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ニュースペーパー2009年10月号

2009年10月 1日

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【インタビュー・シリーズ その39】
日米の平和団体の連携を強化して反戦・核廃絶を
アメリカ・ピースアクション代表 ケビン・マーティンさんに聞く

【プロフィール】
ワシントン、ボストン、ピッツバーグでの開票検査人としての活動を通じて、1985年から平和運動に携わっている。 2001年9月に設立された、ピースアクション教育ファンドの代表でもある。 ピースアクションは、全米最大の平和・軍縮運動団体であり、マーティンさんは10万人の会員を率いる。原水禁とも深い関わりがある。ピースアクション代表の傍ら、2002年に設立された「平和と正義のための連合」の共同代表も務める。昨年5月には、平和派遣団の一員として中国人民平和軍縮協会に招かれた。

――マーティンさんは、本年度の原水禁大会の海外ゲストとして来日されました。マーティンさんが平和運動に参加するようになったきっかけは何ですか。
 それは、ロナルド・レーガンですね。レーガン大統領の誕生は、米国の市民にとって脅威になると感じたのです。そこから、平和活動に参加するようになりました。そのころ私は大学生でしたが、レーガン政権は、世界の本来あるべき姿からは、非常に遠いものでした。

――めざす世界の姿とは、どのようなものですか。
 平和で、正義が実現され、持続可能な世界こそが、唯一、将来を約束していると思います。私には15歳と11歳の子どもがいます。食事をしながら話をすると、子どもたちは「米国はいつも戦争をしている」と言います。米国は常に戦争をしているわけではありません。でも子どもの目からみると、そう見えるのでしょう。また、米国の子どもたちよりも、戦争の危機にさらされている子どもは、他の国にたくさんいます。たとえ自分の子どもでなくても、彼らが戦争にさらされていることを、見過ごすことはできません。

――私たち日本に住んでいる者からも、米国は海外に軍事基地を持ち、常に戦争していると見えています。
 カナダに行ってきた友人から、こんな話を聞きました。彼のカナダの知人は、「米国は世界中で戦争をしている。米国の歴史は暴力革命ではじまり南北戦争を行った。米国人とカナダ人は異なった感覚をもっている」と言ったそうです。

――09年の後半から来年にかけて、ピースアクションの運動課題は何でしょうか。
 いくつかの課題があります。核廃絶を実現すること、イラク戦争を終わらせること、アフガニスタン戦争を終わらせること、イランに対する先制攻撃を許さないこと、軍事予算を削減して社会保障や環境関係予算に振り向けること、などです。

――ブッシュ大統領からオバマ大統領に政権が代わったことで、米国の政治に変化は起こりますか。


原爆記念碑に献花(中央 09年8月・広島)
 最も可能性が大きいのは、核廃絶でしょう。核廃絶に関するオバマ大統領の政策は、ブッシュ大統領とは比べものになりません。米国の核政策を転換させるためにも、来年に行われるNPT再検討会議に向けて、世界の平和運動と連携を強化していくことが重要だと考えています。
 一方でアフガニスタン政策では、オバマ政権のほうがブッシュ政権よりも悪くなっています。オバマ政権では、アフガニスタンへの軍隊派遣を増強しているからです。増派が続けば、アフガニスタンはさらに破壊的な状況に陥るでしょう。またオバマ政権にも悪影響を及ぼすと思います。
 米国の市民は、手放しでオバマ大統領を称賛する傾向にあります。ですが、活動家は、そうであってはいけません。間違った政策に対しては、しっかりとした批判が必要です。しかし、オバマ政権の政策一般は、支持できるものが多いことも事実です。そのため、オバマ大統領の間違った政策を批判することが、難しくなるとも考えられます。

――米軍のイラクからの撤退は可能ですか。一定数の米軍が駐留して支配を継続することはありませんか。
 撤退しなければならないのです。米国に選択の余地はありません。イラク国軍の能力も高まっています。状況が整うまで、撤退を先延ばしするわけにはいきません。ブッシュ大統領時代の米国とイラクの合意では、米軍は2011年までに撤退することになっています。一方で米軍内部には、イラク駐留の継続を求める声があることも事実です。
 米軍がイラクやアフガニスタンに駐留を続ければ、オバマ大統領のリーダーシップが問われることになるでしょう。それは、核廃絶だけにとどまらずに、国内政治にも影響を与えることになります。オバマ大統領はイラクやアフガニスタンの再建に責任を持たなければいけないのと同時に、国内の様々な問題にも予算を回さなければならないのです。米国の失業率は10%を超えています。経済不況や失業問題などへの対処も重要です。

――イランに対する先制攻撃の危険性はありますか。
 結論から言えば、可能性は低いと考えられます。しかし米国の保守層の中には、イランの核開発などに乗じて政治的な緊張を高めようとする動きもあります。

――米国は中東で何をめざしているのでしょうか。イスラエルの安定や、米国とイスラエルによる中東支配でしょうか。日本からはよく見えてきません。また米国の平和運動は、中東をどのように見ていますか。
 私たちは、パレスチナ国家の建設を支持します。しかし短期的には難しいでしょう。パレスチナとイスラエルの問題については、注視を続けることが必要です。オバマ政権は、無条件にイスラエルを支持しているわけではありません。これはブッシュ政権との大きな違いです。
 またこれまで米国はサウジアラビアやエジプトを支持することで、他の中東諸国との関係を悪化させてきました。こうした政策を転換することも必要です。

――オバマ政権が軍縮の方向で予算を編成するためには、軍産複合体と一線を引かなければなりません。両者の関係はどのようになっているのでしょうか。
 軍事予算の削減や軍産複合体との関係の整理を、オバマ政権が行うとは思いません。オバマ大統領は「政権の中にロビイストを入れない」と公約していましたが、国防副長官に軍事産業であるレイセオン社の副社長が就任しました。F22戦闘機の調達中止などは行いましたが、全面的な軍事予算の削減と、社会保障費への転換は難しいでしょう。

――沖縄県の名護市・辺野古沖に、新たな米軍基地を建設する動きがあります。新基地建設を阻止することが、日本の平和運動にとって最大の課題です。沖縄県議会の反対決議をはじめとして、沖縄では大きな反対運動が起きています。民主党も社民党も反対です。米国の平和運動にも、協力をお願いします。
 在外米軍基地の問題については、世界的な視点で見ることが大切です。ある国から撤退しても、他の国に移転するだけの場合もあるからです。米軍が沖縄から撤退しても、グアムやハワイに行くことになるだけかもしれません。まあその場合には、移転先の地でさらに反対運動をするのですが...。

――「米軍は米国へ帰れ」というのが、日本の平和運動の立場です。日本では総選挙で私たちの支持する民主党・社民党が多数派になる可能性が大きくなりました。米国も注目してください。
 そうなることを祈っています。日米の平和団体の間で連携を強化して、ともにがんばりましょう。

〈インタビューを終えて〉
 私の最も尊敬している米国の活動家の一人です。日本の活動家の多くは肩に力が入っているように思えますが、彼は自然体です。平和・核軍縮運動の層の厚さ、伝統が彼に自信をもたらしています。そしてオバマ大統領の可能性と限界も見据えています。オバマ大統領が「軍産複合体」との関係をどうするのか注目しています。日本でも政権交代が実現しました。従来の従属型の対米関係にも変化が出てきます。日米の平和団体の連携が必須となります。
(福山 真劫)

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民主・社民・国民新党の連立政権誕生
政権交代で新しい時代をつくりだそう!

制度・政策要求が実現する可能性が拡大
 8月30日を投票日とした第45回衆議院総選挙は、政権交代か継続かを争点として闘われました。国民は「政権交代」を選択し、民主党を中心とする「野党勢力」の大勝利となりました。自民党を歴史的惨敗に追い込み、戦後一貫して続いてきた自民党を中心とする保守政権に終止符を打ちました。
 9月9日、民主党、社民党、国民新党の3党は、連立政権の樹立と政策を合意しました。私たちは連立政権の樹立を支持します。政策合意の中には、労働者の生活・権利の確立、社会保障制度の改革、米軍再編成・在日米軍基地課題での取り組みなどなどの希望が詰まっています。そして16日に鳩山連立内閣が誕生しました。新しい出発です。
 私たちはこれまで、民主党、社民党を中心とする野党勢力と連携し、政策転換と自公政権に代わる政権を強く求め続けてきました。今回、民主党、社民党などの野党と、それを支援した労働団体、平和団体、市民団体、市民の奮闘により、政権交代が実現しました。
 戦後初めての本格的政権交代で、私たちがめざしてきた憲法理念の実現や、平和フォーラムの制度・政策要求が実現する可能性が大きく拡大しました。また、これまで自民党がつくりあげてきた、自民党と官僚体制、経団連をはじめとする業界団体でつくりあげている権力維持・癒着・利権構造の解体ができる可能性が大きく拡大しました。
 この事態は、明治維新、「戦後の民主化」と匹敵する改革の質を持つものであり、そのことを選挙で実現したという意味でも画期的事態です。私たちはこの事態の本質を踏まえて、私たちのめざす政策実現に向けて全力で取り組まねばなりません。
 一方、権力を失った自公勢力や古い勢力の抵抗、巻き返しの動きも強化される可能性もあります。私たちはこれらの動きに対して、断固、新政権を擁護する必要もあります。自公政権と連携してきた米国政府の対応も注目しなければなりません。既得権擁護に走る中央官僚組織の動きにも注意を払う必要があります。

政策実現型に運動の組み立て方を転換
 私たちは政権交代後の新政権下で政策の実現をめざすため、運動のありようも、従来の抵抗型・対決型中心の運動から、より政策実現型に運動の組み立て方を転換する必要があります。それゆえ私たちにとって、政策提起能力の充実と与党や政府への働きかけの強化や連携した取り組みも必須となります。そのため、平和フォーラムの運営の充実、関係団体や研究者との連携強化など体制強化も重要です。
 新政権の政策と私たちの政策は、その方向性において多くの課題で重なりながら、新政権としての限界や民主党内における多様な路線の存在等により、完全に一致しているわけではなく、異なる課題もあります。そうした課題については私たちの方針を堅持し続けることが原則であり、引き続き政府・与党に政策転換や充実を多様な形で求め続けることが必要です。
 また、民主党・社民党中心とする政権であっても、私たちのめざす方向・方針と決定的に違う動きをする可能性もあります。その場合は、私たちは「めざすべき方向・方針」を持っている運動体ですから、対抗するのは当然です。

長期的視野で粘り強く取り組もう
 新政権を取り巻く状況や構成の事情等からして、政策実現おいて困難な事情も多く存在します。100年に一度の不況と前政権の構造改革路線と無策の中で、国民生活はますます深刻化しています。国民生活安定に向けての抜本的な対策が必要ですが、経済危機、財政危機も継続しており、雇用の安定、社会保障制度の再確立の困難性が予測されます。
 平和・安全保障政策においても、旧政権がつくりあげてきた日米同盟に基づく米政府の強い干渉力が存在し、民主党内の考え方の違いもあり、早期の抜本的改革の困難性も予測されます。官僚主権から国民主権、中央集権から地方主権、予算の全面的見直しなど「革命的改革」の実施にあたっては、官僚の抵抗、既得権勢力の抵抗も予想され、政策実現には多くの紆余曲折も予測されます。
 新政権も政権・権力保持のために保守性、政策の持続性を理由にして野党時代に主張していた改革に消極的になる可能性もあります。政権内や民主党内の意見分岐の可能性も否定できません。私たちとして、こうした事態も踏まえて、長期的視野で粘り強く取り組む必要があります。

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憲法理念の実現をめざす第46回大会(第46回護憲大会)の課題
対話と協調の世界を求め、市民政治の新時代に

 11月3日の「憲法公布の日」を前後する3日間、全国持ち回りで開催してきた「護憲大会」は、本年、長野県長野市において「対話と協調を求め、市民政治の新時代に─憲法理念の実現をめざす第46回大会」(略称・第46回護憲大会)を名称に、11月1日から3日までの日程で開催します。
 今回の大会は、鳩山由紀夫民主党代表を首相とする、民主党・社民党・国民新党の3党連立の政権が誕生した中で行われる大会です。衆議院総選挙で主権者が初めて政権交代を選択した点だけでも画期的ですが、新たな政権による施策の実現は、明治維新、「戦後の民主化」と匹敵する改革の質を持っています。
 3党連立合意は、「憲法」について、「唯一の被爆国として、日本国憲法の『平和主義』をはじめ『国民主権』『基本的人権の尊重』の3原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と明記しました。

自公政権と日本の平和や人権の状況
 64年前、日本は、アジア・太平洋地域、国内外に多大な犠牲をもたらし、その反省から平和憲法が誕生しました。
 歴代自民党内閣のもとで、憲法第9条は空洞化され、日本は世界有数の軍事力を持ち、また、米軍基地とあわせて世界最大・最強の基地群が築かれ、自衛隊の海外派兵が日常化し、「戦争する国づくり」が進められました。沖縄では、依然として米軍による重圧が続いています。日本の戦争・戦後責任の課題も山積したままです。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化は果たされず、近隣諸国との「過去の清算」も未解決。加えて、2005年総選挙で衆議院の3分の2議席の多数派となった自公政権は、教育基本法改悪、改憲手続法制定などを強行し、2007年参院選の与野党逆転後も、衆議院での強行採決を続けてきました。
 人権についても、日本が結んだ国際人権条約は30のうち12だけです。国連の人権機関は国内人権機関設置や様々な差別の問題で、次々と日本に勧告しています。しかし、自公政権のもとで改善しないどころか、新自由主義路線によってセーフティネットは崩され、昨秋来の世界不況は日本でも解雇・失業をはじめ生活危機を広げてきました。

新政権の誕生と憲法理念の実現


大会のポスター
 政権交代したいま、憲法理念を実現させる転換点です。世界的にもオバマ米国大統領が登場し、4月5日のプラハ演説で「核兵器を使用した唯一の国として行動する道義的責任がある」とし、「米国は核兵器のない世界をめざす」と決意を表明。世界は核廃絶へと歩み出そうとしています。他方、東北アジアでは北朝鮮の人工衛星ロケット打ち上げを契機とした再度の核実験など緊張状態にありますが、対話と協調へと転換することが重要です。
 生活再建に向けた雇用の安定、社会保障制度の再確立など、新たな社会的経済的な権利の確立も着実に具体的に実現しなければなりません。
 小泉・安倍内閣時代に画策された自民党主導の改憲の動きは明確に破たんしましたが、日米関係では米政府の強い干渉力が存在し、新政権でも、早期の抜本的改革の困難性も予測されます。沖縄の辺野古基地建設計画の中止をはじめ、米軍再編と戦争をする国づくりから確実に脱却させなければなりません。
 東北アジアの非核化と平和に向けて、市民との不戦の交流、平和連帯・共通の安全保障を明確にする平和環境の醸成の取り組みや、人権や民主主義の確立、人々の「命」や生活を重視する「人間の安全保障」の政策実現の取り組みを広げていくことが必要です。とりわけ、議会制民主主義の再生や、国際人権諸条約の批准と人権法制度の確立に向けた取り組みは、すぐにも着手しなければなりません。
 長野での護憲大会開催は1965年以来です。その後、46回を数える護憲大会を定着させた歴史的にも意義ある第2回大会でした。継続は力なり......粘り強く取り組んできた全国の護憲運動に学び、さらに広げるためにも、みなさんの積極的な参加を呼びかけます。
「大会開催の呼びかけ」などは、平和フォーラムのホームページからご覧ください。

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総合的な化学物質の管理のための基本法を
増加する健康被害に早急な対策を

有害化学物質の削減をめざす排出量公表制度


2007年度排出量上位10物質(全国・09年2月公表)
 私たちの暮らしの中には、合成洗剤や殺虫剤、芳香剤、プラスチック、食品添加物など多種多様な化学物質が存在しています。化学物質は、過去、水俣病・カネミ油症などの公害を引き起こし、近年はシックハウス・化学物質過敏症など新たな健康被害が問題になっています。化学物質の影響は地球規模で、世代を超えて及ぶことがわかってきました。使い方によっては、未来世代に取り返しのつかない負の遺産を押しつけかねないものです。
 日本では、有害化学物質使用の削減や代替物質への転換促進を目的に、化学物質の排出・移動量を業者などが届出をする制度(PRTR制度)があります。これに基づいて、環境省と経済産業省では、毎年、排出量のデータを公表しています。今年2月には、2007年度分のデータが公表されました(データ公表は集計の関係で1年以上後になる)。これによると、法で規制される354種類の有害物質(第1種指定化学物質)の環境中への排出量の合計は526千トンになりました。

家庭からの有害物質排出の半分以上は合成洗剤


化学物質政策基本法を求める署名を提出して要請
(09年6月 受け取るのは岡崎トミ子民主党参院議員・左)
 このうち、上位ワースト10には、合成洗剤の成分である、ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(AE)と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)の2種類が含まれています(上図)。ワースト10にAE、LASが含まれるのは、毎年のことですが、2007年度分はその量が増加しました。これは、これまで下水処理施設からの排出量については、水質汚濁防止法等における30物質を届け出るだけで、その他の物質はPRTR制度上、排出されていないことになっていました。これが実態と異なっているとして、市民やNGOの要求も踏まえて制度を見直した結果、2007年度分からは、下水処理施設からの排出量も推計加算されることになったからです。
 大きな問題点は、家庭からの有害物質排出量をみた場合に、PRTR制度がはじまって以来、7年連続で合成洗剤成分のAE、LASが全体の50%以上を占めていることです。防虫剤などに使用されているp-ジクロロベンゼンも30%以上を占めており、この3物質で家庭からの有害排出物の80%以上になります。
 有害化学物質の削減努力を企業に求めるだけでなく、私たちの暮らしを見直し、合成洗剤追放運動など市民による削減・代替努力も求められています。

各党が「化学物質政策基本法」制定を公約に
 いま、EUやアメリカなど、国際的に化学物質管理を見直す動きが始まっています。日本でも、先の通常国会で「化学物質審査規制法(化審法)」が改正の際、参議院での附帯決議として、「化学物質に関する総合的、統一的な法制度及び行政組織のあり方等について検討を早急に進めること」が確認されています。
 こうしたことから、平和フォーラムも参加して「化学物質政策基本法を求めるネットワーク」がつくられ、化学物質の一元的、総合的な管理を求めて「化学物質政策基本法」を提案し、署名活動などが行われました。この動きを受けて、各党でも化学物質対策が政策に掲げられ、先の衆議院総選挙で民主党は、化学物質の製造から廃棄までの全体を予防的に取り組む総合的な「化学物質政策基本法(仮称)」の制定を公約しています。社民党も同様の政策を掲げました。市民のための化学物質の規制に向けた政策の早急な実施が求められています。

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原爆症認定集団訴訟の解決へ大きく前進
政権移行で政治主導の認定基準改定に期待
原爆症集団訴訟東京弁護団幹事長・弁護士  内藤 雅義

政府と被爆者団体の間で確認書が交わされる


被爆者などの座り込み行動(09年3月 厚生労働省前)
 今年の8月6日、広島の原爆慰霊式典の後、麻生太郎総理大臣兼自民党総裁(当時)と、坪井直日本被爆者団体協議会代表委員、田中煕巳同事務局長との間で「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係わる確認書」(以下「確認書」)が調印されました。
 原爆症認定集団訴訟については、2006年5月の大阪判決以後、被告の国(厚生労働大臣)に対して、勝訴判決を重ねてきました(今年8月の熊本判決まで19勝)。これらの勝訴判決を受けて、07年8月の安倍総理(当時)の原爆症認定基準の見直し指示、さらに08年4月からの認定基準の改定等による原告の一定割合の認定という成果をかちとってきました。しかし、未認定のまま残された原告の訴訟解決や、原爆症認定基準の在り方について、日本被団協・原告団・弁護団と、厚生労働省・国との間には、大きな溝が存在していました。
 こうした中で、与党プロジェクトチームの座長も務めた河村建夫官房長官(当時)は、08年秋に東京訴訟の東京高裁判決を受けて原爆症認定訴訟の最終解決を図ると述べるに至りました。これは、相次ぐ勝訴等、運動に押されて解決の時期を示さざるを得なくなったという側面とともに、行政寄りとされる東京高裁の判決に行政が期待をかけたという面も存在しました。
 これに対して、原告や被爆者団体は、多くの支援者とともに原爆症認定基準についての抜本的見直しと、原告全員の救済による訴訟の解決を強く求めて数度にわたる厚生労働省前の座り込みを含む運動を進めてきました。そして、本年5月15日の大阪高裁判決に続いて、東京高裁で5月28日に言い渡された判決は、それまでの判決の集大成とも言えるものでした。そのため、政府は、6月に原爆症認定基準の再改訂をせざるを得なくなりました。河村官房長官はさらに、8月の原爆の日までに解決を図ると言明。その履行が図られたのが今回の確認書です。
 これが実現したのは、その後の8月3日の熊本地裁全員勝訴判決や、それまでの運動の成果であるとともに、オバマ大統領のプラハ演説に見られる世界的な核兵器廃絶の機運が高まる中で、被爆国が被爆者に対してどのような対応をするのかが問われたことも大きいと考えられます。

非原告の認定申請者など残された課題も多い
 確認書は、大きく分けて、進行している訴訟の解決と原爆症認定基準という2つの部分からなっています。訴訟の解決については、一審で勝訴した原告について国が行っている控訴(上告を含む)を取り下げることによって、訴訟を終結させ、一審で敗訴した原告については、議員立法による基金で救済する内容を骨子としています。ただ、未判決の原告については、一審判決を待って勝訴者は認定、敗訴者が出た場合には基金で解決を図ることになりました。
 原爆症認定基準については、厚生労働大臣と被団協・原告団・弁護団との間で協議の場を設け、今後、訴訟の場で争うことがないように定期協議の場を設けるということになりました。そして、これらをもって、原告団は、集団訴訟を終結させることにしたのです。
 訴訟の解決については、国が控訴した訴訟について、これまで国が控訴を取り下げた例はなく初めてのことです。また、総理大臣が署名者となっているという点でもきわめて例外的なことです。
 今後、大きな課題となる認定基準の改定については、民主党を中心とした政権に移行した後、官僚ではなく、政治主導が強調されている中で、原告団等と厚生労働大臣と定期協議が約束された点で、立法的解決を含む大きな足がかりをつくったと考えます。
 しかし、いまだ基金の内容が未定であること、認定基準に関する今後の協議の在り方、滞留している非原告の認定申請者の問題等、様々な問題が残されており、今後とも大きなご支援をお願いします。

 

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MOX燃料を迎え撃つ! 盛り上がる佐賀の闘い
玄海原発へのプルサーマルを阻止しよう!
脱原発ネットワーク・九州 深江 守

41万人を超える署名を県議会、知事へ提出


「NO!MOX」の人文字でアピール(09年5月・佐賀市)
 佐賀県では2000年5月に労働組合、市民グループ、グリーンコープ生協などで「九州電力とのプルサーマル公開討論会を実現させる会」を結成して以来、プルサーマル阻止に向け、ありとあらゆる闘いを組織してきました。MOX燃料がいよいよやってくることから、今年3月23日、「NO!プルサーマル佐賀ん会」を新たに立ち上げ、有権者の過半数にあたる40万人を超える署名を集め、古川康知事と県議会議長に提出し、プルサーマルを止めるべく新たな運動を開始しました。
 MOX燃料の到着が予想された5月には、「5.10さがストップ!プルサーマル人文字フェスタ」を計画。世界中の批判を浴びてやってくるMOX燃料を1,500人の人文字で迎え撃つなど、新しい人たちの参加で反プルサーマルの闘いは大きく盛り上がりました。
 5月22日には、県平和運動センターなどの呼びかけで佐賀駅前に約100人の組合員が座り込み、「安全性は保証されていない」と市民へのアピールを行いました。また、MOX燃料が到着した23日には約100人の市民が玄海原発への搬入に抗議の声を上げました。
 NO!プルサーマル佐賀ん会は9月14日、前日までに集まった41万7,355筆の署名を添えて、佐賀県議会に対し「玄海原発3号機でのプルサーマル実施延期を求める決議」の採択を求める請願を行い、古川知事に対しては、同要望書を提出しました。
 請願書(要望書)では、1)多くの県民や全国の人々がプルサーマルの延期を希望している 2)燃料の品質に問題がある可能性が高く、安全性に不安がある 3)「使用済みのMOX燃料」の処理の方策がまだ立っていない 4)市町村レベルでの危機管理体制が整っていない 5)MOX燃料の使用について十分な実績がなく、安全面において不安がある 6)耐震安全基準は国の承認をまだ受けていないとの理由を挙げています。
 請願書を受け取った留守茂幸県議会議長は、「9月議会で議論し、みなさんが憂慮されていることをふまえ、議会として意思表示をしたい」と述べています。

MOX燃料に大量の不合格品 計画も大幅延期
 関西電力は8月19日、高浜原発3、4号機への導入をめざして製造中のプルサーマル用(MOX)燃料について、品質の確保を最優先に厳しく対応した結果として、製造した燃料ペレットの一部を採用しないことを発表しました。不合格となったのは、集合体4体分すべてのペレット約39万個であることが判明しました。
 これは今年6月、原子燃料工業株式会社とメロックス社(フランス)がペレットの性状を確認するための自主検査の一つを実施したところ、一部のペレットで目標値の範囲内に収まらない測定値を示すものがあったための処置ですが、メロックス社はこれまでの経験に基づき、「当該ペレットはMOX燃料として採用が可能だ」としています。玄海3号機用MOX燃料にも大量の不合格品が混入している可能性があります。
 九州電力が2008年12月末時点で保有する回収プルトニウムの量は、核分裂性プルトニウム量で、海外(英仏)に約1.9トン、国内に約0.3トン、合計で約2.2トンです。MOX燃料集合体1体中に含まれるプルトニウムの量は約28.1kg(核分裂性)なので、英仏に保有する1.9トンのプルトニウムからは、約67体のMOX燃料が製造可能となります。玄海3号機のプルサーマルは、1回につき16体のMOX燃料を装荷するので、4回分しかありません。
 日本原燃は今年4月、六ヶ所村のMOX燃料加工工場の工事計画について、これまでの2007年着工、12年竣工の予定を、09年着工、15年竣工に変更しました。この結果、玄海3号機へのプルサーマルは4回のMOX燃料装荷で終わることになり、再びMOX燃料を装荷するためには、どんなに早くても2年間の猶予があります。途中で中断することがわかっているプルサーマル運転をいま始める理由はどこにもありません。

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明治以来の大変革が始まる
軍事覇権型平和からの決別を

新政権、運動を広げつつ支えよう
 9月に民主・社民・国民新党の連立内閣が発足しました。長年にわたり、政官財の癒着構造が定着し、日本という国が壊れかけていた状況を立て直すのですから、大変な仕事になるでしょう。私たちも大転換に参加するという立場で発言し、新政権を支えていきたいと考えます。
 しかし、3党合意でも、マニフェストでも、私たち運動側が求める多くの課題が残っており、まだまだ私たちの運動を広げる中で、状況を切り開き、前進させることが求められています。

同じ平和でも、米国と日本では異なる
 まず私たちは米国が考える平和と、日本の求める平和は異なることを確認しておきましょう。
 米国の平和は、強い軍事力に裏打ちされたものです。イランや北朝鮮との対話は、圧倒的な軍事力優位の立場からの対話です。中国、ロシアとの協調・友好関係も、軍事的優位が確立された上でのことです。
 冷戦の時代、米国は旧ソ連よりも軍事的優位が一貫して求められてきました。こうした中で産軍複合体が生まれ、巨大化し、国家に大きな影響力を及ぼしてきた結果、軍事化した国家が常態化し、平和の前提として軍事的優位が絶えず求められてきたのです。
 一方、日本の平和は9条に象徴される平和憲法を基本としていますから、米国とは立ち位置が異なります。また日本は東北アジアに位置していて、中国や朝鮮半島との関係をどのようにしていくかは、日本の平和にとって極めて大事であり、そこから東アジア共同体構想が生まれてくるのです。

米国追随の軍事戦略が続いてきた
 自民党政権は、冷戦期から米国の軍事戦略を支持し続けてきており、冷戦終結に際してもなんの総括もしないまま、その戦略に従ってきました。このため国民の多くも、米軍とともに日本の軍事力を強化するのは当然と考えてきました。
 しかし、米国では軍事の中心が次第にミサイル防衛、宇宙防衛中心に移ってくる中で、米の産軍複合体は費用の面からも日本の参加を求め、さらに日本への配備を求めてきたのです。自民党もまた三菱重工を中心とする軍事産業と結託し、役に立たないことが明らかなのに、米のミサイル防衛配備の要求に応えてきたのです。
 また、ミサイル防衛は、北朝鮮というよりも、中国の軍事力に対応するものだということを、米軍は隠していません。米国は米中新時代を謳いながら、一方で対中国戦力を強めていて、軍事面での協力を日本に要求しているのです。

失われる米国の軍事的優位性
 この結果、アジアでは急速に軍拡が進むという状況が生まれています。中国が、米軍再編成に対応して軍事力を強化している状況にあります。
 今年9月発行のフォーリン・アフェアーズ・リポート(米外交問題評論誌)の日本語版は、米戦略・予算評価センターのアンドリュー・クレビネッチ所長の「米軍は東アジア海域とペルシャ湾に介入できなくなる?─危機にさらされる前方展開基地と空母」と題するレポートを掲載しています。このレポートは、米国が相対的に軍事的優位を失いつつある現状を、赤裸々に述べていて、衝撃的でさえあります。
 軍事的には米軍事力は圧倒的な力を保持していることに変わりはありません。しかし、中東であるとか、アジアであるとか、個別的にみると、その地域の国々の軍事力強化によって米軍の優位が失われつつあることを、前記のレポートは具体的に明らかにしています(核兵器を使わないことを前提として)。

アジアで進む軍拡を断ち切ろう
 日本は今後も、こうした軍拡競争のなかに参加し、巻き込まれていくのか、米中の間に立って、不必要な軍拡の流れを断ち切る役割をめざすのかが問われているのです。
 防衛省は8月30日の総選挙を前に、迎撃ミサイルPAC3を日本全国に配備する予算要求を提出しました。米軍再編を当然とする、軍拡路線からの予算要求です。役に立たないPAC3の配備ほど無駄なことはありません。
 鳩山連立政権は、当然、軍事費を含めた予算見直しを進めるでしょうが、米軍再編成、その中心のミサイル防衛がどのような結果をアジアでもたらしてきたのか、東アジア共同体構想にどのような影響を与えるのかを考え、検証すべきでしょう。
 同時に、私たちもミサイル防衛と沖縄米軍基地などが、どのようにアジアに軍拡をもたらしているかを訴えていかなければなりません。

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【本の紹介】
差別と日本人
対談:辛淑玉&野中広務


角川書店09年刊
 野中広務といえば、かつて自民党にあって「影の総理」と言われた実力者で、官房長官、幹事長時代を通じて「ガイドライン法案」「国家・国旗法案」「盗聴法案」「住民基本台帳法案」などを次々と手がけ、豪腕政治をほしいままにした政治家である。
 一方、沖縄特措法採決直前、「国会を大政翼賛会にしないよう」委員長として発言し、小泉元首相と真っ向対決し自ら議員を辞職した記憶はまだ新しい。
 その彼の生い立ちについては意外と知られていない。野中は京都・園部町の被差別部落出身で、大阪鉄道職員で手腕を発揮した後、園部町長、京都府議、副知事などを経て国会議員となった。政治家への転身のきっかけとなったのは、鉄道職員時代に後輩から受けた部落差別発言だったという。
 野中は政治家時代、部落出身であることをあえて語ろうとはしなかったが、あえて隠そうともしなかった。しかし、その差別の「重み」についてはひしひしと感じていたに違いない。麻生太郎(前首相)は、野中が首相候補の名前に上がったとき、「野中は部落出身、あんなのが総理になったら...」と発言したそうだが、そのような差別意識を「常識として」身に着けている議員がまだまだたくさんいるに違いない。
 一方、野中の対談相手は人権問題では名が知れている辛淑玉である。在日コリアンとして子どもの頃からさまざまな差別を受け、朝鮮人・韓国人としても、日本在住外国籍住民としても権利を保障されずにきた経過と差別の実態は、彼女のいろいろな本で紹介されている。この本は、辛淑玉が野中の生き様をインタビューする形をとっているが、その途中に辛淑玉が調べた部落差別の実態などが克明に記されており、非常に意義深い。
 「あとがき」で野中は、「差別はなくなってほしいがそう簡単なことではない」という。それはこの国が一歩間違うと大変危険な方向に向かってしまう要素を持っていることを、戦争を通して経験しているからだという。そして野中は残された人生を戦後処理問題にささげたいとも言っている。彼の発言はさまざまな体験の上から出ているので非常に重みがある。特に人権と平和への発言は軽々に論じるその辺の政治家とは全く違う重みを持っている。
 部落差別と在日への差別、形は違っていても同根であり、日本社会の最大課題ともいえる。この本は対談を通じてこの問題点を抉り出し、社会に対し見事に突きつけている。
 (前東京平和運動センター代表 遠藤 幹夫)

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【映画評】
ヒロシマ・ピョンヤン棄てられた被爆者
(09年/伊藤孝司監督)


 長年にわたり、日本の「過去」(植民地支配・戦争による被害)と「現在」(大規模な環境破壊)をアジアの民衆の視点からとらえてきたフォトジャ-ナリストの伊藤孝司さんが、被爆者健康手帳取得を望む北朝鮮の女性を描いた90分のドキュメンタリー。
 原水禁運動の取り組みの中で、日本政府による在外被爆者に対する援護措置がまがりなりにも進んだ中でも、なお「棄てられた被爆者」となっているのが北朝鮮で暮らす被爆者。しかも、とてつもないバッシングの中で、日本政府の動きは完全に止まったままです。
 原水禁国民会議は、1990年の被爆45周年世界大会に在朝被爆者が参加して以来、「反核平和のための朝鮮被爆者協会」と連携・連帯を進めてきました。その中で、在朝被爆者は1,911人で、すでに1,529人が死亡し、382人の生存が、08年に確認されました。しかし、深刻な食料・エネルギー不足や、医薬品・医療機器の不十分な状況で、被爆者たちの健康状態はきわめて悪く、死亡者は加速度をつけて増えています。
 広島県大竹市で生まれ、原爆投下12日後の広島に入って被爆した李桂先(リ・ゲソン)さんは、1960年、家族を残して北朝鮮に帰国。07年に手帳申請のため来日を計画したものの、日朝関係の悪化で断念しました。ピョンヤンで暮らす李さんは、次々と襲う病魔に苦しんでいますが、自らの被爆を知ったのは、04年に訪朝した母親からで、被爆後60年近くのことでした。
 伊藤監督は08年から3度、北朝鮮を訪問して取材。被爆者に対する差別や偏見とそれによる家族の苦しみも描き、独特の社会体制のなかで生きる被爆者の考えにも踏み込んでいます。各地での自主上映を呼びかけています(映画制作委員会のホームページは下記)。
http://www.jca.apc.org/~earth/iinkai.html
(五十川 孝)

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投稿コーナー
自衛官の人権を求めて
~護衛艦「さわぎり」人権侵害裁判勝利から1周年~
長崎県地方自治研究センター事務局長 今川 正美

国の責任を認めた初めての判決
 福岡高裁の法廷で満員の傍聴席から「やったー!!」という大歓声が上がったのは、昨年8月25日のことでした。長崎地裁佐世保支部での敗訴(05年6月)から3年、逆転勝訴の画期的判決が下されたのでした。自衛官の自殺をめぐる訴訟で、国(防衛省)の責任を認めた司法判断は初めてでした。
 以下、この事件と裁判の概要を紹介しておきます。
 1999年11月8日、佐世保基地所属の護衛艦「さわぎり」艦内で、A三曹(21歳)が上司の執拗ないじめを苦にして自殺しました。両親は、01年6月、自殺の真相解明と息子さんの名誉回復、自衛官自殺の再発防止を求めて提訴しました。しかし、防衛省は「能力不足を苦にしての自殺」と決め付け、05年6月、長崎地裁佐世保支部は、上司らの暴言の事実を認めながら「ある程度の厳しい指導・教育にさらされることはやむを得ない」として請求を棄却しました。
 同年7月、ご両親はただちに福岡高裁へ控訴。そして、昨年8月25日、福岡高裁の牧弘二裁判長は、国に対し原告に損害賠償金計350万円の支払いを命じる判決を下したのです。判決理由の要旨は、「隊員はうつ病が原因で自殺した。そのうつ病の原因は、上司の侮辱的な言動によるストレスであった。結局、上司の行為と隊員の自殺との因果関係が認められる」というものでした。結局、防衛省は上告を断念し、国の敗訴が確定しました。

「軍事オンブズマン制度」の創設を


出版記念会に多くの人が参加(9月12日・福岡)
 ところで、防衛省の自殺防止対策にもかかわらず、自衛官の自殺は毎年100人近くにのぼっています。自殺の原因別では「その他・不明」が約半数を占めており、この点が「いじめ」などによる自殺と推測されます。実際、いじめによる自殺やセクハラ・パワハラ事件を巡り、横浜や浜松、北海道などでも自衛官の「人権侵害裁判」が相次いでいます。しかし、自衛官の人権問題に関して、政治家や官僚たちの意識はきわめて疎く、平和運動側からも敬遠されがちでした。
 私は、政権交代が実現したいまこそ、「軍事オンブズマン制度」のような強力な調査権限を持つ第三者による監視機関を創設すべきだと考えます。併せて、主要な自衛隊施設がある地方ごとに「自衛官人権ホットライン」を設置して、悩める自衛官に対応できる民間側のシステムづくりが喫緊の課題だと思うのです。


裁判闘争の報告集を出版


「さわぎり人権侵害裁判」報告集
(B6版262頁)
 今年の9月12日、福岡市内で高裁勝利判決1周年も兼ねて、「さわぎり」裁判闘争報告集『自衛官の人権を求めて』の出版記念会が開かれました。この7年余の間、多くの皆さん方による粘り強い闘いのおかげで、全国各地の市民のあいだに自衛官の人権問題への関心が広がりつつあります。この機会にぜひ、裁判闘争報告集を読んで参考にしていただければ幸いです。  報告集は下記のように取り扱っています。

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