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2010年度 主な課題

2010年4月21日

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以下は2010年4月21日に開かれたフォーラム平和・人権・環境第12回総会において決定された2009年度総括と2010年度運動方針です。

1. 運動の展開にあたって

1) 特徴的な情勢について

  1. 三党連立政権誕生
     2009年8月30日の衆議院総選挙において、民主党は308人を当選させるという歴史的勝利を飾りました。民主党・社民党・国民新党は、「政権交代という民意に従い、国民の負託に応えることを確認する」とする連立合意を結び、9月16日、三党連立新政権を発足させました。これは、1955年の保守合同以来の本格的政権交代と言えます。このことが、総選挙の結果として国民の選択によって成し遂げられたことは、日本の民主主義の現時点での到達点として重要です。
     
  2. 不透明な憲法改正の動向
     2006年の教育基本法改悪から一貫して危機的状況にあった憲法改悪の動きは、政権交代によって、止まっているかのようにみえます。しかし、憲法審査会の始動をはじめとして改憲手続きへのプロセスは残ったままであり、民主党は、憲法改正について「2005年にまとめた『憲法提言』をもとに自由闊達な憲法論議を行」うとしています。平和主義・人権尊重・民主主義の憲法理念を揺るぎないものにするとりくみが求められます。また、与党内には「集団的自衛権の行使」に言及する声もあり、解釈改憲の方向も懸念されます。
     
  3. 孤立化する市民生活
     民主党は「生活が一番」を合い言葉に衆議院総選挙を闘いました。新自由主義を基本とした旧政権の政策は、公共サービスの低下と所得格差を増大させ、特に地方経済の衰退を招きました。そのようななかで、新政権に期待するものは大きいと言えます。社会全体が個人間の関係性の希薄化の傾向を強め、派遣村やネットカフェ難民、3万人を超える自殺者に象徴されるような個人の孤立化を招いています。「生命」を基本とした人権の問題として極めてきびしい状況にあり、雇用と生活を守るとりくみは、人権問題としてとらえるべき状況にあります。
     
  4. きびしさ増す、オバマ新政権
     米国のオバマ大統領は、政権発足から1年をすぎました。プラハ演説やノーベル平和賞受賞などといった国際世論の期待感も高く、対話と協調の外交路線は評価できます。しかし、国内では失業率も発足時より悪化し、経済対策も大きな成果を上げずにいます。また、アフガン情勢も悪化の一途をたどっています。厭戦感と失望感の広がりのなかで、今年1月の上院議員補欠選挙において民主党が敗北するなど、きびしい政治情勢に直面しています。
     
  5. 情勢は核兵器廃絶へ
     米国オバマ大統領が「核兵器を使用した国の道義的責任」に触れ、核兵器廃絶に言及したプラハ演説以降、米ロ両国の間で第一次戦略核兵器削減条約(STARTⅠ)の後継条約が2010年4月8日に調印されるなど、核兵器廃絶の流れがすすんでいます。しかし一方で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の2度目の核実験、イランのウラン濃縮技術の開発、NPT条約未加盟国のインドの核保有が認められるなど、核拡散の動きが広がっています。2010年5月には、NPT再検討会議が開催の予定となっており、核廃絶へ、より踏み込んだ議論ととりくみが要請されています。
     新政権は、旧政権における米国との核密約についての調査をおこない、その実態が明らかになりました。日本の国是とする「非核三原則」の法制化による、より厳格な姿勢が求められます。
     
  6. 普天間・辺野古問題5月決着へ
     日米両政府が締結した「在沖米海兵隊グアム移転協定」および「SACO普天間基地返還合意」にともなう新基地建設問題について、新政権の政策合意では、「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と表現されました。米国側は「辺野古案は日米の約束であり、変更は許されない」とする強い圧力をかけていますが、米軍再編の一環である米第1軍団司令部の神奈川県キャンプ座間移駐は撤回されており、再編も情勢のなかで常に見直しの対象であることを示唆しています。
     鳩山首相は、第173回国会の所信表明演説で「沖縄の方々が背負ってこられた負担、苦しみや悲しみに十分に思いをいたし、地元の皆さまの思いをしっかりと受けとめながら、真剣にとりくんでまいります」としました。移転先の見直しを、5月をめどに提案するとしています。
     2010年1月24日、名護市長選挙がおこなわれ、新基地建設反対を明確に主張した稲嶺進さんが当選しました。新政権が辺野古への基地建設の見直しを模索していることやこの間の北部振興策が目にみえる効果を上げていないことなどが影響したと思われます。地元市長が反対の立場に立つこととなったため、沖縄県知事の新基地建設の主張も崩れることとなりました。普天間基地の即時返還と辺野古新基地建設撤回に向けた、沖縄県民の意志結集がはかられています。新しい日米関係の構築のためにも、その実現が望まれます。
     
  7. 日米安保50年、新しい日米関係を!
     今年で1960年の新日米安保条約締結から、50年を経過します。マスコミの多くは辺野古新基地建設問題への新政権の対応について、「日米同盟の危機」といった扇情的記事を確実な根拠もなく掲載してきました。東西冷戦のなかで締結された日米安保条約に基づく日米関係は、東アジアを重視する新政権のもと、新たな時代を迎えたと言えます。核の傘や強大な軍事力に頼る安全保障のあり方は、グローバル化による国境の希薄化と国際的テロが懸念されるなかで、変わらざるを得ない情勢と言えます。非軍事による、より広範な地域の安全保障のしくみが要求されています。
     
  8. 新しい安全保障、非軍事国際貢献活動へ
     新政権は、新しい防衛大綱の策定を予定しています。専守防衛の枠組みのなかで、2010年度予算では、ミサイル防衛計画(MD)が認められることとなっています。MDについては、政府内でも、その有効性に疑問の声があがっています。日本の安全保障をどう考えるかということが問われることとなります。新政権の下でも、米国や国連の要請による自衛隊の海外出動が懸念されます。平和フォーラムが提起する「平和基本法」の論議をすすめ、非軍事による民生支援などを中心とした国際貢献のとりくみをすすめることが要請されています。
     
  9. 解決すべき課題多い東アジア関係
     朝鮮半島を植民地化した1910年の韓国併合条約の強制締結から100年がたちました。しかし、靖国問題や歴史教科書問題など、日本政府の歴史認識を問われる課題は依然として解決されず、戦後補償も進展していません。日本と東アジア諸国に横たわる課題は大きいと言えます。
     2006年の安倍晋三首相(当時)と胡錦濤中国国家主席との合意ですすめられてきた「日中歴史共同研究」は、2010年1月31日報告書が発表されました。両国の見解には相違点はあるものの、日中戦争の項では、日本側が「中国に深い傷跡を残したが原因の大半は日本側がつくった」とし、盧溝橋の発砲事件も両国とも偶発的としながらも、日本側から戦争に突入していく点では一致しています。被害者数にはいまだ隔たりはありますが、南京事件での日本軍の強姦・略奪・放火などの事実については異論がありません。相互の歴史認識の共通理解をつくり将来の豊かな関係性を構築するためにも、さらなるとりくみが必要とされています。
     一時中断していた6カ国協議は、米国や中国の外交努力によって復活のきざしもみえてきています。しかし日本は新政権発足後も、北朝鮮に対する制裁措置を継続し、2002年の「日朝ピョンヤン宣言」で合意した国交回復への努力はみえません。新政権は、東アジア共同体の構想をかかげ、米国一辺倒であった関係の転換を提起しています。制裁解除の実施と対話を求める努力が重要となっています。
     
  10. 歴史歪曲教科書、横浜でも採択される
     沖縄戦の集団死への日本軍関与を否定した2007年の教科書検定意見の根拠となった「大江・岩波沖縄戦裁判」では、地裁・高裁で「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」側敗訴の判決が下されました。根拠は大きく揺らいでいますが、文科省は依然として検定意見の撤回には応じていません。
     2010年から2011年度使用教科書の採択において、横浜市や愛媛県今治市・上島町で新たに歴史歪曲教科書が採択されました。政権交代後も広がる歴史歪曲教科書は問題です。1995年の村山首相談話が政府の公式見解とされているなかにあって、歴史観のダブルスタンダードは許されません。
     愛国心と公共への奉仕が強調された2006年改悪の教育基本法のもとで、新しい指導要領に基づく教科書検定・採択がすすみます。歴史歪曲教科書への対応が求められます。
     
  11. 人権政策の提案、早急な政権内合意を
     世界では、国際人権規約のほか、人種差別撤廃や女性、子ども、移住者、障碍者、死刑廃止など各分野におよぶ30の国際人権条約が積み上げられたほか、さまざまな分野で人権確立がすすめられてきました。しかし、日本は12の条約に加入したにすぎません。批准した条約も留保や未批准部分があり、人権侵害の被害者に対する救済制度は世界水準から遅れています。新政権は第174回国会において、労働者派遣法改正案、永住外国人地方参政権付与法案、取調べ可視化法案、夫婦別姓法案など人権関連法案の提出を予定していますが、与党内部においてまだ異論もあり、先行きは不透明な状況です。
     自民党政権においては、日本の人権状況は低いレベルに抑えられてきました。新政権の下で、人権救済を専門に扱う独立性の高い行政機関を実効性あるものとして法制度化することや、差別を禁止・処罰する法律の制定が必要となっています。国際水準と国内状況のギャップを埋めるとりくみが要請されています。グローバル化がすすむなかで、人権のグローバルスタンダードを確立するためにも、とりくみを強化することが必要です。
     
  12. 再生可能なエネルギー中心へ
     オバマ米新大統領は、就任にあたって「グリーンニューディール政策」を提唱し、太陽光発電などの再生可能なエネルギー中心の社会づくりとそのことによる雇用の創出を提唱しました。再生可能なエネルギーへの移行に積極的なEU諸国は、2020年までに総エネルギーの20%を太陽光や風力などによってまかなう計画をかかげています。世界のエネルギー政策は、脱原子力・再生可能なエネルギー優先へと変化しつつあります。日本国内においても、新政権が太陽光発電の固定買い取り制度を導入するなど、再生可能なエネルギーへの国民的関心が高まっています。
     
  13. 破たんする核燃料サイクル計画
     高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年のナトリウム漏出事故以来、稼動することがないまま膨大な予算を浪費してきました。六ヶ所再処理工場においては、ガラス固化体の試験でトラブルが発生し、工場稼動のめどが立っていません。「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場などの核燃料サイクルシステム計画は、現時点で破たんしたと言わざるを得ない状況にあります。「もんじゅ」再稼動の動きは、2010年6月に福井市で開催予定のアジア太平洋経済協力(APEC)エネルギー大臣会合開催にあわせた政治的判断が優先されているとの指摘もあります。危険な核燃料サイクルシステム計画を放棄し、再生可能な自然エネルギーを中心としたエネルギー政策へ転換することが求められています。
     
  14. 危険なプルサーマル計画
     2009年12月2日、九州電力は、玄海原発3号機において、MOX燃料(使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合酸化物による燃料)による国内初のプルサーマル発電を強行しました。また、四国電力伊方原発3号機でも実施されました。
     今年中に中部電力浜岡原発4号機、関西電力高浜原発3・4号機での実施が予定され、2015年までには15~18基の原発でプルサーマルが実施される計画となっています。危険な計画を、使用済みMOX燃料の処分方法も未定のまま推進することの背景には、核燃料サイクルシステムの遅れ、増加する余剰プルトニウムと核拡散の問題などがあります。
     経済産業省は、プルサーマルに同意した自治体に対して支払う、最大30億円の交付金を新設することを関係自治体に通知しました(2010年2月1日)。2010年7月までに同意すると30億円、その後は時の経過に対応し額が減少するというものです。このような、地方に対して交付金を好餌として原発政策を押しつける政治手法は、米軍基地建設やダム建設などにおいて批判されてきたもので、決して地方振興の役に立ちません。このような政治手法からの脱却が求められていることを忘れてはなりません。
     
  15. 低迷する食料自給率
     日本の食料自給率は40%程度を推移し、その多くを輸入に頼ることとなり、食の安全と安定確保が課題となっています。第一次産業の就業人口は5%を割り込み、その低下に歯止めがかかりません。また担い手の高齢化がすすみ、後継問題は深刻です。さらに、農水産物などの価格が低迷するなか、所得補償も困難な状況となっています。新政権は、農業などの従事者への「戸別所得補償制度」の導入を提起しています。農山漁村再生のとりくみは、食料自給率向上や雇用の創出の観点からも喫緊の課題となっています。
     
  16. COP15乏しい成果
     低炭素社会に向けた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、2009年12月、コペンハーゲンで開催されました。参加各国の対立によって、合意には法的拘束力を欠くこととなり、不満足な内容となりました。主要排出国55ヵ国は、2020年までの中期目標を1月末までに条約事務局に提出しました。主要排出国が排出削減を国際社会に正式に約束したことで、削減への一定の効力が期待できます。しかし新興国側は「目標はあくまで自主的なもの」としており、第16回締約国会議(COP16)で新興国のとりくみを含む次期の法的枠組みの成立については不透明なものとなっています。
     日本は中期目標を2020年までに90年比25%削減として提出しました。地球温暖化防止に対する新政権の意欲(いわゆる「鳩山イニシアティブ」)は評価できます。しかし一方で、発表された地球温暖化対策基本法案は原発活用論などの問題も含まれています。
     
  17. 「人間の安全保障」国連計画すすまず
     グローバル化のすすむ世界において、国連は「人間の安全保障」の考えに基づいて、極度の貧困と飢餓の撲滅、普遍的な初等教育の達成、幼児死亡率の引き下げ、環境の持続可能性の確保など8項目からなる「ミレニアム開発目標(MDGs)」を提起していますが、2015年の予定期間内での実現はほぼ不可能となっています。現在、世界では10億人を超える人々が飢餓の恐怖にさらされています。米国の金融危機から端を発した経済恐慌は、新自由主義の行き詰まりを明確にしました。行き過ぎた市場経済優先は世界の格差をさらに拡大していきます。今後、世界では食料や水などの争奪が戦争の原因となるとの指摘もあり、地球規模での資源の共有と再分配へのとりくみが、重要な課題となっています。
     
  18. 食の安全追求を、消費者庁創設
     放射線照射食品、遺伝子組み換え(GM)食品、クローン動物由来食品、牛海綿状脳症(BSE)問題など、食の安全が問われる状況があります。また、産地や原料の偽装、輸入食品や特定保健用食品の安全性など、食をめぐる不安・不信がつづいています。2009年9月、「消費者行政の一元化」をめざすとして、「消費者庁」と監視機能をもつ第三者機関「消費者委員会」が創設されました。消費者の立場に立って、食の安全性を徹底して追求する行政のあり方が求められています。

2) とりくみの基本スタンス

  1. 新政権下におけるとりくみ
     平和フォーラムは、2009年に結成10年を迎えました。とりくみの基本的スタンスである「人間の安全保障」の実現、とりわけ日本国憲法の理念の実現に向けて、2009年9月の新政権の発足後、基本的により可能性が広がったとの見地から、平和フォーラムは以下の点を踏まえ、めざす政策実現に向けて全力でとりくむことを確認してきました。さらなる運動の展開を追求していくことが重要です。
      1.旧来の勢力の抵抗と巻き返しが必至であること
      2.連立政権を支持すること
      3.従来の抵抗・対決型から政策実現型へ運動の組み立て方を転換すること
      4.これまでの平和フォーラムの方針を堅持し、新政権に対して政策の転換や充実を求めていくこと
     戦後初とも言える政権交代のなかで、連立与党は多くの場面で試行錯誤を繰り返しています。旧来の政権からひきついだ政策には、与党内での議論が追いついていない状況も散見されます。運動組織ではそのことが失望感につながる場合があります。私たちは、長期的視野に立ってめざす方向をつくり上げていかなくてはならないと考えます。その意味では、新政権において政策を共有できる民主リベラルの勢力と協力・連携し、中・長期的に、その勢力の拡大と平和フォーラムのとりくみの共有化をはかることが重要な課題となります。
     
  2. 連帯と運動の広がりを求めるとりくみ
     2008年7月の「原子力空母の横須賀母港化を許さない全国集会」において、平和フォーラムは結成以来最高の1万5千人を全国から結集して、運動を展開しました。現地実行委員会の設置と全国オルグの実施などのとりくみの成果と、平和運動への中央組織・地方運動組織の理解の深まりがありました。2009年10月の原子力政策の転換を迫る「NO NUKES FESTA 2009」においても、衆議院総選挙後の困難な時期にもかかわらず全国から7,000人の結集が得られました。今年1月30日の「チェンジ日米関係! 普天間基地はいらない・辺野古新基地建設を許さない全国集会」にも、6,000人が結集しています。この間、市民の方々の集会参加が目立っています。一方で、自民党政権の下では困難であった人権課題も動きを見せ、これまでねばり強く運動を展開してきた市民や組織がとりくみを活発化しています。イラク戦争以降のアフガンやパレスチナの実態などへの厭戦感の広がり、米国のオバマ新大統領や新政権の鳩山首相に象徴される平和や民主主義実現の期待感、加えて政権交代を実現した市民社会の高揚が背景にあります。平和フォーラムは、この動きの結集軸として、市民社会の要求を新政権内で実現していくためのとりくみを強化していきます。
     原水禁世界大会のとりくみでは、連合・核禁会議と連帯して核兵器廃絶へのとりくみをすすめてきました。2010年5月には、5年ごとに開催されてきたNPT(核不拡散条約)再検討会議が開催予定となっており、2009年5月のキックオフ集会以降、街頭行動も含めて「核兵器廃絶1000万署名」にとりくんできました。NPT再検討会議の席上に届けるとともに、オバマ大統領のプラハ演説以降の核廃絶の機運のなかで連帯を強化しさらなるとりくみが求められています。平和実現に向けて多くの課題で議論を深め連帯した運動を展開することが求められます。
     
  3. 2010年をめぐる重点的とりくみ
  1. 新しい米国・東アジア諸国との関係構築を求めるとりくみ
     2010年は、新日米安全保障条約(60年安保)から50年の節目となります。東西冷戦と朝鮮半島の南北分断など、第2次世界大戦後の東西対立構造のなかでの日米関係とは大きく異なり、東西対立の融解のなか、国境を越えて人々が交流するグローバル化した世界では、自ずと各国間の関係性の再構築が求められています。平和フォーラムは、「武力で平和はつくれない」ことを基本に、非軍事的構想に基づいた「安全保障」を求めてとりくみます。また、そのことを基本に「新防衛大綱」策定の問題にもとりくみます。
     すすむ米軍再編については、新しい日米関係についての論議を優先しつつ、基地の縮小・撤去、地位協定の改定を基軸にすすめることが重要です。その意味で、普天間基地即時返還、辺野古新基地建設撤回の実現は喫緊の課題です。
     一方、韓国併合条約締結、朝鮮半島の植民地化から100年が経過します。この重要な節目を、東アジアとの友好関係の構築の機会としなくてはなりません。新政権が東アジア重視の政策を提唱していることを踏まえ、戦後問題を精算しアジア外交の新しい地平を切り開くことが重要です。侵略戦争や植民地支配への反省にたった国家的歴史観の構築や戦後補償や靖国問題の解決、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化など、平和フォーラムはこれらの課題に重点的にとりくみます。
     
  2. 再生可能なエネルギー中心に政策転換を求めるとりくみ
     オバマ米大統領の「グリーンニューディール政策」の提唱から、環境を基軸に再生可能なエネルギー関連するとりくみが世界で注目されていますが、新政権は、将来のプルトニウム利用を基本とした原子力エネルギー中心の旧来の政策に固執しています。平和フォーラム・原水禁は「核と人類は共存できない」との理念を基本に、原子力発電、とくにプルトニウムを使用する核燃料サイクルシステム計画の問題点について指摘し、計画の推進に反対してとりくんできました。再生可能なエネルギーの現状と破たんしている核燃料サイクルシステム計画を見据え、再生可能なエネルギーを中心にした政策への転換を求めることを重点にとりくみをすすめます。
     
  3. 人権の世界基準を求めるとりくみ
     新政権は、旧政権が果たし得なかった人権課題について、その実現に向けた議論をすすめています。取調べ可視化や夫婦別姓の課題、永住外国人地方参政権などグローバルスタンダードの確立に向けたとりくみを強化しなくてはなりません。旧政権の下では国際人権条約の批准は進展しませんでした。世界に開かれた日本社会の構築のためにも、運動の展開をすすめることが重要です。

2. 平和・人権・民主主義の憲法理念の実現をめざすとりくみ

  1. 憲法改悪阻止に向けたとりくみ
     平和フォーラムは、憲法の前文・第9条の平和主義、第3章「基本的人権」や第10章「最高法規」で定めた憲法の重要部分の改悪に反対するとともに、憲法理念の実現をめざすことに基本的なスタンスをおき、東北アジアの平和に向けたとりくみや、人々の「命」や生活を重視する「人間の安全保障」の具体化をめざしてきました。そして、改憲手続法の見直しをはかること、米軍再編などとかかわりの深い「集団的自衛権」の行使に向けたなし崩し的な解釈改憲を許さないこと、そのためにも政権交代させることに、当面する焦点をあてて、「武力で平和はつくれない! 9条キャンペーン」を各地ですすめてきました。
     全国各地では、5月3日を中心とした5月の憲法月間に東京の「政権交代・生存権・司法をめぐって憲法を語る」をテーマにした「施行62周年憲法記念日集会」をはじめとした集会・行動をとりくんだほか、「9の日」などの定例や節目の日のとりくみを総選挙の動きも踏まえながらおこないました。
     2009年9月に誕生した鳩山新政権は、政権発足に先立つ「連立政権樹立にあたっての政策合意」で、「憲法」について、「唯一の被爆国として、日本国憲法の『平和主義』をはじめ『国民主権』『基本的人権の尊重』の三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と明記しました。
     
  2. 「改憲手続法」「集団的自衛権」をめぐって
     2010年5月に施行される「改憲手続法」については、自公政権与党が2009年6月に衆議院で憲法審査会規程の採決を強行し、これに抗議打電行動をとりくみました(2009年6月10日平F発第22号)。政権交代後、内閣特命担当大臣である福島社民党党首は憲法理念を実現する第46回大会のあいさつで、「社民党が連立政権の一員である限り憲法審査会は動かさない」と明言しており、院内では動いていません。しかし、「改憲手続法」は5月18日に施行されることとなり、憲法改正のプロセスは成立します。新憲法制定を主張する動きも活発化している中で、参議院特別委員会での18項目特別決議などを活かし、法の見直しを求めるとりくみが重要となります。
     また、総務省は施行に向けて、2009年度には50億円近くの「国民投票制度準備等関係経費」を予算化し、大量のリーフレットやポスターを作成して宣伝したり、投票人名簿のシステム構築をすすめ、主権者の意思を無視した既成事実化がはかられましたが、2010年にも減額したとはいえ21億円を概算要求し、先の事業仕分けの対象とはなりませんでした。既成事実化の動きを中止させなければなりません。
     「集団的自衛権」の行使については、鳩山首相は「現政権で考え方を変えるつもりはない」と明言しました。しかし一方で、平野官房長官が変更の可能性に言及したことは問題です。憲法理念に基づいて、対話と協調、外交を軸とした政治への転換を実現させるためにも、「集団的自衛権の行使は許されない」とする政府見解を変更させてはなりません。
     
  3. 「平和基本法」をめぐって
     大きな転換点にあるなか、平和・軍縮への道筋を切り拓くため、「平和基本法」の確立に向けたとりくみが重要です。憲法第9条を具現化するには、日米軍事同盟・自衛隊の縮小・改革とそのための基本法が不可欠です。平和フォーラムは、①国家の交戦権否定、②集団的自衛権禁止、③非核三原則、④武器輸出三原則、⑤海外派兵禁止、⑥攻撃的兵器の不保持を条文に明記し、⑦文民統制原則、⑧国連中心主義をかかげること。さらに、自衛隊を改編し、①国土警備隊、②平和待機隊、③災害救助隊に分割すること。当面存置される「国土警備隊」は、組織・任務・装備の面で、「陸海空その他の戦力」に当たらないものに限定すること。大幅に削減される予算・人員・施設を、「災害救助」と「国際協力」分野にふりむけ、憲法前文と9条にふさわしい日本の姿を世界に示すこと―などを内容とする「平和基本法」により、まず東アジアに「EU型共通の安全保障」を実現、最終的に国境を越える地球ぐるみの「人間の安全保障」へと発展させていく大きな流れを政治のなかに活かしていくことを提起しています。
     
  4. 「憲法理念の実現をめざす大会(護憲大会)」について
     憲法理念の実現をめざす第46回大会(長野県長野市)は、「対話と協調の世界を求め、市民政治の新時代に」と題して、9月の政権交代で誕生した鳩山新政権のもとでいかに憲法理念を実現するかを討議する場となりました。2009年は、第45回香川県高松大会が大会日程を当初の11月から1月に変更したため、年2回の開催となりました。総選挙と政権交代後のさまざまな動きと日程が重なりましたが、全国47都道府県、とりわけ長野県内各地からあわせて約2,800人が参加し、会場はいずれも盛会となる熱気あふれる大会となりました。政権交代後初の大会であるとともに、護憲大会にはじめて現職大臣が列席するとともに、シンポジウムのパネリストとなり、「憲法理念の実現」を従来以上に体感させるものとなりました。期間中に連日速報ニュースを発行するなど地元長野の献身的なとりくみで成果ある大会となりました(報告・記録の詳細は平和フォーラムホームページに掲載)。

  ★2010年度運動方針

  1. 戦争被害の悲惨な実相などを明らかにしながら「軍事力による平和」という逆行した流れを許さず、人々の「命」(平和・人権・環境)を重視する「人間の安全保障」の政策実現を広げていく「武力で平和はつくれない! 9条キャンペーン」としてすすめます。
  2. 米軍再編、自衛隊増強などを許さないとりくみと連携して、「集団的自衛権の行使」に向けた憲法解釈変更を許さないとりくみをすすめます。
  3. 毎月の定例行動(9の日行動)や全国共同行動などのとりくみをすすめます。
  4. 民主党、社民党との連携をいっそう強化し、衆参両院の憲法審査会を始動させず、改憲手続法の参院特別委での18項目特別決議などを活かし、法の見直しを求めるとりくみをおこないます。
  5. 5月3日の「施行63周年憲法記念日集会」(東京・日本教育会館大ホール)をはじめ、憲法記念日を中心に5月を憲法月間とした全国各地で多様なとりくみをすすめます。自治体などに対して、憲法月間にその理念を活かした行事などの実施を求めます。
  6. 憲法問題の論点・問題点整理をおこなうため、適宜、課題に応じて「憲法学習会」をおこないます。中央・東京での開催とともに、ブロックでの開催を奨励し協力します。
  7. 憲法前文・9条改悪の動きに対抗する憲法理念を実現し、立憲主義を確立するとりくみとして、日米軍事同盟・自衛隊縮小、「平和基本法」の確立、日米安保条約については、平和友好条約に変えるとりくみをすすめます。
  8. 平和基本法プロジェクト(軍事評論家の前田哲男さんなどで構成)のまとめた案を活かして「平和基本法案要綱」を作成し、討議をすすめます。そのため、民主党・社民党など政党への要請をすすめます。書籍「平和基本法」を各地で活用します。各団体・地域(ブロック)での学習・討議集会をすすめます。
  9. 本年度の「憲法理念の実現をめざす第47回大会」(護憲大会)は、憲法をめぐる動きが重要な局面にあることを踏まえて、下記日程で宮崎県宮崎市において2,500人規模で開催します。
     11月6日(土)午後 開会総会(サンホテルフェニックス国際会議場)
     11月7日(日)午前 分科会(宮崎市内)
     11月8日(月)午前 閉会総会(宮崎観光ホテル)

3. 東アジアをはじめ世界の平和と安全保障に関するとりくみ

1) 平和実現へのとりくみ

  1. 米軍再編と沖縄の動き
     日米両国政府は2009年2月17日に、「海兵隊グアム移転協定」を結びました。この協定に対して、沖縄県内では強い反発が起こりました。3月25日には県議会が「グアム移転協定に反対する意見書」を賛成多数で採択し、4月6日・7日の両日には県議会の代表団が上京して政府や衆参両院に対する要請行動をおこないました。平和フォーラムは沖縄上京団を迎えて、社会文化会館で「グアム移転協定反対 沖縄上京団に連帯する4・6緊急集会」(2009年4月6日・250人)を開催しました。
     8月におこなわれた総選挙で、政権交代が実現しました。新政権は、普天間基地の閉鎖と辺野古新基地建設の中止に向けて大きく動きはじめました。これを受けて沖縄では、「普天間基地の即時閉鎖・辺野古新基地建設反対!9・18県民集会」「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する11・8県民大会」の2回の集会がおこなわれました。
     沖縄の動きと連帯するために、平和フォーラムは市民団体と協力して、「普天間基地はいらない 辺野古・新基地建設を許さない 12・15緊急集会」(2009年12月15日・星陵会館・700人)を開催しました。また「チェンジ日米関係! 普天間基地はいらない・辺野古新基地建設を許さない1・30全国集会」(2010年1月30日・日比谷野外音楽堂・6,000人)を開催しました。
     2009年中に、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機・F22の嘉手納基地への一時配備が、2回おこなわれました。基地周辺の自治体や住民は、F22の恒久的な配備につながるのではと警戒しています。6月5日には北谷町議会が、15日には嘉手納町議会が、F22配備に反対する決議・意見書を採択しました。F22の一時配備に加えて、岩国基地や厚木基地、また在韓米空軍基地などからの外来機の飛来によって、嘉手納基地周辺の騒音が激化しています。
     嘉手納基地の騒音被害については、飛行差止めを求める訴訟が最高裁でおこなわれています。平和フォーラムは、新嘉手納基地爆音訴訟原告団と沖縄平和運動センターの要請に応じて、最高裁への署名活動にとりくみました。訴訟団は381,321筆の署名を最高裁に提出しました。
     2004年には辺野古では防衛施設庁の工事強行着工に対して座り込み阻止闘争がはじまり、同年に普天間基地のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落しました。平和フォーラムはこの2つの事件を受けて、国会議員に働きかけて、「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の結成を実現し、市民団体と協力して東京圏で数度にわたる沖縄集会を開催するとともに、沖縄と政府・国会との橋渡しに努めてきました。こうした努力が、政権交代によって成果として現れはじめました。2010年度は普天間基地の閉鎖と辺野古・新基地建設の中止を現実のものとするためにいっそうの努力が必要です。
     
  2. 米軍再編と神奈川の動き
     原子力空母ジョージ・ワシントンは2009年1月から、横須賀で整備作業をおこなっていました。この整備の対象に原子炉の一次冷却水系の設備が含まれていること、また整備作業で出た「低レベル放射性廃棄物」約1トンを貨物船に積み込み米国向けに搬出していたことが明らかになりました。横須賀港での原子炉の整備や、放射性廃棄物を船から搬出することは、原子力艦船の日本寄港にあたって米海軍が約束した「エード・メモワール」(1964年)や、原子力空母の横須賀母港化にあたって米国が提出した「ファクトシート」で記載した内容に違反する行為です。
     こうしたなかでジョージ・ワシントンの横須賀配備から1周年に際しては、「空母母港化36周年 原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀基地母港化1周年抗議 原子力空配備撤回を求める9・26全国集会」(2009年9月26日ヴェルニー公園・3,500人)を開催しました。
     米海軍横須賀基地と原子力空母ジョージ・ワシントンについては、現地の市民団体や三浦半島地区労、神奈川平和運動センターの活動により、さまざまな問題が明らかになってきました。今後も米軍基地に対して、情報公開を求めるとともに、監視活動などを実施することが大切です。 相模原市と座間市にまたがる米陸軍キャンプ座間では、現在は米国ワシントン州にある米陸軍第1軍団の司令部の移転が予定されていました。これに対して神奈川平和運動センターや地域の市民団体は司令部移転に反対する運動をつづけてきました。米国はこれまでに第1軍団前方司令部の移転を実施しましたが、司令部本体の移転は事実上中止になりました。
     
  3. 米軍の訓練移転と民間港湾使用
     沖縄県キャンプ・ハンセンに駐留する海兵隊の実弾射撃訓練の本土移転は、2009年度は4回予定されていましたが、海兵隊の運用上の理由で2回が中止となり、北富士演習場(山梨県)と、日出生台演習場(大分県)の2回が実施されました。詳細は以下の表のとおりです。
     米軍の訓練実施にあたっては、各地の地域運動組織が反対運動や申し入れなどを実施しました。実弾射撃演習は、当初は155ミリ榴弾砲のみが対象でしたが、最近は機関銃などの小火器の射撃訓練もあわせておこなわれています。演習の回数が減少するなかで、内容の拡充がすすんでいます。また日本政府から関係自治体への情報提供も遅くなっています。こうした問題へも対処しなければなりません。
     なお2010年度は4回が予定されています。

    2010年度の実施予定
    回数実施演習地実施日時
    第1回矢臼別演習場5月中旬~6月中旬
    第2回東富士演習場9月上旬~10月上旬
    第3回王城寺原演習場11月上旬~12月上旬
    第4回日出生台演習場1月中旬~2月中旬


     米軍戦闘機の訓練移転は、2009年度には5回が実施されました。詳細は以下の表のとおりです。米軍の訓練実施にあたっては、各地の地域運動組織が反対運動や申し入れなどを実施しました。

    2009年度の実施状況
    訓練地日程移転部隊
    千歳基地4月20日~4月23日岩国基地
    三沢基地7月25日~8月1日岩国基地
    百里基地10月2日~10月9日嘉手納基地
    小松基地11月14日~11月20日岩国基地・三沢基地
    百里基地1月29日~2月5日三沢基地


     2009年3月23日にイージス艦「ステザム」(横須賀基地所属)が、青森県・青森港に入港しました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が発射したロケットへの対応と思われます。
     また4月3日には、掃海艦パトリオットとガーディアンの2隻(佐世保基地所属)が、沖縄県の石垣港に強行入港しました。石垣港の港湾管理者である大浜長照・石垣市長は、米軍艦の入港を拒否しました。ところが中曽根外務大臣(当時)は「国の決定に地方公共団体が関与し、制約することは港湾管理者の権能を逸脱するものだと思う」と述べ、石垣市は寄港を認める国の判断に従うべきだとの見方を示しました。入港に際しては大浜市長や市議会議員、平和運動センターや市民が抗議行動を展開、港から市街地につながるゲートにピケットを張り、ケビン・メア在沖米総領事や米軍艦の艦長・乗組員の市内への立ち入りを5時間阻止しました。自治体の首長が先頭に立って米軍艦の入港に抗議したことはこれまでに例がなく、特筆すべきことです。
     また米軍艦船の民間港湾入港に対しては、各地で反対運動がおこなわれました。
     
  4. 防衛政策の転換を求めるとしくみ
     ミサイル防衛(MD)の全国配備がすすんでいます。2009年度には、4ヵ所の航空自衛隊基地に、地上発射型の対空ミサイルPAC-3が配備されました。詳細は以下の表のとおりです。PAC-3の配備に際しては、当該地域の運動組織による自衛隊への申し入れや、抗議行動がおこなわれました。

    2009年度のPAC-3配備状況
    第4高射群・第14高射隊(三重県・白山基地)6月23日
    第4高射群・第15高射隊(岐阜県・岐阜基地)8月21日
    第2高射群・第5高射隊(福岡県・芦屋基地)10月28日
    第2高射群・第7高射隊(福岡県・築城基地)12月22日


     自公政権の下では、2009年中に新しい防衛計画の大綱を策定する予定でした。しかし政権交代を受け、新政権は策定を先延ばししました。私たちは、新政権の下でつくられる新しい防衛計画の大綱が、軍事力によらずにアジア太平洋地域の平和と安定に寄与する内容となるように、新政権ならびに与党3党に対しての働きかけをおこないます。
     また自公政権下で作成された有事関連法案、とりわけ国民保護法については廃止を含めた抜本的な見直しを求めて、新政権と与党3党への働きかけます。
     防衛問題の論議の基本には、日本の安全保障をどのように考えるかが必要です。日米安保50年にあたって、現下の世界情勢から「武力で平和はつくれない」を基本に、核および通常兵器の抑止力に依存しない非軍事による安全保障のあり方を追求することが重要です。
     
  5. 自衛隊の海外派遣
     麻生内閣は、アフリカ大陸東岸のソマリア沖で多発する海賊に対処するため、自衛隊の派遣を実施しました。新政権下でも、派遣は継続されています。私たちは、ソマリア沖からの自衛隊の撤退を求めます。軍事力によらない国際貢献のあり方を、新政権ならびに与党3党に提言します。
     
  6. 国際連帯
     2009年9月10日~12日にかけて、韓国で「東アジア米軍基地環境問題解決をめざす国際シンポジウム」と関連するフィールドワークがおこなわれました。この国際シンポジウムは、韓国・沖縄・日本の3地域の米軍基地反対運動が連携を深めるために一昨年からはじまったもので、昨年で2回目です。平和フォーラムからも事務局が参加して、韓国の反基地運動との交流を深めました。韓国と沖縄からは、10年度の第3回国際シンポジウムに関して、日本での開催が希望されています。

  ★2010年度運動方針

  1. 新政権ならびに与党3党に対して、普天間基地の閉鎖・返還と、辺野古・新基地建設の中止を求めるとりくみをすすめます。
  2. 「5・15平和行進」に全国から参加します。普天間基地包囲行動を成功させます。
  3. 自民党政権下ですすめられた米軍再編に対する見直しを求めるとりくみをすすめます。
  4. 在日米軍の訓練移転や、米軍艦船の民間港湾使用について、中止や撤回にとりくみます。
  5. 「非核平和条例を考える全国集会」を実施します。
  6. 米軍基地・自衛隊基地などの周辺住民によってすすめられている、爆音訴訟に協力します。
  7. 米軍犯罪の被害者によってすすめられている、被害者補償の制度化に協力します。
  8. 日米地位協定の改正に向けて、政府ならびに与党3党への働きかけにとりくみます。
  9. ミサイル防衛の推進など、自民党政権下ですすめられた軍拡の動きを止めるために、政府ならびに与党3党への働きかけにとりくみます。
  10. 非軍事による新しい安全保障の考えをすすめるようとりくみます。
  11. 自衛隊のソマリア派遣など海外派遣の中止を、政府ならびに与党3党への働きかけにとりくみます。
  12. 市民団体の開催する「東アジア米軍基地環境問題解決をめざす国際シンポジウム」に協力します。
  13. 全国基地問題ネットワークや、沖縄基地問題にとりくむ市民団体、またアジア太平洋地域の反基地運動団体との連携と協力をすすめます。

2) 東アジアの非核・平和の確立と日朝国交正常化に向けたとりくみ

 日本と東アジアの平和を構築するにあたって、最重要課題は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題であり、日朝国交正常化です。6カ国協議は、朝鮮半島の非核化に向けて共同声明(2005年9月19日)やその後の合意が積み重ねられました。しかし、2009年4月の北朝鮮の「人工衛星」ロケット発射をめぐる対立から5月25日の2度目の核実験強行など、緊張を増しました。平和フォーラム・原水禁は東アジアの緊張を高めるものとして、北朝鮮ロケット発射前に自制を求める声明(2009年3月24日)を発するとともに、核実験に対しては強く抗議しました(2009年5月25日)。
 8月以後は、クリントン元大統領、10月の中国の温家宝首相、12月のボズワース米特別代表などの訪朝と協議で、6カ国協議再開に向けたきざしがみえはじめましたが、日本では、自公政権、タカ派を中心に声高な対決姿勢が強調され、対話と協調を築くとりくみはまったく軽視されてきました。そして、制裁措置は継続を重ねたまま、朝鮮総聯関係団体を弾圧し、在日朝鮮人に圧迫を加えるばかりでした。
 新政権も、「日朝平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を誠意をもって清算して国交正常化をはかる」との方針は表明していますが、なお不透明な状況です。
 平和フォーラムと日朝国交正常化連絡会(東北アジアに非核・平和の確立を! 日朝国交正常化を求める連絡会)は、事態は困難であっても重要な局面であり、日朝両国がピョンヤン宣言に基づいた交渉をすすめることを求めてとりくみをすすめてきました。7月の総会や9月の日朝ピョンヤン宣言7周年集会をはじめ月1回ペースの学習会を重ねるとともに、4月、12月には外務省や政党への要請を重ねてきました。
 さらに、韓国併合100年にあたる2010年までに決定的な前進をするため、日朝基本条約構想の提案をおこない、パンフレットを発行し、国会内集会をおこないました。今後も、対話と協調、平和を求める全国的な世論形成とそのためのとりくみをすすめます。
 また、日朝国交促進国民協会、在朝被爆者支援連絡会と連携したとりくみもすすめました。

  ★2010年度運動方針

  1. 連絡会への全国各地の運動組織の参加を求め、連携を強めるとともに、国交正常化に向けた世論を喚起するため、継続的に全国各地での講演会・学習会・全国行動をおこないます。
  2. 「日朝国交正常化に向けた私たちの提案」をもとに、ひきつづき政府、国会議員、各政党に対する要請や働きかけをおこないます。また、提案をもとにした署名運動を全国的にとりくみます。
  3. パンフレット「朝鮮植民地化100年を機に日朝基本条約締結を」を活用します。
  4. 東京では月1回程度の定期的学習会や集会・行動をひきつづきおこなうほか、必要に応じて随時集会をおこないます。
  5. 日朝国交促進国民協会、在朝被爆者支援連絡会をはじめ、在日の人権確立や、北朝鮮の人道支援のとりくみ、韓国の平和・人道支援運動との連携・交流・協力をすすめます。

4. 核兵器廃絶に向けたとりくみ

1) 核兵器廃絶の課題―NPT再検討会議に向けて

 2万3千発もの核兵器が存在するなか、核兵器廃絶は喫緊の課題です。ブッシュ政権からオバマ政権への交代によって、これまで停滞していた核兵器廃絶の流れが活性化しようとしています。しかし、2009年5月25日の北朝鮮が2度目の核実験をおこなうなど、東北アジアに緊張がもたらされました(原水禁としては抗議声明を発出)。その後6カ国協議は停滞していますが、日米の新政権の誕生を受けて、今後の進展を注視していくことが必要です。
 核兵器廃絶の機運を、今年5月に開かれるNPT再検討会議に向け、盛り上げていかなければなりません。この間、「核兵器廃絶1000万署名」を原水禁・連合・核禁会議の3団体でとりくんできました。現在約660万筆を集めており、これを日本政府と国連に提出し、核兵器廃絶の動きを促進させることをめざしています。さらに国際労働組合総連合(ITUC)の協力も得て、署名は国際的広がりをつくりだしています。署名に連動し、3団体によるさまざまなとりくみをおこないました。キックオフ集会の開催(2009年5月23日)、街頭での署名活動(2009年9月29日、10月1日、11月10日)、原水禁大会における共同シンポジウム(広島・長崎)などを展開し、核兵器廃絶の課題を確認してきました。原水禁は核兵器をめぐる課題を深化させるために、原水禁世界大会の国際会議を「NPT再検討会議に向けて―東北アジアをめぐる核状況」のテーマで開催し、分科会でも核軍縮の必要性・重要性を訴えました。
 そうしたなか、日本政府が被爆国としてこれまでの米国の「核の傘」の下での抑止政策を転換し、アメリカの核政策に対して「先制不使用宣言(核の役割の限定)」「消極的安全保証」などを働きかけることの重要性が高まっています。12月には、核兵器廃絶を訴えとりくんできた国際的NGO組織「中堅国家構想(MPI)」の日本派遣団を招き、外務大臣や民主党などの議員との会談や市民との交流もおこないました。
 日豪政府がすすめてきた「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」の動きに対応して、国内のNGOや市民グループとともに、積極的に発言をしてきました。12月15日にはその報告がまとまりました。核の先制不使用に触れるなど評価できる点もありますが、「東北アジア非核地帯化構想」に触れられていないなど、さまざまな問題点もあり、今後の政府の政策をしっかり監視する必要があります。これに関して2009年12月に事務局長見解を発しました。
 また、新政権下で「核密約」の存在が明らかになりました。それにあわせて非核三原則のなかでの核持ち込み(領海内通過など)を許容しようとする動きが出ています。原水禁として「核密約」問題に関して声明を発しました。あらためて非核三原則の堅持を確認することが必要です。さらに、非核三原則の法制化への論議をすすめることが重要となっています。

  ★2010年度運動方針

  1. 5月に国連本部(米・ニューヨーク)で開かれるNPT再検討会議にあわせたNGOのとりくみに参加し、世界の核兵器廃絶運動との連帯・連携をはかります。また、「核兵器廃絶1000万署名」を提出します。
  2. 原水禁・連合・核禁会議3団体での核兵器廃絶に向けた運動の強化をはかります。
  3. 政府・政党への核軍縮に向けた働きかけを強化します。とくに民主党の核軍縮議連への働きかけを強化し、平和と核軍縮政策の促進をはかります。
  4. 東北アジア非核地帯化構想などの具体化をするために、日本政府や日本のNGOへの働きかけを強化し、具体的な行動にとりくみます。さらにアメリカや中国、韓国などのNGOとの協議を深めます。
  5. 「核密約」問題では、あらためて非核三原則の堅持を確認し、法制化へ向けた議論と行動にとりくみます。
  6. 被爆65周年原水爆禁止世界大会、3・1ビキニ・デーの前進と成功をはかります。
  7. 非核自治体決議をすすめ、自治体の非核政策の充実を求めます。また、非核宣言自治体協議会や平和市長会議への加盟・参加の拡大をすすめます。

2) 被爆65周年原水爆禁止世界大会/ビキニ・デーの開催について

 被爆64周年原水爆禁止世界大会では、参加者数が国際会議・約100名、平和ヒロシマ集会(三団体主催)・6,500名、平和ナガサキ集会(三団体主催)・3,900名、「メッセージ from ヒロシマ 2009」・403名となりました。また、海外ゲストは6ヵ国15名(子どものゲスト含む)の参加となりました。各分科会では、初参加者が7~8割という大会の現状にあわせ、分科会を「入門編」と「交流編」に分け、参加者が選択できるように工夫しました。今後ともひきつづき参加者のレベルにあわせた内容構成について検討することが重要となっています。なお、大会への賛同団体・個人については、15団体・139個人でした。
 「メッセージ from ヒロシマ 2009」や「ピース・ブリッジ 2009」への参加は昨年よりも増え、親子での参加を含め、関係者の努力が少しずつ定着しつつあります。とくに高校生のとりくみや主張には、今年も大きな共感が寄せられました。

  ★2010年度運動方針

  1. 被爆65周年原水爆禁止世界大会と国際会議を広島、長崎で開催します。
     8月5日    国際会議(広島市内)
     8月4日~6日 広島大会
     8月7日~9日 長崎大会
  2. 2011年被災57周年ビキニ・デー集会を、56周年集会の成果をひきつぎ、被爆66周年原水禁世界大会に連動する集会として開催します。

5. 多文化・多民族共生社会に向けた人権確立のとりくみ

1) 実効性ある人権救済法の制定と国際人権諸条約・選択議定書の批准に向けたとりくみ

 鳩山政権が誕生し、人権施策が大きく転換をしようとしています。千葉景子法務大臣は、就任記者会見で、新政権下でとりくむべき課題として、人権救済機関の設置、個人通報制度の受諾、取調べの可視化という3点に言及しました。これらはいずれも国際人権機関からの再三の勧告にもかかわらず、自公政権下ではまったく実現の見込みが立たなかったものにほかなりません。
 日弁連や、当事者団体、人権市民会議などで構成された「国内人権機関と選択議定書の実現を求める共同行動(人権共同行動)」は、未批准の国際人権諸条約を批准や人権救済機関の設置、取調べ過程の可視化に向けたとりくみを具体化するため、一連のとりくみをすすめており、平和フォーラムとしても参加・協力しました。
 すでに20年を超えた1,047名のJR採用差別問題は、再三のILO勧告はもとより、司法判断も国鉄による差別・不当性を指摘しており、2009年3月の鉄建公団訴訟控訴審判決でも裁判長から早期解決が付言されました。政権交代したいま、政治解決の大きな山場を迎えています。2月16日の日比谷野音集会に中央・地方から参加・協力しました。

  ★2010年度運動方針

国際人権諸条約の批准促進を求めます。とりわけ、個人通報制度にかかわる条約の選択議定書の早期実現を求めます。部落解放同盟などがすすめる「『人権侵害救済法』(仮称)の早期制定を求める」署名に協力します。

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