2017年、WE INSIST!

2017年06月01日

「へぇ~~」と驚く、 ご都合主義改憲!

ご都合主義の憲法改正ではないのか。広辞苑には、ご都合主義を「定見をもたず、ときどきの都合によって行動する仕方を、さげすんでいう語」と書いてある。安倍晋三首相は、2020年と期限を区切って憲法改正を提起した。国会での質問には、今は首相だから自民党総裁としての意見は「読売新聞を熟読しろ」と言った。自民党総裁と首相とを使い分ける処し方はご都合主義という。

自民党の憲法改正推進本部が2012年4月27日に発表した「自民党憲法改正草案」を見てみよう。その最高顧問は、麻生太郎、安倍晋三、福田康夫、森喜朗である。第2章の「戦争の放棄」は「安全保障」と名称を変え、第9条の2項「戦力は保持しない」と「国の交戦権は、これを認めない」を、「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と変更し、第9条に起稿して「国防軍の保持」を規定し、集団的自衛権の行使や軍人やその他の公務員を罰する国防審判所まで細かに書き入れている。

それはなぜか。「現在、政府は、集団的自衛権について『保持していても行使できない』という解釈をとっていますが、『行使できない』とすることの根拠は『9条1項・2項の全体』の解釈によるものとされています。このため、その重要な一方の規定である現行2項(『戦力の不保持』等を定めた規定)を削除した上で、新2項で、改めて『前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない』と規定し、自衛権の行使には、何らの制約もないように規定しました」と、自民党は改正案のQ&Aで主張している。

なのに、安倍首相は今回、9条の1項・2項は変えず、3項に自衛隊の根拠規定を追加するとする考えを示した。では、自衛権の問題はどうなるのか。憲法を改正したいが故の発想以外の何物でもない。これもご都合主義と言わないか。

加えて、安倍首相は「高等教育も含めて教育の無償化を憲法に書き込む」と提起した。「へえー」と声が上がる驚き。旧民主党政権が2010年にスタートさせた「高校授業料無償化」に関して、自民党は、子ども手当、高速道路無料化、農家への戸別所得補償を含めて「バラマキ4K」と徹底して批判した。政権奪取後は、授業料無償化に所得制限を加えた。これもご都合主義か。

明治150年、東京オリンピック、憲法「改正」、「僕ちゃん、おじいちゃんのできなかった改憲、がんばったよ」。岸元首相の膝の上で、頭をなぜなぜされる安倍首相が見えるではないか。
(藤本泰成)

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