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2009年度 主な課題

2009年4月23日

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以下は2009年4月23日に開かれたフォーラム平和・人権・環境第11回総会において決定された活動方針です。

1. 全体(2009~10年)の基調について 

(1)情勢の基本的特徴

  1. 現在私たちは世界史的な時代の転換点に立っています。世界は、1990年代初頭の社会主義体制の崩壊以降「資本主義体制」が基本的な体制となりました。そして米国は軍事力による世界支配と新自由主義(市場原理主義)に基づく経済のグローバル化を推し進め、軍事・政治・経済・社会の全領域で米国一極を中心とする世界支配と秩序を形成し、この間国連を中心とする国際的な平和と経済、社会秩序が後退し続けました。とりわけ2001年の同時多発テロ以降、その傾向がさらに強まりました。しかし、そうしたブッシュ・ネオコン路線は次第に全分野にわたりその限界が明らかになると同時に矛盾が噴き出しはじめました。アフガン・イラクへの侵略戦争は泥沼化し、サブプライムローン破たんから始まった米国発の金融危機は2008年に入り、100年来といわれる「大恐慌」となり、世界の経済・社会秩序と国民生活に大混乱を引き起こし、「資本主義体制」を大きく揺り動かしています。
  2. 世界は、とりわけG20、西欧諸国、中南米諸国、BRICs諸国などは「持続可能な社会」をめざして、新自由主義(市場原理主義)からの脱却、米国一極体制ではない「平和・政治・経済・社会の新しい秩序」の形成を求め、苦闘を開始しています。米国もオバマ新大統領を選出し、ブッシュ・ネオコン路線に代わる新たな道を歩き始めました。日本でも米国一辺倒で軍事大国化と格差社会を作り出している麻生自公政権に対して、政権交代への大きなうねりが生じています。
     米国の軍事力による世界支配ではない国連を中心とした国際的な平和秩序の形成、新自由主義(市場原理主義)ではない民主的に統制された金融・経済秩序の形成、新しい産業の振興や財政出動による「恐慌」からの脱出、そしてすべての人びとの基本的人権確立と共生が求められています。
  3. 現在、世界はブッシュ・ネオコンがつくりだした危機があまりにも根源的で深刻であるため、苦難の歩みを続けていますが、一方「人間の安全保障」をめざしてきた私たちにとって、その理念が実現する新しい時代を作り出す最大の可能性を有している時代であることも意味しています。私たちは、こうした時代の変化を明確に認識し、新しい枠組み形成の一翼を担う必要があります。

(2)国際情勢の特徴

  1. オバマ新大統領誕生に米国内だけでなく、インターナショナルな規模で、パラダイムチエンジへの期待が高まっています。オバマ大統領は、米軍のイラクからの2011年撤退の準備命令を出しましたがアフガンへの「侵略強化」も明らかにしています。またイスラエルのガザ攻撃などについては客観的にはイスラエル支持の立場を変更していません。こうしたなか、中東における軍事的緊張関係は依然として継続・拡大しており、大国の軍事的侵略や石油や利権をねらった介入ではなく、人間の安全保障を基本にした国連やNGO、平和団体を中心とした平和の再確立が求められています。中南米でも多くの反米政権のなかで、新たな対米関係への模索も始まっています。東北アジアでも、米国の中国包囲網政策の見直しと、6カ国協議の前進にみられる米朝関係の前進など非核・平和体制確立への動きが加速しています。
     オバマ大統領は、「核兵器のない世界」を求める路線を打ち出し、世界の平和・核軍縮をめざす勢力は、ようやくブッシュ時代に生じた核軍縮の停滞・核兵器の拡散の状態に終止符が打たれ、2010年NPT再検討会議へむけ、世界の核軍縮への道筋の確立へ期待がたかまっています。
     今後、世界に展開している米軍をどうするのか、「戦争経済」といわれる米国経済のあり方をどうするのか、ミサイル防衛や中央アジアをめぐり緊張している米、ロ関係をどうするのか注目されます。米国は「人間の安全保障」政策を基本政策とすること、国連中心主義を確立すること、軍事力による世界支配政策を変更すること、イスラエルとパレスチナ・中東が共存できる政策を提起すること、欧米の石油戦略を変更することなどが求められています。
  2. 世界経済の分野は、新自由主義(市場原理主義)路線に基づく経済のグローバル化は世界的に各国間、また各国内で深刻な貧困・格差と環境破壊を生み出し続けましたが、さらに米国では、実体経済とは乖離したところで金融商品を生み出し、ヘッジファンドなど投機資本は投機を繰り返しました。結果として、2007年から米国発の金融恐慌が、世界的な大恐慌へと進み、総生産のマイナス成長、株価の大暴落、ドルの暴落、企業の倒産拡大、失業者の増大、投機による石油、食料品の乱高下などなどの事態を引き起こし、後発資本主義国だけではなく、欧米を中心とする先進資本主義諸国の国民生活をも大混乱に落とし込めています。
     そうしたなかで、G20諸国、国連関連機関、各国で金融・経済における民主的統制の強化、公的資金投入による金融システム安定化対策、大規模財政出動による景気対策、失業対策などパラダイムの転換をめざしての努力が続けられています。
     「恐慌」の進行のなかで、世界的に失業者が拡大し続けており、社会不安が拡大しています。労働は人間生活の基本であり、雇用の確保・生活の安定が緊急課題として求められています。
  3. 地球の温暖化、森林の減少と砂漠化、水の量と質の悪化、増え続ける廃棄物など深刻化する環境課題、8億人以上が飢餓状態だといわれる食糧、貧困、差別の課題など私たちは多くの課題に直面しています。もう一度「持続可能な社会づくり」めざしてのとりくみが求められています。

(3)国内情勢の特徴

  1. 参議院での与野党の逆転後、国会では与野党対決激化、厚労省、防衛省などの腐敗に代表される戦後の自民党政権とそれを支えた官僚体制が崩壊過程へ入り、新たな枠組みを求めて、政権交代への流れが加速しています。
  2. 小泉・安倍・福田・麻生と続く自公政権は、ブッシュ政権追従による「イラク・アフガン侵略戦争」への加担、米軍再編成の強行実施、ミサイル防衛の強行、教育への介入、自衛隊海外派兵の恒常化の動きなど日米軍事一体化・解釈改憲・憲法改悪路線・戦争する国づくり路線を継続してきました。米国は引き続き財政的危機、軍事負担の増大のなかで、日本への肩がわり強化路線は継続されるものと予測され、引き続き憲法理念を基本とし、アジア諸国との連携を重視した平和団体、市民団体、野党などの平和運動が強化されることが求められています。
  3. 市場万能主義路線と公的規制・公的サービスの解体が継続されるなか、貧困・格差社会が進行し、そうした事態のなかで、米国発の金融恐慌・恐慌が、外需依存型の日本経済を直撃し、マイナス成長、大企業の非正規・正規労働者の大量解雇、中小企業の倒産件数の増大、自殺者10年連続しての3万人台など国民生活の破壊が進行しています。こうした事態に対して麻生自公政権は無策であり、国民生活を第1にすべての勤労者の雇用と権利の確立、社会保障制度の確立、経済・金融システムの安定確立、景気の抜本対策をめざす野党への期待が高まっています。
  4. 日本における環境問題は、京都議定書の目標があるにもかかわらず、CO2の排出量は増え続け、水や産業廃棄物の問題も深刻です。また食料についても、自給率は40%であり、食料の高騰、安全性・偽装など抜本的な対策が求められています。
     また、政府・電事連は、原子力立国計画に基づきながら、原発推進・プルトニウム利用路線を継続・強行しようとしていますが、原発運営管理システムの揺らぎと事故の続出、地震による安全神話の崩壊などの事態が連続して生じ、とりわけ六ヶ所再処理工場の本格稼働、もんじゅ再稼働の目途も立たない状況となっています。原発関連施設立地県の市民、団体、脱原発団体、消費者団体などが、路線転換を求めて運動が高揚しようとしています。

(4)運動をめぐる情勢

  1. 平和・民主主義運動の分野は、自公政権の「戦争する国づくり」路線に対決し、平和団体、人権団体、市民団体、野党などの継続したとりくみが前進しています。参議院での与野党逆転の事態もあり、9条条文改憲の先送り、集団的自衛権行使の合憲化への歯止め、新テロ特措法の参議院否決と自衛隊の海外派兵反対運動の高揚、米軍再編成に対する地元の抵抗など、反撃への態勢が強化されると同時に憲法理念の実現をめざすとりくみが高揚しています。
     脱原発のとりくみでは、新潟、青森、福井、石川、佐賀、静岡、島根など関係各地でのたたかいを強化すると同時にエネルギー政策転換のとりくみとあわせ、各地のたたかいを総結集し、政策転換の一大運動が準備されつつあります。
     核軍縮のとりくみは平和市長会議、連合・核禁会議・原水禁の共同のとりくみにより他の団体のとりくみも重なり高揚しようとしています。東アジアに平和確立・日朝国交正常化をめざしての国民運動も拡大しようとしています。環境問題や食料の安全性の課題などNGOと連携しの運動が各地で高揚しています。その他平和・民主主義の課題は多様に存在し、それぞれの課題ごとそれぞれの組織と運動、またそれを繋ぐ全国組織の連携によってとりくまれ、運動が大きく高揚しようとしていますが、課題実現のためには、それぞれの諸団体の組織と運動の強化と全体としての連携強化が必須です。課題も国際的に拡大しており、国際的な反戦・平和運動の連携も求められています。平和・民主主義の課題全体にいえることですが、課題を前進させるためには、原子力空母横須賀母港化阻止闘争の総括にあるように、多数派形成が必須であり、そのための努力が引き続き求められています。さらに政権交代を展望しながら、「野党連立政権」下での政策実現の構想作りも緊急のものとして求められています。
  2. 恐慌の深刻化のなかで、失業者が拡大し、労働団体、経営者、政府の役割が重要となっています。しかし労働団体・連合の組織率は低下し、未組織や権利未確立労働者への影響力は低下し続けています。そうしたなかで連合はナショナルセンターとしての役割を果たすべく、連合を中心に、組織拡大、雇用保障、内需拡大としての賃上げ、労働分配率の改善、非常勤・臨時・派遣労働者のたたかいの先頭に立とうとしており、全体として労働運動が高揚し、市民的支持も集まろうとしています。とりわけ連合は結成20周年を迎え、その総括と今後の方向性の確立が注目されます。
  3. 政治運動の分野は、参議院選挙における与野党逆転、国会における野党の奮闘による自民党政権の末期的症状の露呈、「恐慌」や深刻化する国民生活に対する無策の露呈などにより、マスコミ世論調査でも麻生内閣支持率が急落し、20%を切る状況となっています。そうしたなかで、衆議院解散・政権交代に向け、民主党、社民党など野党の運動が大きく高揚し、政権交代への展望が確実なものになりつつあります。しかし自公政権は延命をめざして、なりふりかまわずの策動を続けています。民主党の小沢代表周辺への「国策捜査」もその一つであり、野党の支持基盤である労働団体や平和団体などに対しても、分断と弾圧政策をとり続けています。時代の大きな流れは、自公政権の姑息な策動では止まりません。戦後一貫して続いてきた自民党を中心とした政権は確実に終焉を迎えようとしています。また政権交代へ向け、野党の主体性強化と連携強化、「野党連立」政権による政策提起、連合など労働団体、市民団体、平和団体などの支援体制の強化が必須です。政権交代とともに政界再編成の可能性もあり、民主・リベラル勢力の動きも注目する必要もあります。

(5)平和フォーラム・原水爆禁止日本国民会議のとりくみの基本

     そうした情勢のなかで、平和フォーラム・原水禁の果たす役割はますます重要となり、私たちの頑張りにより運動を前進させる可能性が大きく拡大しています。
     平和フォーラム・原水禁は、引き続き、めざすべき課題として、a)人間の安全保障の推進と憲法理念の実現、b)核兵器廃絶と脱原発、c)循環型社会作りなどを掲げ、政策転換、政権交代を意識し、最大の平和団体としての組織と運動の強化と、市民団体、平和団体、連合などの労働団体、民主党・社民党などとの連携強化、また国際的な連携強化をはかり、課題の前進をめざして、全力でとりくみます。
     平和フォーラム・原水禁は求められる役割に対応するため、目的意識的にセンター的役割を果たすと同時に組織と運動の改革・強化をめざします。そしてa)運動の重点化、b)組織の強化・拡大、c)組織・運動の改革と強化、d)事務局機能の改革・強化を実現します。
     今年は平和フォーラム結成10周年であり、この間のとりくみの総括もしながら新たな決意で出発します。

2. 憲法改悪に反対し、憲法理念を実現するとりくみ 

  1. 2007年7月の参議院選挙で与野党逆転した結果、それまで自民党政権が目論んでいた憲法審査会を始動させ、早ければ2011年にも自民党案に基づいて改憲案を発議するという路線は破たんし、自民党は自らのペースによる明文改憲は困難となるとともに、衆議院の解散・総選挙にも踏み切れない状況を続けています。このなかで、「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)の工作などが行なわれながらも、社民党の反対や民主党内の強い異論によって、これまで憲法審査会は始動していません。「改憲手続法」は、参議院の憲法調査特別委員会で18項目にもおよぶ附帯決議が行なわれたように、制定を急いだ側自身が問題点が多いことを認めています。ひきつづき憲法審査会の設置に反対し、改憲手続法について、立憲主義に基づいた一からの審議やり直しをさせることが必要です。
  2. 当面する問題は、なし崩し的な解釈改憲が、現在でも自公政権のもとで、米軍再編、新テロ特措法・イラク特措法などの自衛隊の海外派兵、教育基本法「改正」に続く教育の国家統制や監視社会化の強まり、戦争美化の歴史の歪曲など、「戦争する国づくり」としてすすめられていることです。先の通常国会では、宇宙の軍事利用に道を開く宇宙基本法の成立など、野党も巻き込んだ軍事領域の拡大も行なわれました。ソマリアへの自衛隊海上警備行動派遣も強引に憲法や自衛隊法を無視して行うとともに、海賊対策新法を制定しようとしています。
     とくに重要な問題は、米軍再編で強調されている「共通の戦略目標」と不可分な「集団的自衛権」の行使です。2008年6月には、安倍首相時代から集団的自衛権行使に関する憲法解釈見直しを検討してきた政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(略称:安保法制懇、柳井俊二座長)が福田首相に最終報告書を提出しました。報告は、a)公海上の米軍艦船の護衛、b)米国向け弾道ミサイルの迎撃、c)国連平和維持活動(PKO)など他国部隊の救援、d)PKOなどの後方支援―の4類型のいずれも実施可能と結論付け、集団的自衛権行使容認に向けて憲法解釈の変更を求めています。また、同報告は、自衛隊海外派兵恒久法制定に向けた動きのなかで利用される危険性もあります。
     このなかで、自衛隊イラク派兵違憲訴訟の名古屋高裁判決(2008年4月17日)は、米兵などを輸送する「航空自衛隊の空輸活動は憲法違反」とするとともに、「平和的生存権」を憲法上の法的権利であることを認める画期的な判決を出しました。憲法理念の実現をめざすものにとっての共通の財産となるものです。
  3. 平和フォーラムは、憲法の前文・第9条の平和主義、第3章「基本的人権」や第10章「最高法規」で定めた憲法の核心の改悪に反対するとともに、憲法理念の実現をめざすことに基本的なスタンスをおきます。参議院における与野党逆転、さらに予想される衆議院選挙での政権交代をも見据えながら、変革の時代に適した憲法の理念に基づく政策実現を図っていきます。東アジアの緊張緩和の進展という状況をも活かして、平和環境醸成のとりくみや、人びとの「命」や生活を重視する「人間の安全保障」の政策実現のとりくみを広げていくために、「武力で平和はつくれない!9条キャンペーン」をすすめます。
  4. 憲法前文・9条改悪の動きに対抗して、9条の憲法理念を具現化するには、日米軍事同盟・自衛隊の縮小・改革とその基本法が不可欠です。a)国家の交戦権否定、b)集団的自衛権禁止、c)非核3原則、d)武器輸出三原則、e)海外派兵禁止、⑥攻撃的兵器の不保持を条文に明記し、⑦文民統制原則、⑧国連中心主義をかかげること。自衛隊を改編し、a)国土警備隊、b)平和待機隊、c)災害救助隊に分割すること。当面存置される「国土警備隊」は、組織・任務・装備の面で、「陸海空その他の戦力」に当たらないものに限定すること。大幅に削減される予算・人員・施設を、「災害救助」と「国際協力」分野にふりむけ、憲法前文と9条にふさわしい日本のすがたを世界に示すこと-などを内容とする「平和基本法」により、まず東アジアに「EU型共通の安全保障」を実現、最終的に、国境を越える地球ぐるみの「人間の安全保障」へと発展させていくことが必要です。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 憲法前文・9条改悪を許さず、平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざすとりくみ

  1. 「武力で平和はつくれない!9条キャンペーン」を、戦争被害の悲惨な実相などを明らかにしながら「軍事力による平和」という逆行した流れを許さず、人びとの「命」(平和・人権・環境)を重視する「人間の安全保障」の政策実現を広げていくキャンペーンとしてすすめます。毎月の定例行動(9の日行動)や全国共同行動などを通じて、地域の運動と組織・財政づくりを図ります。キャンペーン・グッズとして、ワッペン、パンフレット、リーフ、ポスター(9条ポスター)などをもとに、各地で活用します。
  2. 憲法理念にもとづく現時点での安全保障を確立するとりくみとして、日米安全保障条約の持つ問題点(とくに新ガイドライン以後、現在の米軍再編など)、国連中心の安全保障、「人間の安全保障」などに関わる課題を整理するとともに、別項の平和課題をはじめ運動方針全体と連携したとりくみをすすめます。
  3. 衆参両院の憲法審査会の設置に反対し、改憲手続法案の参院特別委での18項目特別決議などを生かし、初めからの審議やり直しを求めるとりくみをすすめます。
  4. 5月3日の「施行62周年憲法記念日集会」(東京・日本教育会館大ホール)をはじめ、憲法記念日を中心に5月を憲法月間とした全国各地で多様なとりくみをすすめます。
  5. 自治体などに対して、憲法月間にその理念を生かした行事などの実施を求めます。
  6. 憲法問題の論点・問題点整理を行なうため、適宜、課題に応じて「憲法学習会」を行ないます。9条キャンペーン・プロジェクトと連携して、中央・東京での開催とともに、ブロックでの開催を奨励し協力します。
  7. 「憲法問題資料集」(コピー集)やホームページでの資料集積を引きつづきすすめます。
  8. 積極的に民衆自らの憲法理念を育て築いていくとりくみをしてきた「市民版憲法調査会」などの学習会を紹介し、連繋を強めます。

2) 平和基本法の確立に向けたとりくみ

  1. 憲法前文・9条改悪の動きに対抗する憲法理念を実現し、立憲主義を確立するとりくみとして、日米軍事同盟・自衛隊縮小、平和基本法の確立、日米安保条約については、平和友好条約に変えるとりくみをすすめます。
  2. 平和基本法プロジェクト(軍事評論家の前田哲男さんなどで構成)のまとめた案を生かして「平和基本法案要綱」を作成し、討議をすすめます。そのため、民主党・社民党など政党への要請をすすめます。
  3. 書籍「平和基本法」を各地で活用します。

3) 憲法理念の実現をめざす第46回大会(第46回護憲大会)の開催について

  1. 本年度の「憲法理念の実現をめざす大会」(護憲大会)は、憲法をめぐる動きが重要な局面にあることを踏まえて長野県長野市で下記日程で3000人規模で開催します。
    11月1日(日)午後 開会総会(長野県県民文化会館大ホール)
    11月2日(月)午前 分科会(長野市内)
    11月3日(火)午前 閉会総会(長野県県民文化会館中ホール)

3. 在日米軍再編と「戦争する国作り」に反対するとりくみ 

(1)米国でのオバマ大統領誕生

  1. ブッシュ前大統領の下では、経済面では新自由主義の推進で貧富の格差が増大し、外交面では新保守主義による「テロとの世界戦争」で多くの米軍兵士が犠牲になりました。こうした政策は、米国市民、とりわけ中所得者層と低所得者層にとって大きな負担となりました。オバマ新大統領の誕生は、米国市民がブッシュ政権の政策を否定し、大胆な変化を求めた結果と見ることができるでしょう。
  2. オバマ大統領は外交・安全保障政策に関して、ブッシュ前政権下での一国行動から多国間協調への転換を進めるとしています。またイラクからは早期の撤退を、アフガニスタンでは治安回復のために兵力を増加し関与の継続を表明しています。しかし、日本を含めた同盟諸国に対して、どの様な役割を求めてくるのか不明です。国家予算を、軍事費から社会保障費に振り向けることになれば、同盟諸国により多くの軍事的な協力を要請することも考えられます。またブッシュ前政権下で大きな富を得た軍事関連産業が、簡単に利権を手放すとも思えません。
  3. 一方でオバマ大統領を誕生させた米国市民、とりわけリベラル派・中低所得者層・マイノリティーが、戦争ではなく雇用と福祉を求めていることは明らかです。米国最大の反戦運動団体「平和と正義の連合」は、オバマ政権の誕生は約束の地へと近づく道であり、人種差別・貧困・戦争をすすめる力は元へは戻らないことと、オバマ大統領に影響を受けた人びとを新たな基盤として運動をすすめることを方針のなかでのべています。オバマ大統領はこうした市民層に配慮し、平和や多国間協調に対して、より多くの関心を払わなければならないでしょう。政権運営の安定度合いや、世論動向によっては、安全保障政策の転換が行なわれる可能性もあります。
  4. そうであればオバマ政権の誕生は、日本の平和運動にとって大きなチャンスにもなります。日本政府はこれまで、米国の要求を無条件に受け入れ、米軍再編に反対する市民の声を米国に伝えることをしませんでした。そのことが、世界各地で米軍基地の縮小が進むなかで、在日米軍基地のみが拡大される要因になっています。私たちはこの機会を活用して、米軍基地の縮小・撤去と、日米軍事同盟の強化反対を、米国政府に伝える努力を積極的に進めなければなりません。そのためには、米軍基地を抱える地域での反基地・平和運動の活発化と、地域間・団体間の連携、日米政府への要求項目の明確化など、私たち自身が力をつけることが必要です。
  5. また同時に、私たちの声を国政や外交に反映させるため、総選挙で民主党・社民党が多数を獲得し、政権交代を実現させることが重要になります。私たちは、民主党・社民党が主導する新しい政権の成立を展望し、その政権の下で日米安保、在日米軍基地の、地位協定、米軍支援などについて大胆な政策転換を進めます。

(2)在日米軍再編の現状

  1. 日米政府が合意した在日米軍再編の最終完了期限は、2014年です。日米政府はそれまでに以下の項目を実施しなければなりません。
    a.米海兵隊普天間基地の名護市辺野古への移設
    b.在沖縄海兵隊部隊のグアム島への移転
    c.嘉手納基地以南の米軍施設の返還
    d.キャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の移転
    e.相模総合補給廠での戦闘訓練センターの建設
    f.航空自衛隊航空総隊司令部の米空軍横田基地への移転
    g.米海軍厚木基地から米海兵隊岩国基地への空母艦載機部隊の移転
    h.ミサイル防衛体制の推進
    i.米軍戦闘機部隊の航空自衛隊基地への訓練移転
  2. これらの再編計画のなかでも、とりわけ中心を占める名護市辺野古での新ヘリ基地移設は、地域住民や労働者のたたかいで着工もできずにいます。キャンプ座間では、2007年12月に陸軍第1軍団前方司令部が100人規模で発足しましたが、住民の反対で当初の予定であった司令部全体の移転はめどが立っていません。陸上自衛隊普通科連隊の移転については、完全に阻止し計画から削除されました。岩国市でも、市長選挙では移転賛成派の自民党系候補が勝ちましたが、その後に行なわれた衆議院議員補欠選挙では移転反対の民主党候補が当選しています。米軍再編と基地強化に反対する労働者や市民の運動が、日米政府の工程表を遅らせています。
  3. 一方で、戦闘機の訓練移転や、ミサイル防衛、原子力空母の横須賀配備などは進んでしまいました。しかし、在日米軍再編は1つのパッケージであり、私たちが1つでも止めることができれば、日米政府は計画全体の見直しを迫られます。
     各地の米軍再編の進捗状況や反対運動の状況を正確に把握し、地域での反対運動を再確立します。また、在沖海兵隊の榴弾砲訓練移転、戦闘機訓練移転、ミサイル防衛、米軍艦船の民間港入港など、複数の地域にまたがる課題については、地域間の連携をすすめます。

(3)原子力空母の横須賀母港化

  1. 2008年9月25日、米海軍原子力空母「ジョージ・ワシントン」(以下G・W)は、空母母港化の是非を問う住民投票条例を求めて立ち上がった横須賀市民や平和フォーラムに結集する全国の仲間の反対を押し切って、米海軍横須賀基地を母港として配備されました。
  2. G・Wは11月21日の再入港以来、横須賀基地の12号バースに係留され、米国から約550人もの修理技術者を呼んで、その内容を公開しないままに大規模な修理を行なっています。修理内容は原子力推進機関の1次系も含まれるとされ、放射性廃棄物の管理も問題となっています。エードメモワールにも抵触する状況は、許されないものです。平和フォーラムは、原子力空母の安全性について問題を指摘してきましたが、日米両政府とも納得できる回答を行なっていません。蒲谷横須賀市長は、「原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会」名で9月24日に提出した「原子力空母など原子力艦船の安全性の確立に関する申し入れ」に対して、再三の要請にもかかわらずまったく回答せず、市民参加の防災訓練の要請に関しても必要ないと一蹴しています。原子力空母母港化反対を公約として当選した蒲谷市長の姿勢が問われることとなっています。
     米海軍横須賀基地は、市街地と隣接することからも、G・Wが万が一事故を起こすことがあれば、市民生活を直撃することとなり、母港化撤回へのとりくみは重要です。
  3. これまでも横須賀では、女性の暴行殺害事件など米兵による凶悪事件が繰り返されてきました。2008年3月19日には、汐入駅近くでタクシー運転手が刺殺されるという事件も発生しました。米海軍は、綱紀粛正を掲げていますが、2009年1月1日にも市民への暴行によって米兵が逮捕される事件が起こっています。
     日本側の立ち入りを許さず、管理権を含め米国側の完全な基地使用認める日米地位協定の抜本的改定はもちろんのこと、基地依存経済から脱却し、基地の縮小・撤去に向けたとりくみを強化することが求められています。
  4. 東京高裁における「浚渫工事の差し止め訴訟」は、浚渫工事が終了したことを受けて、取り下げを求められました。「裁判を進める会」は、浚渫水域の埋め戻しと、当該水域の航路の原子力空母使用禁止を求める追加請求を行ないました。12月25日、東京高裁は、追加請求については十分な審議が必要として横浜地裁に移送する判断を下し、今後新たな請求についての審理が開始されます。原子力空母阻止を目的とした訴訟のとりくみも強化する必要があります。
  5. 2度にわたって原子力空母の横須賀母港化の是非を問う住民投票を成功させた「住民投票を成功させる会」も、原子力空母の母港化の是非と安全性を問い続けるために、組織の存続を決めています。
     平和フォーラムは、そのような市民の動きと連携しつつ、原子力空母母港化撤回に向けたとりくみを、これまでの運動の成果に立って、全国連帯のもとで強化することとします。
  6. 本年6月には横須賀市長選挙が行われます。原子力空母の母港化を容認した現職、反対から配備後に空母容認に転じた市会議員が立候補を表明しました。住民投票条例制定の運動を進めてきた「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」など、この間母港化反対運動に取り組んできた横須賀市民や労働団体は「市民みんなの力で市政をつくる会」を結成、市民の立場から市政実現の取り組みを進めることとして、これまで母港化反対運動の先頭に立ってきた呉東正彦弁護士を擁立しました。原子力空母の母港化の是非が市長選の大きな焦点になることが予想されるなかで、真に市民の命と暮らしを守る立場からの市政実現が注目されます。
     平和フォーラムは、母港化の危険性と米軍基地問題に対する情宣と、母港化撤回に向けたとりくみを強化します。

(4)自衛隊の動向と「戦争する国づくり」に反対

  1. 小泉純一郎首相以降の日本政府は、それまでの自民党政権以上に対米追従を強め、米国の求めに応じて自衛隊を海外に派遣し、有事関連法制を整備してきました。安倍晋三・福田康夫の両首相は、対米公約である海上自衛隊のインド洋派遣を継続することができずに辞任しました。続く麻生太郎首相は、衆議院での再可決で新テロ特措法の延長を強行しました。麻生首相は支持率が低下し、いつまで政権を担当できるか分からない状況にもかかわらず、退任間近のブッシュ大統領の要請に応じて、海上自衛隊のソマリア沖派遣を決定、自衛隊法82条の海上警備行動の規定を援用し3月14日護衛艦2隻を派遣しました。政府は同日「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案(海賊対策新法案)」を閣議決定し、自衛隊による海賊対策を法的に追認することとなっています。法案は、a)内閣の承認で自衛隊を派遣できる、b)これまでの正当防衛・緊急避難を超えて武器使用が可能となるなど問題の多いもので、決して許されません。予想される、自衛隊派兵恒久法にも関連したとりくみを強化する必要があります。
     米国の軍事政策に従うことは、自民党政府にとっては国内政策以上に重要な問題のようです。対米追従を強める一方で自民党は、教育基本法の改悪や、憲法改悪のための国民投票法の制定、靖国神社への参拝を通した侵略戦争の美化など、愛国心を醸成する政策を進めてきました。
  2. 対米追従外交と、米国と戦った戦争を美化する愛国心は、本来は両立しないものです。しかし近年の自民党政権は、この2つを巧妙に使い分け、愛国心と排外主義を利用しながら、米国の求めに応じる軍拡を続けてきました。そうしたなかで自衛隊の内部に、この機会に自衛隊を軍隊として認知させ、政治的な発言力を強めようという動きが現れました。2008年末には田母神俊雄・航空幕僚長が、民間企業の懸賞論文で、日本は侵略国家ではないと主張しました。田母神俊雄・航空幕僚長は更迭され退職しましたが、社民党や民主党のその後の調査で、在職中から幹部自衛官に、法律的にグレーゾーンにあるものは上級組織の判断を仰がず独断で実行しろ、国内の反日グループとの戦いは自衛隊の第2の戦場などと指導していたことが明らかになりました。戦前の歴史を美化するために、米国に対しても批判的です。
  3. また、元陸上自衛隊イラク派遣先遣隊長であり、現在は自民党所属の佐藤正久参議院議員は、イラクに派遣された陸上自衛隊が、自衛隊が活動している地域で同盟国の軍隊とイラク反政府勢力との戦闘が発生した場合には、その場所に駆けつけ、自衛隊が意図的に撃たれることで戦闘に加わるという「駆けつけ警護」を実施する計画があったことが明らかにしました。
  4. これらに加えて、情報保全隊による市民運動監視、インド洋に派遣された海上自衛隊の活動を国会にも報告しない秘密主義、辺野古への海上自衛隊・掃海艇派遣など、自衛隊の文民統制からの逸脱と治安軍化が進んでいます。一方で、守屋武昌・前防衛事務次官を始めとした防衛省・自衛隊トップと防衛産業との尽きることの無い癒着や、セクハラ・イジメ・自殺などの不祥事は後を絶ちません。市民社会から見て「不祥事」と思われることが、自衛隊内部では「当然のこと」となっています。
  5. 軍国主義的な勢力が、自衛隊の中心になるとは考えられません。しかしその主張が、与野党の保守派政治家の一部と結びつくことによって、憲法改正・軍国主義復活へ向けた動きの先駆けになる可能性もあります。総選挙が遠のいた場合には、政府による自衛隊派兵恒久法の提案などの可能性も残っています。
  6. 私たちは、「戦争する国づくり」を進めようとする自民党の動きを押しとどめなければなりません。同時に、民主主義社会とは相容れない組織に変質しはじめている自衛隊に対して、国会による徹底した統制と、下級自衛官の人権を守るための第3者機関(オンブズマン制度)の設置が必要です。私たちは、変質する自衛隊と対抗することができる力を持つ必要があります。

(5)世界平和への努力

  1. オバマ新政権のもとで外交・安全保障政策の転換が進み、米国が「テロとの世界戦争」から段階的にでも撤退することがあれば、大きな戦争の危機はなくなります。しかし、当面は米軍によるイラクやアフガニスタン占領は継続されますし、昨年末から今年初めにかけて起きたイスラエル軍によるパレスチナ自治区への侵攻や、またソマリア沖での海賊への軍事力による対処など、地域紛争が起こる可能性は残っています。
  2. 地域紛争に対して、日本政府が自衛隊を派遣することには当然反対ですが、日本の市民が世界平和を願うのであれば、自衛隊によらない平和貢献のビジョンを持たなければなりません。またアジア太平洋地域での反基地・平和運動勢力の国際連帯を進めることが一層重要になってきています。

これらの課題を実現するために、平和フォーラムは、今年度は以下の行動にとりくみます。

1) 在日米軍再編に反対するとりくみ

  1. 在日米軍再編に反対する行動は、現地運動組織のとりくみを基本とします。情勢に応じて、全国への行動参加を呼びかけます。
  2. 在沖縄海兵隊の155ミリ榴弾砲の訓練移転、米軍戦闘機の訓練移転、米軍艦船の民間港入港、ミサイル防衛配備など、複数の地域にまたがるテーマについては、現地運動組織のとりくみを基本とし、その上で関係する運動組織の連携を強めます。情勢に応じて全国への行動を呼びかけます。
  3. 沖縄等米軍基地問題議員懇談会を軸に、民主党・社民党・無所属の国会議員との連携を強め、国会・政府への働きかけを進めます。
  4. 組織内で構成する「全国基地問題ネットワーク」、市民団体と平和フォーラムが共同で作る「非核・平和条例を考える全国集会」や「沖縄米軍基地問題連絡会」、市民団体「日米軍 事再編・基地強化とたたかう全国連絡会」、また各地の反戦・反基地運動団体との連携を進めます。
  5. 沖縄「5・15平和行進」に、全国からの参加を呼びかけます。
  6. 基地被害裁判や、米軍犯罪被害者裁判を支援します。
  7. 軍隊の女性への人権侵害に対し、安保理決議1325を活かしたとりくみを進めます。

2) 原子力空母の横須賀母港化を許さないとりくみ

  1. 横須賀市、神奈川県、政府へ原子力空母母港化の撤回を求めて要請行動を行ないます。
  2. 国会議員への要請、国会における働きかけを行ないます。
  3. アメリカ政府、アメリカ大使館、在日米軍司令部、海外メディアへの働きかけを強化します。
  4. 連合と連携して、より広範な運動の展開にとりくみます。
  5. 神奈川平和運動センターのとりくみを中心に、「市民の会」「成功させる会」「裁判を進める会」など横須賀の運動に連帯して、以下のとりくみを重点に運動を展開します。
       ⅰ 継続的な安全性に関する監視活動を展開します。
       ⅱ 原子力空母G・Wの入港後の週末において、神奈川平和運動センターを中心に、
         傘下組織と連携して抗議行動を展開していきます。
       ⅲ 9月25日には「原子力空母の母港化撤回を求める集会」を配置してたたかいます。
  6. 原子力空母の危険性・環境影響への懸念などを中心に、世論に対する情宣にとりくみます。

3) 自衛隊の強化と「戦争する国づくり」に反対するとりくみ

  1. 自衛隊の海外派遣に反対します。海上自衛隊のインド洋からの撤退を求める活動、また海上自衛隊のソマリア沖への派遣を許さない行動にとりくみます。
  2. 自衛隊を海外に派遣するための法律作りに反対します。海外派兵恒久法や海賊対策法などについては、民主党や社民党と協力し、国会の内外での反対運動の連携を強化します。
  3. 自衛隊内部の、憲法や国内法を改悪する動きに反対します。とくに、民間地や一般道などを利用しての自衛隊の訓練に対して、監視と抗議を進めます。
  4. 国民保護法と、国民保護法に基づく実働訓練などについては、関係する地域・労組に協力してとりくみを進めます。
  5. 自衛隊による市民運動監視に反対します。
  6. 自衛官の人権を守るために、第3者機関の設置を求めます。

4) 世界平和のためのとりくみ

  1. WORLD PEACE NOWや、紛争地支援を行なうNGOとの協力と支援を強めます。

5) 米軍基地と戦争に反対する国際連帯の推進

  1. 「世界反基地ネットワーク」・「アジア太平洋反基地ネットワーク」との連携を強めます。
  2. 韓国・グアム・フィリピン、また米国本土の平和運動団体との連携を強めます。

6) 宣伝活動

  1. インターネットサイト「STOP!!米軍・安保・自衛隊」に、とりくみの報告や必要な情報を掲載します。
  2. 活動に役立つ資料やチラシを作成し、配布します。

4. 東アジアの非核・平和の確立に向けたとりくみ

  1. 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発をめぐる6カ国協議は、2006年10月の核実験実施表明などの事態があったものの、朝鮮半島の非核化に向けて共同声明(2005年9月19日)を実施するための各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意(2007年2月13日)、3核施設の無能力化などをとり決めた第2段階の合意(同10月3日)とすすんできました。2008年6月には北朝鮮が核計画の申告書を提出したことを受けて米国はテロ支援国家指定の解除を10月に発効させました。その後、6カ国協議に大きな前進がないなかで、過去最大規模の米韓合同演習の実施や北朝鮮の人工衛星打ち上げをめぐって緊張を高めていますが、大局では、朝鮮半島に積極的関与政策をとるオバマ政権成立によって、朝鮮半島非核化の第2段階の終了に見通しをつけ、第3段階へと進む流れが形成される可能性は強く、米朝関係も改善すると見られます。
  2. しかし、日本政府は国際情勢に逆行したまま、麻生内閣のもとで制裁措置は継続を重ね、朝鮮総聯関係団体への弾圧や人権侵害を続けています。北朝鮮の「人工衛星」打ち上げに際しても領土・領海内への落下物への「破壊命令」を発するなど対話ではなく対決姿勢で緊張関係を激化させるとともに、追加制裁をも検討しています。これでは日朝関係の発展を遅らせ拉致問題の解決も困難にします。2002年ピョンヤン宣言にもとづく日朝国交正常化に向けた糸口を政府・政治家・メディア・世論のなかに切り開くために、平和のために実効性ある方向を広く提起し、政策への具体化を要求する運動が求められています。
  3. 平和フォーラムは、朝鮮半島の平和や和解をめざす「東北アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める連絡会」(日朝国交正常化連絡会)のとりくみをすすめ、日本政府に北朝鮮に対する制裁の解除、人道支援の即時再開、エネルギー経済支援への参加、在日朝鮮人団体への不当な人権弾圧に反対します。日本が朝鮮半島を植民地化してから100年目を迎える2010年までに日朝国交正常化のために決定的前進をかちとるとりくみをすすめます。
  4. 東北アジアはいまなお対立構造から脱していないなかで、戦前、韓国・朝鮮・中国などに植民地支配と侵略戦争を重ねた日本の政府と市民は、過去の清算に向け努力し、敵対意識の解消に尽くすことが重要です。しかし、日本は何よりも必要な戦争の歴史と責任に関する認識についての無理解であるとともに、田母神発言のように近年の偏狭なナショナリズム的傾向のなか歪曲が広げられ、これら未解決の問題での真摯・誠実な対応ができていません。「慰安婦問題」について日本の首相に公式謝罪表明や歴史教育を求める決議は、2007年7月の米下院以後、オランダとカナダの各下院、欧州議会、韓国議会でも可決されるなど、国際的に人権侵害としての認識が広がっています。決議の求める公式謝罪表明を実施させるとりくみが必要です。
  5. 対外的な戦後補償については、この間、行政・立法・司法ともとりくみと判断を後退させています。裁判は、1980年代から80件を超して行なわれましたが、政府は被害事実の認定を避け、裁判所は被害事実を認定するものの除斥(時効)などで請求を棄却してきました。2007年4月27日の中国人強制連行西松訴訟の最高裁判決は、事実認定をしながら、1972年の日中共同声明を根拠に司法救済の道を閉ざし、他の中国関係の訴訟もこれに相次ぎました。しかし、国際法にも人権・人道にも反することは明白です。訴訟のなかで培われた膨大な証言と資料を生かし、事実認定をもとに、政府・企業などに責任をひきつづき追及すること、ILO(国際労働機関)や国連人権機関、「慰安婦問題」で首相の公式謝罪表明の各国議会決議のように、国際世論に訴えること、東京・重慶の大空襲訴訟など新たなとりくみを広げていくことをはじめ、アジアの市民と連携したとりくみが重要です。
  6. また、2007年から朝鮮人強制連行真相調査団や在日朝鮮人人権協会とともに当面3年計画で開始した在日朝鮮人歴史・人権週間のとりくみは、国連人権委員会ディエン報告書(2006年1月)が指摘した日本の差別についての歴史性を明らかにするものです。2007年(遺骨問題)、2008年(阪神教育闘争60年、関東大震災85年)につづいて、2009年度(強制連行)のとりくみを進めます。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 「日朝国交正常化連絡会」のとりくみ

  1. 連絡会への全国各地の運動組織の参加を求め、連携を強めます。
  2. 国交正常化に向けて世論を喚起するため、継続的に全国各地での講演会・学習会・全国行動を行ないます。
  3. 東京では月1回程度の定期的学習会や集会・行動をひきつづき行なうほか、必要に応じて随時集会を行ないます。
  4. 制裁強化反対をはじめ国交正常化に向けた政府や各政党に対する要請行動を行ないます。
  5. 日朝の市民レベルの交流を拡大するため中央・地方で計画的に訪朝団派遣にとりくみます。
  6. 連絡会の教宣・学習リーフ「日朝国交正常化!なぜ必要なのですか」を活用します。
  7. 連絡会のホームページとメーリングリストを活用し、情報提供ととりくみの連携を図ります。
  8. 日朝国交促進協会(会長・村山元首相)のとりくみと連携・協力します。
  9. 原水禁など在朝被爆者支援連絡会のとりくみと連携・協力します。
  10. その他、在日の人権確立や、北朝鮮の人道支援のとりくみ、韓国の平和・人道支援運動との交流・協力をすすめます。
    ※東北アジア非核平和地帯のとりくみ方針は別項参照

2) 「過去の清算」と戦後補償の実現に向けたとりくみ

  1. 日韓首脳会談で約束された韓国・朝鮮人強制連行被害者などの遺骨調査、遺族への早期返還実現に向けた「韓国・朝鮮の遺族とともに全国連絡会」のとりくみをすすめます。
  2. 戦後補償をとりくむ市民団体や、歴史の事実を明らかにする立法(国立国会図書館法改正、恒久平和調査局設置)を求める市民グループとの共同のとりくみを行ないます。
  3. 中国人戦争犠牲者について司法救済の道は狭まれているものの、国際法や道義的責任にもとづき企業・国に謝罪と補償を求める戦後補償のとりくみに支援・協力します。
  4. 米下院「慰安婦問題」決議をはじめ国際的に広がる日本の首相の公式謝罪表明要求を、首相が真摯に受けとめ実行することを求めるとりくみをすすめます。
  5. 戦争・戦後責任と戦後補償をまなぶ国際交流・視察団の派遣を検討します。
  6. 東京大空襲訴訟の支援を行ないます。
  7. 首相の靖国参拝や靖国神社国家護持に反対するとともに、8月15日に千鳥ヶ淵戦没者墓苑で戦争犠牲者追悼・平和を誓う集会を行ないます。
  8. 2月11日を、1967年に戦前の「紀元節」を「建国記念の日」とした問題点を忘れず、この日に歴史認識に関わる集会を行ないます。

3) 「在日朝鮮人歴史・人権週間」のとりくみ

  1. 2009年度は強制連行テーマにとりくみます。8月29日に全国集会を名古屋で開催するとともに、7月中旬に週間を設定し、関東を中心とした東日本集会や関西集会をはじめ各地で朝鮮人強制連行真相調査団などと連携・協力してとりくみを広げます。全国集会、東日本集会、関西集会などは実行委員会を発足させてとりくみます。
  2. 「在日朝鮮人歴史・人権週間」人権賞を通じて、日朝の友好や和解に向けた青年・若い世代のとりくみを発掘・紹介します。

5. 核兵器廃絶に向けてのとりくみ

(1)核兵器をめぐる国際情勢

  1. ヒロシマ・ナガサキの原爆投下から64年。これまで被爆体験を原点に核廃絶と世界の恒久平和を訴え続けてきましたが、いまだ人類は、2万1000発とも言われる核兵器の存在のなかで、核と戦争の脅威から解き放たれていません。当初、米・ロ・英・仏・中の5カ国の核兵器国が現在では、インドやパキスタン、イスラエルへと拡がり、朝鮮民主主義人民共和国の核実験やイランの核開発疑惑など核拡散の動きが止まっていません。また、原子力の商業利用のなかで核物質も増え続け、拡散しているのが現状です。
  2. 核兵器を規制する国際的条約は、いまのところNPT(核不拡散条約)だけです。2005年のNPT再検討会議では、米・ブッシュ政権の単独行動主義による核軍縮義務への消極的な態度により、2000年のNPT再検討会議で合意された13項目などの核軍縮の課題を前進させることができませんでした。さらにその後、米印原子力協力が結ばれ、NPT未加盟国インドの核開発を助けるものとなり、これまでNPTによってかろうじてささえられている核軍縮・不拡散の国際的枠組みが危機に直面していました。
  3. しかし、今年1月に就任したオバマ政権は、「核兵器のない平和な世界を追求すべきときが来た」(2008年ベルリンでの演説)とし、2010年のNPT再検討会議での大幅な核軍縮推進やCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准、カットオフ条約の容認などを打ち出しています。また、アメリカの核軍縮の機運を支える動きも、かつての保守派の指導層からもでています。キッシンジャー元国務長官(ニクソン政権)、シュルツ元国務長官(レーガン政権)などの4人高官が、2007年と2008年に「核兵器のない世界」を求める呼びかけを「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙で呼びかけました。かつて核戦力を背景に外交を進めてきた高官たちが発言することは、今度のオバマ政権を後押しするものでもあります。新政権は発足まもない時期にあるだけに、期待する反面、どれだけ実現できるか未知数ですが、これまでの単独行動主義から国際協調主義への路線転換を背景に世界の核軍縮の流れに乗ることを期待したいと思います。
  4. 一方、オバマ政権によるアメリカの国家安全保障戦略は、いまだ明確にはなっていません。これまでのブッシュ政権の戦略では、先制攻撃戦略は堅持され、単独行動主義を背景に国際的な法や世論を無視し、イラクやアフガニスタンへの武力侵攻を行ない、各地で憎しみや暴力、報復の連鎖を生み出し続けてきました。2005年の「統合核作戦ドクトリン」では、地域紛争でも核兵器の使用が述べられ、2006年の「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)報告でも、先制使用も含め核兵器と非核兵器の一体的運用の促進を掲げていました。そのうえABM条約(対弾道ミサイル制限条約)の一方的脱退・破棄に続き、同盟国とのミサイル防衛構想(MD)の推進など新たな核・ミサイル軍拡の流れを生み出そうとしていました。とくにMDの推進は、ロシアの核戦力の近代化に拍車をかけるものとなっていました。
  5. さらに米ロなど核大国はいまだ未臨界核実験を繰り返し、核警戒態勢も維持され偶発的核戦争の危険性もかかえています。また、「削減」された核弾頭も将来に備えた「貯蔵」に回すなど核軍縮の実態もともなっていません。その上、米ロ間のSTARTⅠ(第一次戦略兵器削減条約)が今年で失効することになり、新たな核軍縮条約の締結が望まれています。
  6. 2006年10月9日の北朝鮮による核実験は、東北アジア地域はもとより世界全体にも緊張を激化させる暴挙でした。しかし、2007年2月13日の6カ国協議で、朝鮮半島の非核化にむけて各国がとるべき初期段階の措置を決めた合意文書が採択され、対話と協調を基調にしながら平和的な解決に向けた動きが続いています。2007年には初期段階の合意、米朝対話の進展、南北首脳会談の実現など多くの進展がありました。しかし、昨年12月の首席代表者会議では、核申告の検証とやり方をめぐって米朝間で対立しましたが、オバマ新政権に代わり、今後の出方が注目されます。6カ国協議のなかで、日本は拉致問題を盾に経済制裁を継続させており、6カ国協議の進展を複雑にしています。また、今年4月の「人工衛星」打ち上げ問題は、今後の協議にも大きな影響を与えるものとなっていますが、今後の協議の推移に注目しながら、これまでの合意を後退させない世論を作ることが求められています。
  7. さらに、NPT未加盟国のインドやパキスタン、イスラエルの核保有や、イランなどは原子力の商業利用からの転用による核開発が疑われています。それらの動きは、周辺地域の安全保障を揺るがし、緊張を高めています。そのなかでアメリカは米印原子力協力を結びました。インドの核を公然と認める動きであり、それを、日本をはじめ国際社会は認めてしまいました。このことはNPT体制の根幹を揺るがすものです。あらためて当事国に核開発の放棄や緊張緩和にむけた平和的な解決と国際ルールへの参加を促すことが必要です。来る2010年のNPT再検討会議のなかで、国際的なNGOとともにこのことを課題としてとり上げ、世論喚起が必要です。

(2)日本をめぐる情勢

  1. 日本政府は、核廃絶を訴えながらも、一方で米国の「核の傘」に依存するダブルスタンダードをとるという矛盾した政策をとり続けています。1965年1月に訪米した佐藤栄作首相による、「(日中で)戦争になれば、米国が直ちに核による報復を行なうことを期待している」との証言が昨年暮れに新聞報道で明らかになりました。現在の日本による外交政策の基本にも「核抑止」の考えはいまだ生きています。さらに昨年は、米国に追随し、米印原子力協定を支持し、自らNPT体制を骨抜きにしています。
  2. だからこそ日本政府に対して、被爆国の責務として積極的に世界に先駆け平和と核軍縮政策のリーダーシップをとることを求めることが必要です。しかし、現在の小泉-安倍-福田そして麻生と続く政権では、テロ特措法の延長強行や米軍再編、MD防衛、ソマリアへの自衛隊派遣など積極的にアメリカの世界戦略のシステムのなかに加わろうとしています。なかでもミサイル防衛(MD)の積極的な開発と導入は、アメリカの核の傘とあいまって東北アジアに新たな軍拡に道を開き、不安定要因を作り出すものとなっています。そのうえアメリカとの共同運用によって、憲法で禁止されている集団的自衛権の行使にまで踏み込もうとしています。さらに、六ヶ所再処理工場の本格稼働の持つ意味も国際的核拡散の視点からもとらえなければいけません。これらの政策転換が必要です。
  3. 来年は、NPT再検討会議がアメリカで開催されます。オバマ政権による核軍縮の新たな流れに期待すると同時に、国際的なNGOや市民の連携が力を発揮するときです。
     国内的にも、連合・核禁会議などと連携を強め、NPT再検討会議に向けて「核廃絶1000万署名」などを展開し、国民世論を喚起することが重要です。
     また「東北アジア非核地帯」構想(核兵器の不存在と核保有国による地域への消極的安全の保証の約束など)の実現に向けて、市民・政府レベルでの議論の活性化と韓国や北朝鮮、中国などとの国際連携と国内世論の喚起が求められます。さらに国内的には、憲法の前文と9条を守るとともに、その理念の具体化として非核三原則の徹底した遵守と法制化が求められています。

(3)原水禁世界大会の課題

  1. 被爆64周年原水爆禁止世界大会は、以上の「核兵器廃絶にむけたとりくみ」状況と別項の「ヒバクシャの権利確立のとりくみ」や「原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けてのとりくみ」の3つの課題を中心に議論を深め、共通認識を作りあげることが必要です。今年で5年目となる連合・核禁会議との共同行動をさらにすすめ、今年も原水禁大会の開会式にあたる部分の共同開催や核兵器廃絶、被爆者援護の課題の拡大(共同シンポジウムなど)をはかることになりました。
  2. さらに今年の国際会議では、オバマ新政権の登場による米国の核政策の変化を受け、日本の具体的な核政策の転換を求めて、「東北アジア平和と安定(仮称)」をテーマにしたシンポジウムを行なうことになりました。シンポジウムのなかで東北アジア非核地帯化構想の具体的課題を明らかにすることが必要です。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 国内外の核軍縮へのネットワークの強化に向けたとりくみ

  1. 国内外の核軍縮すすめる団体や運動体とのネットワークの強化と世論喚起にむけたさまざまなとりくみを行ない、核保有国への包囲網を強化します。NPT再検討会議準備会合や国連軍縮会議、8月の「原水禁世界大会」などで、国際的な連携を強化します。さらに東北アジアの非核地帯化を求めて、日韓での連携を強化します。
  2. NPT再検討会議にむけて、連合・核禁会議とともに「核兵器廃絶1000万署名」をとりくみます。またNPT再検討会議に代表団を出し、国連での国際的なとりくみを展開します。
  3. 平和市長会議が呼びかけ2020年までに核兵器廃絶をめざす「2020ビジョン」に賛同し、連合・核禁会議と連携して具体的に協力します。
  4. 核兵器国に対して「核の先制不使用」や「消極的安全保障の制度化」などを求めます。朝鮮民主主義人民共和国に対しては核開発の放棄とNPT復帰などの実施を求めます。
  5. 日本政府に対して核の傘からの脱却を求め、東北アジア非核地帯化構想の実現をめざして国内外の運動の強化をはかります。とくに韓国のNGOとの連携を強化し、合同でシンポジウムや原爆展、政府要請などを開催します。
  6. 非核三原則の法制化に向けたとりくみを立ち上げ、連合・核禁会議などとも協議をすすめます。
  7. ミサイル防衛構想に反対し、迎撃ミサイルPAC3配備と宇宙の軍拡に反対します。
  8. 未臨界核実験や核拡散に反対するとりくみを、引き続き連合・核禁会議との共同行動として積み上げます。
  9. CTBT条約、カットオフ条約など停滞する国際条約の発効・促進させるとりくみを強化します。
  10. クラスター爆弾につづいて劣化ウラン弾・白リン弾などの非人道的兵器を禁止するとりくみを行ない、沖縄にあるとされる米軍の劣化ウラン弾の撤去を求めます。
  11. NPT体制を空洞化させる米印原子力協力に反対し、NPT再検討会議で、世界のNGOと協力し議論を起こします。

2) 非核自治体決議の推進と非核政策の内実の充実を求めるとりくみの強化

  1. 非核自治体決議の100%達成にむけたとりくみと自治体の非核政策の充実を求めます。地方議会への働きかけや非核平和行進に合わせて自治体への要請などを行なうなかで宣言の達成や政策(事業)の充実を求めます。
  2. 非核宣言をした自治体の非核宣言自治体協議会への加盟や平和市長会議への参加を推進します。
  3. 非核平和条例のとりくみを強化します。

3) 被爆64周年原水爆禁止世界大会/ビキニ・デーの開催に向けて

  1. 被爆64周年原水爆禁止世界大会は実行委員会方式で、国際会議、広島、長崎で下記の日程で開催します。また、「メッセージfromヒロシマ2009」や「ピース・ブリッジ2009」などの子どもや若者の企画をサポートし、子どもの参加や若者、親子などの参加を強化し、被爆の実相の継承をはかります。引き続き「核廃絶の壁」木ブロックも実施します。なお、2010年のNPT再検討会議には、一部このブロックを持っていき、ドイツの市民グループなどのブロックと合流します。
    8月4日(火)-6日(木) 広島大会(8月4日連合・核禁会議と共催の開会式)
    8月5日(水)     国際会議・広島
    8月7日(金)-9日(日) 長崎大会(8月7日連合・核禁会議と共催の開会式)
    8月7日(金)-9日(日) 「核廃絶の壁」(木ブロック)の展示
  2. 2010年の被災56周年ビキニ・デー集会を、55周年集会の成果を引き継ぎ、被爆65周年原水禁世界大会に連動する集会として開催します。

6. 偏狭なナショナリズムに基づく教育改悪を許さないとりくみ

  1. 新自由主義・新保守主義の台頭によって国民の生活不安が増大しています。このようななかで、先の大戦を肯定し日本のアジア侵略を否定する歴史観が横行し、2008年度には嶋倉剛下関市教育長の朝鮮半島の植民地支配を否定する発言や、田母神俊雄航空幕僚長の侵略戦争を否定する論文などが問題とされました。また、労働組合の団結権を否定し、日本の教育の荒廃を組合に押しつける中山成彬国土交通大臣の暴言など、憲法・民主教育を否定する動きも顕著となっています。
     寺田典城・秋田県知事は、2008年12月25日全国学力調査の秋田県内における市町村別結果を公表しました。一時、秋田県藤里町教育委員会が学力調査からの離脱を表明するなど混乱を招いています。橋下徹大阪府知事も同様の発言を繰り返しており、全国的に注視が必要です。文科省は、過度の競争と序列化をまねくとして、全国学力調査の個別結果については非開示の方針をとっています。
     狭隘なナショナリズムを排除し、平和と民主主義、人権尊重の憲法理念を実現するためにも、主権者として自立する市民を育てる公教育を復権させなくてはなりません。全国学力調査などに見られる過度の競争主義のなかで、子どもたちは疲弊しています。真の教育改革の実現には、30人学級の早期実現など教育条件整備を拡充し、子どもたちが相互理解のなかで切磋琢磨できる環境をつくることが重要です。
     平和フォーラムは、教育の管理統制を一層強め、能力主義の基づく教育格差を増大しようとするもくろみに対して、日教組および構成組織の力を結集してとりくみを進めます。
  2. 2008年使用高校歴史教科書における沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与を否定した検定意見については、平和フォーラムや県民11万人が参加した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を成功させた沖縄県民集会実行委員会などのとりくみによって、文科省が教科書会社の訂正申請に応ずる形で、日本軍の関与が一定認められることとなりました。また、大江・岩波沖縄戦裁判の高裁判決においても、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」には日本軍の関与があったとの見解が示され、このことが歴史的史実として認定されることとなりました。今後、すべての教科書に、特定のイデオロギーに与することなく、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」、従軍慰安婦や南京事件の史実など、歴史事実を客観的に記載させることが重要です。
  3. 文部科学省は、3月4日、改訂された学習指導要領に基づく教科書検定基準を発表しました。これまで小学校・中学校10%程度、高校20%程度とされていた「発展的な学習内容」の制限がはずされるとともに、練習問題の量を多くする、漫画・イラストなどを制限するなど、子どもの負担増と学校間競争の激化や教育格差の肯定につながるなどの懸念があります。また、改悪された「教育基本法」に基づく「公共の精神」「国と郷土を愛する態度」「伝統文化の尊重」などの教育目標遵守も求められ、検定申請時には、教科書の内容と教育基本法・学校教育法の目的・目標との対象を示す書類も添付することを義務づけています。国語科の教材などに言及し「日本の伝統や文化、自然や四季に関する題材などをとり上げることへの配慮が望まれる」と記載されるなど、改悪された「教育基本法」に基づいて、国家に有益な人材をつくる教育へより管理・統制が強まることとなっています。憲法の理念に基づく教育の実現へのとりくみが重要となっています。
  4. 沖縄戦における「集団死」への日本軍の関与を否定した高校教科書検定意見については、非公開とされる教科書検定審議会での議論が問題とされました。審議会の透明性を求める私たちの主張に対して文科大臣は教科書検定審議会に対して、審議の透明化に向けた議論を要請しました。
     12月25日に出された審議会報告に基づく文科省の改訂内容は、a)検定における審査過程の公開は事後とする、b)教科書調査官の作成する調査意見書は公開とするが、審議会の議論については概略の報告とするなど報告の内容に加えて、c)教科書会社の訂正申請の内容にも守秘義務を課すなど、その透明度はきわめて低く、私たちの要求から遠く不十分な改定にとどまっています。
     検定制度の国際的動向も含めて、その必要性から議論することが必要であり、真に国民に開かれた教科書制度とするには、さらなるとりくみが必要です。
  5. 「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」は、低迷する採択率と教科書の内容などをめぐって「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会(改善の会)」とに分裂しました。与党内においては、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」や「日教組問題を究明し、教育正常化実現に向け教育現場の実態を把握する議員の会」など、つくる会などと連携する動きが活発化しています。これまでの「つくる会」の教科書は、扶桑社(フジ・サンケイグループ)から同グループの育鵬社(「改善の会」系)に引き継がれましたが、「つくる会」とその版権の帰属をめぐって対立しています。「つくる会」は、本年度の教科用図書検定審議会に、中学校用歴史教科書を検定申請しました。採択は2011年度以後ですが、検定意見や内容も含め注視が必要です。育鵬社の「改善の会」および自由社の「つくる会」は、2011年度以降の教科書採択に標準を合わせて新教科書策定にとりくむものと思われ、戦前に立ち戻るような国家主義的教科書の不採択を求めて、私たちの運動を再構築していくことが重要となっています。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 改悪教育基本法の実効化を許さないとりくみ

  1. 日教組と連携・協力し、教育関連三法の実効化を許さず、「教育再生懇談会」や「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」その他保守勢力の動きに注視しつつ、子どもの権利条約に立脚した教育を実現するとりくみを進めます。
  2. 「愛国心」や「日の丸・君が代」の強制・強要に反対し、「競争主義」などによる人権侵害に対するとりくみを行ないます。

2) 新学習指導要領に基づく教科書採択など教科書問題へのとりくみ

  1. 「教科書問題を考える会」を中心に日教組などと連携して、新学習指導要領に基づく小学校教科書採択(2010年度)および中学校教科書採択(2011年度)に対して、平和、人権、国民主権の憲法の理念に基づく教科書採択を追求してとりくみます。
  2. 「つくる会」および「改善の会」の動向に注視しつつ、歴史を歪曲するような国家主義的教科書の不採択に向けて、日教組と連携しつつ、運動の全国展開や広範な連帯を求めてとりくみます。
  3. 日教組、沖縄平和運動センター、現地実行委員会と連帯して検定意見の撤回および沖縄の県民感情に配慮する「沖縄戦条項」の制定を要求してとりくみます。
  4. 政府・与党、文部科学省に対する要請行動を強化します。
  5. 日教組と連携し、教科書検定制度のさらなる弾力化・透明化へ向けた制度改革にとりくみます。
  6. 新学習指導要領に基づく教科書の作成に関して、教科書出版会社・執筆者に対して、ⅰ.歴史事実に基づく記載、ⅱ.過度の競争を招来させない無理のない内容、ⅲ.個人の権利と国民主権の憲法理念に基づく編集などを求めてとりくみを展開します。
  7. 相互理解に基づいた歴史観の醸成に向けて、東北アジアの諸国を中心に、国際交流を追求します。

7. 多文化・多民族共生社会に向けた人権確立のとりくみ

  1. 昨年の12月10日、世界人権宣言は60周年を迎えました。世界はこの間、国際人権規約の他、人種差別撤廃や女性、子ども、移住者、障がい者、死刑廃止など各分野におよぶ30の国際人権条約が積み上げられてきました。また、安保理決議1325号など安全保障の分野においても女性の重要性・ジェンダーを強調するなど、あらゆる分野で人権確立がすすめられてきました。しかし、日本はようやく12の条約に加入したにすぎず、批准した条約も、国内法整備がなかったり、留保や未批准部分があるなど人権救済についての遅れがあります。また、小泉内閣以来の新自由主義政策で社会的セーフティネットは次々と壊され、雇用・医療・年金など深刻な人権侵害をうみだしました。さらに、未曽有の金融経済危機は生活の危機を広げています。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法第25条)が侵され、社会や地域の格差を生み出し、陰湿な人権侵害が助長されています。
  2. 2008年10月、国連の国際人権(自由権)規約委員会は第5回日本報告書審査を経た最終見解を明らかにしました。日本政府に向けて34項目もの提起が行なわれ、そのうち「懸念事項および勧告」が29を占めました。また、6月には国連人権理事会の普遍的定期審査(UPR)も、日本に対して各国から26項目に及ぶ勧告が記載されました。そこで掲げられた日本の人権の問題点は、国内人権機関の設置、人権諸条約の下での個人通報制度の承認、差別撤廃のための諸措置、マイノリティ・先住民族への権利保障、女性に対する暴力および人身売買の防止策、日本軍「慰安婦」問題の解決、移住者および難民の権利保障、死刑の廃止または一時執行停止措置の実施、刑事司法制度の改善などです。
  3. これに対して、日本政府は一部を受け入れるとしましたが、国内法の差別規定の撤廃や差別禁止法の制定を求めた勧告や、日本軍「慰安婦」問題の解決へのとりくみに関する勧告、入国管理局による「不法」滞在外国人の匿名通報用ページの撤廃を求めた勧告、代用監獄制度の見直し、死刑廃止などについては、従来の立場を頑なに繰り返し、受け入れる姿勢を見せていません。死刑の廃止にいたっては、「日本は、死刑執行停止措置の承認も死刑廃止も検討する立場にはない」との姿勢を真っ向から示したばかりか、勧告に日をあわせるように死刑執行を重ねました。
  4. UPRの次回審査、自由権規約委員会に要請された項目の1年後のフォローアップなどで、勧告の履行が再び問われます。多くの国際人権条約で相次いで報告書が提出されており、審査が予想されています。日本政府がかすかに前進姿勢を見せた項目の具体化をはじめ、国連がすすめる世界人権宣言60年のキャンペーンなどを活かしながら、死刑廃止をはじめとした国際人権諸条約の批准促進や、国連の「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権機関を設置する人権救済法、差別禁止法の制定に向けたとりくみをすすめていくことが必要です。
  5. 具体的な人権救済では、すでに20年を超えた1,047名のJR採用差別問題は、再三のILO勧告はもとより、司法判断も国鉄による差別・不当性を指摘しており、2008年7月には鉄建公団訴訟控訴審の和解の動きや、積極的に受けとめるとの国交相発言なども行なわれ、政治解決を求める大規模集会を行なうなど大きな山場を迎えています。国労など当事者4者4団体による大同団結のもとに早期解決に向けて、当事者・家族へのいっそうの支援と励ましのとりくみが必要です。
  6. 2009年は女性差別撤廃条約採択30周年、選択議定書採択10周年。日本は選択議定書の批准が当面する重要課題です。女性差別撤廃条約第12条は「女性の健康に関する権利」の確立を謳っていますが、医師不足と地域医療の崩壊のなか、妊婦の「タライ回し」による死亡事故の続出と「お産難民」が発生するなどの危機的状況がもたらされています。妊娠・出産にかかわる政策を、国際社会の人権基準であるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康の権利)の視点で見直すことが緊急の課題です。少子高齢社会に向かうなかで、政府は「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と家庭の調和)の運動をすすめていますが、日本のジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)が著しく低いなど、両立には大きな壁があります。男女共同参画に向けたいっそうのとりくみが必要です。
  7. 日本は戦後も旧植民地出身者に対する人権侵害を続け、不当な外国人差別を続けてきたことを克服するためにも、定住外国人の権利確立は重要です。地域レベルでは、不十分ながらも地方自治体における「外国人会議」や住民投票条例による投票権などが全国に広がりました。定住外国人の地方参政権は、すでに欧州各国やアジアでも韓国では地域社会に参画する権利として実施されています。日本でも、違憲ではないとした最高裁判決(1995年2月)に前後して全自治体の半数が決議しています。国会に提案されてから10年近くになりますが、主に自民党タカ派の反対で実現しないままです。民主党は実現に向けて動きはじめましたが、平和フォーラムは、民団、参政権日韓在日ネットと連携して、全国的にとりくみます。
  8. 国際化時代のなか、在日外国人は、旧植民地出身者だけでなくブラジル人など南アメリカに移民した日系人中心に近年急増し200万人をこえており、その人権確立は失業・解雇などの強まりのなかで喫緊の課題です。また、無年金の問題や国際結婚した人びとなど多くの人たちが権利の確立を求めています。とくに子どもの問題は深刻です。日本の外国人学校は政府からの助成金がなく、朝鮮学校などは卒業資格が認められないなどの差別を受けている場合もあります。在日外国人は納税の義務を負っていますが、多くの税金が使われる学校教育の分野でほとんど恩恵を受けていません。子どもの権利条約の趣旨に基づいて、朝鮮学校をはじめ在日外国人学校を学校教育法の「1条校」並化、卒業資格差別の撤廃などは当面する重要課題です。さらに、研修生として来日した短期滞在の人たちの無権利状態はきわめて問題です。2008年8月に山梨で起きた中国人実習生暴行傷害事件など人身売買と暴力的な抑圧下におかれた状態を許してはなりません。その一方で外国人雇用状況報告を義務づける雇用対策法改定や2009年外国人「在留カード」制度新設の出入国管理法改定の動きなど管理強化だけが強められています。
  9. 警察・監視社会化による人権侵害事件は、最近の麻生邸ツアーの若者の不当逮捕など多発しています。国会上程中の「共謀罪」新設法案は、犯罪の実行の有無にかかわらず、法律違反について話し合うだけで罪とする稀代の悪法ですが、与党はなお制定を断念していません。この間、警察の恣意的捜査や密室のとり調べのもと自白強要によるえん罪事件が多発していることに対し、とり調べの録画・録音による可視化や代用監獄の廃止が大きな課題となっています。第3次再審をすすめる狭山裁判をはじめとしたえん罪訴訟のとりくみとともに、司法の民主化が問われています。2009年5月21日に開始される裁判員制度は、裁判官の恣意に左右されること、全員一致制ではなく多数決で決めることなど数多くの問題点があり、開始せずに抜本的に見直すことが必要です。また、総選挙の際に行なわれる最高裁判所裁判官国民審査は、主権者が裁判官の判断をチェックする重要な機会です。しかし、裁判員制度を前に2008年11月には判事を経ずに竹崎博允長官が誕生するなどの大きな出来事が起きていても、国会議員や大臣に比べて、最高裁の長官も判事も誰であるかはるかに知られていません。国民審査では、大多数が棄権のつもりで無印投票していますが、無印は信任とされる、きわめて非民主的、前近代的な制度がつづいています。いまの制度では×印をつけることだけが権利行使であることを踏まえて、抜本的には○×式にするなど、投票した人の意思が結果に反映する方法への改善を早急に実現させる必要があります。期日前投票が不十分などの問題も、すぐにも改善させなければなりません。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 世界人権宣言60年と実効性ある人権救済法の制定に向けたとりくみ

  1. 世界人権宣言60年の国連キャンペーンを活かし、国際人権諸条約の批准促進を求めます。
  2. 国連の「国内人権機関の地位に関する原則」(パリ原則)にそった独立性と実効性ある人権救済機関を制度化する法律の制定、「差別禁止法」の制定に向けてとりくみます。
  3. 全国の自治体でより充実した「人権教育・啓発推進に関する基本計画」を策定・実行を求めるとともに、「人権のまちづくり」や「人権の核心は生存権」との認識のもとに生活に密着した「社会的セーフティネット」などのとりくみを広げていきます。また、地域・職場でさまざまな差別問題など人権学習・教宣活動を行ないます。
  4. JR採用差別事件のとりくみを国鉄労働組合に協力して行ないます。2月16日、4月1日などの節目のとりくみについても要請に応じてとりくみます。

2) 男女共同参画社会の実現に向けたとりくみ

  1. 地方自治体計画作成のなかでジェンダー定義を後退をさせないとりくみを行ないます。
  2. 平和フォーラム組織自身の構成、諸会議をはじめ、関わる運動全般で女性が参加できる条件・環境作りを行ないます。
  3. I女性会議をはじめとした女性団体のとりくみに連携、協力します。
  4. 国際機関が指摘する日本の人権の問題の多くが女性に関わるものであることを踏まえ、女性の重要性・ジェンダーの視点を強調した人権確立の国際社会の流れを活かしたとりくみをすすめます。
  5. 日本における女性差別撤廃の取り組みの強化を促すために国に対して女性差別撤廃条約選択議定書のすみやかな批准を求めるとりくみを行います。選択議定書は、締約国の個人または個人の集団に直接申し立てできる権限を与え、国連は通報に基づいて調査、審議を行い、当事国・政府に「意見」「勧告」ができるとするなど女性差別撤廃を促進し、男女共同参画社会基本法の形成を促進するものです。

3) 地方参政権など在日定住外国人の権利確立のとりくみ

  1. 在日コリアンをはじめ外国籍住民の切実な声を国会に届けるために、参政権ネット、民団と協力して、全国各地で集会開催をめざします。毎月1回のポイント行動を、国会内や屋内外の集会など、形を工夫しながら行ないます。
  2. 子どもの権利に立った外国人学校(朝鮮学校やブラジル人学校など)の整備など多民族・多文化共生社会の実現に向けたとりくみに協力します。
  3. 在日外国人学校の中学校・高校卒業者を差別なく高校・大学受験資格を認めることをはじめ、学校教育法の1条校並としていくとりくみを行ないます。
  4. 在留カード制度導入の出入国管理法改定に反対するとりくみに協力し、外国人人権法連絡会や日弁連のとりくみに参加・協力します。
  5. 山梨の中国人実習生暴行事件をはじめ無権利状態におかれた人たちの救済に向けて外国人研修生権利ネットワークなどのとりくみに協力します。

4) 司法制度・地方自治などをはじめとしたとりくみ

  1. 5月21日開始の裁判員制度は裁判官の恣意に左右されること、全員一致制ではなく多数決で決めることなど数多くの問題点があり、開始せずに抜本的に見直させるとりくみを行ないます。
  2. 日常的な判決チェックなど最高裁判所裁判官国民審査にかかわるとりくみを行ないます。
  3. 総選挙時に行なわれる第21回最高裁判所裁判官国民審査のとりくみを行ないます。いまの制度では×印をつけることだけが権利行使であることを踏まえて、「×」を増大させるとりくみをすすめます。対象裁判官の過去実績・経歴を検討し、「×」をつける裁判官を提起します。また、期日前投票などの改善を含め中央選管への要請を行ないます。
  4. 狭山差別裁判第3次再審実現など、えん罪をなくすとりくみに参加・協力するとともに、「取調べ可視化法案」の成立をめざします。
  5. 共謀罪の新設をさず、盗聴法の廃止に向けたとりくみを行ないます。
  6. 警察公安による微罪逮捕や自衛隊によるとり調べ事件や情報収集増大の動きを警戒し、不当弾圧、人権侵害を許さないとりくみを行ないます。
  7. 地方分権を促進し、地方自治体の自主財源の確保とともに、条例制定権の拡大、拘束力のある住民投票の導入などのとりくみを行ないます。
  8. 反住基ネット連絡会のとりくみに協力します。
  9. 言論や表現の自由を暴力やテロで封じる動きを許さないとりくみを随時、行ないます。

8. ヒバクシャの権利確立のとりくみ

  1. 被爆後、64年を迎え、被爆者の高齢化や病弱化が進み、被爆者をとり巻く環境が一段と厳しくなっています。さらに、被爆者の減少は、被爆体験の風化にもつながっています。同時に広島・長崎の被爆者の残された課題を解決する時間も限られています。援護対策の充実と国家の責任を問うことがあらためて急務となっています。
  2. 援護施策の充実を求める課題として、この間、原爆症認定制度が問題となっています。制度の根幹である原因確率論の機械的な運用による被爆者の切り捨てが、判決により断罪されてきました。司法判断や被爆者、市民の声に押され、国は、原因確率論による審査を全面的に廃止し、新基準を2008年4月から実施しました。しかし、これまで裁判で認定された被爆者が、新基準によっても切り捨てられる現実が生まれています。距離の線引き、対象疾患の限定など、被爆者が求めている被害の実態に合った基準づくりには、まだまだ乖離があります。さらに、新基準導入後の国による審査体制の問題もあります。7000件を超す審査の滞留が発生しており、高齢化、病弱化している被爆者にとっては一刻を争う問題となっています。引き続き国の認定制度と運営の抜本的改善を求めていくことが必要です。
  3. 在外被爆者に対する援護の充実は、日本の戦争責任と戦後補償の実現と並んで重要なとりくみです。これまでの裁判で勝ちとった成果を、残された裁判へ活かしていくことが重要です。昨年12月には、援護法が改正されこれまで在外被爆者に課していた「日本へ来なければ認定しない」などの来日要件は撤廃されましたが、鄭南壽さんの裁判など法施行前の「来日要件」の違法性を争っている裁判は継続されており、引き続き支援を強化する必要があります。
     さらに日本国内に居住していないことを理由に、健康管理手当の支給を打ち切られるなど被爆者援護法から切り捨てられ精神的苦痛を受けたとして、国賠訴訟が進められている在外被爆者集団訴訟についても、日本の戦後補償と1974年の厚生局長通達(402号通達)による厚生行政の問題からも抜本的対応を求める必要があります。国の対応は、訴えられれば和解をするというきわめて消極的対応です。自らの過ちを反省し、積極的救済に動くよう求めることが必要です。
     また、これまで国交がないことを理由に放置され続けている在朝被爆者への援護施策の実施を求めていくことも戦争責任・戦後責任を果たす意味でも重要です。この間の訪朝で、400名近い被爆者が生存していることを明らかにしました。「被爆者はどこにいても被爆者」です。国内外の差別なき援護施策の実施を求めるとともに、国家補償による援護を求めていくことが必要です。
  4. さらに「援護なき差別」の状況に置かれている被爆二世・三世への援護施策の充実をはかることも必要です。そのため全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協)と連携しながら二世・三世の組織化や行政に対する被爆者健康手帳の発行、二世健康診断の通年化・制度化、ガン検診の追加などの独自要求を積み上げていくことが求められています。とくに、2007年3月に発表された、「被爆二世健康影響調査」の解析結果では、「遺伝的影響」の解明には、さらに調査が必要なことが明らかになりました。それらを踏まえ被爆二世としての施策の実現やさらなる被爆二世の実態調査、遺伝的研究の深化を求めていくことが必要です。さらに三世への援護施策の充実をはかることも今後の課題です。
  5. 「被爆体験者」の問題では、被爆した場所が爆心地から12キロの範囲にありながら、旧長崎市区に属さなかったため被爆者とこれまで認定されませんでした。しかし、長年に渡る被爆地域拡大の要望により、2002年4月から未指定地域で被爆した人たちを「被爆体験者」とし、「ガン・感染症・けが」以外の疾病の医療費を国が給付することとなりました。ところが、2005年6月、厚生労働省はこの制度を一方的に改悪し、「被爆体験者」のなかで明確に被爆の体験を記憶する人のみを「精神医療受給者」とし、また、限定する疾病だけを給付の対象としました。この制度改悪により、約3000名の人たちが切り捨てられました。現在、国は「(被爆の)記憶のない人たち」については、被爆者とは別枠で医療給付などを受けられるように認定要件を緩和しましたが、本質的な問題は解決されていません。現在、同じ12キロの範囲で被爆しながら、「被爆者として認められないのはおかしい」と、200名が原告となり、裁判闘争が争われています。このような理不尽な差別的扱いは許されません。裁判支援とともに「被爆体験者」の権利拡大に協力することが重要です。
  6. 上記の課題(1.-5.)の解決をめざし原水禁・連合・核禁会議の三者で行なっている被爆者の権利の拡大をめざした政府への要求をさらにすすめることが必要です。
  7. さらにヒロシマ・ナガサキの原爆被害にとどまらず、あらゆる核開発の過程で生み出される核被害者への連帯や援護のとりくみは原水禁運動の重要な課題です。多くのヒバクシャをいまだ生み出している原発事故、軍事機密のなかで行なわれた核実験によるヒバクシャの実態などを明らかにしていくことが必要で、国際的な運動としてヒバクシャ運動の強化が求められています。フランスの核実験被害者に対するフランス政府の補償が前進のきざしを見せています。原水禁としての今までの支援・連帯が具体的に生きたものとなりました。引き続きフランスの核実験被害者や劣化ウラン弾による被害の国際的ネットワークへの協力など、この間すすめてきた国際的な連携をさらにすすめていくことが必要です。
  8. 国内的にも原子力の商業利用で生み出された被曝者や被曝労働者が増大するなか、被曝労働者の権利の拡大をめざすためのとりくみをすすめていくことも重要です。現在、裁判が進められている長尾原発労災裁判、喜友名原発労災裁判、JCO「健康被害」裁判など具体的に支援していく必要があります。さらに今年は、JCO臨界事故から10年目にあたります。2名の労働者の死と30万を超す屋内退避者という日本原子力事故のなかでは最大級の事故でした。あらためて被曝事故として記憶し、継承していくことが必要です。
     それらを踏まえ、核実験や原発事故、原子力開発などのあらゆる核開発の流れのなかで起きたヒバクシャとの連帯強化と具体的な援護制度確立や権利の確認をすすめることが、「ふたたびヒバクシャをつくらない」原水禁運動の理念に結びつけられていく必要があります。

そのため、以下のとりくみをすすめます。

1) ヒバクの実相を継承するとりくみ

  1. 各地でのヒバクシャから聞きとりや記録(映像など)をすすめ、若い世代へ被爆の実相を継承していく運動をすすめます。
  2. メッセージfromヒロシマ2009、ピース・ブリッジ2009、高校生1万人署名や平和大使などの運動に協力します。

2) 被爆者援護の運動を強化するとりくみ

  1. 被爆者団体と連携し、連合・核禁会議の3団体による被爆者の権利拡大に向けた共同行動を強化し、国家補償の明記や認定制度の改善などの要求行動をすすめます。
  2. 在外被爆者の残された課題の解決に向けたとりくみを行ないます。裁判闘争の支援や交流、制度・政策の改善・強化の要求などを行ないます。
  3. 在朝被爆者問題の解決に向けたとりくみを、在朝被爆者支援連絡会を中心に運動をすすめます。在朝被爆者団体との連携強化とともに、政府や政党・国会議員などに働きかけていきます。
  4. ドキュメンタリー映画「ヒロシマ・ピョンヤン」の制作・上映に協力します。
  5. 原爆症認定制度の抜本的改善を求めます。被爆者の被害の実態にあった制度と審査体制を抜本的に転換するよう、政府の政策転換にむけて運動をすすめます。
  6. 「被爆体験者」の権利拡大を進めます。

3) 被爆二世・三世の組織化と援護政策の充実を求めるとりくみ

  1. 全国被爆二世団体連絡協議会との連携を強化し、被爆二世・三世の組織化に協力します。
  2. 被爆者援護法の被爆二世に対する付帯決議を具体化するとりくみを強化していきます。二世への援護法の拡大や被爆者健康手帳の発行、ガン検診の追加、被爆二世調査の継続と充実などを求めていきます。さらに三世についても調査や援護の充実を求めます。
  3. 被爆二世団体全国協議会と共催で、日韓の被爆二世の交流と課題の共有を深めます。

4) あらゆるヒバクシャとの国際連帯・交流の強化のとりくみ

  1. 世界に拡がる核被害者との連帯強化をはかります。
  2. ヒバクシャとの連帯をつくりだすために、必要に応じて現地への調査・訪問団の派遣を検討します。
  3. 原水禁ホームページの「世界のヒバクシャ」コーナーの充実をはかります。
  4. 劣化ウラン弾の使用禁止を求める国内外の動きに連動し、協力します。

5) 被曝労働者のヒバク実態の把握と労働者の権利拡大をめざすとりくみ

  1. 原発労災やJCO臨界事故などによって生みだされた被曝者・被曝労働者への援護の運動に連携します。
  2. 関連する労働組合と協力して被曝労働者の健康を守る「健康管理手帳」の制度確立をめざします。
  3. JCO臨界事故10年の全国集会を開催します。

9. 原子力政策の根本的転換と脱原子力に向けてのとりくみ

  1. 脱原発運動の中心課題である「プルトニウム利用政策転換」の運動は、今年から来年にかけて大きな山場を迎えます。すでに原子力立国計画で示したプルトニウム利用計画は大幅に狂い、要となる六ヶ所再処理工場の本格稼動は、高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設のトラブルで、その対応も試験再開の目途もまったく不透明になっています。それにより本格稼働の時期も大幅に延期され、あらためて稼働阻止にむけた全国的な運動展開が求められています。さらに、1995年12月のナトリウム漏れ事故により停止している高速増殖炉もんじゅ(敦賀市)は、屋外排気ダクトのトラブルやナトリウム検知器の誤警報の続発などへの対応の長期化、施設全体の安全確認試験の遅れなどで、運転再開を今秋以降に大幅に延長せざるをえないこととなっていますが、いまだ具体的見通しは明らかにされていません。プルサーマル計画では、玄海、伊方、浜岡原発用の核燃料が、フランスから日本にむけて今年3月から5月にかけて輸送がされようとしています。さらに泊や女川、島根など各地の原発でも計画が浮上しています。これから各地でのたたかいが重要になっています。すでに原子力立国計画での計画(2010年までに16-18基でプルサーマル実施)から大幅にズレが生じています。その上、六ヶ所再処理工場に続く第2再処理工場の建設の目途もさらに立たない中、高レベル放射性廃棄物処分場の問題さえ進展していないのも現状です。あらためて推進側のずさんな計画は、プルトニウム利用路線の破綻を明らかにしています。
     余剰プルトニウムを持たないことを国際公約にして日本のプルトニウム利用計画を進めていますが、計画そのものがすでに上記の状況で破綻をしています。再処理や高速増殖炉で新たなプルトニウムをつくりだすことは、核拡散につながりかねず、国際的にも許されません。プルトニウム利用政策そのものの根幹がすでに崩壊しているなかで、再処理やもんじゅ、そしてプルサーマル計画をこのまま進める理由は、もはやありません。プルトニウム利用政策を根本的に転換することがまず強く求められるものです。
  2. 昨年のG8サミットやエネルギー大臣会合では、地球温暖対策の切り札として原発推進がうたわれました。世界的に「原子力ルネサンス」のかけ声のなかで、原発推進が、アメリカをはじめ旧東欧、アジア、アフリカ、中東などの中進国などからもでてきました。
     しかし、米国初の世界的金融危機で、一時の勢いも失いつつあります。アメリカのオバマ政権は、原子力を強く推進してきたブッシュ政権とは異なり、原発の必要性は認めつつも、高レベル放射性廃棄物の安全な処分法ができるまで原発は増設すべきでないという立場であり、ネバダ州ヤッカマウンテンの最終処分場建設計画にも反対しています。また、使用済み核燃料の再処理を柱とする国際原子力パートナーシップ(GNEP)にも慎重な態度を示しています。原発建設も、これまで言われてきたほど伸びる可能性は少ないようです。むしろグリーン・ニューディール政策の推進によって、風力発電など自然エネルギーへの傾斜を強めつつあります。
     さらに原発は放射性廃棄物を生み出すことで、地球環境に大きな影響を与えます。また原発建設に伴い、バックアップ電源が必ず必要になり、温暖化の原因の一つとされる大型火力発電所や揚水ダムの建設など地球環境にやさしいわけではありません。温暖化対策の切り札とする原発推進の虚構を暴露することが必要です。今年12月にはCOP15が開催されます。あらためて世界の場で、温暖化対策の切り札は原発でないことを訴えていくことが重要です。
  3. 2007年7月に発生した中越沖地震は、震災と原発災害が同時に襲う可能性を私たちに示しました。現在も柏崎刈羽原発の7基の原発すべてが停止していますが、東京電力は、まず7号機の再開を狙い、以後なし崩し的に全号機再開へと進もうとしています。現在、県の技術検討委員会でも、被害の評価、活断層の評価などについてさまざまな意見が出されましたが、委員長判断で国の結果を追認することになってしまい、住民の安全・安心に応えるものとなってはいません。今後も徹底した検査と議論を求めることが引き続き必要です。県民合意や国民的合意もなく柏崎刈羽原発の再稼働をこのまま認めることはできません。私たちは廃炉に向けたとりくみを地元-全国を結んで展開することが重要です。
     さらに、耐震問題では、近い将来(30年以内)に震度6以上の大地震が発生する確率が高い東海地震の震源域の真ん中に建つ浜岡原発は、緊急の問題です。東海地震は、最大でM8-8.5になることも予測されており中越沖地震の300倍もの巨大地震になる可能性もあります。1、2号機の廃炉という形で実現しましたが、代わりの大出力の6号機増設は、地震の危険性を考えると、原発震災の規模をさらに大きくする可能性があります。増設を認めることなく、残りの原発も巨大地震が起こる前に止めることが重要です。
     その他にも、六ヶ所再処理工場やもんじゅ、島根や志賀(石川県)などの各地の原発などで活断層と地震の問題が出ています。現在進められている耐震指針の見直しで各地の原発が再評価されています。それら原発と地震の問題は徹底的に追及しなければなりません。地震列島日本は、いま活動期でもあります。最悪の事態を引き起こす前に、危険な地域にある原発は早急に止めることが必要です。
  4. 2008年9月25日、原子力空母の横須賀母港化が強行されました。軍事のベールに包まれた40万kw級の原子炉が、安全性を不問にしたまま大都市の傍らに巨大な姿を出現することになりました。母港化によって安全性の問題が解決した訳でもありません。現在進められている米軍再編成によって、基地機能の強化とアジア太平洋からインド洋にかけて、空母機動部隊の軍事力の強化がすすんでいます。原子力空母の横須賀母港化撤回のたたかいは、首都圏の市民の命を守るだけでなくアジア・太平洋の民衆の命を守る上でも重要です。
  5. 今年は、高レベル放射性廃棄物問題が衆議院議員選挙以降に浮上することが予想されます。2006年の滋賀県余呉町に続き、2007年には高知県東洋町が誘致を拒否しました。その後も長崎県対馬市や青森県東通村や六ヶ所村、福島県楢葉町などでも誘致にむけた動きが続いています。「文献調査」にかかわる交付金が、2億1000万円から10億円(年間)に増額されるなど、自治体財政が危機に瀕している地域を候補地としてとり込もうする動きが活発化することが十分予想されます。超長期にわたる管理や安全性、世代間の問題など国民的議論や合意もないままに押しすすめられようとしている高レベル放射性廃棄物処分場問題は、このまますすめることを許してはなりません。緊急の課題としてとりくみの強化が求められています。一方で、原発先進国アメリカで、オバマ新政権は、高レベル放射性廃棄物のネバダ州ヤッカマウンテンの最終処分場建設計画に反対しています。
  6. 原発の新増設の動きに対応することも重要なたたかいです。今年はとくに、上関原発の新設の動きが大きな山場を迎えます。原発予定地の公有水面の埋め立てや原発の設置許可申請の提出など本格的建設に向けて中国電力は動き出しています。これに対して、これまでの地元のねばり強いたたかいの上に立って、上関原発問題を全国化するキャンペーンを今年は強化します。全国的な支援の力で、推進側の動きを押し返す必要があります。
     その他にも新規立地では、大間原発の問題があり、増設では川内原発3号機、そして浜岡原発6号機の動きも出てきました。電力需要が低迷しているなか、原子力産業の生き残りをかけて強引に新増設をはかろうとしています。これ以上原発を増やしてはなりません。地元の運動と連携して全国の運動としてとりくみを強化する必要があります。
  7. 地球温暖化に関連して「原発が地球温暖化対策の切り札」というようなキャンペーンがなされています。2.に既述の通り、とくにG8サミットのなかで、エネルギー外相会議や洞爺湖サミットでの地球温暖化と原発推進が叫ばれました。しかし、実際は原発を増やすことは、電気の需要に合わせて供給するために小回りのきく火力発電などを増やすことにつながります。むしろ原発に頼った温暖化対策は、本来行なうべき対策を遅らせ、むしろ温暖化をすすめてしまうといえるものです。そもそも放射能を生み出すことが、地球にやさしいとはとてもいえません。地球温暖化による被害も、放射能災害もない社会の構築が本来望まれるはずです。地球温暖化を防止するためにも、脱原発による「小エネルギー社会」の実現へむけて政策転換が求められています。分散型エネルギーとして自然エネルギーを積極的に拡大していくことが必要です。平和フォーラムとしてすすめてきた「エコロジー社会構築プロジェクト」が作成した脱原発に向けたエネルギー政策の検討成果を活かし、大胆な省エネルギー政策の推進と合わせて地域で再生可能エネルギーの具体的展開をはかることが必要です。
  8. 上記のような流れのなかで、今年は政権交代も予想され、変化の年でもあります。今年度の脱原発運動は、現地を中心としたたたかいを全国で支える態勢をつくることが求められています。同時にそれぞれのたたかいを結びつけ、運動を活性化(元気にさせる)させることが必要です。それぞれの運動に弾みをつけるために、大電力消費地であり原子力政策の決定がされる東京に、全国の脱原発やエネルギー、環境問題をとりくむさまざまな市民・団体の総結集をはかる全国集会を2009年10月3日に予定します。六ヶ所再処理工場やもんじゅなどの核燃料サイクルの危険性を訴え、地球温暖化に原発は役立たないことをそのなかで明らかにし、政策転換に結びつけていくことが重要です。1988年の脱原発2万人集会(東京)以来、首都圏で大きな脱原発集会をめざします。

1) エネルギー政策転換を求める全国集会のとりくみについて

  1. 2009年10月3日にエネルギー政策の転換を求める全国集会を東京・明治公園で行ないます。
  2. 集会に前後して省庁・事業者への申し入れ・交渉やシンポジウムなど行動も行ないます。

2) プルトニウム利用政策の転換を求めるとりくみ

  1. 再処理工場稼働阻止にむけて、地元青森との連携を強化しながら行ないます。
  2. プルサーマル計画の中止を求めて、佐賀、愛媛、静岡などを中心に連携を強化します。
  3. 「もんじゅ」の廃炉に向けたとりくみを強化し、全国集会を開催します。
  4. 核不拡散の立場から、再処理・プルトニウム生産の中止を訴える国際キャンペーンをとりくみます。

3) 原発震災に対するとりくみ

  1. 中越沖地震による柏崎刈羽原発の廃炉を求めます。とくに、7号機再開阻止に向けて運動を集中します。
  2. 浜岡原発をはじめ各地で原発震災問題の集会や学習会などをすすめ、各地の原子力防災のとりくみをすすめます。

4) 原発の新増設と老朽化原発をはじめとしたとりくみ

  1. 大間原発や上関原発などの新規立地や泊、川内、浜岡などの増設に対する反対運動を現地とともに全国の運動として広げていきます。
  2. 老朽化した原発の廃炉を求める運動をすすめます。
  3. JCO臨界事故へのとりくみ地元を中心とした、10年目にあたるJCO臨界事故の問題を風化させないとりくみとしての集会に協力します。
  4. 原発被曝労災問題へのとりくみを強化します。
  5. 原発・原子力施設立地県全国連絡会との連携を強化します。
  6. 国民保護における、原爆攻撃、原子力施設攻撃の問題点を強く訴えます。

5) 放射性廃棄物処分問題に対するとりくみ

  1. 高レベル放射性廃棄物の処分場を誘致させない運動を作っていきます。
  2. 中間貯蔵施設建設の動きについては、地元の反対運動と連携します。
  3. 放射能のスソ切り処分の問題点を知らせるために、国会議員への働きかけの強化と集会や学習会、リーフレットなどの作成で世論喚起を行ないます。

6) エネルギー政策など国政に対するとりくみ

  1. 脱原発に向けたさまざまな具体的制度・政策を確立するためにも、「原子力政策『転換』議員懇談会」などの動きとも連携し、院内外での運動を強化します。
     ※原子力空母の出入港・母港化についてのとりくみ方針は別項参照
     ※地球温暖化問題のとりくみ方針は別項参照
     ※放射線照射食品のとりくみ方針は別項参照
     ※JCO臨界事故10周年のとりくみ方針はヒバクシャ課題のとりくみ参照

10. 環境問題のとりくみ

  1. 環境問題は、地球温暖化や森林の減少と砂漠化、水の量と質の悪化、増え続ける廃棄物や有害化学物質など、多岐にわたっています。これらは、人口の都市集中や市場経済優先の産業活動、第一次産業の衰退などによって年々深刻化しています。とくに日本は、輸出主導の経済によって、世界中の資源を使いながら、国内外に環境悪化を引き起こしています。これまでの「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、「循環型社会」への転換が求められています。
     2007年に発表された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告は、21世紀末には世界の平均気温は最大6.4度も上昇するなどの警告を発しています。IPCC報告は、気温上昇を抑えるために、2020年に1990年比で40%もの温室効果ガスの大幅な削減を求めています。
     まず、2012年までのCO2などの削減を定めた「京都議定書」の着実な実行が求められています。また、その後の世界全体での大幅削減を実現するよう合意が必要になっています。それを決めるのが、2009年末にコペンハーゲンで予定されている気候変動枠組条約締約締約国会議(COP15)の会合です。これまで京都議定書への参加を拒否してきたアメリカが、オバマ政権に代わり、どのような姿勢を示すかが注目されます。また、中国などの発展途上国の方針も課題になっています。
     しかし、日本は2012年までに6%削減する目標があるにもかかわらず、逆に排出量が増加しています。これは、これまで政府として強力な対策をとらずに自主的なとりくみに任せてきたことに加え、森林吸収源対策が着実に進まない状況が続いてきたためです。削減効果のある具体的な政策を求めて運動をすすめることが重要です。また、温暖化対策として原発推進がすすめられようとしていることに強く反対していく必要があります。
     オバマ政権下のアメリカやヨーロッパ、中国などですすめられている自然エネルギーに対して、日本は積極的な推進政策をとろうとしていません。最近の石油価格高騰や、危険な原発、化石燃料資源に限界があるなかで、自然エネルギーを推進する法制度を早急に確立することが必要です。身近な地域資源を活用したバイオ燃料や風車、太陽光発電などの地域分散型のエネルギーの利用を推進することが必要です。また、地域においても、自治体と市民の連携を図り、温暖化対策をすすめることや、個々人のライフスタイルを見直し、エネルギー消費を減少させることが必要です。
  2. 環境および農山村を守るうえで、森林は重要な役割を果たしています。しかし、地球規模での森林の減少と劣化が進み、砂漠化や温暖化を加速させています。日本は世界有数の森林国であるにもかかわらず、大量の木材輸入により、木材自給率は約20%に止まっています。また、戦後植えられた1000万ヘクタールを超える人工林は、その多くがいまだ間伐等の施業を必要としていますが、長い間続いた木材価格の低迷などにより、森林所有者の施業意欲は減退し、木材生産や森林整備が実施されず放置される森林が増え、過疎化・高齢化に歯止めがかからず、山村の疲弊はますます深刻になっています。
     水・環境の源泉としての森林を見直し、温暖化防止などの森林の持つ多面的かつ公益的機能が発揮できるよう、抜本的な財政的裏付けをもった森林整備、木質バイオマス利用の促進、労働力対策などを求めることが喫緊の課題です。
     こうした状況に対し、政府は「森林・林業基本計画」を策定し、対策をすすめてきましたが、地球温暖化防止、林業労働力、国産材利用対策などの目標が達成できない状況であり、基本計画における具体的な実施が問われています。
     国際的には、違法伐採の問題や、WTO・FTA交渉での林産物の自由化・関税引き下げの動きに対処することも必要になっています。
     水の問題では、世界的な水不足、有害な化学物質や合成洗剤などによる河川や湖沼の汚染など、その質と量が大きな課題になっています。さらに、グローバリゼーションの進展のなかで、水の商品化、水道事業の民営化も進められています。健全な水循環を構築するとともに、水の公共性を維持することが必要です。また、農林業の衰退が水の質と量に影響を与えていることから、水道から河川、森林までの一体的な政策推進のための「水基本法」の制定に向けた運動を強めなければなりません。
     水質汚染に対する規制を強化することも必要です。汚染の発生責任の明確化、農林業での過剰な農薬や化学肥料、合成洗剤を含む排水の削減などが求められます。そのため、「化学物質政策基本法(仮称)」を制定して、化学物質の総合的管理を求めることも課題です。
  3. 日本が食料や木材を大量に輸入していることにより、国内の第一次産業の衰退を招くばかりか、膨大なエネルギーを消費し、水や環境の汚染を招いていることにも注目しなければなりません。日本が輸入している農産物などを生産するのに年間約640億立方メートルを超える水が使われています。これは、日本の農地の年間灌漑(かんがい)用水の量を上回るもので、日本の低い食料自給率は世界の水問題にも影響を与えているのです。
     また、膨大な飼料輸入による畜産経営によって、過剰な窒素が日本国内に堆積し、ブルーベビー症(乳児が重度の酸欠状態になる症状)や消化器系がん、糖尿病、アトピーなど健康障害を招き、逆に輸出国では土壌や養分の流出という事態を引き起こすという二重の環境汚染を招いています。さらに、輸入食料や木材の量と日本までの輸送距離を掛けた数値(フードマイレージやウッドマイレージ)を見ると、日本はアメリカや韓国の約3倍、フランスの9倍と異常に突出しています。この輸送にかかるエネルギーが温暖化など環境に影響を与えています。
     このように、自由貿易は世界的な環境悪化に拍車をかけるものとなっており、こうした面からも問い直しを進めなければなりません。
  4. 自然のサイクル、生態系と調和した第一次産業への転換も求められます。「有機農業推進法」に基づく施策や、生ゴミ、畜産糞尿、森林資源を活用したエネルギーなどへの転換など、地域の資源を活用した循環のとりくみを行政・生産者・市民一体となって進めることが重要です。これは食の安全とも結びつく課題としても重要です。また、こうした実践を通して、地域を学びの場とした環境・食農教育を拡大していくとりくみも必要です。
  5. 「第41回食とみどり、水を守る全国集会」は、「人間の安全保障」を基軸に、「循環型社会形成のとりくみ」、「食の安全」、「WTO・FTA交渉」、「食の安定、農林業問題」、「森林・水問題」など、食とみどり、水・環境を守る運動の集約の場として開催します。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 地球温暖化問題のとりくみ

  1. 温暖化防止の国内対策の推進を求めていきます。そのため、関係する市民団体と連携・協力し、企業などへの排出削減の義務づけを始め、森林の整備、温暖化対策のための税制(環境税)の導入など、削減効果のある具体的な政策を求めます。とくに、12月にコペンハーゲンで開かれるCOP15にむけた市民団体のキャンペーンに協力していきます。
  2. 自然(再生可能)エネルギー普及や省エネルギーのための法・制度の改正などを求めていきます。そのため、10月3日に開かれる「脱原発、エネルギー政策の転換」をテーマとした全国集会(10.3 NO NUKES FESTA 2009)にとりくみます。
  3. 各地域で環境問題にとりくむNGOと連携し、身近な資源を活用したバイオマスエネルギーや風力発電などの自然エネルギーのとりくみに協力していきます。

2) 森林・水問題などのとりくみ

  1. 森林の整備推進に向けた政策の充実を求めていきます。政府の「森林・林業基本計画」「地球温暖化防止森林吸収源対策」で定めた森林整備の確実な推進、地域材の利用促進、予算の拡充、再生可能な木質バイオマスの推進や、木材貿易自由化、違法伐採問題などについて、関係団体のとりくみを支援します。
  2. 水問題の世論形成を図り、水道から河川、森林までの一体的な政策推進のための「水基本法」の制定に向けて協力していきます。また、環境団体などと連携し、水中や環境中の化学物質に対する規制運動を強めていきます。とくに、化学物質全体の規制のため、市民団体などが進めている「化学物質政策基本法」の制定運動に協力していきます。
  3. 「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国集会」(2010年3月・埼玉)の開催に協力します。

3) 貿易自由化にともなう環境問題のとりくみ

  1. 自由貿易と環境問題の関連性(フードマイレージ、バーチャル・ウォーターなど)について教宣活動などで世論形成を図っていきます。
  2. 有害廃棄物の途上国への輸出を禁止するとともに、廃棄物の発生削減を最優先とし、国内循環を基本にした政策の推進を求めていきます。

4) 第一次産業の転換に対するとりくみ

  1. 有機農業の推進にむけ、自治体での施策の充実を求めてとりくみます。
  2. 地域の資源を活用した循環のとりくみを各地域で進めるとともに、環境・食農教育を拡大していきます。

5) 第41回食とみどり、水を守る全国集会の開催

  1. 食とみどり、水・環境を守る運動の集約の場として、「第41回食とみどり、水を守る全国集会」を島根県松江市で11月27日(金)-28日(土)に開催します。そのため、関係団体に呼びかけて実行委員会を作り、開催の準備を進めます。

11. 食の安全のとりくみ

  1. 食品の産地偽装や原料の偽装、賞味期限の改ざん、海外からの輸入食品の残留農薬、さらに輸入された汚染米の食用への転売などが相次ぎ、食の安全に対する不安・不信が高まっています。さらに、貿易の自由化を推進するため、輸入食品などに対する不十分な検査やチェック態勢も問題となっています。
     不正が続発してきた背景は、これまでの長年に渡って行なわれてきた偽装や改ざんなどが、最近の消費者の追求や内部告発制度の強化、食品安全行政の拡充などを背景として表面化してきたことがあり、その意味では消費者運動の成果の表れともいえます。
     これらの問題は単に個別企業による不祥事というだけではなく、表示制度の不備、罰則規定や監視体制の不十分性、そして大量の輸入食料に頼る日本の食料政策など構造的な要因が重なっているものといえます。また、規制緩和による弊害や、食品表示を含め、情報を管轄する省庁が多岐に渡るという、縦割り行政の弊害を指摘する声も高まっています。
     一昨年11月に福田前首相は「消費者行政の一元化」を打ちだし、「消費者庁」の創設が掲げられました。消費者団体からは、消費者の立場に立った食の安全確保と食品表示の一元化や監督強化、輸入農産物・食品に対する検査・検疫の徹底などの実効性確保が求められています。
  2. 牛海綿状脳症(BSE)や遺伝子組み換え(GM)、放射線照射食品、体細胞クローンなどの新規食品技術などをめぐる行政への不信も高まっています。BSEをめぐっては、発生メカニズムがまだ解明されていないなかでは、米国産牛肉の輸入条件の緩和の動きや国内の検査体制、原料原産地表示の義務化に対するとりくみが重要になっています。
     食品に放射線を照射して殺菌や殺虫、発芽防止などを行なう照射食品問題は、政府の原子力委員会を中心に、原子力推進行政と一体となって進められつつあります。照射食品は、発ガン性のある物質が生成されるという安全性の他、照射検知の技術問題、社会的有用性などさまざまな問題が指摘されています。今後も、厚生労働省や関連業界、消費者などへの働きかけを強めて反対運動を行なっていく必要があります。
     遺伝子組み換え(GM)については、食料需給のひっ迫や穀物のバイオ燃料転換を背景に、世界的に拡大を続けています。しかし、その安全性や環境への拡散問題など、十分な対策がないなかでの輸入拡大や国内でのGM農作物の作付けに消費者団体などの反対運動が続けられています。さらに、現在、表示義務がない食用油や醤油も含めて、GM使用の全面的表示を求めていくことも課題です。
     皮膚などの体細胞から核をとり出し、卵細胞に移植することにより同一の遺伝子をもつ体細胞クローン技術を使った家畜由来の食品について、政府は流通を認めようとしていますが、体細胞クローン技術によって生まれた牛は死産や病気での死亡率も高いなど、多数の問題点が指摘されています。それをミルクや食肉など食品に用いることについて、徹底した議論や表示などの対策が必要です。
  3. 食の安全問題は、国内での食料自給の低下がもたらしているものでもあります。日本は世界最大の食料純輸入国であり、食料自給率(カロリーベース)は40%と、依然として低い水準のまま、加工食品も含めて、アメリカや中国、東南アジア諸国などに依存しています。こうしたことから、食の安全確保と自給率の向上を結びつけたとりくみが一段と重要になっています。
     自給率の低下とともに、食のグローバル化が進み、輸入農産物を多用した外食や、弁当などの中食・加工食品が急増しています。その結果、世界有数の長寿国を形成してきた日本人の食生活の急速な欧米化が広がり、それによると見られる生活習慣病やガン、アレルギーが急増しています。その一方、膨大な食べ残しも発生して環境へ悪影響を及ぼしています。
  4. 食の安全を図るためにも、これまでの政策を検証し、自給率の低い作物の生産拡大や農家の経営安定のための支援策を求める運動が重要です。さらに、地域・自治体での食の安全施策への監視・提言運動もますます重要となっています。
     消費する側からの実践も課題です。学校や地域での子どもたちの食べ方が問題となり、「食育(食教育)」が注目されています。食の背景にある農業まで含めた教育とともに、学校給食に地場農産物や米を使う運動の拡大が必要です。また、子どもだけでなく、地域全体での地産地消運動など、食べ方を変えていく具体的な実践が求められています。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) 食の安全行政のとりくみ

  1. 食品偽装や輸入食品の安全性などに対する対策の徹底、表示の改善を求めていきます。とくに表示制度の一元化、原料・原産地表示の徹底・拡大などを要求して、消費者団体などとともにとりくみます。
  2. 「食品安全委員会」に対して意見反映を図るため、意見書の提出や委員との意見交換をすすめます。また、「食の安全・監視市民委員会」などの活動に協力して、政府や企業などへの申し入れや集会、学習会などを行なっていきます。
  3. 各地域において、食品安全条例の制定などを求める運動を広めていきます。

2) BSEや新規食品技術に対するとりくみ

  1. BSEにともなう、米国が要求している輸入条件の緩和(現在の20ヶ月齢以下の牛の年齢制限撤廃)を認めないように求めていきます。また、国内において引き続き全頭検査を継続するよう、各自治体への要請運動にとりくみます。牛肉およびそのすべての加工品の販売、外食、中食において、原料・原産地表示を義務化することを求めていきます。
  2. 「照射食品反対連絡会」や原水禁と連携し、照射食品を認めない運動をすすめます。そのため、食品関連業界などに照射食品を扱わないよう働きかけるとともに、消費者へのアピール活動などをすすめます。
  3. 遺伝子組み換え食品については、国内における商業的作付けはしないことを求めるとともに、表示制度の改善を要求していきます。
  4. 体細胞クローン家畜由来の食品の流通を認めることに対し、徹底した議論、説明を求めます。また、流通を認める場合でも、適切な表示を行なうよう求めます。

3) 食育(食教育)の推進のとりくみ

  1. 各地域で食育(食教育)推進のための条例作りなどの具体的施策を求める運動をすすめます。
  2. 学校給食の自校調理方式、栄養教諭制度の推進を求めていきます。また、学校給食に地場の農産物や米を使う運動や、地域の食材の見直し、地域内の安全な生産物の消費をすすめる地産地消運動などの具体的な実践をすすめます。

12. WTO・FTA交渉、食の安定、農林業問題のとりくみ

  1. 世界には現在も9億人以上の食料不足に苦しむ人びとがいるなかで、世界的な食料需給のひっ迫傾向が続いています。その背景は、a)中国やインドなどの人口超大国の経済発展による食料需要増大、b)世界的なバイオ燃料の原料としての穀物の需要増大、c)地球規模の気候変動による干ばつなどの多発などが上げられています。このため、穀物需給のひっ迫、価格の上昇は今後も中長期的に続くと予想されています。さらに、農地面積の縮小、水不足の深刻化、土壌の劣化によって、食料生産が人口増加に追いつかない国が途上国を中心に増えています。
     世界は明らかに食料不足時代に入っています。地球規模での食料問題を解決するためには、自由貿易の拡大ではなく、各国が生産資源を最大限活用して自給率を高めながら、共生・共存できる「新たな貿易ルール」が必要となっています。
  2. その一方、WTO(世界貿易機関)やFTA(二国間・多国間自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)による貿易自由化交渉が進められています。WTO交渉は、2008年12月に農業や非農産品分野を中心にインド・中国とアメリカの対立から決裂しました。米国の政権交代などもあり、今後の交渉は不透明のままです。
     WTOが停滞するなかで、FTA交渉の推進が図られようとしており、農業大国のオーストラリアや東南アジア諸国をはじめ、今後はEUやアメリカとの交渉まで主張されています。FTAはWTO以上に市場経済の論理をむき出しにして自由貿易を進めようとするものです。
     いま、世界の市民、消費者、生産者からは自由貿易一辺倒のあり方への批判が高まっています。これまで自由化の恩恵が米国などの一握りの国にしかもたらされず、多くの途上国の農業や他の産業が破壊されてきたためです。そうした声を無視し、一層の自由化を強要することは、世界の食料・農業問題の解決に逆行するものです。
  3. 世界的な食料危機を前に、国内食料自給率の向上と農業の再建が求められています。しかし、日本農業は、輸入の拡大や価格の低下、減反・減産、耕作放棄の増加、担い手不足、高齢化が進むなかで、年々縮小を続けています。加えて、最近の燃料や飼料などの生産コストの上昇が続き、大規模層を中心に、生産の継続が困難となっています。食料の安定確保にも大きな影響が出ることは必至です。
     そうしたなかで実施されている新たな「水田・畑作経営所得安定対策」は、対象を限定し、中小農家や山間・過疎地などが切り捨てられることになりかねないことから、徹底した検証が必要です。農林業は食料や木材の生産・供給だけでなく、国土や環境の保全、景観の形成、そして地域社会の維持や雇用の場の確保など多様な役割を果たしています。この多面的機能は、それぞれの地域において持続的に農林業を営むことによって発揮されるものであり、少数の大規模農家だけで維持できるものではありません。
  4. 農政の基本となっている「食料・農業・農村基本法」に基づき、「食料・農業・農村基本計画」が策定され、おおむね5年ごとに見直しが行われています。現行の基本計画が2005年の策定から約4年を経過すること、また、策定以降の食料・農業・農村をめぐる情勢が大きく変化していることから、政府は、新たな基本計画の検討を開始しています。見直しは2010年に決定する予定です。
     基本計画の検討視点として、a)食料をめぐる国際情勢の変化に対応した農地・農業用水、担い手、技術などの確保と持続可能な農業の確立による食料自給力の強化、b)食の安全への関心の高まりや食に対する安心感を求める消費者の要請に応えた国民の食生活を支える生産から流通・加工・消費に至る食料供給体制の構築、c)過疎化、高齢化による集落機能の低下、都市と農村の格差の拡大に対応した国民参加による地域資源の活用や雇用の創出、農村環境の保全、都市との連携・協力などを通じた農村地域の活性化、などがあげられています。
  5. これまでの規模拡大・効率化一辺倒の政策は、食の安全への不安を引き起こす一方で、自給率の向上に結びついてきませんでした。いまこそ、食の安全や環境問題などに配慮した食料・農業・農村政策への転換を求めていくことが重要です。そのためには、農林水産業を資源循環型社会の基軸として位置づけ、それを評価する運動が必要になっています。欧米などで行なわれている直接所得補償制度、農林水産業への新規就農・就労者の支援策などを求める運動が必要です。
     今年の衆議院総選挙では、食料・農林業政策も大きな争点となることから、自給率向上や農林業再建に向けた抜本的な政策の転換を求めてとりくむことが必要です。
     また、地域段階でも、食の安全や農林水産業の振興に向けた条例作りや計画の着実な実施が必要です。さらに、消費者と結んで安全な食を作る運動、水田での飼料用稲の作付け、遺伝子組み換えに対抗する大豆畑トラスト運動、田畑の生き物調査活動、子どもたちも参加するアジア・アフリカ支援米運動の拡大など、さまざまなとりくみを広げていくことが大切です。

これらを踏まえて、次のようなとりくみをすすめます。

1) WTO・FTA交渉へのとりくみ

  1. 自由貿易交渉では、農業分野を中心として、関係団体とともに政府要請や、集会・学習会・パンフ作成などのキャンペーン活動を行ないます。
  2. FTAについては、とくにオーストラリアとの交渉は、日本農業と食料に大きな影響をもたらすことから、重要農産物を交渉から除外することなどを求めて集会、学習会、政府要請などの活動をすすめます。
  3. アジアを中心とした関係する各国のNGO、農民との連携・交流を深めます。
  4. グローバリゼーション、新自由主義がもたらした、平和、環境、生活、労働などに対する影響などを検証し、それらをただすとりくみを関係団体などとすすめます。

2) 食の安定・農林水産業問題のとりくみ

  1. 食料や林産物の自給率向上に向け、直接支払い制度や新規就農・就労者の支援策を求め、農民団体などと共闘していきます。また、政策の転換を求めて、政府や政党などへの要請を行ないます。
  2. 「食料・農業・農村基本計画」の見直しにあたっては、食料自給率の向上、幅広い担い手の育成、農地の確保、食の安全・安心を支える食料供給体制が構築されるよう求めていきます。また、広く消費者・市民、生産者の意見を反映されるよう要求します。そのため、各地域で意見・要求を集約し、政府への要請行動などにとりくみます。
  3. 各地域における食料自給率や地産地消のとりくみ目標の設定を要求していきます。さらに、食の安全や農林水産業の振興に向けた条例作りをはじめ、学校給食に地場の農産物を使用する運動、地域資源を活かしたバイオマス運動や間伐材の利用など、さまざまなとりくみを広げていきます。
  4. 子どもや市民を中心としたアジア・アフリカ支援米作付け運動や森林・林業の視察・体験、農林産品フェスティバルなどを通じ、食料問題や農林水産業の多面的機能を訴える機会を作っていきます。とくに、支援米運動では小学校の総合学習やイベントなどとの結合、地域連合との共同行動など、地域に広げてとりくみます。

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