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可視化の実現で信頼を取り戻せ

2011年2月 1日

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 「えん罪」という言葉の底には、怨念の奔流がある。取り戻すことのできない「時間」を奪われた者の、そこにあるべきだった「喜怒哀楽の人間的生活」を奪われた者の怨念が流れている。島田事件、松山事件、財田川事件、免田事件、そして足利事件。書き出せばきりがない。平均して解決まで30年以上の時間が経過している。無実を主張しつつ、再審請求が棄却され続けている事件も多い。

 狭山事件は、その差別性も含めて「えん罪」の象徴とも言える事件だ。1977年の無期懲役の確定から99年の第2次再審請求の棄却まで22年をかけた。06年から始まった第3次再審請求の中で、東京高等裁判所の門野博裁判長は8項目の証拠開示を東京高等検察庁に勧告した。98年には国際人権(自由権)規約委員会が証拠開示の保障を勧告するも、東京高検は証拠開示を拒否してきた。昨年5月、5項目について36点の証拠を開示したが、実況見分報告書に「撮影した」と記載される「雑木林を撮影した8ミリフィルム」や当時の鑑識課員が行ったと証言する「殺害現場における血痕検査報告書」は不見当(見当たらない)とされた。都合の悪い証拠を開示しないことが「えん罪」を生んできたのではないか。

 「えん罪」の多くが、暴行や暴言などを伴う密室の取り調べでの自白とそれを基本にした証拠の改ざんやねつ造、不都合な証拠の排除の中でつくられる。そのことはこれまでの多くの再審が明らかにしてきた。米国の取り調べには弁護士の同席が許される。多くの国が取り調べ期間を極めて短期間に限定している。

 国際人権委員会は日本の代用監獄制度の廃止を勧告している。しかし、日本はこれまでその勧告を受け入れようとしてこなかった。狭山事件においても、積み上げれば3mにもなると言われる証拠は開示されず、強要された自白に基づくねつ造としか言えない証拠で判決は下され、再審請求は棄却され続けてきた。差別感に基づく見込み捜査と自白の強要、証拠のねつ造、その中で一人の人生がどう理解されていたのか。犯罪を憎む気持ち、犯人逮捕への執念は大切だ。しかし、それは人権の確保という中で発揮されるべきものだ。

 「取調べ可視化」への流れが始まりそうだ。全面可視化の中では捜査が困難との声を現場から聞く、日本の警察・検察の犯罪防止と捜査への信頼は、全面的な取り調べの可視化と証拠開示の中でこそ輝く。大阪府警の暴言取り調べ事件や大阪高検の証拠改ざん事件、警察・検察への信頼が揺らいでいる今だからこそ、大きな一歩を踏み出すべきだ。新法務大臣の決断に期待する。

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