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2017年05月01日

持続可能な社会を!国連のSDGs!

うどんでも食べようと、久しぶりの休みに台所の下の戸棚を空けると、何か黒い液体が…「まずい」と奥を探ると、何と缶詰の爆発。何時からかその奥に身を隠していたパインの缶詰は、その一生を終えたらしい。混乱は、数個の缶詰を発見して終わった。缶詰の賞味期限が我が家の議論の俎上に上ったが、爆発を招いたつれあいは「ない」と主張、息子は「ある」として、夕食に上った「サンマの蒲焼き」を頑として口にしなかった。

冷蔵庫の野菜からお肉や魚、はたまた缶詰まで食べられずに捨てられていくことがある。もったいないと思う。日本では、年間約632万トンの食べ物が廃棄されている。東京都民の食べ物の1年分、日本で生活する全ての人が毎日1個おにぎりを捨てる計算だ。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は3月22日、南スーダンなど中東・アフリカ4カ国が紛争や干ばつによる食料危機に陥っていると指摘した。飽食で大量の食料が廃棄される日本、食料不足で飢餓や貧困に苦しむ国々。どうしたら平等に分配できるのか。

2015年の国連総会で「持続可能な開発目標(SDGs)」が全会一致で採択された。「誰も置き去りにしない」を基本理念として、地球環境や経済活動、人々の暮らしを持続可能なものにするための行動計画で、2030年を目標に17分野169項目が並ぶ。当然、食料問題はその中核をなす。日本における食料生産が消費量に見合ったものになれば、その分、平等に他にも分配されるのではないだろうか。ことは簡単ではないが、SDGsはそのようなとりくみを企業にも求めている。

朝日新聞は、この3月にSDGsの特集を組んだ。2015年の夏からパンを一個も捨てていないパン屋さんの話、風力発電を利用しオーガニックコットンで織る「今治タオル」の会社。厳選した小麦や原綿は安価ではないが、満足できる品質を保証している。原料の生産地と消費地を結んで、適正な価格設定によってどちらも暮らしの成り立つとりくみは、SDGsの基本理念にかなっている。タオルの会社は、これから使い古したタオルの再生事業に臨むらしい。いいものを長く使ってもらう、大量生産・大量消費の時代は終わるのかもしれない。

しかし、残念なことにはSDGsの行動指針に基づいて行動する日本企業は、調査対象の4%程度との指摘もある。グローバル社会の中で「誰も置き去りにしない」ためには、政治の役割も大きいが、企業のとりくみも重要ではないか。そして、その基本には私たちの意識がある。
(藤本泰成)

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