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ニュースペーパー2015年12月

2015年12月 1日

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憲法理念の実現をめざす第52回大会
 「不戦と民主主義─戦後の誓いを忘れない憲法理念の実現をめざす第52回大会」が、11月14日から16日まで青森市で開かれ、全国から1800人が参加しました。安倍内閣のもとで、明白に憲法違反である「戦争法」が強行成立し、立憲主義そのものが崩される危機的事態での大会となり、安倍政権に総力で対決する取り組みをいかに築くかが問われました。開会総会に引き続いて開かれたシンポジウムで、パネリストの上智大学教授の中野晃一さんは「安全保障は憲法の範囲内で行うべきであり、安倍首相のいう積極的平和主義は決して日本社会の安全を保障しない」と述べ、日本体育大学教授の清水雅彦さんは、フランスでのテロを取り上げ、「テロの背景には、世界の貧困問題がある。日本国憲法の『平和のうちに生存する権利』という理想を、世界で実現しなくてはならない」と指摘しました。ルポライターの鎌田慧さんは、戦争をしないという大切な日本社会の決意を、安倍首相が勝手に潰したことを「侮辱」と表現し「そのことが市民の大きな動きにつながった」との認識を示し、戦争をさせない1000人委員会・信州事務局の喜多英之さんは、多様性を認めあう柔軟な運動が県内に広がったことを報告しました。大会は、原発や米軍基地、貧困問題などでも討議をし、「明日を決めるのは私たち!をキーワードに運動しよう」と確認し合いました。(写真は分科会の様子)

インタビュー・シリーズ:107
福島で除染と原発収束作業に携わって
元福島第一原発作業員 池田実さんに聞く

いけだ みのる さん
いけだ みのる さん
元郵政労働者。2013年3月、定年退職を機に、東京電力福島第一原発事故に携わることを決意し、渋谷のハローワークで、福島県内での求職を求めました。郵便局での再雇用という選択肢もありましたが、3.11という歴史的「大事件」が、自分の人生(特に第二の人生)に大きな影響を与え、転換点となりました。現在も続く福島の収束作業に少しでも関わり、役に立ちたい、実際に何がおこっているのか確かめたいと真剣に考え、退職を機に東京から福島に移り仕事に従事されました。その貴重な経験の一端を伺いました。

─どのような経過で福島原発事故の関連する場で働くことになったのでしょうか。そんなに簡単に仕事を見つけて働けるものなのでしょうか。
 最初、渋谷のハローワークで福島第一原発での仕事を探したのですが、紹介していただいた会社は、一様に「60才以上はダメ」と言われ、結局どこも採用されませんでした。応募要綱には「年齢不問」「経験不問」と表向きにはなっていたにもかかわらずです。そこで、除染作業の仕事を探しました。秋まではあまり進展のないまま過ぎましたが、やっと数社見つかりました。面接があるものかと思いましたが、それもなくあっさり会社が決まりました。日当は1万7千円、そのうち危険手当が1万円で、8時間労働の契約でした。
 しかし、すぐに福島での仕事がスタートしたのではなく、翌年の2月まで待機となり、それから福島での働きがスタートしました。仕事に入る前に、事前に誓約書が渡され、暴力団員などの「反社会的勢力でないこと」を誓約し、ホールボディーカウンター(WBC)で、体内に取り込まれている放射性物質の量を測り、事前研修として除染の特別教育を受けました。その後やっと、安藤ハザマのJV(共同企業体)の受け持つ浪江町酒田地区での除染作業が始まりました。この酒田地区は、第一原発から北西に28キロの「避難区域」の場所でした。

─本来は福島第一原発に行きたかったが、年齢制限で行けなくなり、最初にかかわった福島での仕事が除染作業ということになりましたが、仕事はどのようなものでしたか。きついこともあったのでしょうか。
 まず、現場では人手が足りません。労働者の引き抜きがよく起きています。割のいいところに渡り鳥のように移っていく人もいます。そのために労働者間での情報交換を、休憩時間などでよく聞きます。除染作業は、誰でも入れますから、北から南まで全国各地から来ていました。
 仕事は、最初は墓地の除染で、墓石などを何度も拭く作業を行いました。次に河川敷の土手ののり面の集草作業へ移りました。草を刈り、所定のフレコンパックという袋に詰め、それを仮置き場に運び出す作業です。環境省の指示では、草を刈り、表土を5cm削るとなっていましたが、工期が迫れば草を刈るだけとなっていました。それでもいくらかは線量が下がりました。除染作業はきつく、特に雨や雪の時の屋外作業はやりにくかったです。滑りやすく、草がぬれて刈りにくくなるし、合羽を着ているために動きづらくて蒸し暑い思いをしました。さらに被曝対策も杜撰で、線量をちゃんと測る姿勢に欠けていました。
 毎日、毎日繰り返される除染作業に、「何のためにこんな仕事をしているのだろう」という考えが浮かんできたこともありました。「除染でなく除草」でしかないように感じたりしました。

─きつい仕事だと思いますが、労働環境、条件などは具体的にどうでしたか。
 現場での労働は、職長のパワハラも横行し、最初の話と違うことが多く見られました。集合時間や早出、残業は無給で、週休2日のはずが土曜日は原則出勤、日曜日も現場に出ることがありました。「契約期間」も除染作業の終了時点という、あいまいで不安定な期間となるなど、まさに無法地帯のようでした。「求人票」にあった話と違うことはいくらでもありました。また、この作業に当初集まった人は、沖縄、大阪、新潟、山形、青森と全国各地から来ていました。それぞれ、「地元での仕事がない」ということでした。

─その後、念願の福島第一原発の現場にやっと移るわけですが、どのように移ることができたのでしょうか。除染作業と比べてどうでしたでしょうか。
 4カ月ほどで除染作業を終え、再度ハローワークで福島第一原発での作業を探しました。運よく60才以上でもOKという会社があり、第一原発の現場に入ることができました。その会社は3次下請けでした。給料は1万4千円と、前の除染作業よりも安かったです。また、同じ仕事をしていても、会社によって賃金が違うことがよくありました。会社の方からは「誰にも言ってはいけない」と釘を刺され、そのような話は表では言わないけれど、お互い聞こえてくることがあります。

─福島第一原発では、主にどのような仕事に携わっていましたか。春から夏にかけての暑い時期でもあり、重労働ではなかったですか。
 私は、福島第一原発の1~4号機に入って、雑務みたいなものを中心にこなしていました。そこでは、違う会社の人が多く、なかなか仕事をこなすうえで意思疎通をすることが難しかったです。事故も発生しやすく、これは構造的な問題だと感じました。現場では、東京電力の人は見たことなく、元請けがすべての実権を持っていました。
 仕事は、除染作業の時と違い、実働1~2時間で終わることもありました。除染作業より楽という印象でした。仕事は、見えない放射線が飛び交う中、爆発によって飛び散ったガレキやドラム缶、ボンベ、散乱したゴミなどを集め、撤去する作業でした。炎天下で、全面マスクと防護服という、暑さの中ではきつい作業でしたが、体は楽だったときもありました。しかし、その分、除染作業の時と比べると被曝線量は上がりました。特に私の場合、原発の中での作業より、外での作業の方が線量は高かったようでした。

─除染作業や福島第一原発内という、放射線が飛び交う中で被曝労働を行ってきたわけですけれど、どれくらい被曝線量を浴びたことになっていますか。
 仕事に従事する際、必ず放射線管理手帳(放管手帳)をもらい、それぞれの作業で被曝した線量を記録していくことになります。私の放管手帳には、除染作業も含め、合計7.2ミリシーベルトを浴びたことになっています。一方で、厚生労働省は、5ミリシーベルト以上を、離職1年後の労災の白血病認定の基準としています。私の被曝線量が「直ちに健康に影響をもたらす数字ではない」と言われますが、それが今後、体にどのような影響を与えるのかわかりません。
 警報付きポケット線量計(APD)を持たされ、休憩所などで、作業員同士で「いくついった?」と、何ミリ浴びたかをよく話していました。低いと「楽している」といって、みな毎日気にしていました。目に見えない放射能を知るのは、線量計だけです。いくら安全と言われていてもやはり被曝することは内心不安です。日々、時限爆弾を抱えて仕事しているようなものです。現在、緊急時の作業員は、年1回の健康診断がありますが、私たちは放管手帳を持っているだけで、離職後、検診すらありません。使い捨てのようです。
 福島第一原発には、翌年の4月まで作業に従事し、退職しました。これまで、土日と祝日が休みの週休二日が、土曜、祝日が勤務に変わったことで、これもこれまでの「約束」と違うことになったことが決定的でした。また、しゃがんでする仕事が多いことが、持病の腰痛を悪化させたことなどがあり、退職を決意し、福島第一原発を後にしました。

─最後に福島の今後はどう思いますか。廃炉へのロードマップでは、40年とも50年と言われています。うまくいくようにみえますか。お話を聞いて労働者をめぐる環境にも大きな問題があるように感じます。収束作業に誇りをもって、士気を維持していくためにも、今後の福島原発には課題がありそうですが、いかがでしょうか。
 事故の後始末は40年とも50年とも言われていますが、本当にそのようにいくのだろうか、実感として疑問です。現場で働くものは、工程表通りいくとは誰も信じていないだろうと思います。私がいた時期にも、汚染水漏れや死亡事故などで工事の休みが相次ぎました。大量の雨が降れば、汚染水が海に漏れるなどは日常的に起こっており、廃炉までには100年以上かかるかもしれません。現場では、東電のやっていることは相当にチグハグのように感じました。
 現場で働く作業員の待遇もまちまちで、ピンハネもずいぶんあるようです。下請け構造が二次、三次、四次と重層化し、労働環境に大きな構造的問題があり、士気にも影響しています。熟練労働者も限られる中で、今後、廃炉へ向けた作業が一段と厳しくなっています。抜本的に対策を考えなければなりません。
 現在、福島第一原発では、7000人に及ぶ人々が働いています。これらの人々の待遇改善が急務です。これからますます労働者が本当に必要になってきます。今のような人の集め方や環境条件では、いずれ人材難の問題がでてくるでしょう。そうなる前に手を打つべきです。

インタビューを終えて
 福島の原発事故は、早々の収束宣言にもかかわらず、実態はきわめて困難な状況に直面しており、放射性物質との闘いに明け暮れている。累積被曝量が5ミリシーベルトを超えた労働者は8月末で2万人以上いて、今後も増え続けるという。白血病を発病し労災認定された人も出ている。池田さんは、そのような現場に自ら飛び込んだ。役に立ちたい、実際何が起こっているか確かめたいとの思いからだという。廃炉まで50年ともいわれるが、池田さんの実感からいえばもっと長いという。被ばくと闘いながらの膨大な労働者と膨大な時間、重層化する下請け構造、賃金の中間搾取、ずさんな安全管理、池田さんはいずれ人材難に陥るだろうと予想する。今後を考えると不安にかられる。池田さんは身をもって、脱原発を主張している。
(藤本泰成)

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翁長知事が「公有水面埋立承認」を取り消した理由
沖縄の過重な基地負担と辺野古・大浦湾海域の生物多様性
沖縄環境ネットワーク 世話人 花輪伸一 

 翁長雄志沖縄県知事は、10月13日に、前知事による2013年12月の「普天間飛行場代替施設建設事業に係わる公有水面埋立承認」を取り消し、その通知書を沖縄防衛局に提出した。この承認取消の理由は、7月16日の承認手続きに関する第三者委員会の「検証結果報告書」にもとづき整理されたものである。ここでは、第三者委員会の報告書と県知事の承認取消通知書をもとに、その理由について考えてみたい。

本来、公有水面は住民の共有財産
 埋立承認およびその取り消しの根拠となった「公有水面埋立法」は、河川や湖沼、海岸などの公有水面を埋め立てて所有権を取得するための手続きを定めている。法4条1項1~6号が埋立免許(承認)の基準であり、前知事による埋立承認は、そのうち1号の「国土利用上適正且合理的ナルコト」と2号の「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」という要件を満たしていなかったので、今回、知事により埋立承認の取り消しが行われたのである。
 この法律は1921年に制定され、1973年と1999年に一部改正されたが、いまだに漢字カタカナで書かれたままの古い法律である。「埋立促進法」と皮肉られるほど、全国各地でこの法律により埋立や干拓が進められてきた。その結果、多くの干潟や藻場、サンゴ礁、浅海域などの重要な自然環境が失われ、漁業生産の激減を引き起こしてきた。埋立地に大規模工業地帯が建設された場合には、汚染物質の排出による公害を引き起こすなど、地域住民へ大きな悪影響をおよぼしてきた。
 本来、公有水面は住民や市民の共有財産であり、国はその管理を負託されているとみるべきである。しかし、法律では公有水面は国が所有し管理するとされ、運用によっては、辺野古新基地建設のように、強権的に埋立を進めることができる。そのため、公有水面の保全を目的とする根本的な法改正が必要である。


辺野古新基地建設に抗議の声をあげる5・15平和行進
(2015年5月・沖縄県名護市)
埋立の必要性が認められない
 翁長知事は辺野古新基地建設のための公有水面埋立承認を取り消した主な理由で、埋立の必要性が立証されていないこと、また環境影響評価がずさんであり、環境保全措置が不十分である点をあげている。それぞれ前述の法4条1項1号、4条1項2号の要件を満たしていないことを示している。この2点について、次に詳しく確認しておきたい。
 沖縄防衛局の埋立必要理由書では、普天間飛行場の危険性除去と代替施設の必要性を前提に、(1)抑止力、(2)地理的優位性、(3)一体的運用をあげて、辺野古・大浦湾海域の埋立が必要であるとしている。
 これに対して、県知事は「普天間飛行場が県外に移転しても、依然として米軍基地、自衛隊基地があることから、抑止力や軍事的プレゼンスが許容できないほどまで低下することはない」、また「地理的優位性、一体的運用の必要性について、時間や距離その他の根拠が何も示されていない」ことを指摘し、辺野古移設の必要性の実質的な根拠に乏しく、埋立の必要性は認められないとしたのである。このことは、森本敏元防衛大臣の「軍事的には沖縄でなくて良いが、政治的には沖縄が最適」という発言にも端的に表れている。
 また、知事は、沖縄県の過重な基地負担とその格差が固定化されることを指摘している。戦後70年経過しても、沖縄に米軍専用基地の73.8パーセントが集中し、自治権がおよばず、広大な基地によって地域振興が阻害され、軍用機による騒音や墜落の危険性、軍人・軍属による事件・事故により、県民は大きな負担と被害を受け続けている。辺野古新基地建設では、埋立地は国有地となるため基地返還はほぼ不可能で、将来にわたって続く基地負担は、他の都道府県と比べてもあまりに過重であり、その格差も固定されてしまうのである。

沖縄に米軍基地が偏在し他地域と格差
 第三者委員会の報告書によれば、各都道府県の面積に占める米軍基地の割合は、沖縄県が最大で10.2パーセントもあり、それに対して、次の静岡県と山梨県が1パーセント台、他は1パーセント以下に過ぎず、大きな格差がある。
 さらに、辺野古・大浦湾海域の埋立による新基地建設は、保全の必要性が極めて高い貴重な自然環境と生物多様性の喪失、軍用機の騒音等による生活環境の悪化、沿岸漁業資源の劣化の可能性、地域計画との齟齬、米軍基地の固定化など、不利益が極めて大きい。一方、得られる利益は普天間飛行場の危険性の除去とされているが、移設先が辺野古である必然性は認められないことから、辺野古埋立による利益は相対的に小さい。このように、第三者委員会と県知事は、利益と不利益の比較衡量を行い、不利益が極めて大きいと指摘しているのである。
 したがって、辺野古・大浦湾海域埋立の必然性・必要性は認められず、不利益が利益を大きく上回ること、また、沖縄に米軍基地が偏在し、他地域との格差が固定化することは、決して「国土利用上適正でも合理的でもない」のであり、これは法4条1項1号の要件を満たしておらず、この点だけでも、県知事は埋立を承認することはできない。前知事の埋立承認に法的瑕疵があったことは明らかである。

オスプレイの騒音に対する措置もない
 公有水面埋立承認願書には、環境保全に関する図書の添付が必須であり、環境アセスメント補正評価書(要約版)がこれに当たる。知事は、この図書に示された環境保全措置は、問題の現況と影響を的確に把握しておらず、適正とも十分とも認めがたいとして、生態系、ウミガメ類、サンゴ類、海草藻類、ジュゴン、埋立土砂による外来種の侵入に関して、それぞれ具体的な問題点を細かに指摘している。すなわち、自然環境や野生生物への影響が的確に把握されておらず保全措置も適正ではないということである。
 そもそも、辺野古新基地の環境アセスメントは、評価書段階まで、オスプレイの配備や強襲揚陸艦の係船機能付護岸を隠し、それに対する住民意見の機会を失わせてきた。また、事前調査と称して多数の撮影・録音用機材を海底に設置して環境を撹乱し、ジュゴンの遊泳を阻害して辺野古・大浦湾沿岸の重要な採食場所である海草藻場から遠ざけるなど、民主性、科学性に欠ける史上最悪のアセスと評されている。
 次に、県知事は、オスプレイ等の米軍航空機の運用による騒音や低周波音等に対しても、実効性のある環境保全措置が明記されていないことを問題視している。沖縄防衛局による環境保全措置は、航空機騒音については「騒音測定を実施して、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律による対策等を実施する」ことだけであり、米軍に対しては「事実関係の照会や改善の申し入れ」をする、あるいは「配慮を強く働きかける」とするのみで、何ら具体的で有効な対策を提示していないのである。
 既存の普天間飛行場では、「米軍の運用上の所用」を理由に、騒音規制措置に関する日米合意に違反する飛行形態が日常化し、協定が形骸化している。一方、飛行経路、場周経路、施設間移動、運用回数など米軍機の運用は、規制措置合意どおりになされず、それに対して日本政府の権限はおよばない。

自然環境や生活環境に悪影響をおよぼす
 こうした実態から見て、防衛局が示した環境保全対策では、辺野古新基地で騒音等の規制がうまくいくことはまったく期待できない。これらのことから、県知事は、新基地建設による生活環境への悪影響は、防衛局の実効性のない抽象的な環境保全措置では回避できないと強く批判している。
 このような環境保全措置に対して、環境アセスメント段階の2012年の知事意見は「当該評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と批判していたのである。また、今回の埋立承認手続きの中でも、沖縄県環境生活部長は、2013年に「環境保全措置等に不明な点があり、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全についての懸念が払拭できない」と評価するなど、環境保全上の課題は何も解決していないのである。
 したがって、辺野古新基地建設のための埋立は「環境保全および災害防止に十分配慮」したものではなく、法4条1項2号の要件を満たしておらず、この点から見ても、前知事による埋立承認には法的な瑕疵があるという結論は合理的である。
 なお、前知事は2013年12月の埋立承認に際して、環境保全措置に関しては「環境監視等委員会」を設置することを条件の一つにしている。しかし、最近の報道によれば、防衛局から環境アセスを請け負った大手コンサルタント「いであ」は、この環境監視等委員会の運営までも請け負っており、さらには、数名の委員が「いであ」等のアセス関連企業から寄付金を受け取っていたことが明らかにされている。これは不正行為と見られても言い訳はできない。

安倍政権の非法治主義に抗した闘いを!
 以上みてきたように、辺野古・大浦湾海域を埋め立てて新基地を建設することは、沖縄の過重な基地負担と格差の固定化につながり、また、同海域の類まれな生物多様性を消滅させることになることから、決して国土利用上適正かつ合理的なものではなく、環境保全および災害防止に十分配慮したものでもないことは明らかである。したがって、公有水面埋立法4条1項の埋立免許(承認)の要件を満たしておらず、前知事が行った埋立承認には法的瑕疵があることも明白である。翁長知事による公有水面埋立承認取消は、法的にも適正で合理的であると言える。
 しかしながら、政府は行政不服審査法を悪用し、沖縄防衛局が「私人」になりすまして国交大臣に不服審査請求を行い、同じ政府内の国交大臣がこれを認めて知事の承認取消の執行停止を行うなど、法治国家としてあるまじき振る舞いにおよんでいる。私たちは、政府の横暴を強く糾弾し、翁長知事を支持し、沖縄の人々とともに、新基地建設阻止に向けた闘いをさらに進めていかなければならない。
(はなわしんいち)

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脅かされる食の安全─どうなる? 私たちの食卓
日本消費者連盟 事務局長 纐纈美千世 

欠陥が明らかになった機能性表示食品
 「純露プラス」「食事の生茶」「ブルーベリー黒酢」に共通するキーワードは何でしょうか?答えは「機能性表示食品」です。今年4月に始まった機能性表示食品制度は、科学的な根拠を示せば、国の審査なしで機能性を謳えるもので、6月以降、「血圧が高めの方に」「ひざ関節の動きを助ける」などと書かれた機能性表示食品が次々に発売されています。ちなみに冒頭の3品は、「糖の吸収をおだやかにする」「脂肪の吸収を抑える」「内脂肪が気になる方」が謳い文句です。
 消費者庁は同制度について、科学的根拠を企業が公表することで、その情報を消費者もチェックできると、その意義をアピールしていますが、ここにきて大きな欠陥が明らかになりました。特定保健用食品(トクホ)の審査で食品安全委員会が「安全性が確認できない」と却下した商品が、機能性表示食品として売り出されることになったのです。消費者庁は「届け出要件を満たしているので受理」したと説明していますが、そもそも企業が提出する書類に不備がなければ第三者のチェックなしで販売が可能になるという制度自体が問題です。
 届出制とはいえ、消費者の多くは消費者庁が受理したと聞けば、国がお墨付きを与えたと考えます。そのような誤解を生む制度設計をした政府の責任は重いと言えます。消費者の健康を蔑にし、企業利益を優先する政府の姿勢には抗議の声をあげる必要があります。


機能性表示食品をめぐり消費者庁と交渉した集会
(7月15日・参議員会館)
消費者の知る権利・選ぶ権利を保障する食品表示に
 機能性表示食品という新たな制度を作る一方、今年4月の食品表示法施行時に約束された、「加工食品の原料原産地表示」や「遺伝子組み換え食品表示」、「食品添加物表示」の見直しに向けた検討は手つかずのままです。食品表示法施行から半年以上経過しているにもかかわらず、消費者庁は検討会すら立ち上げていません。当初、経過措置期間(新ルールに基づく表示への移行猶予期間)を加工食品は2年、添加物は1年としていたのが、いずれも5年に延長されてしまいました。
 消費者の要望が強い食品表示の拡充が遅々として進まない中、日本消費者連盟は9月に「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と合同で遺伝子組み換え(GM)食品表示の厳格化を求める署名活動を始めました。現在、表示義務があるのは、豆腐や納豆程度です。表示の対象食品でも、重量の多い上位3品目で総重量に占める割合が5%以上の原材料にしか表示義務がありません。GM食品を食べたくないと思っても、避けることができないのです。また、GM原料の意図しない混入なら5%まで認めていることも問題です。さらに、GM作物の最大の需要先である飼料に表示義務がないため、農家は知らないままGM飼料を家畜に与えています。
 消費者は、自分たちの口に入る食べものに何が入っているかを「知る権利」を持っています。日消連は、すべてのGM食品・飼料への表示の義務化を求めるとともに、意図しない混入許容率をEU並みの0.9%未満に厳格化することを求めています。

食の安全を破壊するTPP
 いま一番の懸念は、10月5日に「大筋合意」した環太平洋経済連携協定(TPP)です。大手マスコミは「食の安全基準に変更なし」という政府のコメントを垂れ流していますが、とんでもありません。TPPは食の安全を根底から破壊するものです。
 すべての「合意」内容はまだ明らかになっていませんが、現時点でわかっていることの一つは通関の迅速化です。現在、輸入食品の安全審査に平均92.5時間かかっているのを、48時間にすることが義務付けられました。今ですら検査率は10%を割り込んでおり、9割以上は書類提出だけの素通り状態ですが、検査時間が短縮されれば、検査員を増員しない限り、検査率の低下は避けられません。しかも、関税率の削減・撤廃で今後、輸入食品は一段と増加することが予想されます。48時間で通関させるために、検疫の規制緩和という、安全性の確保の追求とは真逆のことが行われる可能性もあります。
 米国は日本に対し、以前から牛海綿状脳症(BSE)の輸入制限やGM食品表示、農薬残留基準の撤廃、ポストハーベスト(収穫後の農薬)使用規制の緩和を執拗に求め続けています。TPPの最大の目的が非関税障壁の撤廃であることからすれば、米国の要求はこれまで以上に激しくなると予想されます。具体的な安全基準変更はなくても、ISDS(投資家対国家間の紛争解決)条項が導入されたことで、たとえば米国の企業から訴えられることを恐れ、日本政府が自主的に従来の規制などを緩和する可能性もあります。自国の食の安全を自国の基準で守れなくなるTPPは到底受け入れることはできません。
(こうけつみちよ)

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STOP伊方原発再稼働!11・1全国集会in松山
無責任な県知事の同意に抗議の声あがる
愛媛県平和運動センター 事務局長 大原英記

 11月1日、「STOP伊方原発再稼働!全国集会in松山―福島をくり返すな―」が松山市で開催されました。5日前の10月26日に中村時広愛媛県知事が伊方3号機の再稼働に同意した直後の集会でした。各地から4000名が参加し、熱のこもった集会となりました。


4000人が全国から集まった集会(11月1日・松山市)
モラルに反する産業は原発か戦争しかない
 正午前にプレ企画がスタート。泊、女川、福島、志賀、川内現地からのスピーチや、原子力市民委員会の吉岡斉さん、作家の広瀬隆さんのスピーチが行われました。吉岡さんは、中村県知事の記者会見を「県民の命を守る責任をそっちのけにして、国の政策に全面的に同意したことは到底許されるものではない」と批判しました。
 主催者である伊方原発をとめる会の草薙順一事務局長が開会挨拶で「県知事の再稼働同意に強い憤りを持って抗議し、撤回を求める。福島原発事故も収束せず、伊方原発の安全は確保できない。住民避難もできず、県民多数の反対を無視した判断は人命軽視、無責任、県民の侮辱であり、知性も理性も倫理も投げ捨てた知事の同意を断じて許せない」と訴えました。
 協賛団体からは鎌田慧さん(さようなら原発1000万人アクション)、長瀬文雄さん(原発をなくす全国連絡会)、ミサオ・レッドウルフさん(首都圏反原発連合)、柳田真さん(再稼働阻止全国ネットワーク)がアピール。鎌田さんは「45年前の伊方原発建設反対闘争では、伊方の9町は広島原爆被災地の向かい側にあるところに原発をつくるというとんでもない計画に反対した。四国電力は今期は黒字決算、原発が稼働しなくても黒字なのになぜ原発を再稼働するのか。国民のためではなく、会社のために危険な原発を稼働させることは、まったく許せない。福島原発で働く労働者が白血病で亡くなり労災認定された。原発が40年稼働してようやく14人目の労災認定だ。今までにガンや白血病で何人亡くなったのか分からない。このような非人間的なモラルに反する産業は原発か戦争しかない。平和は私たちの手でつくること。絶対に子どもたちを被ばくさせない」と訴えました。
 福島および地元からの報告では、菅野みずえさん(福島から岡山県への避難者)や中川創太さん(伊方原発運転差止訴訟弁護団事務局長)、STOP伊方原発!南予連絡会から斉間淳子さんと遠藤綾さんが発言しました。また、国会議員から、吉田忠智・社民党党首、菅直人・民主党衆院議員、笠井亮・共産党衆院議員が発言しました。発言をしめくくった外京ゆりさん(原発をなくし自然エネルギーを推進する高知県民連)は、11月29日の高松での四国電力への申し入れ行動への連携支援を呼びかけました。
 最後に、翌日の知事への請願、11月21日の南予宣伝行動への支援を呼び掛け、「原発再稼働ゆるさん!」のプラカードを一斉にかかげ閉会しました。デモ行進は「再稼働を許さない」「知事の同意を撤回せよ」と、熱意と決意がみなぎる大行動となりました。

事故が起きれば瀬戸内海は死の海に
 伊方原発は全国で唯一内海に面しており、過酷事故が起きれば瀬戸内海は死の海となります。緑の大地や自然豊かな海は取り返すことはできません。伊方原発の沖合5kmには、関東から九州まで続く1000kmにもおよぶ世界最大級の中央構造線活断層があり、これが動けばマグニチュード8以上、2000ガル以上になると専門家が指摘しています。四国電力が示した基準地震動650ガルはいかにも過小評価です。また、震源があまりにも近いために制御棒が挿入できず、原子炉が暴走すると指摘されています。
 また、伊方原発は佐田岬半島の付け根にあり、西側地域に住む5000人は海か空に逃げるしかありません。国と県は11月8、9日に重大事故を想定した防災訓練を実施しましたが、大分県への住民避難など予定調和的な訓練に終始しました。原発震災による港湾施設や道路の崩壊などが懸念され、実効性の検証に役立つ十分なデータは得られていません。さらに、伊方原発3号機はウラン燃料よりも危険度が増す高燃焼度燃料が使用され、プルトニウム含有率の高いMOX燃料と併用するプルサーマル運転であり、重大事故が起きればウラン炉心に比べ被害範囲が距離で2倍、面積で4倍と甚大になります。
 今後の取り組みは、11月24日の伊方原発運転差止訴訟第14回口頭弁論支援行動、11月30日の原子力規制庁への異議申立陳述行動、中村県知事への公開質問状提出、学習会、来年3月予定の大集会の開催などです。さらに民意を高め再稼働させない、脱原発を諦めない闘いを進めていきます。全国の皆さまのご支援をお願いいたします。
(おおはらひでき)

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NPTの外で核兵器開発を続けるインドへ
原子力協力協定はゆるされない

安倍原発輸出政策で進む日印交渉
 安倍首相は今年12月の訪印の際にも、日印原子力協力協定に調印するのではないかと見られています。インドは核拡散防止条約(NPT)の枠組みに入らず、核兵器を開発、保有する国となりました。隣国のパキスタンも競うように核兵器を持つに至りました。核兵器の削減、さらには廃絶をめざす世界の市民にとっては、唯一の枠組み条約であるNPTにも入らないインド、パキスタンの核兵器は、カシミール地方で軍事衝突を繰り返して来た歴史的経緯もあり、最大の懸念であると言えます。
 2008年の「原子力供給国グループ(NSG)」の総会では、それまで国際原子力機関(IAEA)がその原子力関連活動のすべてを保障措置の対象として査察をしていない国に原子力関連輸出をしないというガイドラインを変えて、インドを例外扱いすることを認めました。この例外措置には、インドが一部の原子力施設をIAEAの査察対象にすることを認めたことが理由とされていますが、どの施設を対象にするかインド政府が決めることが出来、IAEA「保障措置」自体、核兵器転用が無いことを保障しない、インドの核開発を限定できないものとなっています。ブッシュ米大統領(当時)のNSG各国への説得工作が功を奏し、核兵器の不拡散をめぐる国際社会の枠組みが大きく変えられてしまいました。
 その後、米国などとの原子力協力協定の締結をすすめて、インドはフランス、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、カナダなどからウランを輸入、それまで低品位で少量の国内産ウランに頼っていたウランの供給不足を解消しています。インドの原子力発電の実績は、国内発電量の約3.5%で、2050年には25%にしようという計画を持っていますが、原発の建設は進んでいません。それには、1984年12月に起きた、2000人以上が死亡、数十万人近くが被害を受けたボパール化学工場事故の大惨事の経験から、原子力損害賠償責任についても汚染者負担の原則を維持せよという国内世論が強く、制限はあるものの、原発メーカーにも損害賠償責任を負わせるものとなっているのが大きな原因です。また、大型の原子炉圧力容器に関しては、日本製鋼所が世界の原発向け大型鍛鋼品のシェアを持っていることから、日本製の原子力関連機材が輸入できない現状も原発建設の進まない一因と言われています。


「総がかり行動」集会で日印原子力協定阻止を訴えるインド
CNDPのスンダラムさん(11月19日・国会前)
日本がさらに核拡散要因に?
 米印原子力協力協定では、米国起源の使用済み核燃料の再処理を認めるものとなっています。インドが「民生用」とする原子力施設でもプルトニウム生産が可能となるわけで、いずれ日本が核燃料サイクルを口実にプルトニウムを備蓄してしまったように、インドも大量の核兵器物質をためることになるかもしれません。核兵器保有国をふくめ世界中でプルトニウムや濃縮ウランなどの核兵器物質の余剰が問題になる中、インドやパキスタンは核兵器物質の増産をすすめています。また、弾道ミサイルの長距離化や、戦略原子力潜水艦の配備など、対パキスタンのみならず、対中国をもにらんだ核軍拡でインドはさらなる核兵器競争へと進もうとしています。
 この状況での日印原子力協力は、世界的に大きな意味を持つと考えられます。日本はこれまでインドとの交渉でCTBTへの署名・批准を求めて行く姿勢を続けてきました。インドからは自主的核実験モラトリアムの継続の表明を得ています。政権政党が変わっても歴代の政権で最低限維持して来た核不拡散への表向きの姿勢と言えます。ところが、昨年の9月に行われた日印首脳会談では、日本からはインドの核不拡散分野におけるインドの取り組みを賞賛、核不拡散及び原子力安全における両国のパートナーシップの強化などを言うのみで、CTBT早期締結の呼びかけさえしていません。また、今年6月の共同通信による報道では、日本製原発の使用済燃料からの再処理を認める方針を決めたということです。果たして、日本政府は、これまでの核不拡散への姿勢を変え、NPT体制の形骸化を進めることになる、インドへの原子力協力を決めるのでしょうか?
 カザフスタン、ベトナム、トルコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦などと進めて来た原子力協力協定。インドに関しては、原発の輸出という問題のみならず、核拡散の問題で、これまで被爆国として維持して来た外交姿勢を一変させる重大な問題となります。日本が提案し国連総会の第1委員会で11月2日に採択された新核軍縮決議でも、インドを含むNPT非加盟国に対して、非核兵器国としての早期の無条件NPT加盟を要求しています。日印原子力協力協定の調印で、戦後日本で変わること無く支持されて来た非核への姿勢でもある、これらの基本外交を変えることは、到底許されるものではありません。

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「パグウォッシュ会議」参加者ら首相に再処理中止要請
現・前事務総長他の科学者ら、長崎型原爆に使われたプルトニウムの分離に反対

 長崎市で11月1~5日に開かれたノーベル平和賞受賞団体「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議」に参加した科学者ら31人が同月6日、安倍晋三首相に日本におけるプルトニウムの分離を無期限に停止するよう要請する書簡を送りました。日本は核兵器6000発分に相当する約48トンものプルトニウムを保有しながら、青森県の六ヶ所再処理工場でさらに使用済み燃料からプルトニウムを取り出そうとしています。
 同じ科学者等は前日の5日には、長崎県の中村法道知事と田上富久長崎市長に、「1945年8月9日にプルトニウムを材料とした核爆弾で破壊された市、長崎の政治的指導者」として、「今日、プルトニウムを分離している唯一の非核兵器国」日本が「このような危険な活動を終わらせるよう安倍首相に呼びかけ」て欲しいとする書簡を送りました。
 書簡には、パオロ・コッタ・ラムジーノ事務総長、フランチェスコ・カロジェロ前事務総長、パグウォッシュ2015組織委員会の鈴木達治郎委員長(長崎大核兵器廃絶研究センター長)、元ホワイトハウス「科学・技術政策局」国家安全保障担当次官のフランク・フォンヒッペル米プリンストン大名誉教授、ヴィクター・ギリンスキー元米原子力規制委員会(NRC)委員などが名を連ねています。
(田窪雅文:「核情報」主宰)

日本国総理大臣 安倍晋三様
 私たちは、6キログラムのプルトニウムを使って作られた核兵器による破壊の70周年の節目に長崎市において開催されている第61回「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議」の参加者です。会議にご丁寧なメッセージをお送り頂いたことに感謝申し上げます。また、2014年3月にハーグで開催された核セキュリティー・サミットにおけるオバマ大統領との共同声明の中で「世界規模で‥‥分離プルトニウムの保有量を最小化するという我々の共通の目標」を強調されたことを私たちは高く評価します。
 私たちの会議で議論された一つの問題は、いかにして世界における原子力の発展とこの我々共通の目標とが両立するようにするかというものです。
 原子力の計画者等は、かつて、プルトニウムが経済的に役に立つ燃料となるだろうと考えました。しかし、経済的事実は変わり、そうはならないことが明確になっております。プルトニウムの利用を今放棄しても失われるものは何もありません。一方、国際的安全保障の面で得られるものは相当のものとなります。
 1976年に米国のジェラルド・フォード大統領は、世界に対し「関連した核拡散リスクについて対処できる」ようになるまでプルトニウムの燃料としての使用を延期するよう呼びかけました。私たちは、これは今も正しいアプローチだと考えます。
 この関連で、私たちは、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出するために六ヶ所工場を運転する計画を無期限に延期するよう日本に呼びかけたいと思います。また、使用済み燃料を再処理しないでそのまま処分する直接処分を日本で許可する必要があります。この工場を運転するようにという強い官僚主義的な圧力や地方の圧力があることを私たちは理解しています。しかし、運転の開始は、とりわけ、分離済みの核兵器利用可能なプルトニウムをすでに50,000kg(50トン)も日本が保有している状況においては、他の国々に対し不幸な前例を作って示すことになり、核不拡散努力にとって障害となるでしょう。運転開始は、また、日本の電気消費者に対し「無用の長物」に助成金を提供するよう強制することになります。
 短・中期的に再処理に代わる道は、原子力発電所を持っている他の非核兵器国と米国が現在その古くなった使用済み燃料について実施していることを実施することです。つまり、巨大な空気冷却キャスクに安全に保管することです。福島第一原子力発電所にあったこのようなキャスクは、あの事故を経験しながら、安全性上の懸念を生じさせていません。
 六ヶ所の商業運転を中止することは、核不拡散条約の強化のための取り組みにおける指導者として日本の位置の回復をもたらすことになるでしょう。敬具
第61回「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議長崎の声:人間性を心にとどめよ」参加者

中村知事様、田上市長様
 「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議」開催を歓迎して頂きありがとうございます。
 添付させて頂いたのは、パグウォッシュ会議の参加者の一部から安倍晋三首相に宛てた書簡で、日本におけるプルトニウムの分離を無期限に停止するよう要請するものです。
 日本は、今日、プルトニウムを分離している唯一の非核兵器国です。
 1945年8月9日にプルトニウムを材料とした核爆弾で破壊された市、長崎の政治的指導者は、この問題について見解を表明する点で特別な地位にあります。
 私たちとともに、日本におけるこのような危険な活動を終わらせるよう安倍首相に呼びかけて頂くようお二人にお願い申し上げます。敬具
第61回「科学と国際問題に関するパグウォッシュ会議長崎の声:人間性を心にとどめよ」参加者

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《投稿コーナー》
「難民鎖国」の闇を照らし出す 密室で行われる認定手続き改善を
移住者と連帯する全国ネットワーク  渡辺英俊

 日本政府が難民の受入にすこぶる消極的であることは、2014年の難民受入数が5000人の申請者に対して11人(人道配慮の在留特別許可を合わせて121人)という数字で広く知られている。この数字は国際社会ではどう見られるだろうか。表は、いわゆる先進国の難民受入数上位5カ国と日本を比較したものである。日本は100~200分の1という大差で遅れをとっている。これで大国として対等に肩を並べているつもりだったら、恥知らずというほかない。
 「難民鎖国」とも言われるこの実状の背景には、まともな移民政策を持たない日本政府が、白人以外の「外国人」に対しては犯罪予備軍のような偏見を持って法を作り運用している実態がある。政府の本音は難民を受け入れたくないのだ。法務省入国管理局による難民認定手続きはほとんど密室で行われており、その実態は社会の目に触れる機会がごく限られていて、問題の所在は知られないままである。

2014年難民受入数 先進国上位5カ国との比較
日本以外は UNHCRホームページより

ドイツ 40,253
スエーデン 32,347
オランダ 27,276
米国 23,448
フランス 21,093
日本 121


難民不認定処分を覆した画期的判決
 ところがこの密室の闇を白日にさらす裁判結果が、2015年8月28日に東京地裁判決で出た。コンゴ民主共和国からの難民マッサンバ・マンガラさんが法務省を相手に提訴した難民不認定処分の取消を求める訴えに対し、不認定処分を違法として取り消し、難民と認定することを法務大臣に義務づける判決であった。国側が控訴を断念したのでこれが確定し、マッサンバさんは難民と認められ在留資格が付与された。
 彼は、コンゴ民主共和国の西端に位置するバ・コンゴ州の出身で、2002年に現カビラ政権と対立する民族主義宗教政党BDKに入党し、支部役員として活動してきた。2008年には、彼の地域を通る国道1号線のバリケード封鎖デモに指導者の一人として関与し、警察軍の銃撃を受けて現場を脱出したが、検察の呼び出しや政府軍の捜索命令が出ていることを知り、他人名義のパスポートでたまたまビザのとれた日本に向けて出国。同年10月キンシャサから空路日本に入国し、間もなく難民申請をした。
 この経歴から見ると、彼が難民条約上の難民であることは紛れもない事実と思われるが、法務省(入管局)は彼の準備した証拠をすべて不自然とかあり得ないとか言って否認し、警察に追われたのはデモで政府施設を破壊したせいだとして不認定処分にしたことが裁判で明らかになった。
 確定判決は、本人の供述の信用性を認め、本人が所持していた証拠文書の信頼性もほぼ100パーセント認めた。中でも検察の出頭命令書2通と家宅捜索令状は、難民審査段階では「逮捕状」と読み間違えられ、本人が所持しているのが不自然と偽造扱いされていたことが裁判で明らかにされた。難民審査のずさんさを暴露する事実である。また、難民条約(1条F(b))に照らし政治犯罪に対する刑の執行は迫害に当たると判断し、原告への訴追も「迫害」に当たると判定した。

国際社会に遅れた日本の制度
 この裁判で、闇に包まれた難民審査過程の全貌があらわになった。そこを支配しているのは「立証責任は申請者にある」という大原則だ。「合理的な疑いを容れない」までのレベルの立証が要求される。事実上、難民調査官に「ダウト!」と言われたらアウトになる仕組みである。この「ダウト!」を濫用して不認定処分の山を築いているのだ。
 マッサンバさんの場合も、確定判決で信用性ありと判断された本人の供述が、審査段階では充分な精査のないまま、「ダウト」で片付けられていた。BDK党員証明書や、父親の死亡診断書など、確定判決で信用性が認められた書証が、審査段階では根拠らしい根拠もなく否認されていた。確定判決で重要な証拠とされ、原告が政治的迫害を受けていた根拠ともなった国連コンゴ特別調査団(MONUC)報告も、必見の重要文書だったのに、調査官はこれを参照する労をとらずに誤った判断をしていた。検察の呼出状を逮捕令状と読み間違うなどは言語道断であった。
 この裁判で、法務省入管局に審査を行わせている現行の難民審査の制度設計そのものの破綻が露呈した。質・量ともに能力・資質を遙かに超えた事案の処理が入管の現場に要求され、「ダウト」の連発で不認定処分を急ぐほかなくさせられている。これを難民申請者の急増のせいにすることはできない。年間5000人くらいの申請でパンクするひ弱な難民制度・政策では国際社会に立ち行けまい。
 今のところは、在留カード制度による締め付けのしわ寄せが難民申請に跳ね返っているだけだが、今後、難民の大量渡航の時代を迎えれば、事態は破局化するであろう。移民・難民政策の立て直しが早急に必要だ。マッサンバ裁判とその確定判決とは、破綻している日本の難民認定システムの実態を照らし出し、早急な改善を求める警鐘である。
(わたなべひでとし)

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各地からのメッセージ
京都から脱原発、戦争法反対の声
京都平和フォーラム 事務局長 牧野 誠


さよなら原発全国集会in京都(9月6日)
 京都平和フォーラムは、暴走する安倍政権の原発、戦争法の問題を中心に運動を進めています。特に脱原発の問題で、高浜原発(福井県)の30キロ圏内に舞鶴市など京都府内の複数の自治体が含まれています。さらに関西圏の水瓶である琵琶湖も入り、まさに福井の原発問題は私達にとっても死活問題となっています。
 去る9月6日に、「さよなら原発全国集会in京都」を、原子力発電に反対する福井県民会議や平和フォーラム関西ブロックなど5団体主催で、京都市梅小路公園で開催しました。全国から5,500人が参加し、高浜原発の再稼働阻止とともに全ての原発の廃炉を訴えました。
 集会では、前滋賀県知事の嘉田由紀子さんが、高浜原発再稼働について「今の避難計画は全く実効性のない、絵に描いた餅だ」と指摘し、「万が一、琵琶湖に放射性物質が流れ込んだら、皆さんの蛇口から出る水が危ない。人の命に関わる水の供給が止まってしまう。電源の代わりはあるが、琵琶湖の代わりはない」と再稼働反対・卒原発を訴えました。
 また開催地である京都市の門川大作市長からは、福島原発事故から4年半が経過するものの依然として多くの方が避難生活を余儀なくされるなど、原子力災害による傷痕は深く甚大であり風化させてはならないことや、原発に依存しない持続可能なエネルギー社会を実現することが国民の願いであり、そのために徹底した省エネ、再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大を掲げた京都市エネルギー政策推進のための戦略を策定し取り組みを推進していることがメッセージとして報告されるなど、高浜原発周辺の自治体の危機感が共有されました。
 また、戦争法案反対の運動では、2014年10月に京都1000人委員会を立ち上げ、戦争への道を暴走する安倍政権に、京都の地から声を上げています。市民団体と集会や講演会をこれまで3回行い、デモやビラ配布も数多く実施してきました。また、弁護士会などとも共同するなど、運動が拡がってきました。戦争法案が強行採決されてからも、毎月19日に四条河原町でのアピール行動をしています。原発とともに戦争法についても京都の地からさらに声を上げていきます。
(まきのまこと)

(「各地からのメッセージ」は終了。次号からは各地の「戦争をさせない1000人委員会」の紹介を連載します)

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〔映画の紹介〕
無音の叫び声 農民詩人 木村迪夫の牧野村物語
原村正樹監督(2015年/日本)

 今年は戦後70年。この間、日本の政治・経済に最も翻弄されたのが農業・農村でした。農民兵士として最前線に立った引き揚げ者を、敗戦後、農村は大量に受け入れました。戦後の食糧難の時代の増産に次ぐ増産、しかし、一転して減反の時代へ。海外からの大量の農産物輸入は、日本の工業製品の輸出との見返りでもありました。高度成長に伴って、農村からの大量の集団就職者や出稼ぎ者が都市の近代化を支えてきました。その結果、農村は後継者を失い、高齢化が進みました。その後も貿易の自由化は容赦なく農村を襲い、環太平洋経済連携協定(TPP)が最後のとどめを刺そうとしています。
 こうした戦後の農村を見続けてきた山形県上山市の農民詩人の木村迪夫さん。長編ドキュメンタリー映画「無音の叫び声」は、木村さんを通じた、戦後の日本社会に対する鋭い告発と言えます。
 〈芸術は芸術家だけが生み出すものであろうか?〉原村正樹監督は映画の冒頭にこう記しています。「長年、農業をメインテーマにドキュメンタリー作品を創ってきた私は、農家の人たちの心の奥底に豊饒な精神世界があることに感銘を受け続けてきた」と語っています。実際、同じ山形で、有機農業の世界では有名な農民、星寛二さんは、農村青年たちと文学運動誌を60年近く発刊し続けてきました。そのメンバーのひとりが木村さんでした。木村さんが綴った数々の詩は、農業を通じて日々感じたことを虚飾なく、素直に、しかも、強烈なインパクトを持ったリアリティーが溢れるものです。
 にほんのひのまる/なだてあかい/かえらぬ/おらがむすこの/ちであかい
 これは、木村さんの有名な「祖母のうた」という詩の一節です。自分の息子ふたりが戦争で奪われ、戦後、死ぬまで蚕の世話をしながら、ご詠歌の節で祖母が作った歌を、木村さんが聞き書きして作りました。今年、戦争法案が成立する中、「人間の命を根底から支える食料を育む農業を経済効率だけで計り、非道にも人間の命を奪う戦争へと駆り立てるおぞましい動きが進行しつつある今こそ、木村さんが生涯こだわり続けてきた農の営みの大切さ、そして反戦平和を伝えたい」(原村監督)。「第47回食とみどり、水を守る全国集会」でも上映。各地で自主上映運動が行われています。
(市村忠文)

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核のキーワード図鑑


ついにその日が

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「戦争法の廃止を求める統一署名」にご協力を

 2015年9月19日に参議院で"強行採決"され"成立"した「平和安全保障関連法」は、憲法第9条が禁じる国際紛争解決のための武力行使を可能とするもので、憲法違反であることは明らかです。したがって、「平和安全」の名にかかわらず、その内容はまぎれもなく戦争法です。また、憲法解釈を180度くつがえした閣議決定に基づいた違憲の立法は、内閣と国会による立憲主義の否定であり、断じて認めることはできません。
 この戦争法が発動されれば、日本は海外で戦争する国になり、自衛隊は海外で殺し殺されることになり、日本自体が武力紛争の当事者となって、「平和安全」とはまったく逆の事態を招くことになります。
 このため「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」を中心に「戦争法の廃止を求める統一署名」が開始されました。ご協力をお願いします。

請願項目
・戦争法である「平和安全保障関連法」をすみやかに廃止してください。
・立憲主義の原則を堅持し、憲法9条を守り、いかしてください。
署名簿は次からダウンロードできます。
http://www.anti-war.info/information/1511111/
集約日第1次集約2016年4月25日、第2次集約6月27日
送付先〒101-0063東京都千代田区神田淡路町1-15塚崎ビル3階総がかり行動実行委員会

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