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ニュースペーパー2008年11月号

2008年11月 1日

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【インタビュー・シリーズ その28】
森林からの恩恵を次世代に引き継いでいくこと
森林労連書記長 岩﨑 春良さんに聞く

【プロフィール】
1956年北海道生まれ。74年、林野庁北見営林局に入る。労組や地区労で活動。2000年から全林野労組中央執行委員、06年に同労組と日本林業労働組合(日林労)が合同して結成された全国林野関連労働組合(林野労組)の書記長に就任。全日本森林林業木材関連産業労働組合連合会(森林労連)の書記長も兼務。

──まず、森林労連とはどのような組織なのか教えてください。
 日本の森林・林業関連産業の労働組合を総結集して、労働者の地位と労働条件向上、日本の森林・林業・木材関連産業政策の改善をめざして、1989年に結成しました。連合の立ち上げと一緒です。現在は、国有林労働者による全国林野関連労働組合(林野労組)と、民有林や木材関係で働く労働者の全国山林労働組合(全山労)、オブザーバーの緑資源機構労働組合で構成されています。

──その頃の林業労働者の待遇はどうだったのですか。
 実は民間の林業労働者は長年、労働基準法の適用を受けていなかったのです。まさに無法地帯と言ってもよく、日給制・出来高で、労働契約も無く、「休日は天気の悪いときだけ」という状態でした。97年にようやく基準法が適用されました。しかし現在でも、現場の労働者は新規に入る人は少なく、65歳以上が27%を超えています。全産業平均の9%に比べると極端に高齢化しています。この高齢化が結果的には、林業労働者の処遇改善を遅らせている要因の一つです。

──国有林で働く人たちはどうだったのですか。
 国有林野事業で働く人の中には、常勤作業員のほかに定期作業員と言って、6ヶ月単位で、冬場は仕事がないために解雇される人がいました。その差別を撤廃して全員の常勤化を求めて運動が展開されました。そうした運動によって、常勤化なども勝ち取りましたが、逆に、国有林野事業全体が縮小してきました。98年の抜本改革の中で、現場での作業などは全面的に民間の事業体の請負となりました。しかし、請け負う事業体の多くは5~10人程度の零細な事業体で、林業全体の厳しい状況を受けていて、そこで働く労働者の労働条件は改善されていません。こうしたことから、かつては88,000人もいた国有林野労働者は、今は7,000人に減っています。

──岩﨑さんが労働運動に入るきっかけもそうしたことですか。
 74年に生まれ育った北見の営林局に入りました。常勤化闘争のなかで、青年婦人部運動の学習会などに参加したのが、労働運動に参加する機会でした。職場内はほとんどが労働組合に入っていたので、闘いに参加するのは自然でした。当時はストライキもしばしばやりましたが、違法だという認識はなく、権利は闘い取るものだと思っていました。ただ、賃金がカットされ、手取りが少なくなったのは痛手でしたね(笑)。

──日本や世界の森林・林業の状況はどうなっているのですか。


旭川管内にある森林を国会議員が視察(08年6月)
 世界の森林面積は約39億5千万haで、陸地面積の約3割を占めていますが、毎年730万ha(日本の国土の2割に相当)も減少しています。乱伐や違法伐採、農地開発のためなどです。その中でも日本は有数の森林国で、国土面積の7割を占めています。現在、戦後の造林を行ってきた中で、人工林は生長して総蓄積は23億立方㍍以上となっているものの、国産材は価格等の面から外材に押され、自給率は20%に押さえ込まれている状況にあります。しかし、近年は環境問題などから各国で木材輸出が規制されたため、国産材の需要が高まっています。しかし、森林の所有規模が小さいことや労働者の高齢化などの問題から、安定的に木材を供給することが難しく、国産材の使用はあまり伸びていません。

──地球温暖化問題もあって、森林の重要性が見直されています。
 日本は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の6%削減目標のうち3.8%を森林吸収で確保するとしていますが、そのためには森林整備をもっと進める必要があります。しかし、山村が疲弊し、労働力を確保できないなどの山村社会の抱えている課題をどう克服するかが課題です。政府は森林組合に補助金を出すことで対応しようとしていますが、国の責任で森林整備と山村対策、労働力対策をセットに進めるべきです。
 具体的には、森林の整備を国や自治体の責任で行い、山林所有者が近くに住んでいない不在村地主も多いのですが、その整備を国や自治体が直接行えるようにするなどが必要です。そのようなことで、国産材が適切に利用されれば、森林所有者の森林経営への意欲が向上し、林業の持続的な発展が図られ、森林の持つ多面的機能が維持・増進されるようになります。

──そうした課題のためにどのような運動を進めていますか。
 地域の中では、森林整備予算の拡充、雇用確保などを求める地方自治体での決議を求めています。国会でも超党派で対策を進めています。しかし、環境問題には関心があっても、林業問題を理解して頂くのが難しく苦労しています。かつては、木を伐ることが悪いかのような風潮がありましたが、資源を循環的に利用することが大切だということが、ようやく理解されるようになりました。いま特に力を入れているのは、国有林野事業が小泉行革の中で、06年に業務の一部を独立行政法人化するという方向が打ち出された問題です。これは現場の実態を無視したものですが、2010年までに結論を出すことになっています。民主党や社民党を中心に反対の要請行動を地域から行っています。

──連合も来年、結成20周年を迎えますが、連合運動についてはどうですか。
 日本では、なかなか市民が中心の運動が出来づらい状況です。そんな中で、労働組合がしっかり取り組みながら、市民とも手を組めるような取り組みをしていかなければなりません。そういう意味では、連合が憲法問題や平和問題について、考えをまとめて取り組みの成果を上げなければならないと思います。しかし、企業別組合のために企業の利害が絡むなどの限界も出ています。そうしたことを克服して、日本における平和運動をどう築くかに力を入れることが必要です。

──平和フォーラムに期待することは。
 最近、「アメリカの陰謀スペシャル2」というコミックを読みましたが、9.11の同時多発テロ以降の中東問題をはじめ、北朝鮮の問題など、簡潔にコミック化されていることに驚きました。しかし、若い世代があのような本で、本質が分からないままに評論したり、判断したりするようになることは、ある意味では危険だと思います。平和フォーラムでは、もっと学習の場を多く開いてほしいと思います。あまり堅苦しいものではなく、気楽に参加できるようなもので、短時間でもいいので定期的に講座を開いていくなどの工夫も必要でしょう。平和運動でも、連合も加えて広げていくことが必要です。

〈インタビューを終えて〉
 北海道の人である。本当に落ちついている。周りの仲間に安心感を与えてくれる。最初の職場は「労働組合運動に参加するのが当然だ」という雰囲気で、迷うことなくまっすぐ突き進み、現在に至っている。しかしその過程は、国の林野行政との対決の連続であった。そして確かな道筋を確認しながら歩んでいる。林野行政、労組も課題が多い。政策実現のため引き続きがんばってほしい。
(福山真劫)

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平和な海、静かな空、いまこそ自治体の平和力!
金沢で第9回非核・平和条例を考える全国集会

平和を脅かす米軍再編進む
 インド洋での海上自衛隊の給油活動を延長する新テロ特措法改正案が、またもや成立しようとしています。アフガニスタン(アフガン)のテロが撲滅に至らないとする米国の支援要請にもとづくものです。タリバン旧政権側の失地回復の中、米同盟軍は首都カブールを制圧するにとどまり、アフガンは混乱の中にあります。この間、アフガンでは現地の人々とともに復興に尽力されていたペシャワール会の伊藤和也さんの死がありました。直接の理由はともあれ、長引く戦火に荒廃した大地と人々の心がそこにあります。
 平和フォーラムはこの夏、横須賀に結集して「原子力空母ジョージ・ワシントンの母港化反対」を掲げて闘いをすすめてきました。7月19日には1万5千人の心がひとつになり、大きな結集を勝ち取りました。空母を中心とした米海軍機動部隊が行く先々で戦争を引き起こし、人々を苦しめています。そして、原子力空母と米軍基地が私たちの生活の安全を脅かしています。米国は、自国の核や世界に冠たる機動部隊が国際秩序を維持していると主張していますが、実際は各国の人々に大きな脅威を与えていることを自覚すべきです。
 ペシャワール会代表の中村哲さんは、伊藤さんへの弔辞の中で「伊藤君を殺したのはアフガン人ではありません。人間ではありません。今やアフガンを蝕む暴力であります。(中略)不幸にして世の中には、伊藤君の死を政治目的に利用しようとする者もいます。また、アフガンという国の文化を知らず、ペシャワール会医療サービス(PMS)と皆さんとの交誼を知らず、様々な噂や論評が横行いたします。その中には聞くに堪えない無理解、戦争肯定が少なからずあります。そうして生まれる武力干渉が、現在のアフガンの混乱を招いてきました」と述べています。

平和を求め生活の場から声を上げよう


全国集会のポスター
 平和フォーラムは、「武力で平和はつくれない」として、これまで多くの取り組みを重ねてきました。市井に生きるひとり一人が戦火や暴力を好むことはあり得ません。世界中で、平和で安穏な暮らしが求められます。私たちが、一人の市民として、生活の場から声を上げることが重要となっています。その声は、平和への本質的な欲求として大きな地位を占めることになるに違いありません。
 横須賀では市民が「原子力空母母港化の是非を問う住民投票」を求めて2度の取り組みを行いました。アンケートでは横須賀市民の7割が母港化に否定的です。しかし、なお日本政府と横須賀市は、原子力空母の母港化にこだわり、9月25日に入港を認めました。市民の声を政治が無視することが許されるはずはありません。すべての運動がその地平からスタートすべきです。

岩国市前市長と新潟・加茂市長が参加
 来る11月22~23日、第9回を迎える「非核平和条例を考える全国集会」が石川県金沢市で開催されます。これまで「地方自治体の平和力」を基本にすえて、市民の立場で地方や生活の場から平和の取り組みを交流・学習してきました。
 今回は、地方自治の場で活躍されている、小池清彦加茂市長(新潟)、井原勝介前岩国市長(山口)をお呼びし、それぞれの立場から自治への取り組みを話していただきます。小池さんは元防衛庁教育訓練局長という異色の市長であり、憲法9条に対してその経験から話されます。井原さんは、米軍再編をめぐる住民投票など市民自治の取り組みについて話されます。どちらも、市民の側にたった発言が期待されています。翌日の分科会では、全国の仲間の取り組みを交流します。
 市民の生活の中から生まれた取り組みであるこの集会の持つ意義は、米軍再編がすすみ日米の軍事の一体化がすすむ日本の中で非常に大きいといえます。多くの方が参加し、活発な意見交換が求められます。
 全国集会の詳細は平和フォーラムのホームページを参照してください。

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ピョンヤン宣言から6周年を迎えて
日朝国交正常化は日本の平和と民主主義確立に不可欠
日朝国交正常化連絡会事務局次長・『日韓分析』編集人 北川 広和

 9月中旬に都内で日朝国交正常化をめざす2つの集会が開かれました。9月13日は、日韓民衆連帯全国ネットワークや在日韓国民主統一連合(韓統連)を中心とした「制裁を解除し、日朝正常化早期実現へ!9.17キャンペーン」が主催、同17日は東北アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める連絡会(事務局・平和フォーラム)が開き、日朝国交正常化をめざす運動を繰り広げている人々などが出席しました。両集会とも、日朝国交正常化運動の「広がり」が感じられ、今後もっと大きく広がることが予想されます。

 

自主外交から遠のく最近の日本政府


ピョンヤン宣言6周年 日朝国交正常化を求める集会(9月17日)
 9月17日は、日朝ピョンヤン宣言が発表された日です。6年前の小泉純一郎首相(当時)の訪朝は、戦後初の自主外交だったと思います。なぜ自主外交かというと、アメリカに言われて訪朝したわけではないからです。日本政府は戦後、すべての外交はアメリカの顔色を伺い、その意向に沿って展開してきました。ところが小泉首相は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対して、それまで米国に従い敵視政策をとっていたのに、友好関係を結ぶために訪朝したからです。その際に発表された日朝ピョンヤン宣言は、日本が朝鮮半島全体を植民地支配したことを謝罪し償う立場を明確にした上で関係正常化するという内容になっています。
 同じ朝鮮半島でも、南の大韓民国(韓国)と1965年に結んだ日韓基本条約には、そうしたお詫びや反省の言葉は一切ありません。そもそも「植民地」という言葉すら出てきません。それに対して、戦後57年もたってしまいましたが、ピョンヤン宣言は「植民地支配で迷惑をかけてすみません」という加害者の立場から、被害者としての北朝鮮と国交を結ぼうとする戦後初の2国間宣言となっています。だから、初めての自主的な外交だったといえるわけです。
 しかし、最近は、日本政府は元に戻ってしまったかに見えます。2006年にとった対北朝鮮制裁措置を半年ごとに延長して、敵対姿勢を強めているからです。10月13日には4回目の延長が施行されました。
 福田康夫前首相は今年8月15日の終戦記念日のあいさつで、「わが国は多くの国々、とりわけアジアの諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えました」と言いました。しかし、北朝鮮に対しては、まるでアジアの一員とみなしていないかのように振舞っています。あいかわらず敵視政策をとっているからです。しかし、ここに出てくる「多大な損害と苦痛を与えた」とのフレーズは、ピョンヤン宣言にも出てきます。むしろ、こちらが先です。日本の方こそ、世界で唯一国交がない北朝鮮と国交正常化しなければ、アジアの一員として正式に迎え入れてもらえないのではないでしょうか。

日朝国交正常化のメリット
 日本が北朝鮮と自主的に国交正常化すれば、日本にとって大きなメリットが生まれます。制裁措置は在日朝鮮人に対し祖国往来の自由を奪うという人権侵害をもたらしています。これが象徴しているように、日本政府はいまだに在日朝鮮人に対する差別や抑圧、管理政策をとっています。国交が正常化されれば、それもなくなるはずです。また、日本人に根強い在日に対する差別、偏見、民族排外意識も払拭される契機になると思います。国内から差別をなくすことは、日本が本来の意味での民主主義国家となるために不可欠です。
 さらに、北朝鮮と国交を結べば、日本政府が脅威とみなし、「何をしでかすか分からない」と見ている国がなくなるわけですから、防衛力=軍事力を拡大する根拠も、また憲法9条を改悪する理由も薄れることになります。つまり、日朝国交正常化は日本が真の平和国家となるための重要な一歩となるわけです。
 日本みずからが平和国家となることなくして、朝鮮半島、そして東北アジアの平和にも貢献できるはずがありません。

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食の安心・安全を脅かす「汚染米」問題はなぜおこったか
グローバル化と規制緩和・市場原理が大きな要因

 9月に発覚した残留農薬やカビ毒などで汚染された「事故米」の不正転売問題は、消費者・市民に大きな衝撃を与えています。これまで食品の表示や産地の偽装などが相次ぐ中で、主食であるコメまでも安心できないという事態は、「食の安心・安全」の基盤の脆さを物語っています。
 汚染米問題では、転売していた業者だけでなく、管理すべき農林水産省に対しても、長年に渡るチェック体制の不備、情報公開の遅れ、大臣等の発言などに批判が集まっています。早急に汚染米の流通ルートの解明とその原因、再発防止の実効ある措置など、今後の責任ある対応が必要になっています。
 しかし、汚染米事件の背景には、ミニマム・アクセス米(MA米)の存在やその処理方法の問題点、米の流通自由化・規制緩和の弊害など、この間に進められてきた新自由主義による政策がもたらした歪みも指摘しなければなりません。

矛盾だらけのミニマム・アクセス米


米の保管倉庫
(酒田市の山居倉庫・本文とは関係ありません)
 MA米の輸入は1995年から始まりました。自由貿易を進めるためとして設立された世界貿易機関(WTO)の設立の年です。その前から行われていたGATT(ガット=貿易と関税に関する一般協定)の交渉で、日本がコメの自由化を受け入れない代償措置として、最低限の輸入義務だとして受け入れたものです。最初は40万トン程度だったものが、現在は77万トンと、国内の米消費量の1割近くにまでなっています。もともと、需要がないものを無理に輸入していたものであり、日本の工業製品等の輸出も含めた自由貿易体制を守るための捨て石の役割だったと言えます。
 しかも、「ミニマム・アクセス」という意味は、日本政府の説明では「輸入義務」としていますが、公式には「輸入機会」とすべきもので、必ずしも全ての量を輸入しなければならないとは決められていません。現に、日本と同様の措置を取っている韓国では、これまで必ずしも全量の輸入を行っていません。このようにあいまいな形で存在してきたのがMA米です。
 そして現在では、国内ではコメ余りのために4割もの生産調整を強いられています。一方、世界的には穀物需給がひっ迫し、各国でコメの輸出規制も行われ、価格も高騰しています。そうした中で、日本が必要としないコメを輸入し続けることは大きな矛盾です。平和フォーラムの前身組織である「食とみどり、水を守る労農市民会議」は、当初からMA米制度の廃止を要求してきました。いま、改めてMA米そのものの問題点、そして、WTOが進める自由貿易体制の矛盾を含めて検証する必要があります。

流通業界の規制緩和でもうけ主義に
 政府は当初から、MA米は国内産米に影響を与えないように、一般市場に出さずに海外援助や飼料用、糊などの工業原料用に振り向けるとしてきました。それが流通過程で何回もの転売を繰り返すうちに、食用に化けたわけです。この原因に、米の流通を規制してきた食糧法が2004年に大幅改正され、販売業者の登録制を廃止し、届け出制に切り替えて誰でも自由に米が扱えるようになったことも上げられます。そのため、「利益第一主義」の傾向が強くなり、従来からのお米屋さんが淘汰され、スーパーやディスカウント業者などが幅を利かせるようになりました。
 こうした規制緩和を進める中で、一部の悪徳業者が安く売り出される汚染米に目を向けることは必然とも言えます。さらに、財務省などから、MA米の管理にかかる経費の削減のために、汚染米も含めて早急な処理が要求されていたことも、こうした事態を招く要因になっています。
 このように、グローバリゼーションと規制緩和・市場原理の新自由主義の行き過ぎた結果が、今回の事件を引き起こしたものと言えます。農林水産行政の欠陥だけにとどまらない、こうした矛盾を正していかなければ、真の問題解決とはなりません。

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初のオランダ人被爆者調査おこなう
放置されてきた元捕虜の被爆者援護に道開く
在外被爆者支援連絡会共同代表・長崎県原水禁 平野 伸人

 在外被爆者の被爆者健康手帳の海外からの申請を拒んでいた「来日要件」(日本に来なければ被爆者手帳を取得できない)は、今年6月に被爆者援護法が改正され撤廃されることとなりました。さらに、厚生労働省は、昨年11月の、韓国人被爆者への国家賠償を命じた三菱徴用工の最高裁判決を受けて、「402号通達」による精神的被害に対して120万円の慰謝料を支払う意向を示しました。(詳しくは本誌07年12月号掲載)
 このような状況が、戦後補償を求めるオランダの団体に伝わり、その結果、オランダに被爆者が多数生存していることがわかりました。さらに、共同通信社が生存しているオランダ在住の2人の元捕虜被爆者と連絡し面会することになりました。在外被爆者の支援を続けている原水禁はオランダ人被爆者の調査に協力することになり、長崎原水禁が9月16日から22日までオランダにおける被爆者の実態調査を行いました。そして、2人の被爆者の委任を受け、被爆者健康手帳を代理申請(事前申請)することになりました。

長崎の爆心地近くの捕虜収容所で被爆


面会したアーマンド・ブセラーさん(オランダ・ハーグ)
 第2次世界大戦中、長崎には福岡捕虜収容所第14分所と第2分所の2つの収容所がありました。第14分所は原爆爆心地から1.7㎞の長崎市幸町にあり、オランダ・イギリス・オーストラリアなどの捕虜約480人が収容されていましたが、病死が相次ぎ、原爆当時は200人近くに減っていたと言われています。これらの人は戦後帰国し、その後、長崎を訪れた少数の被爆者が被爆者健康手帳を取得しました。しかし、日本国外に居住地を移すと受給権が失権するとした厚生省の「402号通達」により、援護は阻まれていました。
 いま約70人あまりの被爆者がオランダに居ると言われていますが、高齢化している被爆者の生存者の正確な数は不明です。今回面会した2人の被爆者は、援護に関する情報を何も知らされていませんでした。遅きに失した感は否めませんが、今後、被爆者手帳の申請や各種手当の申請など、これまで放置されてきたこれら捕虜の被爆者の援護に取り組まなければなりません。
 今回、面会した2人の被爆者の概要は次の通りです。

 ロナルド・ショルテさん(1924年生)ハーグ近郊在住
 「インドネシアで日本軍の捕虜となり、福岡捕虜収容所第14分所に収容されていました。被爆当日は、収容所近くで防空壕掘りの作業中をしていました。誰かがパラシュートだと叫ぶ声が聞こえたかと思うと、太陽がどこにあるか分からないほどの光が目に飛び込んできて3メートルほど吹き飛ばされました。気付いたら周囲の建物は崩れ収容所も破壊されていました。捕虜7人が亡くなりました。イギリス人も2人亡くなりました。無事だった捕虜や日本兵とともに丘の上に逃げました」

 アーマンド・ブセラーさん(1923年生)南部在住
 「インドネシアで捕虜になり福岡捕虜収容所第14分所に収容されていました。兄2人らとともに収容所近くで防空壕掘りの作業中に被爆しました。兄2人は外にいたので全身に火傷を負いました」

他国の被爆者へも拡大の可能性
 今年12月までに施行予定の被爆者援護法の改正により来日要件が撤廃されます。これにより被爆者手帳・健康管理手当などの諸手当ともに被爆者本人が来日しなくても取得が可能となりました。この状況を踏まえて、改正被爆者援護法の施行後、在外被爆者が来日しないで被爆者健康手帳を取得できる初めてのケースとなります。在外被爆者にとって朗報と言えます。
 事実上これまで援護の対象外となってきた、元捕虜の被爆者に被爆者健康手帳が交付され、被爆者援護法に基づく援護が受けられるようになれば、オランダだけでなく、イギリス、オーストラリアなどの元捕虜被爆者にも拡大される可能性があります。高齢化している在外被爆者にとって、被爆者援護は時間がありません。早急な援護態勢が作れるかどうか、課題は多いけれども、原水禁として今後もこれらの元捕虜被爆者の調査と支援を続けていかなければなりません。

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動き出した泊原発3号機のプルサーマル計画
核燃料サイクルに反対して道民が立ち上げる
北海道平和運動フォーラム 事務局長 瀧本 司

来年12月の運転開始めざす泊原発
 北海道の積丹半島にある泊原発3号機は、多くの道民が反対してきたにもかかわらず、来年12月の営業運転開始に向け建設工事がすでに最終段階となっています。さらに、私たちが当初から懸念してきた、使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画についても、今年4月に北海道電力がその企みを明らかにし、北海道や地元4町村(泊村、神恵内村、岩内町、共和町)に対し安全協定に基づく事前協議を申し出ました。それを受け道は、推進派の学者など7名による検討会議を5月に結成し、安全性についてのみ検討を進めています。
 このような状況に対して、プルサーマル反対闘争を強化するため、北海道平和運動フォーラムの呼びかけにより、泊原発3号機の本体着工を阻むため結成され運動をすすめてきた「脱原発・クリーンエネルギー市民の会」に17の市民団体が再結集し、様々な集会や各界への申し入れなどが活発に行われています。

国に屈する道と地元自治体


プルサーマル計画に反対するデモ行進
(8月・泊村)
 北海道でのプルサーマルを何としても強行したい国は、自らが現地に乗り込み、まやかしの必要性や安全性を住民に押しつけるため、8月31日、泊村で「プルサーマルシンポジウム」を強行しました。その内容は、横暴なコーディネータによるパネルディスカッションなど極めて一方的、恣意的なものでした。
 私たちは国の思惑を打ち砕くため、シンポ当日、「泊3号機におけるプルサーマル計画反対8.31全道集会」を43団体、700名の参加により開催しました。現地での反対集会は9年ぶりでした。集会後は、参加者全員でデモを行い「プルサーマル反対!」「脱原発を推進しよう!」などと、地元住民に訴えました。
 さらに私たちは、9月17日、知事に対し10万筆以上の「泊発電所3号機でのプルサーマル導入計画に反対する署名」を提出し、プルサーマル計画実施に同意しないこと、プルサーマル計画の必要性・経済性について広く道民に問うことを求めました。
 しかし、道は「プルサーマル計画」の必要性・経済性に関する独自の検討など主体的姿勢を放棄し、10月2日、「検討会議」による「中間報告」を公表しました。その内容は、北電等の説明を鵜呑みにして、20項目について北電の対策を妥当と結論づけ、わずか4項目を今後の検討課題とするなど、極めて不当なものでした。
 この「報告書」は、60億円の交付金に目がくらみ、自らの主体的姿勢を放棄したものです。国策に追随する道の不当な姿勢を如実に反映したもので、「検討会議」がアリバイ作りであることが明らかになりました。

北海道の自然と道民の生活を守ろう
 10月12日、道は岩内町で「プルサーマル計画に関するシンポジウム」を開催しました。当初、道はシンポジウムを「中間報告」への意見集約の場としていたにもかかわらず、原発やエネルギー問題一般を扱うものに変質させ、「中間報告」の議論を避けました。さらに、パネルディスカッションの人選を推進派で固め、反対派は僅か2名という極めて公平に欠くものでした。
 私たちは、全道の脱原発運動にかかわる仲間を結集し、反対の意思を表明することにしました。当日は、青森の六ケ所再処理工場に反対する若者たちも多数駆けつけ、道や検討会議に対する批判が大きなうねりとなり、会場を圧倒しました。このことは、私たちの運動に大きな希望をもたらすものでした。
 今後、私たちは、プルサーマル計画反対闘争の山場を12月上旬と想定し、知事が国策にとらわれることなく、道民の生命・財産と生活環境を守る立場から「プルサーマル計画」に同意しないことを強く求め、運動を進めていきます。私たちは、北海道におけるプルサーマル計画を中止に追い込みことが、愚策である国の核燃料サイクルの輪を断ち切る契機になることを信じて、粘り強く闘い続けます。

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多極化の世界がいま始まろうとしている
第二のEUめざす南米諸国連合

反米の動きが顕在化する中南米諸国
 いま、中南米では反米の動きが一挙に顕在化しています。
 2005年12月のボリビアの大統領選挙で当選した、先住民族出身のモラレス大統領は、選挙公約にそって石油産業の国有化を進め、さらに新自由主義路線からの転換などを内容とする新憲法の制定をめざしています。これに強く反対する東部在住の富裕層は激しい抗議行動をとってきました。モラレス大統領は8月に信任投票を実施し、05年の得票率を上回って信任されました。
 しかし、この信任投票後から富裕層らによる抗議行動は激しさを増し、暴動にまで発展する騒ぎになっています。その暴動に米国大使が関与したとして、モラレス大統領は9月10日、米国大使の国外退去を求めました。これにベネズエラのチャべス大統領とホンジュラスのセラヤ大統領が同調し、同11日と12日に米国大使の退去、新大使着任を拒否しました。
 さらに9月15日には、「南米諸国連合」(UNASUR)が緊急の首脳会議を開催。モラレス大統領を全面的に支持する声明が発表されました。
 エクアドルでは9月28日に「新憲法案」が国民投票で承認されました。新憲法には中央銀行の独立性を廃止し、通貨政策は行政府へ移行されると明記され、さらに「市場経済」の言葉が削除され、「社会連帯経済」という言葉に変わりました。また外国軍の基地を置くことも禁止されます。このため、太平洋岸の米軍基地は2009年秋には撤退の見通しとなっています。

中南米の19ヵ国中、11ヵ国が左派政権に
 中南米諸国は、長年にわたってヨーロッパ諸国や米国などによって植民地支配され、多数の白人が移住し、大農園の経営、石油や鉱物資源などを独占的に支配されてきました。第二次世界大戦後、各国で独立戦争が勃発して、独立していきましたが、米国などの介入によって白人と利益を分け合う独裁者が国を支配するなど、20世紀は貧困にあえぐ先住民と、富を独占する白人富裕層との闘いの連続でした。
 しかし21世紀に入って状況は急変していきます。現在、南米12ヵ国のうち、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、チリ、ボリビア、ペルー、エクアドル、パラグアイの9ヵ国が左派政権となっています。中米(7ヵ国)でもニカラグア、パナマで左派政権が誕生していて、中南米で親米政権はコロンビア一国だけという状況です。

新自由主義に反対し独自の経済圏立ち上げ
 米国は1994年1月に米、カナダ、メキシコの3ヵ国による「北米自由貿易協定」(NAFTA)を発足させ、さらに94年12月に第1回米州サミットを開催し、南北アメリカ全てが参加する「米州自由貿易地域」(FTAA)の創設を提案しました。これは新自由主義による米国の市場主義経済を中南米のすべて広げようとするものでした。
 しかし、ブラジルとアルゼンチンはこうしたFTAAの動きに危機感を抱き、ウルグアイ、パラグアイを加え、4ヵ国による「南米南部共同市場」(メルコスール)を95年1月に発足させ、域内の関税を原則撤廃、域外に共通関税を実施する独自の経済圏を立ち上げました。
 メルコスールは現在も存在していますが、こうした独自の経済圏設立は今年5月23日に調印された「南米諸国連合」(UNASUR=9ヵ国の批准で発効)として実を結びます。南米諸国連合の設立条約には、主権の平等、核兵器廃絶を目標に明記し、社会的、経済的な不平等の根絶をうたっています。UNASURはEUのような経済圏の創設を目指しているのです。

米国の一極体制は足元から崩れる
 こうした中南米の動きに米国が手をこまねいている筈はありません。今年7月、中南米海域を行動範囲とする第4艦隊を、58年ぶりに復活させ、さっそく8月から、昨年9月に中米を襲ったハリケーンの被害者を支援するという名目で、ニカラグアなど7ヵ国を訪問しました。人道支援に名を借りた砲艦外交です。
 この動きにニカラグアは強く反発し、9月9日にロシアの戦略爆撃機(ツボレフ160)2機が合同演習の名目でベネズエラの基地に到着しました。さらに11月にはロシア海軍との合同演習を計画しています。
 またニカラグアは中国との関係も強めています。さらに9月に開会された国連の年次総会で、ニカラグアのミゲル・デスコト・ブロックマン元外相が総会議長に選ばれました。ブロックマン議長は就任演説で、「常任理事国の権限を減少し、総会の権限を拡大して国連の民主化を進める。IMFと世界銀行を改革したい」と演説しました。中南米諸国は米との関係でも強弱があり、多くの不安定さも残っていますが、米国の一極体制は足元から崩れ、多極化の世界が始まろうとしています。

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【本の紹介】
エネルギーと環境の話をしよう
西尾 漠 著


七つ森書館 1600円
 原子力資料情報室共同代表の西尾漠さんは、明治学院大学で学生に「エネルギー論」を教えています。その教科書となるような本として編んだものが本書で、初心者にもわかりやすくエネルギーと環境をどのように考え、どうとらえたらよいのかという見方を示したものです。そのために、できるだけ数字やグラフを使わずに読み手の側でエネルギーと環境について考えるための素材を提供するものとなっており、肩が凝らずに読むことができます。
 まず、石油や石炭、ウランなど「枯渇性」エネルギー資源には当然限りがあり、それらの利用により環境悪化を招くことがまず紹介され、そのような資源がなくとも生活できるような再生可能なシステムの準備が必要なことを訴えています。そのためには、「資源を使っている間」におこる環境破壊を少しでも小さくする必要があるとしています。
 では、どのようなエネルギーを求めたら良いのでしょう。原子力のような巨大電力を作り出すシステムは、大量消費社会を推進し、電力消費を増加させだけであることを明らかにし、自然エネルギーの活用と省エネルギーの推進の必要性が訴えられています。特に大規模な発電は遠隔地でつくられ、エネルギーの一極集中と送電や安全性の問題を抱えています。様々なエネルギーの利用によって、分散型で地域の特性にあったエネルギーのつくり方や利用の仕方が必要だとし、さらにエネルギー消費を小さくする試みをもっと積極的にはかるべきだと、事例を含め紹介されています。
 「私たちが動けば、企業や行政も動きます。企業などが動けば、社会全体が動きます。一人一人の小さな力を、孤立させず、大きく活かすにはどうしたらよいか。何ができるか。みんなで考えるきっかけにこの本がなれば」と結んでいます。エネルギー問題を誰かに任せてしまうのではなく、一人一人が考え、行動していくことが求められています。

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【映画評】
ブラス!(96年/英国)
マーク・ハーマン監督


 「短期集中連載・活動家へのお勧め映画」とタイトルをつけ、勝手に連載を始めました(編集長は認めていません・笑)。
 最近の米国映画は、怪物が人類を滅亡させたり、諜報部員がテロリストを倒したりするものばかり。「何だかな~」と思っている人、いませんか? そこで僕が、心が「ジーン」とくる社会派映画を紹介します。第1回は、『ブラス!』です。
 90年代初頭、英国イングランド北部の炭坑町。主人公は、この町でブラスバンドに集う炭鉱労働者たちです。100年の伝統を持つ彼らのバンドは、全英大会での優勝をめざしています。しかし、時の英国は、サッチャー首相による新自由主義のただ中。炭鉱では、閉山・解雇を進める会社側と、組合の対立が続いています。生きる誇りであるブラスバンドと、生きる糧を得るための職場。その二つが、映画のテーマです。
 「84年には本部に反してストを打った。そして勝ったじゃないか」。解雇を受け入れて割り増し退職金を取ると言う組合役員に、反発する労働者。そんな彼も、停職処分中の借金で家族が離れ、解雇受入れに転じてしまいます。「ラッパばっかり吹いて何よ。前は全て投げ出して闘ったじゃない」。ピケットに参加する妻に、答えることができない夫。労働者や家族の様々な思いが描かれる中で、組合は解雇を受け入れます。
 全英大会への出場権は得たものの、閉山が決まりバンドは解散へ。しかし、老指揮者がじん肺で倒れたことから、彼のために最後の演奏をと、バンドは大会に向かいます。そして優勝。ラストシーンの授賞式、「この10年、政府はなにをした? 職場を壊し、共同体と家庭を破壊し、労働者から誇りを奪っただけだ」という老指揮者のスピーチは圧巻です。
 「労働者の団結!!」と、大きな声をあげている映画ではありません。でも、迷ったり悩んだりしながら支えあっている登場人物を見ていると、大切なのは仲間と家族だということ実感します。
 ちなみに僕は、会議と集会に疲れて、「何で活動家やっているのだろう」と思った時に、この映画を借りてきます。
(八木 隆次)

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投稿コーナー
「公正なグローバル経済」求め国際連帯税の実現を
オルタモンド事務局長 田中 徹二

国際連帯税はすでに実施されている?
 今年2月に超党派による「国際連帯税創設を求める議員連盟」ができ、マスコミでも国際連帯税について報道する機会が増えてきました。日本ではまだ実施されていませんが、一部の人はすでに支払っています。フランスやお隣の韓国ではすでに国際連帯税を導入しており、その税は飛行機のチケット購入時にかかるからです(航空券国際連帯税)。日本人がフランスや韓国に飛行機で旅行して帰国する時、それぞれ4ユーロ(約550円)、1,000ウォン(約80円)の国際連帯税を払っているのです。昨年、合計約7億円ほど日本人が国際連帯税を払っています。
 この国際連帯税は各国の当局が徴収し、フランス政府が窓口となっている「UNITAID(ユニットエイド)」という機関で使われています。この機関は、アフリカ等で猛威をふるっているHIV/エイズ、結核、マラリアの治療薬を購入しています。このように、私たちが知らないうちに、フランスや韓国の税制度によって感染症で苦しんでいるアフリカの人々の命を救っているのです。よい意味でのグローバリゼーションと言えるかもしれません。

世界の貧困解消資金の通貨取引開発税


金融取引への課税についての国際会議
(06年3月・パリ)
 アフリカや途上国への支援は本来政府開発援助(ODA)で行うべきですが、現在の世界のODAでは途上国の貧困解消のための支援に、年間500億ドルも足りません。30年も前から、支援国側はGNI(国民総所得)の0.7%を拠出しようという国際目標を掲げてきましたが、昨年はわずか1,037億ドル、GNI比0.28%でした。ちなみに、日本はこの10年間ODA予算は減りっぱなしで、昨年はGNI比0.17%でした。
 国際連帯税はこうしたODAの資金不足をカバーするために、とくに貧困解消のための資金調達の手段として考えられたものでした。しかし、航空券税による税収はフランスで2億ドルほどであり、そう大きな金額ではありません。それで世界のNGOなどが主張しているのがもうひとつの国際連帯税としての通貨取引開発税(CTDL)です。これは外国為替市場での通貨取引に対してごく薄い0.005%を課税し、その税収を開発・貧困解消の資金にしようというものです。
 CTDLによる税収は2007年段階で世界全体では330億ドルが可能と試算されていました。これは年間の為替取引が約770兆ドル(8京円=日本の一般会計の千倍)にも上るので、ごく薄い課税でも巨額の税収となります。
 ちなみに、実際にお金が必要となる世界の貿易額と直接投資を合計した金額(実需)は年間18兆ドルです。従って、実需の約40倍ものお金が投機マネーとなってマネーゲームに投入されていることになります。
 現在米国発の金融危機が全世界を被い、つい最近までの食料・石油暴騰の主犯である投機マネーはものすごい勢いで収縮しています。従って、外国為替市場での取引も縮小していますので、CTDLの税収予測はより少ないものになりそうです。一方、CTDLはごく薄い課税とはいえ、とくに何度も短期の取引を繰り返す投機マネーにはより割高な税率となりますので、一定の規制的役割も果たすことが期待されています。

今、なぜ国際連帯税?11月にシンポを開催
 国際連帯税をめぐる動きは、冒頭のべた超党派の議員連盟の活動、そして日本政府もつい最近、フランスやブラジルが主導する「連帯税のためのリーディング・グループ」に55ヵ国目の国として参加を決定するなど、活発になってきました。
 この動きに連動し、NGOや労働組合、そして研究者が集まり、11月に東京で国際連帯税に関するシンポジウムを開催します。このシンポジウムの基調報告を、かねて米国流「金融資本主義」に警鐘を鳴らし、国際連帯税の必要性を訴えてきた寺島実郎さん((財)日本総合研究所会長/(株)三井物産戦略研究所所長)が行います。ふるってご参加ください。

「国際連帯税」シンポ~日本での実現をめざして!~
 日時:2008年11月23日(日)10:30~17:00
 会場:東京税理士会館大会議室
 詳細はhttp://blog.goo.ne.jp/global-tax

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第9回 非核・平和条例を考える
全国集会in金沢

11月22日(土)
【全体会】12:30~
会場:石川県文教会館
■基調提案:「非核平和条例運動の到達点とこれから」新倉裕史さん(非核市民宣言運動・ヨコスカ/ヨコスカ平和船団)
■記念講演:「憲法9条を語る」小池 清彦さん(加茂市長・元防衛庁教育訓練局長)
■特別講演:「岩国のたたかいと市民自治」井原 勝介さん(前岩国市長)
■特別報告:「原子力空母の横須賀母港化反対運動」
■石川からの報告

11月23日(日)
【分科会】9:00~12:00
会場:労済会館
〈第1分科会〉非核平和条例制定運動の現状と課題
 助言者:新倉裕史さん(同上)
〈第2分科会〉米軍再編・日米地位協定と自治体の平和力
 助言者:井原勝介さん(前岩国市長)
〈第3分科会〉国民保護計画と平和的生存権
 助言者:田巻一彦さん(ピースデポ)
■問い合わせ先:集会実行委員会 TEL076-233-2170

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