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第46回食とみどり、水を守る全国集会 分科会報告

2014年11月29日

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   第1分科会「課題別入門講座」第1分科会.JPG
 

 参加者=120名

①「原発問題入門 原発はなぜ危険なのか」
  上澤千尋さん(原子力資料情報室・原発事故問題担当)

 上澤さんからは、原子力発電所(以下「原発」)というのは、ウランの核分裂のエネルギーを使ってお湯を沸かし、高温・高圧の蒸気で発電機のタービンを回して電気を作る、いわば「放射能を大量に抱えたまま運転する大きなヤカン」のようなものであり、そのうち電気になるのは1/3で、残りの2/3のエネルギーは廃熱となるなど、効率の面で問題があることが指摘された。
 この原発の発電過程においては、いわゆる「死の灰」と呼ばれるヨウ素131やセシウム137、プルトニウムといった有害物質が生成され、過剰に摂取した場合、甲状腺をはじめとする人体の様々な部位に悪影響を与えること、しかも一度生成された放射能物資は減衰するのに数十年から数百年かかるものも存在し、人為的なコントロールができない恐ろしさを有していることが説明された。
 また、核暴走事故のチェルノブイリ事故、炉心溶融(メルトダウン)の福島第一原発事故の事例を通じ、事故時の放射能物資の拡散度合やヒトへの被曝線量の恐ろしさが述べられるとともに、日本各地の原発には、いまなお大量の使用済み核燃料が貯蔵・管理されているなど、地域だけの問題ではなく、全体の問題として私たち1人ひとりが意識して考えなければならない問題であることが提起された。

②「都会と農業の楽しい関係─練馬・体験農園の活動を通して─」
  白石好孝さん(練馬区・農民、体験農園園主)

 白石さんからは、消費地に近い優位性を有していた都市型農業が、道路整備や冷凍技術の発達により、地方の大生産地との差別化が困難となってなかで、市場流通から産直へ転換してきた経過が説明された。
 しかし、労働効率や販路に限界があるなど、産直が抱える課題が顕在化していくなかで、都市ならではの新しい農業経営により、安定収入の確保や労働の効率化、地域との共生をはかることをめざし、「農業体験農園」が誕生したことが述べられた。
 この「農業体験農園」は、プロの農家が市民に農業技術を指導するという、いわば農業に「カルチャー」としての価値を付加するものであり、一般の市民農園に比べ広範囲の年齢層の参加者が集っており、特に50~60代の会社員の方が地域デビューをする場としても賑わいを見せている。さらに、地元小学校の生産体験や精神障がい者の方の社会適応訓練にも農業体験が活用されるなど、地域に根ざし、農業の感動や喜び、ポジティブな魅力を伝えることに大きな役割を果たしている。
 白石さんは「21世紀は、工業化社会から環境と食料が重要となる社会に転換していく時代であり、農業がこの国の母体であることを見直すことが大切だ。『農業体験農園』を通じて、地域を愛する心、そして自然と命を生み出す百姓という仕事にこれからも誇りを持ちながら、このすばらしさを伝えていきたい」と述べた。
 

第2分科会  「食の安心・安全・安定をめぐって」

46集会第2分科会.JPG

助言者=神山美智子さん(食の安全・監視市民委員会代表)
報告者=福山隆志さん(佐賀県教組若木小分会・栄養教諭)
報告者=金森史明さん(千葉県成田市・有機農業生産者)
  参加者=90名
 
  神山さんからは、「食品安全行政の今」をテーマに、食品表示基準に関する行政の姿勢などについて報告を受けた。具体的には、食品安全行政は消費者の方向を見ておらず、例えば、栄養成分表示は事業者が実行可能なものが優先されている。食品偽装がなくならないのは、景品表示法違反での課徴金が、日本は利益の3%にすぎないのに対し韓国は3倍となっているなど、偽装に対する行政の姿勢がまったく違う。消費者の権利と役割を拡大するため、食品表示をよく読んで、おかしいことは行政や事業者に通報することが大切だと訴えた。
  福山さんからは、「食と農で子ども育てる」をテーマに、地産地消の給食つくりの取り組みについて報告を受けた。佐賀県武雄市は、市内全職員で取り組む給食の時間「5校時給食」や学校・地域・行政が連携した食育の推進に取り組んできた。福山さんの勤める若木小学校の給食は地産率80%で食べ残しゼロ(平均0.3g)となっている。佐賀の豊かな自然環境を背景に多種類の作物を子どもたちと栽培する中で、子どもの体と心を育む場としている。また、子どもへ伝える大人の思いとして、地元JAグループの地場産農作物の納入体制など「食と農の絆づくり」プロジェクトの報告がされた。
  金森さんからは、「百姓ならば仕事も食べ物も家にあります」題して、33歳で有機野菜づくりを通した百姓修行について報告を受けた。会社員やNGO職員、タイの農村滞在などの紆余曲折の中で「世のため人のため」とはどういうことか追い求めてきた。農村は人を吸収することができる。困った人を助けるために農業をやろうと考えた。それが人とのつながりとなり、今と違うよい社会になるのでないかなど将来の夢を語った。
  また、農業ジャーナリストの大野和興さんから、NAFTA(北米自由貿易協定)の状況について、全国集会の直前に訪れたメキシコの視察報告を受け、その後、会場の参加者との活発な意見交換が行われた。
 

第3分科会  「食料・農業・農村政策をめぐって」

46集会第3分科会.JPG

講師=谷口信和さん(東京農業大学教授)
助言者=菅野芳秀さん(山形県長井市・農民、「置賜自給圏推進機構」常任理事)
報告者=天羽隆さん(大臣官房政策課長)
参加者115名

 農林水産省の天羽政策課長は、「今後の農林水産業の展望」について、農村部の人口減少や高齢化は都市に先駆けて進行し、小規模集落の増加により地域の共同活動による農地等の維持・管理が困難となり、食料の安定供給や国土保全・水源かん養等の多面的機能への影響が懸念される。その一方で、2011年度の日本の農業・食料関連産業の生産額は94.1兆円で、国内総生産額901兆円の約1割を占めており、①生産現場の強化、②需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築、③需要フロンティアの拡大、④農山漁村の多面的機能の発揮を柱に、産業政策と地域政策を車の両輪として、「攻めの農林水産業」を展開すると述べた。
谷口教授からは、「安倍農政の2年間(2012年~2014年)をどうみるか-日本農業と農政の危機にどう向き合うか」と題して、「農政には持続性・安定性が不可欠であるが、自民党農政は、民主党の戸別所得補償政策の痕跡を消滅させることに執着し、非連続的な改革、農水省主導から官邸、財界による農政へシフトしている。財界の言いなりに農政を解体し、現場実態や現場感覚を踏まえない上からの押し付け、過去の農政の検証抜きの提案が羅列されている」とし、TPPを含め農政改革の推進に抵抗勢力となる農業団体等の解体等についても、実例をあげながら説明し、「このような政策は変えるべき」と述べた。また、JA出資型農業生産法人で新規就農研修事業が急増し、担い手の育成とともに、耕作放棄地再生の機能を発揮している等、将来につながる変化についても報告があった。
菅野さんは、「農村現場からの意見」として、今年の米の仮渡金は1表あたり8,500円で、精算金を含めても1万数百円との見込みで、かなりの数の農家が離農するのではないか、と言葉にできないほど厳しい農業者の現実を報告した。
参加者からは、①農地、農業委員会、農協の改革は大手資本・投資家のためであり、農家・地域を守ることから逆行する、②財務省は、食料自給率50%の目標を引き下げるよう要請したと聞いたが、基本計画の見直しへの影響はどうなるのか、③後継者がいない中、どうやって担い手を育て、農地を守っていくのか、などと発言があり、議論を深めた。
 

 第4分科会 「水・森林を中心とした環境問題をめぐって」

第4分科会.JPG

講師=橋本淳司さん(水ジャーナリスト アクアスフィア代表)
報告者=川口尚志さん(緑資源機構労働組合副委員長)
報告者=山本善久さん(自治労公営企業局長)
参加者=110名

 橋本さんは、「自治体で始まった水保全の動き~FEW(森・食・エネルギー・水)の最適化」をテーマに、①企業の水使用量の76%は素材や部品関連。世界的な水不足の中、企業の水リスクも増大し、水循環の保全や涵養、節水・再利用等の水の使い方で企業も評価される時代となった。②外国資本の土地取得問題を契機に土地の所有や採水の見える化等を目的とした「水資源保全条例」等の制定も相次いだ。引き続き地籍調査や流域の森林保全、水田による地下水涵養と農業用水使用の弾力化などの施策が求められている。③今後、森林と食、エネルギーの連携した取組みが重要になる。地下水利用による上水道の省力化や小水力発電、企業の協力による地下水保全財団の設立、飼料米・地下水涵養米で水田を復活し地下水涵養、間伐材利用による林業育成と水源地保全、家畜糞尿のバイオマスエネルギー化による水質保全などが実施されているが、政策連携による地域の特徴を踏まえた施策の具体化が重要」と話された。
 山本・自治労公営企業局長が「水循環基本法」について報告。「グローバル化や水ビジネスの動き、気候変動に伴う影響などを背景に、水は基本的人権の理念や自然の水循環の保全、水行政の一元化など、基本法が求められ、10年を経過し制定に至った」と、その背景および連合・民主党と協働した取組みの経緯を報告した。そして、「すべての水は公共財である」と定めた「水循環基本法」の意義や概要、今後の課題について解説し、今後は水制度改革議員連盟フォローアップ委員会での議論をはじめ、計画や政策の具体化に引き続き尽力していくと述べた。
 川口・緑資源機構労組副委員長は「水を育む森林(水源林)の役割」と題し、「日本は、300年以上にわたって山地が荒廃し、昭和10年代は戦争の拡大により軍需物資として大量の森林伐採が行われ、各地で台風等による大規模な山地災害や水害が頻発していた。戦後積極的に植栽が実施され、現在では、毎年1億?の成長量がある木材資源の充実した時期を迎え、木材の有効活用により地球環境保全をはじめ多くの森林機能の働きを発揮させることが重要となっている。また、水源林造成事業は、戦後放置された薪炭林や無立木地などを、木材生産を重視した針葉樹林へと造成・整備し、最近では、針広混交林など多様な森林づくりを実施することにより、山村地域の活性化等に寄与している。東日本大震災の復興支援では、カキ養殖イカダ用スギ丸太の供給なども行った。地域で新たな木材活用の試みが始まっているが、増え続ける国内の木材資源(宝の山)を利活用する仕組みをどのように作っていくかが重要といえる」と提起した。
 参加者から、地下水保全法の内容、竹林増大の問題点や対応、糞便のバイオマス化と堆肥化問題について質問があり意見交換を行った。 

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