10月, 2009 | 平和フォーラム

2009年10月29日

障害者の人権と医療観察法を考える院内集会

 

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障害のある人が地域で安心して公平に医療・福祉を受けられる政策の必要性は長い間求められています。しかし精神障害のある人については、むしろ強制的隔離収容と日常生活の監視の下で医療継続を強制するきわめて差別的な心神喪失者等医療観察法が実施され続けています。医療観察法は、強制的隔離措置をカモフラージュするために医療施設などのハコモノには大量の税金をつぎ込んできましたが、この法自体がつくり出す差別と偏見のために、地域住民の反対などにあって医療施設の建築も進まず、代用病院で患者を隔離するという「手厚い医療」の崩壊など法の実質的破綻状況がどんどん拡大しています。医療観察法は池田小事件をきっかけに法務・厚生労働官僚が作文し、利益団体と巨額の政治献金を受け取った旧与党の一部利権議員が加わって小泉政権下での2度にわたる強行採決によって無理やり成立させられた障害者差別法です。
この法律に反対した民主党、社民党などによる新政権が誕生した今こそ障害のある仲間たち、賛同してくださる市民の方々の力と新しい政治の力でこの悪法を廃止に追い込もうと、10月29日に、衆議院第2議員会館で「障害者の人権と医療観察法を考える院内集会」が行われ、民主党の9人の国会議をはじめ全体では50人が参加しました。各議員はあいさつで見直しを表明し、「法の廃止」を明言する議員もいました。

2009年10月25日

10.25原発いらん!in上関集会 集会宣言

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2009年10月25日

「原発いらん!in上関集会」に全国から1200名

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2009年10月22日

普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設の断念を求める緊急集会、450人が基地撤去で決意を固める

 

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10月22日・23日の両日、沖縄県から「基地の県内移設に反対する県民会議」の代表団が上京しました。沖縄県では9月18日に「普天間基地の即時閉鎖・辺野古新基地建設反対!9.18県民集会」が開かれましたが、その時に採択された決議を、政党や関係省庁に手渡すことが代表団の目的です。代表団は、10月22日の午後には、社会民主党・日本共産党・内閣官房に、また23日には外務省・防衛省に要請を行いました。22日の夜には国会そばの星陵会館で、「普天間基地の即時閉鎖と辺野古新基地建設の断念を求める緊急集会」を開催し、450人が参加しました。沖縄と本土、国会議員・自治体議員と市民・労働者の連帯で、基地撤去をめざす決意を固めました。

→詳報

2009年10月20日

日朝連絡会「ヒロシマ・ピョンヤン~棄てられた被爆者」上映試写会

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2009年10月19日

横浜市教科用図書採択地区の統合に関する事務局長見解

                                            フォーラム平和・人権・環境 (平和フォーラム)事務局長 藤本泰成

 神奈川県教育委員会は、10月15日、横浜市教育委員会の要望を受けて、現在18地区に分かれている市立小中学校の教科用図書採択地区を1地区に統合することを、賛成4反対2の賛成多数で認める決定を下しました。同時に、厚木・愛川・清川の3市町村にまたがる採択地区「愛甲地区」から厚木市を分離する案について、全会一致で決定しました。
 この決定については、教育委員から「統合と分離の相反する決定を下すのは理解できない」とする意見も出されました。また、横浜市教委に対しては、「教育の多様化が求められるとき、採択地区の統合は時代に逆行する」「統合への変更理由が稚拙である」など多くの意見が出されたと報道されています。
 平和フォーラムは、以下の観点から、今回の神奈川県および横浜市教育委員会の決定は許されるものではないと考えます。

 1.横浜市教育委員会は、2010・2011年度使用中学校歴史教科書の採択に関し、今年8月4日、6人の教育委員によって18採択地区ごとに「ふさわしい教科書」を、無記名投票によって採択しました。その結果、10採択地区では現行使用していた教科書を、8採択地区では「自由社版」教科書を採択しました。採択する教科書が違ったのは18ある採択地区ごとに児童・生徒の学習環境や学力などの違いを考慮した結果としか説明できません。今回の横浜市教育委員会の採択地区の統合については、この採択結果と大きく矛盾するものです。

 2.今回の統合によって、小中学校491校、約27万人の児童・生徒を擁する全国最大の採択地区が生まれます。文部科学省は、1997年9月11日「教科書採択の改善について(文初教第454号)」局長通知を発出し、「各都道府県教育委員会におかれては、前記調査結果を参考の上、行政改革委員会の意見の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じ、教科用図書採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善など教科書採択の在り方の改善に引き続き努められるとともに、併せて貴管下の市町村教育委員会に対しても周知徹底を図り、同様の改善方を指導されるようお願いします。(本文)」「現在においても、私立の小・中学校においては、各学校の教育課程に合わせて学校単位で採択が行われている。公立学校においても学校単位で自らの教育課程に合わせて教科書を採択する意義をより重視すべきであり、将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要がある。(別添二)」としています。政令指定都市中最大の人口を抱える横浜市の採択地区の統合は、このような文科省の方針とも大きく異なるものです。

 3.神奈川県教育委員会は、横浜市の統合を認めた上で「愛甲地区」については厚木市を分離することに同意しています。文科省の方針を含め、このことの整合性をどのように説明するのか明確になっていません。

 平和フォーラムは、横浜市に対して今年8月4日教科書採択に関しての抗議文を送付しました。その中で、採択のあり方について、教育現場で教科書を使う教員や保護者の意見が届いているのか疑問であると主張しました。私たちは、教科書採択については、教員や保護者の意見を尊重し、各学校の教育課程・教育目標にそって決定されるべきと考えます。教育は、国民の義務であり国民の権利です。市民権利を尊重する憲法とそのことを実現しようとする社会状況にあって、今回の神奈川県および横浜市教育委員会の決定は、市民社会への挑戦と言っても過言ではありません。傲慢な教育行政のあり方は、横浜市の子どもたちの教育にどの様な影響を与えるでしょうか。私たちは、そのことを憂慮します。
 また、横浜市教育委員会が今年8月4日、18採択地区の内8地区で採択した「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する「自由社版」歴史教科書は、政府が東アジアの歴史に対する公式見解として現在も踏襲する1995年の「村山首相談話」を否定する歴史観によって作られています。平和フォーラムは、この教科書を採択したことに抗議の声を上げてきました。今回の教科用図書採択地区の統合によって、横浜市が諸外国から批判される「自由社版」歴史教科書を一括使用することも考えられます。その時、保護者や教員の声、グローバル化の中で多くの外国人児童・生徒を抱える学校において、批判される教科書を使用する児童・生徒の感情にどのように答えるのでしょうか。
 平和フォーラムは、神奈川県および横浜市教育委員会が、保護者・教員、市民の声に耳を傾け、「各学校の教育課程にあわせた学校単位の採択をめざす」とする文科省通知の趣旨から、今回の決定を再検討すべきと考えます。
 

2009年10月17日

2009『在日朝鮮人歴史・人権週間』関西集会

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 この7月から全国各地でとりくまれてきた2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」の関西集会が、10月17日、神戸市の教育会館に約150人の参加者を得て開催されました。主催は、兵庫県の日朝団体、労組、関西地域の朝鮮人強制連行真相調査団などで構成された実行委員会です。
 集会では、まず、「海を越えてつながる私たち」と題した宝塚市を中心に活動している劇団水曜日の公演が行われました。ら致問題が起きたとき在日の人たちに「朝鮮に帰れ」という心ない発言が行われたことなど、身近にある差別と歴史の問題について熱演。また、韓国から元軍隊慰安婦を招いての証言集会や交流を通じたエピソード、世界各国で起きている日本の首相に公式謝罪を求める議会決議に対して誠実に応えることを求める宝塚市議会決議を実現していったことが演じられました。
 つづいて、兵庫県朝鮮商工会会長の金承鎬(キム・スンホ)さんが被害者・遺族証言に立ち、父親が「軍属」としてかり出されタラワ島で犠牲になったことと、遺骨問題などについてお話し。朝鮮人強制連行真相調査団日本人側事務局長の空野佳弘弁護士から、朝鮮人強制連行の被害者(千葉県)と遺族(名古屋)の人たちが日弁連に人権侵害救済申立したことに対する2002年10月の日本弁護士連合会勧告について報告。奈良、京都、大阪、兵庫の近畿各地から強制連行地のフィールド報告の後、参加者との意見交換が行われました。集会は最後にアピールを確認し、終了しました。

 →集会アピール → 朝鮮新報 集会チラシ  

2009年10月17日

2009『在日朝鮮人歴史・人権週間』関西集会アピール

『在日朝鮮人歴史・人権週間』関西集会

*ここで使用する「朝鮮」とは南北朝鮮全体を包括するものであり現在の国籍に限定されない概念です。

 私たちは、朝米の直接対話と南北朝鮮の新たな動きが始まり、日本において政権交代が実現した時期に関西集会を開催しました。

 今回の開催地の神戸市は戦争時に全国屈指の軍需工場が集中し、数千名の朝鮮人が連行された典型的な強制連行地であり、中央区にある東福寺では空襲下で防空壕にとじこめられ亡くなった朝鮮人被害者の無縁仏が供養されています。

 私たちは、強制連行被害者遺族の証言、日本弁護士連合会の勧告と報告書から朝鮮人強制連行の歴史的事実を法的な視点から討議し、以下のことを確認しました。

 第一に、朝鮮人強制連行の「強制」には、官憲が家に押し入り連れて行ったとの「肉体的」強制のみならず、いい仕事があるとして騙して連れていった「精神的強制」が含まれることです。
 すなわち強制連行には日本軍「慰安婦」、「労務動員」、軍人・軍属等の連行等が含まれるが、これを意図的に「肉体的強制」に限定する一部の主張は、当時の法律に違反するのみならず、重大な人権侵害に該当することを確認しました。

 第二に、朝鮮人強制連行は、朝鮮本土から海外への連行のみならず、日本国内から海外と日本国内の作業所への連行が含まれることです。
 とりわけ、1920年~30年代に土地を奪われ日本国内に移動した在日朝鮮人男性のほとんどは、日本国内での徴用等により海外と日本国内の軍需工場等の作業所へ連行されています。在日朝鮮人のほとんどが強制連行被害者とその遺族であることを確認しました。

 第三に、すでに戦後64年を経過し、日本を除く過去の加害国は被害国と被害者に対し、誠実な対応により新たな友好関係を構築してますが、遺憾ながら日本は、唯一残された被害国、朝鮮民主主義人民共和国とは、過去の清算も国交もなく、末だ世界で唯一、加害国の責任を果たしていない国であることです。
 このようなことから、戦後も日本に居住することになった在日朝鮮人は、現在も戦前と同様に加害国から様々な差別と抑圧を受けいます。被害者への年金差別、重要な原状回復である民族教育への制度的な差別から「チマ・チョゴリ」事件まで、日本政府の責任は現在に継続されていることを確認しました。私たちは、日本政府が過去の加害の歴史を教訓とし、平和と友好のためには、日朝関係を改善させることが不可欠であり、そのためには「制裁」措置を即時撤回することが、まず求められていることを今、強くアピールします。

 私たちは、在日朝鮮人の歴史と人権は分離できないことを再度確認し、「在日朝鮮人歴史・人権」運動を推し進めることを、ここに宣言します。

2009年10月10日

シンポジウム「外国人研修・技能実習制度から見た労働契約法制」

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 外国人研修生・技能実習生は20万人を超えるほどに増加しました。時給300円に代表される「奴隷労働」とも言うべき実態や、賃金不払い、強制帰国、パスポート取上げ、携帯電話の所持禁止、セクシュアルハラスメントなど、さまざまな人権侵害が横行してきました。そのなかで2008年8月22日に山梨県で起きた中国人技能実習生に対する強制帰国・暴行傷害事件は、労働条件の改善と適正な研修を求めた中国人女性たちに対して、会社と協同組合(第1次受入機関)、そして中国の送り出し機関が共謀して暴力的に強制帰国を図るものでした。この山梨事件は瞬く間に中国国内に知れわたり、昨年の中国海外メディアによる10大ニュースに入るほどとなりました。そして、中国国内の法律家、弁護士を動かすこととなり、本格的な日本と中国の支援の連携が実現しました。
 この山梨事件を契機に、外国人研修・技能実習制度による労働基準破壊や人権侵害に対してそれぞれの国における労働法制はいかに働くのか、実効力があるのかという問題意識が広がりました。そこで、中国、韓国、日本の学者、弁護士、NGO活動者、労働者、市民が、民主主義の破壊に対して、労働契約法制を相互に検討しながら、普遍的国際規範も関係づけ、どのような草の根における連携をつくり出せるのかを、一緒に探ろうという点から、10月10日に初の日中韓シンポジウム「外国人研修・技能実習制度から見た労働契約法制~中国、韓国、日本の弁護士、学者、NGO の連携に向けて」が東京・明治大学リバティタワーで開催されました。主催は、大脇雅子弁護士と常凱中国人民大学労働関係研究所所長・教授を共同代表とし、外国人研修生権利ネットワークや平和フォーラムなどで構成する実行委員会。中国からの15名、韓国からの2名を含む150名が参加しました。
 外国人研修生権利ネット代表の莫邦富さんの総合司会で開会し、大脇雅子共同代表の主催者あいさつにつづいて、常凱教授が「中国における対海外労務派遣と労働契約法」、日本労働弁護団会長の宮里邦雄弁護士が「日本における労働契約法制の外国人労働者への適用と労働契約をめぐる紛争の裁判管轄について」それぞれ問題提起を受けました。パネルディスカッションは中国5人、韓国2人、日本3人の計10人がスピーチ。中国からは、「多国間の法律協調と労働者派遣の共同ガバナンス-中国人研修生の問題を中心として」と題して陳歩雷中国労働関係学院副教授、「海外労働派遣における労働者の権利保護について-研修生のケースを中心として」と題して王晶首都経済貿易大学労働経済学院労働関係主任・副教授、「中国における労働力派遣及び労働法」と題して李天国人力資源と社会保障部労働科学研究所労働関係研究室主任研究員、「海外労務派遣に関する労働紛争の問題」と題して馮喜良首都経済貿易大学労働経済学院副院長・教授、「研修・技能実習における弁護士の役割」と題して段毅広東労維律師事務所主任律師・弁護士。韓国からは、「韓国における移住労働者の組織化」について民主労総未組織非正規職室・移住労働者担当のパク・スギョンさん、「韓国の移住労働者労働権について」公益弁護士グループ・共感のチョン・ジョンフン弁護士。日本からは、外国人研修生問題弁護士連絡会の指宿昭一弁護士が「外国人研修生裁判等の事例報告」、すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク(RINK)の早崎直美さんが「どうして研修生たちは声を上げられないのか?!~研修生の権利擁護こそ制度改善の鍵」、全統一労働組合の中島浩書記次長が「外国人研修生・技能実習生をめぐる使用者側の最近の動向と私たちの取り組み」についてそれぞれ報告・提起しました。時間がないため、会場からの発言はこの春の入管法問題の先頭で論陣を張った旗手明さんと、福井で研修生問題をとりくむ高原一郎さんの二人だけから行われました。集会は常凱さん、宮里さんのコメントを受けたのち、移住労働者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平事務局長のまとめで終了しました。この民間交流の日中韓シンポを今後も続けていくことを確認しました。

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