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ニュースペーパー2016年10月

2016年10月 1日

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強行採決から1年 戦争法廃止!9・19国会正門前行動
 戦争法(安全保障関連法)が強行採決されたあの日から1年。9月19日、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は、「戦争法廃止!9・19国会正門前行動」を開催、雨が降りしきる中、2万3千人が参加しました。集会では、民進党の岡田克也前代表など4野党の代表が、参院選での野党共闘の成果を語り、「引き続き、野党共闘を強め市民と力を合わせて安倍政権打倒へ闘おう!」などと訴えました。また、戦争をさせない1000人委員会の清水雅彦事務局長代行(日体大教授)など各団体から「戦争法は何年経とうが憲法違反に変わりがない。運動の力で戦争法の発動を食い止めていこう」と訴えが続きました。特に、内戦が続く南スーダンでの自衛隊の駆けつけ警護や、緊迫する沖縄の辺野古や高江の基地建設に対する闘いが呼びかけられました。同日、全国400カ所以上でも同様の集会・デモ等が実施されました。(写真は国会正門前に集まった参加者)

インタビュー・シリーズ: 115
米国から見た広島・長崎・沖縄
ピース・アクション事務局長 ジョン・レインウォータさんに聞く


プロフィール
 1957年に設立されたアメリカの代表的な平和団体であるピース・アクションの事務局長。40年近くにわたり、平和、核軍縮、社会的公正、環境持続性等の問題について活発なキャンペーンを行ってきた。経験豊富な政策アドボカシーの担い手として、グリーンピースの核問題担当、家庭内暴力の犠牲者を擁護する「家庭内暴力に反対するカルフォルニア連盟」、「カルフォルニア自然保護選挙民同盟」の幹部など多くの仕事をしてきた。

―核問題に長年関わってきて、広島、長崎の印象はいかがですか?
 私は17歳の時、初めて中性子爆弾とプルトニウム爆弾に抗議する行動に参加しました。これまで原爆投下には、大きな影響を与えられてきましたので、日本に来ることができてうれしいです。人間がなぜこのような過酷なことができるのか、特に平和資料館で、何が起きたのかを想起出来る遺品があり、非常につらかったです。人々が良い世界をめざして、憎悪を別のものに変えていった。深刻な悲劇から大いなる希望へ。この2つはいつも私を動かしています。

─オバマ米大統領の広島訪問を原水禁は評価しています。前広島市長の秋葉忠利さんが、今年の原水禁大会国際会議で、大統領の行動によってアメリカでも核兵器に関する意見がドラスティックに変わったと言っています。
 オバマ大統領の核廃絶に向けたプラハ演説や広島訪問はシンボルとして非常に強力です。まだ原爆投下支持がわずかに多数派ですが、大きく減りました。さらに若者が「原爆投下は正当化できない」という方向へ動いています。気候変動でも核兵器でも、若者は真剣な取り組みによる変革を求めています。オバマ大統領が蒔いたこの種を、他の大統領が刈入れる時が来るでしょう。

─オバマ大統領は「核なき世界」と言いましたが、アメリカはこれから1兆ドルもかけて核の近代化を図ろうとしています。これをどう考えていますか。
 ピース・アクションだけでなく、多くのNGOが失望しています。オバマ大統領は選出時に高い期待があり、2009年のプラハ演説でさらに期待が高まり、その演説がノーベル平和賞を受賞する理由にもなったと思います。彼はその評判を維持しなければなりません。核兵器の近代化についてはロシアとの新START条約を進めることと関連して、オバマ政権は核兵器近代化を「核兵器軍産複合体」との取引に使っています。議会ではこの近代化について反対する動きがあり、私たちはそれを強化しようとしています。サンダース支持者は民主党選挙綱領にこの問題を入れ込みました。われわれは議会での影響力を強化したいと考えています。

─北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返しています。日本とは国交もないし、朝鮮半島を植民地支配した歴史問題があります。北朝鮮の問題は保守政権を助ける格好の材料になっています。アメリカとも話し合いができない厳しい状況になっています。
 オバマ政権の政治的優先順位の問題です。外交エネルギーは、より高い優先順位を与えられたイラン問題で費やされてしまいました。ケリー国務長官の外交ルートだけでなく、アメリカの持つあらゆるチャンネルを使って、凄まじい交渉努力が行われました。オバマ政権全体の事業とも言うべきものでした。アメリカの大統領にとって、メディアや他の政権に「悪魔とされた政権」と交渉するのは尋常でないエネルギーを使うものなのです。そのために他の核問題に手が及ばなかったといえます。
 ビル・クリントン元大統領が6ヵ国会議をつくり、北朝鮮との核交渉を進め「米朝枠組み合意」を成立させました。クリントン政権は北朝鮮を合意で縛ろうとしましたが、ブッシュ前大統領が北朝鮮敵視政策をとり、制裁強化などでそれを壊しました。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、6ヵ国協議を再開し「米朝枠組み合意」を再評価し、交渉を再開させる可能性はあります。しかしそれは困難な作業です。私達は新政権成立の初日から、北朝鮮やロシアと話し合うように、また、議会にも交渉の場につくべきだと要望していきます。

─そのアメリカ大統領選挙をどう見ていますか。
 英語でパーフェクトストームという言葉があります。多くの様々な要素が一体となり、激しい、不安定な状況を作り出すという意味です。アメリカの現在の政治状況がこれにあたります。ひとつはメディア、インターネットを通して、多くの人が一つの意見のみを受け入れてしまうということが起きています。共和党員の中には、地球温暖化のように証明された科学的事実を否定する主張に、耳を傾ける傾向があります。またアメリカの軍事冒険主義に対するサンダース支持者の批判も、かなり強い論調になっています。
 二つ目として、トランプ支持者もサンダース支持者も共に経済の停滞による中流階級への打撃に影響され、サンダース支持者が言う「上位1%」への批判が多くの人に説得力を持っています。トランプ支持者も怒っており、それが白人労働者階級のレイシズムを強め、生活不安によって移民が自分たちの生活を破壊するという考えへ傾斜させています。
 3点目に、政治家が語ることについて人々が信用できなくなっています。犯罪が多発し、多くの人を投獄するという多額のコストがかかる提案をしています。司法が適切に機能せず、多くの人が刑務所に入れられたことがあり、マリファナを吸うようになり、そのために職につけずにいるのです。また、自由貿易が進めば職が得られると言われますが、全員ではないと指摘されます。金融自由化もそうです。経済が活性化すると言われますが、実際は国が破産するところまで行ったのです。ビル・クリントンやレーガンが作り出したものが、トランプによる逆流を生み出したのです。

─トランプが大統領になったら軍事同盟含めて日米関係はどうなると考えていますか。
 トランプが大統領になったら、どうなるか誰もわかりません。トランプの選挙キャンペーン、またその運営方法は滅茶苦茶です。大統領になったら、1週間で普通の大統領になるという見方があります。周囲を既存勢力で囲まれているからです。民主・共和両党の共通項は多く、特に安全保障政策はほとんど同じです。国務省や国防省は、そう期待しているようです。トランプが本当に世界への介入に反対かどうかはわかりませんが、イラク戦争に反対し続けています。日本やNATOなどとの同盟もタダ乗りを許さないと言っていますが、実際にどうなるか具体的な形は見えていないのです。官僚が抑え込むかもしれません。私はヒラリーがかなりの大差で勝つと思っていますが、予測は困難です。彼の政策がどうなるかわからないというのが、正直なところです。議会が同調しないでしょうから、彼の思う方向には、急には進まないだろうと思います。一方、ヒラリーはオバマよりタカ派の外交政策を行うと思っています。

─沖縄では、日米基地協定の問題があり、米兵、米軍属は基地に入れば日本の司法が及ばないことになっていて、女性への暴行、殺害事件が多発してきました。これが沖縄県民のもう基地はいらないということへ繋がってきます。
 アメリカでも、軍内部での性暴力が大きな問題になっていて、上院で取り上げられました。沖縄での性暴力への大きな抗議行動を、もっと伝えるべきと思います。軍の問題は他の問題と結合して取り扱うことが有効です。また環境問題を、基地の問題と結びつけることも考えられます。沖縄の美しいサンゴ礁の写真などは多くの人を惹きつけます。アメリカは環境問題には関心が高いので、多くの人の関心を集めると思います。
 沖縄の人々の抗議運動の幅広さと強さは、驚くべきものです。原水禁世界大会後に沖縄を訪れて、多彩な抗議活動の拠点で草の根運動のリーダーたちと交流でき、また基地に反対する議員とも対話ができて、非常に有意義でした。この幅広い運動は、状況を変えることができ、多くの人を惹き付けることができます。
 また、長年にわたる米軍駐留の無用に広がった痕跡を、また沖縄の人々の受けたひどい傷を見て、私は深い悲しみを感じました。その傷が複雑で、多種多様で深刻であることを見ることが出来ました。
 基地は公共安全上の問題です。人口密集地に航空機が墜落する可能性があります。稀少なサンゴ礁を傷つけ、驚異的な生物多様性の保護を妨げ、熱帯雨林を傷つけています。毒性廃棄物がまったく除染されていません。米兵による恐ろしい暴力事件が起きています。アメリカ人がこのよう問題について知れば、その多くは心を痛めると思います。アメリカに責任があるからです。

─アメリカの平和運動は政府を動かすことができますか。
 できます。仲間とともにアメリカで広範な人々に対し、この問題を伝え続けようと思います。ピース・アクションのようなロビーグループが、沖縄の様々な議員と一緒に、アメリカの国会議員に伝え理解してもらうよう協力します。私達は平和フォーラム・原水禁のパートナーとして活動したいと思います。

─アメリカ議会は、本当に軍事政策に大きな影響を与えられるのでしょうか。
 議会に対し沖縄の問題に力を入れさせるには、長い闘いが必要です。個別の基地問題は議会が加勢する大きな政策課題と見なさない傾向があります。しかし、尊敬すべき抵抗の歴史、環境問題、社会的公正の見地から、議員がこの問題が単なる基地問題ではないと気づくと思います。時間をかけて方向転換させる政治的意思を作るために、協働する必要があります。

インタビューを終えて
 米国は、大統領選挙の真っ最中。全米最大の平和NGOである「PeaceAction」の事務局長に就任したジョン・レインウォーターさんは、レイシズムを強めている米国社会での大統領選に強い懸念を示しています。「上位1%」への批判は、日本社会も同じです。活動家としての彼の言葉「深刻な悲劇から大いなる希望へ」、私たちもまた、あきらめてはなりません。
(藤本泰成)

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高江は沖縄の縮図なのか─権力には屈しない
沖縄平和運動センター 事務局長 大城 悟

安倍政権の総力をあげた強行姿勢
 沖縄県東村高江でのオスプレイパッドの工事が再開されたことは、本誌8月号で沖縄平和運動センターの中村未央副議長が報告しており、その後の状況について若干の報告をしたい。
 高江のオスプレイパッド工事は、1996年のSACO合意に基づき、本島北部のジャングル戦闘訓練場(北部訓練場)7,800haのうち、約4,000haを返還する代わりに、新たに高江集落に隣接する形で6基のオスプレイパッドを造るというものだ。1昨年、N4地区の2カ所が完成し、既にオスプレイの訓練が繰り返されているが、残りのN1地区2カ所、H,G地区の合計4カ所の工事が始まった。返還予定の訓練場は米軍が必要ない区域と言われ、新たなヘリパッドの選定も米国の主張を考慮した位置であり、政府の米国追従がうかがえる。
 現場には警視庁をはじめ、千葉、神奈川、福岡、愛知、大阪から総勢500人以上の機動隊と車両、警察官が投入され、反対する市民を過剰なほどに規制し、基地建設を押し進めている。県外の警察の派遣に伴う手続きも杜撰で、地元の公安委員会が警察庁に派遣要請するはずが、沖縄県公安委員会が要請する前から、警察庁は派遣予定の各県警に万全を期すよう文書で指示を出している。手続きを定めた警察法などは無視され、安倍政権が権力の総力をあげて基地建設を強行する姿勢がありありだ。
 また、派遣された各県警の沖縄滞在中の移動に伴う燃料費や高速代金は沖縄県警の予算で賄うことも記載されていた。そもそも県警の任務は、そこに住む県民の命と財産、安全も守ることである。このようなことは基地反対の県民の感情から、到底受け入れられるものではない。


高江ヘリパッド建設
民間ヘリで小型重機を運搬
(9月10日)
自衛隊ヘリまで投入 まさに無法地帯
 7月22日、まだ夜も明けない早朝、大挙してきた機動隊と集まった約300人の市民が衝突し、現場は騒然となった。多くのけが人や救急搬送者を出しながら、必死に工事強行を阻止する行動が行われたが、異常ともいえる警備体制と弾圧によりゲート前テントや車両が撤去され、2007年から9年間封鎖してきたゲートがこじ開けられた。
 この間、多くの情報発信や行動のシンボルとも言えるテントが撤去され悔しい思いは消えないが、私たちの運動は当然そのことで終わるものではない。逆にその怒りをバネに、基地建設を止めるため、連日行動が継続されている。しかし、警察による横暴な規制が行われ、大型ダンプによる仮設道路建設やヘリパッドに使用される砂利などの資材が運びこまれ、工事は推し進められる状況だ。
 オスプレイパット工事の現場は、県道70号線が唯一の連絡道路である。その県道で、反対する市民を強制的に規制し、横暴な道路封鎖を繰り返している。地域の住民や一般市民も含め、すべての車両や人を規制の対象にしている。
 大規模な災害等に限り危険回避の通行規制は認められているが、工事に反対する市民を現場に近づけないように規制するのは認められていないはずだ。また、砂利を積んだ大型ダンプの前後に10数台の警察車両で先導、警備することは、警察が基地建設に協力していることに他ならず、公平・公正の警察の立場を逸脱している。さらに、トラブル防止と称し、警察車両を使って防衛局から工事を請け負った作業員を現場まで移送することは言語道断であり、法を順守する権力が違法行為を繰り返していると言わざるを得ない。
 さらに、9月13日には民間ヘリに加え、陸上自衛隊のCH47大型輸送ヘリを使用し、建設機械を現場まで空輸した。稲田朋美防衛大臣は自衛隊機を投入する根拠に自衛隊設置法4条第19項をあげ、「沖縄の負担軽減にとって有益で返還に伴う措置だ」と述べているが、ゲート前のテントを撤去するときも同法を持ち出しており、身勝手な法解釈である。あらゆる横暴な公権力が沖縄に向けられており、まさに無法地帯である。

沖縄は抵抗を止めない
 沖縄の基地の負担軽減と標榜し、辺野古や高江での県民を無視した基地建設強行は、沖縄差別そのものだ。沖縄の未来を潰し、後世にわたり米軍基地との共存を強制しているに過ぎない。「防衛や外交問題は国の専権事項であり、地元の意見など聞く必要なない。国に逆らうな」という姿勢は、民主主義や憲法で保障された国民の権利を真っ向から否定するものであり到底許されない。
 危険で厄介なものは地方へ押し付け、その恩恵を中央が享受するというこれまでの強権的なやり方は、国民に主権を与えず、独善的国家だということを政府自ら認めているということだ。止めなければならない。私たちはいかなる権力にも屈しないという強い気持で運動をさらに強化していきたい。
(おおしろさとる)

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辺野古・高江の闘いで、民主主義・地方自治を守ろう

 「日本は法治国家ではなく、沖縄をほっておく『放置国家』ではないのか」─今年5月、オバマ米大統領との首脳会談の中で「辺野古への移設が唯一の解決策」と、頑なな姿勢を崩さずに述べた安倍晋三首相に対する翁長雄志沖縄県知事の痛烈な批判です。
 米軍基地が沖縄に集中しているからこそ起こる米軍関係者による凶悪な犯罪や事故。国は「米軍の綱紀粛正」を繰り返すばかりで、抜本的な対策をたてようとはしません。日米地位協定によって特権的な地位にある米軍人・軍属の範囲を限定的にすることでお茶を濁したり、米軍人・軍属の犯罪防止のためのパトロール要員を沖縄防衛局が雇い入れたにも関わらず、高江ヘリパッド建設に抗議する市民に対する警備要員に振り替えてしまったりと、唖然とする対応を行っています。沖縄に軍事的負担を押しつけ、基地被害や事故の対策については「放置」し続ける国の姿勢は、異様としか言いようがありません。

国と地方自治体は対等・平等の関係
 人々の命と暮らしを軽んじてきた戦前の反省から、日本国憲法では、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3原則のほか、地方自治についても明記しました。その後に制定された地方自治法などの法律によって、国の下に地方公共団体が存在するかのような骨抜きがされましたが、「地方分権改革」により、1999年の改正地方自治法では、国と地方自治体は対等・協力関係であるとされ、「自治体を国の手足としてきた機関委任事務制度は廃止」されました。
 この制度の下で自治体を従わせる「国の関与」について、基本原則や種類、要件が定められることになり、仮に国の関与に不服がある場合は、自治体が国地方係争処理委員会や裁判で審査の申し出・申し立てができるようになりました。
 辺野古新基地建設をめぐって国が沖縄県に行ってきたことは、こうした改正地方自治法を真っ向から否定し、法治国家と言えない状況を作り出したのです。


砂利運搬の大型ダンプを先導したり、
建設作業員を同乗させている警察車両の進入を阻む
(9月10日・高江)
支離滅裂な「なりすまし請求」と代執行裁判
 行政処分に対する国民の権利救済として法定された「行政不服審査法」を濫用し、防衛省沖縄防衛局が国民になりすまして審査請求した問題はその一例です。翁長知事が、辺野古新基地建設のための公有水面埋め立て承認を取り消したことに対して、防衛省沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に対して審査請求をするとともに、執行停止の申し立てをしたものです。
 辺野古の工事を進めるために執行停止を決定し、審査請求については裁決を放置し続け、承認取り消しが違法であるとも不当であるとも裁決を出さない国土交通大臣が、代執行裁判を提起し、翁長知事の承認取り消しは違法であると断定してしまったのです。
 代執行とは、自治体に代って国が行うという、国にとっては「伝家の宝刀」とも言える最強の「国の関与」なのですが、それを行うにも、まず助言・勧告を行い、是正の指示を出す必要があります。これらをすべて無視して、いきなり代執行裁判を提起したのです。国の関与の基本原則は「必要な最小限度のものにするとともに、地方公共団体の自主性、自律性に配慮しなければならない」はずです。
 さすがに代執行裁判での福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長が示した和解勧告は、改正地方自治法では、地方公共団体と国の関係について「対等・協力の関係になることが期待されたものである」とし「同改正法の精神に反する状況になっている」と言わざるを得ませんでした。そして国と県との協議を進めることを促したのです。
 しかし、和解後、まともな協議をすることなく、国は早々に「是正の指示」を出し、この指示に従わないとして、国との協議を求め続ける翁長知事に対して「違法確認訴訟」を提起しました。相も変わらず地方自治の精神を無視していると言わざるを得ません。9月16日の高裁判決を経て、今後最高裁で争われることになりますが、裁判所には強権政治に屈することなく「法の番人」としての最低限の矜持は示してもらいたいものです。

「法の支配」は安倍政権にこそ向けられている
 安倍首相は日頃から力強いリーダーシップを口にしています。自治体を従わせることがリーダーシップであると思っているとしたら、地方自治を理解しようとしない浅はかなリーダーであり、「官邸がやると言ったらやる」などと恫喝することは、独裁政治となんら変わりはありません。
 安倍首相によるこの国の未来像が沖縄に凝縮しています。そして、民主主義と地方自治を守る闘いの地平にあるこの国のあるべき姿も、沖縄の辺野古・高江での闘いに象徴的に現れています。この闘いに力強く連帯し、行動していくことで未来が切り開かれていくことを確信しましょう。
(近藤賢)

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TPP協定は暮らしに大きな影響
農業だけじゃない 今国会で批准させてはならない

 安倍政権は、いま開かれている臨時国会で、環太平洋経済連携(TPP)協定の批准と関連法案(一括11法案)の承認・成立をめざすとしています。メディアではもっぱら農業が注目されていますが、他にも生活に直結する多くの問題を含んでいます。元農林水産大臣で「TPP違憲訴訟の会」幹事長の山田正彦さんの分析を元に、農業分野以外で想定される問題点について解説します。

医療は金持ちでないと受けられなくなる?!
 これまで医薬品価格は日本独自で決められました。しかし、協定では外資の製薬会社が価格決定に介入できるようになります。また、特許期限切れの安価なジェネリック医薬品は届出をすれば自由に作ることができましたが、協定では開発した製薬会社に『通知』をしなければならず、その結果、外資製薬会社が不服申立の裁判を起こして、その後も高価格のまま販売が継続されることも予想されます。さらに、バイオ医薬品については、データの保護期間が最低8年間となり、その間はジェネリック医薬品が作れません。
 政府は「国民皆保険制度は守られた」と説明しますが、日米間では、公的医療保険の見直しに言及しています。すでに日本でも108種類の先端医療については、保険商品として民間医療保険が認められています。高度で高額な先進医療は民間医療保険で賄い、安価な医療は公的医療保険で行うことになれば、やがて皆保険制度の空洞化を招きます。

遺伝子組み換え食品の輸入増、表示も出来ない?!
 日本では遺伝子組み換え食品(GMO)は、大豆やとうもろこし、ナタネなど8種類の輸入農産物だけ認められ、それを元に作られる食品には表示義務が課されています。しかし、協定では「遺伝子組み換え農産物の貿易拡大と新規承認を促進すること」を謳っています。
 また、表示についても、日本のような表示義務は『強制規格』に該当するとして、「強制規格は利害関係者の意見を聴取し、それを考慮」しなければならず、日本独自の表示を決められなくなります。

牛肉、野菜などの『国産』『産地』表示ができなくなる?!
 米国でもこれまで牛肉に『国産』の表示をして販売していましたが、カナダやメキシコから「米国に輸出しても売れない。米国の『国産』表示が貿易障壁に該当する」として、世界貿易機関(WTO)に協定違反で訴え、2015年に米国が敗訴し、米国では牛肉の『国産』表示を取りやめました。日本でも牛肉や豚肉に国産表示をすれば、外資の食肉企業から協定違反として訴えられる恐れがあります。
 野菜、果物などでは、従来のように自由な産地表示ができなくなります。韓国と米国の自由貿易協定(FTA)で、国産と米国産を差別してはならないことから、韓国の学校給食で「地産地消」を進めることができなくなりました。

公的サービスが民営化される?!
 これまで国や自治体が行ってきた公的サービスでも、郵政事業のように民営化が強いられます。愛媛県松山市では水道事業をフランス企業に業務委託した結果、水道料金が上がり続けています。
 全国の国立病院、公立病院も5年後の再交渉で民営化が迫られ、株式会社に衣替えして外資企業に売却されることも想定されます。採算の取れない離島などの公立病院は閉鎖されてしまいます。
 公共事業も、国や自治体による建設、土木工事などは原則として外資も含めて公開入札になります。自治体は、英語と自国語(日本語)で手続きを進めなければならず、「過去の実績をもとにしてはならない」として、地元企業を優先することはできません。

資料のコピーだけでも逮捕される?!
 著作権については、日本ではこれまで、著作権者自身が刑事告訴しない限り、資料のコピーやブログでの拡散、コミケ、コスプレなどは罪に問われませんでした(親告罪)。しかし、TPPでは非親告罪となるため、著作権者の刑事告訴がなくても逮捕されます。

恐るべきISD条項!
 山田さんは「協定には、多国籍企業600社の顧問弁護士が仕掛けた罠が埋まっている」と指摘します。その最たるものが、投資に関して、外資企業が相手国を訴えることができるISD(投資家対国家間の紛争解決)条項です。
 最近の例でも、エジプトで政府が最低賃金引き上げたことで、フランス企業が期待した利益が得られなかったとしてISD条項による損害賠償請求を行っています。また、リビアでは、クウェート企業の観光施設建設が契約後も3年間着工されず、債務不履行を理由に契約解除したところ、リビア政府が訴えられ、約1000億円の損害賠償が命じられました。
 このような内容の協定を今国会で批准することは容認できません。平和フォーラムは関係団体とともに「TPPを批准させない!全国共同行動」を進めています。署名運動や毎週水曜日の国会前行動、10月15日には、東京・芝公園での全国集会などが予定されています。
(市村忠文)

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高レベル放射性廃棄物の深地層処分を許すな
北海道平和運動フォーラム代表 長田 秀樹

北海道の北端・幌延に深地層研究センター
 1984年に、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現在は日本原子力研究開発機構)は、高レベル放射性廃棄物貯蔵・研究施設(貯蔵工学センター)建設を公表した。横路孝弘道知事(当時)が誘致反対を表明する中、85年11月23日未明、動燃は、反対派の「監視体制」の隙を突き、現地踏査を強行した。
 動燃は「貯蔵工学センター計画」について、「(町民には)廃棄物から出る熱や放射線が、融雪や品種改良などで生活や農業に役立つ」と説明していた。当時、弁護士として反対運動の先頭に立った上田文雄・前札幌市長は「巨大なウソの上に成り立った組織」と批判した。95年に「貯蔵工学センター」の白紙撤回を公約とした堀達也知事が誕生したが、98年には科学技術庁が道に「深地層研究所」建設を新提案してきた。
 放射線量が1時間に1500シーベルトで、人間が近づけば20秒もたたずに死ぬ。安全なレベルに下がるのに10万年かかるとされる高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にして、地下300m以深に埋める研究を行うというもので、それが、北海道の北端にある今の「幌延深地層研究センター」である。
 道はこの計画を受け入れるにあたり、「特定放射性廃棄物の持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れがたい」とのいわゆる「核抜き条例」を制定した(2000年)。また、道・幌延町・旧核燃料サイクル開発機構との間で「研究のみ」として、「研究期間中・終了後も放射性廃棄物は持ち込むことや使用することはない」「研究終了後は地上施設を閉鎖し、地下施設は埋め戻す」「将来とも最終処分場としない」などの「三者協定」を結んだ。
 このように「計画」は、道民の不信・反対が強い中で、国や旧動燃が「条例や協定を守るからやらせてほしい」とお願いしたものであり、道も「条例を設け、道内に放射性廃棄物は持ち込むことはできない」としている。

研究終了時期も明らかになっていない
 当初計画では、研究期間は「20年程度」となっていた。01年に研究が始まったことから、研究終了は21年頃である。しかし、21年まであと5年となった現在においても、終了時期については明言を避けている。「16年度の次期中期計画策定時に、研究終了について決定する」としていたものも、「中期計画終了の19年度まで」に変更した。「このままなし崩し的に研究期間が延長され、最終処分場にされるのでは」という懸念が募る。「埋めるともったいないし、芝生に返せと言われても何となくやる気がしない」(原子力機構・野村茂雄理事)や、「三者協定には20年で研究を止めるとは書いていない」(幌延深地層研究センター・山口義文所長)、「(研究期間について)期限がないと理解している」(幌延町議会・植村敦議長)などの発言が懸念に拍車をかけている。
 高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、地上施設で30~50年ほど空冷管理され、その後、地下300m以深に埋めるのが「地層処分」政策である。99年に核燃機構は「将来10万年程度にわたって安定し、地層処分可能な地質環境がわが国に広く存在する」との報告書をまとめた。雑多な放射性廃棄物が高濃度に濃縮された高レベル放射性廃棄物の毒性は、10万年、100万年続くと言われている。地層処分を研究する専門家でさえ「処分技術の安定性は実証不可能」と言っている。何よりも、「処分を進める立場からすると、千年後は証明できないことを前提に、...合理的な説明をし、信じてもらうことが我々の役目だという認識はある」(元原子力発電環境整備機構・河田東海夫理事)と推進側も言っている。


雪の中、1200人が参加した集会
(2015年11月23日・幌延)
「地層処分」ありきの姿勢に突き進む政府
 10万年間も監視が必要な「核のゴミ」の存在を後の世代に知らせることのできない「地層処分」は、将来世代に対して無責任である。ましてや日本は地震大国で、「研究所」のある幌延町には長さ約44キロの「サロベツ断層帯」がある。断層帯が一度に活動した場合、地震の規模はM7.6、震度6強の強い揺れが想定されている。
 政府は2016年中にも「科学的有望地」を示し、その後、自治体に「文献調査」を申し入れるとし、「地層処分」ありきの姿勢に突き進んでいる。北海道平和運動フォーラムは7月26日、内閣府「放射性廃棄物専門部会」で意見陳述し、「『地層処分』は撤回し、常に人間の監視が行き届くような体制を構築し『安全対策』を徹底したうえで管理をすべきである。その間に、何らかの処分方法を研究するとともに、国民的な議論を行うべきだ」と指摘した。
 「現地踏査」が強行されて以来、11月23日を「幌延デー」とし毎年、幌延町で集会を開催している。昨年は、30回目を迎え、全国の原発立地県からの参加も含め約1200名が集まった。闘いはまだまだ続く。
(おさだひでき)

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先制不使用断念の理由の一つは日本核武装への懸念と米紙
日本の反核運動は黙っているのか?

 ニューヨーク・タイムズ紙が9月5日、同盟国の懸念などのため「オバマ、核兵器の先制不使用の宣言しない見込み」と報じました。日本の報道では触れられていませんが、記事は、ケリー国務長官が「米国の核の傘のいかなる縮小も日本を不安にさせ、独自核武装に向かわせるかもしれないと主張した」と述べています。先には核を使わないという宣言に反対する長年の日本の方針が「核のない世界」に向けた一歩を阻んでしまおうとしているのです。この方針を変えさせることこそ日本の反核運動の最重要課題の一つであり、世界に対する責任です。
 ウォールストリート・ジャーナル紙(8月12日)は、7月に開かれた国家安全保障会議(NSC)の会合について報じた記事で次のように述べていました。カーター国防長官は、「先制不使用宣言は米国の抑止力について同盟国の間に不安をもたらす可能性があり、それらの国々の中には、それに対応して、独自の核武装を追求するところも出てくる可能性があるとして、先制不使用宣言に反対したという」。また、シュレシンジャー元国防長官は、2009年の米国議会での証言で、「米国の核の傘の下にある30ほどの国のなかで独自核武装に走る可能性の最も高いのは日本であり、日本との協力が重要だ」と警告しています。日本は結果的に核武装の脅しを武器に核軍縮に抵抗しているのです。

核兵器禁止条約か先制不使用か
 国連核軍縮作業部会(OEWG)は、8月19日、核兵器禁止条約の交渉を2017年から始めるよう勧告する報告書を賛成68、反対22、棄権13で採択しました。米国ではほとんど報道されていないこの作業部会についての日本での関心は高く、日本が棄権したことが大きな話題となりました。しかし、先制不使用反対の方針が変わらない限り、日本が核兵器禁止条約制定に向けて積極的役割を果たそうとするわけがないことは自明です。日本が北東アジア非核地帯設立のために行動することもあり得ません。非核地帯条約では、域内の国に核攻撃をかけないことを核保有国が約束することが求められますが、北朝鮮が核を放棄しても他の兵器を持っている限り、北朝鮮に核攻撃をかけないと米国が約束するのは困るというのが日本の立場だからです。
 先制不使用という言葉は、核攻撃に対する報復のための核使用の容認を含むから良くないというような議論もありますが、ことの本質は容認するかしないかというところにはありません。いくらなんでも、核を先に使うことはしないという程度のことを米国が宣言するのに日本が反対するのは情けないことです。そんな方針が日本政府にあるのなら、究極的核廃絶だ、ステップ・バイ・ステップ(段階的核削減アプローチ)だというような表現を使ってごまかしてみても、決して核廃絶に向けた積極的役割を日本政府が果たそうとするわけがありません。段階的アプローチが悪いというよりも、このアプローチを唱えながら小さなステップにさえ抵抗する日本の姿勢が問題なのです。段階的アプローチでは埒があかないから近道は核兵器禁止条約だと言ってみても、先制不使用政策にさえ抵抗する日本が禁止条約交渉推進に本気で賛成するはずがないです。

先制不使用と一触即発のミサイル発射態勢の解除
 先制不使用政策とセットで提案されることが多いのが「警戒態勢」の解除です。米ロの大陸間弾道弾は30分ほどで相手国に到着します。核ミサイルをすべて破壊する目的で敵の攻撃が仕掛けられた場合、敵ミサイルの到着前に自国のミサイルを発射できなければ破壊されて報復できなくなります。そのため、発射決定から数分で発射できる「警戒態勢」が取られています。これは数分で核攻撃を先に開始できることも意味します。互いが疑心暗鬼に陥って、監視衛星などから来る誤情報のため報復のつもりで核戦争を始めてしまう可能性が危惧されています。米国が一方的に核兵器の唯一の目的は敵の核使用の抑止だと宣言して先制不使用政策を採用し、これに基づいて一触即発の陸上配備の核ミサイル(ICBM)の発射態勢も解除すれば、監視衛星の技術的問題を抱えるロシアにも安心感を与え、偶発的核戦争の可能性を減らせます。さらに400発余りのICBMの撤去にまで進めば大幅核削減もできます。このような論理に従い、「憂慮する科学者同盟(UCS)」などの米国の平和団体は警戒態勢解除キャンペーンを展開しています。しかし、上述のニューヨーク・タイムズ紙の記事は、この警戒態勢解除案も採用されないことが決まったと報じています。

岸田外相は平和公園でケリー長官に何を囁いたのか
 日本は米国の立場を代弁するのを止めて被爆者の思いに沿って唯一の被爆国として核兵器禁止条約推進のリーダーシップを取るべきだというようなことがよく言われます。しかし、実際は、日本は米国の立場を代弁しているのではなく、米国政権内の核軍縮抵抗派と結託して、良識派の核軍縮の動きを阻止する役割を果たしているのです。そして、日本の懸念を無視すると日本が核武装をするかもしれないという議論が、米政権内における先制不使用政策採用反対の有力な論拠となっています。
 昨年の国連決議案において世界の指導者らに被爆地訪問を日本が訴えた際、あるいは、今年、ケリー国務長官の広島平和記念公園訪問に広島選出の岸田文雄外務大臣が同行し、オバマ大統領に安倍首相が同行した際、日本政府が主張したかったのは先制不使用宣言反対の立場だったのでしょうか。広島、長崎、そして、全国から問いただしましょう。「総理、先制不使用なら核武装ですか?」「岸田外務大臣、平和公園でケリー国務長官に何を伝えたのですか?今何を伝えたいですか?」
(田窪雅文:「核情報」主宰)

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核の傘を示すためにB1爆撃機展開?
環境に支配される記者の思考

 9月9日に北朝鮮が5度目の核実験を行ったことに対する措置として同13日に米国のB1爆撃機2機がグアムから韓国に飛び低空飛行して見せたことに関し、核搭載能力を持つ爆撃機の飛行は核の傘を示すものだとの報道がありました。しかし、同機の核搭載能力は2011年に物理的に無効化されています。米国科学者連合(FAS)の核問題専門家ハンス・クリステンセンは、この爆撃機のグアムへの配備と韓国での飛行は核の役割を減らすという米国の方針を反映したものだと見ます。以下、同氏のブログ記事「再保証と抑止のための非核爆撃機(」9月13日)の分析を手がかりにこの問題について考えてみましょう。

新START条約の下での一部戦略爆撃機の非核化
 米国の戦略爆撃機には、B1、B2とB52の3種類があります。米国は、ロシアと2010年に結んだ新「戦略兵器削減(START)」条約に従って、配備戦略核爆撃機の数を2018年までに60機以下にしなければなりません。米国空軍のサイト(2015年12月16日)によると、B1を「通常兵器用のみとするための転換作業が元々のSTART条約の下で2007年11月に開始」され、「新START条約の下で2011年3月に完了」しています。空中発射核巡航ミサイル(ALCM)の取り付けを溶接によって不能にする、爆弾倉の核兵器用投下準備シグナル発信ケーブルを外す、という2段階の措置によって、核搭載能力を物理的に無効にしたとのことです。B52の方は、一部の非核化作業が続いています。
 米空軍は、今年8月6日、B1爆撃機数機が約10年ぶりにグアムに配備されたと発表しました。この地域に「爆撃機の持続的なプレゼンス(存在)を保つ」(CBP)という太平洋軍の方針のために、核兵器搭載可能なB52がグアムにローテーション配備されてきていましたが、通常兵器のみ搭載可能なB1がこれに交代したということです。B1は、新型の長距離通常弾頭巡航ステルス・ミサイル(JASSM)を24基搭載する能力を与えられ、4月にその確認のための初めての長距離爆撃訓練を行ったばかりです。
 クリステンセンは、韓国での飛行は「2機の非核B1爆撃機と最近非核化された1機のB52爆撃機をヨーロッパにアンプル・ストライク演習のために送ったのと時を同じくしている」ことを重視して次のように述べています。
 「もちろん、核爆撃機はアジアとヨーロッパの両方に展開され続けるし、米国の戦略爆撃機は何年にもわたって通常兵器を運ぶ能力を持って来た。しかし、非核限定の戦略爆撃機を拡大抑止の任務支援に使うということは核兵器の役割を減らすという米国の軍事戦略の新しい段階を示すものである」。
 1月6日に北朝鮮が4度目の核実験を行った際には、同10日、グアムから核兵器搭載可能のB52が韓国に向かい、低空飛行しました。この時は、B1のJASSM搭載能力付加計画は完了していませんでした。4月の訓練を経て、今回B1を韓国に飛ばすことに決めたのは、「核兵器の役割を削減する政策の一環であり、アジアの同盟国(及び敵国)に拡大抑止は、核兵器に関するものだけではなく──実は主として──通常戦力も含むことを想起させるためでもある」とクリステンセンは言います(私信)。

韓国の報道環境の影響を受けた読売・朝日両紙?
 B1の飛行と核兵器の役割削減方針との関係をどう解釈するかは別として、対立することの多い読売・朝日の両紙が仲良く、B1を核兵器搭載可能と報じてしまいました。読売新聞は、「B1爆撃機展開、空母を演習に...米が北をけん制」(9月12日)で、「B1戦略爆撃機は航続距離が長く、核爆弾や巡航ミサイルなど大量の武器を搭載可能」とし、朝日新聞は「米戦略爆撃機B1B、韓国に派遣『核の傘』を誇示」(9月13日)で「米太平洋軍は13日・・・核兵器も搭載できる戦略爆撃機B1Bを韓国に派遣した。米国の『核の傘』を見せつけて北朝鮮を牽制(けんせい)すると同時に、韓国の一部で広がる『核武装論』を抑え込む狙いがあるとみられる」との分析を示しました。
 ソウル発のこれらの記事は、次のような韓国での論調の影響を受けたのかもしれません。朝鮮日報「『核の傘』米B1B超音速戦略爆撃機、天候不良で開かず」(9月13日)は「戦略爆撃機の三銃士ことB1、B2、B52は、韓半島有事の際には真っ先に出動して北朝鮮の指揮所や中心施設を精密攻撃できる、最も重要な『核の傘』の戦略部隊だ」、中央日報「米国戦略爆撃機B-1B、韓半島へ出撃」(9月13日)は、「核爆弾24発(W-83)を積載できるB-1B超音速戦略爆撃機はB-52・B-2とともに米国の3大戦略爆撃機だ」、東亜日報「米国の『核の傘』戦略爆撃機、韓半島出撃準備」(9月12日)は、「韓国に対する『核の傘』など米国の拡大抑止を再確認する契機」といった具合です。
 きっかけとなった北朝鮮の核実験自体を報じた日本の各紙は、安倍首相の「断じて容認できない」との発言や、被爆者の「怒り」「憤り」について伝えました。その直前に、米紙がオバマ政権は日本の反対などのため核を先には使わないとの先制不使用を宣言しない見込みと報じた事実はなかったかのような論調です。「北朝鮮が日本に向けてミサイルを飛ばしているのに、核の抑止力を弱めてどうするのか」、宣言は「通常兵器で攻撃する限り核攻撃を受けないという誤ったメッセージとなり、安全保障上の危機が増す」というのが反対の理由です(朝日新聞:8月19日)。圧倒的に強大な通常兵力を誇る米国と同盟関係にありながら、北朝鮮の核以外の攻撃を抑止するために核報復の威嚇が必要だというのでは、北朝鮮が核兵器に頼るのを批判できないのではないかという発想は、日本の環境の中から出てくる記事には期待しがたいということでしょうか。その環境を変える責任を日本の反核運動は担っているということになります。
(田窪雅文)

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《投稿コーナー》
住宅支援打ち切り迫る福島からの避難者
避難の協同センター 事務局長 瀬戸 大作

避難当事者と支援者が「協同する」意義
 昨年5月、政府は「自主避難者の住宅支援を2017年3月末で終了する」ことを閣議決定、本年5月より避難当事者に「2017年3月末をもって現在供与している、応急みなし仮設住宅を退去する」ことを郵送文書で通告し、福島県、東京都等の担当者が避難者に戸別訪問をおこなった。5月16日から、避難者面談が開催されたが、避難者一人ひとりに、今住んでいるところから退去するよう命じるというひどい対応だった。これがきっかけで、精神的に参ってしまって40日間の入院を余儀なくされた避難者が出た。
 これに伴って、避難者の孤立や経済的な困窮が起きていることから、避難当事者と支援者が中心となって、7月12日、避難先での生活支援や情報共有、相談、そして自治体への支援の継続要望などを行う「避難の協同センター」を設立した。「支援センター」でなく「協同センター」とした。避難当事者と支援者が「協同する」ことを大切な価値に掲げ、生活困窮者やシングルマザー支援団体、法律家、自治体議員、保養事業を行う市民グループなどの代表が共に運営を担う。避難者がおかれている状況を打開するため、センターは主に相談支援と生活支援、住宅支援継続のための政策提言活動を展開する。特に重要なのは、避難者同士の情報共有や交流による支え合いの場づくりだ。9月中旬から毎土曜日に都内各地で「交流会」を開催する。そして、国や自治体に対する具体的な支援策の要望をしていくことにしている。


避難の協同センターシンボルマーク
「避難する権利」と住み続けることの厳しさ
 この間、開催してきた「避難者相談会」では、参加者一人ひとりが、来年4月に住宅支援打ち切りが迫るなかでの、現状の暮らしのこと、今後の不安を聞いた。深刻さを増している事は、「避難生活を継続する事は、貧困との闘い」になることだ。自主避難者の支援は住宅支援のみ(自力避難者は支援すらない)で、たとえば東京都の場合、都営住宅に当選しても、1回退去して再契約して再入居になる。敷金・礼金、引っ越し費用や修繕費がかかる。民間賃貸住宅家賃支援枠に入っても、家賃は先払い、補助申請から認定まで時間がかかり、来春からは家賃の6か月分の手持ち資金がないと対応できないことになる。現在でも多くの方が「貯金を切り崩して生活している」状態で、これでは貯えがない避難者は「住む家の展望」を失ってしまう。
 南相馬市は20ミリシーベルトによる避難区域解除がされている。しかし帰っても、「仕事がない」「病を持つ家族に対応できる病院がない」「原発事故後5年以上が経過し、年をとり現在の年齢で新たな生活を設計し直す気力が続かない」「住み続ける為に住宅支援が打ち切られても家族が多く家賃が10万円を超えて支払い能力がない」「家の近くには除染作業員ばかりがいて街の風景が変わり怖くなった。故郷に帰りたいが帰れない」との声が聞かれる。
 この国は、自主避難者一人ひとりに「何を急がせているのか、やっと慣れて馴染んだ避難先での暮らし、もっともっとゆっくりできないのか」と思う。原発事故避難で冷えた身体を、少しずつ少しずつ温めてきたのに、温めきれないうちに帰還を迫るのか。また身体を冷やしてしまうのか、酷すぎる。収入要件だとか、「支援される人と支援されない人」が紙切れで表現される基準で分けられる。それぞれの暮らしや避難生活の背景、時期で分けられている事が困難に拍車をかけていると思う。
 被ばくを避け家族を守るために避難を選択した方に、原発事故子ども被災者支援法に基づく「避難の権利」と「均一の支援」が必要だと実感する。本来、住宅支援を受けられるはずが、支援を受けられず「自力避難」を強いられている方への住宅支援の権利を獲得する事も忘れてはいけない。

避難者の問題は私たちの問題だ
 避難の協同センターでは、9月末に開会される臨時国会や東京都議会(各県議会)で、避難者の住宅支援問題を論議の焦点のひとつにしていく為に、議会対策を本格化している。避難されている方の話をできるだけ多く聞き「避難者の現状と声を伝え反映する事が基本」だ。避難を継続希望する方全員の「再契約でなく、住み続ける権利の保障」を訴え、本来、住宅支援を受けられるはずで支援を受けられず「自力避難」を強いられている方への住宅支援の権利を獲得する事が大切だ。
 さらに、「住宅支援」に留まらない「生活支援」も必要だ。現在でも多くの避難者が、貯金を切り崩し、貧困と隣り合わせの生活を強いられている。「就学援助」「母子加算手当」「就労支援」「孤立防止」「医療支援」「コミュニティ支援」などが求められている。「避難者の問題は私たちの問題であり、私の地域の問題」だ。ここに避難の協同センターの真価が問われる。『協同』で一緒に解決していこう!
(せとだいさく)

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各地の1000人委員会の活動から
地方議会と連携した運動を展開
秋田・戦争をさせない1000人委員会 佐藤 信哉


県庁前座り込み集会(2015年7月)
 各地のみなさんと同様、秋田でも全エネルギーを投入して戦争法の成立阻止を闘ってきました。秋田的な特徴は社民党県議団と緊密な連携をとって世論喚起に努めたことでしょうか。
 衆議院での戦争法可決前は「集団的自衛権容認の閣議決定の撤回」、以後は「参議院での強行採決反対・60日ルールの適用反対」等、情勢の推移をみながら、県議会の節々で「秋田・戦争をさせない1000人委員会」として請願を掲出し、採択を追求しました。そして、連携する社民党議員団は各会派に呼びかけ、賛同を得ることで野党会派共闘の構図が定着しました。
 請願採決の日のたびに、議員への激励と県民へのアピールを兼ねて、県庁前座り込み集会を行いました。これをメディアに取り上げてもらいながら、最大会派の自民党を揺さぶりました。また、全議員に1000人委員会の名で公開質問状を発出し、議員個人の良識を引き出す取り組みも行ないました。ただし、自民党内の縛りは相当に厳しく、法案に疑念を抱く議員も造反には至りませんでした。
 その結果、いくつかの市町村議会で私たちの陳情は採択されたものの、本命の県議会請願は不採択続きとなりました。それでも、私たちのこうした行動は、全国的な共闘機運の高まりもあって、地方議会での非自民会派の結束と信頼関係の醸成、各運動団体の大同団結づくりに大いに貢献したと自負しています。
 そんな中で、保守系の衝撃的な巻き返しも体験しました。法案賛成勢力が6月県議会に、法案成立促進の請願提出に打って出たのです。これには驚きました。提出者はある秋田市民で自民党議員2名が紹介者に名を連ねました。最終的には数の力で押し切られ、県民の意思とは正反対の請願が県議会の名で採択されてしまいました。仕掛けたのは日本会議と見てまちがいありません。
 いま、日本会議関係の書籍が立て続けに出版され、安倍政権暴走の隠れたエンジンが彼らであることが明らかとなりつつあります。「アベ政治を許さない!」「日本会議の危険な戦前回帰運動も許さない!」─こんなスローガンをかかげ、秋田の地でも護憲・反戦平和運動の強化拡大に邁進します。
(さとうしんや)

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〔本の紹介〕
「希望の島・沖縄─アリは象に挑む II」
由井晶子ほか著 七つ森書館 2016年刊

 由井晶子さん(沖縄在住ジャーナリスト)が雑誌「労働情報」に連載した記事から、辺野古・高江の新基地建設問題を中心に抽出した「沖縄─アリは象に挑む」が出版されたのが2011年6月で、その本の続編として本書が今年8月に出されました。
 連載の途中、由井さんが体調を崩されて、休業を余儀なくされている間、他のジャーナリストや辺野古の現場に立っている市民で「teamokinawa」が編成され、連載「沖縄から」を担って、激動する沖縄の動きを追っています。由井さんの執筆分を中心に、引き継いだライターたちの報告をまとめたものが本書です。
 様々な局面で力を合わせ、専門分野を駆使して、辺野古新基地建設を強行する日本政府に屈しない県民の闘いが描かれています。2014年11月に公約を破った仲井眞弘多前知事に「NO!」を突き付け、翁長雄志新知事を誕生させた章では、文字のひとつひとつが喜びで踊っているようです。
 この粘り強い闘いを支援するために、辺野古の海に、キャンプシュワブゲート前に、全国から、海外から、人々が集まっています。県外では、一握りの土砂も辺野古には送らないという土砂搬出反対全国協議会も生まれています。8月31日には、世界170ヵ国以上の政府、政府機関、NGOで構成されている国際自然保護連合(IUCN)が日米両政府に対し、辺野古を含む沖縄本島の外来種侵入防止対策の強化を求める決議が、賛成539、反対26の圧倒的多数で可決され(日米両政府は棄権)、「埋め立てても環境への影響は軽微」と主張する日本政府の非科学性が否定されました。自然を破壊し、戦争のための基地建設を許さないとはっきり民意を示し、これまでにない新しい手法で権力との闘いが続いています。
 本書の編集中、元海兵隊員が20歳の女性を殺害するという、あまりにも悲惨な事件が起きました。追悼・抗議の県民大会には65,000人が参加し、呼応して全国41都道府県、69ヵ所で集会が行われ、当事者として事件に向きあおうという意思が示されました。
 圧倒的な国の暴力に対して、非暴力で島ぐるみで闘う沖縄の姿が鮮明に描かれています。是非「今」読んでいただきたい一冊です。
(市原まち子)

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核のキーワード図鑑


人間(文明)はどこから来て、どこへ行くのか

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TPP協定を今国会で批准しないことを求める緊急署名にご協力を

 安倍内閣は、「TPP断固反対」とした自らの公約にも国会決議にも反して、私たちの命や食、暮らし、地域を脅かすだけでなく、参加各国の人権も主権も踏みにじる恐れの強いTPP(環太平洋経済連携協定)の批准および関連法案を、臨時国会で強行しようとしています。
 しかし、政府の、「情報開示と国民的な議論」を求めた国会決議に反した秘密主義は、民主主義にも反します。アメリカをはじめ、参加各国の承認手続きが不透明さを増すなか、批准を急ぐ理由はありません。交渉経過を含めて情報をしっかり開示して、文字通り国会を含めた国民的議論に付すべきです。また、国会議員は自らの責任で行った国会決議を守るため、全力を挙げるべきです。
 内容の上でも、民主主義的な手続きの上でも大きな問題を抱えているTPP協定は、今国会で批准しないことを強く求めて、緊急署名運動を行っています。ご協力をお願いします。請願事項TPP協定を今国会で批准しないこと。

署名用紙は以下からダウンロード出来ます。
http://nothankstpp.jimdo.com/
署名期間 10月末まで(11月初めに国会に提出予定)
署名集約先 平和フォーラム事務局

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