馬毛島

2020年11月01日

海洋汚染を起こしかねない「馬毛島軍事基地化反対」

鹿児島県護憲平和フォーラム 事務局長 磨島昭広

馬毛島は、西之表市街から西に12キロに位置し、1951年の緊急開拓事業で開拓団が入植し、59年には528人が居住してサトウキビ栽培や酪農、トビウオ漁やトコブシ漁で生計を立てていましが、水源に乏しい土地から80年には島民が次々に島を離れ、今では、北海道の渡島大島に次いで2番目に大きな無人島となりました。

馬毛島の買収の歴史は、1974年に平和相互銀行が馬毛島開発株式会社を設立して島の大半を買収したことに始まり、レジャー施設、石油備蓄基地の候補地や95年にタストン・エアポート社(当時の立石建設・立石勲社長)が馬毛島開発を買収し、西之表市の公有地である市道と旧学校地を除く99.6%を所有してからは、日本版スペースシャトル (HOPE)の 着陸場や使用済み核燃料中間貯蔵施設誘致などの構想がありましたが、実際の開発は進まず、わずかに採石事業が行われてきました。この立石社長については、法人税の脱税で、2011年6月に有罪判決を受けるなど問題が多い人物で、ほかにも3つの裁判を抱えています。 

馬毛島が米軍FCLPの候補地に浮上

馬毛島の名前が全国的に浮上したのは、2007年に在日米軍再編成のうち、硫黄島に代わる米軍空母艦載機陸上空母離着陸訓練 (以下、FCLPという) に利用する可能性が報道され、2011年6月のワシントンで開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)の中で「FCLPの恒久的な施設として使用する」とFCLPの移転候補地として明確に「馬毛島」を明記してからです。滑走路が300m程度しかない空母艦載機のパイロットは、夜間離着陸訓練が義務づけられているほか、練度維持のため一定の頻度で空母艦載機の発着訓練を行う必要があります。空母入港中には甲板上での離着陸訓練が出来ないため、陸上基地の滑走路を空母に見立てて昼夜を問わずFCLPが行われます。複数の機体が旋回しながらタッチアンドゴーを繰り返すため、周辺には凄まじい轟音が響き渡り、爆音被害をもたらします。

日米両政府の合意を受けて、熊毛地区の1市3町(西之表市・中種子町・南種子町・屋久島町)の議会は反対決議を可決した経過があります。現在は、反対する西之表市民で結成した「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」を「鹿児島に米軍はいらない県民の会」が中心となり種子島・屋久島・大隅地区をはじめ県内全域で、反対活動を展開しています。

2020年8月には、山本朋広防衛副大臣が鹿児島県庁と西之表市を訪れ、自衛隊と米軍が共同使用する「馬毛島における施設整備」との文書を示して説明を行いました。塩田康一鹿児島県知事は「具体的な説明に欠けており、もっと議論が必要」と応え、八板俊輔西之表市長は、10月に入って「馬毛島FCLP建設に反対する」ことを正式に表明しました。

有害物質は黒潮にのって

掲載の新聞記事は、鹿児島大学水産学部の小針統准教授らの研究グループが発表した記事で、この研究は、鹿大水産学部をはじめ九州大学・愛媛大学・東京大学・東京海洋大学・東北区水産研究所・北海道大学との共同研究で、黒潮が豊穣の海であることを証明しました。黒潮は、東シナ海を北上し、トカラ海峡から太平洋に入り日本近海の多くの漁場に豊かな恵みを提供しています。もし「馬毛島」に軍事基地が建設されれば、沖縄の普天間・嘉手納基地で起こったような有害物質流出で、海洋汚染を引き起こし、食物連鎖に影響を与えることが予想されます。基地ができてからでは、遅いのです。

この事実を全国の皆さんに知っていただき、地元の漁業者への周知をお願いします。(まじま あきひろ)

黒潮 実は豊かな海 2020.05.07の南日本新聞記事

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