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ニュースペーパー2013年4月号

2013年4月 1日

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 東日本大震災・福島第一原発事故から2周年を前にした3月9日、東京・明治公園で「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」が開催され、1万5千人が参加しました。二部構成で行われた集会では、福島から京都に避難している斎藤夕香さんが「事態の深刻さを知らずに避難をしていない人も多い。多くの人に伝えていきたい」と述べ、「私たちのことを忘れないで、つながってほしい」と訴えました。また、集会のために来日した韓国の環境団体「韓国環境運動」の共同代表で「核なき世界のための共同行動」の代表のチェ・ヨルさんが、国際的に連帯して脱原発をめざそうと呼びかけました。集会後は、二つのコースに分かれてパレード行進を行い、横断幕やプラカードで脱原発を訴えました。また、11日には東京・品川区の「きゅりあん」を会場に、「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」も開催され、1200人が参加しました。

【インタビュー・シリーズ その76】
第2次安倍内閣の誕生とねじ曲げられる憲法
許すな!憲法改悪・市民連絡会 高田 健さんに聞く

【プロフィール】
1944年福島県生まれ。86年、国際経済研究所設立、代表に就任。93年「STOP!改憲・市民ネットワーク」、99 年「許すな!憲法改悪・市民連絡会」を結成し、改憲反対運動に取り組む。2002年からは、イラク反戦の市民ネットワーク「WORLD PEACE NOW」にかかわり、04 年「九条の会」結成に際し事務局を担う。2011年からは、「さようなら原発1000 万人アクション」の運動を進めている。著書に「改憲・護憲 何が問題か-徹底検証・憲法調査会」、「護憲は改憲に勝つ-憲法改悪国民投票にいかに立ち向かうか」(技術と人間)、「9条が、この国を守ってきた」「自衛隊ではなく、9条を世界へ」(梨の木舎)など。趣味は山登り。

――憲法問題を始めたきっかけを教えてください。
 若いときは絶対戦争なんて来ないと思っていましたが、1983年に当時の中曽根康弘首相による「日本列島を不沈空母とする」という発言などを聞いて、この国が危ないことになってきたと感じるようになりました。
 それでも中曽根内閣のときは、国会の議論に縛られていましたし、戦後民主主義のいい意味での反映があって、思想的には今の安倍晋三首相と同じであっても、無茶なことはやれませんでした。今は時代の動きが変わりましたね。安倍首相だけが異常に突出しているわけではなくて、自民党全体が変わってしまいました。それまでの河野洋平(元衆議院議長)や加藤紘一(元自民党幹事長)などのような保守リベラル派とのバランスが崩れました。昨年3月、今度の自民党の改憲草案をつくる討議でも、あの福田康夫元首相が「自民党は保守政党だが右翼政党ではない」と怒っています。いまの自民党の状況を象徴していますね。

――昨年12月16日の衆議院議員総選挙の結果をどのように受け止めましたか。
 みんなショックを受けました。すぐにがんばらなくてはと思った人もいましたが、しばらくはどう捉えていいのかわからない人が結構多かったですね。2ヵ月経って、大阪で開いた「許すな!憲法改悪・市民運動全国交流集会」のときには、北海道から沖縄まで150人以上が集まりましたが、それなりに落ち着いて改めてがんばろうとなりました。
 世論では今でも圧倒的に脱原発が強いし、憲法9条にしても変えないほうがいいと考える人が多いのですが、今度の選挙では、安倍さんたちはその争点化を避けて、それまでの民主党政権への攻撃に終始して、少し生活を良くしようという問題にすり替えられました。今度の結果で、原発と憲法の安倍さんの姿勢が支持されたとはまったく思えません。
 実際に投票率も大きく減ったし、自民党自身が惨敗した前回より得票数を減らしているわけですから、けっして自民党が勝ったわけではありません。議席は獲得したけれども、「国民に支持された」として、改憲や原発維持に走られてはたまったものではありません。

――これから憲法審査会はどうなるでしょうか。
 民主党で私たちと同じ意見を言ってくれていた人が落選して、憲法審査会からいなくなった上に、社民党も委員を失ったので、惨憺たる状況になる可能性がありますね。日本維新の会とみんなの党、そして自民党の連合によって、96条改憲で動くのでしょう。自民党と連立を組む公明党の山口那津男代表は、「9条改憲につながらないのであれば考えてもいい」と話しています。しかし安倍さんが、9条改憲の準備と言って出してくるわけがありませんから、話に乗ってしまうと大変なことになるでしょう。
 そもそも、改憲論議が何から来ているかが大事です。昨年8月15日に3回目のアーミテージレポートが出ましたが、その中で執拗に「『集団的自衛権の行使』ができる日本になれ」と要求されています。これを背景に、日本の憲法審査会で改憲論議がされているのは非常におかしな話です。憲法をしっかり捉えて、どう生かすかという議論ではありません。最初に改憲ありきで議論するから、ろくな結論になりません。
 しかし、安倍さんの考え方は、アメリカの要求を超えていますね。歴史認識でも集団的自衛権でも、訪米してオバマ大統領の支持を取り付けようとして断られています。アメリカは中国を刺激したくないということです。日本の自民党政権は欧米から極右政権とみられています。
 財界にしても、中国や韓国を刺激するやり方は得策ではないと考えているはずなので、安倍さんのやろうとすることとの矛盾は大きいですね。価値観外交でオーストラリアやインドとの連携でカバーしていますが、東アジアをここまで緊張させていいことはありません。

――いま憲法の取り組みで必要なことは何でしょうか。
 メディアをどうするかが大きいですね。日本維新の会の石原慎太郎共同代表は、ナショナリズムを煽って安倍政権を引っ張ろうとしているのでしょうが、日本の経済界から見てもうまくいかない方向性ですね。ただ維新の会、みんなの党と自民党の中には極右とみられる議員が結構多いと思います。国民の望む方向とは矛盾していますね。
 「石原慎太郎」のとんでもない発言に対して、日本の多くのメディアはきちんと批判出来ずにいます。かろうじて地方紙ががんばっている状態です。こうした状況が阻害要因になっています。安倍首相は敵基地攻撃論を検討すると言っています。本当に戦争なのです。それに対する批判が弱いと思います。
 集団的自衛権の問題に戻りますが、以前、大分県の市民運動が有事法制のときに「有事って戦争よ」というスローガンを出して、それがすごく広がりました。いま「『集団的自衛権の行使』とは『戦争すること』である」という運動を強めようという話し合いをしているところです。

――原発でも戦争でも「自らに及ぼす影響」の想像力までたどり着かないというもどかしさもありますね


テロ特措法・イラク特措法の廃止を求める集会の
デモ行進に参加する高田さん(中央、日比谷野音・2007年10月25日)
 尖閣諸島の問題も同じですね。あれだけ緊張した状態にあっても、東京・本土からみると遠い沖縄の果てのことで、自分たちの生活と結びつけては考えられない。いつのまにか「中国・朝鮮が恐い」という話に巻き込まれているけど、そんなに真剣には考えられていない状態ですね。
 先日の東京新聞の世論調査で9条について、40代と50代の男性が改正に対していちばん賛成が多かったのですが、10代と20代の若者は、過半数が反対だと答えています。理由は書かれていませんでしたが、もしかしたら戦争に行かされるのはイヤだということかもしれません。そうだとすれば、この感覚は大事ですね。

――7月の参議院議員選挙に向けて考えていることがあれば教えてください。
 昨年の衆議院議員総選挙で日本維新の会は、(共同代表である橋下徹大阪市長のいる)大阪で予想より票が伸びませんでした。「なぜあれだけ古い石原と組んだのか」という批判の声が強くあって、今度も勢いには乗れないでしょう。
 私は今度の選挙で、どこの党を躍進させるかということではなく、結果として安倍首相の路線に反対するリベラル派勢力が3分の1以上の議席を占めるように働きかけていくことが、市民運動の大きな課題だと思います。原発も憲法もTPPも含めて、全体としてできないものかと考えています。
 保守リベラル派との共闘については、領土問題を通じてつくっていけないだろうかと思っています。韓国、中国、台湾、沖縄、日本本土、平和的に解決していくことを共通点として取り組んでいこうとしているところです。

〈インタビューを終えて〉
 自民党の憲法改正は、私たちのためのものでないことは明らかです。近代国家が変えてはならないことがあります。それは平和と人権です。憲法9条は、パリ不戦条約以来の歴史の流れに乗ったもので、敗戦の中で日本国民が歓喜をもって迎えたものです。高田健さんが一貫して主張してきたこと、平和フォーラムはしっかりと受け止めたいと思います。
(藤本 泰成)

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基地問題の運動―全国展開をめざそう
沖縄の思いに心を馳せる取り組みを

4月28日は沖縄が日本から分離された「屈辱の日」
 安倍内閣は、サンフランシスコ講和条約が発効した1952年4月28日を祝い、本年同月同日に「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を天皇・皇后の出席を得て開催することを3月12日に閣議決定しました。日本本土は、その日に敗戦後の米軍占領下から解放されました。しかし、同条約第3条によって、沖縄、奄美、小笠原は日本から分離され米国の統治下に置かれました。沖縄県では、その前年、「日本復帰促進期成会」が結成されて全島的な取り組みの中で、復帰署名20万筆(有権者の72%)が集約されました。日本復帰への沖縄県民の強い希望が示されたにもかかわらず、その後、「沖縄は太平洋における米国防衛上の恒久的な砦になろう」という米国のジョンソン国防長官の言葉通り、膨大な米軍基地が、強制的な土地接収によって建設されていったのです。
 傍若無人な米軍支配の下で、1972年5月15日の日本復帰まで、住民が経験した艱難辛苦は計り知れないものとなりました。沖縄県では、この4月28日を「屈辱の日」と呼んでいます。日本本土のみが解放された日を、沖縄県民の思いを斟酌することなく一方的に祝うことに、県民の反発は必至と言えます。

いっこうに進まない基地負担軽減策
 1995年の少女暴行事件以降、沖縄県民の負担軽減の強い要求が示されましたが、日本政府の交渉は全く成果を上げることなく時間だけが経過してきました。日米地位協定の抜本的改善も先送りされ、米軍人・軍属による凶悪犯罪はやむことがありません。普天間基地の返還も実行されない中で、危険な垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイが、県民の大反対にもかかわらず強行配備されました。住宅地の真ん中に存在する世界一危険と言われる普天間飛行場に、何度も墜落事故を起こした危険な航空機を配備するということに、沖縄県民は強く反発し、県内のすべての自治体の長、議会議長、県知事も反対を表明することとなっています。
 いっこうに進まない基地負担軽減策は、沖縄県民の中に「いつまで占領下なのか」「主権国家とは思えない」との声も聞かれています。日米合同委員会の合意では、オスプレイの飛行は「人口密集地域、学校、病院等の上空を避けて飛行する」「垂直離着陸モードでの飛行は米軍の施設及び区域内に限る」とされていますが、沖縄では公然と破られています。沖縄県民の不満は爆発寸前と言えます。
 このような中で、3月には四国山中のオレンジルートで本土上空での初の低空飛行訓練が実施されました。全国の沖縄化が進もうとしています。しかし、「運動する側の沖縄化」が進みません。沖縄の闘いに学び、連帯し、その思いを共有化することが重要です。全国から米軍の横暴を許さない、米軍基地はいらない、日本にはいらないとの大きな声を挙げ続けなくてはなりません。

オスプレイ配備や米軍基地問題への取り組みを重ねて
 安倍首相は、憲法を改正し戦争をする国へ舵を切ろうとしています。集団的自衛権を行使し、米国の覇権に協力する日本を作り上げようとしています。
 しかし、日本の安全が、米軍の駐留で保たれることはありません。むしろ、米軍の存在が日本の安全にとって脅威となろうとしています。平和フォーラムは、次のような集会や行動を重ねながら、オスプレイ配備や米軍基地問題に取り組んでいきます。

●オスプレイ配備・米軍基地問題を考える全国集会(東京)
 日時:4月13日(土)13:30~ 14日(日)9:30~
 会場:東京・新宿区「津田ホール」(13日)
 日本青年館(14日)
(各会場ともJR「千駄ヶ谷駅」下車)

●5.15沖縄平和行進(沖縄)
 日時:5月16日(木)~19日(日)
 ※時間は日によって異なります。
 内容と会場:結団式(那覇市民会館・16日)、平和行進(17日~19日)、県民集会(宜野湾海浜公園・19日)

●憲法理念の実現をめざす全国集会(沖縄)  日時:11月3日(日)~5日(火)
 会場:調整中
 内容:開会集会(3日)、分科会(4日)、まとめ集会(5日)

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「教育再生」のあり方、学びの本質を考える
安倍政権での危険な方向をただす

歴史事実を歪曲する偏った「教育再生実行会議」
 安倍晋三首相は、首相官邸に「有識者」による「教育再生実行会議」(再生会議)を設置しました。しかしその有識者と呼ばれる人々は、首相個人の意にそった人ばかりで、東京裁判を否定し、先の侵略戦争や植民地支配を美化し歴史事実を歪曲しようとする人々、戦前の天皇を頂点とした封建的支配制度や教育勅語に見られる教育への権力支配を是とする人々で、余りにも偏った人事は、「教育再生」が「日本社会の崩壊」を呼び込むのではないかとの危惧を抱かせます。「従軍慰安婦は民間人がやったことで日本政府に責任はない。慰安婦は将校以上の報酬を得ていた」などの主張に平気で賛同する安倍首相の面目躍如と言った人事です。
 従軍慰安婦問題で謝罪を表明した「河野談話」を否定し、教科書に過去の加害の事実を記載するとした「近隣諸国条項」を廃止しようとする安倍首相の姿勢には、多くの国や人々が不審を抱き、あきれるでしょう。従軍慰安婦問題では、米国の州議会や連邦議会が、「従軍慰安婦に謝罪すべき」などとする決議をあげています。また、米・韓・日の軍事協力を重視する米国の保守層からも、「近隣諸国条項」の廃止などは、韓日の外交関係に大きな影響を与えるとの声が上がっています。
 グローバル化に対応するとする「再生会議」の「有識者」は、世界で通用する人権意識や歴史観を持っていません。中国を中心としたアジアの経済発展とその生産力や資源のポテンシャルを考えると、アジアに存在する日本の将来がどうあるべきか、おのずから見えてきます。アジア諸国との緊張感を高める政策と歴史を歪曲する教育は、決して安倍首相が言う「強い日本を取り戻す」ことにはつながりません。

競争からの解放と安心できる日常で学びを楽しく
 「再生会議」を主導する下村博文文部科学大臣は、「日本にはチャンスがある。可能性がある。私は日本をそういう国にしたいと思っています」(2月25日付、毎日新聞)と語っています。かつて安倍首相が主張した「再チャレンジできる社会」と同様の発想です。しかし「チャンス」があっても「結果」を出すことができるのはわずかな人です。そのことに思いを馳せなくてはなりません。
 「教育再生実行会議」は、新自由主義的競争原理に基づいた教育再生をめざしています。自民党政権は、戦後まっすぐに経済成長を求めて走り続けました。1966年の「期待される人間像」を見ると、人々がどう考え、どう学び、どう働いてきたかが想像できます。成長経済から後退局面に入った現在、経済的成功を求めるには激烈な競争を勝ち抜かなくてはなりません。そこには、ひからびた薄っぺらな人間関係しか生まれない不幸な社会が存在します。
 「再生会議」は、いじめ問題克服のために「道徳の教科化」と「懲罰の強化」をあげています。しかし、子どもたちに必要なのは、競争からの解放と安心できる日常ではないでしょうか。学力低下が問題視されますが、そのことよりも「学びが楽しい」という子どもたちが極めて少ないことに日本の教育の問題が潜んでいます。大学まですべて無料とされるデンマークの教育は、「社会の中での生き方を学ぶ」ことを目的としています。子どもたちは、社会との関わりをどうつくるかと言うことで、職業を選択していきます。学ぶことはそのための手段なのです。職業によってそれほど大きな収入の差はないので、子どもたちは自分を社会の中でどう生かしていくかを考えればよいのです。日本社会は収入の良し悪し、生活水準の良し悪し、社会的地位によって職業を選択してはいないでしょうか。そのことからは、社会の成熟は望めません。そして「学びが楽しい」という気持ちも生まれてはこないでしょう。

生きる教育のあり方を考える
 日本の高校では、大学進学率を教育目標に掲げようとする高校もあります。文部省唱歌「仰げば尊し」の歌詞「身をたて名をあげ、やよ励めよ」がその象徴なのではないでしょうか。進学が教育目標となるところに、豊かな人間関係は生まれません。自らの学力が数値として明確になったとき、子どもたちは将来への不安を抱き、社会からの強い疎外感を感じ、学びから脱落していきます。その過程は複雑であり、その中で自らの不安を払拭するための人間関係が「いじめ」を生んでいくのではないでしょうか。学びの本質を考えていくこと、生きる教育のあり方を考えること、そこから本当の「教育の再生」が可能になるのです。

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問題が山積するTPP交渉参加表明
求められる情報の開示と国民的議論

農産物の「聖域」は保証されていない
 安倍晋三首相は3月15日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明しました。自民党のTPP対策委員会は14日に、コメなど農林水産分野の重要品目を関税撤廃の例外とすることや、国民皆保険制度の維持などを「聖域」(死活的利益)として、「それが確保できないと判断した場合は脱退も辞さないものとする」とする決議を提出しました。しかし、交渉に参加しなければ、国民生活の水準、国際社会における地位を保てないことや、米国との連携強化などを交渉参加の理由に挙げています。
 交渉参加への動きは、2月22日におこなわれた日米首脳会談により「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明らかになった」として、政府首脳やマスコミが「TPP交渉の早期参加」を提唱したときから始まりました。しかし、日米の共同声明に明記されたのは「全ての物品が交渉の対象にされる」「全ては交渉の中で決まる」ということで、決して「関税撤廃の例外」を認めたわけではなく、これまでの米国の姿勢から一歩も変わるものではありません。また、日本の交渉参加には交渉参加国全ての国の承認が必要であり、関税撤廃を強く主張しているオーストラリアとニュージーランドは例外を認めないとしています。

医療や食の安全、公共サービスは守られるのか


JAや消費者団体が主催したTPP交渉参加反対集会に
4000人参加(3月12日・日比谷野外音楽堂)
 さらに、TPP交渉は農産物の関税だけの問題ではなく、食の安全、医療や公共サービス、労働、金融など、国民生活や行政、経済活動など多方面にわたって影響するものです。自民党は先の衆議院総選挙時に、TPPに関して6項目の条件を掲げ、その中で、「国民皆保険制度を守る」「食の安全安心の基準を守る」「ISD 条項(投資家による国の訴訟権)は合意しない」「政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる」などを公約としました。これらの点が守られるかどうかも明確ではありません。
 しかも、既存の参加国間で既に合意した事項に対し、後から参加した国が再協議を求めたり、拒否したりすることができず、すべての受け入れを求められることも明らかになりました。今年の10月頃の合意をめざすとされるTPP交渉に、仮に日本が今から参加表明をしたとしても、米国議会での承認手続きなどから、実際の交渉参加は早くても合意直前であり、日本の主張を反映させることは困難です。また、交渉に参加してから離脱することは事実上不可能と言われています。

日米首脳会談は「日本を売り渡す」ことを表明
 こうしたことについて政府から情報の開示もなく、国民的議論も行われていません。民主党政権時には、2012年だけでも政府と国民との意見交換会は87回行われましたが、自公政権になってからは1度も開かれていません。また、多くの自治体からTPP交渉参加に反対、または慎重に行うよう求める意見書が出されています。これは、農業などを中心とした第一次産業が壊滅的な影響を受けるばかりではなく、日本が長きに渡って培ってきた「社会的共通資本」「地域公共サービス」に大きな打撃を与える懸念があるからです。
 さらに日本の参加は、TPP交渉を主導してきた米国の意向に沿うもので、このことで「日米同盟」体制をより深化させ、経済におけるブロック化を強めるとともに、軍事面を含めて、東アジアでの安全保障体制に影響を与えることも想定されます。民主党など超党派の国会議員で作る「TPPを慎重に考える会」会長の篠原孝衆院議員(民主党)は、「安倍首相は『日本を取り戻す』と言ってきたが、日米首脳会談で『日本を売り渡す』ことを表明した」と語っています。
 政府が十分な情報を開示せず、国民的議論を行うことなく、性急にTPP交渉への参加表明を行ったことに平和フォーラムは強く抗議し、今後、政府やTPP交渉参加各国の動きを監視し、農業・食料をはじめとして、国民生活に打撃を与えるような交渉に反対して運動を進めることにしています。

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4月6日は「反核燃の日全国集会」へ
六ヶ所再処理工場は運転前に停止を
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団
事務局長 山田 清彦

取り出しても使い道のないプルトニウム
 一基の原子力発電所を1年間運転した際、環境中に放出される放射能を、1日で放出すると言われているのが青森県の六ヶ所再処理工場である。本格稼働すれば、年間800トンの使用済み核燃料を再処理する計画で、4トン強のプルトニウムを抽出する。
 建設が始まった20年前なら、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して、高速増殖炉で燃焼するという「可能性」があった。しかしそれが頓挫して、50年後にも実現が見通せない。だから、ウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を一般の原子炉で燃やすプルサーマル計画を言い出したものの、福島原発事故を経て、計画通りに進められるかどうか疑問だ。今でも約44トンのプルトニウムを保有している日本が、使い道の定まらない、核兵器の原料であるプルトニウムを増やすことに、世界が警戒感を強めるのは間違いない。
 これまでアクティブ試験を行い、425トンを再処理して、ウランとMOX原料と核のゴミに分類した。これをもって、「工場としては完成した」と日本原燃は言ってきた。しかし高レベル放射性廃液をガラス固化体にする過程でのトラブルによって、19回も稼動時期を延期。今年10月の竣工予定と言うが、着工から20年経ち工場全体が劣化している可能性も高い。
 ガラス固化施設が順調に動かないと、再処理工場が完成したことにはならない。そこで、日本原燃は2007年11月頃に発生した不具合から、ガラス固化施設の修復に努めてきた。その結果、2経路あるA系統の修復を先送りして、B系統でガラス固化試験を実施。ガラス固化体を製造するうえで障害となる白金族が滞留して目詰まりすれば、鉄棒でかき混ぜたり、下からドリルを突き刺したりするという、かなり原始的な方法で乗り切ることにした。こんな技術しかない日本原燃に、プルトニウムを扱わせていいのだろうか。

国は再処理工場の原子力防災範囲を拡大すべき
 国は原子力防災範囲を原発で半径30キロメートルまで拡大したが、再処理工場は相変わらず半径5キロメートルにしている。扱う放射能量が多いので、本来であれば半径60キロメートルまで拡大すべきではないか。ここまで範囲を拡大すると、青森市と八戸市も入るので、80万人くらいの人々が原子力防災対象者ということになる。
 地震や津波、航空機が墜落するなどの事故が起これば、自分たちが生活圏から弾き出されることになる。再処理工場の運転開始は、まるで地雷原の上に住むかのような怖さだ。そのことが共有されれば、多くの人々が再処理工場を止めようという意識に変わるだろう。そうなっては困るということで、原子力防災範囲を拡大しないとすればそれは犯罪に等しい。
 六ヶ所再処理工場には、高レベル放射性廃液が現時点で202立方メートル貯蔵されている。全電源喪失が起きれば、高レベル廃液の冷却が維持されず廃液が沸騰し、爆発すると言われている。この一部が環境中に漏れただけでも、東北地方は壊滅状態となるだろう。また、東海村再処理工場には394立方メートルの廃液が貯蔵されている。爆発すれば、恐らく日本中どこにも人が住めないような、放射能汚染地帯となるだろう。
 なお、下北半島では大間町にフルMOX原発を建設中で、むつ市にはリサイクル貯蔵施設も建設中だ。東北電力東通原発の建設計画もある。そんな中、東通原発1号機の下に活断層がある疑いが浮上している。

再処理がなければ電気料金値上げを圧縮
 最近になって、再処理工場が稼動することに対して、「本当に大丈夫なのか」という声が多く聞かれるようになったと感じる。経営危機から電力会社は、電気料金の値上げを申請しているが、再処理工場に支払う分を減額すれば、値上げ幅を圧縮できるはずだ。私たちが、再処理費用を支払わなくなれば、電力会社は日本原燃を支えきれなくなる。それが原発と再処理をやめる方向へ舵を切らせることにもつながる。
 青森県では、核燃施設の受け入れについては、県民投票条例を制定して決すべきだという運動が提起されていたにもかかわらず、1985年4月9日、当時の北村正哉知事が県議会全員協議会で、核燃施設の受け入れを容認した。それに怒った県民が開催したことから始まった反核燃の日集会が、今年も行われる。28回目となる集会へ、全国の皆さんの参加をお願いしたい。

第28回「4.9反核燃の日全国集会」
日時:4月6日(土)14:00~16:00
会場:青森市「青い森公園」
(青森県庁となり/JR「青森駅」7分)
内容:屋外集会
市内デモ行進(青い森公園→柳町通り→新町通り→協働社付近で流れ解散)
主催:核燃とめよう!全国実行委員会
原水禁国民会議(03-5289-8224)、原子力資料情報室、青森県反核実行委員会ほか

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「つながろうフクシマ!」を合い言葉に
3月9日~11日、各地で脱原発の集会

 2011年3月11日の東日本大震災及び福島原発事故から2年を迎えました。被災地は復興に向けて動き出していますが、一方で福島原発事故による放射能の被害が広範囲に渡り、大きな妨げとなっています。いまでも福島県内では16万人もの人々が、故郷を奪われ、生活や健康、就労などに多くの不安を抱えています。
 事故の収束も見えない中で、総選挙後に政権交代しましたが、政府の事故対応は進んでいません。一方で、原発の再稼働の話だけが突出しようとしています。被災者への援護が優先されるべきはずが、企業や業界の生き残りが優先されようとしているのです。

「反原発以外、21世紀に日本が尊敬される道はない」


3月11日の「つながろうフクシマ!
さようなら原発講演会」(品川区)
 そのような中で、作家の大江健三郎さんら9人の呼びかけ人でつくる「『さようなら原発一千万署名』市民の会」が、3月9日~11日の3日間を「つながろうフクシマ!さようなら原発大行動」と位置付けて、様々なアクションの展開を国内外に呼びかけました。フクシマを忘れず、風化させず、脱原発社会をめざして企画されたものです。
 東京では、3月9日に明治公園で「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」として開催され、春の暖かい日差しの中、1万5千人が集まりました。集会は二部構成で行われ、呼びかけ人から大江さんの他、鎌田慧さん、落合恵子さん、澤地久枝さん、そして作家の広瀬隆さん、福島からの避難者である斎藤夕香さんらが発言しました。海外からは、韓国の環境団体「韓国環境運動」の共同代表で「核なき世界のための共同行動」代表のチェ・ヨルさんが駆けつけて、メッセージを披露しました。また、11日には品川区の「きゅりあん・大ホール」において、「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」が開催され、1200人が参加しました。
 9日の集会で大江さんは、「私のいま現在の決意は3つです。広島、長崎、そして福島をナカッタコトにしようとする連中と闘う。もう一基の原子炉も再稼働させぬ、そのために働く。そして、このデモコースを完歩することです。しっかり歩きましょう!」として決意を語り、デモコースを先頭で歩き通しました。
 翌々日の講演会では、「反原発に向けてがんばっていく以外に、日本が21世紀に尊敬される道はない」と訴えました。また、呼びかけ人から内橋克人さん、澤地さん、鎌田さん、落合さん、ゲストとして福島大学教授の清水修二さん、九州大学教授で副学長の吉岡斉さんの講演が行われました。呼びかけ人の坂本龍一さんはミュージシャンの後藤正文さんと対談を行いました。

各地でもたくさんの集会やデモなどが開催される
 9日~11日には、わかっているだけでも全国で150ヵ所以上の地域で、集会やデモなどが取り組まれました。全国でフクシマを想い、フクシマを忘れない行動が取り組まれたことは、脱原発の世論が「沈静化した」という声に対する反証になったと思います。
 札幌では暴風雪のため屋外集会が中止となりましたが、屋内集会には600名が集まり、新潟でも600名、京都では3500名、福岡は2000名など、各地でたくさんの人々が声を挙げています。この声は広く海外にも伝わり、韓国ではソウルや釜山など各地で連帯する集会が開かれ、日本と同じく地震国でもある台湾でも10万人の集会が開催されています。ヨーロッパでは、フランス、イギリス、ドイツなどでもフクシマに連帯する集会が行われ、メッセージも寄せられています。詳しくは「さようなら原発1000万人アクション」HPを。
http://sayonara-nukes.org/2013/03/130309message/

フクシマを「核時代の終わり」の始めに
 国内外の草の根の動きを、さらに大きなものにしていかなければなりません。安倍自公政権の原発推進への「先祖返り」を許さないためにも、今後もフクシマを風化させない取り組みの強化が求められています。
 同時に被災者の直面する様々な問題に寄り添い、具体的解決をはからなければなりません。その上で脱原発を実現する道筋をつくりあげることが「つながろうフクシマ!」になるのだろうと思います。
 それぞれの場で全国とつながる運動が引き続き大切になります。原水禁・平和フォーラムでは、「フクシマを『核時代の終わり』の始め」にするための取り組みを、今後も拡大していきます。

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問われる日本の国際的責任
MOX燃料輸送と再処理開始

 50基の発電用原子炉のうち、大飯原子力発電所の2基を除く48基は、7月に発表される原子力規制委員会の新安全基準を満足させられるまで再稼働はあり得ません。そして再稼働となったとしても、MOX燃料の使用が自治体によって認められるか否かは不明です。それにも拘わらず、フランスからのMOX燃料の輸送や六ヶ所再処理工場の操業開始が計画されています。

引き受け先不明のMOX燃料輸送計画
 グリーンピース・フランスは、2月26日、2011年春に予定されながら福島第一原子力発電所事故を受けて延期されていたMOX燃料の輸送が、4月に計画されていると発表しました。その後の報道によると、フランスの原子力産業複合企業アレバ社はMOX燃料の輸送準備について日本の関係当局と協議していると認めたとのことですが、輸送時期は明らかにしていません。グリーンピースの最新の連絡では、シェルブール港出港時期は4月上旬から中旬と予測されるとのことです。
 一昨年の輸送計画は、中部電力浜岡4号機及び関西電力高浜3号機用のものでした。関西電力が7月に高浜3及び4号機の再稼働することを想定しているため、輸送先は高浜3号機との見方が有力でした。計画について言葉を濁していた関西電力は3月21日になってやっと高浜3号機用の輸送を計画していると発表しましたが、輸送の時期・ルートは明らかにしていません。
 現在、約960kgのプルトニウムを含むMOX燃料が5つの原子力発電所で保管されたままになっています。柏崎刈羽原子力発電所の場合は、この状態が2001年3月以来、12年間も続いています。利用のめどの立たないMOX燃料輸送は、不必要に輸送中や原子力発電所での核セキュリティ上の問題を増大させます。核セキュリティに責任を持つ原子力規制委員会は、受け入れ先を明確にするとともに輸送停止を命じるべきです。

2013年度後半に再処理開始と発表の日本原燃


 2013年10月の六ヶ所再処理工場竣工をめざしている日本原燃は、1月31日、2013年度下半期に工場の運転を始めるとの計画を原子力規制委員会に届け出ました。日本は、2011年末現在、英仏に約35トン、国内に約9トン、合計約44トンのプルトニウムを保有しています。8kgで長崎型原爆一発分との国際原子力機関(IAEA)の基準を使えば、5800発分に達します。
 米国のオバマ大統領は、2012年3月に核セキュリティ・サミットでソウルを訪れた際、韓国外国語大学校での演説で「プルトニウムのようなわれわれがテロリストの手に渡らぬようにしようと努力しているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と述べています。原子力規制委員会が核燃料サイクル関連施設の新安全基準を発表するのは12月になると見られていますから、届け通り再処理が始まることにはならないでしょうが、原子力発電所の再稼働のめども立たない現状で、プルトニウムをさらに分離する計画を出すことは、国際的な懸念を招きます。
 原子力委員会は、2003年8月の決定において、核拡散防止面での懸念に応えるためとして、六ヶ所再処理工場でのプルトニウムの分離について次のように定めています。「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめど)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表」し、「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」する。しかし、電気事業連合会は、福島事故後、プルトニウムの利用計画を更新していません。
 そもそも、電気事業者がこれまで発表した利用計画は、六ヶ所村で建設中のMOX工場が完成したらそこでMOX燃料を製造し、原子炉で利用するつもりだとの意思表明に過ぎません。1991年の原子力委員会核燃料専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」にある「必要な量以上のプルトニウムを持たないようにする」との「原則」に従うなら、英仏にある35トンのプルトニウムの消費の見通しが立たない状態で、これ以上のプルトニウムの分離を認めるべきではありません。原子力委員会は、早急に電気事業者に「利用計画」を出させるとともに、「利用目的の妥当性について確認」する際には英仏にあるプルトニウムを考慮すると明記した明確な基準を定めるべきです。
(田窪 雅文:ウェブサイト核情報主宰)

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ピースデポの活動紹介
市民の手による平和のためのシンクタンク
特定非営利活動法人ピースデポ
事務局長代行 塚田 晋一郎

「情報闘争」の担い手として
 ピースデポは、核軍縮や在日米軍・自衛隊などに関する調査・研究を行う「市民の手による平和のためのシンクタンク」として活動しています。隔週発行の情報誌「核兵器・核実験モニター」や、毎年発刊している年鑑「イアブック 核軍縮・平和」は、運動に携わる方々や、研究者、議員、報道関係など様々な方にお読みいただいています。
 ピースデポの事務所は常勤3名体制で、規模としては非常に小さな団体です。私たちの日常は、調査、原稿執筆、編集作業、その他諸々のことに追われる日々が続きます。そうした毎日の中でいつも考えるのは、私たちが発信する情報が、日本各地での運動の最前線で取り組まれているみなさんに少しでも有益なものとなり、運動の前進に資することができれば、との思いです。
 ピースデポの活動は、言い換えれば「情報闘争」だと考えています。この言葉は、2008年に私が常勤スタッフとなる際、田巻一彦副代表から言われた言葉でもあります。私は学生時代、沖縄に通い、辺野古基地建設阻止のための非暴力・直接行動に、カヌー隊・ダイバーとして携わりました。横浜の大学でも沖縄の基地問題に取り組むサークルを立ち上げるなど、「現場主義」で動いていたように思います。ピースデポの活動は、ややもすると「現場」にその存在が見えづらいと思われることもあるかもしれません。しかし、私たちの社会には、核兵器廃絶や基地問題において一歩でも前進するために、地道に取り組む「市民の手によるシンクタンク」が必要であると信じています。

核兵器廃絶へむけて、国内外での取り組みを


ピースデポ第14回総会記念シンポジウム
「朝鮮戦争『休戦』から60年―北東アジアの平和の
枠組みを考える」(2月23日、川崎市平和館)
 ピースデポの活動の一つの柱に、「北東アジア非核兵器地帯」へ向けた取り組みがあります。「北東アジア非核兵器地帯を求める国際署名」には、これまでに409名の国内自治体首長が賛同しています。
 昨年来、国連総会等において、多くの有志国による「核兵器の人道的側面に関する共同声明」が発出されています。また、3月のオスロ会議には120ヵ国以上の政府と世界各国から活動家が参加しました。しかし、日本は未だに米国の「核の傘」に根深く依存しています。唯一の戦争被爆国であり、福島第一原発の放射能被害を現在進行形で経験している日本の私たちは、現在の在り方を転換させ、国際的な運動の先頭に立つべく、粘り強く取り組まねばならないと痛感しています。

オスプレイ配備・低空飛行訓練の撤回へ向けて
 米海兵隊のオスプレイが、3月6~8日に、オレンジルート(和歌山~四国)で、本土で初の低空飛行訓練を実施しました。米軍の慣行からすると、訓練前に在日米軍司令官が記者発表したこと自体が異例であり、オスプレイに関する沖縄や全国での運動の高まりが、米軍にもある程度の影響を及ぼしていることがうかがえます。
 ピースデポは一昨年から、この問題について様々な場面での執筆、講演、取材協力などの活動に取り組んできました。とりわけ、平和フォーラムからの委託事業として、「低空飛行訓練に関するアンケート」を全国226自治体に送付し、現在、報告書をまとめています。(本誌2月号で概要報告)。このアンケートによって、各地での飛行実態や、オスプレイへの自治体の認識や取り組みなどの、より全体像が見えてくることと思います。
 いま私たちを取り巻く状況は、国内外ともに非常に厳しいものがあります。だからこそ、私たちの役割の重要性が再認識され、真価が問われる局面が続くことでしょう。今後も様々な課題に、みなさんと共に取り組んでいければと思います。ただし、ピースデポは非常に小さな団体です。入会、「核兵器・核実験モニター」の定期購読、カンパ、書籍購入など出来得るかたちで、ぜひ支えていただけますよう、よろしくお願いいたします。

特定非営利活動法人ピースデポ
〒223-0062 横浜市港北区日吉本町1-30-27-4
日吉グリューネ1F
TEL:045-563-5101 FAX:045-563-9907
Email:office@peacedepot.org
URL:http://www.peacedepot.org/

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《各地からのメッセージ》
護憲と平和運動を中心に活動を展開
憲法擁護・平和・人権フォーラム鳥取県 事務局次長 石田 信夫


 鳥取県では、鳥取県平和センターを1999年に解散し、「憲法擁護・平和・人権フォーラム鳥取県」、「原水爆禁止鳥取県民会議」、「食とみどり、水を守る鳥取県労農市民会議」の3団体として運動を展開している。組織体制、財政面での弱さは否めないが、各団体で連携を取って、相互に助け合いながら活動してきた。また、組織内だけにとどまった運動とならないように、県内を中心とする市民団体との提携を意識しながら、運動を組み立てている。
 私たちが特に力を入れてきた課題の一つに、護憲と平和の課題がある。毎年開催している、5月3日の憲法記念日講演会では毎回、著名な講師を招き講演を行い、憲法問題を訴え続けてきた。今年は鳥取市で、作家の雨宮処凛さんをお招きして開催する予定である。
 また、毎年8月15日には、敗戦記念日行動も開催している。昨年はオスプレイ配備反対の街宣行動、チラシ配布を行い、その後の秋期の活動でもオスプレイ配備反対の街宣行動に加えて、米軍基地を抱える山口県岩国市の田村順玄市議会議員による講演・学習会(写真)を開催した。米軍機低空飛行訓練は中国山地のブラウンルートで毎月のように鳥取県でも行われており、県東部地区を中心に住民の不安と脅威を煽っている。ブラウンルートはオスプレイ飛行訓練予定にはないが、いつ飛んできてもおかしくない状況にあり、日本全土での米軍基地に反対する立場で運動を継続していきたいと考えている。
 脱原発運動に関しては、原水禁鳥取県民会議が主体で取り組んでおり、私たちも共同で運動を展開している。今後も同じ中国ブロックの平和フォーラム各団体と連帯しながら、島根原発再稼働の反対、上関原発新設阻止の運動などに取り組んで行く決意である。また、中国ブロックには米軍岩国基地もあり、基地問題でも連携して、運動をつくっていきたい。

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【映画評】
約束─名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯


2012年/日本/齊藤潤一監督
 「名張毒ぶどう酒事件」が起きたのは1961年。逮捕され、自白を強制された上、半世紀も獄中にあるというのはどんなものなのか。刑の確定後は、いつ処刑されるかもしれない恐怖の日々を送るということの意味を、この映画を観賞して追体験することになります。
 奥西勝さんは87歳。最高裁で死刑が確定した後、繰り返される再審請求とその棄却。刑の執行が無い場合は昼食の配給があり、そのときだけはほっと一息つくという地獄の連続。あまりに重いテーマなのですが、事実は何だったのか、徹底的に追及する映画制作者の姿勢が伝わり、ある種の救いになっています。
 妻も事件で犠牲になっている中での連日の取り調べ。自供した後は逮捕、拘置期限の切れるまで17通という大量の自白調書を取っているのは、証拠を見つけられない警察の苦慮を表しています。1審では証拠不十分で無罪になっていますが、逆転死刑判決とされたのは、この事件が戦後ただ一つのケースだといいます。「原判決を破棄し、被告人を死刑とする」との裁判長の言葉の裏付けは、「ぶどう酒瓶につけられた歯形は奥西勝のものと断定」というものでした。
 判決確定後、弁護士に相談するお金もなく、再審請求のための資料を一人でつくっていた奥西さんに、えん罪を確信した支援者が現れたのが87年。後に結成された弁護団は、すでに製造されていない当時の酒瓶の王冠を復元して開栓実験。歯形とされる傷跡のかたちが歯では付けられないことを明らかにするなど、検察側の不明確な証拠を次々に覆し、再審を請求していきます。本作で描かれるのは、縦社会組織の典型である裁判所では、先輩の下した判決を覆すことは、ほとんどあり得ないということ。元裁判官の証言するシーンは裁判制度に対する見方をゆさぶるものです。
 訴訟のために私財をなくし、先祖の墓までも、村の墓地から出された奥西さんの家族の苦悩はもちろん、小さな村の中で捜査の進展に伴って、証言まで変えさせられた村の人々もまた、被害者なのかもしれません。えん罪の持つ重さ、影響の大きさを丹念な取材で見せてくれる東海テレビの制作陣は、前作の「死刑弁護人」に続いて名作となりました。今回は、ドキュメンタリ―作品ではなく、仲代達矢、樹木希林の演技も堪能できるドラマ作品。ぜひ各地での公開が望まれます。
(金生 英道)

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パンフレット
『詳細解説 オスプレイの沖縄配備と全国での低空飛行訓練』


 全国基地問題ネットワークと平和フォーラムの共同で、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイについての解説パンフレットを発行しました。14項目にわたりオスプレイと低空飛行訓練の問題がわかりやすく解説されています。学習用の教材などとして、積極的な活用をお願いいたします。
体裁:A5判40ページ
内容:「オスプレイとは何ですか?」「日本にはどのような関係がありますか?」「オスプレイは危険な飛行機なのですか?」「オスプレイの事故率は海兵隊平均より低いのではないですか?」「沖縄以外の地域では、どのような訓練が行われるのですか?」「低空飛行訓練とは何ですか?」「低空飛行訓練にはどのような問題がありますか?」など。
頒価:100円(送料別)
問い合わせ:平和フォーラム(TEL:03-5289-8222)

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