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ニュースペーパー2016年2月

2016年2月 1日

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戦争法廃止!安倍内閣退陣!国会開会日総がかり行動
 1月4日正午より、衆議院第二議員会館前で、「戦争させない・9 条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催による、「戦争法廃止!安倍内閣退陣!1.4 国会開会日総がかり行動」が行われ、3800 人が参加しました。野党からの要求を無視して、昨年、臨時国会を開催せず、異例の1月4日からの通常国会を開催した安倍政権に対し、「戦争法案の発動を許さず、廃案を」「今年こそ安倍政権の退陣を勝ち取ろう」などと、新年早々にも関わらず、国会議事堂周辺はシュプレヒコールに包まれました。
 主催団体から、「戦争をさせない1000 人委員会」の清水雅彦事務局長代行(日本体育大学教授)をはじめ、各団体から発言がありました。国会議員からは、民主党の福山哲郎参議院議員、社民党の福島みずほ副党首( 参議院議員) や共産党、維新の党の代表が連帯あいさつ。また、各界・諸団体からは、差し迫る沖縄・辺野古の新基地建設阻止に向けて、「止めよう! 辺野古埋立て国会包囲実行委員会」の野平晋作さんが2月21 日の国会包囲行動を呼び掛け、また、安保法制違憲訴訟の会の内田雅敏さんも違憲訴訟に向けた取り組みを訴えました。最後に「戦争法の廃止を求める統一署名」などの行動が提起され、今年の闘いがスタートしました。(写真は行動参加者)

インタビュー・シリーズ:109
第五福竜丸への思い─被ばく者を孤立させないために
第五福竜丸展示館 学芸員 市田真理さんに聞く

いちだ まり さん
いちだ まり さん
札幌市生まれ。塾講師、編集者などを経て、1994 年より平和博物館を創る会に参画。写真集「核の20 世紀」(平和博物館を創る会・日本原水爆被害者団体協議会編/ 平和のアトリエ発行、日本ジャーナリスト会議賞受賞)の編集に関わる。同会の活動を続ける一方で、2001年より都立第五福竜丸展示館(東京・江東区)で学芸員として企画・教育普及活動に携わる。

―まず基本的なことですが、第五福竜丸について教えてください。
 1947年に和歌山県で建造されたカツオ漁船ですが、その後、改造されて、第五福竜丸と改名され、遠洋でのマグロ漁業に従事していました。1954年3月1日に太平洋のビキニ環礁での米国による水爆実験で被曝した後、転売されて、東京水産大学の練習船として使用されましたが、1967年に老朽化のため廃船処分になって、東京湾の埋め立て地に捨てられました。そこから船の保存運動が始まり、今ここに展示されています。

―ビキニ環礁での水爆実験と第五福竜丸の被曝は、原水禁運動の出発点であったわけですが、この船自体は忘れられた存在だったのですね。この第五福竜丸展示館は東京都の施設ですね。
 展示館は都立で、私は公益財団法人のスタッフです。船の保存運動の中で保存委員会という組織が結成されますが、いまでいうNPOですね、そこが東京都の認可で「第五福竜丸平和協会」という財団を作って、その財団が東京都に船を寄贈するという形で展示館が作られました。開館当初から第五福竜丸平和協会が東京都から管理運営を委託されています。
 ここにはビキニ関係だけじゃなく、広島、長崎の資料も収集されています。フォトジャーナリストの豊崎博光さんがマーシャル諸島での核実験関係で収集した資料も全部ここにあって、現在も徐々に増やしています。2013年くらいから外務省や厚生労働省などから、新たに開示された8000ページもある行政資料も置いてあります。核実験被害を展示するということでは唯一の施設ですので、体系的に集めなければならない資料だと思っています。文学とか映画とかで、核被害がどのように表現されてきたかという資料も収集しています。中には手塚治虫さんがビキニ事件の前から太平洋核実験のことを描いているという作品もあります。

―市田さんが核問題に関心を持つようになったきっかけは何ですか。
 学生時代は教員をめざしていましたが、8月の広島の原水禁世界大会にアルバイトに行く機会があって、そこでショックを受けました。ある女性に「あんた、なんも知らんで来たのね」と言われて。その方に、10万人亡くなったということは10万通りの人生があったのよって、せつせつと訴えられて、自分が何も知らないことに愕然としました。10万通りの人生なんて考えたこともありませんでした。8月6日に初めて灯篭流しを見ながら、そのことを考えました。
 その頃、1992年ですけれど、被爆者と呼ばれる人はみんな亡くなってしまって、誰もいないものと思い込んでいました。意識して外に目を向けると、いろいろなところで被爆者の方が壇上で訴えていることを知って衝撃でした。本当に何も知らない学生で、あのままもし教員になっていたら、8月6日は広島、9日長崎と、線を引くか、マークシートを塗り潰せばいいと、そういう教育しかできなかったと思います。
 そこから急激に、もっと知らなければならないと思うようになりました。もともと戦争責任とか戦後補償には関心があって、またちょうど従軍慰安婦問題が取り沙汰されるようになった頃でしたので、そこから入っていって、原爆の被爆者と戦争が、被害という意味で結びつきました。それがすべての原点になっています。
 アメリカ国立公文書館に保存されている核被害を記録したフィルムを市民のカンパで日本に買い戻そうという10フィート運動がありましたが、その「平和博物館を創る会」の事務局で働いていました。そこで「核の20世紀」という写真集の出版に携わりました。この本の前半は広島と長崎の「あの日」とそれ以降です。被爆者が苦しんできた歳月の記録と10フィートに登場した方たちの写真、それから韓国人被爆者と世界の核被害などです。
 この本を作るために世界中に呼びかけ、写真がぞくぞくと集まってきましたが、自分は、ビキニ事件とか第五福竜丸とかの意味がまったくわからず、写真に付いているキャプションさえも理解できませんでした。核爆発、ウラン採掘の精錬、廃棄物等々の基本的なことから勉強しました。この本を作る中で、初めてマーシャルのことも知りました。この本の最後は被爆者運動で締めましたが、この最終章を編集する時に、被爆者の方が命懸けで、命を削るようにして座り込みをしたとか、そういう歴史も学びました。出版までに6年半かかりましたが、構想を入れると10年近くになります。
 この本を作る中で、初めてこの展示館に足を運んで、大勢の修学旅行生が見学しているのを見て、職員の方に是非手伝いたいと申し出ました。2001年からここで働いています。そこから核問題とともに、改めて第五福竜丸の歴史的、政治的な問題を一から勉強しました。

─この展示館の学芸員の仕事として、今いちばん力を入れていることは何ですか。
 いちばん大きいことは、子どもたちに伝えるという教育普及の観点です。ここでは退職教員などのボランティアの方たちが、日替わりで修学旅行生とかの来館者に話をしてくださいます。私は、そのボランティアの方たちが気持よくガイドができるようにサポートの役割を担っています。話を聴きやすいように子どもたちを並べるとか、予約を受けるとか。そういう仕事がここでは多いです。ただ、今は外務省、厚労省、農水省から61年前の行政資料が開示されていて、それを読み解くのは私に与えられた役割だろうと思ってがんばっています。プレッシャーもありますし、責任も感じています。

―第五福竜丸というのは象徴的ですが、その他にも資料にはたくさんの船の名前が出てきますね。そういうものは散逸しているのでしょうか。
 今まさにそれに取り掛かろうとしています。高知県では、80年代に高校生が中心となって聞き取り調査をやっています。子どもたちが、こんなに一生懸命に訊いてくるのだったら答えてやろうかと、今まで沈黙していた漁師さんたちが協力してくれました。それが発端になって、高知ではかなり聞き取りが進みました。
 その古い資料に再度当たるということをやりましたが、900隻くらいの船の名前が載っている中で、3分の1が高知船籍でした。今までは聞き取ったとしても、その人たちの被災、被曝を証明して、今後どのように救済していくのかということが、どこか遠景に霞んでいましたが、ここにきて、おそらく最後の機会なので、救済できる人は救済しよう、労済認定されれば、少なくとも現在ガンで闘病している人たちを救える道があるんじゃないか、できるとは言い切れないけれど、なにか道を見つけられるんじゃないかと考えています。
 さらに、これをひとつの切り口にして、当時、第五福竜丸だけに問題を特化させて幕引きをしたという政治判断があったわけですが、全ての実態を掘り起こしていかなくてはならないと考えています。翌年以降もずっと核実験は続いていて、マーシャルの人たちは、現在に至っても汚染がひどくて故郷に帰れない人、また健康被害に苦しんでいる人たちがいるんです。2016年は太平洋で核実験が始まって70年という節目の年です。今、目の前で苦しんでいる全ての人々をどうしたら救済できるか、理解して寄り添っていけるかを考えていくつもりです。
 また、実態を解明することは、ひいては第五福竜丸を孤立させないことだと、高知の先生に言われました。私たちというより、今は証言されている大石又七さん(元第五福竜丸乗組員)一人の闘いになっています。一人じゃない、多くの人々が同じく苦しんでいるし、そういうコンセンサスが得られれば孤立させないことになります。そのためにも実態解明が必要なのだと教えられました。
 証言活動を続けられている大石さんは、現在は体調がすぐれないので、講演の際はご一緒して、私が概要を話してから、大石さんが今の思いを話すという形にしています。ずっと隣で聴いていて、大石さんが背負っている闇というのはすさまじいと感じます。第五福竜丸の証言者がなんで自分だけなんだ、なんで被爆者手帳をとれないのか。大石さんの怒りや無念の思いは大石さんにしか語れませんが、だからこそその思いを伝えるためのお手伝いをしたいと考えています。そして私は、語り部・大石又七を語りつぐ人、つまり「語りつぎ部」であろう、と思っています。
 福島原発事故の後、多くの人が傷みを抱えて、いろいろな主張が錯綜して、たくさんの軋轢が生まれています。その中で、こういった原因はどこにあるんだ、なぜこういう人たちは救済されないんだ、もっとこういう救済方法があるだろうとか、お金の使い方が違うだろうとか、そこにみなさんの問題意識が昇華していくことでしか、その傷みからは抜け出せないだろうと思います。その積み重ねの上で、社会のありかたや自分たちの考え方、自分たちがどうしなければならないかが見えてくると思います。そのお手伝いの一端として、知りたいときに提供できるものがあるという、専門職でいられることは悪くないのかなと思っています。

インタビューを終えて
 他人の思いに触発されて、自らの生き方を決める。それは、受け止める人の側の人となりにあるのだろうと思います。「なんも知らんで来たのね」という言葉を、拒絶するのではなく、人に学び、人を助け、自らの生きる道にする。癒やし系の優しい言葉から、核問題をきびしく追求していく。ヒバクシャに心から寄り添う優しさと、理不尽な社会にきびしく向き合う姿勢を感じました。
(藤本泰成)

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沖縄・基地の闘いのはじまりと今
法を曲げ県民の声を無視する政府
フォーラム平和・人権・環境 事務局長 藤本 泰成 

県と国との異常な全面対決
 昨年10月13日、翁長雄志沖縄県知事は、「法的な瑕疵がある」とした第三者委員会の報告をもとに、仲井眞弘多前知事の米軍辺野古新基地建設のための公有水面埋め立て申請承認を取り消しました。仲井眞前知事は、2012年3月には「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは、不可能と考える」としていました。2013年11月の名護市長の意見書も同様であり、直後の沖縄県環境生活部長意見でも、環境保全の見地から「保全についての懸念が払拭できない」と結論づけられています。仲井眞前知事の埋め立て承認は、そのような状況から1か月後のことであり、環境生活部長の意見への対応も全く不明となっています。このことから「法的な瑕疵」があることは自明のことです。翁長知事は、国による「代執行訴訟」における陳述書の中で、この事実を明らかにしています。
 翁長知事の埋め立て申請の取り消しに対して、沖縄防衛局長は国土交通大臣に対して行政不服審査に基づく承認取り消しの執行停止を申し立て、国土交通大臣は執行停止を決定しました。行政不服審査法は、その第一条で「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使にあたる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立ての道を開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図る(以下略)」とされ、法の趣旨は行政の公権力行使による個人の権利侵害を救済することにあります。
 翁長知事は、「沖縄防衛局長は私人ではなく、請求の適格性がない」として、国地方係争処理委員会に対して国の違法性の審査を申し出ましたが、委員会は沖縄防衛局の適格性を審査することなく、訴えそのものが審査対象にはあたらないとして門残払いの決定を下しました。県知事は、係争委員会の決定を不服として30日以内の高裁提訴を検討しています。これによって、現在進行している、国が知事の承認取り消しの撤回を求めている「代執行訴訟」、知事が国土交通省の決定を違法として、その取り消しを求めた「抗告訴訟」に加えて、3つの訴訟が同時進行することとなります。このような、県と国との異常な全面対決は、国が進めている「辺野古新基地建設」が、いかに沖縄県民の思いを踏みにじっているかを象徴しています。


世界一危険と言われる米軍普天間基地の周りの市街地
県民は自ら米軍に土地を差し出したことはない
 そもそも、辺野古新基地を代替施設とする普天間基地がどう成立したのかを、私たちはきちんと整理し理解しておくべきです。敗戦前、いわゆる沖縄戦の前は、現在の普天間基地は個人の所有する宅地であり農地でした。敗戦後に沖縄県民が収容所にいる間に、また1950年代に入って朝鮮戦争や中華人民共和国の成立、米ソの冷戦に対応して、「銃剣とブルドーザー」に象徴されるように、県民の土地を強制収容して米軍基地の拡大を強行しました。普天間基地の民有地の割合は、全体の92.1%にもおよびます。1907年の第2回万国平和会議で改定された戦時国際法規である「ハーグ陸戦協定」では、その第46条において「私有財産は没収できない」とされ、その第47条は「略奪はこれを厳禁とする」とされています。いわゆる沖縄における米軍基地建設は、国際法違反の行為なのです。
 1954年に米陸軍省は、制約のない核兵器基地として、アジア戦略および親米政権倒壊時の拠点としての沖縄米軍基地の重要性から、違法状況の解消と基地の恒久化をもくろみ、実質的に軍用地を買い上げる「軍用地一括払い」の方針を決定します。これに対する県民の強い反発を受けて発表された「プライス勧告」は、結局「軍用地一括払い」の方針を容認するものでしかありませんでした。沖縄県民は「プライス勧告」に強く反対し、一括払い反対、適正補償、損害賠償、新規接収反対の「土地を守る四原則」をスローガンに「島ぐるみ闘争」を展開し、「プライス勧告」「軍用地一括払い」を排除していきました。翁長知事が主張する「沖縄県民は自ら米軍に土地をさしだしたことはありません」と言う理由はそこにあります。
 米軍基地を、1959年6月の宮森小学校(うるま市)への米軍機墜落に象徴される事故の側面から、また、少女暴行事件(1995年9月)に象徴される犯罪の側面から、そして経済効果や環境問題など、どこから考えても「基地はいらない」との結論が導き出されることは明確です。
 翁長知事の主張と県民の選択は、沖縄のアイデンティティーと将来の選択への強い主体的意志にあると思います。私たちは、私たち自身の将来のために、平和と民主主義、日本国憲法のために、今こそ沖縄県民と連帯して辺野古新基地建設阻止に全力でとりくまなくてはなりません。
(ふじもとやすなり)

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差別のない社会の実現のために
「朝鮮学校高校無償化全国一斉行動」へ結集を! 

「朝鮮学校の子どもたちは人質じゃないか」
 韓国留学中だった2010年の秋、わたしは現地の組合活動家からこう言われました。民主党政権の主要政策のひとつとして実現した「高校授業料無償化」制度でしたが、拉致問題や延坪島事件を理由に朝鮮学校のみが適用を見送られていたちょうどその時でした。「なぜ北朝鮮との外交関係を理由に在日の子どもたちが差別されるんだ。関係ないじゃないか。日本は人質外交しているようなものだ」。きわめてまっとうな意見をぶつけられ、目から鱗が落ちる様な気持ちでした。
 第2次安倍政権の誕生以降、朝鮮学校への差別はより深刻化しました。2013年2月、文科省は省令を変更し、朝鮮学校を「高校無償化」制度の適用から完全に排除してしまいました。政府の差別的措置に付き従うように、多くの自治体も朝鮮学校への補助金の支給停止を決めました。理由はいずれも「拉致問題に進展がない」「国民(県民・市民)からの理解が得られない」といったものばかりです。
 政治や外交問題を理由に朝鮮学校のみを制度から外すことは明らかな差別です。しかし今の日本ではこうした考え方がまかり通っており、異議を唱える人はまれでしょう。これは在日コリアンに対する差別が深刻化していること、そして多くの日本人の人権感覚が麻痺してしまっていることの表れではないでしょうか。
 このように朝鮮学校はきわめてきびしい状況に置かれています。しかしそんな困難な状況だからこそ、わたしたちには朝鮮学校への差別と闘わなければならない理由があります。まずマイノリティーの人権問題という観点があります。国連から多くの人権勧告が出されていることからも分かる通り、日本は社会的弱者が人間らしく生きることが難しい国です。朝鮮学校への差別と闘う中で、戦後続いてきた在日コリアンへの差別を是正し、さらには全てのマイノリティーが人間らしく生きられるような社会を実現していかなければなりません。
 また朝鮮学校に対する差別には、日本がかつて行った植民地支配や侵略戦争と深いつながりがあるという特徴があります。朝鮮学校への差別を解消することは、日本が過去のあやまちを清算し東アジアにおける真の友好関係を築くための第一歩にもなります。


「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」総会
(12月20日)
確実に広がる全国の運動、排外主義の一掃へ
 朝鮮学校への差別をなくすため、全国で多くの取り組みが行われています。「高校無償化」制度の適用を求める裁判は大阪、愛知、広島、福岡、東京で行われおり、これを支援する市民運動があります。また補助金の支給停止に反対する取り組みも行われています。こうした全国の運動の連携を強化するため、2012年5月に「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」が結成され、昨年12月20日には東京で総会が開催され、各地から裁判支援や地域での取り組みに関する報告がありました。
 「高校無償化」裁判が行われている地域では支援組織が結成され、裁判傍聴への呼びかけや、定例的な抗議集会の開催、ニュースレターの発行などが取り組まれています。運動は確実に地域で存在感を高めつつあります。
 それ以外にも様々な取り組み報告が行われました。神奈川県では一度は停止された補助金支給が形を変えて再開されました。これは長年にわたる運動の積み重ねの成果です。埼玉では県による補助金支給停止に対する抗議運動が取り組まれ、埼玉弁護士会は県に対し「(補助金の支給停止は)県が積極的に差別を助長しかねない極めて重大な人権侵害」であるという警告を出しました。また東京・阿佐ヶ谷や千葉県では日本人の教職員が朝鮮学校の生徒を相手に授業を行うという取り組みが行われています。実際に授業を行った教職員が子どもたちの真剣な態度に感動し「また来年も絶対にやらせてくれ」「この子たちは命を掛けてでも守る!」と意識が変わり、以降様々なイベントに積極的に参加するようになったとのことです。マスコミにはあまり報道されませんが、朝鮮学校への差別に反対する運動は全国で確実に広がっています。
 闘争はいよいよ大詰めを迎えようとしています。「高校無償化」裁判は、今年中に判決が言い渡される地域も出てくる見通しです。こうした中、改めて勝利に向けて決意を高めるため、2月から「朝鮮学校高校無償化全国一斉行動」がスタートします。2月13日には大阪で全国集会が、2月20日には東京集会が開催されるなど、全国各地で様々な行動が取り組まれる予定です。
 日本から排外主義を一掃し、誰もが差別されずに共存できる社会を実現させるためにも、朝鮮学校への差別を解消することは絶対に必要な課題です。みなさんも是非ご参加ください。
(パク・スンハ)

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水循環基本法から基本計画へ─「国民の共有財」としての水の認識を
全日本水道労働組合 書記次長 辻谷貴文

 超党派の議員連盟の提案により、2014年4月に成立した「水循環基本法」を受け、水循環政策本部において検討が進められてきた「水循環基本計画」も、昨年の7月1日に閣議決定されました。基本計画は各省庁のこれまでの施策を包括・統合したもので、不十分性は否めませんが、基本法が定める「水は国民の貴重な共有財産」と「健全な水循環の維持・回復」を基本理念に策定された、国としての初めての基本計画です。
 高齢化や人口減少、気候変動等の社会環境の変化に対応し、これまでの開発や成長、産業優先の水政策から、持続可能な社会の基盤をなす水政策へと、政策の意味や方向性が据えられたことは大きな意義があると言えます。
 基本計画にはそうした観点から、水政策における連携の重要性が強調され、流域ごとの水循環計画の策定、水政策のマネジメントのための流域水循環協議会の設置をはじめ、総合的な水政策推進に向け多くの課題が示されています。その実効性や個別政策の具体化が問われることとなります。そのため、議員連盟の下に設置された「法フォローアップ委員会」は基本計画の検証と今後の水政策を展望することを目的に、昨年7月29日にシンポジウムを開催し、「わが国の水を守る声明」を採択しました。声明では地下水保全法と森林水循環健全化法の制定、流域連合の設立、脱ダム政策の堅持、水事業に係わる行政の統合と水需給計画の策定、公共性に留意した水利権行政の再検討などが提言されました。


清流・日本一の島根県高津川の水源地。
川の周囲は合成洗剤の使用規制がされている
(島根県吉賀町)
重要な表流水と地下水の一体的な管理
 特に期待されていたのが、これまで土地所有に帰属する「私水」とされてきた地下水を、公共の水と法的に位置づけることでした。地下水は、清浄かつ安定した水資源です。東日本大震災でも95%の井戸は被害がなく継続使用が可能だったことが報告されていますが、身近な自己水源として震災時の用水としても重要です。
 水使用に占める地下水の利用量は現在、全体の12%程度ですが、これまで「私水」として位置づけられてきたことや現行の水利権制度の問題等も相まって、表流水依存による過度のダム開発の一方、工業用水等の過剰取水による地盤沈下、また、最近は水道水から「私水」利用としての地下水への転換なども進行し、公営企業である水道事業体の運営への影響も懸念されています。外国資本の水源地の土地買収への対応も課題となっています。
 こうした無政府的な地下水利用や総合的な施策が不十分だったことの反省に立ち、基本計画でも、地下水・表流水ともに流域水資源、公共財としての一体的管理がめざされています。そのため、基本法制定の原動力となった超党派水議連と共に、学識者やNPO、労働組合代表等のボランティアによるフォローアップ委員会は、昨年6月に「地下水の保全、涵養及び利用に関する法律案」を起草、国会への上程めざしていました。法案では都道府県を保全団体に、必要な場合の地下水利用の許可制度や汚染予防、保全・涵養施策の具体化、施策の遂行のために関係者の協議・合意に基づく涵養負担金の導入などが提言されました。

自治体で進む地下水の保全と活用の取り組み
 しかし、残念ながら地下水保全法案は現在、「財産権の侵害」やリニア新幹線等の事業への影響の懸念から、ただちに国会に上程できないという状況にあります。このため、フォローアップ委員会も活動休止となってしまいました。「国民の共有財」としての水への認識を確かなものとしていくことが改めて求められる状況にあります。
 そうした取り組みは、この間、各地で進められています。水源や地下水保全のための条例の制定は38都道府県の502市町村に及んでいます。下記に特徴的な事例を紹介していますが、流域における地下水の動向を把握し、水資源の統合的な管理をめざし、自治体の取り組みを後押しする意味でも、関係者の創意に基づく地下水保全法制定に向けた努力が引き続き求められています。
(自治体の取り組み事例紹介)
○北海道ニセコ町/2011年9月1日:地下水保全条例(断面積8平方㎝以上の取水管路の届出性。50万円以下の罰則)、○山梨県忍野村/2011年10月1日:地下水資源保全条例(村内での井戸の設置、構造の変更を許可制。村内で利用する循環利用に限る)、○熊本県:地下水保全条例(大口使用に許可基準、水量測定器の設置義務、取水量の1割を涵養量に雨水浸透ますの設置、水田湛水・涵養域産米の購入などの義務づけ)、○長野県安曇野市/2013年4月:地下水の保全・涵養及び適正利用に関する条例(地下水は市民の共有財。取水量と涵養量の差額、採取企業の海外資本の割合に比例し協力金を徴収等)。
(つじたにたかふみ)

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労働者を犠牲にする被ばく限度引き上げ
全国署名運動の力で撤回させよう
ヒバク反対キャンペーン 共同代表 建部 暹

不当な緊急時の250mSvへの引き上げ
 政府は、国策として原発を推進し福島原発事故を招いた責任を省みず、重大事故が起きることを前提に、原発の再稼動を進めています。その一環として、原子力規制委員会・原子力規制庁、厚生労働省、人事院は、原発重大事故発生など緊急時の作業被ばく限度を現行100mSv(ミリシーベルト)から250mSvに引き上げるなど、法令を改定し今年4月1日の施行をめざしています。
 250mSvは広島原爆の爆心から1.7キロ付近での遮へい無し直接被ばくに相当します。被ばく労働者の年間限度50mSvの5倍、白血病認定基準の50倍、一般公衆の年限度の250倍です。このような大量の放射線被ばくは急性障害を引き起こし、がん・白血病や晩発性の様々な疾病のリスクを増大させ、重篤な健康被害を引き起こします。広島の被爆者には下痢、出血斑、脱毛等の急性症状が生じました。この被爆の実相から、250mSvへの引き上げが作業従事者に障害を及ぼす恐れがあることは明らかです。
 ところが厚労省は、250mSvの被ばくが及ぼす健康影響のうち、急性については「ヒトに関する急性被ばくによる健康影響に関する文献からは、リンパ球数減少のしきい値は250ミリグレイ程度から500~600ミリグレイ程度の間にあると考えられるが、この間のデータ数が少ないため、しきい値を明確に決めることは難しい。このため、緊急作業中のリンパ球数の減少による免疫機能の低下を確実に予防するという観点から、東電福島第一原発事故時に、しきい値を確実に下回る250mSvを緊急被ばく限度として採用したことは、保守的ではあるが妥当といえる」としています。
 これは被爆の実相に反するばかりか、放射線被ばく事故等から得られている事実にも反します。厚労省自身も認めている通り、精子数減少は100~150mSvで生じます。また、1971年の千葉「イリジウム被ばく事故」では、250mSv以下でも、骨髄低形成、白血球、リンパ球の減少等の急性症状が造血系に生じたことが、被ばく者を収容し診察・治療・調査に当たった放射線医学総合研究所スタッフの学術論文として出版されています。しかし今回の検討で全く無視され、250mSvが「保守的」と断定したことは不当です。
 国際がん研究機関の疫学調査によれば、250mSvの被ばくによって癌の発生は1.24倍にも増大します。「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条では、「放射線障害の防止に関する技術的基準を策定するに当たっては、放射線を発生する物を取り扱う従業者及び一般国民の受ける放射線の線量をこれらの者に障害を及ぼす恐れのない線量以下とすることをもって、その基本方針としなければならない」とされています。法令改定はこれを無視するもので不当です。


11月20日第2次署名提出・政府交渉(提出累計5万6139筆)
原発労働者の人権蹂躙と住民の生存権を破壊する
 厚労省は福島原発事故の緊急作業で100mSv以上(最高679mSv)被ばくした労働者に、その後の被ばく業務につかないよう指導してきましたが、今回、5年経過後は合計して生涯1000mSvを超えない範囲での通常被ばく業務の従事を認めました。
 生涯線量1000mSvは、一般労働の10倍高いリスクを負わせ、過少評価された被ばく線量当たりのリスクを用いて導かれたものです。さらに、被ばく労働者が生涯1000mSvも被ばくしている実態はありません。このような大量被ばくを強要するのではなく、被ばく労働以外の職場・生活を保障すべきです。
 昨年8月31日、原子力規制委員会と厚労省は「法令改定」を公布しました。「緊急時作業被ばく限度引上げ」をこのまま許せば、原発労働者は「破滅的な状況の回避」のためとして、「重大事故を前提とする原発再稼働・原発維持の犠牲」に供されます。「法令改定」は原発再稼働を優先させ、憲法に保障された労働者の人権、労働者保護の法体系、「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」第3条のすべてを無視・蹂躙するものであり、直ちに撤回させるべきものです。
 2014年7月30日の原子力規制委員会で田中俊一委員長が「現在、緊急作業時の被ばく線量限度を100mSvとして規制を行っているが、それを超えるような事故が起こる可能性を完全に否定することはできない」と見直しを提案しました。検討の過程で、原子力規制庁は厚労省に「厚労省は労働者保護の立場だが、危機管理の観点についても理解・配慮し調和の取れたまとめを」と要請しています。
 緊急時作業被ばく限度引き上げ法令改定撤廃の運動を強めましょう。撤廃を求める署名を展開しています。11月20日現在5万6139筆となり、3月14日に集約し、政府に「法令改定」の撤回を迫ります。皆様のご協力をお願いします。
(たてべのぼる)

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米先住民と連帯し 日本企業の新たなウラン開発にストップを
チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西 振津かつみ

「核のない未来を!」訴えた世界核被害者フォーラム
 昨年、被爆70年を迎えた広島で、11月21~23日に「世界核被害者フォーラム」が開催された。フォーラムには世界18カ国から、核被害者、反核・平和・人権擁護などの活動家、科学者や専門家、ジャーナリスト、学生など400名越える人々(3日間で延べ1000人以上)が参加し、国内外の核被害者の訴えに耳を傾け、「核と人類は共存できない」ことを改めて確認した。
 また、核被害をもたらした国家・核産業等の責任を厳しく問い、核被害者の補償と人権の確立を求め、これ以上の核被害を許さない運動の連帯を誓いあった。そして核被害者の情報共有など、国際的ネットワーク作りの必要性などが議論された。最後に「広島宣言・世界核被害者の権利憲章要綱」と「フクシマを忘れない、繰り返させない特別アピール」が採択され、「核のない未来を!フクシマを核時代の終わりの始まりに!」と訴えた。(詳細は「世界核被害者フォーラム」ウェブサイトhttp://www.fwrs.info/参照)


ギルバートさん(左)が持参したバナー
「フォーコーナーズからフクシマまで連帯して
核の連鎖を断ち切ろう」
これまでの被害の上に聖山のウラン開発は許せない
 フォーラムには、アメリカ、オーストラリア、インドから、植民地支配と差別・抑圧の下で、ウラン採掘や核実験などの被害に長年にわたって苦しめられてきた先住民の代表も参加した。アメリカ先住民アコマ・プエブロの活動家、ペテゥーチ・ギルバートさんは、フォーラム終了後、広島、大阪、東京、福島で開催された交流・講演会に参加した。福島では、原発事故による避難が続く双葉地区・飯舘村を視察し、被災住民らとも交流した。
 広島をはじめ各地の講演で、ギルバートさんは以下のように語り、日本の人々と協力して新たなウラン開発を止めたいと訴えた。
 「アメリカ西部15州には1万を超えるウラン関連施設(採掘、精錬、廃棄物貯蔵所等)がある。特にニューメキシコ州は核開発と密接に結びついており、ウラン関連施設だけでなく、原爆が開発製造されたロスアラモス国立研究所、初めて原爆実験が行われたトリニティ・サイト、廃棄物隔離パイロット・プラント(WIPP)やウラン濃縮工場もある。私はフォーコーナーズ(コロラド、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタの4州境の交わる地点)近くのグランツ・ウラン鉱脈の地域に住んでいる。1940年から50年間にわたるウラン開発のため100ヶ所近くのウラン廃坑、5つの精錬所跡が残され、今なお、空気、水、土壌の環境汚染が続き、人々の健康と生活が脅かされている。動物も含め、私たち全員が「放射線被害者」だ。しかし国や州は、未だにちゃんとした疫学調査をこの地域で行っていない。個人やNGOが資金を集めて健康調査に取り組んでおり、放射線被ばくによるガンや、精錬に使用した化学物質によると考えられる腎臓や循環器疾患など様々な健康被害が報告されている。ウラン鉱山や精錬所で働いた人々だけでなく、汚染した衣服などを通して家族も被ばくした。
 私たちは、アコマや周辺の15の先住民部族全ての聖山であるカウェシュティマ(テイラー山)を、新たなウラン開発からを守ろうと運動している。この聖山は先住民にとって歴史的文化的に重要な地域であり、州と連邦政府は『伝統的文化遺産』(TCP)に指定した。そのTCP内にウラン鉱山開発を計画しているロカ・ホンダ・リソース会社は、カナダと日本の合弁会社で、住友商事が40%出資している。もしロカ・ホンダ鉱山が開かれたら、汚染水が下流のアコマの居住区にも流れてくる。私たちの地区は湿度が非常に低く、年間の降雨量は40センチくらいしかない。水は非常に貴重なもので、先住民にとって水源の泉や川は聖なるものだ。私は『先住民世界協議会』の代表でもあり、ウラン開発による先住民の権利侵害の問題を国連人権理事会でも訴えている。
 フォーコーナーズからフクシマに至るまで、全ての地球上の人々が、『母なる大地』の先住民であり、それぞれの地域の環境を守るのは私たち全員の責任だ。互いに平和を維持し、協力しなければならない」。

申し入れに不誠実な姿勢をとる住友商事
 11月25日に、ギルバートさんとともに、原水禁、ヒバク反対キャンペーン、救援関西の代表が住友商事本社を訪問し、ロカ・ホンダ・ウラン開発プロジェクトからの撤退を求める要請行動を行った。ギルバートさんは、「先住民は長年、ウラン開発の被害に苦しんできた。もうこれ以上の被ばくを押しつけないでほしい」と訴え、10項目にわたる質問状を提出した。後日、催促してやっと送られてきた回答は「現地事業会社を通じて調査中。質問項目について確認し、最終的事業化の可否について判断する」と、不誠実な内容であった。
 日本の原発再稼働反対とも結んで運動を拡げ、引き続き米先住民と連帯し、住友商事のロカ・ホンダ・ウラン開発プロジェクトからの撤退を求めていこう。
(ふりつかつみ)

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日本のプルトニウムお断り
米サウスカロライナ州地方紙が怒る「不条理劇」

 『サウス・カロライナ州の世界に向けたメッセージ──「ノー・モア-・プルトニウム」』と題された社説が新年早々同州地方紙に掲載されました。1月2日のこの社説は、米国エネルギー省が昨年12月末に「外国の国々から最大900kgのプルトニウムを最終処分までの間の貯蔵・処理のためにサウス・カロライナ州のサバンナ・リバー・サイト(SRS)に搬入しても重大な影響はないとの結論」を発表したのを受けてのことです。「結論」は、東海村の「高速炉臨界装置(FCA)」に警備体制の不十分な形で置かれている331kgのプルトニウムを3月末にワシントンで開かれる核セキュリティー・サミットの前にSRSに運び込むことを可能にするためだと見られています。このプルトニウムの日本からの搬出に関する日米合意が、前回のサミットで発表された主要成果の一つだったからです。


建設頓挫中のMOX工場(SRS Watch 提供 (c)High Flyer)
サバンナ・リバー核兵器施設(SRS) の現状
 SRSは冷戦時代、ワシントン州ハンフォード・サイトと並んで米国の二つの核兵器用プルトニウム(及びトリチウム)生産施設の一つとなっていました。5基あった生産炉は現在ではすべて閉鎖されていて、プルトニウム製造用の再処理も行われていません。新しい役割は主にプルトニウムの処分に関わるものです。米国が核兵器用に余剰と宣言したプルトニウム約50トンの内、米ロ合意に基づく34トンをウランと混ぜて「混合酸化物(MOX)」燃料にするための工場がSRSで建設中です。燃料を原発で使い、高い放射能を持つ使用済み燃料に変えて処分しようとの計画です。だが、この計画は工事の遅れと建設費高騰のため頓挫しています。SRSにはすでに処分を待つ13トンのプルトニウムがあります。このうち、化学物質などと混ざっている6トンは、ニューメキシコ州地下の岩塩層に設けられた「廃棄物隔離パイロット・プラント(WIPP)」に送る計画ですが、この計画も地元州の態度などによってはどうなるか分からないと危惧されています。これ以上のプルトニウムを持ち込むのは許し難いというのが社説の主張で、ニッキー・ヘイリー知事は連邦政府に対する訴訟が必要かもしれないと述べているとのことです。社説は、事態は「不条理劇」のようなものだと述べ「もうたくさん」と結んでいます。

問題は331kgだけではない
 エネルギー省がまとめた2014年12月3日付けの文書は外国の研究施設にある400kgのプルトニウムについて「とりわけ持ち運びが容易で核兵器にしやすい形態にある」と指摘し、「日本のFCAのすべてのプルトニウムとヨーロッパの二カ国のすべての余剰プルトニウムの搬出について初期合意」できたことを報告しています。FCAのプルトニウムは「引き出し」状容器に入れられた金属版状のものなど、取り扱いが簡単で、しかも、出力が非常に小さなこの炉では「使用済み」にはならず未使用の状態が続くことから特に心配されてきました。
 しかし米国が懸念しているのは研究施設のものだけではありません。再処理で得られる分離済みプルトニウムがすべて核兵器に利用可能であることを米国は問題にしてきました。上述の文書も「脅威は続く」とした項目のなかで、原発の使用済み燃料の再処理から生じる民生用プルトニウム量の世界的増大問題を取り上げています。
 ところが、国際的安全保障上問題のある核兵器利用可能物質をサウス・カロライナ州で厳重に保管するようお願いする立場にあるはずの日本は、「国際原子力機関(IAEA)」の計算方法で核兵器6000発分に相当する約48トンものプルトニウムを抱えながら、さらに使用済み燃料から年間8トンも分離する能力のある六ヶ所再処理工場の早期運転開始政策を変えていません。日本のプルトニウムはお断りと言われて当然の状況です。

日本の運動は「不条理劇」を止めさせられるか
 日本原燃は昨年11月、六ヶ所村再処理工場の完工時期を2016年3月から18年度上期に延期すると発表しましたが、元の予定だと3月の核セキュリティーサミットでオバマ政権がFCAのプルトニウムの輸送完了を成果として大々的に宣伝する中、六ヶ所再処理工場完工が大きく報じられるということになるところでした。この皮肉な事態は避けられることになりましたが、同時期に、再処理用認可法人設立法案国会提出のニュースが世界で流れることになる可能性があります。今年4月からの電力市場における小売の参入全面自由化のもたらす競争激化の中での原子力事業者の破綻に備えて新法人を設立し、原子力発電会社に対し、毎年度、発電量に応じて再処理等の実施に必要な費用をこの法人に拠出することを義務付けようというものです。たまってしまったプルトニウムを消費する原子炉を持つ電力会社が潰れても再処理を進めようという「不条理劇」です。
 SRS監視グループのトム・クレメンツは言います。「日本からのプルトニウムの搬出をオバマ大統領の核不拡散面の遺産とみなすものがいるかもしれないが、もっと大きな課題がある。核兵器利用可能なプルトニウムの分離、蓄積、燃料としての使用を日本に止めさせることである」(私信)。日本の反核運動は「不条理劇」に気付いて行動を起こせるでしょうか。
(田窪雅文:「核情報」主宰)

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《投稿コーナー》
国連条約を根拠にテロ対策のための共謀罪導入は認められない
日弁連共謀罪等対策本部 副本部長 海渡 雄一

思想良心の自由を侵害する共謀罪
 2015年11月のパリでの同時多発テロ事件を契機として、11月17日から自民党の高村正彦副総裁、谷垣禎一幹事長、河野太郎国家公安委員長らが、国内テロ対策の一環として、共謀罪を創設する法案の早期提出を示唆した。その後、菅義偉官房長官や岩城光英法相から、通常国会への提案については慎重な発言がなされている。しかし、通常国会への提案はなくとも、法案が検討されていることは間違いない。
 犯罪行為があって初めて罰することが刑法の大原則である。人と人との合意を処罰する共謀罪はこの基本原則に反する。このような観点から、私たちは思想良心の自由を侵害する共謀罪の制定に強く反対してきた。
 私たちは、考え方の違いを暴力によって解決するテロリズムのあらゆる形態に対して反対である。また、テロリズムの未然防止のために効果的な対策は、基本的人権を侵害しない方法で講じられるべきである。しかし、テロリズム対策の一環として共謀罪の創設を提案することは許されない。

国連の条約はテロ犯罪を目的にしていない
 第1に、共謀罪法案の提案の根拠とされる国連越境組織犯罪防止条約は経済犯罪を目的とし、テロ犯罪を目的としていない。共謀罪法案は、2000年11月に国連総会で決議された「国連越境組織犯罪防止条約」に基づき、その「国内法化」のための法案として提案された。合計600以上の広範な犯罪について未遂はおろか予備よりも前段階の犯罪合意を処罰の対象とする共謀罪法案について、法務省は法制審議会において、国内に立法事実はなく、この条約の批准だけのために提案するものであると広言していた。
 この条約は、組織犯罪集団による越境犯罪を適用対象とするものであるが、条約2条、5条は組織犯罪集団や共謀行為の定義について「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」の組織・共謀としている。国連がこの条約の国内法化のために作成した立法ガイドは59パラグラフにおいて、「イデオロギーに係わる目的など、純粋に非物質的な目的を持った共謀は、この犯罪の対象とすることを求められていない」と明記している。共謀罪法案を「テロ対策」の目的で制定するとすることは、これまでの政府の説明にも、条約の明文にも反している。

テロ行為対策の法制度は既に整備済み
 第2に、日本の刑法体系の中には、主要なテロ行為に対する対策に有効な法制度が既に整備されている。政府は国連のテロ対策関連条約を批准している。日本では現行の刑法体系の中に共謀罪がすでに13も存在している。テロ事件でもっともよく使用される爆発物については、「爆発物取締罰則」の4条で脅迫、教唆、煽動、共謀に留まる段階でも、3年以上10年以下の懲役又は禁錮刑が科せられる。
 傷害罪についても、「凶器準備集合罪」は犯罪の実行前に凶器を持参して複数人が集まるという準備段階で処罰できる。これは、共謀罪の一種である。殺人や強盗、放火、身代金目的誘拐等、人の生命・安全に係わる重大犯罪については、未遂以前の予備段階から処罰が可能である。
 また、アメリカなどでは銃器の所持が公認されているが、日本の「銃砲刀剣類所持等取締法」では、銃の保持や刀剣の携行だけで処罰できる。2003年には「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」が制定され、窃盗の道具であるドライバーなどの特殊開錠用具を正当な理由なく所持してはならないとされた。
 国連のテロ資金供与防止条約は2002年に批准され、国内法としてテロ資金提供処罰法が制定された。この法律は2014年に改正され、テロ行為を容易にする目的で、資金だけでなく「土地、建物、物品、役務」を提供した場合も処罰の対象とされた。処罰対象者の範囲も、テロリストに直接利益を提供する協力者だけでなく、テロリストを間接的に支援する協力者にまで拡大されている。
 これらの法制度の中には人権侵害の危険性があるものも含まれるが、新たな広範な共謀罪の制定が必要かどうかを検証する際には、このような法制度が存在していることを前提として考慮する必要がある。

年内の法案提出に備えて反対運動を
 このように経済的な組織犯罪集団による犯罪とテロ犯罪の双方について、主要犯罪については予備などの段階で広範に処罰できる法体制が既に整えられている。日弁連は、このような国内法の整備状況をふまえて、「国連越境組織犯罪防止条約」5条が求めている「組織的犯罪集団の関与する重大犯罪の未然防止」については、必要な国内立法は十分完備しており、共謀罪法案のような極端な立法を企てることなく、国連越境組織犯罪防止条約をすみやかに批准するように求めてきた(2012年4月13日「共謀罪の創設に反対する意見書」など)。
 秋には共謀罪が多少の衣替えをして国会に提出されることも想定し、今からその反対運動の陣形を準備しておく必要がある。
(かいとゆういち)

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各地の1000人委員会の活動から
北海道から「戦争法案」の阻止へ
「戦争をさせない北海道委員会」事務局 長田秀樹

多くの人が集まった「総がかり行動」(9月16日・札幌)
 解釈変更による「集団的自衛権」の行使容認の閣議決定や「戦争法案」の成立をめざす安倍政権に対峙するため、2014年4月に、脚本家の倉本聰さんら学者や文化人を「呼びかけ人」とした「戦争をさせない北海道委員会」を立ち上げ、労働組合中心の運動から、市民や諸団体が幅広く結集する「市民型」への運動へと転換を図りました。「戦争をさせない北海道集会」(14年6月28日)では、札幌市大通公園を約5500名の市民で埋め尽くし、週1回のペースで実施した「『戦争をさせない北海道委員会』総がかり行動」では、フリーターや学生などを中心とする「戦争したくなくてふるえるデモ」や「安保関連法案に反対するママの会@北海道」などと連帯した運動を展開しました。
 さらに、参院平和安全法制特別委員会での審議の山場となった昨年9月14日からは、「国会前包囲行動」と連帯し「総がかり行動」を6日間連続で展開しました。連日、参加者は増え続け、強行採決された17日には最多の約1800名が結集。採決の様子を見て「いても立ってもいられず、声を上げに来た」参加者や、「親としては息子にやめてもらいたい。戦地に行かせるわけにはいかない」と話す自衛隊員を子どもに持つ母親、旅行中にデモがあることを知って参加した方など、これまでにない多くの市民の熱気に包まれました。(写真)
 この間、多くの市民が参加しやすくなるよう、著名人を「呼びかけ人」として前面に出す集会、サウンドデモ、コール、そして「組合旗・団体旗」を持ち込まずプラカードなどによるデモなど工夫してきました。しかし、「黒子」に徹した労働組合であっても、運動の基盤となっていることに変わりはありません。安倍首相は新年早々、「参院選で改憲発議に必要な3分の2以上の勢力結集をめざす」とし、憲法「改正」に意欲を示しました。「安保関連法」さえ国民的合意が得られたとは言えない中、またしても数の力で押し切る態勢を整えようとすることは断じて許せません。闘いはまだまだ続きます。「戦争をさせない北海道委員会」の運動を通して、労働運動と市民運動の「垣根」を乗り越え、「融和」を図る運動の構築に努めなければならないと考えています。
(おさだひでき)

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〔映画の紹介〕
「母と暮せば」
山田洋次監督(2015年/日本)

 この世に生まれ、自我が目覚め、目標に向かって生きていく。それぞれ環境や境遇が違っても、自分の選択する道を生きていくものである。しかし、それすら許されず、気付かぬうちに命を奪われた人がいた。原爆投下による被害者こそが、その人である。
『母と暮せば』は、長崎を舞台に、母と息子の愛情を描いた山田洋次監督作品である(松竹120周年記念映画)。故・井上ひさしさんが、長崎を舞台にした作品を作りたかったということを聞き、戦後70年の節目の年にあたる2015年に公開する意義があるとして、制作された。長崎の原爆というテーマを扱うだけでも重い作品になるが、原爆で亡くなった息子と残された母親のストーリーともなれば、見る方としても気が重くなりかねない。しかし、CGを使い、亡霊の息子と生きている母親のやり取りを軽妙に描くことによって、一種のファンタジー作品に仕上げているのである。
 原爆投下から3年が経とうとしても、原爆で息子を亡くした母親と残された婚約者が、亡くなったことを受け入れきれないというところから物語は始まる。8月9日、墓参をし、諦めともいえる現実を受け入れた母親の前に、ひょっこりと息子の亡霊が現れる。気がかりだった婚約者のことを考えると、自分の死を受け入れられない息子であったが、母親と会話を重ねることで、生きている彼女には幸せになってほしいと思うようになる。
 幾度となく親子の愛情に涙する。エンディングを迎え、優しくも悲しい物語であったという感想を抱くとともに、原爆や戦争に対する許し難い感情が轟々と渦巻いてくるのである。「しょうがないよ、そいが僕の運命さ」という息子のセリフが印象的である。
 戦争で、原爆で、死ぬことが運命づけられているなんて到底許せることではない。ましてや、一瞬で全てが無と化してしまうような、死を意識することさえないままに命を奪われることが運命であるわけがない。母親が憤怒の表情で、息子の言葉を否定する。誰かが決めた戦争で、命を奪われることがあってはならない。我が子の命を奪った戦争に対する母親の怒りは、まさに私たちの思いの代弁である。
(橋本麻由)

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核のキーワード図鑑


核たよる 国の危うさ 愚かさよ

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朝鮮民主主義人民共和国の「水爆実験」に抗議するとともに、国際的対話を求める声明
(原水禁・1月6日)

 1月6日午前10時半、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が「水爆実験」を実施したと朝鮮中央テレビが報じました。2006年10月9日の最初の核実験から数えて4回目、2013年2月に行われて以来3年ぶりとなる核実験です。東北アジア地域の緊張をさらに高め、世界平和の脅威となるもので決して許されるものではありません。原水禁は、ヒロシマ・ナガサキの悲惨な現実と向き合い、核兵器廃絶のとりくみをすすめてきたものとして、北朝鮮政府に対して強く抗議します。
 北朝鮮政府は「最初の水爆実験が成功裏に実施された」と発表し、高度な核技術を保持したと誇示しています。核兵器の非人道性を省みず、核兵器能力の向上をはかる北朝鮮政府の姿勢は、国際社会の強い非難をあびるものです。北朝鮮政府に対して直ちに核兵器開発を放棄し「並進政策」を見直すよう強く求めます。
 日本政府は、「我が国の平和に対する重大な脅威であり、国際的な核不拡散のとりくみに対する重大な挑戦である」として、北朝鮮政府をきびしく非難しています。しかし、日本政府が米国の核の傘に依存し続けていることも事実です。日本政府自らが核抑止や武力による安全保障政策を放棄し、東北アジアの非核化に向けた被爆国としての真摯なとりくみに着手することを強く求めます。
 また、米国政府及び国際社会は、北朝鮮に対する制裁措置を強化することなく、昨年10月1日に国連総会で行った北朝鮮のリ・スヨン外相の「朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するよう米国にあらためて要求する」とした一般討論演説に対して真摯に対応し、その実現に向けた対話を開始すべきです。1953年7月27日の休戦協定によって、朝鮮戦争における武力衝突は一旦終結したものの、北朝鮮と米国は停戦状態のまま不正常な関係を続けてきました。そのことが国際社会から北朝鮮を国際社会から孤立させることにつながり、東アジアの平和への大きな脅威をつくりあげています。米国政府に対して北朝鮮政府の主張に真摯に耳を傾け、二国間及び六か国間の国際的対話をつくりだす努力を強く求めます。

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