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ニュースペーパー2017年10月

2017年10月 1日

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さようなら原発 さようなら戦争全国集会
 9月18日、東京・代々木公園で「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」が開かれ、9500人が参加しました。安倍晋三首相が、9月末に開かれる臨時国会の冒頭に衆議院を解散する可能性が高まる中、「疑惑隠しの大義なき解散だ」と非難が集中し、さらに、「原発再稼働や戦争する国を進める安倍政権にさようならをするチャンスだ」との声もあがりました。
 福島からは、福島原発刑事訴訟支援団団長の佐藤和良さんが「原発事故で責任を取った人はいない。事故の3年前に津波が予測され計画した防潮堤を東京電力の幹部が潰した。その罪を問うために1万4千人の告訴団は闘う」と決意を表明。自主避難者として福島から2人の子どもを連れて大阪に避難している森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団代表)も「憲法で補償された平和に生きる権利を奪われてきた。世界中の子ども達の命を守ることが平和につながる道だ」と思いを述べました。
 集会後、参加者は2コースに分かれてデモ行進を行い、道行く人たちにアピールしました。(写真今井明)

インタビュー・シリーズ:125
9条改憲で自衛隊に歯止めがなくなる恐れ
日本体育大学教授 清水 雅彦さんに聞く


しみず まさひこさん プロフィール
 1966年兵庫県尼崎市生まれ。札幌学院大学法学部教授などを経て、現在、日本体育大学体育学部教授。専門は憲法学。主たる研究テーマは平和主義・監視社会論。最近の主な著書に『憲法を変えて「戦争のボタン」を押しますか?―「自民党憲法改正草案」の問題点―』(高文研、2013年)、『秘密保護法から「戦争する国」へ』(共編著、旬報社、2014年)、『マイナンバー制度番号管理から住民を守る』(共著、自治体研究社、2015年)、『すぐにわかる戦争法=安保法制ってなに?』(共著、七つ森書館、2015年)、『日米安保と戦争法に代わる選択肢─憲法を実現する平和の構想』(共著、大月書店、2016年)など。民主主義科学者協会法律部会理事、日本民主法律家協会常任理事、日本国際法律家協会理事、戦争をさせない1000人委員会事務局長代行、九条の会世話人、安倍9条改憲No!全国市民アクション呼びかけ人も務める。

─安倍晋三首相が5月3日に発表した、憲法9条の1項、2項は残して、新たに3項を設けて自衛隊を位置付けるという改憲案は想定の範囲でしたか。 (1項「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」)

 従来の改憲論の中に2項を残すという案もあることはありましたが、非常に少数でしたから想定していませんでした。改憲派は1項を世界標準という捉え方をして、1928年の不戦条約に戦争放棄とは書いてあるけれど、放棄したのは侵略戦争であって、自衛戦争までは放棄していない。しかし、2項は正面から戦力と交戦権を否定していますから、軍隊を持つには2項を削除しなければ無理と考えてきたわけです。

─これまでの自民党の改憲草案というのは2項の削除を主張しています。
 2005年の草案では削除でしたが、2012年に出された方は、2項に自衛権について文言を加えて、9条の2で国防軍を設置するということを主張しているんですね。集団的自衛権も可能になる改憲案です。ですから、まだ3項を加えるのか、9条の2という形で改憲案を出すのか、わかりません。強引にやってしまえば、2項と、3項または9条の2が両方存在することになります。その場合は法学一般の「後法優先の原則」が適用される可能性もあります。後から作った法は先にある法よりも優先するというのが法学一般の考え方ですから、9条2項の条文は残っていても空文化する可能性があります。

─2015年9月に強行採決された戦争法(安保法制関連法)以降、自衛隊は大きく変わりましたが、それを位置づけることの意味合いはどこにあるのでしょうか。
 9条2項があれば「専守防衛」(武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るという姿勢)という解釈をせざるをえないわけです。国民の多数派は自衛隊合憲の立場に立ちますが、私を含めて憲法学界の多数派は、自衛隊は違憲と考えます。違憲論を憲法上主張でき、専門家が違憲だと指摘するから、政府はそれに対して、違憲ではないという説明責任が生じます。つまり、2項で戦力を持てないと書いてあるが「自衛隊は戦力ではなく実力です。だから自衛隊は軍隊ではないし、他国の軍隊とは違う」から、専守防衛、集団的自衛権行使の否認、海外派兵の禁止、という説明を政府はずっとしてきました。しかし、9条に自衛隊の存在を明記すれば、そういう説明責任も不要になり、歯止めがなくなります。

─今後、憲法「改正」の議論がどう進んでいくのでしょうか。どのような展望をお持ちですか。
 安倍内閣は、国会で3分の2の改憲勢力を維持している間に改憲をやりたいでしょうから、内閣支持率を上げるためにいろいろなことをやりながら、自民党の対策本部も9月12日から議論して改憲案を出して来る方向です。これを止めるのは、内閣支持率を上げないような運動の力次第です。大衆運動と、国会内の野党共闘しかないと思います。

─他の改憲部分については、どう見ていますか。
 安倍首相が言う大学などの「教育の無償化」については、憲法26条に高等教育の無償化について禁止する文言はないわけですから、改憲をしなくても法律でできる訳ですし、国際人権規約で、中等・高等教育の漸進的無償化については、歴代の自民党政権は留保してきたわけです。それを撤回した民主党政権の高校無償化(2010年~)に対してはバラまきと言ってきたわけで、財源も3兆円と言われていますから、その点でも疑わしい。憲法に無償化の規定を入れたとしても、今の憲法25条(第1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」)と同じ扱いなのではないか。歴代の自民党政権は、憲法25条は、プログラム規定だと言っています。生存権と書いてあっても、それは裁判で使えるような法的な権利ではなく、国側の責務も書いてある25条2項も、単なる宣言、プログラムであって、財政状況が厳しければ、充分やらなくてもよいという立場を取ってきました。教育の無償化についても、同じような対応をしかねません。
 大規模な自然災害やテロなど、非常時における政府の権限を定める「緊急事態条項」については、国会議員が大多数いなくなるような事態を想定できるのかという問題があります。日本は二院制をとっていて、衆議院を解散しても参議院の緊急集会の規定があります。本当に衆参両院の国会議員が不足するような事態が想定できるのか、疑わしい。2012年の自民党改憲案のような形なら、緊急事態に際して内閣が法律と同一の効力を有する政令をだせるわけで、国会の議論をしないで法律を作るようなものです。ナチスと同じで、到底許されない改憲です。

─2012年の自民党の改憲案のQ&Aでは、少しは人権が損なわれる場合があると書いてあります。
 人権制約原理の「公共の福祉」の文言を「公益及び公の秩序」に変えています。今の日本国憲法の下で基本的に人権を制限するのは、人権と人権がぶつかった場合です。自民党の考えの「公益及び公の秩序」が意味するのは、国家の安全と社会秩序です。国家の安全が優先する場合は人権を制限してもよいという発想が改憲論全体の構想です。緊急事態条項についてもその発想からすれば、人権は制限してもよい、ということになってしまいます。

─「公共の福祉」と「公益及び公の秩序」の違いですね。
 表現は似ていますが、全然意味が違います。公共の福祉は英語だと「publicwelfare」ですが、publicの名詞の意味は「人々」や「民衆」です。人々の利益や福祉に反しない限り、人権が保障されるというのが、憲法の考え方であるのに対して、公益及び公の秩序は、人々の利益や福祉ではなく、明らかに国家の方の概念ですから全然違います。

─そういうところを国民に伝えていくのは難しいと思いますが。
 相手側はワンフレーズでやって来ます。テロ対策のためだとか、自衛隊違憲論は自衛隊員がかわいそうだから変えた方がよいとか...。これに反論していくのはけっこう大変です。それでも、丁寧にやってくしか仕様が無いですね。まずは、核になる人を育てなければいけないので、労働組合を中心に、職場から憲法学習をやっていくのが大事だと思います。職場の仲間や家族に話して拡げていけばいいのです。
 憲法は理念的な所がありますが、それがまだ実現していません。特に社会権がそうですが、それをまず実現するのが先のはずです。今ある憲法を守ることができない連中が、憲法を変えたところで、それも守れるかどうか分かりません。憲法は国家権力の制限規範ですから、縛られている側は当然憲法を疎ましく思っているので、縛られる側からの改憲は警戒した方が良い。望ましい改憲は、国民の側が、もっと国家権力を縛るというものです。今の改憲論議は9条「加憲」が典型ですが、縛りを緩めるもので許されないものです。憲法に書いてあるのに、権利を行使できていないものも沢山あります。典型的なのは労働基本権です。組合組織率が17.3%ですから、恥ずかしいレベルです。

─これから改憲の発議ということになれば、国民投票運動になりますが、どういう運動を展開していけばという構想はありますか。
 改憲反対運動をやる人達の中に、国民投票で否決させればよいと言う人もいますが、発議されたらけっこう厳しいので、発議させない運動をしなければいけないと思います。「憲法改正手続法」を変えないと不利です。今の法律では、広告は2週間前まで出し放題で規制がありません。改憲派はお金を持っていますから、新聞・テレビでどんどん広告を出します。また、国民投票運動の規制についても、公務員とか教員などの活動の規制も変えないまま、今の形で国民投票をやるのは不利なので、発議させないことと、憲法改正手続法の見直しをやっていかないとダメだと思います。発議されれば、否決させる運動がありますが、その前の段階が大事です。まず多くの人が政治に無関心で、昨年の参議院選挙の投票率も54%ですから、選挙に行ってもらうような取り組みをしていかないと厳しいです。

インタビューを終えて
 清水さんとは、かながわ憲法フォーラムの事務局長時代に知り合いました。もう10年以上も前の話です。スマートな体型からは想像できない、日本酒好き。そこは意見が合いますが、体型は合いません。行動する憲法学者として、本当に日本中を動き回っていただいています。「改正発議をさせないことが大切」と言う清水さんの言葉を聞いた後の解散・総選挙。全力で衆議院総選挙の野党勝利へ、発議を阻止するために。
(藤本泰成)

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朝鮮学校の「高校無償化」裁判を問う
大阪勝訴、広島・東京不当判決 そのポイントは


高校無償化 東京地裁判決の結果を伝える弁護団
(9月13日 東京地裁)
 「高校無償化」制度から除外されたことは違法であるとし、朝鮮学校が国に対し処分取り消しなどを求めた裁判が全国5か所で行われてきました。そして7月に広島と大阪で、9月には東京で、それぞれ地裁の判決が言い渡されました。

朝鮮総連の「不当な支配」を主張し除外
 2012年12月26日に第2次安倍政権が誕生し、内閣発足2日後の12月28日に下村博文文科相(当時)は「拉致問題に進展がないこと」「朝鮮総連と密接な関係にあること」などを理由に「高校無償化」制度から朝鮮学校を除外することを表明しました。そして翌2013年2月20日に省令が改正され、朝鮮学校は「高校無償化」制度から締め出されてしまったのです。しかし、「拉致問題に進展がないから」という理由で朝鮮学校に適用を認めないのだとすれば、これは外交的・政治的判断に基づいての判断ということになり、これこそ国家の不当な介入ということになってしまいます。
 それでは国はどういう建前をとってきたのでしょうか。高校無償化法の規程13条には「指定教育施設は...就学支援金の授業料に係る債務の弁済への確実な充当など法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない」とあります。国側はこの13条にある法令として教育基本法16条1項(「教育は、不当な支配に服することなく...」)を挙げ、公安調査庁の報告や保守系メディアの報道を根拠に、朝鮮総連の「不当な支配」を主張し、朝鮮学校除外の理由としたのでした。
 しかしこれはこじつけに過ぎません。そもそも国は「高校無償化法」の対象とする外国人学校を定める省令の中から、朝鮮学校への適用に用いられるであろう「(ハ)その他」の規定そのものをなくしてしまったからです。単に「不当な支配」を理由に適用から外されるだけだったら、省令そのものを変える必要はありません。つまり真実は、下村元文科大臣の発言の通り、外交的・政治的な理由から朝鮮学校を除外するために省令を改正し、それを正当化するために規程13条を持ち出してきた、ということなのではないでしょうか。全国5か所の裁判で焦点になったのは、まさにこの2点でした。
 7月19日、全国に先駆けて出された広島地裁判決は、国側の主張をそのまま認めるものでした。広島地裁は、朝鮮学校に対しては朝鮮総連による不当な支配が疑われ、たとえ就学支援金が支給されても学生の学費に充てられない恐れがある。つまりは規定13条に適合しないと判断したわけです。しかし、そもそも規定16条では就学支援金が正当に用いられているかどうか判断するため「定期的な書類の提出」を定めているのであり、さらに17条では「指定の取り消し」ができることになっています。もし就学支援金が不正に使われたのであればその時に指定を取り消せばいいのであり、はじめから「不当な支配」を疑うのには無理があります。広島地裁は裁判の過程において証人尋問を拒否しています。就学支援金の不正使用を疑うのであれば、なぜ学校関係者から直接話を聞こうとしないのでしょうか。

すべての子どもたちに平等に教育の機会を
 しかし、7月28日、大阪地裁は全く逆の判断を下します。判決文は、外交的・政治的判断に基づいて朝鮮学校を法律の対象から外すために規定(ハ)を削除したと判断し、国側の違法性を認めました。また大阪朝鮮学園が私立学校法に基づいて正当な手続きを行っているため規定13条に適合していると判断。さらには「在日朝鮮人の民族教育を行う朝鮮高級学校に在日朝鮮人の団体である朝鮮総連などが一定の援助をすること自体は不自然ではない」とし、国側がさんざん強調してきた「不当な支配」という主張も一蹴したのでした。
 大阪地裁の画期的な判決を受け、多くの関係者が東京でも勝てるだろうという思いを強くしました。なぜなら大阪地裁判決の内容は、東京の弁護団が一貫して主張してきたことと一致するからです。
 しかし9月13日、東京地裁も不当判決を言い渡します。下村元文科相が公安調査庁の報告をもとに「高校無償化」の対象から外したことは「不合理とは言えない」と結論付けたのです。実は国は9月1日、東京地裁に対して「大阪の判決には重要な間違いがある」として異例の弁論再開を求めていたのです。このような圧力が東京地裁判決に影響してしまったのでしょうか。
 これら3つの判決から何が言えるのでしょうか。要は、すべての子どもたちに教育の機会を平等に保障しようという法の趣旨に基づけば大阪のような判決となり、逆に朝鮮学校除外ありきの国の主張を無批判に受け入れれば広島・東京のような判決になってしまうということです。国側を勝たせようとすれば法の理念など吹っ飛んでしまい、明らかな差別まで容認しなければならないということを広島と東京の判決は証明したといえます。
 広島・大阪・東京はこれから高裁へとステージを移します。また愛知と福岡の地裁判決もあります。不当判決を覆し、全国5か所の裁判すべてに勝利するためには、支援の輪をさらに広げて世論に訴えていく必要があります。そのためにもまずは「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」(10月25日、代々木公園)を成功させましょう。
(パクスンハ)

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防衛費概算要求から見る
トランプ政権でも変わらぬ日米同盟の姿

安倍政権下で拡大する防衛費
 防衛省は8月31日、前年度の当初予算比2.5%増となる5兆2551億円の2018年度防衛費概算要求を決定しました。安倍政権下で6年連続の増加となっています。今回の概算要求で注目を集めるのが、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の相次ぐ弾道ミサイル発射実験に対応する装備関連費です。次期警戒管制レーダーの開発(196億円)、イージス艦に搭載する迎撃ミサイル(SM3ブロックⅡA、SM3ブロックⅠ)の取得費(657億円)、PAC3の改良型迎撃ミサイル(PAC3MSE)の取得費(205億円)などのほか、8月の2+2(外務・防衛)日米会談で表明された、米国製の陸上配備型イージスシステム(イージスアショア)の導入が盛り込まれたのです。ただこのイージスアショアの予算は今回の概算要求では、「事項要求」とされ、組み込まれていません。1基当たり800億円ともいわれるシステムを2~3基整備するとされ、年末に予算計上するとしています。
 もう一つ見落とせないのが、南西諸島や尖閣諸島問題に対応する予算です。新規の事業として、高速滑空弾の技術研究(100億円)、対艦誘導弾の技術研究(77億円)が要求されています。いずれも射程距離が長く、特に後者はステルス機能を持たせ、レーダーに映りにくくすることがめざされており、「防衛」ではなく「攻撃」の兵器に、容易に転用が可能となるものです。「敵基地攻撃能力の保有」を検討している自民党国防部会の動向もふまえ警戒が必要になっています。


3000人規模の日米共同訓練に
反対するデモ行進 (8月19日・札幌市)
「お金」絡みの日米関係の強化
 防衛費の肥大化の一因として、米国製武器の購入費が高騰している問題があります。安倍政権下でこの流れはより顕著となっていました。緊密な日米関係を維持したいからです。ところが、米国大統領選でトランプが注目を集め始めたところから、この緊密な日米関係にひびが入るのではという危機感が出始めます。日本の国内世論も、良し悪しは別にして、日米関係が変わる期待感すらありました。
 トランプが、大統領選挙期間中に、TPPからの撤退や日米安保条約の見直し、日本の核武装に言及し、駐留米軍の全額負担などの発言を繰り返していたことで、日本の政府関係者は大変苦慮したのです。そこで昨年11月、トランプ大統領が選挙に当選した直後、安倍晋三首相は真っ先にトランプ邸を訪問しました。異例ともいえるこの電撃訪問は、トランプに対して、日米同盟の重要性を説得するためだったのでしょう。そして商売人のトランプに対しての説得の中身は、当然にして「お金」絡みであったことは想像がつきます。
 それを裏付けるように、今年2月の参議院本会議で安倍首相は、「(米国の防衛)装備品は我が国の防衛に不可欠だ。米国の経済や雇用にも貢献するものと考えている」と述べているのです。また、トランプ大統領就任後初の日米首脳会談では、両国首脳は「日米同盟及び経済関係を一層強化する強い決意」を確認し合い、発表された日米共同声明では、選挙中にあったトランプ節が全く影をひそめ、これまで通りの日米関係の確認と強化がうたわれていたのです。

防衛費の拡大で東アジアの安定はない
 この関係は当面変わると思えません。米国の世界戦略は、オバマ前大統領の時代にはすでに「2正面戦略」を放棄し、米国にとって戦略的利益が上がるところで、効率的に軍事的優位を確保することを打ち立てていました。いくら場当たり的な外交しかできないと目されるトランプ大統領においても、米国の世界戦略がすぐさま変更になるわけではありませんし、そうはさせないように、特に東アジアにおける安全保障戦略では、日本からの働きかけが強固にあったと考えられるのです。
 日本の戦略は、日米同盟を強化し、米国の力の空白部分を埋めるために積極的な役割を担うことであり、これが米国との信頼関係の強化につながり、日本が勝ち残っていく道であると考えているのでしょう。そして日本が東アジアにおける力の空白を埋めることは、アメリカにとっても経済上の利益になり、かつアメリカの世界戦略にかなうこととなります。
 中国の国防費は、2018年には1兆元(約16兆5000億円)の大台に乗るとされ、海洋進出を積極的に進めています。そして北朝鮮の核開発と弾道ミサイル開発が進展していくことで、東アジアのパワーバランスを確保すべく、今後も防衛費を拡大しようとしていくことは明らかです。しかし軍事の拡大が何をもたらすかは、すでに歴史が証明しています。軍拡競争の悪循環を断ち切り、平和と安定を築くには、私たち自身が冷静に対応し、日米の同盟関係のあり方を再検討しつつ、周辺諸国との対話を重視する外交を行うことを強く求めていく必要があります。
(近藤賢)

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水をめぐる情勢と課題
持続可能な水道を維持・発展させていく
全日本水道労働組合 書記次長  辻谷 貴文

世界で進む「水道事業の再公営化」
 水道とは、水道法3条によれば「導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう」とあり、憲法25条の生存権に依拠する公共概念に則った「すべての人にいきわたらなければならないもの」「コストはかかるが絶対に必要なもの」としての思考がその背景にあります。人々の暮らしの中にある生存基盤そのものであり、地域の社会活動基盤、ライフラインとしての巨大なインフラ装置産業ともいえます。
 水を取り巻く国際的な経過を見ると「水は経済財(ニーズ)か、公共財(ライツ)か」といった議論が各方面で論じられてきましたが、1992年に、水を有限の資源ととらえた有料化による節水の提言として「水は経済財」と位置付けるダブリン宣言が採択され、欧米では水道民営化が加速しました。しかし、いまや民営化政策が失敗に終わり「水道事業の再公営化」として「水は公共財」という考え方が定着しつつあると言えます。
 世界中のどの地域においても、生命(いのち)にかかわる水を得ようとする時、川などの表流水や地下水を取水し、生物を含む砂や膜でろ過をし、人々の生活の息づく場所へ送水するという構造は、おそらく将来にわたっても普遍のものです。水づくりに関するコストやパフォーマンスからみても、遠く離れた場所から送水(給水)するというよりは、人々の集まる場所に近いところからの取水や処理、送水(給水)という形態が望ましいのは当然です。だからこそ太古から人々が集まるところには水があり、その水を奪い合ったライバル関係の語源がリバー(川)であったことからすれば、水はいわば「地域の自治の問題」とも言い換えることができます。
 昨今の世界の水道の実態を見れば、1980年代以降はイギリスのサッチャリズムによって新自由主義が台頭し、他の公共サービスと同様に水道事業の民営化も加速しましたが、その結果、劣悪な管理運営や投資不足、事業コスト増大や料金値上げ、さらには監督の困難さに起因した財務透明性の欠如など、それまで民営化になれば解決すると言われた課題について、そのほとんどが履行されない事態によって、2010年以降は欧米各地で再公営化が志向されるという状況となりました。とくに民営化のモデルと言われたフランス・パリの水道事業の再公営化(2010年)は、水道民営化を実践していた各地域に衝撃を与え、いまや「再公営化のフレンチモデル」として世界中から注目を集めています。


国の名勝に指定されている
金沢市の末浄水場
安倍政権下で目論まれる民営化
 一方で、日本の水道に目を向けてみると、国民の総体的な水に対する意識の希薄さからか、水道普及に専心した1970年代以降は、これまであまり大きな注目を集めることはなく、それゆえの課題が重くのしかかる事態となっています。水道職員の急激な人員削減による技術継承の問題や、水道創世記に建設した施設・設備の老朽化対策、さらには人口減少や節水機能の技術革新による料金収益減少の問題など、いわば「人・物・金」においてすべてに困窮する事態となっています。
 こうした国内水道の抱える問題を解決しようと、政府は今年の通常国会において、水道法の一部改正をめざしたものの、他の法案を優先したため、継続審議扱いとなりました。本誌6月号でも記載の通り、水道法改正法案の内容そのものについては、持続可能な水道を展望するうえで重要な内容を踏まえたものであった一方で、「運営権の設定」という、いわゆる民営化を促進するかのような内容も含んでいました。これは安倍政権下で、あらゆる公共サービスの民営化を目論んだ官邸からの強い要望であったと察しられますが、広範で国民的な議論が求められるものとして注視しています。
 2014年に議員立法で成立した「水循環基本法」では、「水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いもの」であることが法の目的に明記されており、各地域の流域水循環協議会の設置促進や、地下水利用のあり方などを検討する水循環基本計画も進んでいる最中です。水道の基盤強化に当たっては、水道が健全な水循環の重要な一環にあり、すべての国民がその恵沢を将来にわたって享受できるものにする必要があります。
 近い将来には必ず来るであろう大規模災害などの発生に備え、水道施設の老朽化への対応や耐震化の促進をはじめとする整備に万全を期すとともに、災害時対応の組織体制なども重要な課題です。
 このように、水道を取り巻く課題は山積していますが、政府が推し進める公共サービスの産業化の流れに乗せた軽々な民営化論議などには十分注意して、将来にわたって持続可能な水道を維持・発展させていく市民の意識が重要です。
(つじたにたかふみ)

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放射性廃棄物の地層処分への議論加速
特性マップ提示を契機に脱原発の議論を活発に
原子力資料情報室 共同代表 伴 英幸


「科学的特性マップ」より
 政府は7月28日に、高レベルの放射性廃棄物の地層処分に関する「適地」を示す科学的特性マップ(以下「特性マップ」)を公表した。特性マップは処分地をある程度絞り込むもので、その特性の低い地域、石炭など鉱物資源があって処分できない地域、好ましい特性の可能性がある地域、輸送面でも好ましい地域の4つに色分けされている。特性マップを作る上での要件・基準は政府の審議会(地層処分技術ワーキンググループ)で議論された。この要件は全国的に整備された文献やデータを基にしているので、個別地域の情報は含まれていない。

関心の高まった自治体に調査申し入れ
 高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する法律が2000年に制定されて、300メートルより深い地層に安全かつ確実に埋設することを定めた。同法では、処分地の選定手続きとして、文献調査、概要調査、精密調査を経ること、各調査後には首長の意見を聴き尊重することを定めている。今回の特性マップは文献調査の前の段階に位置付けられている。
 処分の実施主体は、この法律に基づいて設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)であり、同機構が処分地の選定と処分事業を行うことになっている。そして、NUMOは2002年から全国の自治体に文献調査地域を公募している。しかしながら、これまでに応募の動きのあった自治体では、住民の反対の声でことごとく取りやめている。
 今回の特性マップの提示によって文献調査への入り口が増えたことになる。政府は特性マップを公表し、重点的な理解活動を実施し、関心の高まった自治体に対して文献調査への協力を申し入れることをめざす。具体的には、沿岸から20㎞程度までの地域を輸送面でも好ましい「グリーン沿岸部」と呼び、ここを中心にNUMOが重点的な対話活動を実施する。これらを通して調査に協力的な人間と推進組織を作り上げていこうというわけだ。一方、政府は全国的なシンポジウムなどを開催して、外部からの反対をけん制しようとしている。
 しかし、マップはさほど科学的とは言えない。1例だけ挙げると、1万年前以降の火砕流到達範囲は避けることが要件になっているが、具体的に考慮されている範囲は極めて限定的だ。例えば、7300年前に巨大噴火を起こした鬼界カルデラの火砕流は幸屋火砕流と呼ばれるが、薩摩半島や大隅半島全域に相当な厚さで到達している。研究論文などで明らかであるが、これは考慮されず、両半島ともマップでは「グリーン沿岸部」がある。同様な事例は他にも考えられ「科学的」と胸を張るには心もとないものである。そもそも調査を進めれば不適地である可能性の高いところはあらかじめ排除しておこうというのが今回の議論の出発点であるから、もう少し踏み込んでもよかったと考える。

政府の低姿勢は衣の下に鎧 原発を止めるのが先決
 特性マップ提示における政府の姿勢を第6回最終処分関係閣僚会議に配布された資料によれば、グリーン沿岸部でも三段階の調査結果で処分に適さないと評価される可能性もある。また、グリーン沿岸部は処分地選定調査を受けざるを得ないわけではない。地域の理解なしに一方的に調査を開始することはない、と明記している。
 しかし、いったん調査を受け入れ、概要調査から精密調査に進めば、自治体の意見を尊重するとはいえ、後戻りできない状況になることは目に見えている。あの手この手の「総合的」評価で安全を主張するだろう。原発の再稼働をめぐるやり取りを見ていれば、先へ行くほど拒否できないことは明らかだ。また、調査が進むにつれ、自治体に交付金が入り込んできて財政がそれに依存していくことも大きな理由だ。
 世耕弘成経産大臣は7月28日の記者会見で、質問に答えて青森と福島では理解活動はしないと述べた。青森は最終処分地にしないという約束がその理由だ。福島は「事故の収束と復興に全精力をかけて取り組んでいるところ」「これ以上の負担をお願いする考えはない」とのことだ。こうした、政治的配慮を行うのであれば、すでに公的に受け入れを拒否している自治体や条例で受入れを禁止している自治体にも配慮するべきだ。
 政府は廃棄物を生み出した現世代が処分を実施すべきというが、それを言う前に原発を止めるのが先決だ。これによって廃棄物の量を確定し、その上で処分の是非を含めて議論を進めるべきだ。放射能はいずれ環境に漏れ出て人間の生活に何らかの影響を与えかねないのだから、処分地決定を急がず、当面は貯蔵しながら、地下深部などの研究を続けることが必要だ。とはいえ、瑞浪、幌延の深地層研究は約束を守り、埋め戻すことが前提だ。
 特性マップ提示を契機として処分の安全問題のみならず、脱原発の議論を大いにすすめたい。
(ばんひでゆき)

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科学的でない!科学的特性マップ
北海道・幌延は「核のゴミ」を拒否します!
核廃棄物処理施設誘致に反対する道北連絡協議会 共同代表 久世 薫嗣


幌延周辺の「特性マップ」より作成
 今年7月末、経済産業省から核のゴミの最終処分地選定に向けての科学的特性マップが発表されました。
(1)沿岸部20キロメートル以内を適性が高い地域とする。これは国の30パーセントに相当する面積です。
(2)第4紀火山から半径15キロメートルの地域と油田や炭田のある地域を不適地とし、
(3)この他活断層周辺や隆起、浸食の大きな場所も不適地とする。
(4)都市部は除く。
 このマップは国土の3分の2が好ましいとされ、全国では900もの市町村になり、北海道では99の市町村が含まれているのです。そのうえ沿岸部から20キロメートル以内となると、またもや過疎地が狙われているのです。

断層帯と連動して大地震の恐れ
 しかし、このマップには様々な問題があります。まず、沿岸部20キロメートルの多くを輸送面で好ましいとしていますが、海岸線は一様でなく崖もあり砂地で浅い所もあり海の深さも違います。海からの輸送も可能かどうかも分かっていません。
 次に、今ある火山だけを対象にしていますが、火山はプレートの移動により徐々に活動の場所を変えるので、50~100万年の歴史を見て範囲を決めるべきだと思うのです。
 また、断層に関しても、40キロメートルより長い断層で地表に表れている部分だけを好ましくないとしていますが、実際の断層はほとんど傾斜しているため、黄色マークから外れたところで地震が起きる可能性を考慮していないし、地表に表れてない断層がマークされてない箇所もあります。
 北海道北部では、日本海側のサロベツ断層帯は長さ44キロメートルの逆断層タイプであり、傾斜している地域は幅数10キロメートルを除外しなければならないが、1キロメートル弱しか除外していません。現在の幌延町の研究所の真下には大曲断層があり、サロベツ断層帯と連動して付近一帯が大地震におそわれる危険性も含んでいるのです。


幌延でのトラクターデモ(写真:島田恵)
過疎と言われている所に押し付け
 北海道北部の幌延町では、核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の処分のための研究施設があり現在も研究が行われています。この研究所は、北海道内での激しい反対運動の中、妥協案として20年間を約束に2000年から始まったものです。研究所終了後は建物は解体、撤去し、穴は埋め戻し平地にするという約束です。
 その為に北海道・幌延町・日本原子力研究開発機構の三者で協定を結んでいます。この約束は守ると当事者は何回も公言しています。また北海道には核を持ち込まない条例もあり、二重の担保措置がとられていると理解しています。その時、国も研究と処分は明確に区分して行うとの約束をし、研究だけが行われてきたという経過があるのです。
 ところが、核のゴミの最終処分地が決まらない苛立ちから、国が前面に出て処分地の申し入れをするという方向に転じたのです。その第1段階が科学的特性マップの提示なのです。つまり、科学的というより社会的、政治的に進めようとする意図があるとしか思えないのです。
 人口の少ない、過疎と言われている所に危険な原発を立地したように、核のゴミも、またもや地方に押しつけようとしているのです!

処分場にさせないための監視を
 現在の研究所から西方向の日本海との間の沿岸部20キロメートル以内に浜里地区があります。この地区では産業技術総合研究所が2003年以降、14年間も調査・研究が行われていたのです、しかも今年も予算がつきボーリング調査が行われているのです(地図参照)。」今回の科学的特性マップの提示によりますます危機感を覚えます。原発立地地区はもちろん、原子力関係の施設があるところが狙われています。
 幌延では、約束の20年を守らせ、研究所の解体・轍去をめざし、処分場にさせないための監視を強め、核のゴミを拒否します!
(くせしげつぐ)

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米国向けミサイルを迎撃?
集団的自衛権議論の虚構


 グアム周辺に向けた「火星12」の発射検討、との北朝鮮側の報道が9月9日と10日にありました。これに対し、「小野寺防衛相は10日、北朝鮮が日本上空を通過して弾道ミサイルを発射した場合、安全保障関連法に基づき、集団的自衛権を行使して迎撃する可能性に言及した」(読売新聞)と報じられました。しかし、現在イージス艦に配備されている迎撃ミサイルSM3ブロックIAでは、グアム向けミサイルの日本上空通過時の高度に届くことができません。


幌延でのトラクターデモ(写真:島田恵)
安保法制の議論で忘れられた「技術的問題」
 第一次安倍政権時代の2007年、「技術的な問題は別として、仮に米国に向かうかもしれない弾道ミサイルをレーダーで捕捉した場合でも、我が国は迎撃できないという状況が生じてよいのか」という検討課題が「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に与えられました。首相辞任後の08年6月に出された同懇談会報告書も、第二次安倍政権で復活した懇談会による14年5月の報告書も、集団的自衛権を容認する憲法解釈変更により迎撃を可能にすべきだというものでした。
 小中学校や報道で見る地図だと日本の右に位置する米本土に向けたミサイルは日本上空を通過しそうな気がしますが、実際は、丸い地球の最短距離に沿った「大圏(大円)コース」を飛ぶため、上の地図のような軌跡となります(米国NGO「憂慮する科学者同盟(UCS)」のミサイル問題専門家デイビッド・ライトが核情報用に作成)。
 ライトの右の図は、2012年の人工衛星打ち上げに使われた銀河3号と射程1万2000kmの液体燃料大陸間弾道弾(ICBM)の初期の軌道の違いを示したものです。核情報の質問に答えてライトはブロックⅠAについてこう言います。「SM3はブースト(加速)段階での迎撃を目指すものではない。加速する標的を追うだけの機動性を持っていないからだ。だから、SM3が発射地点の近くに配備されている場合、相手のミサイルの燃料燃焼終了(バーンアウト)まで待ってから、上昇段階で迎撃を試みることになる。ICBMは、燃焼終了頃には、高度も発射地点からの距離も数百キロメートルに達している。そしてSM3よりもずっと速い速度で飛んでいる(秒速7㎞vs秒速3㎞)から、追いつくことができない。発射地点からずっと離れた地点で待ち構えて、迎撃ミサイルを発射し、横から弾頭を狙い撃ちしようと試みても、弾頭に到達できそうにない。秒速3㎞の迎撃ミサイルは、高度400~500㎞以上には到達できないからだ」。
 日米共同開発の到着高度1400㎞、秒速4.5㎞のブロックⅡAだとどうか(今年2月4日に最初の迎撃実験に成功、6月21日の2度目の実験は失敗)。「発射地点から十分に下がって迎撃ミサイルを発射すれば上昇段階での迎撃の可能性が高まってくる」が中ロ上空というコースのため、イージス艦の置き場所がないとライトは指摘します(上の図のように船を陸に?)。「西海岸向けは海岸線に近いから[沿海州沖の船から]撃てる距離にあるようだ。だが、中ロに向けて迎撃ミサイルを発射すれば両国の陸上に破片が落下することになる」。ライトはさらに両国に対する攻撃と誤解されてしまう危険性を指摘します。


グアム・ハワイ向けのミサイルを迎撃?
 ライトは右の図を使ってこう説明します。「日本は、約1000㎞の距離にある。どちらの場合も、この時点で弾頭が高度600~700㎞にある」。日本のイージス艦が日本を防衛すべく日本沿岸にいるとすると、ブロックⅠAでは撃ち落とせないということです。ブロックⅡAならちょうどいい位置に船がいれば迎撃の可能性が出てくるが、米国の船をグアムやハワイ側に置いて構えた方が迎撃の可能性が高まるというのがライトの答えです。
(「核情報」主宰田窪雅文)

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《投稿コーナー》
第20代高校生平和大使に参加して


国連での重松さん(手前)山尾さん(中央)
 今年も8月19日から26日まで、全国から選出された22人の高校生平和大使が、スイス・ジュネーブの国連欧州本部に核兵器廃絶の署名を届けに行きました。この活動は、国連や国際社会にも大きな影響を与え、多くのメディアに取り上げられるほどの注目を浴びています。都内の集会などでも署名活動を行っている東京と神奈川選出の平和大使からの報告。

「パレスチナ問題」に衝撃 現実と向き合う
東京都 大妻中野高等学校 重松舞子

 私は、高校生平和大使としてジュネーブの国連本部を訪問し、自分の役割と向き合い、被爆者の思いを世界に訴えることが無事にできたのではないかと考えています。私たちの活動は、当たり前ですが、沢山のサポーターの方々や支えてくださる方がいるからできているのだということも再確認できました。
 ジュネーブ滞在中に、様々な国の様々な人と交流ができました。特に印象に残ったのは、YWCAにインターンとして来ていた女性の「パレスチナ問題」についての話でした。
 パレスチナは分断されていて、分離壁も作られています。壁を越えて行くには、兵士が管理するチェックポイントを通らなければならず、監視の兵士の気分次第ではとても長い時間がかかることもある。そのため、妊娠していた女性が、時間内に壁の先の病院に行くことができず、チェックポイントを待っている際に出産をしてしまったという事実を聞き、とても衝撃を受けました。現在もこの地球上に、常に命の危険と直面しながら生きていかなくてはいけない方が沢山いるのだと知り、とても心が苦しくなりました。しっかり目の前にある現実と向き合い、今この地球で何が起こっているのかを知ることの大切さを実感しました。
 国際連合では、私たち平和大使22人のスピーチを、一言も聞き漏らすまいと目を離さずに真摯に聞いてくださる方々に感動しました。署名を渡す際も、私たちの目をしっかり見て"ThankYou"と言ってくださり、署名をしてくださった方の、そして被爆者の方の思いをしっかり受け取っていただけたのではないかと感じ、とても嬉しく思いました。赤十字の訪問でも、長崎市の寄贈した「長崎の鐘」を大事にされている姿をみて、感謝の気持ちと同時に、高校生平和大使として、そして唯一の戦争被爆国である日本の国民として、原爆が投下された過去としっかりと向き合い、もっと知識をつけていかなくてはいけないと感じることができました。

若者だから発信できる声がある
神奈川県 横浜国際高校 山尾みる

 高校生平和大使の活動や高校生1万人署名活動に出会うまで、神奈川県に住む私は核兵器について学ぶ機会や被爆者の方のお話を聞く機会は多くはありませんでした。核兵器廃絶という世界規模の大きな問題に対して自分の無力さを感じていました。しかし、高校生平和大使としての活動、特にスイス訪問の中で、私の核兵器に対する考えは大きく変わりました。
 私たちは国連軍縮部ジュネーブ事務所を始め、UNIグローバルユニオン、YWCA等の機関を訪問しました。そこでお話をしてくださった方々は、私たちのような若者が核兵器廃絶をめざして活動をしていることに対する喜びや賞賛の言葉を伝えてくださいました。その言葉を聞いて、私たちの活動は決して無駄ではなくむしろ価値のあることなのだと改めて感じ、自信になりました。「微力だけど無力じゃない」を心から実感できた瞬間でした。そして、若者だから発信できる声があり、そこに高校生平和大使の活動の意義があるのだと感じました。
 また、第20代高校生平和大使のメンバーとの出会いも私を大きく成長させてくれました。20年目という節目の年であり、核兵器禁止条約が国連で採択されたという大きな出来事があった年でもある中で、スイスでの活動に対して私は不安がありました。しかし、メンバー同士で励まし合い、相談や話し合いを重ね、力を合わせたからこそやり遂げられたのだと思います。22人それぞれが異なるバックグラウンドや価値観、考えを持っていて、それらを共有することで互いに刺激し合いながら1週間の中で大きく成長できたと思います。広島研修では緊張した面持ちで顔を合わせたメンバーが、約2ヶ月経った今では喜びも苦しみも共有できる本当に大切な仲間となりました。
 スイスで得たものに私の考えを踏まえ、今後に繋げていきます。私自身もこれからも大きく成長していけるよう努力を重ねます。本当にありがとうございました。

■高校生平和大使賛同カンパ振込先
郵便振替 口座番号00100-2-486011
加入者名 高校生平和大使を支援する全国連絡会

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各地の脱原発の動きから
暮らしを破壊する原発再稼働反対!
宮城県護憲平和センター事務局長 菅原 晃悦


女川原発
 女川原発(写真)が立地している宮城県牡鹿半島は、3・11東日本大震災で東南東方向に約5.3メートル移動、約1.2メートル沈下する地殻変動があった。原発は、想定された580ガルを超える震動で激しく揺さぶられ、火災事故や浸水による非常用電源喪失など、まさに重大事故と紙一重の状況にあった。地震と大津波に見舞われた住民は、仮に放射能漏れ事故が起きていても、避難どころか事故に気づくことさえ困難な状態にあったのは言うまでもない。
 にもかかわらず、2013年12月、東北電力は女川原発2号機の新規制基準に基づく適合性審査の申請を行い、「地震と津波に耐えた原発」と吹聴し再稼働の準備を進めている。本年8月10日、原子力規制委員会の適合性審査会合では、基準地震動を1000ガルとする東北電力の想定が了承された。既に、基準津波の高さも了承されており、地震・津波想定が固まった。今後は、原子炉建屋などの設備が基準地震動に耐えられるかの終盤審査に入る。
 5年の任期を終え9月に退任した原子力規制委員会の田中俊一委員長は、女川原発は「東日本大震災の被災原発であり、地震の影響をどう評価するか、苦労して審査している。慎重に進めなければならない」と述べているが、再稼働ありきの「慎重」はごめん被る。
 女川原発は、3・11東日本大震災以前にも、2003年の5・26三陸南地震、05年の8・16宮城地震で、いずれも当時の基準地震動を超える振動で揺さぶられている。県の有識者検討会では「完工から20年以上、繰り返しの揺れでジャブを打たれてきた。これだけにアクティブに揺らされた原発はない。原子炉などの主要設備をつなぐ配管などが弱点」とする指摘もある。
 私たちは、たとえ新規制基準適合性審査に合格しても、福島原発事故で深まった「放射能漏れ事故」への不安は払拭できない。地元紙の最近の世論調査でも「再稼働に反対」が68.6%と高止まりしているのは、自然と共生してきた暮らしが原発事故により破壊され、住民間、住民と自治体、農村と都市部等、いらぬ混乱を強いられているからに他ならない。
(すがわらこうえつ)

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〔本の紹介〕
「東芝 原子力敗戦」
大西康之著 文藝春秋刊

 名門重電企業・東芝が会社存亡の危機に見舞われています。巨額な債務超過を抱え、すでに東証1部から2部への降格、そしていまでは上場取り消しの瀬戸際まで追い詰められ、企業存続にむけてなり振りかまわず、傘下の優良事業の切り売りをしています。虎の子の半導体メモリ事業の売却を巡っていまだ最終的決着はついていません。
 そこまで追い詰められてきたのは何か。本書はそのことを追求したルポです。他の東芝問題関連の本「東芝大裏面史」(文藝春秋)、「東芝消滅」(毎日新聞出版)、「東芝崩壊」(宝島社)にも目を通しましたが、この本が一番のお勧めで、一気に読めます。
 歴代経営陣の確執と損失隠し、「チャレンジ」なる掛け声とともに行われた組織ぐるみの粉飾決算、経営破綻に結びついたアメリカの原子力会社・ウエスチングハウス(WH)に対する6600億円もの巨額買収などを丹念に追い、その中で蠢いた政治家や社内の動きなどが明らかにされています。
 特に、2000年代に入って原発ルネッサンスと叫ばれ、原発事業に大きく舵を切る動きの中で、政府と協力し、原発ビジネスをさらに推し進めようとした東芝。WHの買収で、東芝のこれまでの沸騰水型原子炉(BWR)の技術に加え、WHの加圧水型原子炉(PWR)の技術を持つことによって、両方の技術を持つ企業として世界の原子力業界でのトップを占めようとして動きました。
 しかし、2011年の福島原発事故により原子力をめぐる環境が大きく変わって、原発事業そのものが泥沼に入り、WH買収が大きな負債となってきました。原発ルネッサンスと呼ばれた時期に、今の安倍晋三首相や安倍政権を中心に支える当時の経済産業省の官僚の強力な後押しで東芝が買収に走ったことなど、経営陣だけでなく様々な人々が絡んだ結果の買収であったことが分かります。
 東芝問題は、単に経営陣だけでなく、政府・官僚の責任も大きいことが分かります。しかし彼らは一切責任を負わず、いまも原発推進に動いています。東芝は政治家や官僚に踊らされ崩壊しましたが、いまも安倍政権の原発推進政策で、電力や企業はさらに踊らされ続けるのでしょう。
(井上年弘)

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核のキーワード図鑑


北朝鮮危機、かくてわれもわれもと核をもち

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憲法理念の実現をめざす第54回大会を開催

10月28日~30日に「東アジアの平和のために、今こそ!憲法理念の実現をめざす第54回大会」(第54回護憲大会)を次のように開催します。(問合せは平和フォーラムまで)
日時:10月28日(土)~30日(月)
場所:東京都千代田区「日本教育会館ホール」(地下鉄「神保町」「九段下」「竹橋」、JR「水道橋」)「エッサム神田ホール」(JR「神田」)

10月28日(土) ◎開会総会13:30~14:30「日本教育会館ホール」
◎メイン企画14:30~17:00テーマ:「東北アジアの平和と日本」コーディネーター石坂浩一(立教大学准教授)パネリスト和田春樹(東京大学名誉教授)、伊波洋一(参議院議員・沖縄選出)、前田哲男(ジャーナリスト・軍事評論家)

10月29日(日)
◎分科会9:30~12:30「日本教育会館」「エッサム神田ホール」(1)非核・平和・安全保障(2)地球環境-脱原発に向けて(3)歴史認識と戦後補償(4)教育と子どもの権利(5)人権確立(6)地方の自立・市民政治(7)憲法
◎フィールドワーク9:00~17:00「丸木美術館」(埼玉県東松山市)と「吉見百穴(地下軍需工場)」(比企郡吉見町)見学
◎ひろば14:00~16:00(1)男女共同参画(女性と人権)(2)基地問題交流会(企画全国基地問題ネットワーク)(3)地元企画「第五福竜丸展示館見学(江東区夢の島)」(現地集合・解散予定)
◎特別分科会/運動交流15:30~17:30

10月30日(月)
◎閉会総会9:30~11:00「日本教育会館ホール」

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