2022年、集会等の報告

2022年11月15日

憲法を 変えることより 活かすこと 第59回護憲大会を愛媛県・松山市で開催

11月12日から14日にかけ、愛媛県・松山市において、「憲法を 変えることより 活かすこと 憲法理念の実現をめざす第59回大会」(第59回護憲大会)を開催し、650人の参加を得た開会総会をはじめ、分科会・ひろばやフィールドワーク、そして閉会総会の3日間の日程のなかで全国各地の参加者とともに改憲発議阻止・軍拡反対のとりくみを強めることをを確認しあいました。

一昨年(滋賀県・大津市)、昨年(宮城県・仙台市)と、コロナ禍のなかで日程短縮や規模縮小を余儀なくされてきました。本年についても従前どおりまでではないものの、感染症対策をしっかり行うこととできる限りの規模や内容の充実の両立を追求してきました。地元・愛媛の皆さんのご尽力もあり、本大会を成功裡に開催することができました。

12日の開会総会では、勝島一博・実行委員長(平和フォーラム共同代表)から開会あいさつを行い、続いて越智勇二・副実行委員長(愛媛県平和運動センター議長)が開催地からの歓迎あいさつ。また、則松佳子さん(連合副事務局長)、近藤昭一さん(立憲民主党企業・団体交流委員長)、大椿ゆうこさん(社会民主党党首)から連帯あいさつがありました。そして、大会基調案を田中直樹・事務局長が提案し、現在の憲法をとりまく情勢、とりわけ改憲と軍拡をめぐる動きを踏まえつつ、本大会の意義を確認しました。

本大会メイン企画は「国交正常化50年 対話の扉を大きく開きアジアの緊張緩和と世界平和への貢献を!」をテーマに、杉浦ひとみさん(弁護士)のコーディネートの下、内田雅敏さん(弁護士)、林千野さん(日中関係学会副会長)、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)によるシンポジウムを行いました。

13日午前は「現下の改憲情勢」「軍拡・基地」「ジェンダー平等」「憲法を学ぶ」の4つの分科会を開催し、それぞれのテーマでの問題提起と質疑応答が行われました(→分科会報告はこちらをご覧ください)。また、並行して松山市内の人権史跡をめぐるフィールドワークも実施。午後には「伊方原発問題」「基地問題交流会」「映画上映会」の3つのひろばを行いました。

14日は閉会総会を行い、福島原発の汚染水海洋放出問題、神奈川での人権条例をめぐる動き、馬毛島での基地建設強行、沖縄をめぐる現状が報告されました。田中直樹・事務局長からは3日間全体の内容について総括的にまとめ報告を行いました。次回の第60回大会開催予定地が新潟県であることが発表され、新潟から成功に向けた決意表明がありました。大会アピール案を谷雅志・副事務局長が提案し、全体の拍手で確認しました。

安倍・菅政権から岸田政権と変遷してきましたが、いまなお憲法の危機は続いています。また、私たちの平和・いのち・人権をめぐってはいっそう厳しい状況にあります。平和フォーラムは本大会の成果をしっかりと見据え、活かしながら今後の活動をすすめていきます。

開会総会アーカイブ動画

閉会総会アーカイブ動画

憲法を 変えることより 活かすこと
憲法理念の実現をめざす第59回大会アピール

日本国憲法が公布されてから、76年が経過しました。日本国憲法は、「平和主義」、「主権在民」、「基本的人権の尊重」を定めました。これが、日本国憲法の最も大切な三原則であり、私たちが、この間、一貫して共有してきた理念です。

新型コロナウイルス感染症の流行は3年におよび、すべての市民がこれまでの生活様式の変更を強いられてきました。感染症の流行は個人の心身にとどまらず、経済、仕事、教育などあらゆる領域に深刻な打撃を与え、まさに日本国憲法で保障された「基本的人権」が脅かされています。私たちは、傷んだ暮らしと安全を立て直し、日本に暮らす全ての人が「生命、自由および幸福追求」の権利と「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利を実現できる社会の創造を強く政治に求めます。

ロシアとウクライナの戦争は、厳しい冬に向かう中いまだ停戦は実現せず、「核の脅し」、生活インフラへの攻撃などさらにエスカレートしています。世界的規模で軍事的緊張が高まり、戦争から生じた食糧やエネルギーの価格高騰は世界中の市民、とりわけ弱い立場の人により強く影響しています。私たちは、一刻も早い停戦に向け、声をあげ続けるとともに、日本政府に対しては憲法9条を有する国としてのさらなる外交努力を求めます。

安倍元首相の殺害に端を発して強行された国葬、および統一教会との癒着問題については、徹底した検証と事実の究明を求めます。自民党など保守勢力が右翼的な宗教団体などと結びついて「草の根」的保守運動を展開してきたことが明らかになりつつあり、強い危機感を抱きます。私たちは、個人の尊厳を基本としながら、女性や性的マイノリティーの権利確立の重要性を再度確認するとともに、被差別部落や在日朝鮮人などへの差別煽動をけっして許さず、すべての外国人の人権が保障された多文化共生社会の構築をめざします。

3年ぶりに多くの仲間が顔を合わせて護憲大会を開催できたことは、大きな意味を持ちます。私たちの社会は、まさに歴史的な転換の境目におかれています。安倍・菅政権が強権的に制定してきた戦争法(安保法制)をはじめとするいくつもの戦争を準備する法制度の帰結として、岸田政権は「専守防衛」すら覆し、敵基地攻撃能力の保有など軍備の拡大に向かおうとしています。格差の拡大、社会保障の改悪はさらに進行し、「生きづらさ」を抱えた多くの人が、未来に希望を持てない社会になっています。そのような状況の中で、憲法理念がますます軽視され、憲法改悪が現実的な動きとなっています。

私たちは、今回の護憲大会のなかで危機感を共有するとともに、ともにたたかう仲間から大きな励ましを得ることができました。「改憲発議阻止、軍備増強を許さない」たたかいを中心に据え、さまざまなたたかいをこれと連動し、全国で運動の広がりと盛り上がりをつくっていきましょう。ともにがんばりましょう。

2022年11月14日
憲法理念の実現をめざす第59回大会

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