4月, 2007 | 平和フォーラム - パート 2

2007年04月25日

平和フォーラム第9回総会・原水禁国民会議第82回全国委員会(総評会館)

4月25日、平和フォーラムは第9回総会、原水禁国民会議は第82回全国委員会を開催しました。平和フォーラム総会には代議員など150名が参加、改憲手続き法など憲法問題、米軍再編への反対などの緊急課題をはじめ、反核・平和・人権・環境の課題についてこの1年間の総括と今後の方針について熱心に討議しました。重要な局面を迎えてのとりくみを全国各地ですすめていくことを確認しました。また、岩松繁俊平和フォーラム代表・原水禁議長が勇退され、市川定夫新代表・議長、日教組から藤本泰成さんが新設された副事務局長に専従派遣することを決めました。

当面の制度・政策要求

2007年04月23日

日本の食と農を潰す日豪・日米EPA・FTA及びWTO農業交渉による農産物輸入拡大反対に関する決議

 

日豪FTA農産物関税撤廃反対!食と農を守る緊急集会
 
 本日、農産物の輸入関税撤廃に向けた日豪EPA・FTA第1回交渉がオーストラリアの首都キャンベラで開かれています。この交渉によって、農畜産物の関税撤廃が行われることになったら、肉牛、酪農、小麦、砂糖の主要4分野で4300億円が直接打撃を受け、地域経済への打撃は総額2兆円規模に達し、食料自給率は30%台に低下するおそれが強いとされています。さらに、オーストラリアの米生産能力は最大100万トンを越えると見られており、その8割がジャポニカ米とみられるなど、日本の米作農家にとって大きな脅威となっています。
 
 また、昨年7月以降凍結されていた世界貿易機関(WTO)農業交渉が2月に再開され、本年7月末妥結に向けた動きが急ピッチで進んでおり、関税の大幅引き下げと輸入数量拡大は必至とみられております。
 
 さらに、日本経団連は昨年11月、日米EPA・FTA交渉に向けた共同研究の開始を提言、官邸や経済関係省庁の間で日米交渉に向けた動きが大きく浮上しています。
 
 言うまでもなく、輸入拡大による日本農業の崩壊は、農山村の自然、社会、環境の破壊をもたらすだけでなく、食料・農産物の安定供給や安全な食べ物の国内自給をもとめる消費者に大きな不安を与えるものです。
 
 このため私たちは、政府に対し、日豪EPA・FTA交渉や世界貿易機関(WTO)農業交渉による農産物輸入関税及び国内支持削減、輸入拡大に強く反対するとともに、食料自給率の向上と家族農業を基本とする環境保全型農業を維持発展する多様な農業の共存と食料安全保障の確保をはかるよう強く要求します。
 
1.WTO農業交渉にあたっては、食料主権及び多様な農業の共存と多面的機能の実現を基本とし、日本農業崩壊につながる上限関税の設定や大幅な関税引き下げ、重要品目の絞り込み、関税割当数量の拡大は絶対に阻止すること。
2.日豪EPA・FTA交渉にあたっては、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目を関税撤廃の対象から除外すること。万一、これが受け入れられない場合は、衆参農林水産 委員会決議を踏まえ、交渉を中断するなど毅然たる態度で交渉にあたること。
3.農業の崩壊や環境破壊を促進し、食の安全を脅かすおそれの強い日米EPA・FTA共同研究はおこなわないこと。
4.世界貿易機関(WTO)交渉、EPA・FTA交渉にあたっては、交渉経過等について徹底した情報開示に努めること。
以上、決議する

2007年04月23日

日豪自由貿易協定はいらない―意味のない交渉の中止を日本およびオーストラリア市民社会の共同声明

 

 私たち、この共同声明に賛同する個人・組織は、日豪自由貿易協定(日豪FTA)は両国の人々にほんとうの利益をもたらさないと信じています。日豪両政府が2006年12月に発表した『日豪経済関係強化のための共同研究-最終報告書』では、FTAが両国に利益をもたらすと強調しています。しかし、それは非現実的な仮定と貧弱な経済モデルの上に組み立てられたものです。また共同研究は社会・環境への潜在的影響と、それによって人びとや労働者、農民がどんな影響を受けるかについて考察していません。

 日本とオーストラリアの間にはすでに強い貿易関係が存在している、予測されている経済的恩恵が非現実的である、社会・環境コストについて考えられていない、以上の点から、私たちはFTA交渉を行なうべきではないと考えます。必要なのは、多国間貿易ルールを再考し、真の発展と公正、民主主義、持続可能性の上に立つグローバルな貿易システムだと、私たちは考えます。

 

1 農業

 私たちは、協定に農業問題が入ることを憂慮している。もし農業分野の完全な自由化が実施されれば、とくに日本の農家は大打撃を受ける。日本は現在、農家と影響の大きい(センシティブな)農業関連産業を保護するために最大で700%の農産物関税をかけているからである。日本の農家は、安価な農産物の輸入によって深刻な打撃をうける。オーストラリアでは、グローバルな競争と構造調整の結果、小規模な家族経営農家は急減している。

 日豪の消費者は、いま各国の間で交渉が進められている自由貿易協定が食の安全基準を引き下げる圧力となり、将来的に遺伝子組み換え作物の世界的な流通が促進されることに深い懸念を持っている。

 貿易交渉によって農民の暮らしが破壊されてはならない。大事なのは、食糧主権と農村の発展、農民の暮らしの保護に立脚したグローバルな農業システムである。

 

2 環境と地球温暖化

 「最終報告書」が、国連が採択した多国間環境条約に言及していないことに対しても、私たちは憂慮している。日本とオーストラリアの間で締結されるいかなる協定も環境問題について徹底して検討し、国際的な環境基準を遵守するための国内法の整備を含むべきである。

 また「最終報告書」が、「エネルギーの安定供給」を確保するためFTAにエネルギーと鉱物に関する章を盛り込んだことにも、大きな疑問がある。貿易協定がなぜ企業間の契約で決められるべき安定供給について言及するのか、理解しがたい。

 オーストラリア政府は補助金や輸出補助金という形態で石炭産業に対する助成をしておらず、日本は鉱物とエネルギー分野では概して自由貿易政策を採っている。したがって、FTAがエネルギーと資源の貿易に与える影響は何もない。いま巨額の利益をもたらす産業として拡大しつつある石炭産業は、地球温暖化と環境に甚大な被害を与えかねない。

 事故や核廃棄物、核兵器の拡散など解決できない危険性があるにもかかわらず、核エネルギーの利用も図られている。したがって、代替エネルギーへの投資に焦点をあてること、そして貿易による地球温暖化への影響緩和についての条項を含めること、に焦点をあてるべきである。

 

3 基本的なサービス

 保健衛生や水、教育などの基本的サービスはFTAから除かれるべきである。基本的なサービスのための均等なアクセスを保障し、社会と環境の目的を達成する権利は、両国政府が保持すべきものである。

 私たちは、とくに共同研究で述べられている「GATS(サービス貿易に関する一般協定)プラス」を憂慮している。オーストラリアも日本もすでにGATSが対象とするサービスから公共サービスを除外することを公約しようとしてきた。したがって、GATSの対象範囲を拡大しようというのは驚くべきことである。それは、日豪両政府が国民の利益のためにサービスを保護することを優先せず、利潤を求める多国籍サービス供給企業のために動いていることを示すものだ。

 公共サービスは貿易協定から除外されるべきである。

 

4 人権と労働の権利

 日豪両政府がすでに批准している人権や労働基準(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を含む)の遵守状況についての分析を、共同研究は行なっていないことを、私たちは憂慮している。

 日本とオーストラリアの間で提案されるいかなる協定も、人権・労働基準について詳細に検討し、投資家が人権と労働基準を遵守するための強制力をもつ公約(実効性のある監視メカニズムと違反した場合の罰則)を取り入れるべきである。

 

5 公聴会と開かれた議論

 「共同研究」を進める過程において、実効性のある透明性の高い公聴会が開かれたかどうかについても私たちの危惧するところである。日豪両政府が、貿易協定を提案しようと考えるならば、それが暮らしや仕事、環境にどんな影響を与えるかについて、充分な時間を取って、充分な情報を公開した上で、広い議論を行なうべきである。

 自由貿易協定の協議プロセスをどう進めていくかに関して、両国政府は原則と目的をはっきり持つ必要があり、労働組合や農民、地方自治体、関心を持つ人びととの定期協議がそのプロセスに含まれるべきである。

 

 私たちは日豪FTAに反対します。いま世界中に広がっている二国間貿易協定は、大多数の人びとに何の恩恵ももたらさない不平等な協定でしかないからです。

 私たちは、多国間貿易ルールは、真の経済発展をもたらす包括的で民主的なグローバル貿易システムをめざすもの、各国政府が住民の利益のために規制する権利を保持するものに生まれ変わるべきだと信じています。

 

日豪NGOの共同声明への賛同を呼びかける運動について

 この共同声明は、オーストラリアのNGOと共同で作成したものです。現在、オーストラリアでの日豪FTAに反対する運動は、AFTINET(公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク AustralianFair Trade and Investment Network)が中心となっています。

 AFTINETは、オーストラリアの90以上の団体(地域の組織、協会グループ、労働組合など)および個人がつくる、公正な貿易と投資を求めるネットワークです。調査・研究などを中心に、WTOやFTAに関する教材、ニュースレターを出しています。豪タイ自由貿易協定、豪米自由貿易協定についても、豪州政府に意見書を提出して活動しています。

 日本でも、賛同する団体を集め、次の日豪EPA交渉時等に賛同状況を公表していて、両国での運動を盛り上げていく運動を進めます。

 

 

2007年04月23日

日豪FTA・農産物関税撤廃反対!食と農を守る緊急集会(参議員会館)

4月23日から日本とオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)の交渉が豪州の首都キャンベラで始まったことを受け、同日、平和フォーラムは農民団体、消費者団体とともに、「日豪FTA・農産物関税撤廃反対!食と農を守る緊急集会」を参議院議員会館で開きました。北海道など全国から80人が参加し、日豪FTAによる農産物自由化に反対していくことを確認しました。集会では、東京大学の鈴木宣弘教授が講演し、「日豪FTAは日本経済にとって、ほとんどメリットがなく、農産物輸入で日本農業への打撃が大きい」「農業の生産規模が違いすぎて、この格差は埋められない」「日本はすでに農産物のほとんどを開放しており、保護されているという非難は間違い」「輸入増大は窒素過多を招き、環境と国民の健康に悪影響を及ぼす」など、経済学的にも問題が多い交渉であると指摘しました。食品関連労組で構成するフード連合や、北海道等の農民組織代表などの訴えの後、集会決議を採択。今後、自治体意見書の採択(すでに672自治体で決議)の拡大や、日豪の市民団体がともにFTAに反対する共同声明への賛同を獲得する運動などを行うことを確認しました。集会後は、貿易自由化を押し進めている日本経団連へ申し入れを行うとともに、銀座で街頭宣伝活動を行い、市民に訴えました。

集会決議  →日豪NGO共同声明 

2007年04月19日

「改憲手続き法」(いわゆる国民投票法)についての参議院議員への要請

 

貴職の日ごろからのご活躍に心から敬意を表します。

さて、4月13日、衆議院本会議は、与党自公両党が提出した「日本国憲法の改正手続に関する法律案」(改憲手続き法案)の併合修正案について、前日の衆議院憲法調査特別委員会につづいて、野党の反対や審議はつくされていないという多くの市民の声をまったく無視して、採決を強行しました。

4月16日には参議院本会議で主旨説明され、参議院憲法調査特別委員会での審議も開始しました。
憲法改正のための手続きについての法律の制定は、国のあり方の基本法である日本国憲法をどうするかに関わるきわめて重要な法案です。したがって、どの法にもまして、憲法の理念や原則に沿うとともに、議論も慎重かつ徹底的に行うことが必要なことは当然です。にもかかわらず、与党の併合修正案は審議も指摘された問題も山積みしたままに衆議院を通過させたものです。

私たちは、これまで何度も表明してきたとおり、憲法の前文や第9条の変更、基本的人権の侵害するものなどの憲法改悪に絶対反対しています。また、はじめに「憲法改正ありき」「憲法改正のためのハードルを下げる」という意図による手続き法の制定に反対しています。すでに、自民党は結党50年時に、憲法9条を変えて「自衛軍」を保持し、「集団的自衛権」をも行使できるようにし、いくつもの「国民の責務」を押しつける「憲法改正」草案を明らかにしています。そして、小泉内閣の時代から、日本は米国のイラクなどへの戦争政策に加担して憲法違反が常態化していました。これを受けた安倍首相は、集団的自衛権の行使の合憲化をめざすとともに、5年以内の改憲を打ち出し、本年年頭から5月3日の憲法記念日までに手続き法の成立を唱えてきました。まさに、はじめに「憲法改正ありき」の姿勢を示してきました。

国会に上程された与党の原案にも多くの問題がありましたが、併合修正案も同様に、基本的人権の尊重や主権在民という憲法理念に反する多くの問題点を持っています。また、選挙法として準拠されやすい公職選挙法は、世界でもまれな厳しい規制が盛り込まれ、表現の自由の保障などの人権を軽視した法律であることも制定に当たって見落としてはなりません。現行の公職選挙法は人の選挙について定めたものであり、政策選択の投票法に持ち込むことは不適当です。私たちは、「国民投票」の制度をはじめ、憲法改正に関わる手続きの法律の制定ならびに審議にあたって、以下の点を明確にすることを求めます。

1.「基本的人権の尊重」の立場から、国民投票に関わる報道や運動について表現の自由を保障するとともに、投票者への情報提供や議論の場を最大限に保障すること。

公務員や教育者の運動を制限することは、人を選ぶ公職選挙とは異なるものであり、憲法論議の場を制約することなりり反対です。「国家公務員法などにある公務員の政治活動禁止規定については国民投票運動には適用しない」という自・公・民3党の合意をも覆したものです。また、国民投票に際して広報を担当する「広報協議会」の委員は、政党の国会議席数による配分とされており、3分の2以上が改正賛成であり、当初から意見が平等に取り扱われる保障がないという問題があります。また、無料の放送・新聞意見広告も政党に限定されています。有料のものは料金規制はないので、投票の2週間前までなら大企業などはいくらでも広告できるという問題があります。

2.投票権を最大限、保障すること。

国の基本法という憲法の性格からいっても、公民権停止者や18歳以上の未成年者、場合によってはそれ以下の年齢や定住外国人にも拡げられるようにするかどうかが重要です。たとえば、市町村合併に伴い、全国各地に広がった住民投票条例では、在日外国人や15歳以上の投票権が認められ実施されました。併合修正案ではわずかに「18歳以上」と記されたものの、実施は公選法や民法などの法令について「検討を加え、必要な措置を講ずる」としており、それまでは現行有権者年齢の「20歳」というものです。

3.憲法改正の発議から投票までの期間を1年程度とするなど十分にとること。

法案では、国民投票の周知期間は「60~180日」という短さであり、議論を広め深めるためには、1年程度からそれ以上の長さが必要です。

4.国民投票の方式について国政の重要問題に関する国民投票制度とすること。

憲法改正以外の国政の重要問題に関する「一般的な国民投票」も含めた制度として確立していくかどうか。主権在民の立場から重要です。併合修正案は、附則で「検討を加え、必要な措置を講ずる」としただけで、国民投票の対象は憲法改正に限定されたものです。

5.投票の方式について個別改正条項ごとの投票制とすること。

憲法の複数の条項について改正案が発議された場合に、個別の条項ごとに賛否の意思を表示できる投票方法とするのかどうか重要な問題です。一括にせず個別改正条項ごとの投票制とすることが必要です。併合修正案では、憲法改正案の発議は「内容において関連する事項ごと」としています。これでは、国民に受け入れやすい条項と抱き合わせで受け入れにくい条項を組み込むことができるという問題があります。

6.憲法改正の成立要件を厳格にすること。

憲法改正の成立には少なくとも投票総数の過半数以上の賛成が必要とすべきです。しかし、併合修正案では、無効票を外した有効投票数(賛成+反対)の過半数で承認としています。

また、無効票を少なくし有効票を増やす点からも、投票書式については、「可」とするものに「○」を付す方式とし、白票は反対票とするなど厳格な規準にすることが必要です。しかし、併合修正案では、賛成・反対のいずれかに同意するものを「○」で囲むか、「×」もしくは取消線を記したものは逆の意思ととするあいまいで緩いものです。これでは憲法改正条項に反対のつもりで「×」を記すなどの間違いを引き起こしかねません。

さらに、併合修正案は、最低投票率制度を設けていません。少なくとも投票権者の3分の2以上とするなど国民投票が有効に成立する投票率に関する規定を設ける厳格化が必要です。

以上の点からも、併合修正案は、実質は有権者のわずか2割程度、全住民の1割強程度の賛成で成立する危険性があります。

7.「国民による発案権」を保障し、憲法改正そのものの是非を問う国民投票を行うこと。

国会による発案・発議は当然ですが、その前提は国民主権です。国民による発案権を保障するために、憲法改正そのものの必要性について趣旨を明らかにし項目ごとに是非を問う国民投票を行い、その結果に基づいて、改正作業を行い、議会での議決、最終的な国民投票を行なうシステムにすることなどが必要です。

8.憲法改正案の修正動議要件を緩和すること。

憲法改正案の国会内での発議(提案)要件を、衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成を要するとするのは妥当としても、修正動議の要件も同じにしているのは少数意見の軽視につながるので、大幅に緩和すべきです。

9.憲法審査会の設置は手続き法の枠を越えていること。

併合修正案は、この法の施行について公布の日から与党原案の2年後を3年後に改め、その間は、改憲案の提出はできないことにしましたが、これまでの憲法調査会を憲法審査会に改組し、公布後ただちに調査を越えて3年後の改憲発議に向けた憲法審査会の活動を開始できるようになりました。これは、単に手続き法という枠を越えています。

10.「憲法改正手続き法案」の是非をめぐる国民的議論を保障すること。

憲法改正手続きというきわめて重要な法律であるにもかかわらず、その制定の是非や時期も、内容もほとんど市民のなかで議論されていません。衆議院では2回の中央公聴会、1日2ヵ所の地方公聴会を開いただけで、採決を強行しました。国民一人ひとりに直接関わるものであるだけに、公聴会などを「やらせ」のない公平なものとして、全国各地で十分に行うことが必要です。

 

 

2007年04月19日

東北アジア連絡会/日朝国交正常化を求め、交渉作業の促進を求める要請

東北アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める連絡会

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
外務大臣  麻生 太郎 様
日朝国交正常化交渉担当大使  美根 慶樹 様

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は私たちの隣国でありながら、戦後60年を過ぎていまだに国交が開かれていません。 2002年9月17日の「日朝ピョンヤン宣言」で国交正常化への道は開かれましたが、一方で、拉致問題や、2006年10月9日の北朝鮮の核実験実施のなかで、日本による経済制裁など対立関係を強めています。北朝鮮の核実験実施は、東北アジア地域の緊張を高め、国際社会の核実験に反対する圧倒的多数の声を無視する暴挙ですが、この背景には、対話を閉ざしてきた米・ブッシュ政権の敵視政策がありました。私たちは、各国も日本も北朝鮮との対話姿勢を明確にすることを求めてきましたが、ブッシュ政権は米朝間の対話路線に方針転換しました。そして、6カ国協議は2007年2月13日、朝鮮半島の非核化に向けて各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意文書を採択しました。東北アジアにおける平和と安定のために共同で努力するとした作業が再開したことは重要であり、何としても具体化することが必要です。

 問題は日本が積極的に関わっていないことです。この間、日本政府は、制裁と圧力を強め、対話を閉ざしつづけ、北朝鮮の民間人の来日をも、相次ぎ拒否してきました。北朝鮮の瀬戸際外交も批判されなければなりませんが、日本政府の姿勢も大きな問題があります。

 基本は「日朝ピョンヤン宣言」です。宣言は、1世紀を超える朝鮮半島との不正常な状態を変える歴史的な転換点にする可能性をもつものです。日朝両政府が「宣言」で確認された原則に立ち返り、懸案事項の事実関係や真相解明について誠意ある姿勢をとることが必要です。

 日本政府が、北朝鮮との諸懸案解決に努力し、植民地支配の清算と国民的和解に基づくより平和な日朝関係を築くため、これまで以上に努力されるよう、以下の点を要請します。

1. 早急に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府との間で外交交渉を再開し、ピョンヤン宣言・6カ国共同声明・合意文書に基づき、対話によって両国間の懸案問題を解決し、早期に国交を正常化することを求めます。

 

 

2007年04月19日

食の安全・監視市民委員会ほか/米国産牛肉の輸入条件緩和・全面解禁に反対する要請

食の安全・監視市民委員会 日本消費者連盟 

内閣総理大臣 安倍晋三 様
厚生労働大臣 柳沢伯夫 様
農林水産大臣 松岡利勝 様

食の安全・監視市民委員会 代表 神山美智子
NPO法人日本消費者連盟 代表運営委員 富山洋子

米国産牛肉の輸入条件緩和・全面解禁に反対する要請

 4月末に行われる日米首脳会談でブッシュ・米大統領は、米国産牛肉の輸入に関して、現行の輸出プログラムにある20ヶ月齢以下という条件を30ヶ月齢以下に緩和することなど、全面解禁を要求してくることが予想されています。

 私たちは米国のBSE対策がずさんであることから、輸入再開に強く反対してきました。このうえ、首脳会談で米国産牛肉輸入の全面解禁が議題に取り上げられることは、とうてい認められません。私たちは以下の理由から、日本政府に対し、米国政府の要求を受け入れることなく、むしろ米国内のBSE対策を日本並みに厳格にするよう米国側に主張することを求めます。

(1)2006年7月に米国産牛肉の輸入が再開されましたが、06年11月に「胸腺の混載」、07年2月「衛生証明書がなく月齢確認不能」、3月「米国産ソーセージ、サラミに輸出禁止のはずの米国産牛肉を使用」、4月「衛生証明書がなく月齢確認不能の牛タンが混載」など、米国側の輸出条件違反事例が相次いでいます。こうした違反は米国農務省がチェックすることができない構造的なものであると言えます。日米両政府が輸入再開において合意した「輸出プログラム」が遵守されていない以上、米国産牛肉の輸入は認められません。

(2)米国内のBSE対策はずさんなままです。月齢確認の方法が事実上なく、トレーサビリティ制度もありません。と畜、食肉生産においてBSE検査はスクリーニング(市場から除去するもの)ではなくサーベイランスを目的としており、わずかな抜き取り検査しかしていません。特定危険部位(SRM)の除去も30ヶ月齢以上が対象とされています。また、牛の肉骨粉、血粉が生産され飼料として用いられることから交差汚染の恐れがあります。このようなずさんな対策のままで米国産牛肉の輸入は認められません。 
 
 

2007年04月19日

共同アピール/伊藤一長長崎市長銃撃事件、民主主義を銃撃するあらゆるテロを許すな!

民主主義を銃撃するあらゆるテロを許すな! 共同アピール

  長崎市長が撃たれた。

 17日午後7時50分ごろ、伊藤一長長崎市長は選挙遊説からの帰り、選挙カーを降り事務所に向かう途中だった。市長は背後から暴漢に2発の銃弾を受け病院に搬送された。医師たちの懸命の治療も虚しく翌18日未明、核廃絶をたたかい続けた伊藤市長は帰らぬ人となった。

 私たちは核廃絶と平和運動の道半ばにして斃れた氏の無念を思う。心痛の極みにあるご家族には、おかけする言葉すらも今はない。氏のご冥福を心からお祈りする。

 その場で逮捕された実行犯、城尾哲弥の凶行の動機は私怨とも報道されている。しかし市政にたいする不満であることにはまちがいはない。政治家が政治活動のさ中に、衆人環視の路上で命を奪われたのだ。民主主義の最大の行為である選挙を銃撃したこの蛮行に私たちは満腔の怒りをもって断言する。

 民主主義を殺すな。
 長崎市で市長が撃たれたのは、これで二度目となった。昨年は加藤紘一元自民党幹事長宅が右翼によって放火された。その前には朝日新聞の阪神支局が銃撃され記者が殺された。この国に民主主義を脅かすテロが横行している。これを憂慮しつつ座視してはならない。それは、民主主義を踏みにじろうとする者たちに手を貸す結果にしかならないからだ。

 いまこそ精一杯の声をあげよう。

 みなが一人ひとり勇気をもって声をあげ、抗議の嵐を巻き起こそう。

民主主義を封殺するあらゆるテロを許すな!  61回目の終戦記念日となった8月15日夕刻、元自民党幹事長加藤紘一氏の山形県鶴岡市にある実家と事務所が全焼した。敷地内で腹部を切って倒れている男が発見され、男は東京都内の右翼団体幹部であることが判明した。簡易鑑定では、火の気がなかったとされる実家一階奥の寝室で金属製の缶二個が見つかり、周辺からは油類が検出された。状況はこの男の放火であることを示している。

 確保された男は一命をとりとめたが取り調べに応じられない状態で、真相はなお多くの点で捜査の解明をまたなければならない。

 15日早朝、小泉首相はA級戦犯が合祀される靖国神社に参拝した。中国、韓国などアジア諸国からの非難、国内では賛否両論のなかでの強行だった。加藤氏は自民党内で首相の靖国参拝に疑問を呈し、メディアでも「参拝するべきではない」と批判を繰り返していた。男の所属する右翼団体は、過去にも天皇訪中に関連し宮沢首相(当時)の私邸前で割腹自殺未遂事件を起こしている。

 この放火は加藤氏の言動を敵視する者による、まぎれもない「言論封じ」の政治テロである。
 近年、右翼は靖国問題をめぐる活動を活発化させている。

 昨年は小林陽太郎富士ゼロックス会長宅に銃弾が郵送され、今年1月には自宅玄関前に火炎瓶が置かれた。今年7月には日経新聞東京本社に火炎瓶様のものが投げ込まれた。

 小林会長は「新日中友好21世紀委員会」座長として、昨年から小泉首相の靖国参拝を批判していた。日経新聞は靖国参拝の是非をめぐる論議を呼んだ「昭和天皇発言」の富田メモを入手、スクープしていた。

 事件とこれらの関連性は、実行犯が真意を明らかにすることをしないため、推測の域を出ない。

 だから卑劣なのだ。実行犯は語らなくとも、目的は達せられている。事件は自由な発言への恐喝、脅しであり、言論の自由への封じ込めに結果することだけが明白だからだ。

 自由な発言が守られなくて民主主義はない。民主主義にとって、政治テロはけっして許されてはならない敵である。

 私たちは、こうした「言論封じ」を目的とした卑劣な政治テロを断じて許さない。

 戦後だけでも、わが国で右翼によるテロはこれまで絶えることがなかった。1960年、浅沼社会党委員長刺殺事件。1961年、嶋中中央公論社社長宅殺人事件。放火事件では1963年の河野建設相宅放火事件があった…。

 今一度思い起こそう。戦前、政治家が次々とテロに倒れ、気づいた時すでに政党政治は形骸化し、戦争へと真っ直ぐに進む道だけが残されていたことを。

 加藤氏は「政治家である以上、どんな状況でも今後も発言していく」とテロに屈しない決意を語っている。しかし、政治テロとの闘いをひとり被害当事者だけに委ねてはならない。民主主義が脅威にさらされている。
 勇気の結束を示すため、私たち一人ひとりが声をあげよう。

 私たちは「言論封じ」のどのような政治テロも許さない!

呼びかけ人
 石坂啓(漫画家)、上原公子(国立市長)、内田雅敏(平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動実行委員会事務局長・弁護士)、小倉利丸(ピープルズ・プラン研究所共同代表)、鎌田慧(ルポライター)、きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン発起人)、木村庸五(弁護士)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、佐高信(評論家)、三瓶愼一(大学教員)、高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)、富山洋子(日本消費者連盟代表)、外山雄三(音楽家)、西川重則(平和遺族会全国連絡会代表)、福山真劫(平和フォーラム事務局長)、横田耕一(憲法学者・九州大学名誉教授)         (50音順) 
 

2007年04月18日

言論を封じる暴力を許すな! ―伊藤一長長崎市長の死を悼む

伊藤一長長崎市長の死を悼む -民主主義を破壊する蛮行に強く抗議する-

日本労働組合総連合会/原水爆禁止国民会議/核兵器禁止平和建設国民会議

 4月17日、伊藤一長長崎市長が、暴力団の凶行により亡くなられた(4月18日)ことに対して、私たちは強い衝撃受けたと同時に、ここに心からの哀悼の意を捧げるものです。

 いかなる理由があれ、民主主義を破壊する暴力=テロ行為は、政治家の自由な活動を妨げるものであり、絶対許してはならない。まして肉体的抹殺をおこなうことは断じてゆるされない蛮行です。1990年の本島長崎市長(当時)に続く事件だけに、今回の事件の徹底的な解明と対策を求めるものです。

 伊藤一長市長は、これまで被爆地の市長として核兵器廃絶の先頭に立ち、国内外でリードしてきました。特にこの間、三団体共催の「長崎平和集会」でのご協力をはじめ、2005年のNPT再検討会議むけては、私たち三団体が取り組んだ「核兵器廃絶1000万署名」には賛同者として参加していただきました。さらに、国連で核兵器廃絶を各国代表に訴え、国内的には、「核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」の開催や「日本非核宣言自治体協議会」の事務局を担当するなど積極的に世論を喚起してきただけに、伊藤一長市長の突然の死は、誠に悔やまれます。

 核兵器という最大の暴力に立ち向かった伊藤市長が、暴力によって倒されたことは、国家によるものであれ個人のものであれ、いかなる暴力も人間の命を奪うことは許されないということをあらためて確認し、今後も核廃絶を求めつつけるとともに、あらゆる暴力に対して私たちは対峙していくものです。そのことが伊藤一長長崎市長の死に報いるものと考え、行動を強化して行きます。

以上 
 
 

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