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ニュースペーパー2017年6月

2017年6月 1日

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施行70年 いいね!日本国憲法―平和といのちと人権を!5.3憲法集会
 憲法施行から70年となる5月3日、「施行70年いいね!日本国憲法―平和といのちと人権を!5.3憲法集会」が東京都江東区の有明防災公園で開かれ、5万5000人が参加しました。安倍晋三首相の2020年の改憲発言に対し、「憲法改悪反対!」「9条守ろう!」「共謀罪法案は廃案に!」などと声を上げ、集会後2コースに分かれてパレードを行いました。
 集会は、正午から、ユキヒロさん、佐々木祐滋さんによるプレコンサートで始まり、1時からの本集会ではファッション評論家のピーコさん、映画監督の山田火砂子さん、作家の落合恵子さん、弁護士の伊藤真さんら7人が次々に発言し、平和の尊さや憲法の危機を訴え、ともにたたかうことを呼びかけました。
 また、各政党の代表として、民進党の蓮舫代表、社民党の吉田忠智党首、共産党の志位和夫委員長、自由党の森ゆう子参議院議員、沖縄の風の伊波洋一参議院議員が連帯の挨拶を行いました。
 さらに、韓国から「朴槿恵退陣緊急国民行動」の李泰鎬(イ・テホ)さん、沖縄から「基地の県内移設に反対する県民会議」の山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)らも駆けつけ、力強い連帯のアピールを行いました。(写真(上)撮影:今井明さん)

インタビュー・シリーズ:121
あらゆる可能性を捨てない。いつも希望を持って進もう
沖縄平和運動センター 議長 山城博治さんに聞く


やましろ ひろじさん プロフィール
 1952年、具志川市(現うるま市)の農家に生まれる。高校時代から米兵がおこす事件や事故に抗議して活動。法政大卒業後、82年沖縄県庁に入庁(2008年退庁)。自治労で労働運動や反戦平和運動に携わり、2013年から沖縄平和運動センター議長を務める。辺野古や高江の米軍基地建設に抗議活動中、2016年10月に不当逮捕され、152日間勾留された。

─今回の勾留について、誰もが心配しているのは体調のことです。勾留中につらかったことなどをお聞かせください。
 時限爆弾のように病気を抱えています。疲労とストレスが大きな原因になって免疫低下を引き起こし、病気が再発すると言われているので気にはしていました。名護警察署では主治医がいる病院での受診が可能でしたが、那覇拘置所では所内に医者がいるという理由で許可されませんでした。それで腕立て伏せや腹筋、足踏みなどをして、できるだけ身体を動かすようにして、健康維持に努めていました。名護警察署の拘置所はどこを見ても鉄格子、窓は目隠しが張られていて空も見えない。そんな中で、身が押し潰されるような圧迫感を感じました。気持ちがふさいでくると、蛍光灯がジージーというような、普段は気にならない音が聞こえてくるようになって、ティッシュを詰めて耳栓にしましたが、今度は幻聴みたいに、頭の中で響くようになりました。そんな雑念とか不安感が襲うようになったら、身体を動かして汗をかいて、幻聴を消すようにしていました。それから、警察も拘置所も時計を置いていないので、時間がわからないのが困りました。寝付けないときや、夜中に目が覚めてしまったときに、起床まであとどのくらいあるかを確認したくても、時間がわからない。時計を置かないということは、人間の心理を狂わせて、感性、感覚を麻痺させると思いました。

―外からの激励行動の声は聞こえましたか?
 聞こえました。接見が禁止されていて、誰の声も聞くことができないので、外から声が聞こえると、「ああ、来てくれてる!」と思えてうれしかったです。外界からまったく遮断された部屋に入れられて、暗い気持ちになったりもしましたので、聞こえてくる激励の声には本当に励まされました。また、たくさんの人たちから激励のメッセージも届きました。接見禁止のため、警察署でも拘置所でも手許に届けてくれず、釈放のときに初めて渡されました。本当にひどい。差し入れられた葉書の束は10センチほどもあって、感動で胸がいっぱいになりました。海外の学者、文化人の抗議声明とか、人権団体アムネスティの情報発信もあって、ほんとうにうれしかったです。

―今後の裁判闘争の進め方をお聞かせください。
 具体的な内容については公判で話すことになりますが、かけられた容疑についてしっかりと反論していきたいと思っています。私たちが引き起こしたとされている事件が、どう考えてもそんなに重大で、ここまで長期勾留されるような犯罪ではないと思っています。威力業務妨害というのは、威力を用いて妨害することです。ブロックを積むことが威力かどうかは、争う余地があります。私たちが威力と言われるような暴力行為をしていないから、彼らも積まれては戻し、積まれては戻しを10日間も繰り返したのではないでしょうか。これが威力妨害だったらその場で逮捕できるのに、彼らはそれをやらなかった。
 そして、公務執行妨害も、あれは公務とは言えません。高江には最大で1000人近くもの機動隊が派遣されました。その恐ろしい数が私たちに襲いかかり、引きずり回して、暴力行為に及んだ。公務というのはその内容に正当性があって、初めて公務になると思います。抗議し、抵抗する県民を力づくで排除した7月22日の沖縄防衛局や機動隊の暴力、あれを公務と言えるのか、あれで私たちを公務執行妨害で逮捕するのかと問いたいです。防衛局がやっていることはすべて公務で、それを妨害したら、すべて公務執行妨害だという理屈を立てたいのでしょうが、話にならないです。
 高江で座り込みをした道路は県道だから、防衛局には私たちに出て行けという権限はありません。にもかかわらず、防衛局の職員が県道にやってきて、力で市民を排除しました。このことについては、しっかり争おうと思っています。高江ヘリパッド建設問題では、県民があれほど反対をしているのに、市民を暴力で排除し、4万本もの木を切り倒し、かけがえのない自然を壊して、建設工事を進めました。政府のこの蛮行は法律上の当否と併せて、道義的、社会的立場が厳しく問われる問題だと思っています。

―今回の逮捕勾留は共謀罪の先取りと言われています。
 逮捕されたときは共謀なんていう話は何もなかったのに、取り調べの途中から、なんで共謀、共謀って言うのかなと疑問がわきました。私たちの罪状にも「共謀だ」「共犯だ」と絡めて、なにかくさいなと思いました。共謀罪のことを新聞で読んで、この悪辣な法律を作るために、私たちへの容疑を共謀ということで先取りしようとしているんだなと思いました。
 共謀罪では、実行犯を主体とする現行刑法体系よりずっとルーズな捜査で、立証立件できるということになります。山城のアジ演説に拍手を送ったら共謀、うなずいたり目配せでも共謀、みんな共謀にされてしまう。辺野古でも100人、200人があっという間に逮捕されてしまいます。構成要件が明確ではないから、警察のサジ加減ひとつで罪が決まってしまう。これは本当に恐ろしい法律だと思います。明らかにこれから激しくなるであろう、県民の基地建設や反戦運動を取り締まることにつながっていくと思います。


県民大会であいさつする山城議長
(5月14日・名護市辺野古)
―沖縄の仲間にメッセージはありますか。
 いちばん大事なのは現場だと思っています。現場で座り込みをして、揺るがない決意を示し続けること。そして、打つ手が裁判で覆されても、あきらめずに次の手を打っていくということをやり続ける。稲嶺進・名護市長や翁長雄志・沖縄県知事を支えるためにも、現場が勇気を持って、常に数百人の体制で、ゆるがない運動の構えをつくるということが、なにより大事だろうと思います。
 もちろん、大衆の力で現場でがんばって工事を止めるけれど、権力の巨大な力を止めきることは難しいのです。この権力の暴力を最終的に止められるのは政治の力です。たとえば護岸工事が始まって、県民は絶望的になる。しかし、護岸工事を始めても、政府は美謝川の水路変更の申請をしなければなりません。でも、稲嶺市長は絶対に許可しない。稲嶺市長がいる限りはできないんです。大浦湾は地盤が軟弱で、大がかりな計画変更が必要になっているようです。知事に計画変更を申請しなければなりませんが、翁長知事は当然これを認めない。この二人がいる限りは、絶対に国の思いどおりにはならないんです。
 いま政府がやろうとしていることは、埋め立てが始まったからもうだめだと、県民の心を折ることです。そして、最終的には名護の市長や、県知事選挙で翁長知事を変える。そこで初めて膨大な変更申請をして、県からお墨付きを得て、工事が可能になるんです。今のままでは、完結するような工事はできないのです。翁長知事、稲嶺市長が重要な権限を持っていることは事実です。仲井真(弘多前知事)みたいなやつが出てきて、なんでもハイハイどうぞとなったら、それこそおしまいです。
 翁長知事に埋立承認の撤回を求める声が強くなっていますが、知事はなかなか撤回しない。撤回しても、国から訴えられて、また最高裁で違法だと判断されて、撤回が撤回される可能性が高いからでしょう。だったら翁長さんが少し時間をかけて、裁判でも勝てるような材料を用意したいというのなら、待つしかない。私たちは現場でできることを考える。そして県政に頼むことをちゃんと峻別して、お互いを認め合う。焦らずに我々の運動体ができることをやる、それが大切だと思っています。
 工事は10年も20年もかかるわけですから、そうしているうちに国の政治も変わってくるはずだし、いくらなんでも安倍晋三のような、沖縄県民を圧殺して基地建設を進めるという政治ばかりではないでしょう。もう少しは沖縄に本当に寄り添うという中身が伴う政治があるかもしれない。あらゆる可能性を捨てない。絶望しない。いつも希望を持って進もうと思っています。私は小さなことまで大喜びすると、まわりの人に笑われますが、小さかろうが、大きかろうが、成果は成果だ。それを良としないで、どうやって自分を支えて、みんなを鼓舞することができるのかと思います。

―平和フォーラムは全国からの参加のもと、継続して辺野古基地反対を闘い、全国の運動にしていこうと考えています。また、名護に事務所を開設して、沖縄を孤立させない動きを作っていこうとしています。全国の仲間にメッセージをお願いします。
 辺野古では、水曜日と木曜日に集中行動をしていますが、次は土曜行動をやって、県内の労働者団体にも参加してもらおうと思っています。ここに全国の仲間たちにも来てもらいたい。週6日の工事を3日止めれば、工事が10年から20年に延びます。そうしたら、実質的には計画は破たんしたんだという認識が生まれます。全国各地で沖縄を孤立させない、見捨てないという、彷彿とした雰囲気を作り出すためにも、引き続きご支援をお願いしたいです。この国の支配層がやっている、人々の命と暮らしを破壊し続けるおぞましい政治に対する抗議、抵抗、レジスタンス。私たちはこれを普遍化し、共有化すべきです。ともにがんばりましょう。(このインタビューは4月17日に那覇市内の法律事務所で行いました)

インタビューを終えて
 拘置所では歯の治療はしないので、痛む歯は全部抜かれてしまうそうです。そのためまず、勾留から解放されてかけ込んだのが行きつけの歯医者さんだったそうです。歯の痛みは大変!歯楽治ることを祈っています。
(勝島一博) 

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東アジア最大の米軍基地に変貌する岩国の現状
山口県平和運動フォーラム 事務局長 桝本 康仁

 現在の米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)は、2006年の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した在日米軍再編の中で確認された、2014年までに厚木基地(神奈川県)の空母艦載機の移駐を行うとした内容に基づき、様々な機能強化が行われている。
 この背景には、1996年から2010年にかけて行われた基地の沖合移設事業が大きく影響している。国・県が基地の危険性や騒音対策に加え、住宅地の開発構想をちらつかせ、基地の東側海面を埋め立て1000m沖合に滑走路を移設したことにより、夜間離発着訓練も実施可能な基地へと変貌を遂げ、1.4倍に拡張した敷地内には新たに格納庫や地上支援施設・宿舎などが建設され、岸壁は空母も接岸できるようになった。空母艦載機移駐の受け皿として基地整備が行われたことは明白である。
 また、住宅地の開発構想として進められた「愛宕山新住宅市街地建設計画」は、途中で大きく方針転換し、開発跡地は防衛省へ売却され、移転してくる米軍将校たちのための高級住宅用地へと変更された。

オスプレイ訓練でも中継基地として重要な役割
 2012年7月、米軍新型輸送機MV22オスプレイ12機が国内で最初に搬入され、その後、沖縄・普天間基地に強行配備された。搬入日には、反対する地元住民を中心に平和フォーラムや沖縄から駆けつけた方々も含め約500人が、基地対岸で抗議集会を行った。現在、MV22オスプレイの本土での訓練では、岩国基地が中継基地として重要な役割を果たしている。また、普天間基地に所属していた「空飛ぶガソリンスタンド」と呼ばれるKC130空中給油機15機が、2014年8月に移駐配備され、鹿児島県の自衛隊鹿屋基地なども使って訓練している。
 本年1月には、元々岩国基地に配備されていたFA18戦闘攻撃機、AV8ハリアー垂直離着陸機との機種変更として、米海兵隊のF35B最新鋭ステルス戦闘機16機の配備が始まり、第一陣として10機の配備が完了、残る6機は8月に配備予定となっている。F35Bは垂直離着陸が可能で、レーダーに探知されにくいステルス性能に加え、弾道ミサイルの発射を探知できる高性能レーダーを備えた戦闘機で、海外の米軍基地では初めてとなる前方配備となった。このF35B戦闘機配備に反対し、2016年11月20日に地元住民を中心に県内外から約700人が参加して抗議集会を実施した。
 2月には、現在、厚木艦載機部隊に配備されているE2C早期警戒機を機種変更し、E2D早期警戒機(ホークアイ)と交代させ、岩国市が正式に艦載機移転を容認していないにもかかわらず、配備前訓練と称して5機の先行移転が強行された。
 加えて、7月からは、厚木艦載機部隊の段階的な岩国移転が開始される。この艦載機部隊は、空母ロナルド・レーガンに乗る厚木基地所属の海軍部隊「第5空母航空団」で、FA18スーパーホーネット48機を主力に、電子戦機グラウラー、E2Dホークアイ、C2グレイハウンドなど航空機61機の移駐が予定されている。これが実現すれば、岩国基地は現在の米軍機71機と自衛隊機36機を合わせて168機となり、沖縄の嘉手納基地の約100機をはるかに超える東アジア最大規模の軍事基地に変貌する。合わせて、厚木からの米軍人・軍属・家族の移駐は約3,800人と見込まれており、基地外の愛宕山に262戸の高級将校用住宅の建設が7月末完成をめどに進められている。


F35B配備反対市民集会
(岩国市役所前・2016年11月20日)
岩国を「出撃拠点」にさせないとりくみを
 これまでの岩国基地の役割の一つとして、「アジア・太平洋地域における戦闘や有事活動の際、米軍、同盟軍に支援を提供すること」が位置づけられていた。韓国・釜山まで約300kmの距離で、在日米軍基地の中では朝鮮半島に最も近く、過去にも朝鮮戦争の際には出撃拠点となっている。一連の機能強化により東アジア最大規模の軍事基地へと変貌を遂げる岩国基地は、これまでの役割を踏襲しつつ、海兵航空団と海軍の空母打撃群という米国の『殴り込み部隊』が融合する「出撃拠点」の位置づけをより明確に示している。緊迫する朝鮮半島から南シナ海にかけての東アジアのさまざまな事態に対して、具体的な介入が行える要衝の基地となりつつある。
 3月に北朝鮮が4発のミサイルの同時打ち上げに成功した際、北朝鮮の国営放送は「打ち上げは、在日米軍基地を攻撃する訓練だ」と表明した。基地を抱える岩国市民は、ミサイルの標的となる不安を現実のものと受け止め、大きな不安を感じている。また、戦闘機の爆音被害や事故の危険性も今まで以上に強まり、今後は中国地方だけではなく、四国・九州・近畿などに被害を及ぼすことも想定される。
 過去には、空母艦載機移転の賛否を問う住民投票により、市民は移転反対の意思を示したが、再度、移転反対の大きな声を上げなければならない。基地機能強化に反対する地元4団体と「総がかり行動やまぐち」による具体的な抗議行動を検討中である。
(ますもとやすひと)

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「朝鮮半島問題」─いまこそ対話による解決を!

過剰な「危機」報道 なぜ北朝鮮は核開発を進めるのか
 4月、日本のマスコミでは連日「朝鮮半島危機」を報じました。同月15日の「太陽節」(故金日成主席の誕生日)や25日の朝鮮人民軍創設記念日など、北朝鮮が国家的イベントに合わせて核実験を行った場合、米国が先制攻撃を加えるのではないかという憶測がなされたためです。実際にトランプ米政権はシリアやアフガニスタンへの攻撃を行っており、原子力空母「カール・ヴィンソン」も8日にシンガポールを離れ15日までに朝鮮半島に向かうと発表されました。
 しかし実際はどうだったでしょうか。核実験は行われず、4月危機説は杞憂に終わりました。逆に危機を煽りながらその裏で戦争の準備を進めていたのは日本です。いまにも朝鮮半島で戦争が起こるかのような報道の中、政府は在韓邦人の待避方法について検討したり、4月29日の北朝鮮のミサイル発射(失敗)の際には東京メトロの電車が止められるなど、いたずらに危機が煽られました。これは安倍政権の支持率回復や「敵基地攻撃能力」保有に関する議論を進めることが真の狙いであったと思われます。
 また、海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と「あしがら」は4月23日に「カール・ヴィンソン」と共同訓練を行い、さらに5月1日には戦闘艦「いずも」が「カール・ヴィンソン」に物品を補給する補給艦の護衛を行いました。このように朝鮮半島情勢を利用して既成事実を積み重ねようとする動きこそが、戦争の危険性を高めているのです。
 そもそも北朝鮮はなぜミサイル発射や核実験を続けるのでしょうか。日本のマスコミはその理由を金正恩・朝鮮労働党委員長の好戦性と北朝鮮の独裁体制に求めようとしていますが、一方で日米韓の軍事的圧力についてはほとんど報道されません。3月から4月にかけて行われた米韓合同軍事演習にはこれまでで最多の兵力が参加し、その中には有事の際に金委員長など北朝鮮の高官を誘拐・殺害するための特殊部隊まで含まれていました。前述の日本の動きと合わせて、北朝鮮は常に世界有数の軍事的脅威にさらされており、これが北朝鮮の態度を硬直化させる最大の原因です。
 米朝間のチキンレースは90年代からずっと続いてきましたし、そのたびに対話による解決に向けた動きが見られました。むしろ米国がこうしたチャンスを台無しにしたケースの方が多いように見られます。その間に北朝鮮は核とミサイルの技術を向上させ、朝鮮半島情勢はより危険の度合いを高めてしまったのです。


東アジア地域における国際連帯を 東京で国際シンポ
 朝鮮半島の非核化、そして東アジアにおける平和体制の構築のために残された選択肢は対話による解決しかなく、米国のトランプ政権もこのことについては理解しているようです。トランプ政権は対北朝鮮政策に関連してこの間「すべてのオプションがテーブル上にある」としてきましたが、これは先制攻撃のみをほのめかすものではありません。4月26日に国務・国防・情報の三省の長官が合同声明の形式で対北朝鮮政策について発表し、そのなかで「平和的方法による朝鮮半島の非核化」について言及しました。このように米国は、当面、自国や同盟国のみならず中国にも制裁を加えるよう圧力をかける一方で、金体制の転覆を選択肢から外したうえで、非核化に向けた対話を模索していくと見られます。
 しかし韓国国内への「高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)」配備を強行したことや、同盟国との軍事演習を中止しないなど、米国は並行して軍事的圧迫も加え続けるでしょう。また安倍政権も朝鮮半島危機説を煽りながら、戦争のできる国づくりを進めています。こうした状況だからこそ、対話による解決を求める声を高めていかなければなりません。
 平和フォーラムはこの数年間、主に韓国の平和運動団体「戦争反対平和実現国民行動」との交流を行いながら、東アジアの平和実現に向けて意見交換を行ってきました。韓国では5月9日に大統領選挙が行われ、南北対話を掲げる文在寅大統領が勝利しました。こうした追い風ムードの中、平和フォーラムも参加する「東アジア市民連帯」は6月11日、東京・千代田区で国際シンポジウムを開催します。このシンポジウムには、日本・南北朝鮮・中国・ロシア・カナダから専門家を招き、朝鮮半島の非核化と東アジアの平和体制構築のためには、何が必要なのかについて討論します(左ポスター・詳細は12面)。
 いま東アジア地域における国際連帯の力が試されています。この間培ってきた各国の平和運動との連携をさらに強化し、この危機を打開していきましょう。
(朴承夏)

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15年ぶりの水道法改正
「コンセッション方式」は完全民営化への最終プロセス
全日本水道労働組合 書記次長 辻谷 貴文

 政府は3月7日、「水道法の一部改正法案」を閣議決定し、通常国会に提出しました。15年ぶりとなる今回の法改正の「理由」は、人口減少に伴う水需要の減少や、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等、直面する課題に対応し、法の目的を「水道の基盤の強化」とし、(1)関係者の責務、(2)広域連携、(3)資産管理、(4)官民連携、(5)給水装置事業者制度の改善など、5点にわたる改正が提起されています。

公営水道の概念を覆しかねない危険性
 こうした厳しい事業環境や提起されている課題は共有できるものですが、問題は「官民連携の推進」で、水道施設の運営権を民間事業者に設定できる方式(いわゆる「コンセッション方式」)を導入可能とする「仕組み」が明記されていることにあります。
 私たち全水道労組は、この改正案の内容について、「一概に全部を否定するものではない」という立場ですが、現段階における問題意識の提起や共有は積極的に行いたいと考えるところです。
 これまで政府(厚生労働省)は、全水道を含む水道有識者らの意見を集約した「検討会とりまとめ」を受けて、持続可能、事業基盤強化といった観点の法改正作業を進めてきましたが、その一方で安倍内閣による「公営サービスの産業化」という民営化政策を、今回の改正内容に織り交ぜてきたものと言うことができます。
 例えば、安倍首相のブレーンの竹中平蔵・慶応大学名誉教授(産業競争力会議メンバー)は、「コンセッションによるプロジェクトは、成長戦略と資産市場の活性化の双方に大きく貢献する」と発言するなど、公共財の市場化を求め、水道事業の持続ではなく民営化それ自体が目的であるかのような発言をしています。
 改正案には運営権者の許可制や議会承認、モニタリング実施など、相応の条件や規制も設定されてはいますが、アベノミクス・成長戦略による公共サービスの産業化と完全民営化への「最終プロセス」としての機能を内包し、水道法の理念である「清浄にして豊富、低廉」や、地域住民の共有財として運営されてきた日本の公営水道の概念を覆しかねないものと言わざるを得ません。
 また、人材不足や迫る施設の老朽化対応、人口減少に伴う給水収益の減少など、持続性が危ぶまれる水道事業に対する「解決策の一手」としてのコンセッション事業は、将来にわたる持続可能な水道事業への道筋を放棄し、その場しのぎを求める無責任な首長や政治家たちを温存助長しかねません。「民間企業が事業運営を担い、料金を収受する権利を得る」仕組みである運営権の設定は、市民が生きるために企業の利益を支払い続けることになります。「運営権」が売買対象・利権とされるような事も予期され、水道事業にとってコンセッションはそもそも「馴染まない」ものです。


川崎市内の水道施設
水は自治の問題─求められる十分な審議
 法改正が実現すれば15年ぶりのルール変更という現実は、水道現場で働く私たちや、民間水道関連企業に大きな変化をもたらしています。また、いまや多くの水道事業体で、オペレーションや業務受託などを全国的に展開している民間企業では、今法改正を大きなビジネスチャンスととらえ、公営水道になり代わる民間企業を展望し、そのプロパガンダに躍起になっています。
 ある水道有識者が主催する、民間水道企業の方々が集まる場では「海外での活躍は日本国内における企業活動が重要で、世界の水分野ビジネスに大きな変革をもたらすため国内コンセッションの促進を」といった趣旨の発言が相次いでいます。
 水道事業は言うまでもなく憲法25条の生存権に基づく事業であり、1日24時間、1年365日、1秒たりとも絶やすことなく、「安全・安心・安定」して水を供給する責務を持った事業です。責任ある対応や行動が求められています。これまでの官民連携策を超え、「運営権の設定」等といった民営化的手法によって解決するものではありません。
 「水は自治の問題」であり、市民・国民全体が水道事業への認識を深め、現状を知り、事業の将来に対してしっかりと関与できる仕組みを構築することが求められます。大阪市をはじめ複数の地方議会で「コンセッション方式」による水道事業の民営化案は、いずれも審議未了・継続となりました。国会においても、水道法の理念と目的とする「水道事業の基盤強化」をどのように実効あるものとしていくのか、慎重かつ十分な審議を求めていかなければなりません。
(つじたにたかふみ)
(注)「コンセッション方式」(Concession)とは、政府から与えられる許可のこと。水道事業では「施設、土地、管路、浄水場等」のハードウエアは「公」で、「運営や工事等」のソフトウェアは「民」で行うことが想定されている。

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途上のもんじゅ廃止措置計画─問われるべきは核燃料サイクル
原子力資料情報室 松久保 肇

 2016年12月21日、第6回原子力関係閣僚会議において、「『もんじゅ』の取扱いに関する政府方針」が決定された。同方針では、「『もんじゅ』については(中略)廃止措置に移行する」ことを定めたが、その一方で、高速炉開発は今後も推進するとし、もんじゅを「今後の高速炉研究開発における新たな役割を担うよう位置付ける」ことが定められ、2017年から2047年までの30年間で廃炉とするスケジュールが示された。(写真はもんじゅ)
 これを受けて、もんじゅを運営してきた日本原子力研究開発機構(JAEA)は2017年4月を目途に「廃止措置に関する基本的計画」を策定するとした。また原子力規制委員会は2017年1月に「もんじゅ廃止措置安全監視チーム」を発足、2017年5月現在、2回の会合を行っている。
 原子力資料情報室は2016年1月、原水爆禁止日本国民会議と原子力発電に反対する福井県民会議の委託を受けて、「『もんじゅ』に関する市民検討委員会」を組織し、5月9日に、(1)「もんじゅ」の新たな主体はありえない。ありえない主体探しに無駄な時間をかけるべきではない。(2)「もんじゅ」は廃炉にすべきである、とする提言書を発表している(参照http://www.cnic.jp/6982


廃炉には多くの課題 早急にリスクの低減を
 通常の原発廃炉においても多くの課題があるが、ナトリウム冷却高速増殖炉という特殊な炉型をしているもんじゅの廃止措置には、それにも増して多くの課題がある。何点か列挙しておきたい。
 まず、通常の原発では使用済み燃料は使用済み燃料プールなど、炉心から取り出された状態で廃炉が始まるが、もんじゅではそのようにはいかない。現在、もんじゅには燃料集合体が炉心に198体、ブランケットに172体、計370体装荷されているが、これらを取り出さなければならないからだ。燃料に付着したナトリウムの除去なども必要なため、計画では燃料集合体の取り出し完了には5.5年を要する。
 JAEAは1995年に40%出力運転をして以来、20年以上経過しており、崩壊熱は十分に低下していると言う。また、制御棒を抜けば再臨界になりうるが、一度にすべて引き抜くようにはできておらず、意図しない再臨界のおそれはないが、燃料集合体を12体抜けば、制御棒がすべて抜けたとしても臨界に達することはなくなるとしている。
 もんじゅの燃料は、それぞれが支えあう形で原子炉内に装荷されているため、燃料を抜き出す場合、代わりに模擬燃料集合体を入れなければならない。しかしJAEAは必要な370体の模擬燃料中、210体しか保有していない。さらに、そのうち197体に錆などが発生していることが分かっており、新規に作製する可能性も含めて検討するとしている。全量の取り出しには時間がかかるにしても、まずは再臨界のリスクを減らすために、燃料集合体12体を模擬燃料集合体と早急に差し替えるべきだろう。
 次に、ナトリウムを冷却材に使用していることから生じる課題がある。ナトリウムは不透明なため、燃料の位置を目視で確認するといったことはできない。また、空気中の酸素や水分等と反応することから、不活性ガス雰囲気下での遠隔操作が必要となる。いずれナトリウムを取り出さなければならないが、ナトリウムの融点は98℃のため、機器や配管にナトリウムが残ってこびりつくことが想定され、安定化処理が必要だ。さらに、処分する場合は化学的に安定な形に変える必要もある。
 こうした数多くの問題を解決できなければ、廃炉にたどり着くことはできない。しかし、まずは早急にもんじゅの2次冷却系で現在ナトリウムが循環している2ループからナトリウムを取り出すことで配管破断などによるナトリウム火災のリスク低減を図るべきだろう。

高速炉開発の継続を許すな
 もんじゅ廃炉で本来問われるべきだったのは、もんじゅを中心とした核燃料サイクルそのものだった。しかし政府はもんじゅを廃炉にするが、高速炉は今後も開発するとした。3月20日、安倍首相の訪欧に同行した世耕弘成経済産業大臣は、フランスのロワイヤル環境・エネルギー・海洋大臣と「民生用原子力協力に関する意図表明」に署名した。ここでは2018年末をめどに、フランスで現在計画中の高速炉ASTRIDへの日仏協力の在り方の結論を見出すこととされた。しかし、現実的に日本国内で高速炉を建設する余地はない。
 このような無駄な検討に時間とコストを費やすべきではなく、早急に核燃料サイクルを含めた日本の原子力政策全体の見直しを議論するべきだ。加えて、もんじゅ廃止後、敷地内に研究炉を建設すると言うが、仮に廃炉が計画通り進んだとしても30年後に研究炉を建設するといった、実現性の定かでない計画を立てるのではなく、脱原発が進んだ将来の日本の現状を見据えて、地域経済の発展に向けた具体的な議論を行うべきだ。
 現在、「『もんじゅ』に関する市民検討委員会」はもんじゅ廃止措置に関する最終的な提言書をまとめるべく議論を行っている。
(まつくぼはじめ)

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環境と調和したドイツのエネルギーシステム転換
2025年に再生可能エネルギーを40~45%へ

 5月13日に原水禁主催、ドイツ大使館後援で「ドイツエネルギー最新事情」という学習会を、ドイツ大使館の大石式部さん(「ドイツエネルギーシステムの転換」)、ドイツ日本研究所のダニエル・クレーマースさん、グンプ&パートナーズのヘルマン・グンプさん(「地域気候アクション」(LocalClimateAction))を講師に開催した。本稿は主にその資料を基にまとめたものである。


2015年総発電量に占める割合
ドイツ経済エネルギー省提供
経済にも効果 小規模・個人企業に多様な機会
 エネルギーシステム転換の政策目的は、環境との調和、供給の保障と信頼性、入手可能性と対費用効果の高さを統合するものである。エネルギー転換の鍵となるエネルギー効率の向上は、エネルギーの生産性の向上と、コスト効果を上げる節約により促進されている。エネルギーの研究と開発、ヨーロッパ連合(EU)レベルのエネルギーと気候政策が貢献している。
 再生可能エネルギーは、再生可能エネルギー資源法、再生可能エネルギー熱法に支えられ、堅実な成長をとげ、環境にやさしいエネルギー供給を進めている。そのエネルギー効率と再生可能性は、持続可能なエネルギー転換を保障している。2015年に再生可能エネルギー全体で全電力の30.0%を占め、電力資源でNo.1になった。内訳は、風力13.3%、太陽光5.9%、バイオマス6.8%、水力3.0%、廃棄物0.9%である。他の電力資源は、ガス8.8%、褐炭24.0%、原子力14%、無煙炭18.2%、石油その他4.9%であった。
 再生可能による発電を原子力と比較すると、2023年に脱原発が実現した直後の2025年に再生可能エネルギーが40~45%を占め、再生可能エネルギーによる発電量は、原子力を補って余りあるようになる。しかし、再生可能エネルギーは特定の時間帯や昼間の総需要はカバーできるものの、風のない冬の日々は通常発電によるバックアップ能力がまだ必要とされる。生産地と供給地の結合も課題である。北部の風力や南部の太陽光の発電所と、南西部の電力需要の多い地域との間にボトルネックが存在する。そのため北ドイツの供給過剰と南部での電力不足を防止するために新たな送電線が必要である。
 2012年のドイツ再生可能エネルギーの所有者は、基金と銀行が13%、電力会社12%、産業関係14%、開発業者14%、農民11%、個人所有35%等である。所有構造は多彩であり、地方に多く、農民も大きなシェアを持っている。再生可能エネルギーの導入は、小規模・個人企業に多様な機会を提供している。再生エネルギーへの移行は経済の多様なレベルでの肯定的効果をもたらす。迅速なエネルギー効率の向上と再生可能エネルギーへの移行の利益としてあげられるのは、投資、地域への付加価値、技術革新、雇用への効果、エネルギー輸入を避けること、供給の保障、環境と健康への好影響である。
 再生エネルギーへの移行は高い支持を得ており、世論調査では、再生可能エネルギーの開発は重要が92%、2022年までに脱原発すべきが71%、再生エネルギーへの移行は重要が89%などとなっている。

CO2削減で地球温暖化対策にも貢献
 気候変動・地球温暖化に対する取り組みを進め、CO2排出量は1990年比で2014年に27%削減を実現し、2050年には80%から95%削減をめざしている。2014年に13.7%を占めていた省エネルギー消費量は、2050年に60%をめざしている。エネルギー効率も、2008年と比較して2015年にエネルギー消費が7.3%削減され、2050年には50%削減が目標とされている。さらに、住宅の省エネ化や交通機関のエネルギー消費削減をめざしている。エネルギーの転換は、目標を特定した透明性のある長期の戦略によって実現される。一次エネルギー需要と経済成長を、1990年を起点(100)にして比較すると、2015年に一次エネルギー需要は89に低下したが、国内総生産は147に上昇している。ドイツはエネルギー需要を増やさずに経済成長を行う「ディカプリング」を実現し、経済成長のためにエネルギー増産をという主張への反証になっている。
「地域気候アクション」(LocalClimateAction)のデーターベースは、在日ドイツ大使館とドイツ日本研究所が、共同開発しているものである。今年5月から、日本全国の地域レベルで行われているエネルギープロジェクトについて調査を行う。対象とするプロジェクトの分野は、(1)エネルギー生産(発電、熱供給、コージェネレーション)、(2)エネルギー貯蔵と燃料、(3)建築物、(4)交通、(5)リサイクル、(6)林業、(7)炭素隔離の7つ。その成果をデーターベース化し、インターアクティブな地図などを使って提供し、ネット上の交流広場を活用して相互協力を促進しようというものである。
ドイツでは気候変動・地球温暖化への関心が高く、取り組みが積極的に行われていて、その経験も活かしながら、進めていく予定である。
(まとめ・菊地敬嗣)

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福島4号機のプールで火災なら 3500万人の強制避難の可能性

 米国科学アカデミー(NAS)は福島事故の教訓について二つの報告書を出しています。二つ目の報告書(2016年5月)は、4号炉の使用済み燃料貯蔵プールで発生が心配された火災に焦点を当てました。同報告書の執筆メンバーの一人、プリンストン大学のフランク・フォンヒッペル名誉教授は、放射性物質の大気拡散研究者ミハエル・シェプナー博士とこの問題をさらに掘り下げる研究結果を同年11月に発表しました(『科学と世界安全保障』誌)。同論文は、偶然の出来事で免れたプール火災が実際に起きていたら、風向きによっては3500万人が強制避難させられていた可能性があることを示しています。海向きの風でも1600万人が強制避難という結果です。(下図。1.0MBq/m2は福島の強制避難レベル)
 二人はプール火災がペンシルバニア州のピーチボトム原発で起きた場合についても分析しました。また韓国出身の原子力工学の専門家姜政敏(カン・ジョンミン)博士は二人と協力して、韓国の古里原発でプール火災が起きた場合、風向きによっては西日本で約2800万人が強制避難という研究結果を発表しました(下図)。これが朝日新聞デジタル版(2017年3月7日)で報道され話題になりました。

5年以上経過の燃料は乾式貯蔵に
 そして、3人は同様の被害の影響を最小限にするために原子炉から取り出して5年以上経った燃料を空冷式の乾式貯蔵に移すよう提案しています。米国原子力規制委員会(NRC)の報告書が、プールに燃料を詰め込む方式だと、燃料棒の鞘のジルコニウム合金と水蒸気の反応で生じた水素の爆発が起きやすく、これが燃料プールの上の壁や天井を吹き飛ばしてしまうことを示しています。これだと火災で放出された放射能がそのまま大気中に流れ出します。貯蔵密度が低ければ水素爆発がなく、たとえ火災が起きても放射能のほとんどが建屋内にとどまり被害が100分の1程度に収まるというのがNRCの研究結果です。日本の原子力規制委員会の田中俊一委員長や更田豊志次期委員長も乾式貯蔵への早期移行を奨励していますが、日本は福島の教訓を活かせるでしょうか。 (「核情報」主宰田窪雅文)

 当時4号炉では、シュラウドの切断・除去作業が遅れていたため、水を張った原子炉ウェルとDSピットがプールとつながった状態。プールの水が蒸発して水位が低くなり、普通は水のないはずのウェルとの水圧差のためゲートが開き、ウェル側からプールに水が流入。これがなければ4月9日から火災とNAS報告書。

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《投稿コーナー》
あらかぶさん裁判(福島原発被ばく労災)に注目と支援を!
福島原発被ばく労災損害賠償裁判を支える会 渡辺 つむぎ

「東北・福島の人たちの役に立てるなら」との思い
 福島第一原発の収束・廃炉作業や佐賀の玄海原発での定期検査に従事し、急性骨髄性白血病とうつ病を発症、2015年10月に労災認定を受けた男性(北九州市出身、42歳通称あらかぶさん)が、東京電力と九州電力に損害賠償を求める裁判闘争に起ち上がりました。
 2月2日、東京地裁で行なわれた第一回口頭弁論には全国から多くの仲間が結集、傍聴席はもちろん控え室までも埋めつくしました。「人前に立つのは苦手」というあらかぶさんですが「意見陳述をどの位置でやりたいか?」との弁護士の問いに、「裁判長にしっかりと対面して訴えたい」と答えたそうです。
 証言台に立って、力強く意見陳述書を読み上げました。
 「東北・福島の人たちの役に立てるなら」との思いで家族の反対を押し切り入った福島原発収束作業現場では、APD(警報付きポケット線量計)が鳴っても「大丈夫、大丈夫」と解除して作業を続行、鉛ベストも不足というずさんな安全管理に驚かされながらもがんばって働いた。体調不良に悩まされ受診すると白血病との診断、過酷な闘病生活が始まった。妻と幼い2人の子どもたちを置いて死ぬのかとの恐怖から、うつ病も発症。九死に一生を得て、労災認定を受けたが、東電こそは私たち労働者の思いに応え、自身の責任としっかり向き合ってほしいとの思いから賠償を求める裁判を起こした。
 続いて弁護団から「代理人意見陳述」を行いました。傍聴席に入れなかった多くの仲間も、控え室で両意見陳述書を読み合わせるなどし、あらかぶさん渾身の訴えを共有しました。報告集会では、あらかぶさんから「一生懸命裁判に勝って、次の人につながるようがんばりたい」との決意が述べられました。

多重請負構造の中で当事者が声を上げる困難さ
 第2回口頭弁論は4月27日、被告(東電・九電)側反論でした。東電は「原告が受けた放射線被ばくと白血病及びうつ病との間に事実的因果関係が認められない」と、国が認定した労災すら全否定する内容の陳述を行いました。あらかぶさんの被ばく線量が「相当量=100mSv」に満たないので因果関係はない、「速やかに棄却されよ」という、愚弄しきった内容です。まったくもって許せません。
 あらかぶさんが1年半で被曝した約20mSvは、白血病の労災認定基準を大きく上回っています。しかも、あらかぶさんの証言にもあるように、作業環境は劣悪・杜撰を極めており、実際の被ばく線量はデータとして残っているもの以上であることは明らかで、働いている間に暮らしていた生活環境での被ばくもあります。そして急性骨髄性白血病は、100mSv未満でも放射線被曝による有意な増加を示すという科学的データが数多くあります。今後、それらのことを徹底的に立証し争っていかなければなりません。
 多重請負構造の中で、被ばく労働当事者が声を上げる困難さを、私たちはこの6年間、強く実感してきました。文字通り命を削られながらも、多くの労働者が真っ当な報酬や保障を受けられぬままです。あらかぶさんのケースも然りです。ずさんな安全管理のもとで作業させられていても、会社や仲間に迷惑がかかると思えば「言いづらい」、体調不良を感じながら働き続けていた中、危険手当が正当に支払われていないことに気付き、いよいよ怒って仲間とともに地元へと引き揚げた先で受診したら、白血病の診断を受けたとのこと。あと数日発見が遅れていれば、命がなかったというのです。

「働く仲間があとに続けられるように」絶対に負けられない
 今も10万人以上の原発事故被災者の生活を脅かしながら、そして既に6万人に達する収束・廃炉作業労働者と多くの被ばく労働者の命を使い捨てながら、国と東電は居直り続けています。今後、被ばくの影響による労働者の健康被害がさらに出てくることは必至です。そんな中で、自身の尊厳の回復と、「働く仲間があとに続けられるように」との思いで自ら声を上げたあらかぶさんの裁判闘争は、絶対に負けるわけにいきません。
 4月26日には「あらかぶさんを支える会」結成集会が、東京・文京区民センターで100名の結集で勝ち取られました。福島で42年間被ばく労働問題に取り組んでこられた石丸小四郎さんや、かつて長尾裁判を中心的に闘った神奈川労災職業病センターの川本浩之さん、あらかぶさんが所属するユニオン北九州の本村真さん、そしてあらかぶさん本人からの訴えがありました。多くの参加者から賛同やカンパ、「公正な判決を求める署名」への協力を頂きました。ユニオン北九州を中心に、九州・西日本での「支える会」結成も準備されております。全国の皆さんに、支える会への参加とさらなる支援をお願いしたいと思います。
(わたなべつむぎ)

・第三回口頭弁論は7月28日(金)午前11時~東京地裁103号大法廷(原告側反論)の予定です。大法廷傍聴席を埋めつくしましょう!
・「あらかぶさんを支える会」の賛同人になってください!
・裁判闘争には多額な費用が必要です。カンパをお願いします!
・「公正な判決を求める署名」運動にご協力をお願いします!

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各地の脱原発の動きから
玄海原発再稼働容認に強く抗議
佐賀県平和運動センター 事務局長 栁瀬 映二


さようなら原発!九州総決起集会
(2月18日・佐賀市)
 今年1月18日、原子力規制委員会は玄海原発3・4号機の原子炉設置変更を正式に許可、その決定を受け九州電力(九電)は今秋にも再稼働する方向だ。岸本英雄玄海町長は、町議会が再稼働容認の決議を採択したことを受け、再稼働への同意を九電に伝えた。
 県はこの間、広く県民の意見を聴くとして、専門委員会や県内5か所の説明会など、アリバイ的に会議や説明会を開き、4月11日には村岡嗣政知事が県議会の「臨時議会」を招集し、それに応えるかのように自民党が「再稼働容認決議」を提出した。それに抗し、再稼働に反対する議員を中心に「再稼働については慎重に判断を求める決議」、民進党は「条件付き再稼働容認決議」をそれぞれ提出したが、数の暴挙により「再稼働容認決議」が採択された。臨時議会中は連日、多くの人たちが結集し、再稼働反対の声を上げ続けた。
 村岡県知事は、この決議を「重く受け止める」と発言するとともに、今後は玄海原発の視察、九電社長との話し合い、経済産業大臣との面談を経て4月中に判断すると公言するに至った。その流れに沿って、4月9日、山本公一原子力防災担当大臣との会談、同19日には知事自らが玄海原発を視察して九電社長と会談、22日には世耕弘成経済産業大臣が佐賀県庁を訪れ、知事と会談した。そして24日、すべての手続きが終了したとして、知事は再稼働に同意する旨を記者会見で発表した。
 県民説明会では圧倒的多くが再稼働に反対する意見であったことを認めつつも、県民の生活といのちを置き去りにして、経済優先で判断したことに強い怒りを感じる。しかも、原発が再稼働されることで出てくる使用済み核燃料については、いまだに処分方法も決まらず、実効性のない避難計画が住民に押し付けられている現実は何ら変わらない。この間、県は「県民説明会」をしたことで、説明責任を果たしたかのようにふるまっている。一方的な推進側の説明だけを押し付け、県民が本当に判断できる材料さえ提供していないのが実態だ。「再稼働容認」を判断した県知事に強く抗議する。
 我々は決して闘いをあきらめない。九州ブロックの仲間や市民団体、全国の仲間と連帯し、脱原発社会の実現に向け今後も闘い抜く決意だ。
(やなせえいじ)

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〔映画の紹介〕
「母 小林多喜二の母の物語」
山田火砂子監督/2017年/原作:三浦綾子

 「この時期に、この映画の公開というのは、政権の動きに合わせたんですか、なんて言われたりもしたんです」と舞台挨拶において監督が苦笑していたのが、劇場に足を運んだ時の印象として残っています。劇映画「母小林多喜二の母の物語」の監督は、85歳になる山田火砂子さん。5月3日の憲法集会の発言者として登壇したことが記憶に新しいかと思います。
 最近の日本は段々と雲行きがおかしくなっていると、戦争への危機を感じ、「時代を逆戻りさせない」決意のもとにつくられたこの作品は、プロレタリア作家小林多喜二の波乱万丈な生涯と、その母セキの母性と心の強さを描いた作品です。言葉では表わしきることの出来ない、伝えきれないほどの苦しさを感じさせられました。
 小林多喜二は、成長する過程で軍国主義下の日本社会に疑問を感じ「武器をつくるお金でみんなに白いご飯を!」との思いから命がけで反戦を訴え、小説を書いていきます。しかし、危険分子とみなされた多喜二はついに国家権力の手によって殺されてしまいます。我が子の死を受け入れられずに苦しむ母セキ。セキ役を演じたのは、女優の寺島しのぶさん。わが子に思いを巡らせ「私だったら気が狂ってしまうわ」と監督に打ち明けたという撮影エピソードも出てくるほどです。
 冒頭で「この時期に、この映画」と書いた通り、ただの反戦映画ではない現実があります。戦前、軍国主義のもとでは、言論はもとより、何もかも自由が奪われていたことが描かれています。そして、多喜二が命を奪われるほどに暴行されたのは、治安維持法があったからです。72年以上前の時代の話なのに、明日の日本は映画の舞台と同じ社会になってしまうのではないかと思えて恐怖してしまいます。
 「武器をつくるお金で白いお米を」という言葉は、「沖縄に基地を建設するお金で生活保障を」という言葉に置き換えられます。このままテロ対策という名目で共謀罪が成立すれば、私たちは多喜二とセキに思いを馳せるどころではなく、そのまま同じ体験をすることになるかもしれません。母から子どもの命を奪う時代に二度とならないように、この映画を見て、平和の尊さを改めて考えていただきたいと思います。
(橋本麻由)

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核のキーワード図鑑


みんなまとめて捕まえろ

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国際シンポジウム「朝鮮半島と東アジア」 6月11日に開催

 1953年の朝鮮戦争停戦協定締結以降、朝鮮半島では一触即発の戦争危機が定期的に生じています。朝鮮半島において平和体制を構築することは、南北朝鮮はもとより、日本も含む東北アジアの平和にとって最も重要な課題となっています。 2000年6月15日の南北首脳会談と南北共同宣言の歴史的意義を振り返りながら、朝鮮半島の緊張緩和と和解、そして東アジアの平和実現に向けて何が必要なのかを議論する国際シンポジウムを開催します。

「6.15南北共同宣言17周年国際シンポジウム朝鮮半島と東アジア~平和の新たなステージへ
日時:6月11日(日)14時~17時半
場所:中央大学駿河台記念館281号室(千代田区神田駿河台JR「お茶の水」、地下鉄「新御茶ノ水」)
シンポジスト:纐纈厚(山口大学名誉教授)、浅井基文(元外務省地域政策課長)、李炳輝(朝鮮大学校文学歴史学部教授)、キム・ビョンギュ(THAAD反対全国対策委員会執行委員長)、ミシェル・チョスドフスキー(オタワ大学名誉教授)、キム・ヨンウン(ロシア科学アカデミー極東問題研究所朝鮮問題研究センター上級研究員)など
参加費:1000円
問合せ:平和フォーラム(03-5289-8222)

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