2018年、ニュースペーパー

2018年01月01日

ニュースペーパー2018年1月



2018年、いや明治150年!?の年明け! 安倍9条改憲阻止!!
 2016年10月、政府は2018年の今年が明治維新から150年を迎えるのに合わせて記念事業を実施すると発表し、国が行う行事に「明治150年記念」の冠をつける方針を打ち出しました。これを受け、今年の国民体育大会および全国障害者スポーツ大会の名称は「明治150年記念第73回国民体育大会」「明治150年記念第18回全国障害者スポーツ大会」に決まりました。なお50年前の1968年10月23日には、安倍晋三首相の大叔父である佐藤栄作首相(当時)が「明治100年記念式典」を行っています。その年の国民体育大会は「明治100年記念」という冠称が付いていました。
 これまで、安倍首相は「米国によって押しつけられた憲法が、日本人の精神に悪い影響を及ぼしている」など、憲法「改正」をめざした発言を繰り返しています。そして、2017年5月3日には、憲法への自衛隊明記を訴え「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と意欲を示しました。憲法「改正」発議をするには、今年2018年、いや明治150年は、安倍首相にとって打って付けの年ではないでしょうか。
 平和フォーラムは、2017年9月に発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」に結集し「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」に全力を挙げて取り組み、改憲阻止に向けた大きなうねりをつくりだしていきます!

インタビュー・シリーズ:128
立憲民主の理念を軸として、次の時代へ
立憲民主党代表・弁護士 枝野幸男さんに聞く

えだの ゆきおさん プロフィール
 1964年栃木県生まれ。中学・高校と合唱部に所属し、中学では、NHK全国学校音楽コンクールに出場。東北大学法学部卒。弁護士を経て、1993年日本新党の候補者公募に合格し、第40回衆議院議員総選挙で初当選。現在9期。2017年10月に結成された立憲民主党代表。

─衆院選挙中「枝野さんありがとう」との言葉を頻繁に聞きました。しかし、立憲民主党の立ち上げは大変だったと思いますが、決断に至る経過はどのようなものだったのでしょう。
 新党を立ち上げることが良いとはわかっていても、当初は、無所属で出馬することになるだろうなと思っていました。両院議員総会のあった9月28日の翌日夕方、地元に戻ったのですが、なんとなく新党を作るのだろうという空気がありました。周辺では「民進党で立候補できないの?」「それは無理だろう」という話になり、それでは「新党を立てるしかないね」と、私よりも周りの人たちが、新党結成へという考えになっていたのです。そういう雰囲気があったので、私自身は新党結成の決断そのものに迷ったというよりも、実務的に可能であるかどうかが、むしろ最大の懸念でした。
 10月10日公示に間に合うように、党を作って、候補者揃えて、供託金を準備し、届け出をするということが可能なのかどうか。どれだけの人に、どうのように声かけていったらいいのか。今から新党を立ち上げて、一緒にやろうと言っても、参加してもらえるだろうか。そんな迷いは当然ありました。しかし、一緒に新党を立ち上げることになった辻元清美さん、長妻昭さん、近藤昭一さん、赤松広隆さんらと話し合っていくなかで、間に合わないことがあっても、「立憲民主の旗」をきっちりと立てることが大事なんじゃないかということになりました。大事な決定なので、慎重に考えはしましたが、大きなためらいはありませんでした。

─格差と貧困の問題を、立憲民主党は立ち上げの時から政治課題としてとらえています。この問題と背景にあるアベノミクスについてどのように考えていますか。

 「格差」という言葉は、周知されているので使いましたけれども、むしろ深刻なのは「分断」だと思います。アベノミクスは成功していると思っている人が、世の中には一定数の塊でいます。一方で、本当にひどい生活状況で、なおかつ目も向けてもらえない人も相当な塊でいるのです。単に経済的な差がついているだけではなく、社会の構造として分断されてしまっている。これが深刻だと、私は思っています。
 景気は悪くないと思っている人たちにとっては、貧困は特別な一握りの人としか見ていない。分断されている下の側からすると、自分たちは見捨てられている、放置されていると思って自暴自棄、あきらめきっている。だから、この分断をどうにかしなくてはと思っています。
 「格差是正は景気対策です」。この言葉は、私が選挙の時も強く意識し、これからも言っていこうと思っています。今の分断された状況下で「格差の下の人が気の毒だから、助けてあげましょう」というのでは、分断の中の勝ち組は反応しません。自己責任論という考えに流れていってしまっています。この人たちが、1、2割ならいいのだけれど、自分のことを勝ち組だと勘違いしている人びとが、おそらく半分か半分以上いると思います。そうしたなかで、「気の毒だから助けましょう」と訴えても、マジョリティーにはならない。だから「景気対策」なのです。「社会が分断されて格差が広がれば広がるほど、社会全体の成長力が落ちる」ということを、かなり意識して強く訴えたつもりです。ここに反応してくれた新しい層が、着実に増えてきていると思うのです。
 アベノミクスの考え方は、高度成長期の右肩上がり時代の成功体験でしかありません。人口が減少し、成熟した社会では、強いものをさらに強くすれば、格差はより広がり、ますます分断が進み、必ず消費は落ちます。従って経済にもマイナスであるということを、しっかりと訴えていかなければいけません。多くの人は、株が上がったからいずれ良くなるはずだといまだに感じています。株が先行指数だった時代は終わっています。そこから説明していかないと、なかなか広がりを持たないし、特に勝ち組だと勘違いしている人には届かないと思います。


市民連合の政策要望書を受け取る枝野代表
(2017年10月3日)

─民進党が希望の党に合流する際、改憲への姿勢が問題とされました。立憲民主党は明確に反対の声を上げました。しかし、9条や緊急事態条項に対する闘いは極めて厳しいと思います。

 安倍晋三首相の改憲論は、立憲主義に対する無理解を前提に、憲法をおもちゃに使っているということだと思っています。どこでもいいから条文を変え、とにかく改憲の実績を残したいという安倍さんにとっては、憲法はおもちゃに過ぎない。憲法が権力を制約しているルールなのだという立憲主義の自覚が全くない。だから、同じ土俵で議論のしようがないくらいに前提が違うと思っています。とはいっても、きちんとおかしいことを詰めていかなければなりませんから、正直言って悩ましいところです。

─枝野さんは、護憲という立場にいるわけではないのですね。
 24年前に選挙に出たときからそうなのですが、新聞などで全候補者アンケートがあって「護憲ですか、改憲ですか」と聞かれるわけです。でも答えようがありませんでした。良い方向に変わるなら改憲に賛成だし、悪くなるなら変えるのに反対という立場です。しかし、それではあいまいだと批判を受け続けてきました。良いか悪いかは中身によるので、良い方に変わるのに変えちゃいけないっていう護憲は、僕にとってはありえないと思っています。逆に何でもいいから条文を変えればいいという改憲論も、あり得ないと思います。

─「情けは人の為ならず」って言葉を、枝野さんはよく使っていますが。
 僕のものの考え方の背景にあるのは、政治が短期でものを見るか、長期でものを見るかということなのです。短期でものを見ている人からすれば、アベノミクスは正しいのかもしれない。労働法制のこれまでの改悪が典型ですが、目先の企業利益のためには、安くて首を切りやすい労働者は便利ですよね。でも、安くて首を切りやすい労働者を増やしてきた結果、何が起こるかというと、購買力が落ちるわけですから、消費が停滞する。付加価値を見いだし、それを作り出すのは人材なのですが、貧困の連鎖でしっかり教育を受けられない世代が出てきています。非正規雇用の労働者のなかでは、オン・ザ・ジョブ・トレーニング、すなわち働くなかでスキルアップを受けられない人が多数生まれています。中・長期的な意味からは、ものすごくマイナスなことになってしまいます。
 私たちは、中長期にものを考えましょうと言いたい。目先でものを考えたら損のように感じることでも、長い目で見たら得でしょうということを、ちゃんと国民に政治が伝えなければなりません。政治は、直近の選挙を意識して、どうしても超短期で物事を判断する方向にぶれていってしまいます。それがたぶん安倍政治であろうと思います。しかし、国民に伝えようと思ったら「情けは人の為ならず」の「情けは人の為だけではなく、いずれ巡り巡って自分に恩恵が返ってくるのだから、誰にでも親切にせよ」という本来の意味をみんなが見つめ直さないといけない。
 もう一例出すと、若い世代からは、年金、医療、介護などに力を入れると損だと言われるけれど、それは違う。若い世代の祖父母や親に対する扶養責任は、以前と比べたら大幅に減っています。年金制度が崩壊して困るのは若い世代なのです。介護サービスが十分でないから、現役世代の介護離職が出てくるのです。年金、医療、介護は若い世代のための政策です。まさに「情けは人の為ならず」です。でも、今の日本の政治は、人気取りだけで動いている。だから日本の経済は低迷しているのです。
 安倍政権が続く間に、世の中は本当に刹那主義に陥っています。政治運動のレベルに止まるなら、立憲民主党は政権を担うには至らないでしょう。刹那主義を破り将来を見据えた社会運動にしていかないといけない。刹那的に物事を判断するような社会風潮そのものを一緒に変えていこうという運動にしていかないと、政権には手が届かないと思っています。

─枝野さんが言われる「保守」という考えの中に、自民党が進めてきた戦後政治のあり方に対する疑問があって、以前には「脱近代」とも主張されていたように思います。枝野さんの言う「保守」には、近代への対抗的思想があるのではないでしょうか。
 こういう言葉を使うと誤解されるかもしれませんが、明治維新は「和魂洋才」だったと思うのです。ところが、安倍さんの頭には全くそれがない。要するに、アメリカナイズすることが良いことであると思っているのではないでしょうか。でも、それは、明治維新のスタートの時の意識とは全然違うと思います。欧米流の民主主義や近代資本主義、そして大量生産技術なども、日本は明治維新をきっかけにして導入することが出来たと思うけれど、それが、日本の守るべき歴史と伝統なのかと思っています。
 大量生産型経済というのは、成功はしたけれども今は限界に達している。経済のグローバル化も世界的には限界を迎えているのではないでしょうか。明治維新にスタートした欧米流の近代化政策が、今日壁にぶつかっているのに、そこに戻ってどうするのかという意識が私には強くあります。明治時代以降に取り入れた良い部分をきちんと活かしながら、本来日本社会が大事にすべきなのは何なのか、というのが私の言っている「保守」という一つの意味でもあるし、脱近代ということの一つの意味でもあるのです。
 微妙なテーマである天皇制と9条に関しても、実は明治維新から1945年の敗戦まで天皇が大元帥として統帥権を掌握した、直接軍事に関与したという時代は、おそらく後醍醐天皇の時代と明治・大正・昭和というこの時代だけですね。それだけおかしい時代だった。歴史を知らない人が「保守」とか言ってほしくないですね。
 日本は「和を以って貴しとなす」のはずだから、もともと平和志向なのです。第二次世界大戦で負けたから平和主義になったのではなく、その直前のたぶん1930年代から40年代が日本史にとって異色の時代だったからこそ、憲法9条を取り入れたわけです。
 戦後民主主義も、明治維新からの近代化の行き過ぎた部分を、再び加速させてしまったと思います。私は、あえて「保守」を強調して、戦後民主主義とそこにつながる明治維新より前からの歴史と伝統ということに着目していきたい。例えば、日本の村社会っていうのは、村八分みたいな近代社会では許されないことがあった一方で、相互扶助があったわけです。それが戦後の企業内福祉とか終身雇用制などに繋がっているというような歴史感覚が必要なのではないでしょうか。おそらく安倍さんや、「保守」と声高に叫んでいる人々にはないだろうと思います。そういう意味で、私は近代というものを評価しながら次の時代に入っていきたいと思っています。

─今後、どのようにこの困難な政局を乗り越え、立憲民主の旗を守っていかれますか。
 私自身も民主党、民進党で政権から離れた後の5年くらいは、後付けと言われるかもしれませんが、違和感は覚えながらも、とにかく野党が出来るだけ大きな塊になっていく、大きな政党になっていくということが、自民党に対抗することなのだと考え、その一端を担ってきました。その間の反省を込めて、政治的な主張というのは、クリアでなければいけないと思っています。政治は妥協であるというのも本質だけど、軸があっての妥協であって、軸が感じられないようなものは支持を受けられないのだと痛感してきました。結果として成功するかどうかは別としても、今回私も含めて、立憲民主党の旗で当選させてもらった人間は、まさにその理念政策を明確したことへの期待をもって勝っているわけですから、そこをぶれさせてはならないということは強く感じています。
 軸をぶれさせないで許される妥協の範囲というのは、政治家にとって、それは永遠の命題だと思うのですが、硬直的過ぎてもいけませんが、とにかく今まで軸が見えなさ過ぎたのです。そういう反省が出発点だということは大切にしたいと思います。


新宿駅南口で街頭演説(2017年10月14日)

─衆議院選挙の時に、名古屋駅前で枝野さんの演説を聞いた人が、立憲民主党の近藤昭一選挙事務所に「何か自分にも手伝うことはできないか」と言って訪ねてきたという話がありました。立憲民主党に期待している方は多いです。
 今回の選挙は、24年間私が地元でやってきたことを全国展開しただけなのです。私の地元のボランティアチームの人たちも、私の駅前の演説を聞いて、それで事務所に来てくれた人がほとんどです。最初の2回の選挙は落下傘で、組合の応援もなく大変でした。3回目の選挙からそれなりに格好がつくようなボランティアチームが生まれてきました。まさに街頭勝負で育ってきた政治家なので、今でも街頭で訴え、それに対する反応があり、「何か手伝いたい」とボランティアの方が来ていただけることは、自分が変わってないという意味で、ものすごく安心ができます。
 やはり話す中身と話し方の両面が重要なのです。今も趣味のカラオケで、どうやったら伝えわるかと考えながらトレーニングしています。これはものすごく演説に役に立ちます。間の取り方とか、抑揚の付け方とか。政治家には思いを伝えていく表現力が大事ですね。しかし、そんなこと考えながら演説していたらだめですから、自然に出るようにしないと。カラオケを練習したほうが良いと若い人達に言ってみようかな。
 次の段階は、今回支持してくれた人、手伝ってくれた人たちを、どのように緩やかなネットワークにしていくかということですね。そういう自主的に集まってくれた人を固いネットワークにしてしまってはだめです。緩やかなネットワークで、しかし、ずっと応援し続けてもらうために、まだブレーンストーミングの段階ですが、どうしていこうかと議論を始めています。当面は、全国どこに行っても話を聞いてもらえると思うので、年明けからまた各地を回って、直接訴えていきたいと思います。

インタビューを終えて
 「明治維新からの日本の近代化政策が限界を迎えている。そこに帰ってどうするのか」。枝野さんの言う「脱近代」の姿が浮かんでくる。将来を見据えた社会のあり方を問う場面で、そこに「分断」が立ちはだかっている。格差を通り越して「分断」された市民をどうつなぎ合わせていくのか、「立憲民主党」枝野代表の力の見せ所ではないのか。全力で支えよう。
(藤本泰成)

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沖縄はあきらめない!
全国の運動と連帯深め軍事強化と強権政治に抗う
沖縄平和運動センター 事務局長 大城 悟

政府による県民分断を許さない
 名護市辺野古では、県民や全国の支援者の反対の声を押し潰し、政府による埋め立て工事が強行されている。昨年の4月25日から石材を海中に投下した護岸工事が始まったが、現在、大浦側のK9護岸と辺野古側のK1、N5という護岸の工事が推し進められている。すべてが水深のない浅瀬の工事であり、政府のやり方は、できるところを優先させ、工事の既成事実化を図り、国の力を見せつけ、反対運動の衰退を狙ったものである。
 しかし、工事の工程は既に3年以上遅れ、護岸工事以外の本格的な工程の見通しはいまだ立っていない。予想以上に海底地盤は脆弱であり、その対策は簡単ではない。国もそのことを認め、今においてもボーリング調査船を何度も呼び戻し、地質調査を繰り返している。活断層の存在も報道されるなか、逆に焦っているのは国の方である。
 無論、少しずつではあるが工事が進捗しているのも事実であり、連日、ゲート前で反対運動を継続しながら完全に止めることが出来ていないところは悔しいかぎりだ。現場での阻止行動は何といっても数の力であり、工事は遅れているとは言え、楽観してはならない。あらためて阻止行動を強化する決意を固めたい。
 また、沖縄防衛局は工事の遅れを取り戻すため、資材(石材)の搬入を陸上のゲートだけではなく、海上からの搬入を計画し、昨年11月に試験的に海上輸送を実施した。その海上輸送に使われる港の使用許可を沖縄県が許可したことから、県民から不安と疑念の声が上がり、県が釈明することがあった。行政手続きは関連法令に照らして行われるということは一定の理解はするが、ことが事だけに納得いかない県民もいるだろう。しかし、私たちは、翁長雄志知事は一貫して辺野古新基地建設を阻止する姿勢を変えてないこと、そして、これは国のゆさぶりであり、県民の分断を目論んでいることを認識しなくてはならない。
 今後、港の使用については、あらためて沖縄県は許可条件の違反の有無などを精査し、許可の取り消しを含め、適切な判断をすることになる。私たちは、行政と県民が各々の立場でできることをしっかりやり、連帯することが最も需要であることを忘れてはならない。


早朝から飛行訓練をする米軍機(嘉手納基地)

宮古島の自衛隊ミサイル基地を止めよう
 与那国島の自衛隊監視部隊に続き、宮古島と石垣島へのミサイル部隊の配備が強行されている。既に宮古島では、地元住民の反対の声を無視し、工事の準備作業が始まっており、沖縄本島の米軍基地と併せ、沖縄全土が軍事基地化されようとしている。また、米軍と自衛隊の合同訓練の激化に見られるように、今後は、施設の共同使用も拡大され、アジアの緊張がさらに高まるのは明らかだ。軍備による抑止力と沖縄の地理的優位性を標榜した安倍政権の沖縄への基地押し付けは到底許されない。73年前の悲惨な歴史を繰り返してはならず、軍備増強によらない外交、防衛が求められている今、安倍総理の戦争する国づくりの暴走を止めなくてはならない。

弾圧を撥ね退け、名護市長・知事選挙で民意を示す
 2月4日が名護市長選挙の投開票日である。何としても稲嶺進現市長の再選を勝ち取らなくてはならない。市長は「陸にも海にも基地は造らせない」と、市民とともに基地建設に反対する姿勢を一貫して主張してきた。他方、政府からは「国に逆らった」として、基地所在自治体に交付されていた基地再編交付金を打ち切られた。しかし稲嶺市長は、不断の努力によりこれまで交付されていた以上に市の財政を確立させ、市民福祉や教育環境などを充実・拡大させてきた。姑息な国の常套手段である「アメとムチ」を真っ向から否定し、真の地方自治を確立させた行政手腕は高く評価されている。
 これは今後の辺野古の新基地建設に行方に大きく影響しているのは当然であり、ともに県民をリードしてきた11月の沖縄県知事選挙を左右する。名護市の発展と沖縄の未来を掛けたこの2つの選挙に勝利し「新基地NO」の民意をあらためて強く示さなくてはならない。
 山城博治沖縄平和運動センター議長らに対する裁判が、昨年12月20日結審し、判決は3月14日に出される。山城議長に対する検察の求刑は3人で最も重い2年6月で、リーダーとして運動を首謀したとした。これは憲法で保障された国民の権利を抑圧する不当極まりない弾圧である。特定秘密保護法や安保法制、共謀罪法と、この間、安倍政権が推し進めてきた戦争へと突き進む強権政治の典型である。
 沖縄、あるいは自らの権利と平和を願う市民に対する国や権力による不条理な仕打ちに負けてはならない。そして、動き出した憲法改悪を阻止し、平和と民主主義を守っていかなくてはならない。全国の運動とさらなる連帯と決意を固めたい。
(おおしろさとる)

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自治体の連携でオスプレイ配備と飛行訓練を止めよう
―自治体アンケート報告集の活用を─
ピースデポ副代表・オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会代表世話人 湯浅 一郎

安全性への不安は払しょくされていない
 「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」は、2017年2月から3月にかけ、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備及び飛行訓練に関係すると見られる81自治体(7都県、74市町村)を対象に、オスプレイに関するアンケート調査を行った。72%に当たる58自治体から回答を得て報告集を作成し、対象とした全自治体及び議員に送付した。
 アンケートの回答から、多くの自治体がオスプレイの「安全性を中心に政府の説明」を求めていることがわかった。後述するように、配備から時間が経つ中で、事故が頻発している状況から、安全性への懸念が払しょくできないと考えている自治体が多く、政府に説明を求めているのではないか。
 群馬県を中心に、長野、新潟、福島、栃木県にまたがる空域は、多くの市民が普通に暮らす空域であるにもかかわらず、米軍は「ホテルエリア」と呼び、この間、空母艦載機を中心に低空飛行訓練が常態化しており、これへの不安と不満が鬱積している状況も背景にある。その結果、具体的な要求として「訓練日、飛行ルートの情報提供」を求めている。この先には「フライトプランの事前提出」が自治体にとって共通の要求課題になることが見えている。
 しかし、2016年12月に沖縄県名護市の海岸で発生した普天間基地配備オスプレイの墜落事故に関しては、横田基地周辺自治体を除き、多くの自治体が「何も行っていない」と答えた。オスプレイの事故は、まだ他人事なのであろうか。しかし、2020年以降、横田基地に特殊作戦部隊の輸送を任務とするCV22オスプレイが配備されれば、本州における低空飛行訓練の実施は必至であることを視野に入れるべきであろう。


沖縄・高江で離着陸訓練を繰り返すオスプレイ

下がらない事故率 政府は説明できず
 こうした背景には、飛行時間が増えているのに事故率は減らず、むしろ上昇している事実がある。普天間基地配備のオスプレイは、近年、事故が絶えない。2016年12月13日、夜間空中給油訓練中、沖縄県名護市の海岸に墜落。さらに、2017年8月5日、豪州で訓練中、海に墜落し3人死亡。8月に大分空港、9月には新石垣空港に緊急着陸するなど事故続きである。
 政府は、配備当初、「オスプレイは10万飛行時間当たりのクラスA事故率が1.93で、海兵隊平均2.45と比べ最も低い。その上、飛行時間が増えれば、この値は更に小さくなる。だから安全」と説明した。クラスA事故率とは、被害総額が200万ドル以上、あるいは死者が発生したような重大事故の10万飛行時間当たりの発生回数をいう。しかし17年9月末時点で事故率は3.27と、過去最高になってしまった。「事故は、パイロットのミスによるもので、機体の安全性に問題はない」としているが、事故率が下がらない理由を政府は説明できないままである。これでは、自治体や住民の安全性への懸念が払しょくできないのは当たり前である。

自治体は市民の有している情報の活用を
 アンケート報告集で我々は、自治体に対し4つのお願いをしている。

  1. 県を窓口に、関係する自治体の連絡会を作り、情報の共有や意思表示を行ってほしい。
  2. 沖縄では、オスプレイ配備に当り全自治体が「反対」の声を上げているが、この声を聴いてほしい。
  3. 地元住民に対し、目撃情報の収集や提供を呼びかけ、市民と協働して、この問題に向き合ってほしい。
  4. オスプレイの運用に対する国内法の適用の第一歩として、航空法第97条に基づき国土交通省に提出している「飛行計画」(フライトプラン)の自治体への開示を求めてほしい。

 多くの自治体は、米軍基地問題の担当がいるわけではなく、大抵は総務課とかが仕事の一部として担っているのが現状である。従って、オスプレイの問題性につき自力で情報を集め、調べることには困難が伴うであろう。それを考慮すれば、整理された情報提供は、大いに感謝されるはずである。本アンケート報告集は、他の自治体の動きや意識を知ることにもなる。
 こうしたことを積み重ねることで、自治体からの信頼感を得られれば、今後、緊密な協力関係を形成できるであろう。自治体は、米軍機の訓練の最前線にいる住民の声を集めることができる強みがある。その声を活かして、自治体が政府に迫っていく構図を作りだすためにアンケートが寄与できればと考えている。
 このアンケートは首都圏エリアでのものであるが、米軍機の飛行は全国展開されているので、他の地域の運動体に対しても、とりくみの指針となりうるはずである。各地の皆さんに活用していただくことをお願いしたい。
(ゆあさいちろう)

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食とみどり、水を守る全国集会in熊本を開催
熊本地震からの復興や「水俣病」問題も課題に

 平和フォーラムなどで作る実行委員会主催の「第49回食とみどり、水を守る全国集会in熊本」が11月17~18日に熊本市で開催され、全都道府県から780人が参加しました。同集会は毎年、食の安全や農林業政策、森林や水を中心とする環境問題などについて、情勢や課題を話し合うために各県持ち回りで開かれているもので、今年は、昨年4月に大地震に見舞われた熊本で、震災からの復旧・復興に向けた課題や、61年前に同県水俣市で公式確認された「水俣病」の歴史や教訓を学ぶことも目的に開催されました。


シンポジウムで震災問題を討議
(11月17日・熊本市)

震災のダメージ大きい規模拡大・効率化農業
 全体集会で、主催者を代表して石原富雄・集会実行委員長(全農林労組委員長)は「衆議院総選挙で自公政権が3分の2を超え、憲法改悪の危機も迫っている。農林業政策でも、多面的機能を無視した効率優先の政策が一層進められようとしている。今後の政策や運動方向についてしっかり議論しよう」と訴えました。
 「熊本地震の復旧・復興から見えてきた課題」と題した全体シンポジウムは、「こうした震災は日本のどこでも起こりうることであり、熊本の経験を共有したい」(コーディネーターの久保研一・熊本県実行委員長)として開かれました。上益城農業協同組合の松本和文・益城総合支所長は、地震による農業の被害状況を説明し「特に、最新式の技術・設備を導入して、栽培面積を広げた所の方がダメージが大きい。災害の多い日本では、大規模化一辺倒は問題が多いのではないか」と指摘しました。
 熊本市内の水道局に務める佐藤智洋さん(全水道労組)は、水道の復旧に尽力した経験を振り返りながら、「熊本はまだ回復も早かったが、これが東京など水道管の老朽化が激しい大都市で起こったならば大変なことになる。今から対策が必要ではないか。また、水道事業は公営の方がこうした災害には強い」と民営化の流れにも警鐘を鳴らしました。
 地元の熊本日日新聞編集委員の小多崇さんは、被災者の避難所生活などを取材した経験から「さまざまな課題を顕在化させるのが震災だ。みなし仮設住宅を退去した後の生活再建までの見通しや生活困窮、孤立に陥らない目配りが必要だ」などと、今後の課題を提起。これに対して、宮城県の参加者から2011年の東日本大震災の時の仮設住宅問題についての経験が報告されました。
 最後に、「まだまだ道のりは長いが、日頃から祭りをやっているなど、地域のまとまりがあるところは復興が早い。一方、災害時には携帯電話を使った情報伝達が有効だったように、先端技術とアナログな人間関係を組み合わせることが大事ではないか」(コーディネーターの久保さん)などとまとめられました。

水俣病は経済成長重視の国策の問題
 特別報告として「水俣病の歴史と教訓、そして今の水俣に学ぶ」として、水俣市立水俣病資料館館長の島田竜守さんが、事件の発生から今日までの動きを説明し「水俣病は単に一企業の問題ではなく、経済成長を重視し、人の命や環境を省みなかった日本の国策の裏に隠れた大きな問題として捉え直すべきだ」と訴えました。第2日目の分科会でも「シンポジウム水俣病問題を考える」が持たれ、熊本学園大学水俣学研究センター研究員や、水俣病裁判を支援してきたチッソの元労働組合委員長、長年、水俣病問題を取材してきた地元新聞記者などが、「水俣病はいまだに終わっていない」として、今後の課題を議論しました。
 一方、「食の安心・安全・安定」を課題とする分科会では、県内の農業生産者や生協理事長から有機農業の拡大への課題が提起、また、広島県内の学校給食栄養教諭からは「食育事業により、子どもたちが地域に目を向け、農家に感謝の気持ちを持つようになってきた」との報告がありました。
 「食料・農業・農村政策」をめぐっては、安倍政権の進める「グローバル農業」化の動きに対し、県内の生産者、県議会議員などから「輸出依存ではなく、内需拡大を目ざす農林業を」「過疎が進む地域を立て直すために環境支払い制度が必要」などと提起がありました。
 「森林・水を中心とした環境問題」の分科会では、九州森林管理局担当者から、熊本地震や九州北部豪雨を例に山地災害と復興対策についての報告があり、森林の適切な管理の重要性が指摘されました。一方、大阪の市民運動団体代表から大阪市の水道民営化計画に対する取り組みが報告され、「水道民営化は時代遅れであることを市民に訴え、民営化を止めた。自治体行政への住民の関与が大切」と訴えました。
 また、フィールドワーク分科会は、熊本地震の被災地である益城町や南阿蘇村を訪ねて、震災の実態を目の当たりにしながら、被災地の「震災の語り部」から説明を受けました。
(市村忠文)

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韓国の脱原発政策の実情
福島惨事の教訓を活かせない韓国の原子力ムラ
円仏教環境連帯(韓国) キム・ポンニョ

進展しない「脱核」を宣言後の原発政策
 新たに誕生したムン・ジェイン大統領の原子力政策には大きく失望させられている。ムン大統領は「老朽原発は寿命延長しない、建設中のものは白紙化させる、増設はない」と公約し、期待と関心が高かった。大統領に就任してからいつ建設を中断させてくれるのかを反原発派は待っていた。
 昨年6月19日、古里1号機の閉鎖式典に参加したムン大統領は「もうこれ以上新しい原発建設はない、これからは脱原発へ向かう」と「脱核」宣言をした。しかし白紙化の対象である建設中の新古里4号機と新ウルチン1・2号機には一切言及することなく、新古里5・6号機の建設中断の是非についても公論で決めると発表した。明らかにこれまでの公約とは違うにもかかわらず、反原発派は、公正で徹底的な議論の場が保障されるなら勝つと考え、公論化を受け入れた。
 公論化委員会が無作為に市民500人を任命し「市民参加団」を作り討論させた。しかしながら結論の発表までに3ヶ月という期間はあまりにも短すぎた。巨大な建設会社や韓国水力原子力発電(韓水原)を始めとする核産業界の嘘をただす時間も足りなかった。原発ゼロでも十分な電力設備があるにもかかわらず「原発建設を中断すると、3割近く建設したお金が無駄になり、電気料金も高騰する」と宣伝された。さらに、「再生可能エネルギーが原発を代替することは不可能だ」と原子力工学や機械工学の教授たちが推進のラッパを吹いた。「建設中断は困るので新古里5・6号機を最後の建設にするから、これだけは建設させてほしい」という訴えが、公論化「市民参加団」を動かしたようだ。もっとも、この「市民参加団」には最初から建設継続の賛成派が多数いたことが後で分かった。
 強固な原発推進派の自由韓国党は、「脱原発政策は原子炉輸出の障害であり、重金属の固まりであるソーラーパネルを屋根に乗せてそれでも生活しますか」、など強烈な発言(虚偽)を振りまいている。にもかかわらず青瓦台(大統領府)と与党は、中立を理由として沈黙していた。国営のテレビKBSや公営のMBC放送局は、ちょうどストライキの最中だった。とんでもない攻撃をただす反論の機会を逸してしまった。
 新古里5・6号機の建設継続には「市民参加団」の59%が賛成する一方で、原発は拡大よりは縮小だという意見が4倍以上も多く、矛盾する意見が出て驚かせた。しかし最初から推進派が多く、議論が深まらないまま多数決で決まってしまった。民主主義の仮面を被りながら、それでいて少しも公正でなかった公論化の議論を、「円満に成功させた」と青瓦台は自画自賛し、マスコミもそれに追随した。


200回目の霊光原発定例抗議デモ(2016年9月)

建設中断と早期閉鎖に主力を
 現在、韓国の原発24基と、建設中である5基は、霊光にある6基以外は全て東海(日本海)に並んでいる。さらに建設中のものは世界で一番大きい140万キロワットで、5基の出力を合わせると古里1号機(58.7万kW)の10倍を超え、設計寿命も30年から60年に延びている。慶州にある月城1~4号機のキャンドゥ炉以外は全て加圧軽水炉である。事故が起きると放射能は偏西風に乗り日本海へ流れる。
 耐震設計はたった196ガルに過ぎない。地球は地震の活動期に入っており、韓国でも地震が襲っている。2016年9月、慶州でマグニチュード5.8、2017年11月には、ポハンでマグニチュード5.4の内陸地震が発生して韓国人を震わせた。韓国には大きい地震がないと思いがちだが、歴史的に見たら1600年代と1700年代には推定規模マグニチュード7以上の地震が起きて死者が発生している。
 韓水原は、御用学者や原子力文化財団を利用して、韓国の原発は世界一安全だと宣伝している。今まで大きい事故がなかったし、岩盤の上に造ったので安心できる、水素除去装置を設置したので万が一核燃料が溶けても水素爆発はないと豪語している。大地震が起これば、水素除去装置ぐらい簡単に壊れることは言わないず、市民を騙している。
 反原発派は、公論化の罠に落とされた。慶州地震よりポハン地震の方が規模は小さかったのに、被害は5倍も大きかった。もしポハン地震が公論化議論の途中で起きたら、議論は違ったものになっただろう。地震が多発しつつある韓国でも脱原発を急がねばならない。古里原発や霊光原発でも格納容器ライナーの内張り鉄板で穴が幾つも空き、補修したことが明らかになった。霊光4号機では蒸気発生器内でハンマーが発見され、蒸気発生器を丸ごと交換することが発表された。事故や事件が次々と明らかになりつつある。
 政権は代わったけれど、原子力ムラは健在で、原発に関連する恐ろしいニュースだらけである。始末できない核のごみ問題と原発震災の危険性を浮き彫りにしながら原発安全神話を壊したい。

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核兵器発射ボタンの指 米上院で41年ぶりに議論

 昨年11月14日、米国上院外交委員会は大統領の核兵器発射命令に関する公聴会を開きました。この問題についての公聴会は41年ぶりのことです。次回選挙の不出馬を表明しているボブ・コーカー委員長(共和党)は、秋に「彼がしているようなコメントでは我々は第3次世界大戦に向かっていることになるかもしれない」とトランプ大統領の言動について懸念を表明していました(ニューヨーク・タイムズ10月9日)。この日の公聴会では「大統領がこの命令を出す唯一の権限を持っている。それが敵からの核攻撃に対応するものであるとないとにかかわらず。この命令が出され、それが本物であることが確認されれば、これを撤回する方法はない」と述べています。公聴会開催の背景には、大統領の権限を制限するための法案を提出しているエドワード・マーキー上院議員(民主党)らの働きかけがありました。元戦略軍司令官ら3人の証人は、現状でも大統領は軍部などのアドバイザーらと協議する体制になっており、このような制限を課すことには慎重であるべきだと主張しました。マーキー上院議員は「将軍たちを信頼して大統領の監視役を任すべきとは思わない」と応じました。

大統領の権限を制限する法案と公聴会
 マーキー上院議員らの法案は次の通りです。(1)議会の宣戦布告なしの核兵器先制使用を禁止する法案(マーキー上院議員及びテッド・ルー下院議員(民主党)、トランプ大統領就任から4日後の2017年1月24日提出)(2)議会の承認のない北朝鮮に対する先制攻撃を禁止する法案(マーキー上院議員及びジョン・コニャーズ下院議員(民主党)、2017年10月26日提出。コニャーズ議員が12月5日にスキャンダルで辞職したため先行き不透明)(3)議会の承認のない北朝鮮に対する先制攻撃戦争を禁止する法案(クリストファー・マーフィー上院議員10月31日提出)(4)核兵器先制不使用を米国の政策とする法案(準備中。アダム・スミス下院議員がナンシー・ペロシ下院民主党院内総務の支持を得て)。
 今回の公聴会が開かれたことは、「北朝鮮はこれ以上米国を脅さない方がいい。世界がこれまで見たことのないような怒りと炎に見舞われることになる」(8月8日)などと発言しているトランプ大統領が核兵器使用命令を出せば数分のうちに核兵器が発射されてしまう現状についての懸念が広がっていることを示しています。

証人らは大統領の権限制限に否定的
 3人の証人の発言は次のようなものでした。
ロバート・ケーラー元戦略軍司令官(空軍大将)
「米国軍部は大統領の命令があればそれが何であれ目を瞑って従うわけではない。核兵器使用の大統領命令は違法なものであってはならない。」
(18日、現在の戦略軍司令官(空軍大将)ジョン・ハイテンがカナダ・ハリファックスで開かれた国際安全保障会議で、同様の発言。大統領が違法な命令を出せば、軍部は合法的な代替案を「提案する」というもの。)
ブライアン・マッキーオン元政策担当国防次官代理(オバマ政権)
「国家安全保障会議(NSC)や文民及び軍部のアドバイザーと協議するようになっている。」(差し迫った脅威となっていない核兵器国と戦争を始めることを考慮しているなら、そのような行為は議会の承認を必要とすると説明。トム・ユーダル上院議員(民主党.)に「差し迫った脅威」の定義を聞かれ、状況によると答えた。要するに、大統領が独自に判断できるということ)。
ピーター・フィーバー元NSCスタッフ(クリントン及ブッシュ(子)政権)
 軍部には「命令は合法だとの推定がある」、「状況によっては他の閣僚らの承認を必要とするようにするなど、改善の可能性を考えてみてもいい。」
 ユーダル上院議員が核兵器の「先制使用についての決定を有効なものにするには少なくとももう一人の承認を必要とするようにするのが理にかなっていないか」と問いかけましたが、3人ともこのような変更に反対しました。
 現状でも文民が関与できるという話について、ウイリアム・ペリー元国防長官(クリントン政権)はそんなことにはなっていないと言います。「命令は直接戦略軍に行くかもしれない。国防長官はこの過程に必ず入るようにはなっていない。だから、5分、6分、7分というような決定において、国防長官は恐らく、時すでに遅しという段階まで耳にしないだろう。もし、時間があって、大統領が国防長官と相談したとしても、それは助言にすぎない。それだけだ」(ポリティコ、2017年11月14日)。
 コニャーズ・マーキー法案を通過させるべきだというペリー元国防長官は「今は通過しそうにないが、状況は変わるかもしれない」と述べています。

核兵器の本質にかかわる問題
 マーキー・ルー法案の支持者は増えてきています。現在、上院は13人(一人は無所属)、下院73人(一人は共和党)。上院では民主党議員の4分の1、下院では3分の1の支持を得ているということです。マーキー上院議員は、公聴会で「米国あるいは同盟国に核攻撃があったというのでなければ、一人の人間が人類によって考え出された最も大きな破壊力を一方的に解き放つ権限を持つべきではない」と述べました。今回の焦点は米国のトランプ大統領ですが、特定の国の特定の指導者に関わる問題というより、核兵器の本質にかかわる問題です。
 *本稿は主として米プラウシェアーズ財団のトム・コリーナ(ディフェンス・ワン、17年11月14日)と米NGO軍部管理軍縮協会(ACA)のキングストン・レイフ(ACA、17年12月1日)及び米憂慮する科学者同盟(UCS)のスティーブン・ヤング(私信、17年12月)に依拠。

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《投稿コーナー》
技能実習法の成立とその限界─安易な拡大は根本的な改善にならない
移住者と連帯する全国ネットワーク・運営委員/公益社団法人 自由人権協会・理事 旗手明


外国人労働者の権利を求めてデモ
(2017年3月12日・日比谷野音)

急増著しい技能実習生 労働法違反も頻発
 いま日本は超高齢化社会に向かう中、外国人労働者は2016年に100万人を超え、在留外国人は17年6月には247万人に達しており、日本社会はすでに外国人、外国人労働者とともに歩む時代に入っています。
 他方、日本政府は、ここ数年、外国人の建設・造船就労者、家事支援人材、在留資格「介護」の創設、農業支援外国人(特区のみ)など、矢継ぎ早に外国人労働者の導入政策を展開してきています。しかし、「移民政策と誤解されないように」という安倍晋三首相の言葉に従ってか、包括的な外国人労働者政策が描かれないまま、人手不足の厳しい分野からなし崩し的に受け入れるものとなっています。
 こうした中、17年11月1日に技能実習法が施行されました。1993年に始まった技能実習制度は、それまでの「研修」と連結されワンセットで実施されてきました。しかし、さまざまな人権侵害が明らかとなったことを受けて、「研修」とは分離して、労働法を全面的に適用する在留資格「技能実習」が2010年7月に創設されました。それでも問題解決の見通しが立たず、今回、特定の在留資格に対する単独立法としては初めて技能実習法が制定されたのです。
 現在、技能実習生は急増しており、その在留数は、2011年末の141,994人から17年6月末には251,721人(77.3%増)となっており、就労可能な在留資格545,549人の46.1%を占めています。
 そして、厚生労働省労働基準局が毎年発表する「外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検の状況」をみると、労働法規違反の事業場数も、13年の1,844件から16年は4,004件と2倍を超えて増加しています。違反内容としては、「時間外労働に対しては、実習1年目は時間単価が300円、2年目は400円、3年目は450円しか支払われない」「技能実習生4名に、最低賃金額未満の賃金及び不払の割増賃金、総額約520万円が支払われた」「繁忙期の人手不足で、実習生11名に1ヵ月最長130時間程度の違法な時間外労働を行った」などとなっています。

送出し機関への刑事罰規定が無いなど多くの欠陥
 技能実習法では、(1)監理団体を許可制とし、実習実施者を届出制とする、(2)技能実習生ごとに作成する技能実習計画を認定制とする、(3)技能実習機構を新設し、実習計画の認定、実地検査、実習生に対する相談・援助等を行う、(4)人権侵害について罰則を規定する、などの規制策を定めています。また、送出し機関への規制は、送出し国との二国間取決め(協力覚書)によることとし、2017年11月までにベトナム、フィリピン、カンボジア、インドの4か国と締結しています。
 他方、拡大策では、優良な実習実施者・監理団体に限定して、技能実習3号(2年間=従来の3年から5年への延長)を認めることとしたほか、受入れ枠の大幅な拡大、受入れ職種の拡大も図られています。しかし、こうした拡大の前提となる「優良」の判断基準は極めて甘く、安易な拡大になってしまう可能性が高いと言わざるを得ません。
 旧制度での受入れ枠は、常勤職員数が「50人以下」の時は最大9人まででしたが、「41人以上50人以下」では最大60人まで、「6人以上30人以下」は最大36人までなどと大幅に拡大されました。
 しかし、技能実習法には、送出し機関に対する刑事罰規定がないこと、技能実習生の意思に反する強制帰国にも刑事罰が定められていないこと、実習実施者への現地調査が3年に1回にとどまっていること、低賃金労働に対する効果的な規制が図られていないこと、二国間取決めには法的な拘束力がないことなど、多くの欠陥があります。その結果、技能実習法が制度の根本的な改善を実現できるとは到底考えられません。
 また、技能実習・介護の始まりは、技能実習制度が生産現場のみならず、人々の生活の場に進出することを意味しています。と同時に、介護を受ける人たちのいのちと健康に直結していることも忘れてはなりません。しかし、実習生の日本語能力が十分担保されておらず、サービスの質や緊急時の対応などにも懸念が残っており、介護分野への拡大には大きな問題があります。
 技能実習制度に対しては、「強制労働」や「人身売買」として国際的な批判が続いています。国連からは、2008年の自由権規約委員会をはじめ、女性差別撤廃委員会、人身売買に関する特別報告者、移住者の人権に関する特別報告者、人種差別撤廃委員会などから問題が指摘され続けています。また、米国国務省人身取引報告書では、2007年から2017年まで毎年問題を指摘されています。
 このままでは技能実習制度の改善が覚束ないまま、制度の急速な拡大が進行することになります。私たちは、これまで以上に厳しい眼をもって、技能実習制度の状況を注視しなければなりません。
(はたてあきら)

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加盟団体の活動から(第1回)
「白タク」合法化反対、安心できる「ハイタク」へ
全国自動車交通労働組合連合会 書記次長 森田 貫二


安全破壊の白タク合法化阻止!ハイタク労働者総決起集会
(2016年3月8日 東京・日比谷)

 全自交労連は終戦後の1947年9月、京都市で、「大衆の足」であるタクシーの公共性を明らかにしつつ、要求の積み上げに取り組み、ハイヤー・タクシー労働者の賃金、労働条件、生活と権利を守る砦として、全自交労連の前身の「全旅労連」として産声を上げました。
 労連の結成宣言には「ハイタク労働者の団結を強調するのみならず、労働戦線全体の統一を熱望している。すべての政策目的は働く者の幸福を伸張するにある如き社会の達成を」と、その展望を明確に指し示し「団結こそは労働者の武器である」ことを誇らかに宣言し、ハイタク労働者の期待を担いつつ、闘う労働運動の潮流に加わりました。
 しかし、ハイタク労働者の要求実現のためストライキ闘争を強化するも、資本の巻き返し攻撃を受け、すでに獲得していた経営参加の権利や人事権などもはく奪され、組織的な攻撃も受け、かなり困難な事態を迎えた時期もありました。その後「神風タクシー追放運動」をはじめ、運転代行や軽貨物による白タク行為排除の闘いを押し進め、この取り組み等を通じて培われた運動は、今日の規制緩和反対の闘いに引き継がれています。
 この20年余は、規制緩和攻撃との闘いに明け暮れた時代でした。1980年代前後に台頭した市場原理万能主義の潮流の中で、ハイタク事業にも規制緩和の圧力が強まりました。私たちは、破壊的な競争により輸送の安全を損ない、良質なタクシーを瓦解させるとその危険性を訴え、規制緩和反対を掲げ組織の総力をあげて闘ってきました。
 いま「シェアリングエコノミー」という美名の下で、「ライドシェア」と称する無資格者が自家用車を使い、一般人をお客とし運賃を収受する、いわゆる「白タク」を合法化しようとする動きが顕著になっています。世界ではウーバーやリフトというIT企業が媒体となり、手数料を搾取し、運送の安全管理や責任は一切負わないということが問題となっています。こうした事業を日本政府は推進し、導入しようとしています。
 私たちは、ハイタク産業全体の命運をかけて、この合法化を阻止するとともに、これからも安全で安心して「大衆の足」となる業界を維持発展させるため、市民団体などとともに団結を強化し闘います。
(もりたかんじ)

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〔本の紹介〕
崩れた原発「経済神話」―柏崎刈羽原発から再稼働を問う
新潟日報原発問題特別取材班/明石書店

 いま、東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働させようと動き出しています。その是非を問うものの一つとして、原発がこれまで地域社会にもたらした経済効果について、藤堂史明・新潟大学経済学部准教授(環境経済学)と新潟日報が協力して実証的に分析したのが本書です。地元企業100社に、原発がどれだけ経済的恩恵を与えているかをアンケート調査した結果、原発による地域発展がいかに「幻想」であったかが明確に示されています。
 私たちは、原発がなければ地域社会は発展しない、経済も良くならないと、原発推進側からよく言われてきており、いまも言われ続けています。電源三法交付金などで、立地地域に道路や箱物などが整備され、多額の金が動き、豊かになったように感じられました。柏崎刈羽原発でも建設工事などで活況を呈した時期も確かにありましたが、それもその時だけでした。工事が終われば状況は一段落となり、税収も年々減っていく。原発に頼ればさらに原発を誘致するという「悪循環」に陥ることになります。そして福島県双葉町に象徴されるように、財政が破綻し、早期健全化団体へと自治体が転落するところまで出始めました。原発で永続的に栄えた町はないのが実態です。
 柏崎刈羽原発を分析することによって、原発=発展、地域社会に原発は不可欠とする「経済神話」が虚構であったことが様々なデータによって浮かびあがりました。そのことは各地の原発立地地域にも共通する構造だと思います。「幻想」の後に残るのは、原発の廃炉と危険性だけです。そのことを実証的に示した本書は、一読の価値があるものです。
 また、東北電力管内の新潟県や福島県に東京電力の原発が設置された、その根本的な遠因についても紹介しています。電力が地元ではなく、首都圏の大電力消費地に送られていく構造が、すでに明治期から始まっていることが述べられ、地域の発展より都市の発展が優先される構造が今日まで連綿と続いていることが明らかにされています。地方の収奪によって都市の繁栄がもたらされていることが如実にわかります。
 まさに今にもつながる話であり、その原発を再稼働させようとする動きは、「経済神話」の延命と「地方の収奪と危険性の押し付け」を固定化するもので、許されるものではありません。
(井上年弘)

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核のキーワード図鑑


武器と原発でもうけたい

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戦争とめよう!安倍9条改憲NO!
2018年新春のつどい

 改憲をめぐる情勢と今後の取り組みについて、1月7日に「新春のつどい」が開催されます。多くの参加を呼びかけています。

日時:1月7日(日)14:00~16:30(入場無料)
場所:東京都北区王子「北とぴあ・さくらホール」(電:03-5390-1100)
   (東京メトロ南北線・王子駅5番出口直結、京浜東北線・王子駅北口徒歩2分)
内容:○ミニ・トーク:松尾貴史さん(俳優)
    ○講演:石川健治さん(東京大学教授)
    ○立憲野党あいさつ
    ○3000万署名運動リレートーク主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション
    戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

安倍9条改憲を許さない、安倍内閣の退陣を要求する1・19行動

日時:1月19日(金)18:30~19:30
場所:衆議院第二議員会館前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション
    戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

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