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憲法理念の実現をめざす第54回大会(護憲大会)分科会報告

2017年10月31日

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 第1分科会 非核・平和・安全保障

 

助言者の前田哲男さん、重松舞子さんの発言を基に活発な議論が行われました。

前田さんからは、戦争法―自衛隊法の改悪など安倍政権の危険性を確認した開会総会のシンポジウムでの討論を受けて、今後私たちが何をなすべきなのかについて提起していただきました。

一つは、国際人道法における中立条件の戦争回避義務から防止義務、そして黙認義務のなかで、回避のための努力をすべきで、具体例としてイラン核開発をめぐる戦争危機をドイツとフランスが中心となってEUが仲介に入ったイラン方式にならい、日本が北朝鮮と米韓との対話交渉の場づくりを主導するよう、安倍政権に求める。

そして、防止のための努力として、日米安保条約第6条による交換公文で約束されている事前協議で在日米軍基地からの出撃を許さないようにする。

この二点を安倍政権への対抗軸として迫るための世論醸成を課題として提起しました。

重松舞子さんは高校生平和大使としてスイス・ジュネーブでの署名提出、NGO訪問、欧州本部や軍縮会議への参加と意見発表などの活動報告。被爆者から直接話を聞ける最後の世代としての自覚と「微力だけど無力ではない」という立場で、今後も核廃絶、平和に向かって署名活動などの活性化をすすめていきたいとの力強い表明がありました。

参加者からは、佐賀空港へのオスプレイ配備、神奈川の厚木基地と横須賀基地における米軍と自衛隊の現状、日米合同委員会と事前協議の困難性、安倍政権の朝鮮半島危機の煽動への対抗策、鹿児島の鹿屋・馬毛島・奄美諸島などの軍事化―自衛隊配備の状況、木更津自衛隊基地におけるオスプレイ整備の実状と危険性、米軍の攻撃開始と米軍属・家族の避難の関係、一般組合員の意識や世論とのギャップをどう埋めるかといった多くの貴重な情報、意見が出されました。

最後に、前田さん、重松さんからまとめの発言を受けて、運営委員から過去40回ほど護憲大会に参加してきたが、今回ほど朝鮮半島における戦争の危機的状況はなかったと感じるが、お二人の助言者からの提起に応え、運動をすすめていきたいとのまとめのあいさつがありました。

 

第2分科会 地球環境―脱原発に向けて―

 

原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんより、原発再稼働を許さない、エネルギー基本計画見直しに向けて、「核燃料サイクルを断つ」などをテーマに問題提起を受けました。

原発再稼働を許さないとのテーマでは、柏崎刈羽原発は、適合性審査の中で初めて事業主体の適格性が問われたが、東電側の不十分な回答をそのままにし、「敷地内の断層が活断層である」という地元学者グループの指摘を検討しないまま、10月に適合性審査合格が出された。11月3日までパブコメ中であることから、耐震問題等について再チェックを求める等の動きを行って欲しいとの話がされました。

エネルギー基本計画見直しに関しては、2014年度計画の見直しがされるが、原発がベースロード電源であるという位置づけを外させることや、省エネ、再生エネルギーの一層の拡大、そして原発のリプレース(廃炉原発跡地に新たな原発を作る)や新増設を計画に入れさせないことをしっかり主張していかなければならないとして、私たちの闘いに対して示唆をいただきました。

核燃料サイクルを断つために、2008年以降止まっている六ヶ所再処理工場の竣工延期、余剰プルトニウムを持たないとする国際公約を遵守させることや、廃炉等で発生する高レベル、低レベル合わせた2,000万トンもの廃棄物の処理について、生活環境の放射線汚染を強めさせないことが重要とされました。また、そもそも原発の稼働がなければこういった問題もおきないことから、稼働を止めることが先決であり、その上で、廃棄物を当面は貯蔵しながら、処理・処分に関して熟議を尽くして最善策を探るべきとの話がされました。

その後の質疑では、原発稼働の20年延長、乾式貯蔵に対する考え方等での質疑がされ、さらなる理解を深め合いました。

次に、各地域からの取り組み報告を行い、佐賀からは「玄海原発3・4号機の再稼働をめぐる状況」として、知事の再稼働同意までのプロセスや周辺自治体の動き、そして9月に行われた防災訓練の状況等が報告されました。また、福島からは原発事故処理の状況や地域住民が放射能への不安や避難先での生活基盤形成などから帰町率が低くなっていることや、北海道からは「高レベル放射性廃棄物の最終処分」問題について「幌延深地層研究センター」の現状や「科学的特性マップ」で最適地、適地とされたすべての自治体において、「処分場拒否」の議会意見書採択の運動を展開することが話されました。

続いて、福井からは「もんじゅ」の廃炉が決定されたが、そのままにされている2.5トンの燃料体の処理と1670トンにも及ぶナトリウム処理の問題や、もんじゅの廃炉にあたって、これからどうあるべきかの提言書の作成について報告がされました。

最後に、助言者から、原発稼働等の責任の所在をはっきりさせることが重要。「事故が起きた時は国に責任をとって欲しい」との知事、首長などの発言があるが、これはやめてもらわなければならない。以前は経済産業大臣の許認可だったものが、今は最終判断が知事に委ねられていることから、知事の責任は非常に重くなっており、国だけの責任ではないということを広めていかなければならない。そのような意識で各地域の運動を展開して欲しいと述べられました。

運営委員のまとめの後、座長から「本日学んだことを各地域に持ち帰ってもらい、反原発、脱原発運動に全力を挙げていただきたい」との挨拶で分科会を終了しました。

 

第3分科会 歴史認識と戦後補償

 

第3分科会「歴史認識と戦後補償」では、高島伸欣さん(琉球大学名誉教授)から、以下のような問題提起を受けました。

高校教師時代、生徒に東南アジアのイメージを聞いたところ「貧困・野蛮」といった歪んだイメージが語られた。現在では、日本を追い抜くほどの経済国になっている東南アジアに対して、なぜ、この様なイメージがあるのか。アジア人を見下した福沢諭吉の教えが未だに影響している可能性もある。

太平洋戦争に突入した経過は、日中戦争が日本軍の予想に反して中国の抵抗が激しく、そして、米国との関係悪化に伴い東南アジアへ侵略し資源を奪うための海上輸送路確保のための真珠湾攻撃であった。12月8日の、真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まったとされているが、真珠湾よりも先に陸軍が英国と戦闘を開始している。

中国で日本軍を困らせているのは、中華民国へ資金援助をしている、マレー半島に居る中華系の人民であるという根拠のない理由から、中華系人民を大量虐殺している。1944年3月までに中華系と英国の人民を組織的に大量虐殺している。このことは、陸軍からの公式記録残っている。福沢諭吉以来のアジアを見下した思想教育があったことで大量虐殺が出来たのではないか。

日本にとっての沖縄は、高江ヘリパッド建設で大城さんが6月の拘留をされた事に象徴されるが沖縄県民には人権がないと思わざるを得ない。しかし、沖縄の人々は自分たちの力で日本への返還を勝ち取り、日本国憲法を自力で手にした人たちである。底力のある県民であるけれども、国内では未だに江戸時代から続く地域差別がある。国内植民地という表現がされることもある。今では、原発事故の犠牲者である福島県民も地域差別が行われている。

投票権が18歳に引き下げられたが、今回の18歳の投票率は34%と低い結果に終わった。さらに、投票した人たちの支持率が高いのは自民党でした。憲法第16条の請願権を正確に伝える教科書は1社のみである。請願権とは、何人も基本的人権として、各議会に対して自分の要望を訴えることが出来る権利である。このことを学習し、校則等不満があれば請願権を使うような体験があれば、選挙に対する意識も高まるし投票先も変わる可能性がある。16条を放置した責任は社会全体にある。安倍政権の歴史認識では戦後補償はない。まずは、健全な社会を確保することが重要である。

問題提起を受けて、質疑応答と討論に入りました。主な内容は以下の通りです。

「従軍慰安婦問題が解決しない。謝罪と10億円という基金を出したが、またぶり返している。なぜなのか」との質問には、高嶋さんは次のように応えました。「河野談話で、「騙すようにして斡旋業者から日本軍が引き継いでいた強制性もある。」という事の否定のために、強制連行は証明されていないという雰囲気が広がっている。このこともぶり返す理由と思う」「一方で韓国軍もベトナム戦争時の暴行や慰安婦など問題が表面化し、その時に妊娠出産した子どもたちがベトナムで差別を受けている。韓国では、この問題は女性の人権問題、人類普遍の問題として取り組まれている。安倍総理は、この思想に追いついていないのではないか。」

群馬の参加者からは、朝鮮人徴用者の慰霊碑を2004年に建立したが、3年前に政治的利用という批判を受け、県議会が碑の撤去誓願を採択したことで県が設置更新許可を認めない判断をした。私たちが歴史認識を持って、右傾化する空気を打破するにはどのようにすればよいかとの質問があり、高嶋さんからは、経済界が動き出すこと、アジアとの経済関係を強めること。そして政治的中立のマスコミの力が必要だとの答えがありました。

また、「憲法第16条請願権の話は、目から鱗が落ちる思い。一人でも行動が起こせる事を教えていく事が大事。安倍政権は憲法第24条も狙っている。富山で別姓裁判の支援と24条の学習会を行っている」との報告がありました。

 

第4分科会 教育と子どもの権利

 

第4分科会では、安倍「教育改革」とそれに対するオルターナティブというテーマで荒牧重人(山梨学院大学)さんから提起がありました。衆院選挙が終わったが、安倍教育改革が支持されているわけではない。選挙の中で、「教育の無償化」が公約にいれられたが、憲法改正の必要はない。人権条約を適用するか、そのための法律を制定すれば対応できる。憲法「改正」がしたいがために「教育の無償化」を口実にしている。安倍政権の教育改革についてどういう対抗軸を示していくのか?との投げかけから話が始まりました。

安倍政権がめざしているのはグローバル競争大国である。グローバル企業の競争力強化にむけた「新自由主義改革」を掲げ、そのために必要な人づくりをし、国民意識の改編・形成などを行っている。そのために教育に手を出したがる。安倍政権の教育改革は危ない。すでに教育現場に表れている。安倍政権の教育改革における学習指導要領の改訂、教科書統制(教科書検定)、特別な教科道徳等である。メディアも自主規制しているのか、公権力に対抗しなくなってきている。政府の見解の押し付け、政治的介入が問題である。

安倍「教育改革」に対する対抗軸をしっかりとつくっていかなければならない。市民の力に支えられた民主主義の実践・とりくみと国際基準を活かしながら子どものところから再構築をしなければならない。それは、子どもの権利条約等の国際基準をふまえた「人権としての教育」の構築である。人権条約における教育への権利の認識と内容を国内規範化すること、教育への権利の国際的保障と日本の教育法制の整備等が重要となる。また、子どもの権利条約の意義や内容を再確認することも必要である。さらに、条約を理解する上で特に大切なことは、子どもをおとなと同じように取り扱うことを求めているのではなく、子ども期にふさわしい、より手厚い権利保障を要請しているということである。自国籍の子ども、自国社会で生活する多様な文化的背景・国籍をもつ子ども、国外の子ども、いずれの権利保障も大切である。

教育の無償化については、権利の観点から無償化問題を捉え、対応する必要性がある。無償化すると国が口出ししやすくなる。憲法には「教育は無償とする」とあるが、これは授業料だけではないはずである。初等教育の無償化は人権条約上の義務、中等教育・高等教育の無償化は人権条約の要請。ゆえに、憲法改正の必要はない。人権条約を適用するか、そのための法律を制定すれば対応できる等の提起がありました。

また、これまでの教職員・学校・地域のとりくみの成果を確認し共有するという点が大切である。どうしても課題が先行しがちになるが、成果をもとにしない課題の提示や確認はそれだけに終わってしまい、解決の方向にむかわない。いま、子どもや教職員・学校を取り巻く現状はがんばれば解決できるようなものではない。現場の意見を反映した施策や制度、親・保護者・地域・NPO法人等々の連携・協働なしには解決の方向すら見えないことが多いということも強調されました。

これらの提起をもとに、教委からの圧力に対しどう対応していったらよいか、安倍「教育改革」施策に対しこれまでどういうとりくみをしてきたか、今後どのようなとりくみが必要なのか等の意見交換に入りました。自治体の政策によって学校の統廃合、小中一貫校の設立、また教委からの全国学テの点数をあげることへの施策等の事例があげられ、子どもたちがないがしろにされているとの意見や、教職員が多忙では、子どもがついてこられない。また、教科書採択の問題、朝鮮学校無償化問題、施設で学習している子どもたちの実態等、たくさんの現状を交流し、またとりくみの報告も受けました。

教育関係者は謙虚過ぎる。自分たちでがんばってしまう。協力・協働をし、発信をしていく必要がある。子どもの権利を考えてとりくまなくてはならない。子どものことを語り、子どものことを思って教育条件整備をしなくてはならない。子どもが、学校の中で学校の構成員として位置付けられているか、子どもの権利を連動させながらやっていくことが大切。地域とかいろんな人の力をかりて、教職員が連携・協働していくことに動いていき、子どもの権利条約に関するとりくみをいかしていくことが重要である、と最後に荒牧さんから助言をいただき、分科会を終了しました。

 

第5分科会 人権確立

 

第5分科会では「人権確立」をテーマに、「外国人の人権・働く仲間・移住労働者、もう始まっている多民族・多文化共生」と題して、移住者と連帯する全国ネットワークの鳥居一平さんが問題提起、i女性会議から外国人の家事労働者について、部落解放同盟からインターネット上の差別について報告がありました。

外国人の人権では、外国人労働者の在留資格について、2010年の制度改正以前は、外国人研修制度は「研修」、外国人技能実習は「特定活動」となっていた。2010年の制度改定で、「技能実習」が創設され、「研修」とは分離された。2017年11月には「技能実習法」が施行されるが、これまでと同様にブローカー構造は変わらないとの見解を示されました。

実習生の賃金では、あくまでも予定賃金で実際に支払われることは少なく、中には残業手当が時給300円という実態も明らかになっている。また、就労中のトイレの回数をチェックし、罰金を科している事業所があることも報告されました。

職場やタコ部屋のような社宅では暖房器具が壊れたまま修理されず、部屋の中でもダウンジャケットを着て食事をしている実態や暴行の現場、権利を主張する外国人労働者を、みせしめのように強制帰国をさせるなど、映像を交えて報告があった。このようなハラスメントが横行してしまうのは、制度を理解しない一部の不心得者によるものだけではなくて、邪悪な欲望に変貌する社長が多数いて、支配従属が人を変えてしまうという指摘がありました。

労働者を労働者といわない歪んだ移民政策がある。労使対等原則という中で、民主主義社会を支える柱のひとつが平和と人権であり、現実、事実を直視する必要であるとまとめました。

質疑応答では、技能実習法施行後、どのような問題の改善が見込まれるのかとの問いに、実習制度があるのに法律ができたこと、後から法律ができたことに問題がある。また目的外利用には変わらないというところで「虚構」である。11月1日に施行される「技能実習法」には不正行為という文が明記されたが、実際は「法の抜け道」をめぐる、「いたちごっこ」になるのではないかと危惧している。また、介護以外の受け入れ枠の拡大について、今後の動きを注視しておく必要があると答えられました。

家事労働者問題に関しては以下のような解説がありました。

日本ではこれまで家事労働者問題は無縁だった。2014年の技能実習制度、家事支援の部分で特区に限って家事労働の対策支援が認められた。家事支援、外国人労働、家事対象者は特定機関・企業が受け入れるというところで、今現在、認定企業としては、ダスキン、パソナ、ポピンズなどで、総勢54人が資格を取っている。この中の受け入れ条件で、通算3年未満で、日本に定着しないように同じ人は2度と来られないという問題。賃金は日本人と同等以上となっているものの、ダンピング、低賃金が懸念されるところ。また、家事労働者に男性が出てこないところは不思議なことで、問題を含んでいる。ILO156号条約の家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約、ILO189号の家事労働者を労働者と認める家事労働者条約の話があった。

最後に、事業者に対してILO条約を認めさせなければならないとまとめました。

また、インターネット上の差別についての報告がありました。検索サイトでは、差別を助長する情報が簡単に調べられるという実態があること。グーグルマップでは、大阪の私鉄の駅名が「部落」と書き換えられた事件があった。部落差別解消推進法が制定されたことにより、これまで地区指定されたところだけでおこなわれていた施策が、日本全国で施行されることになったことは画期的である。鳥取ループ・示現舎がインターネット上に掲載した「同和地区Wiki」に対する裁判の経過報告がありました。一般的なインターネット上での差別情報の掲載については、海外の通信会社を利用するなど、個人を特定することが困難である。仮に裁判に持ち込めたとしても、膨大な時間とお金がかかるうえに、差別情報を完全に削除することは不可能。人権侵害救済法と差別禁止法の早期制定の必要性が訴えられました。

 

第6分科会 地方の自立・市民政治

 

第6分科会「地方の自立・市民政治」では、白藤博行さん(専修大学法学部教授)から、「辺野古訴訟から考える地方自治」をテーマとして問題提起を受けました。

白藤さんは三重県津市の出身で、公害問題が起こっていた四日市での深刻な被害を目の当たりにした。小学校の校歌にも「希望」と歌いこまれた工場の煙が子どもたちのいのちを縮めていた。そのことをきっかけに法学部で行政学を学び、公害対策基本法に限界がある中で自治体はどうやって守るのかという、法律と条例の問題にとりくんできました。

1995年の少女暴行事件をはじめ、基地があるがゆえに被害が繰り返されてきた。そのころ、大田昌秀知事(当時)が、国を相手に代理署名の訴訟をたたかっていた。白藤さんは鑑定意見を提出するなど訴訟に参加、理論的には勝っていたが、判決は捻じ曲げられた。

それから20年が経って、要請があり、再度沖縄の問題とかかわることになったそうです。

白藤さんは辺野古争訟について、まず、「公有水面埋立法」に基づく手続き問題から解説。知事は自分の仕事として埋め立て免許をなす権限が与えられていて、工事を停止したり、免許そのものを停止したり、損害防止措置や原状回復命令を出すことができる。そして法律上、民間業者と国は別の取り扱いになっている。

それにもかかわらず沖縄防衛局が私人として申し立てを行うことの問題性、不服申し立てを裁定する国交大臣自身が代執行訴訟を行う矛盾。そして代執行訴訟の和解を歪曲し利用しようとする菅官房長官の「法治国家」論の異常は明白です。

埋立承認取消しに対し提訴された法定受託事務についての不作為の違法確認訴訟については、福岡高裁那覇支部・多見谷寿郎裁判長による判決の問題性を指摘しました。翁長県知事の取消処分が適法か否かを審査すべきなのにそれを徹底的に回避し、別個に判断されるべき仲井眞弘多前知事の埋立承認の是非に集中したのです。

これは行政法上裁量権の逸脱濫用について違法と断じることの難しさを利用し、埋立承認は取り消すほどではなく適法で、だから取消処分が違法だとしたのです。また、辺野古は普天間基地の面積が半分だから負担も半分になるという理屈を振りかざし、さらには辺野古唯一論にまで踏み込む、極めて政治的な判決です。

現在、岩礁破砕許可の期限が切れているにもかかわらず、埋立工事を強行しています。漁業権の設定されていない岩礁の破砕は自由にしてよいという国の論理は、これまでの水産庁の通達や国会答弁とも矛盾したものです。埋立強行のために法の解釈と運用を歪めているのです。

沖縄県は差し止め訴訟や仮処分の申し立てで対抗しているが、最終的には埋立承認の撤回を検討することになる。承認の際に付された「留意事項」があり、それに関して違反が続いているからです。

沖縄県だけではなく、全国にかかわる地方自治の問題である。自治の保障は人権保障、そして憲法の核心であると述べられました。

講演後、会場からの質疑を受けました。提起に関連しての質問が活発に行われ、また、地域でのとりくみの報告があったほか、基地縮小に向けたとりくみのいっそうの強化を求める意見も出されました。

最後に白藤さんは、憲法の理念を具体化する法解釈をすすめていくのが法律家に課せられたミッションであるとともに、一人ひとりは小さくともそれぞれがそれぞれの持ち場で憲法を守るとりくみをすすめることが重要だと訴えられました。

 

第7分科会 憲法

 

講師の清水雅彦さん(日体大教授)が、「憲法とは何か」に始まり、安倍改憲の内容と問題点を解説されました。

安倍首相は2017年5月3日の改憲派集会へのビデオメッセージでなかで、憲法9条改正を「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方を示しました。しかし、9条2項か9条3項の加憲なのかはいまだにはっきりしていません。

自衛隊を9条に明記する9条「加憲」論は日本会議の常任幹事であり安倍首相のブレーンの伊藤哲夫・日本政策研究センター代表が「改憲はまず加憲から」して、とにかく「普通の国家」になることをめざして、そのうえで真の「日本」になることを「明日への選択」2016年9月)のなかで主張しています。とにかく改憲して普通の国になることを優先する方を選択したのか。正面からの9条改憲論の後退は戦争法の制定や共謀罪法の制定時における平和運動や世論の成果と考えられます。

9条「加憲」の意味は憲法改正が憲法制定と異なり憲法の継続性が前提という限界説のために後法優先の原則を利用して9条2項の「空文化」「死文化」を狙い、違憲の「戦争法」の正当化し今後は「軍隊」に向けてのさらなる改憲を進めてくるだろう。

安倍首相の主張する(戦争する)積極的平和主義ではない憲法の持つ2つの平和主義、①憲法9条には消極的平和や暴力(戦争)のない状態をめざすこと、②憲法前文では積極的平和の追求、構造的暴力のない状態をめざすことなど、憲法の平和主義の意義は大きい。

安倍改憲に対抗していくためには憲法改正発議させない運動の取り組みが必要と強調されました。安倍改憲NO!全国市民アクションは戦争をさせない・9条を壊すな!総がかり行動実行委員会や九条の会などを加えてあらたに結成されました。このような組織を地域毎に、地域すみずみまでつくりあげていくことだと。具体的な取り組みとしては①3000万署名(安倍改憲NO!憲法を生かす全国統一署名)、②11月3日の10万人集会(安倍改憲NO!全国市民アクション11.3国会包囲行動)などの行動が紹介されました。

講師に対する質問や運動報告がのべ12人からありました。神奈川からは4次に至る厚木爆音訴訟の報告、香川では一回限りの講演ではなく半日をかけての計5回の講座を開催してきたとのことです。また、今回の衆議院総選挙において野党共闘や市民連合との連携などについて報告されました。

 

フィールドワーク

 
朝からの雨にもかかわらず、1人も遅刻しないで、35人の方がフィールドワークに参加しに来ました。今回のフィールドワークの場所は埼玉県で、集合場所から1時間ぐらい離れているので、全員日本教育会館の1階ロビーに集まってからバスで移動しました。
丸木美術館が原爆に関する美術館なので、バスで移動している間に事前準備として原爆のことを扱っているビデオを二つ見ました。各ビデオは約15分ずつで、集合場所から吉見百穴に行く間には「君たちはゲンバクを見たか」を、吉見百穴から丸木美術館に行く間には「ヒロシマ・ナガサキ1945年8月」を見ました。
しかし、吉見百穴の事前学習としては何もありませんでした。大会の資料の中に吉見百穴に関してはパンフレットやチラシが一枚もなかったので、準備が足りなかったと思いました。
 
吉見百穴は第2次世界大戦の当時に日本が地下軍需工場を作ろうとしていた場所でした。軍需工場の工事が完成する前に戦争が終わって、吉見百穴の軍需工場は未完成のまま残されました。 「吉見百穴の地下に軍需工場を建設する時には多くの朝鮮人がここで働かされた」ということからは植民地支配されている人たちの人権についても考えさせられる現場でした。
江藤先生の説明はとても詳しくて、参加者たちは何回も感嘆しました。その中には手帳にメモもとりながら聞いていた参加者もいました。江藤先生は、吉見百穴に関して研究している先生で、直接に吉見百穴で働いた人の話を聞いた経験もあって、その当時に何が起きたかを生き生きと聞かせてくれました。さらに良かったのは、この場で起きたことだけではなく、朝鮮人が働かされた背景や戦後どうなったかまで、歴史的な観点から教えてくださって、私たちが学びに来た意味や私たちがしている運動の意味なども考えられました。江藤先生とは昼ご飯も一緒に食べました。食べた後で残った時間も休まず、色々な話を聞かせてくださいました。江藤先生のお陰で、雨の中でもとても充実した見学になりました。
ただ、吉見百穴の入口での説明は廊下も狭かったし、それぞれ傘も持っていたので、後ろに立っている人まで先生の話が聞こえませんでした。カッパを用意してきたら、良かったと思いました。
 
丸木美術館は丸木夫妻が描いた絵を展示している美術館です。その絵は「原爆の図」で、原爆がもたらした残酷な実状を感じることができる美術館でした。美術館の職員の方はこの絵が描かれた経緯と、絵が何を表現しているかを説明してくれました。
丸木夫妻は広島出身です。しかし、原爆が投下された時には広島にいませんでした。投下された後の実状を偶然に見て、原爆の残虐さについて知らない人に伝えるために絵を描いて活動してきた夫妻でした。
丸木夫婦は最初から原爆に関心があって、絵を描いたわけではありませんでした。苦みの中で死んでいった人たちに出会ったり話を聞いたりしたところ、絵を描いて活動しようと思うようになったそうです。活動家は決まっているもので生まれる時から活動家だということではない、何かがきっかけになって自分ができる活動をしながら生きていく人たちだということを教えてくれました。そこには、あちこちから来た参加者が35名いました。みんながフィールドワークに参加した理由は違いますが、そんな私たちが同じ世界を目指して同じ大会に参加していることが感動でした。そして、まだ解けていない多くの問題があるという事実をつきつけられました。
「原爆の図」は全部15点の連作で、原爆にまつわるさまざまな場面を表現していました。絵は原爆が投下されたその日から始まっていました。その日、皮膚が黒く日焼けした人たち、その中に平穏な顔をしていた赤ん坊。お互いを抱えていた姉妹。絵に描かれている一人ひとりの目つき、手、動作には丸木夫妻の悩みも含まれていました。その中でも、特に印象的だった絵が、灯篭の絵でした。原爆が投下された時、たくさんの人がやけどを負って水を求め川に逃げ込み、そしてその川で死んでいきました。今はその死者を悼み、毎年その川で灯篭を流しています。絵に描かれている灯篭の中には色々な顔が、表情が、そして思いが含まれていました。私はどんな思いで、毎年広島の大会に参加しているのか、発展しているのか、反省させる絵でした。
そして、美術館には「原爆の図」の他に、他の事件を題材にした絵もありました。丸木夫妻は原爆にとどまらず、平和な世界を目指していろいろな絵を描いていました。美術館には、今も続いている原爆や人権に関する署名用紙も置いてありました。
 
帰る時には、みんな、1日のフィールドワークで色々なことを感じて満足した顔でした。
ところが、一人ひとりが感じたことをみんなで一緒に話す機会がなかったことは少し残念でした。運動を広げるために、韓国では1日のプログラムでも最初に自己紹介を、終わりに感想を話す時間がありました。しかし、今回のフィールドワークにはこのような時間がありませんでした。フィールドワークの参加者にはこのような話す機会がとても役に立つかもしれないと思いました。自己紹介で他の参加者と仲良くなったら、他の参加者はどう思っているのか聞いてより多くの感情を感じたり学んだりしたらと思いました。運動とは上から下に伝えるものじゃなくて下から上に伝えるものだし、1人ではなくてみんなでするものだと感じられるせっかくのフィールドワークなのに、残念でした。反省会などをすると思いますが、参加者が同じ行動をした他の参加者と直接に話したり自分は考えられなかった他の意見も聞いたりすると、もっと充実した体験になるはずです。(鄭恩珠)

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