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第50回食とみどり、水を守る全国集会in群馬 分科会報告

2018年12月 1日

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第1分科会「入門講座」

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 参加者=85人
 講師=佐藤 伸さん(群馬県上野村振興課課長補佐)
 講師=坂田 達也さん(群馬県環境森林部自然環境課尾瀬保全推進室長、
                公益財団法人尾瀬保護財団事務局長)

 次の群馬県内に関わる2つの講演を受けました。
「“挑戦と自立の村”の森林バイオマスを100%使い切る創生戦略」
 佐藤伸さんから上野村での森林バイオマスを活かした地域振興の取り組みについて講演を受けました。同村は、人口が約1200人と小規模な自治体ですが、村が取り組む過疎対策が効果を発揮し、継続的なIターン者の増加などにより、人口減に歯止めがかけられています。
 上野村は「産業振興・雇用の創出」の具体化として「稼ぐ力の増強」と「忘れられた資源の再発見」により、持続する地域コミュニティの実現に取り組んでいます。なかでも村の貴重な資源である森林を中心とする取り組みについて、説明をしました。
 上野村の林業は、他地域と同様、近年は厳しい状況を迎えていました。しかし、製材用に限らず、木質バイオマスの供給資源として、雇用を生み出す産業化につなげています。2011年から始まった未利用材を原料とした木質ペレット燃料の製造では、主な用途では、村内の温浴施設、福祉施設及び農業施設のボイラー等やペレットをガス化し発電に利用しています。
 こうした取り組みにより、12億円の経済効果と150人の雇用創出を実現しており、今後とも取り組みを充実させ、地域内循環の上野村モデルを確立するとしました。

「尾瀬の環境保全に向けた取り組み」
 坂田達也さんからは、2007年に国立公園に指定された尾瀬国立公園の自然的特徴と保護活動の歴史、今後の方向について話がありました。
 尾瀬国立公園は、群馬、福島、新潟、栃木県にまたがって位置しています。  四季折々に美しい情景を呈していますが、その要因は泥炭の堆積による湿原と、高地の盆地という地形的特徴により年間を通じて低温が維持されています。
 その環境保全の必要性が認識されたのは昭和30年台後半になってからで、観光客が急増し、土台である泥炭が踏み荒らされ裸地化も目につくようになりました。そのため、植生の回復作業、木道の整備、ごみ持ち帰り運動やボランティアによる清掃活動が始まり、さらに、尾瀬保護財団が1995年に発足しました。
 財団では、尾瀬沼ビジターセンターを運営し窓口になるとともに、木道の管理や自然観察会の開催など、尾瀬の自然に関する普及活動にも携わっています。尾瀬子どもサミットの開催など、次世代を担う子どもたちの教育にも力を入れています。
 最後に、今後の尾瀬のめざす方向性として「みんなで守る、みんなで楽しむ、みんなの尾瀬」をスローガンにしていることが話されました。
 

第2分科会「「食の安心・安全・安定をめぐって」

 

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 参加者=89人
 報告者=纐纈美千世さん(日本消費者連盟事務局長)
 報告者=島田 明子さん(高崎市立東部小学校栄養教諭)
 報告者=森下 慶さん(アグリファームジャパン職業指導員・農場長)
 
 最初に纐纈美千世さんは「消費者の知る権利と選ぶ権利は重要だ。食の安全に関する政策の悪化は、消費者の権利より事業者の利益を優先しているからだ。加工食品の原料原産地表示は昨年9月にスタートしたが、表示対象は一番多い原材料のみであり、完全施行が2022年4月であるなどと問題点が多い。今検討されている遺伝子組み換え(GM)食品の表示も、消費者が求めるような改善はなく、逆に『遺伝子組み換えでない』という表示の条件を5%から0%に厳格化し、実質的に表示できないようにしている。韓国や台湾のGM表示は日本より厳しく、日本の加工食品が日本語のラベルでは非GM表示なのに、現地語のラベルにはGMまたはGM可能性ありとなっている。GM規制のないアメリカでも、大手食品メーカーが非GMの材料に切り換え始めている」と述べました。
 島田明子さんは「学校給食の更なる地産地消をめざして」をテーマに報告。その中で「高崎市の学校給食は、自校方式が70校園、センター方式が22校園による完全給食を実施。特に自校調理方式が増えている。高崎市の地場産農産物の使用を推進するため、良質で安全な地場産農産物を安定確保するため、生産者に関する情報を栄養教諭・栄養士間で共有、地場産農産物を活用した新商品(国分にんじん入りうどん等)の開発などの取り組みで、高崎産農産物の使用率を高めている。11月29日は『ぐんま・すき焼きの日』で、給食ですき焼き献立を出し、子供たちに喜ばれた」と報告しました。
 会場参加者から、NTT東日本関信越群馬支店の木暮孝雄さんが「高崎市の給食残渣を使った堆肥化事業」について発言し、NTTの新規事業としての取り組みの成果を述べました。
 森下慶さんは、高崎市にある「アグリファームジャパンにおける農福連携への取り組み」を報告。「2013年7月に設立し、障がいや難病を抱えている方が利用できる『グループホーム』『就労継続支援B型事業所』を畑の中央に建設し、農作業と福祉活動を連携させた運営をしている。現在は畑6反をすべて自然農法で取り組んでいる。農家は日本の国土を守る公務員だと思う」と話しました。
 討論では、アグリファームジャパンと学校給食との提携の可能性や、生産者と一緒になった消費者運動、農協の出荷基準が工業的だなどの問題が出されました。

第3分科会 「食料・農業・農村政策をめぐって」 

 

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 参加者=94人
 講師=谷口 信和さん(東京大学名誉教授)
 講師=岡 賢一さん(農事組合法人 二之宮 代表理事)

 東京大学名誉教授の谷口信和さんから「アベノミクス農政のゆくえ」と題して講演を受けました。谷口さんは「TPP11や日米FTA交渉などによる農産物輸入自由化のドミノ倒しを許さず、巨大な自由化ドミノにいかに対抗するかが問われている」と、特に中山間地農業の実例を踏まえて報告がされました。
 また、アベノミクス農政について、この間の強引な政策展開を振り返り、その最大の原因が官邸による中央省庁幹部人事の掌握にあると指摘。さらに、直面する農政課題として、生産調整政策の転換により、生産調整を通じた飼料自給基盤構築の取り組みの土台が掘り崩されている状況などが問題点として提起されました。
 最後に、食料安全保障に日本が向き合うためには、食料・農業・農村基本法を改正し、食料の「安全性」についての優先順位を上げること、また平時における食料安全保障としては自給率向上が第一級の課題であることなどを訴えました。
 質疑の中で、自給率の計算方法として、金額ベースでは食べている量が変わらなくても、為替や金額だけで変わってしまうので、カロリーベースで考えた方がいいと述べました。また、遺伝子組み換え食品について、研究はすべきだが危険がないと判断するためには50年以上が必要であり、それまでは国民に食べさせるべきではないとしました。
 次に岡賢一さんから報告を受けました。「農事組合法人二之宮」は、全国でも有数の日照時間の長い前橋市にあり、野菜の栽培に適しています。集落単位でまとまった組合であり、92ヘクタールの農地を有し、構成員は121名、作物は麦、米、飼料イネ、玉ねぎ、長ねぎ、キャベツなど。特色として、①農水省の補助金を活用した飼料イネの栽培、②玉ネギ、長ネギ、キャベツなどの周年を通じた生産、③広報紙の発行、④圃場管理システムの活用、⑤地域内の有休地の積極活用や収穫祭の開催などで地域に密着した組織づくりの5つが挙げられました。
 今後は、年間を通じた仕事を安定的に確保したうえで、担い手を確保することが最大の課題であるとして、2世や3世の育成、外部からの雇用確保が必要となっていることが報告されました。
 質疑の中で、さまざまな農機具の更新にあたっては、できるだけ助成金をもらうなどの経営努力が語られました。

第4分科会「森林・水を中心とした環境問題をめぐって」

 

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 参加者=84人
 講師=関 良基さん(拓殖大学教授)
 講師=寺川 仁さん(関東森林管理局 次長)

 最初に「社会的共通資本としての森と水」をテーマに、関良基さんが講演。経済学の公共財の定義を紹介しながら、「初期費用が膨大で、後発参入が困難となった自然と独占にならざるを得ない公共財の民営化は、私的独占利潤を保証するものだ。東南アジアでは25年契約で森林伐採権を大統領の取巻き企業に付与し、洪水等のリスクは政府の責任・負担という中で不法伐採が横行し、フィリピンは森林の70%が消滅した。イギリスでは企業収益を水道事業に投資せずタックヘイブンに回した。会計検査院も政府プロジェクトより40%割高と報告している」とし、「コンセッションは公共性と効率性を同時に実現するというが、責任主体が曖昧で企業利益を最大化できる方式だ。生活必需性の高い財の市場化は、穀物のように極端な価格高騰を招き貧困の増大に繋がる。生存権に関わる財は一般の財と異なり“社会的共通資本”として市場に任せてはならない」「政府は水道法改正、PFI導入で水道事業の基盤強化をするというが、広域化・効率化は公営でも可能だ。管路更新・耐震化も、過剰なダム開発等の費用移転で十分確保できる。“市民参加型の公営企業が社会的共通資本としての姿”であり時代の要請だ」と訴えました。
 続いて寺川仁さんから「新たな森林経営管理制度について」と題し講演を受けました。初めに、森林経営管理制度が出来る背景として、森林・林業・木材産業の現状について報告。森林の多面的機能、森林保全の対策、山村の振興などの現状に触れ、経営管理が行われていない森林については、市町村が中心となり森林所有者と担い手とを繋ぐシステムの構築が必要であることを訴えました。また、森林経営管理制度によって、森林所有者に適切な森林の経営管理を促すための責務を明確化させる一方で、林業経営に適した森林は、意欲と能力のある林業経営者に市町村が再委託させるなどの措置がされ、長期的に森林整備を任せられるなど、間伐などが手遅れな森林の解消や伐採後の再造林が促進されるなどの効果があると報告されました。
 参加者からは①森林経営管理法とコンセッション方式について、②民営・広域化ありきの動きにどう対抗していくか、③経営に適した森林の区分等と自治体の裁量、④所有者が不明な森林への対応、⑤新自由主義、民営化論への若者の意識と人材の確保・育成等の質問や意見が出され、助言者を交えた意見交換で理解を深めあうことができました。
 

第5分科会  フィールドワーク「ユネスコ世界の記憶と世界遺産を訪ねて」

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 参加者=44人

 フィールドワークは、穏やかな天候に恵まれたなかでの開催となりました。
  高崎駅をバスで出発し、初めに、世界遺産・国宝でもある「富岡製糸場」を訪れました。建造物は日本と西洋の技術を見事に融合させたものであり、東置繭所は長さおよそ104mの巨大な繭倉庫です。また、繰糸所は長さ約140mの巨大な工場で、建物の内部は小屋組みにトラス構造を用いたことで、中央部分に柱のない広々とした空間を作りだし、創設時は世界最大規模の器械製糸工場でした。
 解説員によるガイドとあわせ、建造物や繰糸所の壮大さはもとより、富岡製糸場の歴史や文化財としての価値、また、貴重な世界遺産であることに参加者は理解を深めました(上写真は繰糸所の内部)。
 次に、こんにゃくをテーマにした「こんにゃくパーク」を訪れ、工場見学等を行いながら、群馬県特産のこんにゃくの魅力を知ることができました。
 最後に「多胡碑」へ向かいました。2017年10月31日にユネスコ「世界の記憶」に登録された「上野三碑」の一つである多胡碑は、奈良時代初めの和同4年(711年)に、新しく多胡郡が誕生したことを記した高崎市吉井町にある記念碑です。国の特別史跡に指定され、群馬県内にある山ノ上碑、金井沢碑とともに「上野三碑」と総称されています。また、書道史の上から、日本三古碑の一つとされています。
 参加者は、吉井いしぶみの里公園内にある多胡碑覆屋内の見学と、ガイドからの説明を真剣に聞き入っていました。多胡碑に隣接する記念館では考古資料や上野三碑のレプリカが展示されており、古代の多胡郡をしのばせました。(下写真は多胡碑が収められている覆堂の前)
 早朝からの半日の行程でタイトなスケジュールでしたが、参加者からは、群馬にふさわしいフィールドワークであったとの声が寄せられました。

 

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