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ニュースペーパー2010年11月号

2010年11月 1日

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 10月17日、東京・芝公園を会場に、「武力で平和はつくれない――もう一つの日米関係へ やめさせようアフガン戦争、なくそう普天間基地、つくらせない辺野古新基地」の集会とパレードが行われ、約600人が参加しました。「月桃の花」歌舞団のオープニングにつづいて開会。グリーンピース・ジャパンの星川淳さんらのスピーチの後、米国ピースアクションからの連帯メッセージの紹介、オバマ大統領への要請文を確認しました。集会後、アメリカ大使館そばを通るパレードを元気に行いました。(写真はプラカードやジュゴンのバルーンを先頭にアピールする市民グループ)。

【インタビュー・シリーズ その51】
一人の相談は社会全体の問題に連なる
全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)会長 鴨 桃代さんに聞く

【プロフィール】
1948年静岡県生まれ。大学卒業後、保育士(当時は保母)として千葉市職員となる。その後、88年、誰でも(雇用形態を問わない)一人でも入れる労働組合「なのはなユニオン」(千葉市)の結成に参加。書記長を経て98年に委員長就任。2002年に全国ユニオンが結成され、会長となる。労働相談を続ける中で、パート、派遣、契約社員たちとともに均等待遇実現に向けた立法化の活動に携わっている。

――ユニオン運動に入ったきっかけは。
 私はいわゆる「団塊の世代」で、学生運動をやっていましたから、職場(保育所)へ入るときも闘う場所が変わるだけという感覚でした。そのとき、労働組合に入りましたが、ユニオンに関わるのはずっと後のことです。
 一時、仕事をやめて3年くらい家庭に専念していました。長男を病気で亡くし、次男も同じ病気にかかってしまったときのことです。女は外で働くものではないという考えを持つ連れ合いの両親と私の両親から、子どもの病気は私が働いているせいだと言われました。それに対しては反発しましたが、子育てしながら働いて組合活動もということは大変で、長男にいつもやさしくできなかった自分が死なせたという思いも突き刺さったままでした。その後、次男の容体も回復し、医者から許可が出たとき、また仕事をしたいと思うようになったのです。そんなとき、「なのはなユニオン」を立ち上げるに当たって、相談活動が主となるので専従にならないかと声をかけられて参加しました。だから私にとってユニオンは、やりたかった仕事というより、働きたいときに偶然出会った仕事でした。
 最初は法律的なことがわからず、電話を取るのが怖い毎日でした。でも、その頃電話をかけてくるのはパートの女性が多く、こんな私の対応でも最後にありがとうと言ってくれるのです。なぜだろうと考えてみると、アドバイスをくれたということに対してのお礼ではなくて、「話を聞いてくれてありがとう」ということだと気付きました。その方たちは、職場に労働組合があっても「パートは関係ない」と言われるし、労基署へ行って、一生懸命働いてきた自分たちがなぜこんな目に合うのかと訴えると、それなら民事(訴訟)だから裁判をやりなさいと言われてしまう。時間とお金がかかる裁判となれば、普通は引いてしまいます。配偶者に話しても、嫌なら辞めたらと言われて話を切られる。それでもあきらめきれない人がユニオンに電話をかけてきたのです。その「ありがとう」にずいぶん救われました。聞くことなら自分にもできるし、専門的なことは弁護士さんや専門家に教えてもらえばいい。それでユニオンって面白いと思えるようになりました。

――全国ユニオンがつくられた経緯を教えてください。
 一人の問題を一緒に解決する中で、信頼関係が生まれ、力を借りた関係もネットワークになる。これは、学生運動や職場の労働組合で活動した中では経験したことがないダイナッミックなものでした。みんなで決めた要求で闘いを進めるのが労働組合であるということで、一人の要求のために闘うということは考えられませんでした。要求を勝ち取るために闘うというより、要求づくりに時間をかけていたと思います。ユニオンは相談者の抱える待ったなしの問題に依拠します。それは個人の問題として、ユニオンに突き付けられますが、社会的な問題であることを意識し、取り組みます。
 しかし、個別のユニオンでは、目の前の個人問題は解決できても、非正規雇用であるがゆえに低賃金・不安定雇用であるという問題は解決できません。非正規労働者の人として生きたい・働きたいという思いに応えられる運動を広めていかなくてはならないということで、全国ユニオンをつくりました。

――多様な働き方を求める考えもあります。


鴨川ヒルズリゾートホテル解雇撤回デモ
(千葉県鴨川市・4月4日)
 非正規の人たちに正社員になりたいかアンケートを取ると、だいたい半々に分かれます。すでに、正社員と仕事、労働時間、日数など同じ人はどうせならそうなりたいと言う。でも、残りの人たちは、あんな働き方なら嫌だ、できないと言います。非正規には女性が多いですが、子育てや家事など、まだまだ女性が担わなければいけないことが多い。そんな中で、長時間労働が当たり前、異動・配転当たり前というような働き方はできません。本来は正規労働者でもそうあってはならないのに。そんな働き方は非正規に比べて「よりまし」にすぎません。
 私は、均等待遇=正規雇用になる、ということではないと思っています。均等待遇とは、同じ時間に同じ労働をしたら、同じ賃金と処遇でということです。均等待遇を実現し、客観的・合理的理由のない有期雇用を禁止とし、原則として直接雇用で、無期雇用であれば、雇用形態は各自の生活スタイルに合わせて選択できるものがあってよいと思います。ただし、それを職場内だけで実行するのは無理があります。社会保障政策を含めてシステムをつくる政策提言が必要です。

――教育現場での労働者の権利教育が不十分では。
 最近多いのは、解雇されて言われるままに、嫌々ながら退職願まで書いてしまうということです。書いてしまうと、「書いた」ということで撤回はなかなか困難。私がそういう人に言うのは、確かにあなたは使用者に対して弱い立場かもしれないけど、これからも労働者として生き、働き続けなければならないから、労働者は弱くていいということにはならないよということです。自分に対して理不尽なことを言われたときは、はっきり断ること。難しかったら、考えさせてくださいと告げればいい。相手の提案に対して拒否する態度を持たなくてはいけない。相談に来る人の中には、こちらが驚くほど法律に詳しい人もいます。法律は知らないより知っていた方がいい。でも、知識として法律を頭に詰め込むことと、法律を活用できることは違います。まずは、人として降りかかったトラブルに毅然とできるか、です。また、いくら知識があっても、圧倒的に使用者の力は強いので、一人では使えません。一人で大変なときは、誰かに頼ってみることも大事ではないでしょうか。その誰かが、友人や家族であったり、さらにハードルは高くてもユニオンであったりでよいのでは。最初は、何で自分だけがと悩んでいても、ユニオンに来れば同じような人がたくさんいます。一緒に話したり行動したりする中で、次の職場へ行ってもがんばれる術や、労働者として生きる力を身につけることができるのではないかと思います。

――人権や平和と労働問題は関係が深いですね。
 非正規労働者からよく聞くことに、職場で「派遣さん」とか「パートさん」とか言われて、名前を呼ばれないということがあります。また、仕事は一緒にやっているのに、研修や会議からは外されるなどと聞きます。賃金や労働条件がすぐに一緒にならなくても、そういうことに取り組めているかどうかで、職場内の人権意識が問われると思うのです。
 また、労働問題と平和問題は密接です。全国ユニオンでは、KDDIの国際オペレータ通話が2010年3月で廃止されることに対する闘いを行ってきました。そして、事業継続は決まったのですが、KDDIは今まで東京で行われてきた業務を沖縄へ持っていきました。いろんな言語能力や経験が必要とされる専門職にもかかわらず、東京での時給は1300円から1350円。1日6時間労働に限定されていますから、年収300万円に届かない。これが、沖縄では680円で募集をかけるというのです。それでも、最低賃金が629円、仕事の少ない沖縄では悪い条件ではないといいます。東京で働いてきた時給制契約社員は全員解雇され、沖縄では低賃金にさらされ、生存権が奪われています。今、沖縄では基地での仕事がいちばん安定しているということで、そのための専門学校までありました。人として尊厳ある労働を願い、目指して活動することは、普天間基地移設の問題に取り組むことと密接につながると思います。

〈インタビューを終えて〉
 正規労働者のあらゆる権利行使の中で、その地位を保全する意味で、使い捨ての労働力が必要とされてきました。労働現場には、使い捨てされる非正規労働者が山ほどいます。そして、その多くが組織されていません。日本の労働人口に組織労働者の占める割合は2割以下という実態です。鴨さんの小柄な体に沸き上がるエネルギー、ユニオン運動が日本の労働現場を変えていく予感がします。
(藤本 泰成)

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韓国併合100年・安保50年 東アジアに新たな平和と友好を
憲法理念の実現をめざす第47回大会(護憲大会)の課題

政権交代でも課題は多く残されたまま
 11月6日~8日、「韓国併合100年・安保50年 東アジアに新たな平和と友好を-憲法理念の実現をめざす第47回大会」(護憲大会)が、宮崎市で初開催されます。
 日本国憲法は、アジア・太平洋地域に対する植民地支配と侵略戦争による多大な犠牲の反省から、1947年5月3日に、平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を三大原則として誕生しました。しかし、戦後の日本は、歴代自民党内閣のもと、憲法理念は実現しませんでした。戦争の放棄と戦力の不保持を決めた憲法9条は空洞化され、日米安保条約に基づく在日米軍基地は米国の世界覇権の拠点となり、世界有数の戦力と化した自衛隊の海外派兵も日常化しました。戦前からのアジア諸国蔑視の政治意識も温存され、自民党政権は、首相の靖国神社参拝、侵略戦争を肯定する教科書、政治家の差別発言と史実をゆがめる歴史観など、侵略戦争と植民地支配で多大な被害を与えた東アジア敵視の政策を取り続けてきました。また、現在でも高校授業料無償化での朝鮮学校の排除やシベリア抑留者特措法での植民地出身者の除外など差別が続いています。
 昨年8月、戦後初めてと言える政権交代が衆議院総選挙で実現し、民主党・社民党・国民新党の三党連立政権が成立しました。政権合意では、「憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と明記しました。政権の誕生前後には、普天間基地返還問題では、国外・県外移転を提起し沖縄県民の思いに寄り添う決意が謳われ、外国人地方参政権付与法案や取調べ可視化法案などの人権法案も提起されるなど、憲法理念実現の可能性を示しました。
 しかし、米国のきびしい抵抗や外国人差別を正当化する保守層の反発などから、普天間問題は迷走を重ね沖縄県民の思いを裏切る結果となり、外国人地方参政権付与法案や選択的夫婦別姓の実現なども見送られたままです。JRの1047名不採用問題での和解など前進点もありますが、課題は多数残されたままです。

重要な東アジア諸国との関係構築


大会のポスター
 本年は、新日米安全保障条約(60年安保)締結から50年、そして「韓国併合」を強制してから100年の節目の年です。第2次世界大戦後の東西対立の中で締結された日米安保は、冷戦崩壊後20年を経過し、国境を超えて人々が交流する世界において、その意味が根本から問い直されています。軍事力が国民の安全を保証するものではないことが明確となり、米国一辺倒の安全保障から脱却し、東アジア、ひいては環太平洋全体での安全保障体制の構築が求められています。
 東南アジア諸国連合が共同体構想を具体化し、中国・韓国が経済的に台頭する中にあって、東アジア諸国との友好関係の構築は喫緊の課題です。

命や生活を重視する「人間の安全保障」確立へ
 平和フォーラムをはじめ、憲法理念の実現を目指す多くの団体や人々は、協力して「東アジアとの新しい関係を構築する」ために、全国署名に取り組むとともに、政府に対して、1)侵略戦争および植民地支配の謝罪、2)侵略戦争および植民地被害の実態を調査する機関の設置、3)加害に対する補償の実施などを内容とする首相談話を求めて取り組みを進めてきました。8月10日に明らかにされた菅首相談話は、積極的に活用すべきですが、その内容は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を対象としていないなど、きわめて不十分です。
 また、本年5月に施行された「日本国憲法の改正手続に関する法律」(改憲手続法)は、法的には国会で改憲原案の議論や改憲案の作成ができることになりました。新安保懇報告など民主党政権内での非核3原則や武器輸出原則の見直しの動きもあります。一方、参議院選挙で、日米同盟基軸と憲法見直しを打ち出すみんなの党や自民党が議席を増大させ、憲法審査会の始動が憂慮される事態となりました。
 日本の安全保障がどうあるべきか、米国、中国、朝鮮半島やロシアなどとの将来的な関係性と東アジアのなかでの日本のあり方をどう考えていくか、大きな視野での議論を築いていくことが必要です。平和環境の醸成、人権や民主主義の確立、人々の「命」や生活を重視する「人間の安全保障」の政策実現の取り組みを広げるための討議を大会で行います。

「第47回大会開催の呼びかけ・要綱」はこちらです。
http://www.peace-forum.com/goken/47taikai/20101106goken47yobikake-yohkoh.pdf

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普天間基地閉鎖・返還、辺野古新基地を作らせないことが唯一の解決策
民意を知事選挙へ 沖縄から日本を変えよう

基地はいらないとする伊波洋一宜野湾市長が立候補


普天間基地を包囲する県民大行動での伊波市長
(中央・5月16日)
 菅改造内閣がスタートして1ヵ月余りが経過しました。これまで菅内閣は、普天間基地問題について、辺野古沖周辺に移設するとした5月末の日米合意を基本に据えるとし、所信表明演説でも「普天間飛行場移設問題は、本年5月の日米合意を踏まえて取り組むとともに、沖縄の基地負担軽減に努め、沖縄県民の理解を求める」としています。
 しかし、9月に行われた名護市議選では、基地建設反対派が圧勝し、沖縄の民意は普天間基地閉鎖・返還、辺野古新基地建設反対で固まってきました。こうした中で11月28日投票の沖縄県知事選挙は、新基地建設をめぐって、政府方針を変更させることができるかどうかの大きな結節点となってきました。
 普天間基地の国外移設と辺野古をはじめとする新基地建設に一貫して反対する伊波洋一宜野湾市長が新知事に就任すれば、沖縄の辺野古新基地建設反対の立場は明確になります。海洋埋め立ての許認可権を持つ県知事が同意しなければ、新基地建設は着工できません。さらに政府は、予算委員会で「知事が不同意の場合、特別措置法を制定し強行はしない」としています。
 現職知事も最近になって県内移設に反対する考え方をちらつかせていますが、政府与党の民主党は独自候補擁立もできない状況です。したがって沖縄県知事選挙の結果によっては、政府は日米合意と県内移設の見直しを始めざるを得ない状況が予想できます。

「中国脅威」で軍事的抑止力強化の動き
 普天間基地を始めとする在日米軍基地は、日米安保条約が根拠となっています。米軍基地を提供することで日本(極東)の安全を確保するということですが、政府は「日米安保=日米同盟はアジア太平洋地域のみならず、世界の安定と繁栄の共有財産」と目的を拡大し、在日米軍基地の固定化を強めようとしています。
 さらに、尖閣諸島問題を契機に米軍基地と思いやり予算を正当化するとともに、今年末に策定される防衛大綱では「中国の脅威→離島防衛強化」といった自衛隊と米軍との一体化、軍事的抑止力強化の動きが強まろうとしています。
 そしてこのことによって、「専守防衛」といった抑制的な自衛隊防衛力を、米軍との共同演習などを繰り返しながら、「脅威」に対してそれを上回る「軍事的抑止力」を確保しようとする危険な動きも警戒しなければなりません。

国際社会は核軍縮、「共同の安全保障」へ
 冷戦崩壊以降、国際社会の流れは、脅威に対抗するための同盟関係を結ぶブロック型から、互いの利益を守りあう互恵型の安全保障に変わりつつあります。ヨーロッパ諸国は時間をかけてEUを創りあげ、覇権を争うのではなく協調を前提とした「共同の安全保障」を確立しつつあります。日中間もさまざまな政治的矛盾を抱えながらも互恵関係は放棄できません。
 こうした中で、ことさら「脅威」を強調し、軍事的抑止力を強化する外交政策は、限りなく憲法違反であるとともに、共同の安全保障に逆行するものとして強く反対していかなければなりません。こうした危険な動きが強まると、逆に影を潜める「東アジア共同体構想」こそ、アジア地域の共同の安全保障につながるものであり、飢餓や貧困を克服し、環境破壊を防ぎながらより質の高い経済発展を実現するものとして求めていかなければなりません。
 平和フォーラムは、一貫して普天間基地即時閉鎖・返還、辺野古新基地建設反対の立場でこの間取り組んできました。この取り組みは、これからの安全保障のあり方、アジアの共同の安全保障につながるものです。そしてこれを具現化するものは民意の結集です。
 11月28日投票の沖縄知事選挙は、沖縄県民の民意を問うものですが、日本の安全保障の選択につながるものとして、沖縄から日本を変える大きな政治的意義があります。それぞれの立場で、全国の皆さんができうる限りの行動を取り組みましょう。

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「食の安全・市民ホットライン」を立ち上げ
食品事故、偽装表示、違法広告など消費者が情報収集
食の安全・監視市民委員会代表、弁護士 神山 美智子

自動車にはユーザーが直接通報する制度がある
 「食の安全・監視市民委員会」(平和フォーラムも参加)は、市民の立場から「食品安全委員会」や厚生労働省、農林水産省などに提言を行うとともに、食品関連事業者を監視し、食の安全性と信頼性を確立させることを目的として03年に設立されました。その活動をさらに進めるために、このたび「食の安全・市民ホットライン」を立ち上げることにしました。
 2000年7月に発覚した三菱自動車のリコール隠し事件をきっかけに、国土交通省は「自動車等不具合情報ホットライン」を、同年11月に開設しました。これは自動車の不具合情報を、ユーザー自らがインターネットを通じて通報するシステムになっています。全部ではありませんが、メーカー名や車種、内容がインターネットのホームページ上に公開されています。
 食品についても、東京都では企業が自主的に回収した食品についての報告制度を作りました。神奈川県は厚生労働省から連絡があった回収例をホームページで公表しています。厚生労働省も食品事故情報などを公表していますが、いずれも一元化されていません。10年4月にスタートした消費者庁の「事故情報データベース」では、すべての消費者製品を網羅し一元化されているはずですが、具体的な商品名、企業名などの公表はなく、消費者が購入の参考にできません。
 また、この事故情報は国民生活センターなど関係機関から収集したもので、自動車のように、消費者が通報したものがそのまま公表されているわけではありません。巷に氾濫する表示偽装や誇大広告も、事故に至らないものは掲載されていません。

悪質な違反には企業名の公表や刑事告発も


食品への厳しいチェックが必要
(写真は岩手県内の直売所)
 消費者庁は、健康食品のインターネット広告について検索し、毎年500件ほど指導しています。指導後1週間経過してなお掲載されているものについては、商品名などを公表すると言っています。中には明確に薬事法違反の事例もあり、消費者庁が違法を自ら確認しているはずなのに、そのような違法事例も公表していません。
 私たちは、事故情報に限らず、表示偽装、誇大広告も含めた民間の情報収集機関が必要だと考えました。それが「食の安全・市民ホットライン」です。ホットラインでは、消費者の方からメールなどで情報を寄せていただき、その情報をデータベース化するとともに、ホームページに掲載します。ホットラインのホームページアドレスはhttp://www.fsafety-info.org/ です。
 誰でも食品情報の入力ページに直接書き込むことができます。安全にかかわる情報だけでなく、表示偽装、宣伝・広告に対する不満など幅広く収集します。当分の間、企業名、商品名を記号化した上で公表しますが、同一、もしくは同種の情報が一定数以上寄せられた場合は、企業に通報した上で、商品名、企業名を公表します。仮に薬事法違反などが明確な宣伝・広告がある場合は、参加団体の判断で刑事告発をすることも可能ですし、自治体に通報することも可能です。また、企業も直接反論を入力できるようにもしてあります。

データベースをもとに市民のアクションを
 ホットライン立ち上げを記念して、10月16日は大阪で、同23日に東京でシンポジウムを開催しました。シンポでは、消費者庁の事故情報データベースを検証し、市民が自ら作るホットラインの意義を考えました。ホットラインは運営する団体(コア団体)と協力する消費者団体で構成され、参加団体はデータにアクセスできます。関心のある団体は、ぜひご参加ください。
 私は、このデータベースを使って、私たち市民が、どのようなアクションを起こすことができるかが最も重要なポイントだと思っています。安全、情報、選択、教育、救済などに関する消費者の権利実現に向けて新しい船出です。

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六ヶ所再処理工場が竣工を2年延期
むつ市に使用済み燃料の貯蔵施設を建設
原子力資料情報室 澤井 正子

ガラス固化技術の開発は完全に失敗
 9月10日、日本原燃は六ヶ所再処理工場の稼働開始予定を、今年10月から2012年10月に延期すると発表しました。操業延期は実に18回目のことです。
 施設は2006年3月末から最終的な運転試験を行っており、すでにウラン、プルトニウムの分離試験は終了しています。しかし高レベル放射性廃棄物をガラスと混ぜて固める最後のガラス固化体製造試験で事故・トラブルが続発していることが、延期の最大の理由です。
 ガラス固化体製造試験は2008年11月から開始され、約3年が経過しています。その間、溶融炉での温度管理の失敗から溶融ガラスの流下が停止しました。この対策として溶融炉への撹拌(かくはん)棒を設置したのですが、炉内の撹拌棒の変形(曲がり)と天井耐火レンガの脱落事故、この事故対策中に高レベル放射性廃液約150リットルの漏えい事故が発生と、トラブル、事故の連続でした。溶融炉の技術開発が未熟だったことから、トラブルが頻発し、それが新たな事故を発生させるという悪循環が続いてきたのです。
 そのため、延期される2年間(24ヵ月)のうち大部分の18ヵ月は、2基(AとB)あるガラス溶融炉へ温度計を設置するなどの改造工事と運転データの検証作業に費やされます。本来の高レベル廃液を使ったガラス固化試験は、残り6ヵ月で2基の試験を終了する予定となっています。しかし今までの実績から、とてもこのような期間では不可能と考えられます。
 今回の延期は、すでに商業施設として建設された六ヶ所工場で約2年をかけて事実上技術開発をやり直すことを意味しています。

燃料備蓄センターは「金のなる木」


18回目の稼働延期が決まった六ヶ所再処理工場
(2008年5月)
 一方、六ヶ所再処理工場の操業延期公表前の8月31日、同じ青森県むつ市で「リサイクル燃料備蓄センター」の建設が開始されました。これは、原発であふれた使用済み燃料を長期間貯蔵する施設です。建設・運転するのは、東京電力と日本原子力発電が2005年に共同出資して設立したリサイクル燃料貯蔵株式会社です。
 計画では、両社の原発(敦賀1号機を除く)で発生する使用済み燃料を、輸送・貯蔵兼用金属容器に建屋2つで最大約5000トン貯蔵します。着工された1棟目の容量は約3000トンで、2012年7月の操業予定です。
 この施設の建設が比較的順調に進んだのは、むつ市が財政的に困窮状態であったためです。1988年4月から09年3月までで約220億円を超える交付金が国から支給され、あらゆる市政運営に支出されました。交付金以外にも東京電力と日本原子力発電が15億円を寄付するなど、施設は「金のなる木」となっています。しかし使用済み燃料を貯蔵するだけの施設なので、操業後の地元雇用はほとんどありません。

「脱再処理」も選択肢に入れる東京電力
 六ヶ所再処理工場の竣工2年延期と使用済み燃料中間貯蔵施設の着工という二つの事実は、重要な意味を持っています。備蓄センターの操業開始は、延期された六ヶ所再処理工場の操業より早いのです。たとえ六ヶ所再処理工場が再び操業を延期しても、大量の使用済み燃料を保持する東京電力は使用済み燃料の「輸送先」には困りません。というより「備蓄センター」の着工によって、六ヶ所再処理工場の竣工は事実上大幅延期が可能となったのです。これは同時に再処理工場が必要不可欠な施設ではないことも意味しています。
 原発が必要としているのは、「再処理工場」ではなく「燃料貯蔵プール」だったのです。日本原燃の川井吉彦社長が「これが最後の延期」と強調しているのは、2年後に再び延期というような事態が許されない可能性も示唆しています。東京電力が使用済み燃料の中間貯蔵という「柔軟性」を得て、同時に「脱再処理」という選択肢をも視野に入れていることを、私たちは見逃してはならないでしょう。

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30万を超える署名を提出し、見直しを求める
大詰めを迎える「被爆体験者」訴訟
全国被爆体験者協議会事務局 岩永 千代子

 私たち全国被爆体験者原告団のための署名活動に多大なご支援とご協力を頂き、心から感謝申し上げます。全国各地から続々と送られてくる署名簿。10月4日で300,327筆となり、さらに増える見込みです。本当にありがとうございます。11月17日頃には厚生労働大臣へ届ける予定です。皆様のご協力をバネに一層、私たちの運動を強化しようと決意を新たにしております。

非科学的な行政の線引き
 1957年、南北に長いいびつなかたちの旧長崎市と隣接する一部の村が被爆地として政令で認定されましたが、東西に住む私たちは認められませんでした。上空500mで炸裂した原子爆弾から放出された放射線が、行政区の線引きに沿って降ってきたとでも言うのでしょうか。これは全く非科学的で、合理性がありません。そこで、県と市議会、住民が一体となり、国に対し被爆地拡大運動を繰り広げてきました。
 国は1974年・76年と「当分の間、『被爆者とみなし健康診断の特例措置の対象とする者』(法附則第17条:別表第3)として、疾病の状況により被爆者健康手帳の交付を認める」ようになりましたが、被爆地としては認めませんでした。国が旧長崎市と一部の隣接地のみを被爆地としたのは、これ以上被爆者・被爆地を増やさないという非科学的な国策に終始したからです。
 私たちが残留放射線により内部被爆していることは事実です。国は2002年4月から爆心地より12kmの圏内を対象に予算事業として被爆体験者事業を始めました。これは74年・76年と全く同等の「被爆者とみなし健康診断の特例措置の対象とする者」のはずなのですが、現実は「法附則第17条(別表第4)」として、私たちを「被爆体験者」と名付けて差別したのです。

立ちふさがる居住要件の壁


訴訟原告団の国会要請行動
(参議院議員会館・5月12日)
 これは、いわゆる心的外傷後ストレス障害(PTSD)に起因すると思われる疾病のみ、認定する省令でした。とはいっても、厳格な審査に合格して被爆体験者医療受給者証の交付があれば、がん・感染症・けが以外の医療給付が受けられたのです。被爆者が受給している、がん・白血病・甲状腺の疾患などは認められず、健康管理手当や、その他の給付も受けられませんでしたが、納得せざるを得ない状況でした。
 しかし、ここで浮上したのが居住要件の壁でした。受給するためには現在も12km圏内に居住していなければならないというのです。当時圏内に居住していても、現在住んでいなければ認めないというのです。そこで是正しようと立ち上がったのが、訴訟への端緒でした。
 やがて、国はそれを「見直す」作業を始めました。5回にわたり検討委員会を立ち上げた結果、居住要件の壁を県内のみ外したのですが、県外は未だそのままです。次に今度は、スクリーニング検査(条件に合うようにふるいにかける検査)が課されました。その結果、それまでに被爆体験者医療受給者証を交付されていた人でも、「記憶が無い」ことを主な理由に約3200名の受給者証を取り上げてしまったのです。

3年目を迎える訴訟に今後ともご支援を
 このように施策は二転三転し、右往左往させられた高齢者である私たちにとっては、まるでいじめに合っているかのようでした。中には「もう(手帳は)いらん。手続きも面倒だし、(自分は)あと何年生きられるかわからん」と投げやりになる人もいました。判定の基準も曖昧で信頼できず、仮に被爆体験者精神医療手帳を受給しても、80種の疾病にしか使えない、と手帳取得をあきらめている人が多くいます。80種の疾病の中には、月経困難、二日酔い、インポテンツ等が含まれています。これらの対象疾病が70代、80代の人々に必要なものでしょうか。全く現実に即しておらず不可解な内容です。
 2007年11月15日、何とか提訴に踏み切り、今年で3年目を迎えます。体力も知力も無い私たちですが、今後とも皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

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軍事力強化では解決しない時代に入った
新しい東アジアの関係構築へ

 尖閣諸島沖での中国漁船船長の逮捕・釈放の問題は現在もなお、尾を引いています。船長逮捕の翌日に、中国では全国の新聞がトップで報じました。日本では一部マスメディアは、反中・ナショナリズムを煽り続けています。日中関係はいずれ正常化されると思いますが、今回のような事件は今後も起こりうるので、事実関係とともに、背景にある米中の軍事的関係の変化、日本にどう影響するかを考えてみます。

米中軍事交流の再開を求める米国


尖閣諸島の魚釣島(毎日新聞HPより)
 今年8月7日、中国国防大学・戦略研究所所長の楊毅少将は中国メディアに対して「中国の海洋進出は必然で、どんな包囲網も海軍の歩みを阻止できない」と述べ、米国の中国包囲網である第1列島線(日本列島、沖縄、台湾、フィリピン、インドネシアと伸びる海洋水域)の突破を明言しました。(共同通信10月8日)。この背景には、2010年に第1列島線内の制海権を確保するという目標があり、この目標に沿った中国海軍の躍進と、第1列島線の外側で制海権を保持する米国に対する強い反発が存在すると言えます。
 まず今年1月、中国はオバマ政権が台湾に65億ドルの武器売却を決定したことに反発し、米中軍事交流を中止しました。しかし米国は、韓国哨戒艦沈没事件が北朝鮮の魚雷攻撃によるとした韓国の結論を支持し、米韓合同演習を7月25日~28日、9月27日~10月1日の2回にわたって実施し、中国人民解放軍を刺激し続けました。この米中による軍部の対立は、今年6月初めにシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で、ゲーツ米国防長官が、米国が台湾に武器を売ったことを理由に米中軍事交流を中断していることを非難。これに中国人民解放軍の馬暁天副参謀総長が激しく反論する事態まで起こっています。
 中国人民解放軍・海軍がめざましい発展を遂げているのは事実で、弾道ミサイル搭載の戦略原潜や攻撃型原潜を保有しているだけでなく、長射程の巡航ミサイルや中距離ミサイルの開発も進んでいて、第1列島線はほぼ中国海軍の支配下にあるという状況です
。  沖縄に存在する米軍基地は対中有事の際、一瞬にして壊滅すると危惧されています。このため米国は対外基地のあり方の再検討を迫られていて、中国を対象とした小型潜水艦などの建造を急ぐ一方、米中軍事交流の再開を強く求めているのです。

尖閣諸島の領有権問題、外交が重要に
 尖閣諸島に領有権問題が存在することは、否定できません。米軍は太平洋戦争で沖縄を占領し、長く支配してきました。1972年に沖縄は日本に返還されますが、その前年の71年6月に台湾が、さらに12月に中国が尖閣諸島の領有権を主張します。
 このため、沖縄返還交渉に当たった当時のキッシンジャー米国務長官は、尖閣諸島の帰属については、どちらにも与さない方針を決めました。この方針は、オバマ現政権でも継承されています。
 9月23日、前原誠司外相がクリントン米国務長官と会談し、クリントン長官が「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」と発言したと、日本側が記者発表し、日本では大きく報道されました。しかし、これは一方的な報道で、国務省は在米日本大使館に訂正を申し入れました。
 クローリー米国務次官補は、「米国は日本に漁船衝突事件で日中両国が対話を強化し、早期に解決するよう求めた。尖閣諸島の領有権が日中両国のどちらにあるかについて米国は立場を明確にしない」と発表しており、多分この発表が正しい内容でしょう。
 10月11日にハノイで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議で、米・ゲーツ国防長官と中国・梁光烈国防相が会談し、米中軍事交流再開で合意しました。
 米国は8月16日に発表した「中国軍事動向に関する年次報告書」で、中国軍が東シナ海や南シナ海の領有権問題などに対処するため、新たな能力を獲得しようとしている」と懸念を表明しましたが、経済的には米国は中国との一層の協力関係を必要としているのです。
 今年12月、日本は新たな防衛大綱を作成します。どのような内容になっても、日本が軍事的に中国と張り合うことは不可能な時代に入ったことは認識しなければなりません。米軍との一体化ではない、新しい東アジア関係構築の戦略が求められているのです。

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【本の紹介】
「八ツ場ダムは止まるのか─首都圏最後の巨大ダム計画─」
八ツ場ダムを考える会 編


2008年・岩波ブックレット
 昨年の政権交代で注目された公共事業のひとつに、群馬県の「八ツ場(やんば)ダム」建設があります。草津温泉に近い長野原町に、首都圏の水確保や治水を目的にダム建設計画が持ち上がったのは1952年。以来、地元の激しい反対運動にも関わらず、自民党政権下で強引に計画が進められてきました。
 それから58年を経て、前原誠司前国土交通大臣の「建設中止宣言」が出されてから、1年を迎えた現地をこの夏に訪ねました。中止宣言にも関わらず、現地ではいたるところで道路や鉄道、住宅などのダムの関連工事が行われ、山肌は削られ、沢が埋め立てられ、大きな橋脚がそびえ立っています。すでに移転先に移り住んでいる住民も多数います。
 案内をしてくれた「八ツ場あしたの会」は、ダム建設を見直すとともに、都市住民も含めて「対立から共生へ」の転換が必要だと活動を進めてきました。この「八ツ場ダムは止まるか」のブックレットも、そうした活動の一環です。活動の理論的支柱となっている「水源開発問題全国連絡会」の共同代表である嶋津暉之さんは、当初想定された首都圏での水需要は減少しており、ダム計画はすでに不要となっていることを数々のデータで立証しています。 
 さらに、もう1つの目的である洪水などを防ぐ治水面も、国土交通省の計画と現実が乖離していることを証明しています。最近になり、国交省が利根川の上流での森林の保水力が増大していることを把握しながら、戦後すぐの荒廃した森林をもとにした計算式で洪水の危険性を主張していたことも明らかになりました(10月14日付東京新聞)。
 本書では、いったん始まると中止することが難しいといわれる大型公共事業の典型を見ることが出来ます。しかし、八ツ場ダムの場合は、まだ本体着工もされておらず、「事業中止となっても、これまでの道路工事などを活かし、生活再建、地域振興を可能とする法律や税金投入が保証されれば、再生の糸口はつかめる」(あしたの会の渡辺洋子事務局長)。そのためには、首都圏最後の巨大ダム計画を「必要」としてきた都市住民が現状を知り、地域再生に協力していく必要があります。本書はその糸口となるでしょう。
(市村 忠文)

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【映画評】
精神(2008年/日本/想田和弘監督)

DVD・紀伊国屋書店
 本作品は外来の精神科診療所「こらーる岡山診療所」(岡山市)が舞台です。診療所は待合室を開放し患者同士の交流の場とし、また作業所を併設し賃金を得られる場を提供するなど、精神障碍者が地域社会で暮らせるように支援を行っています。
 診療所側は議論の末、患者一人一人から了解を得ることを条件に撮影を許可しました。この映画には撮影を了承した当事者が素顔を出し登場していますが、実際には10人中8人から9人は撮影を拒んだとのこと。撮影に応じた躁鬱病の女性に付き添う母親の固い表情には、精神科への通院さえ隠さざるを得ない、差別の現状が見え隠れします。
 診療所で、作業所で、自宅で、当事者たちは多くのことをカメラに向かって語ります。ここまで公開していいのかと驚くほどに、内面にまで踏み込んだ内容が語られます。時には痛切に、時にはどこかユーモラスにさえ映りますが、次第に精神障碍者の置かれている厳しい立場が、明確に像を結んでいきます。
 撮影が行われたのは、障害者自立支援法が施行された時期です。作業所の補助金が打ち切られれば立ち行かなくなると語るスタッフ、医療費の1割負担が生活保護世帯にとって大きな打撃となることを訴える当事者の声は、自立支援法の実態を鋭く抉り出しています。
 親の死後、自分の生活がどうなるか心配したり、一般の音楽サークルに参加したいが差別されるのではないかと思い悩んだりする姿に、胸が苦しくなります。もっとも求められている障碍者政策は、地域社会のなかで生きられるようにすることではないでしょうか?
 しかし現実に行われている「地域移行・地域定着支援などの精神障害者政策の推進」事業303億円のうち地域生活支援の20億~30億円程度に過ぎず、254億円は、かの「心身喪失者等医療観察法」のための予算です(厚労省概算要求)。多くの精神障碍者が自殺にまで至ってしまうのは、病気だけが原因なのでしょうか?考えさせられる作品です。
(山本 圭介)

公式サイト http://www.laboratoryx.us/mentaljp/

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投稿コーナー
上関原発建設予定地は生物多様性のホットスポット
長島の自然を守る会 高島 美登里

埋め立て工事を許さない闘い
 山口県上関町の上関原発建設計画予定地では、2008年10月の県知事による埋め立て許可から2年が経過しようとしていますが、地元の祝島や全国の反対の声に阻まれ、中国電力は本格的な埋め立て工事に着手できていません。その焦りからか、陸域準備工事で下請け業者が祝島の80歳の女性に対し乱暴を働いたり、深夜に急遽、作業台船を移動させたりするなど、常軌を逸した危険な行為が後を絶ちません。10月15日には予定地沖に大型台船3隻を移動させようとしましたが、祝島の漁船をはじめとする海と陸の抗議行動に阻まれ、同17日現在は周辺海域に立ち往生しています。

希少生物の宝庫は「最後の楽園」


周辺海域での生息が明らかになったカンムリウミスズメ
(3月30日)
 私たちはこれまで、日本生態学会・日本ベントス学会・日本鳥学会などの研究者とともに10年間調査活動を続けてきました。その結果、予定地周辺が世界的に珍しい希少生物の宝庫であり、豊富な湧水によって、瀬戸内海でもまれにみる水循環の良さが、貴重な生態系を生んでいることを明らかにしています。瀬戸内の「最後の楽園」であることが解明されたのです。
 埋め立てはこうした生物多様性の宝庫を根こそぎ潰してしまいます。水産庁が指定する危急種であるナメクジウオや、本来は日本海にしか生えない海藻であるスギモクが飛び地的に生育している浅瀬はすべて無くなってしまいます。世界で1個体しか確認されていないナガシマツボや、貝類の進化のカギを握るヤシマイシン近似種の棲む潮だまりは、研究者や私たちの指摘で辛うじて残されることになりましたが、彼らが生き残れるという科学的根拠は何も示されていません。
 また、周辺海域は世界最小のクジラであるスナメリの子育ての場所であり、国の天然記念物であるカラスバトも周囲の島々で確認されています。最近の調査で国際自然保護連合(IUCN)絶滅危惧種であるカンムリウミスズメが世界で唯一、1年を通して生息しているばかりでなく、予定地あるいは周辺海域で繁殖している可能性も出てきました。
 しかし、中国電力は09年9月に「上関地点カンムリウミスズメ継続調査報告書」を公表し、「繁殖の可能性はほとんどない」と結論づけています。この調査結果は、非常に不十分なもので、結論も時期尚早なものです。今すぐ、埋め立て工事を中止して、生態調査を再開すべきです。また、オオミズナギドリの世界初の内海繁殖地であり、採餌(さいじ)範囲もこの海域に限定されている可能性を示す調査結果も出ています。埋め立てはこうしたスナメリや海鳥の繁殖や育雛(いくすう)環境も潰してしまいます。

COP10のモデルとして誇るべき地域
 地元の漁師さんは田ノ浦湾を「魚たちのゆりかご」だと呼んでいます。ここで育まれた豊かな餌資源があるから、多くの鳥やスナメリも生息でき、漁業で食べてゆくこともできます。上関の海は人間にとっても、他の生き物たちにとっても、「いのちの海」なのです。
 長島・祝島は生物多様性豊かで将来に向けて持続可能な自然との共生が実現しています。まさに、10月18日から29日まで開催された、10回目の生物多様性条約締約国会議(COP10)のモデルとして、日本が世界に誇るべき地域です。
 生態系の豊かさだけではありません。祝島の方たちは資源を大切にした伝統的な「一本釣り漁業」を主体に営んでいます。そして、農業の主体であるビワはほとんどが無農薬栽培です。最近では、放棄水田や畑で循環型の牛や豚の放牧も始められました。まさに現在進行形で「未来に向かって持続可能な社会づくり」が行われているのです。
 今後、周辺海域を含む瀬戸内海の環境保全が、国家戦略の中に明確に位置づけられ、上関原発計画が中止されるよう、国際的な世論にも訴えかけていく必要があります。

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第42回食とみどり、水を守る全国集会開催
食の安全、農林業政策、環境問題で討議

 平和フォーラムは消費者・農民団体などとともに、第42回食とみどり、水を守る全国集会を12月10日(金)~11日(土)に開催し、環境や食の安全・安定を守る今後の運動の発展をめざした討議を行います。
会場:東京都千代田区「日本教育会館」
主催:集会実行委員会(事務局・平和フォーラム)


*参加費 資料代・交流会参加費  6,000円
フィールドワーク参加費 2,500円
*問合せ フォーラム平和・人権・環境まで

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