の議論で抽出した憲法課題を、国民に投げかけて、幅の広い議論を喚起することを考える必要があります。憲法学者だけでなく、それぞれの分野での有識者を交える討論会や、地方での公開の公聴会の開催などと同時に、マスコミを通じた広報などを提案します。

国際的にも様々な課題に直面している時です。憲法を通じて、私たちの基本的な「生き様」を再検証し、次の時代の生き方を示していけるような審査会の議論にしていきたい。その思いをもって私の発言といたします。

(憲法審査会での発言から)

2023年12月01日

憲法審査会レポート No.28

今週は参議院憲法審査会不開催のため、衆議院憲法審査会のみのレポートです。

【参考】

岸田首相、憲法審の経験なし 辻元氏「改憲姿勢は右派向け」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023112700714&g=pol
“岸田文雄首相は27日の参院予算委員会で、衆院憲法審査会など国会の憲法審議組織に所属したことがないと明らかにした。立憲民主党の辻元清美参院議員は、首相が改憲に前のめりだと指摘し、「自民党総裁再選のために右派をつなぎ留めたい(からだ)」と批判した。”

自民議連、改憲論議加速へ意欲 衛藤氏「年内に条文案」
https://www.47news.jp/10200408.html
“来年9月までの自民党総裁任期中の改憲実現に意欲を示す岸田文雄首相に関し、衛藤氏は総会後、記者団に「実現できなければ岸田政権は終わりだ」とも言及した。”

2023年11月30日(木) 第212回国会(臨時会)
第4回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54793
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

「広報協議会」で討議 役割巡り賛否交錯―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023113000150&g=pol
“衆院憲法審査会は30日午前、憲法改正発議に伴い設置する「国民投票広報協議会」の規定について討議した。新聞・放送広告の掲載手続きなど、国民投票に際して同協議会が担う事務について各党が意見を表明した。”

維・国、改憲論議の継続要求 条文案の早期作成で―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023113001185&g=pol
“維新の青柳仁士氏は「審査会開催をできる限り増やして討議を加速させるべきだ」と主張した。国民の玉木雄一郎代表も緊急事態条項の創設に絞った作業部会の設置を要求。自民党の中谷元氏は「憲法改正できるよう最大限努力していくことは当然の責務だ」と同調した。”
“これに対し、立憲民主党の階猛氏は期限を区切って改憲を目指す首相の姿勢に触れ、「改正の内容を示さずに、期限だけを指定するのは百害あって一利なしだ」などと反発した。”

賛成会派だけで改憲条文検討も 公明、立民に早期結論を要求
https://www.47news.jp/10200017.html
“国民の玉木雄一郎氏は、岸田文雄首相が来年9月までの総裁任期中の改憲に意欲を示していることを踏まえ「任期延長など緊急事態条項について条文案を取りまとめることが現実的ではないか」と主張した。”

衆院憲法審査会 国民投票の広報などめぐり 各党が主張展開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231130/k10014273331000.html
“衆議院憲法審査会が開かれ、憲法改正の発議後に行う国民投票の広報のあり方や、今後の議論の進め方などをめぐり、各党が主張を展開しました。”

【傍聴者の感想】

11月30日、10時から衆議院憲法審査会が開催され、各党・会派からの意見表明と質疑が行われました。

所信表明演説で岸田首相が、来年9月の任期までに憲法改正を図りたいと発言したことについて、与党と首相の間で真意を確認し、調整がしたかどうかが問われました。自民党の中谷元・与党筆頭幹事は個人的なこととして答弁を控えるとして答えませんでした。「個人的問題」としてすまされるような問題ではないし、責任ある政党としての態度でもありません。いっぽう議論の中で、改正に向けての「熱意が感じられない」(維新・国民)などとの発言が出るありさまでした。

しかし、今期も会期日数がわずかで、発議に向けた法案や関連する法案の内容も具体的に詰められていない中で、首相の言う9月までの改憲は幻でしかありません。
それに関連して改憲派の委員からは、閉会中の審議の継続や改正に向けたスケジュールを示せという声があがりました。

また今回の議論に上がった国民投票法や国民広報協議会の在り方、緊急事態と議員任期の延長問題を巡って与野党での議論はまだまだ隔たりがありました。

緊急事態について、公明党の北側一雄委員は、「議論が煮詰まっており、立憲民主党として「態度を明らかに」と迫り、与党単独で審議に入ると圧力をかけてきました。しかし緊急事態とはいったいどのような事態を具体的に想定しているのかも示さず、条件だけを羅列して具体的な想定もないまま、自民党の石橋茂議員が発言したように「本当に現実味を持って議論されるのか」という指摘に十分にこたえられていません。

国民広報協議会のありかたも、デジタル化、IT、フェイク情報など様々な課題があり、近年その状況が著しく反化する中にあって、どのようにしていくかは議論が煮詰まっておらず、広報の規制の問題も自民党は「政治的表現の自由にかんがみ、できるだけ自由に規制を少なく」という立場で、立憲民主党は公平・公正の立場から規制を設けることと対立する主張をしていました。

国民投票法の中でネット広報をどこまで規制できるか、さらにフェイク情報にどのように対応していくかも十分議論されてはいませんでした。

今回の会議でも自公の他に維新や国民は改正に向けて議論を加速させる発言が目立ちました。しかし最後に発言した石破議員の共同通信の世論調査で憲法改正について国民の関心がたった7%としかなかったことに委員会は危機感をもつべきだという指摘は、改正を急ぐ委員に対して向けられてものでもあったようにも思えました。「本当に現実味を持った議論がなければ」国民は関心を示さないということだと思います。

国民世論との隔たりをかかえたままの改憲論議は危ういものでしかありません。

【憲法学者から】飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)

「公明が立民に最後通告? 改憲会派だけで改憲案づくり示唆」―2023年11月30日衆議院憲法審査会

戦争をさせない1000人委員会ウェブサイト「壊憲・改憲ウォッチ(36)」より転載
http://www.anti-war.info/watch/2312011/

タイトルは『産経新聞』2023年12月1日付〔電子版〕の見出しです。

憲法審査会についての『産経新聞』の記事の内容には賛同できないことが多いですが、11月30日の衆議院憲法審査会の上記の見出しについてはその通りでした。

公明党の北側一雄議員は議員任期延長の改憲論について「議論が相当に詰まっているのは間違いない」と発言した上で、立憲民主党が賛成しない場合、「賛成会派だけで条項案についてもやはり検討していくようなステージに入ってきていかざるを得ないんじゃないかな、その時期が近づいてきているように思う」などと発言しました。

公明党は立憲民主党を抜きにして、改憲5会派だけで改憲条文案づくりをすすめることを示唆しました。

日本維新の会の青柳仁士議員は、広報協議会の関係規定の議論について、立憲民主党・社民党と共産党を念頭に置き、改憲阻止のために「無為に遅らせる議論」を「工作」とした上で、「全会一致」でなく、「機が熟すれば多数決という民主的な手続でなされるべきです」と発言しました。

国民民主党の玉木雄一郎議員も「少なくとも4党1会派ではおおむね意見の集約が図れていると思います」と発言した上で、「議員任期の特例延長規定を創設するための憲法改正の条文案を作る作業部会の設置についてぜひお願いしたい」と発言しました。

2023年11月、新潟県で護憲大会が開かれました。

パネリストとして参加していた新垣邦男議員は、「国政に出る前は北中城村長を長くやっていたんですが、国会というところは格式高い、すごく高邁な議論をしているんだろうなと思っていたんです」と述べていました。

新垣議員が批判するように、衆議院憲法審査会ではレベルの低い主張がされています。

日本維新の会や国民民主党は「自民党の熱意と本気度がなかなか感じられない」(玉木雄一郎議員)などと自民党を批判しました。

公明党も強行的な憲法審査会の運営を示唆しました。

11月30日の憲法審査会の最期に発言したのが石破茂議員でした。

彼は、たとえば以下の主張をしました。

「なぜ〔参議院の〕緊急集会ではだめなのかという議論が私は十分だと思っていません」。

日米地位協定について、石破氏が防衛庁長官であった2004年に沖縄国際大学にCH53が墜落したときに日本の警察が全く入れなかったことなどを例に挙げ、「本当にそれが独立国家のあるべき姿か」と批判し、「地位協定の改定も含めて早急に議論しなければ、独立主権国家日本たり得ない」と発言しました。

私は折に触れ、「日本維新の会や国民民主党の主張を聞くと、自民党がまともに見える」と発言してきました。

たとえば日米地位協定や憲法に関する主張や結論、石破議員と私は根本的に違いますが、それでもきちんと現実を踏まえて丁寧な議論をしようとする姿勢はそれなりに感じられます。

一方、圧倒的多くの国民が求めてもいないのに憲法改正国民投票を「国民の権利」などと発言し、まだ十分な議論も尽くされていないのに公明党、日本維新の会、国民民主党は強行的な手続・手段を主張します。

こうした状況で改憲の条文案が作成され、改憲が進むことが本当に国民のためなのでしょうか?

【国会議員から】階猛さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会幹事)

前回の衆院憲法審査会で自民党の中谷筆頭は、憲法改正や国民投票は、国民に理解していただくためにはプロセスや内容が非常に大事だと発言しました。その後、岸田首相は、来年9月までの自民党総裁任期中の憲法改正を目指す旨を答弁しました。

そもそも岸田首相は、憲法改正の期限にはこだわるものの、改正の内容についてはこだわりが見えません。22日の予算委員会でも、三木委員から緊急事態の際の議員の任期延長について憲法改正議論を進めることについて見解を問われ、答弁を避けました。

憲法改正の期限については自民党総裁の立場を持ち出して積極的に答弁しつつ、憲法改正の内容については内閣総理大臣の立場を持ち出して答弁を避ける、極めて御都合主義の姿勢です。

今に始まったことではありませんが、岸田首相は、ぶれずに一貫した言動を取るべきです。仮に内閣総理大臣の立場にこだわるのであれば、行政府のトップとして憲法尊重擁護義務を負う以上、憲法改正の期限に言及すべきではありません。他方、自民党総裁の立場にこだわるのであれば、憲法改正の内容を示さずに改正の期限だけを指定するのは、建築工事の発注において、設計図を示さずに完成時期を指定するようなものです。立ち位置が定まらない岸田氏の発言は百害あって一利なしだと指摘します。

さて、憲法に関し国会が何を優先して議論すべきか。今年5月の朝日新聞の世論調査が参考になります。 それによると、7項目の中からの複数回答で、1位が憲法改正のための国民投票の在り方で46%、2位がデジタル時代における人権保障の在り方で44%、3位が敵基地攻撃能力の保有で43%です。緊急事態時の国会議員の任期延長は18%にすぎず、下から2番目です。

わが党は、国民が最も関心を持っている上位2つのテーマにつき、通常国会終了後にワーキングチームをつくり、私が座長となって検討を進めてきました。

デジタル時代における人権保障のあり方については、生成AIの急激な発達、普及や戦闘地域でのフェイク情報の拡散により、先ほどの世論調査の時点よりも更に国民の関心は高まっていると思います。

私たちは、インターネットとSNSの普及に加え、昨今のAIやデジタル技術の急速な進展が国民に多くの恩恵をもたらしていることを否定するものではありません。他方で、利用者の関心を引きつけることを重視するアテンションエコノミー、対象者の特性や個人情報を分析し、嗜好や行動パターンを推測して情報提供するマイクロターゲティングの悪影響は看過できません。そして、こうした手法などにより、個々人が自分の趣味、嗜好に合う情報だけに取り込まれてしまうフィルターバブルや、同じような意見を持つ者同士で議論を重ねて極端な考えに至るエコーチェンバーという現象が見られるようになっています。

また、誤情報、偽情報といった有害無益な情報や他者を傷つける情報が拡散し、周知されやすくなる一方、本来拡散、周知されるべき公共の利害に関わる重要な情報については、公権力による廃棄、隠蔽、改ざんや報道機関への圧力によって拡散、周知されにくくなっている状況が生じていることは極めて問題です。

これらの結果、社会の分断が進み、民主主義の前提たる建設的な議論が困難になるほか、個人の意思形成過程がゆがめられ、内心の自由が侵される憲法十九条の問題、本人に無断でその人物像が形成、利用され、個人の人格的自律が脅かされ憲法十三条の問題、匿名による無責任な誹謗中傷や個人情報の発信、拡散により名誉権やプライバシー権が侵害される同じく憲法13条の問題、国民が本来入手すべき情報を入手できないことにより言論の自由や取材、報道の自由が空洞化する憲法21条の問題などなど、数々の憲法問題が現に生じたり、将来生じたりする危険が高まっています。

以上の問題を解決する方法として、現状の憲法規範には手を加えず、法令で必要な措置を講じるべきか、それとも、憲法規範そのものを必要な範囲で見直すとともに、これを具現化する法令を制定していくべきか、両論あり得ると思いますが、議論に際しては、憲法が志向する国家観が大きく変容してきたことを念頭に置くべきと考えます。

すなわち、19世紀以前の憲法は夜警国家を志向し、国家の役割は極力限定して、国家からの自由を保障することが中心でした。しかしながら、産業資本主義と都市化、工業化の進展により、二十世紀の憲法は福祉国家を志向し、国家による自由を保障するようになりました。そして21世紀の今、金融資本主義とグローバル化、デジタル化の進展により、憲法は情報国家、つまり、国民の自己実現と自己統治にとって不可欠な思想、言論の自由市場を機能させるために国家が積極的な役割を果たす国家、これを志向する必要があるのではないでしょうか。

こうした歴史的視座に立った場合、情報国家にふさわしい憲法はどうあるべきかというテーマは極めて重要です。憲法改正という選択肢も視野に置きつつ、党派を超えて建設的な議論を行うべきです。

衆院憲法審査会では、これまで国会議員の任期を延長すべしという意見があちらからもこちらからも上がり、響き渡ってきました。これぞまさしくエコーチェンバーです。衆院憲法審査会が時代や民意から隔絶されたフィルターバブルに陥ることなく、国民が真に望む重要なテーマについて腰を落ち着けて虚心坦懐に議論する場となることを切に望みます。

(憲法審査会での発言から)

2023年11月03日

憲法審査会レポート No.24

今国会での憲法審査会をめぐる動きについて

10月20日から、第212回臨時国会が開催中です。23日の所信表明演説で、岸田首相は「国会の発議に向けた手続を進めるためにも、条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待します」などと述べ、改憲へ執着する姿勢を示しています。

この間、とりわけ衆議院での憲法審査会の定例的開催が強行されてきました。また、維新の会や国民民主党による後押しなども続いてきました。今国会においてはさらに「論点整理」などを積み上げて、具体的な条文案作成へとステップを進めていくことが狙われている状況にあると言えます。

11月2日に開催された今国会1回目の衆議院憲法審査会は、幹事の選任という事務手続きのみの議事でしたが、終了後の取材に対して維新の馬場代表が改憲に慎重な立憲民主党は退場すべきなどと強い調子で語っているように、さらに改憲を呼号しながら立憲野党への攻撃を強めることも予想されます。

本レポートは、国会開催中は週1回ペースでの発行を続けていく予定です。引き続きのご注目をお願いするとともに、いま・まさに改憲をめぐる重大な局面にあるという危機感を、地域・職場で共有していただくことを強く呼びかけます。

なお、今週の参議院憲法審査会は不開催でした。

【マスコミ報道から】

今国会で初の衆院憲法審査会 憲法改正めぐり与野党議論へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231102/k10014245461000.html
“衆議院憲法審査会は今の国会で初めて開かれ、幹事の選任を行いました。”
“これに先立って開かれた幹事会では、森会長らがフランスなどを訪れた海外視察の報告を来週9日の審査会で行うことを決めました。”

憲法改正「首相の本気度」問う声 衆院審査会、初日は1分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023110201126&g=pol
“自民内では、首相が改憲に前のめりな発言を続けるのは、総裁再選や衆院選をにらみ「保守派の支持をつなぎ留めるため」との見方もある。維新幹部は「首相は本気で改憲を進めなければ自分の首を絞める。保守派の支持離れが進む」とけん制した。”

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