9月, 2016 | 平和フォーラム

2016年09月30日

平和軍縮時評2016年9月号 課題は米国社会の世論を変えること―オバマ政権8年間の核政策を振り返る  湯浅一郎

   2016年5月27日、バラク・オバマ大統領は、現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪問した。原爆死没者慰霊碑の前でのスピーチは、一貫して「我々」を主語にし、「核兵器を使用した唯一の国」の代表という自らの立ち位置を消しさったもので、米国が、被爆地広島に謝罪する構図にならないよう周到に配意されていた。それは、ともかくとして、このオバマ広島到着の直前、米国防省は、2015年9月末現在、米国は4571発の核弾頭を有するとした最新の核兵器備蓄数と核弾頭解体数を公表した※1。このタイミングは、何を意味するのか理解しかねる。「核兵器のない世界」をめざすと宣言した大統領としての努力にも拘わらず、米国はまだまだ膨大で過剰な核兵器を有しており、この仕事の困難性を示そうとしたのであろうか。ハンス・クリステンセンが論評※2するように、「これらの数字はオバマ政権が冷戦後の他のどの大統領よりも核備蓄を減らしておらず、2015年に解体された核弾頭数はオバマ政権になって以来最小であること」を示している。任期が残りわずかとなったこの機に、8年にわたるオバマ政権の核政策を振りかえる。

派手に打ち上げたプラハ演説

   スタートは華々しかった。それを象徴するのが、ノーベル平和賞受賞の一要因となった2009年4月5日のプラハ演説※3である。演説の冒頭で、「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」とした上で、「本日、私は、はっきりと、信念を持って、米国は核兵器のない世界の平和と安全を追求することを誓約したい」と述べ、核開発を主導してきた国の大統領としては初めての意欲的な姿勢を見せた。そして、進むべき道筋として、1)核兵器のない世界に向けた具体的措置、2)核不拡散条約(NPT)の強化、3)核保安の体制強化の3点を挙げた。1)の具体的措置としては以下をあげた。

  • 冷戦思考に終止符を打つべく、国家安全保障戦略における核兵器の役割を低下させる。
  • 米国の保有核兵器を削減する。
  • さらなる削減のためロシアとの戦略兵器削減条約の交渉を進める。
  • 包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を追求する。
  • 核分裂性物質の生産を検証可能な形で禁止する条約を追求する。

   しかし上記のうち実現したのは新たな戦略兵器削減条約(以下、新START)の発効、核保安の体制強化くらいしかない。核兵器の削減は702発にとどまり、冷戦後の政権の中で最も少ない。その陰で保有核兵器の維持管理のために過去最大の予算を投入し、核戦力の近代化を推進している。これが、オバマ大統領の本意とは思わないが、議会や軍産複合体という壁に押しつぶされた結果であることは否めない。

 

米上院の新START承認決議に縛られた8年

   オバマの核政策を終始、規定したのは、新STARTの発効に関わる米上院の承認決議である。2010年4月8日、米ロ首脳は、プラハにおいて新STARTに署名した※4。同条約は、米ロ両国が発効7年後(2018年)に達成すべき削減目標を配備核弾頭1550発、配備運搬手段700基(機)としている。これは、余りにも低い目標であるが、米ロの検証を伴う核兵器の削減が再開された意味は大きい。問題は、条約発効に不可欠な米上院による批准承認を巡るプロセスである。承認には上院の3分の2以上の同意が必要であり、共和党保守派の同意も得なければならないという高いハードルがある。

   10年12月の上院批准承認決議※5には、核戦力の安全性、信頼性及び性能を確保するために「必要な資金を、最低限2010会計年国防認可法1251節に従い議会に提示された大統領の10年計画に示されたレベルにおいて提供することを誓約する」との条項が盛り込まれた。これに基づきエネルギー省(DOE)国家核安全保障管理局(以下、NNSA)所管の備蓄核兵器維持管理計画(SSMP)の予算として10年間で総額844億ドルを充当し、加えて核戦力の近代化に1000億ドル以上を支出することになった。つまり10年にわたり、保有核兵器の維持と近代化予算の大盤振る舞いを約束させられたのである。この時点で、オバマ政権に出きる核軍縮の大枠は決定されたと言っても過言ではない。

   14年3月4日、オバマ政権は、2015会計年予算案を提出した。備蓄核兵器の維持・管理を任務とするNNSAの15会計年予算※6は、前年度より4.51億ドル多い、対前年度比4.0%増の総額116.6億ドルが計上された。全体の3分の2にあたる備蓄核兵器の維持・管理に関わる核兵器活動予算に83.2億ドルで、対前年比6.9%増である。国全体の財政逼迫により、予算管理法に基づく歳出の強制削減が実行される中で、核兵器予算の特別扱いが続いている。

   著しい増額要求がされているのは備蓄核兵器維持管理(SSMP)活動で、15会計年予算は27.5億ドル(対前年比12.5%増)である。これは、核兵器の維持、監査、改修、信頼性評価、兵器解体・廃棄、研究・開発、認証など備蓄核兵器の維持管理を行う業務である。増額の大部分は、老朽化した核兵器の非核部品を交換することで退役寿命を延長させる寿命延長計画(LEP)である。15年予算では、フェーズ6.3の開発段階にあるB61-12弾頭(爆撃機搭載用)LEPに6.43億ドル(対前年比20%増)を見込んでいる。W76弾頭(潜水艦発射弾道ミサイル用)LEPも前年比4.3%増の2.59憶ドルである。更に空軍のW78弾頭(ICBM「ミニットマン」用)と海軍のW88弾頭(潜水艦発射弾道ミサイル用)の相互運用をめざすW78/88-1弾頭LEPは、2019年までのある時点まで延期するとした。これらにおいては、弾頭タイプの末尾に付与された枝番号に示されるように、核兵器の著しい変更を意味する「改造」(modification)が含まれ、改造という名の新型核兵器の生産が意図されている可能性もある。これらは核態勢見直し(NPR)※7において「満額の資金が提供されるべきである」と明記されている。15会計年予算書で示された「5年計画」によれば、2019年までに核兵器活動を97.0億ドルにし、現在より25%増やす計画である。

最も控えめな1000発までの削減すら進まず

   2013年6月19日、オバマ大統領は、ベルリンにおいてプラハに次いで2度目となる核兵器に関する包括的な演説※8を行った。ここで、オバマは、「配備戦略核兵器を最大3分の1削減したとしても、米国と同盟国の安全保障を確かにし、強力かつ信頼性のある戦略的抑止を維持することが可能である」と述べ、そのためにロシアとの交渉を追求するとした。新STARTの最終到達点である核弾頭1550発の3分の1削減ということは、1000発程度まで削減可能という提案である。この背景には、同日発表されたオバマ政権初の「核使用戦略」※9と呼ばれる政策文書がある。これは、2010年核態勢見直し(NPR)の追加分析を通じて、米国の核兵器政策を、その当時の安全保障環境に合致させるべく作成された。当初、政権内部の作業では、約1000~1100発、700~800発、300~400発という3つの選択肢が検討されていたが、その中で最も消極的な案が選択されたことになる。

   しかし、その後、シリア内戦での化学兵器の使用、さらにウクライナ政変に伴うクリミヤのロシア編入などを巡り米ロの対立が激化し、新たな削減目標に関するロシアとの交渉は全く進展を見ていない。世界全体で約1万5000発ある核兵器の約93%を占める米ロの核削減が進まなければ核軍縮に前進がないことは明らかであり、このままでは、当分の間、核兵器の削減は見込めない。この際、オバマ大統領は、残った任期内に、核使用戦略に沿って、米国が一方的に1000発までの削減を実行するべきであろう。

繰り返された保有核兵器の維持のための新型核実験

   一方、備蓄核兵器を維持するためにNNSAの研究施設において実施されてきた新型核実験は継続されている※10。米国は、ネバダ国家安全保障施設において1997年から臨界に達する前の状態でプルトニウムの挙動を調べる未臨界核実験を開始し、今日までに計27回行ってきているが、12年12月5日を最後に実施されていない。一方、オバマ政権になってからZマシン実験という新たな実験が始まり、2010年11月から14年10月3日までに12回行われた。これはサンデイア国立研究所(ニューメキシコ州)の強力なX線発生装置であるZマシンにより、ごく小量のプルトニウム使用で核爆発時のプルトニウムの挙動を調べることができるとされる※11。これらの実験は、オバマ大統領が誓約した「核兵器のない世界」に逆行するものであるが、備蓄核兵器を維持するために今後も継続されていく可能性が高い。

   オバマ大統領は、プラハ演説でも、また先般の広島の演説でも、「核兵器のない世界」という目標は「直ちに達成できるものではない、おそらく私の生きている間には」というフレーズをくりかえし述べている。この時、彼の脳裏には、米上院に象徴される連邦議会や軍産複合体の体質、それを支持する米市民社会の世論の現状が常に浮かんでいるのであろう。今、我々は、最も核軍縮に熱心で、努力もしようとしたオバマ政権にあって、核兵器削減は最少に留まってしまったという現実の背景要因を直視せねばならない。オバマ政権の公約違反をあげつらってみても仕方がない。カギを握るのは、米国の市民社会における安全保障を核兵器に依存することを是とする世論である。これこそが、核兵器のない世界への道を拒んでいるのである。これを壊し、米国内での核兵器廃絶の声を盛り上げることが「核のない世界」を求める世界中の人々の課題である。その中で、日本の市民社会に出きる最も大きな貢献は、日本政府に対して日本が核抑止力に依存しない安全保障政策を取るよう強く迫ることであり、それを通じて、安全保障を核兵器に依存する米国社会の世論に影響を与えていくことであろう。

注(※)

  1. URLは以下。

    http://open.defense.gov/Portals/23/Documents/frddwg/2015_Tables_UNCLASS.pdf
  2. FAS(全米科学者連盟)戦略的安全保障ブログ、ハンス・クリステンセン、2016年5月26日。
  3. 「核軍縮・平和2014年版」(ピースデポ刊)、資料1-10(264ページ)。
  4. 「核軍縮・平和2011年版」、キーワードA5(70ページ)に関連記事。
  5. 「核軍縮・平和2011年版」、資料2-7(284ページ)。
  6. NNSA予算要求書。http://www.cfo.doe.gov/budget/15budget/content/volume1.pdf
  7. 「核軍縮・平和2014年版」、資料1-11(266ページ)。
  8. 「核兵器・核実験モニター」427-8号(2013年7月15日)に抜粋訳。http://www.peacedepot.org/nmtr/bcknmbr/nmtr427-8.pdf
  9. 注(※)8と同じ。
  10. 「核軍縮・平和2014年版」、データシート4(101ページ)。
  11. 14年11月4日付「共同通信」。

2016年09月28日

日本政府による沖縄への弾圧を許さない 2500人参加して集会・デモ

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翁長雄志沖縄県知事への提訴、辺野古の米軍新基地建設工事再開、高江のオスプレイパッド工事強行を許さない!9月28日、東京・日比谷野外音楽堂で「日本政府による沖縄への弾圧を許さない集会」が開かれ、2500人が参加し、「沖縄県民の闘いに連帯して、この『本土』でこそ、日本政府に怒りの声をあげよう」とアピールを採択、10月からの全国統一署名も呼びかけました。
「止めよう!辺野古埋立て!」国会包囲実行委員会が主催し、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協力して開催。主催者を代表しピースボート共同代表の野平晋作さんは、「沖縄では安倍政権による弾圧が一段と強まっている。辺野古では海上保安庁の暴力がまかり通り、高江は戒厳令下のような状況だ。この暴走を許してはならない」と呼びかけました。
沖縄県平和運動センターの大城悟事務局長(顔写真左)が現地の報告に立ち、「高江には全国の機動隊が導入され、自衛隊機に夜資材搬入など、まさに無法地帯だ。この権力の横暴に屈することなく、沖縄を再び戦場にさせないよう、全国のみなさんの力を借りて闘い抜く」と決意を表明しました。また、沖縄選出の照屋寛徳衆議院議員と糸数慶子参議院議員も駆けつけ、大城さんとともに連帯を呼び掛けました。(下写真)

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一方、ジュゴン保護キャンペーンセンターの三村昭彦さんが、世界最大の環境団体・国際自然保護連合(ICUN)の総会で3度もジュゴンの保護についての決議がされていることを紹介し「大浦湾の埋立ては非科学的だ。ジュゴンの保護区にして基地建設を断念させよう」と訴えました。
連帯のあいさつで、平和フォーラムの藤本泰成共同代表は「安倍首相は沖縄の基地負担軽減などと言いながら、新基地建設を強行し、抵抗する沖縄の人々を恫喝している。沖縄の基地問題は日本の民主主義の問題だ。これを絶対に許さない」と、全国から沖縄に結集することを呼びかけました。また、全国労働組合連絡協議会の大森進・東京全労協議長なども、高江への代表派遣等、支援の継続を表明しました。
専修大の白藤博行教授(上顔写真右)は、辺野古新基地建設をめぐる訴訟で、国側の主張を全面的に認めた9月16日の福岡高裁那覇支部の判決に対し、「憲法に基づく法治主義も民主主義もあざ笑うような内容だ。国と地方自治体は対等であり、沖縄の民意ははっきりしている」と指摘をしました。

最後の集会アピールを採択し、集会後、参加者は銀座などへデモ行進をしながら、「辺野古・高江に基地を作るな!」「政府の弾圧を許さない!」などとアピールをしました(下写真)。また、10月から「沖縄県民の民意尊重と基地の押しつけ撤回を求める全国統一署名」が行われます。

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2016年09月22日

さようなら原発 さようなら戦争 大集会 雨の中9500人参加

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福島原発事故から5年半が経過、さらに安倍政権による戦争法強行採決から1年となった9月22日、東京・代々木公園で「さようなら原発 さようなら戦争 大集会」が開かれました。朝から激しい雨が降りしきる中を9500人の市民が集まり、原発再稼働や核燃料サイクルの推進、戦争法の具体化をめざす安倍政権と対峙し、運動を広げようと決意を固めました。
福島の現地や避難者の現状などの報告を中心とした第1部のステージでは、福島県飯舘村の酪農家・長谷川健一さんが原発事故で一変した暮らしを語り、郡山市議会議員の蛇石郁子さんや、「避難の権利を求める全国避難者の会」共同代表の中手聖一さんも政府の対応に怒りを滲ませました。
さらに、北海道平和運動フォーラム代表の長田秀樹さんは、泊原発の再稼働と幌延の高レベル核廃棄物の地層処分研究施設の問題を報告しました。

「寿」のライブに続いて、第2部では、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の菱山南帆子さんが司会を務め、最初に主催者を代表し、作家の澤地久枝さんが「政府は昨日、福井の高速増殖炉もんじゅを廃炉にすることを決めた。しかし、原発を全てやめることをなぜ言わないか。5年半経っても福島ではふるさとに帰れない人が多くいる。これを絶対に忘れずにいこう」と呼びかけました。
福島からは、「ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)」共同代表の武藤類子さんが「原発事故から全国で原発反対の行動が広がり、その力が政府を追い詰めている。しかし、汚染された大地と壊された暮らしを抱える福島のことをもっと知ってもらいたい。来年3月には、避難指示解除による住宅支援の打ち切りに直面している。『住まいを奪うな』の運動に支援を広げてほしい」と訴えました。
詩人のアーサー・ビナードさんは、福島原発に流れ込む地下水を止めるための凍土壁が機能していないことを、『とど(凍土)のつまり』と批判。また、「東京電力は今や『東京電力ホールディングス』になっている。これは、福島原発がメルトダウンして穴が空いたり、税金を使って穴を空けた。東京電力が穴(ホール)を空けたからホールディングと言う」と皮肉りながら「原発は核武装のために作ったものだ。『核先制不使用』をオバマ米大統領がめざしたことに安倍政権は反対した。日本が世界で最も卑怯な国になってしまった。こんな政権に終止符を打とう」と強調しました。
木内みどりさん(俳優)は「キューバ革命はどうして成功したのかをキューバを訪ねて聞いたら、革命時に600万人の国民のうち100万人が集まったと言う。日本でも6人に1人の2000万人が怒りを表明すれば変わる。その一歩を踏み出せない人にもっと語りかけよう」と述べ、さらに落合恵子さんからの「戦後最も乱暴な政権を打倒するまで闘う。これが生きた証になる」などとメッセージを読み上げました。
若い世代から、今年の第19代高校生平和大使の布川仁美さんが登壇し、今夏、ジュネーブの欧州国連大使を訪ね、高校生が集めた署名の提出や、軍縮会議で訴えたことなどを報告し「平和活動で、知ること、想像することを学んだ。戦争体験者、被爆者の声を吸収し、後世に伝えていきたい。『微力だけれど無力じゃない』をモットーに平和な世界の実現をめざしていく」と決意を語りました。
もんじゅの廃炉という大きな前進を勝ち取った福井から、原発に反対する福井県民会議の宮下正一事務局長がたち、「1995年に発電を開始したが3ヶ月しか動かず、事故や点検漏れなどを頻発して稼働できなかった。プルトニウムを燃やすもんじゅは、通常の原発以上に危険性や毒性が高い。冷却用ナトリウム、配管の破断でも大爆発を起こす。もんじゅが本当に廃炉になるか、年末までが瀬戸際だ。政府に全国から訴えを集中してほしい」と呼びかけました。
集会の協力団体から、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会の木村辰彦さんが、「高江のヘリパット建設現場では、500人の全国からの警官を導入して、抗議する人を不当逮捕している。また、自衛隊のヘリコプターを使って資材を運び込む無法状態だ。沖縄には民主主義、憲法が適用されていない。しかし、全国の支援を受けて闘いが続いている」と報告。さらに辺野古新基地建設でも「先日の福岡高裁那覇支部の判決は、国の言い分そのままだ。三権分立を放棄している。国と地方自治体は平等だ。たとえ裁判で負けても知事の権限を行使すれば阻止できる。沖縄の運動は地方自治、民主主義、平和を守る闘いだ」と、全国からの支援を訴えました。
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会からは共同代表の福山真劫さんが「違憲の戦争法で南スーダンで駆けつけ警護が行使されたら戦争に巻き込まれる。自衛隊派兵を許せない。戦争法廃止を求める1400万の署名を国会に出す。安倍は我々をなめるな!」と、連帯を呼びかけました。
閉会あいさつを呼びかけ人でルポライターの鎌田慧さんが行い「今日は、もんじゅ廃炉という大きな曲がり角での集会となった。これまで核燃料サイクルに12兆円以上が無駄に使われてきた、これは日本の核武装のためのものだ。これをつぶしていく闘いを若い人に引き継いでいこう」と強調しました。

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雨のために、予定していたデモ行進は中止になり、最後に参加者全員でプラカードを掲げながら「さよなら原発 命が大事」「原発再稼働を許さない」「戦争法は今すぐ廃止」「自衛隊は戦地行くな」「辺野古・高江に基地を作るな」などとシュプレヒコールをおこないました。

2016年09月19日

強行採決のあの日から1年-戦争法廃止!9・19国会正門前行動に2万3000人が参加

   安保関連法=戦争法が強行採決された昨年の9月19日から、まる一年が経った9月19日、総がかり行動実行委員会は、「戦争法廃止!9・19国会正門前行動」を開催し、雨が降りしきる中、2万3000人が参加しました。集会では、4野党の代表をはじめ、学者・市民らが「戦争法は何年経とうが憲法違反に変わりがない」「野党と市民の共闘を強め、安倍政権打倒へ!」と訴えました。また、全国400カ所以上でも集会・デモ等が実施されました。

集会は、9条壊すな!実行委員会の菱山南帆子さんの司会で始まり、まず、政党を代表して民進党の岡田克也元代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂副党首、そして、参院選岩手選挙区で野党共闘の力で当選した生活の党の木戸口英司参議院議員が挨拶しました。各代表は、それぞれ、参院選での野党共闘の成果を語り、引き続き、野党共闘を強め市民との力で安倍政権打倒へ!ともにたたかおう!などと訴えました。
次に、主催3団体から発言。まず戦争をさせない1000人委員会を代表して清水雅彦さん(日体大教授)事務局長が挨拶し、「参院選での野党共闘をさらに発展させ衆議院選でも実現させ政権交代して戦争法を廃止して行こう。また、たとえ政権交代ができなくても運動の力で戦争法の発動を食い止めていこう」と呼びかけました。
また、9条を壊すな!実行委員会の高田健さんは「内戦が続く南スーダンへの重装備をした自衛隊の派兵は、殺し殺される事態になる、この自衛隊派兵阻止のたたかいを強め中ればならない。沖縄の辺野古や高江のたたかい、野党共闘の力で衆院選挙に勝つなどの課題と合わせて共にがんばり抜こう」と訴えました。また、憲法共同センターの小田川義和さんは「私たちの力の源はあきらめず行動を粘り強く繰り返すことだ。戦争法を廃止し安倍政権を退陣させるその日まで、粘り強くともにたたかい抜こう!」と訴えました。
次に、安保法に反対する学者の会、立憲デモクラシーの会、安保法制に反対するママの会@東京、日弁連憲法問題対策本部、元自衛官、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、安保法制違憲訴訟の会の代表や元自衛官。元シールズの学生もそれぞれアピールしました。

最後に、戦争をさせない1000人委員会の福山真劫さんが、行動提起を行い、「市民の力で国会を包囲し、野党共闘と市民の力をさらに結集すれば、安倍政権の暴走は必ず止められる。政権は必ず倒せる。さようなら原発、さようなら戦争9・22大集会、9・26国会開会日行動、10・6シンポ、10・19行動、10・30派兵反対青森現地行動にぜひ参加を!」と提起しました。

2016年09月18日

福岡高裁那覇支部の翁長雄志沖縄県知事への不当な判決に強く抗議する(声明)

福岡高裁那覇支部の翁長雄志沖縄県知事への不当な判決に強く抗議する(声明)

フォーラム平和・人権・環境 事務局長  勝島 一博

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、埋め立て承認を取り消した沖縄県の翁長雄志知事を、国が訴えていた訴訟で、9月16日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿朗裁判長)は、翁長知事が埋立て承認の取り消し撤回に応じないのは「違法」であるとして国側の全面勝訴の判決を言い渡しました。
 辺野古新基地建設をめぐっては、国と県の間で3つの訴訟が行われていましたが、3月4日、国と県は福岡高裁の勧告を受け入れ和解が成立、以降、辺野古での工事は中断され、解決に向けて両者は話し合いを行うこととなっていました。
 しかし、国は、十分な協議もない中、翁長知事の「埋め立て承認の取消は違法だ」として地方自治法に基づき是正指示を出し、かつ、7月22日には「不作為の違法確認訴訟」を福岡高裁那覇支部に提訴し法廷闘争に逆戻りし、今回の判決に至ったものです。
 そもそもこの訴訟は、仲井眞弘多前知事の「埋め立て承認」を県自らが否定し、取り消すことが認められるかどうかの法的手続きが争点でした。
 しかし、判決は、新基地建設の妥当性にまで踏み込み、埋め立て承認を取り消したことには「日米間の信頼関係を破壊するもの」とまで言い切りました。また、先の参議院選挙で現職の沖縄担当大臣が落選するなど、あらゆる選挙で示された辺野古新基地建設反対の民意についても、「反対する民意に沿わないとしても、基地負担軽減を求める民意に反するとは言えない」「普天間飛行場の被害を除去するには新施設を建設する以外にない」と述べ、県側の主張についてはすべて否定し、「辺野古が唯一」とする国の代弁者と間違えるほど国の主張を全面的に追認する不当な内容となっています。非政治的であるべき司法権の独立とは何なのか強い疑問を持たざるを得ません。
 また、戦後70年以上たった今も、74%の米軍基地が沖縄に集中し過重な基地負担を負わされ、今年の5月には基地があるが故の事件として、元海兵隊員による女性暴行殺害事件が起きるなど、米軍関係者の凶悪犯罪も後を絶たない沖縄に対する配慮があまりにも欠けた判断と言わざるを得ません。
 さらに、裁判を担当する多見谷寿朗裁判長は、かつて国と県の和解勧告を提示した裁判官です。当時の勧告では、国と県との協議を求めるとともに、99年の地方自治法の改正を引用し、国と県との関係に対等・協力の関係を求めており、今回の自らの判決はこの勧告を否定したもとなっています。
 かつて翁長知事は、国連人権理事会で沖縄の自由、平等、人権、民主主義を求めて、「沖縄の人びとの自己決定権がないがしろにされている」と訴えるとともに、「あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟です」と、基地建設への反対の決意を世界に表明しています。そして、この度の判決に対しても、「長い長い闘いになろうかと思う。新基地は絶対に作らせないという信念を持ってこれからも頑張っていきたい」と表明しています。
 平和フォーラムは、福岡高裁那覇支部の不当な判決に強く抗議するとともに、最高裁に向けた翁長知事の闘いを支持し、ともに闘うものです。
 私たちは、この間、辺野古新基地や東村・国頭村でのヘリパッド建設反対、普天間基地の返還をはじめとした基地縮小・撤去の取り組み、不平等な日米地位協定の抜本的見直し、沖縄駐留の海兵隊の撤退などの闘いを、沖縄の闘いと連帯し全国で取り組んできました。
 今後、さらにこれらの闘いを強化するとともに、最高裁での判決に向けて、沖縄と全国の仲間の闘いをつなげ展開するものです。
 勝利を信じ、あきらめずにともに闘いを進めましょう!
  

2016年09月13日

日朝国交正常化連絡会2016年総会アピール

ア ピ ー ル

   1991年に日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との間で日朝国交正常化交渉が開始されてから四半世紀がたった。それにもかかわらず、日朝交渉にはこの間進展がない。むしろ米韓による北朝鮮への軍事的・政治的圧迫、北朝鮮による核実験・ミサイル実験を通じた対抗、そして北朝鮮をさらに追い詰めようとする米日韓の制裁の繰り返しというように、東北アジアは危険な悪循環にはまりこんでいる。9月9日にはついに第5回の核実験がこれまでで最大規模の爆発力で行なわれた。
   こうした状況を転換するため、日本の市民社会は、日朝関係の改善こそがカギになると訴えたい。日本政府が圧迫政策をやめ対話の窓口を開き、拉致問題をはじめとしたさまざまな課題を解決しようと北朝鮮に呼びかけるところから、緊張を緩和し、核兵器の先制使用や先制攻撃の脅威で不安に包まれる東北アジアに転換を呼び起こせるはずである。そのためには日本政府が、歴史に対する謙虚な姿勢をもって日朝平壌宣言の精神に立ち返り、日朝国交正常化を実現しようとする真摯な姿勢を示すことが必要である。
   私たちは、深刻さを増す東北アジアの緊張の高まりを打開するため、国際的な市民の協力を呼びかけるとともに、あらためて日朝国交正常化の必要性と重要性を訴え、その実現に努力するものである。

東北アジアに非核平和の確立を!日朝国交正常化を求める連絡会

2016年09月09日

朝鮮民主主義人民共和国の「核弾頭の爆発実験」に強く抗議するとともに、国際的対話を求める(声明)

朝鮮民主主義人民共和国の「核弾頭の爆発実験」に強く抗議するとともに、国際的対話を求める(声明)

 本日(9月9日)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が「北部の核実験場で新しく研究・製作された核弾頭の威力を判定するための核爆発実験」を実施したと朝鮮中央テレビが報じました。2006年10月9日の最初の核実験から数えて5回目となる核実験で、東北アジア地域の緊張をさらに高め、世界平和の脅威となるもので決して許されるものではありません。
 原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、ヒロシマ・ナガサキの悲惨な現実と向き合い、核兵器廃絶のとりくみをすすめてきたものとして、ここに北朝鮮政府に対して強く抗議するものです。
 報道では、北朝鮮政府は「小型化、軽量化、多種化されたより打撃力の高い各種の核弾頭を、必要な時に必要なだけ生産できる」と核弾頭の開発を誇示しています。この核兵器の非人道性を省みず、核兵器能力の向上をはかる北朝鮮政府の姿勢は、国際社会の強い非難をあびるものです。原水禁は、北朝鮮政府に対して直ちに核兵器開発を放棄するよう強く求めます。
 一方、日本政府は「独自の措置および国連安保理決議にもとづく措置を着実に実施をしてきていたが、さらなる独自制裁は考えていきたい」としています。しかし、日本政府が米国の核の傘に依存し続けていることや、さらに通常兵器にまで核兵器による抑止を求めて米国の先制不使用宣言に反対していることも事実です。朝鮮戦争は休戦協定により、武力衝突は一旦終結したものの、北朝鮮と米国は停戦状態のままで、米韓合同軍事演習も実施されています。そのことが北朝鮮を国際社会から孤立させることにつながり、東アジアの平和への大きな脅威をつくりあげています。米国政府及び国際社会は、北朝鮮に対する制裁措置を強化することなく、昨年10月1日に国連総会で行った北朝鮮の李洙墉(リ・スヨン)外相の「朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するよう米国にあらためて要求する」とした一般討論演説に対して真摯に対応し、その実現に向けた対話を開始すべきです。
 原水禁は、日本政府自らが核の先制使用をも含んだ核抑止による安全保障政策を放棄し、東北アジアの非核化に向けた被爆国としての真摯なとりくみに着手することを強く求めます。また、北朝鮮に対して核政策の放棄を求めるとともに、米国政府に対して北朝鮮政府の主張に真摯に耳を傾け、二国間及び六か国間の国際的対話をつくりだす努力を強く求めます。
 
2016年9月9日
 
原水爆禁止日本国民会議
議長  川野 浩一

2016年09月01日

ソウルの空で誓う- 平和憲法を守る

今年も熱い夏がやってきた。原水爆禁止世界大会が終わると、8月15日を迎える。「敗戦」が「終戦」に変えられたように、不戦の誓いは、慰霊の日の影に隠れてしまってはいないだろうか。1945年8月15日の「玉音放送」に涙し、一億国民が「総懺悔」した日を、私たちは恥じなくてはならない。自国の利益に、侵略戦争と植民地支配を許した自らを責めなくてはならない。「その責めを将来の国民に負わせてはならない」と安倍晋三首相は主張する。ある人は「いつまで謝罪を続けるのか」と憤る。しかし、将来の人間だからこそ重く歴史の責めを負い続けなくてはならない。そのことが、「日本人」に生まれた宿命なのだと私は考える。

しかし、その歴史を恥じ入ることで、卑屈になってはならない。歴史の事実を見つめ、自らにその責めを負わせることを「自虐的」とは言わない。今に生きる私たちが「日本人」として胸を張って生きるためにこそ、歴史の責めを負う、「平和憲法を守る」という責めを負うことが必要なのだ。

ここ3年間、8月15日は、光復節を祝う韓国・ソウルでの集会に参加している。日本からの独立を勝ち取った日は、しかし、民族分断の日だ。歴史を共有する民族が、血を分けた親族が、南と北に別れ、北は未だに米国と戦争を続け、南はその米国に従属して対立する。

この事実に対し、自主的統一を図ろうとがんばっている人々もいる。いつも8月14日の夜に行われる「自主平和統一文化祭」では、「統一先鋒隊」という勇ましい呼び名を持ち、この日のために韓国内をキャラバンしてきた大学生を中心とした大勢の若人が、ビート感にあふれる、いかにも新しいリズムで歌い踊り、明るく、楽しく、元気に、自主的民族統一を主張する。格差の拡大、経済の停滞、サード(THAAD)ミサイル配備などの軍事力強化、権力の弾圧、そして北朝鮮との対立、多くの課題を抱える国だからこそ、その民衆の運動は力強く明るい。

「日本の平和憲法は、アジア諸国への日本の約束」と言った韓国人がいた。この言葉を重く受け止めたい。毎年、参加する私たちを韓国社会は優しく受け入れてくれる。平和憲法を守るという私たちの主張を、自らの課題のごとく受け止めてくれる。そういう関係を、もっとたくさんつくりたい。
(藤本泰成)

2016年09月01日

ニュースペーパー2016年9月









被曝71周年原水爆禁止世界大会
 1945年8月6日、9日の広島・長崎への原爆投下から71年。原爆は、多くの人の命や暮らし、家族や友人、夢や希望を奪いました。もうこれ以上「核」の惨事を繰り返してはならないと、今年も被曝71周年原水爆禁止世界大会が、7月30日の福島大会を皮切りに、8月4~6日に広島大会、7~9日に長崎大会が開催されました。
 大会では、米国の核兵器先制不使用政策に日本政府が反対しないよう求める国際公開書簡に多くの著名人の署名を得て送付し、また国際的に進む「核兵器禁止条約」の動きに対して、極めて消極的な日本政府の姿勢を転換させ、核兵器廃絶への道筋を早急につくりあげることや、被爆者への補償に対する日本政府の姿勢をただし、被爆体験者や在外被爆者、被爆二世・三世の課題の解決に全力で取り組みことも確認しました。
 さらに、いまだに福島原発事故による放射線量が高い被災地へ住民の帰還を強行していることに対し、国家補償による被災者への援護と生活再建、健康保障の充実を求めました。そして、原発再稼働を許さず、脱原発社会への転換を早期に実現するよう取り組むことも決意しました。大会では特に、先の参議院選挙で、安倍政権が3分の2の改憲勢力を確保し、憲法改悪にむけて動き出し、平和主義が戦後最大の危機を迎えているとして、「核も戦争もない21世紀」を実現するために、安倍政権の戦争への道にひた走る動きに断固として反対することが強調されました。(大会の詳細は3面~5面に掲載。写真上は福島大会でのデモ行進、中は広島大会の開会総
会、下は長崎爆心地公園での黙とうの様子)

参議院選挙の結果を受けて
「改憲」に対峙するとりくみを草の根から
フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本 泰成

歴史認識・思想の矛盾─安倍首相の危うさ
 参議院議員選挙が終わって1ヵ月が過ぎました。民進、共産、社民、生活の4野党共闘によって、32の「1人区」全てにおいて候補者の1本化が図られた画期的な選挙として、政治史の一角に記憶されるに違いありません。選挙結果に関しては、既に多くの立場から様々な評価がなされていますが、当落の数で選挙を評価することなく、選挙協力が単なる足し算に終わった訳ではなく、市民と政党の関係や共闘のあり方、選挙のスタイル、学者の会やシールズなどの新しい動き、新たな支持者の獲得など、多くの付加価値を生んだことを忘れてはなりません。
 安倍晋三首相は、昨年9月に戦争法(安全保障関連法)の成立を強行した後、今年1月の通常国会開会直後から、「いよいよ、どの項目から改正すべきかという現実的な段階に移ってきた」「私の在任中に成し遂げたい」などと、「改憲」について積極的に発言してきました。参議院選挙では争点を隠しながら、改憲勢力が参議院においても3分の2を超えるやいなや、自民党の憲法改正草案をベースに、「どう3分の2を構築していくか。これがまさに政治の技術と言っていい」「今後、憲法審査会できちっと議論し、国民的理解が高まる中で、どの条文(の改正)かということに収斂していくことが期待される」と発言し、自民党総裁任期中(2018年9月まで)の「改憲」にきわめて強い意欲を示しています。
 しかし、安倍首相は「改憲」の対象となる条文、内容、理由を明らかにしていません。「祖父(岸信介)も、父(安倍晋太郎)も達成できなかった課題を達成したい」と述べる安倍首相は、米国によって押しつけられた憲法が「日本人の精神に悪い影響を及ぼしている」と、若手政治家の時代から「改憲」を主張してきました。戦後の日本国憲法が示している平和と民主主義を「戦後レジーム」として糾弾の対象としています。東京裁判や南京虐殺、日本軍「慰安婦」など都合の悪い歴史を否定し、個人が憲法の基本的人権に則ってその権利を主張することを罪悪と考え、国益の優先を主張してきました。「自民党改正草案」は、憲法13条の条文において尊重される主体を「個人」から「人」に置き換えたことに象徴されるように、市民革命以降、近代社会に位置づけられてきた「個人主義」を否定し、「国家主義」「全体主義」へと進もうとするものです。
 安倍首相の危うさは、戦争法を成立させて米軍との軍事同盟を強化し、その世界覇権に協力しながらも、戦後の国際秩序であるポツダム宣言、東京裁判、サンフランシスコ講和条約に抗おうとする主張にあります。米国を中心に第2次世界大戦の戦勝国によって秩序づけられた国際連合に対し、アジア・太平洋戦争を「アジア解放の戦い」と位置づけながら、戦勝国で構成される安全保障常任理事国入りをめざすとする姿勢は、歴史認識の矛盾、思想の矛盾以外の何ものでもありません。


5万人が集まった憲法集会
(2016年5月3日・有明防災公園)

民意から大きく離れる改憲賛成派の議員
 参議院選挙の結果を受けて、中国や韓国からは「憲法9条は平和主義の象徴で、安心感を与えてきた」「日本の戦後の平和主義を積極的に評価してきた」としながら、「それを変えるならば周辺国の不安が高まる」などの声が聞こえています。
 参院選後に行われた朝日新聞と東京大学谷口研究室の共同調査では、回答を寄せた参議院議員の66%が「改憲」に賛成としています。「改憲」の項目では、緊急事態条項が51%、自衛隊・国防軍の保持が50%、環境権の新設が48%などとなっています。毎日新聞が今年4月末に実施した東日本大震災の被災3県の自治体への調査では、緊急事態条項が必要と答えた自治体は1町のみとなっています(回答は42自治体中37)。
 国の最高法規である憲法の「改正」に対して、その必要性を真剣に議論している賛成派の議員が存在するのでしょうか。「気に入らない」から、「変えたことがないから」変えるという、幼稚な議論がまかり通っています。
 加憲を標榜する公明党や大阪維新の会も、9条「改憲」には消極的とされます。「改憲」は、最終的に国民投票に付されるものであり、安倍首相は、決して失敗は許されないものとの認識から、民進党の賛意も必要との考えに立っていると言われています。「改憲」は、参議院選挙後の最重要課題であると考えなくてはなりません。
 今後、国民投票を意識しつつ、あらゆる場面で安倍政権の「改憲」の意図を明らかにしなくてはなりません。職場で働く者たちの中から、大学で学ぶ学生の間から、公園のママさんたちから「戦争をさせない」「一人ひとりの命を大切にする」「憲法理念の実現を求める」と、安倍政権に対峙する草の根の声を上げていかなくてはなりません。じっくり、しかし確実に「改憲」に抗する取り組みを、平和フォーラムや「戦争をさせない1000人委員会」が担っていかなくてはなりません。
(ふじもとやすなり)

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被爆71周年原水爆禁止世界大会が開催される
核兵器廃絶と脱原発、憲法破壊を許さない流れを作ろう

原発事故被災者の切り捨てを許さない福島大会
 東日本大震災・福島原発事故から5年が過ぎ、いまだに復興や賠償、事故の収束など多くの課題が残されている一方、被災者の切り捨てが行われようとしている中で、7月30日に福島大会が開催されました。全国から750名が参加し、屋内集会と市内デモを行いました。
 集会では、川野浩一・大会実行委員長(原水禁議長)から、改憲勢力が3分の2を超える国会情勢を踏まえ運動の強化が訴えられ、福島県平和フォーラムの角田政志代表からは、国による避難者に対する補償の打ち切りや、強制的ともいえる帰還事業がなされようとしているとして、あらためて避難者に寄り添うことの重要性が訴えられました。
 クラウディア・ロート・ドイツ連邦議会副議長からは、ドイツの脱原発政策の中で、再生可能エネルギーが電力の36%にも達し大きな雇用を作り出したことが紹介され、自然環境に恵まれた日本でも再生可能エネルギー拡大の可能性が高いことを指摘、いまだ原子力に頼る安倍政権は時代遅れであると批判しました。
 県内の様々な団体の取り組みとして、きらり健康生協からは原発事故後の医療状況、フクシマ原発労働者相談センターからは廃炉作業や除染作業に当たる労働者の実態や問題点について報告がありました。福島県の第19代高校生平和大使は、原発事故被災者を含め「すべての核被害者の声に耳を傾けてほしい」と訴えました。
 翌日は、飯舘村や南相馬市など放射線量が高い地域へのフィールドワークが行われ、除染作業の現状や無人の街並みを視察し、事故の深刻さを受け止めました。8月1日には、東京電力福島復興本社へ大会実行委員会として申し入れを行いました。

核兵器廃絶と脱原発の課題をトータルに捉える
 広島大会(8月4~6日/3000人・開会総会)、長崎大会(同7~9日/2000人・閉会総会)、国際会議(同5日/60人)がそれぞれ開催されました。
 国際会議では、日本のプルトニウム利用政策は、韓国を刺激し、北朝鮮、中国の脅威を言い訳に再処理競争を招き、東北アジアを不安定化させると専門家から指摘されました。特に約48トンものプルトニウムを保有し、さらに再処理を進めることは、周辺国からも脅威と感じられ、核兵器の転用も懸念されていることから、日本の原子力政策を核拡散の面からも問題にしなければならないことが明らかになりました(4面に内容報告)。
 分科会討議でも、昨年の核不拡散条約(NPT)再検討会議での核保有国の頑なな姿勢が核軍縮の流れを停滞させていること、それに対して非核保有国を中心に「核兵器禁止条約」などの新たな動きが胎動していることが報告されました。さらに安倍政権の進める安保法制、沖縄新基地建設など、平和を脅かし、戦争のできる国への動きに対しても、軍事評論家の前田哲男さん、ピースデポの湯浅一郎さんなどから分析と対抗の必要性が指摘されました。
 私たちの足元から核問題や平和問題をとらえることの重要性が分科会や国際会議を通じて繰り返し提起され、今後の日本政府の動向、発言には注視していかなければならないと確認されました。

地震と原発再稼働、核燃料サイクルの破綻
 脱原発の課題では、再稼働問題と新規制基準や地震・火山の問題、防災・避難計画の不十分性などを地震学者・京都大学名誉教授の竹本修三さんや原子力資料情報室の山口幸夫さんらが指摘しました。
 また、再稼働反対の知事が誕生した鹿児島や、司法で高浜原発の稼働差し止めが認められた福井、大会直後に伊方原発の再稼働(8月12日に実施)が予定される愛媛などからの現地報告もありました。
 さらに、原子力資料情報室の西尾漠さんらは、もんじゅ開発や六ヶ所再処理工場建設などの核燃料サイクル政策の破たんを明らかにし、日本の原子力政策そのものが大きな行き詰まりを示していることが報告されました。また、原発に代わる再生可能エネルギーの可能性について、明治大学名誉教授の藤井石根さんやドイツのクラウディア・ロートさんからも指摘されました。

あらゆるヒバクシャの援護連帯を訴え
 被爆から71年を迎え被爆者の平均年齢も80歳を超えていることから、残された課題(国家補償や在外被爆者、被爆体験者、被爆二世・三世問題など)の解決が一刻も早く求められていることが多くの分科会を通じて訴えられました。
 在外被爆者の課題では、韓国から郭貴勲さんら2名の被爆者を招き、戦後補償も含め在外被爆者の実相を学びました。中国人の強制連行と被爆をテーマにしたフィールドワーク(広島)なども行われ、日本の加害の歴史も含め認識を深めました。
 さらに、世界に拡がる核被害者の実態をフォトジャーリストの豊崎博光さんや医師の振津かつみさんが提起した他、今年はチェルノブイリ原発事故から30年目に当たり、ロシアのエカテリーナ・ブィコフさんから事故被害者の現状報告を聞きました(5面に発言を掲載)。
 大会全体を通じて、改めて「核と人類は共存できない」ことが明らかになり、核廃絶、脱原発への取り組みを確認しました。
(井上年弘)

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日本のプルトニウム利用政策と核拡散 原水禁大会の国際会議で議論
原子力資料情報室 共同代表 伴 英幸


左から伴、ソク、クレメンツさん(8月5日・広島市)

 今年の原水禁世界大会の国際会議は、原発から取り出したプルトニウムも核兵器の材料となることから、この利用にこだわる日本政府の政策転換を求めることが狙いでした。米国のトム・クレメンツさんは、23年前にあかつき丸が1.5トンのプルトニウムをフランスから日本へ運んだ時、この反対キャンペーンに関わり、30年にわたってプルトニウム問題を追いかけています。現在、米国の軍事用原子力施設であるサバンナ・リバー・サイト(SRS)の監視活動を行っています。東海村から今年4月に輸送された331㎏のプルトニウムの行き先はこのSRSでした。彼は米国の解体核兵器から取り出された余剰プルトニウムの処理に関する失敗例を報告しました。日本の余剰プルトニウムを考える時に大変参考になる話でした。
 韓国のソク・クァンフンさんは梨花女子大学の非常勤教授をしながら「エネルギー市民連帯」の常任政策委員として活躍しています。2000年代中ごろに2年間、韓国核不拡散管理機構の組織外理事の経験もあり、日本の再処理政策が核拡散を助長するとの意見には重いものがありました。以上の海外ゲストと伴の3名で、田窪雅文さんの進行のもとで充実した会議となりました。

余剰プルトニウムの処理に失敗したアメリカ
 SRSは米国の核兵器用プルトニウムの生産に携わってきました。5つの原子炉と2つの再処理施設があります。今はプルトニウムの生産は行っていませんが、これまでに36.1トンのプルトニウムを抽出しました。現在は解体核兵器のプルトニウム34トンの処理・処分の研究開発を行っています。処理方法としてプルサーマル燃料に加工して普通の原発で利用することが計画され、2007年から燃料加工工場の建設が始まりました。工事は50%ほど進みましたが、ここにきて設計上の問題などから建設費が膨大になってしまったこと、燃料に加工してもこれを使う電力会社がないことから、17年度予算は大幅にカットされることになっており、事実上の撤退となります。この方法はエネルギーとして利用する観点からではなく、使用済の燃料にすることで、プルトニウムにアクセスできないようにするためです。
 代替方法として、プルトニウムを特殊な物質で希釈して再利用できないようにして処分する「希釈・処分」方法が研究されることになりました。米国では軍事施設から出る長半減期の放射性廃棄物(TRU廃棄物)は核廃棄物隔離試験施設(WIPP)で処分されているので、ここに処分する方向にシフトしつつあります。問題がないわけではありませんが、この方がコストは4分の1程度で済み、実証性もあるとのことでした。

プルトニウム利用に固執する日本
 日本のプルトニウム政策について筆者が報告しました。93年に本格的な着工に入った六ヶ所再処理工場はいまだ本格稼働していません。ここで抽出されたプルトニウムは隣接する加工工場で燃料に加工される予定ですが、建設工事は始まったばかりです。どちらも新規制基準に対する適合性を審査している状態です。
 審査上の問題よりも国内に約11トン、海外に約37トンあるプルトニウムをどうするのかが問われるべきで、これをそのままにしておいては、余剰プルトニウムを持たないという国際公約に反します。しかし、福島原発事故後、東京電力や中部電力ではプルサーマル計画が白紙になっており、予定通りに進むとはとても考えられません。そんな中で六ヶ所再処理工場が稼働すれば、さらにプルトニウムが増え続けることになります。
 コストの面でもプルサーマル利用は高くつき、六ヶ所の再処理を今やめても経済的に有利であることが明白なのですが、政府は従来の政策に固執しています。そこで、電力の自由化が進む中では日本原燃の経営が破綻に至ることを認めた上で、これを救済する制度(法律)を作ったのでした。この法に基づいて使用済燃料再処理機構がこの10月にも設立されることになっています。しかし、制度がうまく機能するとはとても思えません。こんな状況で六ヶ所再処理工場の竣工は認められません。再処理を止め、余剰プルトニウムは米国の事例を参考に希釈・処分する方法を追及するべきです。

韓国は日本を見て、再処理の権利を要求するだろう
 2018年には日米原子力協力協定の期限が来ます。日本に再処理と濃縮を例外的に認めている現行の協定が延長されれば、韓国政府は「日本で再処理ができて、我々はなぜできないのか」と主張することになるとソクさんは分析。米韓原子力協定では日本のような再処理は認められていませんので、韓国政府は実用化されていない乾式再処理の研究開発を米国に認めさせました。
 いま東北アジアにおいて「プルトニウム再処理競争」が始まろうとしており、納税者として再処理反対の声をあげていこうとまとめられました。
(ばんひでゆき)

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「チェルノブイリの十字架」を繰り返してはならない
「チェルノブイリ情報センター」職員 エカテリーナ・ブィコワ


エカテリーナさん

 30年前の1986年4月26日、旧ソビエト連邦のウクライナ共和国にあったチェルノブイリ原子力発電所4号機で、非常用の電力供給試験を実施した際に、突然原子炉が暴走し、爆発・炎上しました。飛散した放射性物質は広島原爆の800個分とも言われ、ウクライナをはじめヨーロッパ全土に大きな被害を与えました。旧ソ連が事故を認めたのは、事故から2日たった28日でした。その間、多くの住民が高い放射線を浴びて被曝しました。
 今年の原水禁世界大会に、被災地出身のエカテリーナ・ブィコワさん(現在、NGO「ラディミチ」の「チェルノブイリ情報センター」職員)を招き、次のような報告をしていただきました。

子どもたちが健康な生活を送るために活動
 私はロシアの西のはずれブリャンスク州から来ました。住民の多くが、チェルノブイリ原発事故による汚染の被害に今も苦しんでおり、私もその一人です。もともと私はウクライナ出身で、家族も、幼なじみの友人たちも皆ウクライナにいます。ウクライナ東部ドネツクやルガンスクでの紛争の影響で、みな苦しんでいます。そして現在、NGO団体「ラディミチチェルノブイリの子どもたちへ」のメンバーとして活動しています。
 私は25年間、ロシア・ブリャンスク州のノボズィプコフという町に住んでいます。この町はチェルノブイリ原発から180㎞離れていますが、ロシアで最も高いレベルの汚染を受けた地域です。町とその周辺地区には、比較的汚染度の低い地域もあれば、人が住めないほど汚染された所もあります。
 でも、絶望したり、ここで生きていくことはできないと嘆いたりしてばかりはいられません、私たちから未来と美しい自然を奪った政府や、原子力に怒りを感じるのは当然です。でも怒っている間にも、私たちの汚染地域での生活は続き、子どもたちは生まれ、ここで育っていくのです。政府が何かしてくれるのを待つだけでなく、私たちは自らこの押し付けられたリスクを最小限に抑える取り組みをしてきました。
 私たちの団体では、住民、特に子どもたちが汚染の影響から身を守り、健康な生活を送れるよう、いくつもの長期プロジェクトを実施しています。主なものでは、(1)甲状腺診断室、(2)健康な生活習慣を教える青少年センター、(3)知的障がい児、身体障がい児のための教室、(4)汚染地域の子どもたちを受け入れ、20日間のサマーキャンプを実施する保養施設「ノボキャンプ」、(5)コンピューター講習クラブ、(6)原子力被害の実態や放射線の影響についての情報教育に取り組むチェルノブイリ情報センターなどです。また、住民を対象に汚染の影響から身を守って生きていく方法についての講習会や教育プログラムを実施しています。

重なるフクシマとチェルノブイリ
 私たちの経験が福島第一原発事故の被災地の方々に役立つのではないかと願い、伝えたいと思います。私たちそれぞれが、住み慣れた場所で生きる権利、汚染のない自然環境、健康で安全な生活、平和の中で子どもを産み育てる権利を持っています。そしてその子たちの未来を守る義務があります。
 チェルノブイリと福島の被災者、そして世界中のヒバクシャにとって、悲劇が起こる前と、その後の人生は切り裂かれてしまいました。悲劇が起こる以前の生活は、どれだけの光に満ち溢れていたことでしょう。今になると特に強くそれを思います。時間がたつとともに、より多くのことがわかってきます。
 チェルノブイリ原発の悲劇は、私たちから明るい未来を永久に奪いました。搾りたてのミルクを飲むことはできなくなりました。基準値を超えて汚染されたミルクが多いからです。野生のキノコやキイチゴ、野生動物や野鳥の肉、湖の魚、自然の恵みに支えられた地域の昔からの食生活ができなくなったのです。いつも、どうやって汚染の少ない食品を買うか考えています。川や森に行くと、汚染の影響が心配になります。健康診断を受けるとき、医師からの死刑宣告でも待つかのようにおびえてしまいます。私の国では、こんな状況があと何十年も続くのです。この気の滅入るような運命が、私たちの背負った「十字架」、「チェルノブイリの十字架」なのです。
 先日、福島県の旧避難指示区域、津波の被害を受けた地域を訪問しました。学校の先生方が自信を無くした姿、だれも住んでいない家などを見て、チェルノブイリ被災地の風景と重なりました。広島の平和記念資料館を訪問した時の強く重い印象が、いまも頭から離れません。世界中のヒバクシャ、そして福島第一原発事故による被害者の悲しみは、私自身の悲しみでもあります。
 私たちは、チェルノブイリも、フクシマも、核によるどんな被害も、二度と繰り返されることのないよう、できることはすべてやりましょう。そして、どこであれ次の核災害が起こるようなことを許してはなりません。

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進まないTPPをめぐる各国の動き
後悔先に立たずとさせてはならない!
TPPに反対する人々の運動 世話人 近藤 康男


各国のTPPの審議見通し
(日本、アメリカ、ペルー、チリ以外)

急いでいるのは日米両政府だけ
 安倍晋三首相の口癖は「再交渉には応じないためにも早期批准が必要だ」。また、海外のTPP関係筋からも「日本が率先して他国の批准の流れを主導し、米国に圧力をかけるべきだ」との声も出ている。
 しかし、米大統領選のトランプ候補は受諾演説で「TPPには署名しない」と述べ、民主党も公約で「雇用や賃金増に繋がらない貿易協定に反対」とし、クリントンも実質的にTPP反対発言を強めている。
 それを意識してか、各国での批准、国内法整備に向けた動きは遅々とした歩みを続けている。カナダ・ニュージーランド(NZ)・オーストラリア(豪州)は公聴会などの手続きを先行させ、NZと豪州は年内承認をめざしている。マレ-シア・ベトナムなどはTPP基準に追い付いていない国内法や体制整備に力を注いでおり、多くは来年半ばの承認を見ている。急いでいるのは日米両政府だけと言える。
 そして、英国のEU離脱による混乱は、TPPと並んで新たな世界基準をめざすものとしての米・EU間の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)、また、日・EU間の経済連携協定(EPA)の年内妥結の予定を大きく遅らせるだろう。これは、間接的にTPPの米国内手続きにも大きく影響するはずだ。
 米国政府は、「再交渉はTPPを漂流させかねない。協定の運用で果実を取り、将来の自由貿易協定での条文化を実現する」という方針で議会の説得に努めている。『将来』にはTTIP、サ-ビス貿易の一般協定(TISA)、そしてTPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)が含まれる。
 しかし、新大統領が就任後に前言を翻すだろうか?クリントンなら、前政権の顔を立てつつ、運用面での果実を自らの手柄にすることもあり得よう。しかし、11ヵ国相手の交渉は時間と混乱とを覚悟せざるを得ず、内容次第では国内手続きのやり直しも必要になる。日本政府は各国の状況を慎重に見極め、国会審議と市民への説明に時間をかけるべきだろう。新大統領の就任は1月20日で、時間はある。

アメリカの先行きは見えない
 民主党は党綱領起草委員会で、サンダ-スの「TPP承認の採決阻止」という提案を否決、オバマ大統領にとっては、かろうじて議会承認の可能性を残した形となった。
 共和党では、マコネル上院院内総務、ライアン下院議長、ハッチ上院財政委員長などは、業界を背景に協定の修正を要求している。これら議会の主要メンバ-が反対しているのは、生物製剤の新薬データ保護期間の12年が確保されていないこと、金融分野の電子データ保管場所の自由が確保されていないことの他、通貨操作、タバコ表示に対するISDS適用除外、原産地規則、乳製品・豚肉貿易などだ。オバマ大統領などは説得に動いているが、了解を得るには至っていない。
 米国通商代表部(USTR)は、5月に国際貿易委員会の「TPP影響評価報告書」、6月に「各国のTPP実行体制の状況報告」を公表し議会に提出、さらに7月には協定と協定実施法案の議会審議開始のために「TPP協定の正文写し」、「協定実施のために政府がすべき事項についての声明」、「TPP実施・発効のための計画」に加えて、上院財政委員会と下院歳入委員会に対して、米国の雇用に与える影響、米国及び協定参加国の労働者の権利や環境に与える影響などを詳細に説明する3種類の報告を提出した。しかし、議会での審議のめどはまったく立っていない。


TPPを批准させない!全国共同行動の集会
(8月20日、明治大学)

批准阻止の闘いを強めよう
 日本では、今春以降、TPPに反対する人々の運動や平和フォーラムも参加する大きなネットワ-クとして「TPP批准阻止!アクション実行委員会」が、国会内外での闘いを呼び掛けてきた。臨時国会でTPPの審議が始まる10月から様々な取り組みを予定している。
 海外でも豪州、米国、NZをはじめ、各国で市民・農民が秋に向けての運動に取り組んでいる。各国で批准が先送りとなれば、TPPの漂流、破綻もあり得る状況だ。日本でも秋からの闘いに負ける訳にはいかない。
(こんどうやすお)

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《投稿コーナー》
成立した刑訴法改正案の問題点と今後の課題
弁護士 海渡 雄一

刑事訴訟法改正案が通常国会で成立
 私は1981年に弁護士登録以来、代用監獄廃止と刑務所改革のために活動を続けてきた。そして、99年の盗聴法の成立に反対し、成立後も廃止運動を取り組み、さらに、共謀罪、秘密保護法の反対にも取り組んできた。
 今年の通常国会で刑事訴訟法の改正案が成立した。話は2009年にさかのぼる。再審無罪が確定した足利事件と布川事件、厚生労働省の村木厚子局長事件と、これに引き続く検察官による証拠改ざん事件などの深刻なえん罪の続発は、日本における刑事司法のもとで、えん罪が防げないのではという市民の危惧を高めた。
 日本では逮捕された被疑者は、裁判官の勾留決定後も起訴まで、時には起訴後まで警察留置場に置かれ、朝から深夜までの取り調べがなされることも珍しくない。このような制度を代用監獄制度という。世界標準では、被疑者が警察のもとに置かれるのは、24~48時間が限度である。これ以上警察に拘禁し取り調べの圧力をかけ続ければ、捜査官による暴行や脅迫がなくても、うその自白をしてしまうことは避けられないからだ。近年は、この取り調べに、日数的な制限だけでなく、時間的な制限がないこと、弁護人の立ち会いがないこと、録音録画がされていないことなども指摘されてきた。

えん罪を克服するための改革のはずが
 2011年3月「検察の在り方検討会議」報告がまとめられ、法制審議会に「新時代の刑事司法制度特別部会」が設置された。この改正作業は、えん罪の防止こそが真のアジェンダであったはずなのに、いつの間にか取り調べの可視化と引き替えに「供述に頼らない刑事捜査」という、捜査権限の拡大を含意するアジェンダを忍び込ませることを認めてしまった。
 法制審では警察・法務省は、取り調べの可視化を受け入れる場合、通信傍受の対象犯罪の拡大と事業者の立会い義務削除、司法取引などについて検討を求める意見が表明された。そして、多勢に無勢の法制審における闘いの中で、可視化の一部実現、被疑者国選制度の拡充という成果を認めさせるために、日本弁護士連合会(日弁連)はこのような新たな捜査手法の導入を引き換え条件として認めてしまった。
 また、盗聴の範囲を多くの窃盗、傷害などの一般犯罪にまで一気に拡げようとすることは極めて危険な提案であった。制度の濫用を防ぐためには、対象犯罪を限定し、組織性の要件を厳格なものに修正すべきだった。他人のプライバシーを侵害しうる盗聴行為には、もっと厳格な第三者機関の目が必要である。これは無理な要求ではなく、先進国では人権侵害を防ぐために導入されている制度である。
 しかし、市民のプライバシーにどのような影響をもたらすか、法制審議会部会ではほとんど審議されていない。このまま施行されれば、えん罪の防止どころか、いままで以上にえん罪事件を生み出す可能性がある。

一部録画がえん罪を生み出した可能性がある
 今年の4月、宇都宮地裁で有罪判決がなされた今市事件では、裁判員対象である殺人事件について、全過程の録音録画がなされるはずなのに、そのようにはなっていなかった。そして、判決文によれば「客観的事実のみからは被告人の犯人性を認定することはできない」と明確に判示され、自白がなければ有罪認定ができなかったことが示されている。そして、法廷で上映された部分録画によって「自白は実際に体験しなければ語れない具体性に富んでいる」「殺人について聞かれた時に激しく動揺したり、『気持ちの整理のための時間がほしい』と話したりする様子は、あらぬ疑いをかけられた者にしては極めて不自然だ。処罰の重さに対する恐れから、自白すべきかどうか逡巡、葛藤している様子もうかがえる」などとして、自白供述の信用性が認められ、これが決定的な証拠となって有罪判決がされたのである。
 これは別件逮捕・起訴による本件の自白強要である。起訴後、本件である殺人の取り調べがなされた場合、録画の義務があるかどうかの点について、法務省はこれを否定し、日弁連は義務があると主張した。今市事件における一部録画は、新法の下でも繰り返される危険性があり、それは違法捜査の抑制ではなく、違法捜査の隠ぺいにこそ役だったのである。

あるべき改革の方向性を確認することから
 こうしたことから、新法のもとでも、新たなえん罪の危険性が生じていることを確認し、代用監獄の廃止と弁護人の立ち会い、起訴前の保釈、全面証拠開示などの要求をあげ続けることが必要である。通信傍受が秘密保護法違反や共謀罪にまで拡大されることに対して、明確に反対するポジションを早期に確立することが必要である。
 また、盗聴過程において、人権侵害が生じていないかを独立の立場からチェックできる第三者機関についての制度設計を行い、これを法施行前に法務省に提起し、制度を盛り込ませるべきである。このような、真の刑事司法改革の機運を、正しい事実認識にもとづく冷静な反省と相互討論の回復によって、作り上げていきたい。
(かいどゆういち)

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「さようなら原発 さようなら戦争」大集会
9月22日 秋分の日に開催

 安倍政権の暴走によって、川内原発、高浜原発に続き、8月12日には伊方原発も再稼働されました。これに対して、さようなら原発1000万人アクションは、「『止めよう!辺野古埋立て』国会包囲行動実行委員会」、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の協力を得て、「さようなら原発さようなら戦争大集会」を開催します。
 原発も戦争法も、沖縄新基地建設も許さない大きな声を首都東京であげます。

会場東京・代々木公園B地区、けやき並木

日程2016年9月22日(木/秋分の日)
 11:00~15:00(デモ出発)
 12:00~第一部トーク(福島の現状と課題)、歌(寿)
 13:30~第二部トーク(呼びかけ人あいさつ鎌田慧、澤地久枝)
  発言アーサー・ビナード(詩人)、木内みどり(俳優)、福島からの報告ほか
 15:00デモ出発(1)原宿・青山方面コース(2)渋谷方面コース

主催「さようなら原発」一千万署名市民の会
連絡先03-5289-8224(原水禁気付)

協力「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲行動実行委員会戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

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