11月, 2006 | 平和フォーラム - パート 2

2006年11月05日

憲法公布60年、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざす第43回護憲大会・アピール

 2006年11月3日は憲法公布60周年の日。来年5月3日で施行60周年を迎えます。1945年の敗戦まで、日本は、アジア・太平洋諸地域に対する植民地支配と侵略戦争によって、世界の人々に多大な被害をもたらし、国内でも原爆をはじめ多数の犠牲者を生み出しました。2度の世界大戦を引き起こした反省のなかで世界で築かれてきた平和主義、人類普遍の原理としての人権の尊重、民主主義を発展・確立させるものとして、日本国憲法は誕生しました。

 憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのない」ように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」、9条で戦争放棄を掲げ、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」としました。60年を経たいまこそ憲法理念を実現すべき課題が、非核・平和、教育と戦後補償、人権確立、地球環境、民主主義と地方自治など数多く山積しています。

 しかし、安倍内閣は、これを解決するどころか、5年以内の改憲を打ち出し、現行憲法のもとでも集団的自衛権の行使を強行しようとするなど、もっともタカ派の姿勢を示して誕生しました。そして、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験という事態を利用し、また、衆議院における3分の2与党という数を背景として、強権的な政治を強行しようとしています。まさしく、民主主義の危機に直面しています。
 開会中の第165臨時国会では、政府・与党は、「愛国心」を盛り込み、教育内容への行政の介入を広げる「教育基本法」の改悪、憲法改悪に道を開く「憲法改正国民投票法案」、人権無視の監視社会をもたらす「共謀罪」新設法案、防衛庁の防衛省への格上げ法案など、平和・人権・民主主義に関わる重要法案を軒並み強行成立させようとしています。
 
 また、安倍内閣は、小泉時代以上に、ブッシュ米国政権との軍事同盟関係を強め、日本がカネ、ヒト、モノ、土地までも貢献して、米軍司令部の座間移駐や沖縄辺野古への新基地建設、ミサイル防衛、原子力空母横須賀配備などを受け入れようとしています。まさに憲法の前文や第9条を根底から破壊させるものです。
 
 私たちは、安倍内閣の憲法否定の政治姿勢と全面的に対決します。侵略戦争の歴史と責任を明確にし、戦後補償でアジアとの和解を実現します。北朝鮮の核実験に強く抗議するとともに、戦争を導く軍事的な対抗措置に反対します。日朝の国交を正常化し、日本と東北アジアの非核化・軍縮をすすめます。中国や韓国・朝鮮、東アジアの市民との不戦の交流を築きます。軍事同盟強化の米軍再編に反対し、沖縄をはじめ基地を縮小・撤去させます。自衛隊をイラクから完全撤退させるとともに、戦争のできる国づくりを許しません。自衛隊と日米安保の強化を克服するため「平和基本法」の実現をめざします。共謀罪など抑圧法に反対し、被差別部落の解放や在日定住外国人をはじめとした人権確立をすすめ、人権侵害を救済する制度の確立をすすめます。「人間の安全保障」を指針に、差別や排外主義を克服した多文化共生社会の実現をめざします。
 
 そして、憲法改悪とそのための国民投票法制定や「愛国心」押しつけの教育基本法の改悪を許さないとりくみを全力で進めます。

2006年11月05日

憲法公布60年、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざす第43回護憲大会・教育基本法の改悪反対特別決議

 10月25日から衆議院特別委員会が開催され、教育基本法「改正案」の審議が始まりました。政府・与党は、先の第164回通常国会で、約50時間の審議を行ったことを理由に、早急に審議を打ち切り、今週にも強行採決しようと目論んでいます。 
 
 与党は、「衆議院であと20時間も審議すれば十分」と時間数のみを問題にしています。与党協議には3年間70回も重ねたというのに、国会ではわずかな審議時間で、しかも圧倒的多数の与党の数の論理で採決しようというのは、政治的な思惑のみで、国民無視の暴挙だといわざるを得ません。 
 
 各種世論調査でも明らかなように、国民の大多数が「時間をかけて慎重審議」を求めているのです。しかし、憲法改悪をゴールとする安倍政権は、教育改革を連呼し、責任がすべて教育基本法にあるかのような乱暴な論議です。教育の何が問題で、教育基本法「改正」によってそれをどのように解決できるのか、なぜ、今、改正しなければならないのかなど、国民の疑問には一切答えていません。 
 
 小泉前政権のもと、教育格差はさらに拡大しました。子どもたちの人権を侵害する事件も後を絶ちません。いじめによる自死や高校の必修科目履修問題も起こっています。すべての子どもたちの人権・ゆたかな学びを保障するために、共生・共学、教育の機会均等など、現行の教育基本法の理念を生かし、子どもを主人公とした教育改革を行うことこそが急がれなければなりません。 
 
 しかし、安倍政権は、政治主導で「国家のための教育」へと公教育を根本から転換させ、「愛国心」を規定し、教育の中央集権、市場原理・競争主義による「教育改革」を推し進めています。また、憲法「改正」についても「5年以内の改正をめざす」ことを表明しています。 
 
 準憲法としての教育基本法のしくみを大きく変え、教育格差をさらに拡大させる「教育改革」や教育基本法改悪は断じて容認できません。 
 
 私たちは、教育基本法改悪は、教育の国家統制、改憲へとつながるものとして捉え、平和・人権・民主主義を希求する多くの仲間と結集し、改悪阻止にむけた運動を引き続き展開します。 
 
 以上、決議します。
 

2006年11月03日

憲法公布60年、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざす第43回護憲大会・基調(pdf)


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