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ニュースペーパー2019年1月

2019年1月 1日

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玉城デニー 沖縄県知事インタビュー
 沖縄の置かれている現状は、同じ国民としてごく当たり前のことを求めているんです。日本とアメリカの安全保障であれば、それは日本全体で担うべき責任です。それを0.6%の面積しかない沖縄に70%の米軍基地を押し預けたままにして良いはずがないですね、では、どうすれば解決するのか、それは国民がしっかりと沖縄の問題に向き合って、政府に対して声を出す、皆さんの周りでその声を拡げていくという努力が一番必要だと思います。そこで共感できれば沖縄の求めている民主主義はやっぱり間違いなかったね、日本も分かってくれたね、日本の皆さんも私達の家族だよね、その気持ちが本当に繋がってくると思うんです。ですからその気持ちを是非大切に持っていただいて、一緒に取り組める所で、行動して頂けたらと思います。(インタビューで「本土の市民社会に伝えたいこと」に応えて・11月26日、知事応接室にて〈屏風は「万国津梁の鐘」の文字〉)

インタビュー・シリーズ:140
こう成りたい、みんなで作りたいという沖縄の新時代を
沖縄県知事 玉城デニーさんに聞く


たまき デニーさん プロフィール
 1959年旧与那城村(現うるま市)生まれ。ラジオパーソナリティ/タレントを経て沖縄市議会議員(2002年)。2009年から衆議院議員を4期つとめる。2018年9月、沖縄県知事に当選。

(表紙から続く)
─翁長前知事の要請を受けた形で、出馬を決断されました。その時、決断した最大の想いをお聞かせください。
 翁長知事が急逝されて、多くの県民の皆さんが、失意の中にあったと思います。私達も心に大きな穴が空いたぐらいの思いでしたが、これまで翁長知事が取り組んできた、辺野古に新基地を建設させないという事と、子どもの貧困対策を一丁目一番地に掲げて、本当に子どもたちのために、県をあげて取り組んでいこうという方向性、そして、沖縄経済にアジアのダイナミズムを取り込む、そのことが順調で様々な場面で成果が出ている今、政治家の使命感として引き受けなければならないと思いました。

─厳しい選挙だという予想でしたが、39万票と過去最高の得票、8万票の差、勝った要因は何でしょう?
 翁長雄志知事がご自身の命を削って、その先頭に立っていた、辺野古に新しい基地を作らせないということと、それに加えて選挙では、誰一人取り残さない優しい社会を作っていくんだということをしっかり訴えさせて頂きました。翁長前知事の思いと私の考えを、多くの県民の皆さんに理解していただき、それが当選に繋がったのではないかと思ってます。

─国会議員のときと比べると、県民の負託というか、思いの重さというか、相当感じられているのではありませんか?
 はい、今までは行政の事業、計画、予算をチェックする側でしたが、今はそれを一身にになって実行していこうという立場にいますので、重く感じています。県民の生活の向上と子どもたちのすこやかな成長のための安心、笑い声がこだまするような社会を作っていきたい、それは私の責任と信念というかやりがいにも繋がっているところがあると思いますので、そこはブレずに頑張っていきたいと思います。

─よく、心ない人達は沖縄は基地の交付金をいっぱい貰っているじゃないかと言うけれど、実は国からの交付金で言えばそんなにいっぱい貰っていないと
 たぶん、沖縄の置かれている特殊な状況をまだ理解頂いてないということもあるかもしれません。例えば沖縄では予算を交渉する場合、他の都道府県では省庁に予算請求をするのですが、沖縄は、内閣府に行う。復帰以降の予算の計上方式が、他の都道府県と全く違う一括計上方式なんです。ここでまとめて、内閣府にあげて、で各省に要求して内閣府がおろしてくる、その金額が、例えば3000億円という風になりますけれども、これは他の都道府県と予算の計上と受け取りが違うだけで、沖縄だけ特別3000億円貰っている訳では無いんですね。そこが他の都道府県とは違う状況だという事を私達も分かりやすく説明する必要があります。

─翁長知事が言われたように基地は沖縄の経済には役に立っていないんですよね。
 よく、沖縄は基地があるから食っていけるんだという言い方をする方もいますが、1972年施政権がアメリカから日本に移ったその時は、働く場所もありませんから、基地で働いている人たち、あるいは基地の米兵を相手に商売をしている人たちもいっぱいいましたので、沖縄全体の経済に占める割合は15%ぐらいありました。45年戦争が終わった時には、それこそもう基地で食べなきゃいけないという状況で50%ぐらいを占めていたんですね。それが27年経って15%になり、2017年では県全体の県経済の5%ぐらいしか無いと言う状況です。それよりも観光関連産業が順調に伸びてきていますし、アジアのダイナミズムが沖縄に引き込まれることによって例えば、失業率ですとか、有効求人倍率とかの数字も劇的に改善してきています。ただ、残念なことに非正規がまだ多いということや、所得が追いついていないというところにもっと光を当てていかないといけないと思います。

─沖縄の歴史から、普通に一つの県として扱われていたら、もっともっと豊かになったのではないか。歴史の中で沖縄は差別され、沖縄戦もそうですけれど、そういう影響は感じられますか?
 歴史的な流れを見ると、もともと琉球王国、約450年続いていた、1609年の薩摩侵攻から1879年の廃藩置県、1972年の復帰とか様々な世代わりを否応なくさせられてきた事があるんですね。ただ、この歴史があるからこそ、沖縄の人たちはご先祖様の教えを大切にしようとか、土地を大事にしようとか、あるいは子どもたちを優しく見守ってあげよう―いわゆる「チムグクル」(思いやり、優しさ、助け合い精神)とかですね。そういう精神面の文化はその歴史が作ってきた一面もあると思います。要するにお互いが弱い立場だから。弱い立場同士は助け合わないとやっていけない。だから、お金があるなしではなくて、お金がある人はお金を使ってください、お金がない人はお互い助け合いましょうという事の県民性がアイデンティティとなって養われていると思います。それは、やはり苦労をしてきたという、大きな経験を持っているということだと思います。

─沖縄の戦後もまさしくそうですね。
 私の母も実は離島の出身ですが、戦争当時小学校5年生か6年生だったんですね、で捕虜収容所から家に帰ったんですが、貧しい農家で食べるものもないということで早くに沖縄本島に来て、子守りをしたり店番をしたりしながら、幼くても家計を助けるために働かざるを得なかったという経験もありますので、そういう思いや体験をしていらっしゃる方々が非常に強く平和を望む想いも、ご自身の体験から来ている信念なんだなと思います。

─そういう沖縄の想いが選挙で玉城さんを押し上げた原動力になっているのではないですか?
 そうですね、誰ひとりも取り残さない社会を作っていこうと呼びかければ、それが沖縄の「チムゴコロ」(肝に染みるほどの心情)だよねと理解して頂けますし、私は父親はアメリカ人、母親は日本人、戦後のダイバーシティの、多様性の象徴のように捉えられてましたから、今はこの多様性がおもてに出てくる時代ですよ。生まれの違いや出自の違いは関係ありません。あと3年半すれば復帰50年ですから、これからは、本当にみんなが、こうありたい、こう成りたい、こうやってみんなで作りたいという沖縄の新時代を、みんなで作りましょうという風に訴えると、僕の生まれ、出自そのものも、そうだよね、と皆さんに受け入れていただきました。必然的なことが有ったのかなと感じます。

─今言われた多様性を沖縄が取り込んでいくことで沖縄の将来を作っていくという考え方でしょうか?
 アメリカに行ってニューヨーク大学で講演させて頂いた時も、多様性の力、沖縄の誇りある民主主義ということをタイトルにして話をさせて頂きました。そのダイバーシティの街ニューヨークですから、ダイバーシティが当たり前の町でダイバーシティを訴え、さらにデモクラシーが当たり前の国でデモクラシーを訴える、という事は、沖縄だからその気持ちが届く、そのつながりを持っている方々が彼の国にいる、という事は、私達ウチナンチュの大きな味方が世界にいると思うんです。その歴史やヒューマンネットワークは非常に大きな力になると思います。

─選挙が終わって、そのすぐ後に辺野古の工事が始まって、話し合いをするけれども工事も進めていくという所で非常に苦労されていると思いますが、政府の姿勢は頑なではないですか?
 私は10月4日に知事に就任しましたが、10月3日には辺野古のゲート前に行って、「これからも頑張りましょう」と、お互いにその気持ちを新たにさせて頂きました。しかし一方で私は、やはり対話の中から解決の糸口を見つけられるのであれば、積極的に対話を持ちかけていきたいと、選挙後から訴えてきました。それが早い段階で総理や官房長官と会えて、この間約一ヶ月、協議をする時間が持てたのは非常に良かったと思います。しかし他方で、国は「辺野古が唯一」という考え方にずっとこだわり続けています。でも、先程来申し上げているように、国際社会で沖縄に、非常に共感した方々が大勢いらっしゃるんですね、ですから政府に対話を求めつつ、我々は世界に対してもその共感を呼び込んでいくための、行動は止めるべきではないと思います。当然政府は辺野古に新基地を作るために資材を投入したり、色々なことをやって来るでしょう。であれば、私達は、私達が持てるすべての力を使って、その辺野古の新基地建設を止めるために何ができるのか、真摯に考え一つ一つを行動に移していきたい。その気持ちに変わりはありません。

─僕らも辺野古に行かせてもらって座り込みをしたり、オジイ、オバアと話をさせてもらったりしますが、やっぱり沖縄の想いが凝縮された感じがします。
 非暴力を貫き、日本政府に対して声を出し、行動し、訴えても、それがなかなか認めて貰えない。いつになれば、沖縄のこの問題は終わるのか、いつまで沖縄にその問題を背負わせるのか、ずうっと求め続けているわけですよね。実はそれが魂(たましい)の飢餓感につながっていきます。アメリカに行ったとき私は、アメリカと日本と沖縄と民主主義に違いがあるんですか、と国務省の担当に聞きましたが、答えられない。沖縄を民主主義の例外に置き、国内法の例外に置いているという、それで民主主義が成り立つはずはない。であれば、沖縄の声を聞き届ける民主主義の責任があなた方にある、という事を言うと、やはり、普遍的な民主主義に対する価値観を彼らも否定出来ないわけですね。
 辺野古の現場で闘ってらっしゃる方々がいるから、逆に私達は、はっきり声に出すことができる、それは一体として、運動に繋がっていると思います。

インタビューを終えて
 辺野古新基地建設反対と子どもの貧困対策など県民生活の向上を掲げて、相手候補に大差をつけて当選してから約三ヶ月。玉城デニー沖縄県知事の前途には、政府の異論を挟むことを許さない強硬な姿勢が立ちはだかる。12月14日の土砂投入の強行。軟弱地盤と言われる大浦湾側の工事の目処は立たず、今後高騰することは間違いのない建設費には触れない。
 法を無視したなりふり構わぬ姿勢に、政府の「焦り」が見えてくる。沖縄県議会が承認した辺野古新基地建設の是非を問う県民投票が目前に迫る。このような中にあって、玉城知事には、「ゆとり」さえ感じられた。「民意」というものを背景にした政治家は、かくあるのか。ならば、県民投票は圧倒的勝利を呼び込まなくてはならない。
(藤本泰成)

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「命どぅ宝」(反戦、反核、反差別の精神)
ルポライター 鎌田 慧

「平和」とはなにか。
 「助け合って、ゆずり合って、教え合って、共に生きる人間のこと」と、沖縄・伊江島「ヌチドゥタカラの家」の主人、阿波根昌鴻の言葉である(『命こそ宝』岩波新書1992年刊)。
 それでは「戦争」とはなにか。
 「殺し合い、奪い合い、だまし合って生きる人間のこと」。「悪魔とは他の人間の犠牲の上に生きる人間のこと」(『米軍と農民』岩波新書、1973年刊)
 「戦う農民」として、ちいさな島で、平和闘争に生涯をかけ、101歳で世を去った、阿波根さんの穏やかな表情が、わたしの沖縄との最初の出会いだった。沖縄海洋博がはじまる直前、75年6月。沖縄本島北部、海洋博会場建設のために、ほぼ強制的に農地を買収された農民の間をまわっていたわたしは、そこから海を隔てたむかい側にみえる、カウボーイ・ハット形の伊江島にわたった。
 どうして、伊江島を訪ねたのか。もう43年もたっていて定かではない。阿波根さんは背筋のすっきりした、笑顔のやわらかな72歳だった。港のすぐそばで雑貨店を経営していたが、頂いた名刺には「真謝(まじゃ)一組」。米軍射爆場として強奪された元の住所が印刷されていた。
 「爆弾日記」と題された、30数冊のノートや爆弾を解体作業中に爆死した、島の若者の遺体の写真などをみせて頂いた。戦時中は島人だけで1500人の犠牲者。戦後になっても米軍は「銃剣とブルドーザー」を差しむけ、否応もなく土地を奪った。沖縄でももっとも残酷な戦争体験に曝された島だった。
 「わしゃ当分死なない。病気にもならない。休むこともできない」と阿波根さんがいった。「平和主義者が病気になると、戦争屋が喜ぶだけだ」(「週刊ポスト」(75年7月25日号)わたしは沖縄の連載記事の二回目に、伊江島での阿波根さんの闘いを書いた。その前の号では「皇太子訪沖阻止」を予告し、そのあと実際に、「ひめゆりの塔」で火炎瓶を投げつけることになる、若者たちのインタビューだった(拙著『沖縄抵抗と希望の島』所収)。
 阿波根さんの平和主義には、19歳の一人息子の戦死と祖父、両親、弟二人、妹ひとりをだした、妻の家族の犠牲への痛恨の想いがこめられている。戦前はキューバで5年、ペルーで5年の移民生活。帰国して開墾した伊江島の家は、戦後になってから米兵に燃やされ、土地は強制収容された。


「命どぅ宝」 南部戦跡を歩く沖縄平和行進団
「剣を持つものは剣によって滅ぶ」
 団結の家、のちの「ヌチドゥタカラの家」の壁に掲げられてあった、キリストの言葉にわたしは目を瞠った。彼の静かな口調をささえる精神の烈しさがこもっている。
 最後にお会いしたのは100歳になられる前で、養女として阿波根さんの運動をささえていた、謝花悦子さんが車いすを押していた。
 1996年の日米SACO合意のあと、沖縄北部辺野古の海に米軍飛行場と軍港建設が計画され、さらに北部山原(やんばる)、高江の森に、オスプレイパッドが建設されるようになった。
 本土から来た機動隊とガードマンが森に入りこみ、暴力を振るっている。かつて、伊江島の人びとが、米兵に銃口をむけられて土地を奪われ、誤射、誤爆ばかりか、狙撃され殺された過去がダブって見える。
 軍隊の基地は人殺しの基地である。戦争をするための基地である。「戦争はだまし合うこと」と阿波根さんがいった。戦争とは嘘が国の内外を支配することだ。
 わたしは、那覇から辺野古や高江への道を北上しつつ、遠く伊江島を望むとき、阿波根さんを思った。地獄の沖縄戦を体験した阿波根さんが、「生涯をかけて伝えたい」といっていた、沖縄琉歌にこめられていた、「命どぅ宝」の精神。それを生きた阿波根さんの偉大さが、ようやくわかるようになった。
 「命どぅ宝」は脱原発の精神でもある。なぜ、電力会社の儲けのために、住民が避難訓練をし、ヨウ素剤を常備して放射能汚染に備えなければならないのか。これでは、すでに戦争前夜だ。
 放射能によって故郷を追われ、生業から引き離され、家族がばらばらになり、被爆の恐怖に怯えて暮らす。そんな馬鹿げたことを政府が強制している。それだけでも、打倒の対象だ。
 日本社会は阿波根さんのいう、「他の人間の犠牲の上に生きる悪魔」に支配されている。自分の儲けのためなら、人は死んでもいい。それがこの国の道徳だ。命と儲けとの交換をもくろむ原発運転。東京電力が津波対策としての堤防建設をサボったのは、経費節減のためだった。
 しかし、あの強大な地震に、原子炉の配管が本当に耐えられたのか、不明である。プルトニウムやトリチウムばかりが、恐怖ではない。原発爆発事故の前には、チッソの有機水銀が垂れ流され、膨大な水俣病患者が発生した。
 PCB、アスベスト、六価クロム。儲けのために毒物が生産され、人間を殺し、生産中止となった。原発は廃炉、核兵器は廃棄しよう。いまなら、まだ間に合う。「命どぅ宝」なのだ。
(かまたさとし)

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ギゾー、ネツゾー、アベシンゾー
評論家 佐高 信

「民主主義の根幹を揺るがす」─大島理森衆院議長
 平野貞夫と私の共著『自民党という病』(平凡社新書)は、「安倍首相を内乱予備罪で告発する」という章から始まる。2018年9月7日、平野は安倍への告発状を最高検察庁に提出した。
 刑法77条には「国の統治機構を破壊し、(中略)憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動した者」は内乱罪に処すとあるが、まさに安倍のしていることは憲法を破壊する行為であるからである。
 自民党の前尾繁三郎が衆議院議長だった時の秘書をやった平野は、護憲の宏池会の流れを汲むので、清和会の小泉純一郎や安倍晋三らのタカ派ならぬバカ派の破憲行為にはガマンならない。
 あまり注目されなかったが、2018年8月1日付の『東京新聞』が、財務省の決裁文書改ざんや自衛隊の日報隠蔽について、衆議院議長の大島理森が「民主主義の根幹を揺るがす問題だ。立法府の判断を誤らせる恐れがある」という所感を出した、と報じた。
 大島は自民党の左派といわれた三木武夫の派閥に属していて、ハト派である。

「大阪のわかりやすい利権」─菅野完
 さすがに自民党の中にも安倍はやり過ぎではないかという声が出てきたということだろう。私もこれまでいろいろ安倍政権を批判してきたが、保守を自称する者の中に「安倍晋三への退場勧告」を突きつける者が出てきた。オビに「粗にして野だが卑でしかない!」と謳う適菜収(てきなおさむ)の『もう、きみには頼まない安倍晋三への退場勧告時代への警告』(KKベストセラーズ2018年)が興味深い分析をしている。この第2章が『日本会議の研究』(扶桑社新書)の菅野完との対談で、菅野が大阪の「わかりやすい利権」として、御堂筋の木に発光ダイオードを巻き付けたイルミネーションを挙げる。
 昼に見ると汚らしいのだが、壊れた発光ダイオードを住之江電飾の社員が回収しているという。住之江電飾は大阪府知事の松井一郎の実家である。それに適菜が、
 「御堂筋の電飾を始めたのは維新の会ですよね。松井の実家は笹川良一の流れだから、住之江電飾の照明や電気設備関係の仕事をやっていた。それで、仁徳天皇陵をイルミネーションで飾ると言い出したり」
 と応ずると、菅野は、
 「もっとわかりやすい利権は、『経済人・大阪維新の会』という新興企業の集まりがある。そこの会長を、サラヤの社長がやってるんです。大阪の公共施設はサラヤの石鹸を使っています」
 と受け、さらにこう続ける。
 「松井はすぐにキャッシュ化しようとする。怖いのはJRの車内の石鹸がサラヤに置き換わっていることです。安倍案件のホテルもサラヤの石鹸です。酒は(山口の)獺祭だし、タオルは今治タオル。即物的な利権という点では、松井=安倍なんですよ。そして菅義偉=橋下徹です。菅も橋下も行動がよくわからない。安倍と松井は頭の悪さと、下品さ、箸が持てないって点で共通している」。


国会正門前での抗議行動
2018年4月14日
「安倍と橋本にはイデオロギーがない」─適菜収
 国会前の集会で掲げてくれたプラカードに、「偽造、ねつ造、安倍シンゾー」という秀逸なそれを見つけたが、「普通の人たちが、巨悪に加担してしまうのが全体主義」という適菜の次の指摘になるほどと思った。
 「左翼はどこかに悪の根源があると想定しがちですが、むしろ左翼が大好きな『民意』、空気に流された『世論』が現代の悪を生み出しています。大阪の住民投票だって、約半数が賛成票を入れたわけです。安倍と橋下に共通することがあるとすれば、イデオロギーがないことだけです。イデオロギーもどきのものはありますけど。だから、形としては大衆運動になるわけです」。
 結局、安倍に対する闘いは「べき」を掲げていてはダメだということである。あくまでも具体を突きつけていくしかない。
 「彼らをイデオロギーで分析しても何の意味もない」と言う適菜は、「むしろ、どうでもよさそうなところに解決の糸口があったりする」として、「安倍と母親の洋子は、髪型が一緒」という事実を指摘する。
 「だから、どうした?」と言われても困るが、なにかがあるはずだという適菜は、こう続ける。
 「安倍は迎え舌ですよね。箸もきちんと持つことができない。安倍は犬食いだし、お椀もきちんと持てないし、同じ日本人とは思えないほど、食べ方が汚い。そしてそれを誰からも注意されないまま大人になってしまった。親身になって助言してくれる人との人間関係を築くことができなかったわけです」。
 下品な安倍を引きずり降ろすには私たちも上品さを捨てなければならない。
(さたかまこと)

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憲法理念の実現をめざす第55回大会が佐賀で開催
憲法ではなく、政治を変えよう!

 11月17日から19日にかけ、佐賀県佐賀市内において「憲法ではなく、政治を変えよう!憲法理念の実現をめざす第55回大会」(第55回護憲大会)が開催され、全国各地から約1600人が参加しました。3日間の日程のなかで、力のこもった提起と白熱的な議論が行われました。

戦争国家体制づくりの目論見を許さない
 開会総会は、佐賀県実行委員会委員長の大草秀幸さんのあいさつで始まりました。連合副事務局長の山本和代さん、立憲民主党両院議員総会副会長の神本美恵子さん、社会民主党党首の又市征治さん、国民民主党国対委員長の原口一博さんが連帯のあいさつ、地元・佐賀市副市長の御厨安守さんからは歓迎のあいさつがありました。また、沖縄平和運動センター副議長の仲村未央さんが沖縄県知事選挙勝利と新基地建設反対のたたかいについての特別報告を行いました。最後に、大会基調提案を勝島一博実行委員会事務局長が行いました。
 本大会の開会総会メイン企画は、この間、市民とともに運動にとりくんできた3人の憲法学者、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)、清末愛砂さん(室蘭工業大学大学院准教授)、清水雅彦さん(日本体育大学教授)と藤本泰成実行委員長によるシンポジウムとして行いました。
 まず、各パネリストから、自民党がいったい憲法のどこを否定し、どういった社会へとつくりかえようとしているのかについて、清水さんからは自衛隊明記などの9条改憲論の問題性、飯島さんからは「緊急事態条項」の問題性、そして清末さんからは個人の尊厳と両性の平等を謳う24条と非暴力社会構築についての提起を受け、自民党の改憲条文案や2012年の改憲草案からみえる現下の改憲策動の問題性についてのディスカッションへと移りました。
 自衛隊の位置づけを大きく高め、社会的価値観を大きく塗り替える。緊急事態条項によって権力を集中し、人権抑圧を正当化する。私的領域である個人や家庭へ介入し、社会まるごとの戦争動員を可能にする。いずれも戦争国家体制づくりのための重要なポイントです。こうした目論見を許さないために、憲法を変えさせてはいけないということを、パネリストからの指摘と応答のなかでしっかりと確認しました。
 2日目は「非核・平和・安全保障」、「地球環境―脱原発に向けて」、「歴史認識と戦後補償」、「教育と子どもの権利」、「人権確立」、「地方の自立・市民政治」、「憲法」の7つの分科会とフィールドワークが行われました。いずれも重要な提起と議論がありましたが、紙幅の関係上、個別の内容に触れることができません。平和フォーラムのウェブサイトに分科会報告を掲載していますので、ぜひご覧ください。
 最終日の閉会総会では「東海第二原発をめぐる動き」、「日米軍事一体化の動き」、「オスプレイの首都圏配備」、「女性課題」の課題についてそれぞれ特別提起を受けました。そして、勝島事務局長が大会全体の総括を提起しました。また「遠藤三郎賞」の表彰が行われ、40年近く毎月の反戦平和を訴える街宣行動にとりくんできた「I女性会議鳥栖支部」が受賞しました。最後に大会アピールを採択し、日本国憲法を変える必要はなく、むしろ今すぐ変えなくてはならないのは政治であることを確認するとともに、立憲主義や民主主義を取り戻すためにがんばる決意を固めました。

改憲・新基地建設を止めるため、安倍政権を退陣させよう
 本大会は、2017年に東京都内で開催された第54回大会に引き続き、改憲策動が公然とうごめくなかで開催されました。昨秋の臨時国会中に、昨年3月の自民党大会で提示された4項目の改憲条文案を憲法審査会に「提出」すること、また、実際に国民投票を実施するうえでの前提条件である国民投票法改正案論議をすすめることが目論まれていました。安倍首相があちこちで公言してきた2020年までの改憲のためには、スケジュール上必須だからです。
 国会内外での取り組みによって、このいずれをも、ひとまずは阻むことができました。しかし、今年の通常国会における政府・与党は、さらになりふりかまわぬ国会運営をすすめることが予想されます。参議院選挙が7月に予定されていますが、衆参同日選挙を行い「信を得た」として、強引に改憲気運を高めようとする可能性もあります。
 こうした情勢を踏まえるならば、「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」と「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」をいっそう拡げながら、職場・地域で、家族・友人・知人と対話し、改憲させない世論形成をすすめることが求められています。そのために私たちは、安倍政権が狙っている改憲の内容をしっかり把握していく必要があります。
 憲法理念を実現しようとする私たちが、沖縄・辺野古新基地建設を阻止するということ、改憲発議策動を打ち砕くこと、そして、そのたたかいのなかで安倍政権を退陣させるということを具体的な目標としながら、2019年も全力を尽くしていきましょう。
(山本圭介)

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第50回食とみどり、水を守る全国集会in群馬を開催
戦後の食、農林業、環境政策と運動を振り返る

 平和フォーラムなどで作る実行委員会主催の「第50回食とみどり、水を守る全国集会in群馬」が、11月30日~12月1日に群馬県高崎市で開催され、全都道府県から530人が参加しました。今年は、1968年の初開催から50回目の節目の集会となり、戦後の農林業や食、環境に関わる制度政策の変遷と運動を振り返り、今後の課題を検討する全体シンポジウムも行われました。

食・農・林・水が利潤追求の手段として奪われる
 全体集会で、主催者を代表し、柴山好憲・集会実行委員長(全農林労組委員長)が、半世紀にわたる集会と運動を積み上げてきた実績に触れた後、「規制改革推進会議主導の農業改革法案や水道事業の民営化推進、巨大な自由貿易協定など、農・林・水は、今までに経験したことの無いような厳しい立場にある。しかし、食、みどり、水は命の安全保障に関わる重要な課題だ。その大切さを全体で共有化するため議論を深めよう」と訴えました。
 北村智之・集会事務局長(平和フォーラム副事務局長)が集会の基調提起を行い、全国集会が始まった1968年前後からの食とみどり、水に関わる主な動きをまとめるとともに、最近の通商交渉の動き、食の安全・安心、農林業政策、環境問題についての情勢や運動の課題を提起し「政策の転換をめざして地域から運動を再構築しよう」などと呼びかけました。
 続いて「全国集会50回記念食・みどり・水をめぐる動きと私たちの運動課題」と題し、全体シンポジウムが行われました。
 全農林農林水産政策研究所事務局次長の原子秀夫さんは、戦後の食糧難時代からの労農提携運動、80~90年代のガット農業交渉とコメ・農産物輸入自由化反対の闘い、農業政策への取り組み等の経緯を説明し、「この間、食料自給率は大きく低下し、農業基盤が脆弱になってしまった。今後も多くの通商協定の発効で影響は大きくなる。どういう対策が必要か、運動の中で検証する必要がある」と述べました。
 全国山林労働組合の犬飼米男委員長は、戦後の森林の荒廃と復旧の歴史や、高度成長期の林業の低迷と森林の多面的機能重視の動きなどを振り返りながら、「森林は木材生産とともに環境を守る共有財産である。これは、農業や水ともつながる資源であり、これらの運動をつなげていく必要がある」と訴えました。
 また、きれいな水といのちを守る全国連絡会の辻谷貴文事務局長(全水道労組書記次長)は、60年代以降の環境や人体に害のある合成洗剤追放運動や化学物質問題、水・環境を守る取り組みなどを紹介し「いま最大の問題は水道事業の民営化問題だ。市民は蛇口の向こう側にあるものを見据え、労働者と共闘してほしい」などと提起しました。
 さらに、日本消費者連盟の元事務局長の水原博子さんが、1969年に日本消費者連盟が結成されてからの食や環境問題を中心とした各地域での消費者・市民活動の経過、原発や遺伝子組み換え食品などの国際的な課題の取り組みを振り返り「消費者の運動は憲法が保障する生存権を守るためのものだ。その憲法を壊す安倍政権にも対峙していかなければならない」と決意を述べました。
 こうした討議を受け、コーディネーターの大野和興さん(農業ジャーナリスト)は「食・農・林・水など、かつてはみんなの共有のものが、利潤追求の新自由主義のもとで企業に奪われようとしているのではないか。私たちの権利と生存権を守るために、一緒に運動をおこそう」とまとめをおこないました。


全都道府県から530人が参加
(11月30日・高崎市)
安倍政権の政策の問題点などを分科会討議
 第二日目は分科会が開かれ、「食の安心・安全・安定」を課題とする分科会では、消費者の権利を守るための食品表示の役割を提起。さらに、県内の有機農業生産者や学校給食栄養教諭から、良質で安全な地場農産物の地域内消費や農業と福祉の連携の重要性が訴えられました。
 「食料・農業・農村政策」では、県内で農事組合法人を立ち上げた代表や学者が討論。強引な安倍政権の農業政策の問題点が指摘され、「食料・農業・農村基本法を改正し、食料の『安全性』を優先するとともに、自給率向上が最大の課題だ」(谷口信和・東京大学名誉教授)などと述べました。
 「森林・水を中心とした環境問題」では、大学の研究者や森林管理局担当者などが、水道事業の民営化の問題や新たな森林経営管理制度をめぐって討論を行い、「水や森林は『社会的共通資本』であり、水道事業に民営化は適さない。不要なダム建設を中止しその予算を老朽水道施設の更新に転用すべき」(関良基・拓殖大教授)などと提起されました。
 一方、尾瀬の保全など群馬県内の特徴ある取り組みを紹介する「入門講座」や、世界遺産の富岡製糸場等を訪ねるフィールドワークも行われました。
(市村忠文)

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原発廃止と再稼働をめぐって
今年もせめぎ合いが続く
原水爆禁止日本国民会議 副議長 西尾 漠

 2019年は原発推進・脱原発の双方にとって、どんな年になるのだろうか。1年前のニュースを糸口に2018年を振り返りながら、19年を展望してみよう。 

福島原発 未解決の課題が先送りに
 18年1月11日、12日に原子力規制委員会の更田豊志委員長は、福島第一・第二原発のある浜通りの6市町を訪問し、第一原発敷地内のタンクにたまっているトリチウム等汚染水の海洋放出を迫った。タンクがじゃまで廃炉作業がうまく進められなくなるという身勝手な要求を、筋違いにも地元自治体につきつけたのだ。このトリチウム等汚染水問題では同年8月30日と31日に福島県内2市町と東京で、経済産業省汚染水処理対策委員会の「多核種除去設備処理水の取扱いに関する小委員会」が主催する説明・公聴会が開かれ、ほとんどの参加者が環境への放出に反対する意見を述べた。けっきょく問題は19年に引き継がれる。
 その福島第一原発の廃炉作業では18年1月19日、2号機の原子炉格納容器内が撮影され、燃料溶融物(デブリ)を確認した。とはいえ1~3号機のそれぞれの格納容器内外でどこにどれだけのデブリが、どんな形状・状態で存在しているかは、およそわかっていない。それでも19年度中に内部状況を把握、デブリ取り出しの方法を確定するとされているが、はてさて。
 18年1月26日から証人尋問が始まった東京電力元会長ら3被告の刑事裁判は12月26日、27日に論告求刑、19年3月12日、13日に最終弁論が予定されている。判決は年内か。公正な判決を期待したい。復興を錦の御旗とした帰還促進は全省庁ぐるみで進められ、被災者をますます追い詰めている。福島県は19年3月末をもって国家公務員住宅入居者の退去、民間賃貸住宅に対する家賃補助打ち切りを決めている。
 福島第二原発については18年1月5日、福島県の内堀雅雄知事が東京電力の小早川智明社長に20回目となる廃止要請を行なった。ようやく6月14日、小早川社長が内堀知事との会談で「具体的に検討したい」と表明。遅くとも19年中には正式に廃止されることになる。それに先んじたのが女川原発1号機の廃止で、10月25日の東北電力取締役会で廃止が決まった。経済産業大臣への届け出は12月である。福島原発事故の前に54基を数えていた日本の原発のうち、20基が既に廃止確定ということになる。廃止と再稼働のせめぎ合いは19年も熾烈になるだろう。

どうする使用済み核燃料の貯蔵
 18年に焦点化し、19年に引き継がれる課題としては、使用済み燃料の貯蔵がある。18年1月6日に共同通信は、関西電力が青森県むつ市のリサイクル燃料貯蔵(RFS)に貯蔵を委託する方針と報じた。RFSは東京電力と日本原子力発電が共同出資の会社で、同社も関西電力もむつ市も、こぞって報道を否定した。関西電力は、17年11月23日に福井県の西川一誠知事と会談した岩根茂樹社長が18年中に福井県外での貯蔵施設立地点を明らかにするとしていて、そこからさまざまな憶測が浮上したのだが、期限の12月となって本稿執筆の10日現在、関西電力の発表はない。なおRFSは18年後半としていた操業開始の予定がまたも困難となり、年を越すこととなった。
 政府や電力業界が使用済み燃料の貯蔵に力を入れているのは、六ヶ所再処理工場の操業開始のめどが立たないからだ。同工場の操業開始は、18年度上期とされていた計画が21年度上期へと変更されている。
 廃止措置中の高速増殖炉「もんじゅ」では、18年8月30日に燃料の取り出し作業を開始した。相変わらずトラブル続きで、先が思いやられる進行ぶりである。取り出し終了は22年末とされているが、延期が必至だろう。18年中に「戦略ロードマップ」を策定としている高速炉開発会議だが、12月3日に示された案の骨子はおよそ現実性がない。協力の相手方だったフランスの新高速炉アストリッド計画は、18年1月30日に規模縮小が報じられ、11月末には、政府は否定しているものの「19年度で研究を中断し20年以後は予算をつけない方針」とする日本経済新聞の記事が出たりした。

早くも破たんエネルギー基本計画
 総じていえば2019年は、18年7月3日に閣議決定された第5次エネルギー基本計画のほころびが、いよいよ露呈する年になると言える。「脱炭素化への国際貢献」と飾りたてられた原発輸出は、東芝が完全に失敗し、三菱重工もトルコで頓挫、19年には日立のイギリスでの建設計画もつぶれて全滅となりそうだ。
 エネルギー基本計画に「小型モジュール炉や溶融塩炉を含む革新的な原子炉開発」との文言を入れたのをテコにして、原発新設への足掛かりをつけようとの動きもあるが、電力業界にその気はなく、掛け声倒れに終わることは火を見るより明らか。悪あがきはやめて、真剣に脱原発を考えるべき年だろう。
 18年1月10日に原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が発表した原発ゼロ法案に促され3月9日、立憲民主党など4党共同による「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」が国会に提出されている。今年こそしっかりした議論のできる年にしよう。
(にしおばく)

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北東アジアの平和・非核化から「核なき世界」へ
―朝鮮半島で始まった歴史的転換を活かそう―
ピースデポ 共同代表 湯浅 一郎

 2019年、北東アジアで暮らす我々には、密接につながった2つの課題がある。朝鮮半島の完全な非核化と多国間交渉による核兵器を禁止する法的文書の獲得の模索である。

朝鮮半島の平和と非核化への動きを活かす
 2018年、朝鮮半島、ひいては北東アジアの平和と非核化に関し画期的変化が起きた。韓国に民衆が押し上げた文在寅政権が誕生したことで、最後に残る冷戦構造を終わらせるプロセスが始まった。この基礎は4月27日の板門店宣言と、6月12日の米朝共同声明である。
 板門店宣言は「朝鮮半島でこれ以上戦争はなく、新たな平和の時代が開かれた」とした。「南北は、休戦協定締結から65年となる今年、終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築」をめざし、「完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標」を確認した。
 そして米朝共同声明は、「トランプ米大統領は朝鮮に安全の保証を提供することを誓約し、金正恩・国務委員長は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む断固とした揺るぎない決意を再確認」した。
 「朝鮮半島の完全な非核化」とは、北朝鮮の非核化ではない。第1は、確かに米国の消極的安全保障を含む北朝鮮の核の放棄である。第2は、韓国が米国の「核の傘」依存をやめることである。
 その結果、5ヶ国による朝鮮半島非核兵器地帯条約の創設へ向かう。そして、北朝鮮に対する米国による安全の保証は、在日米軍を含めての安全の保証に発展せざるをえないから、日本も加わり北東アジア非核兵器地帯条約へと発展する必然性がある。そうなれば、米中、米ロ、日中関係も含め安全保障環境は大幅に改善し、グローバルな核廃絶にも極めて大きな前進となる。
 しかし米朝交渉は膠着状態のまま時が過ぎた。このままでは合意の履行は楽観できない。9月19日、南北は3回目の首脳会談を行い、平壌宣言を発し、同時に軍事分野合意書を採択した。「南北軍事共同委員会」を組織し、3者協議(南北、朝鮮国連軍司令部=米軍)が始まった。協議に朝鮮国連軍司令部も加わっていることが鍵である。米国が、朝鮮戦争の終結宣言に躊躇している状況を脇目に、南北は朝鮮半島で戦争を起こさないという既成事実を作っている。
 米朝間には、交渉の原則が確認されておらず、合意がどのようなプロセスで履行されていくのかおぼつかない。これを前進させるには、今年、首脳宣言の合意履行について市民社会の監視と世論が不可欠である。ピースデポは、2018年11月に履行の監視プロジェクトを立ち上げた。

2020年のNPT再検討会議に向けNPT合意の活用を
 一方、核兵器禁止条約(以下、TPNW)の成立から1年半を越し、条約への署名は69ヶ国、批准が19ヶ国となり、発効へむけた努力が続いている。今年、TPNWという核兵器の存在そのものを禁止する国際法的規範が、2020年4月のNPT再検討会議までに発効している状況を作り出せるかどうかが重要である。それが実現すれば、2020年のNPT再検討会議に向け、NPT第6条義務の履行を強く求めていくことができる。

核兵器の不拡散に関する条約
 第6条[核軍縮交渉]各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。

 その上で、2018年の国連総会決議を眺めてみると、核兵器のない世界を実現するために必要な諸問題を包括的に取り上げているのは新アジェンダ連合(以下、NAC)決議と日本決議の2つだけである。日本決議は、核依存を強める核兵器国を容認する方向に動き、2017年から過去のNPT合意の歪曲を始め、NPT体制の信頼性を低下させる方向に舵を切っている。その意味で、NAC決議の重要性が増している。
 その観点からNAC決議主文に18年に新たに加わった2節に注目したい。「核軍縮への誓約をないがしろにし、核兵器計画の近代化に関する核兵器国の最近の政策表明に懸念をもって留意する」(主文10節)と、「すべてのNPT締約国に対して、NPT第6条下の義務の履行を切迫感をもって前進させることを要請する」(主文19節)である。この2つは、最近の米ロに見られる核兵器依存の増大とNPT第6条下の義務の履行を無視する姿勢に異議を唱えている。
 米国など核兵器国が、過去のNPT合意を軽視する姿勢を強めている中で、2020年のNPT再検討会議に向け、TPNWの発効を背景に、NPT第6条義務の履行を強く求めていくことが、2019年を通じて追求されるべきである。日本政府は、この際「核兵器のない世界」へ向けて、NPT合意を意図的に歪曲し続けることを一刻も早く止め、NACや非同盟運動と歩調を合わせていくべきである。その時に、TPNWの基礎となった人道アプローチによる世論喚起を世界的に拡大することを念頭に置くことが重要であろう。
(ゆあさいちろう)

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経産省、高速炉開発の10年計画発表―
もんじゅ廃炉で終わった話では?

 ナトリウム冷却高速増殖炉の原型炉もんじゅが約20年間ほとんど動かないまま廃炉決定となってから2年になろうとしていた12月3日、経済産業省は今後10年程度の高速炉開発作業についての「戦略ロードマップ」骨子を発表しました。いまだに?との驚きの声がありますが、実は廃炉決定は、もんじゅがなくてもこの型の炉の開発は続けられるとの結論を用意してのことでした。以下、流れを概観した後、年表形式で見てみましょう。
 普通の原子炉(軽水炉)の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、これを燃やしながら増やす高速(中性子)増殖炉は、急速な原子力利用の拡大によるウラン枯渇に備えるための夢でした。ところが、ウラン枯渇は起きそうにないので、今度は、取り扱いの厄介なプルトニウムなどを効率よく燃やす高速炉として同じ技術が役立つ、仏ASTRID(工業利用のための先進ナトリウム技術実証炉)計画に加われば、もんじゅがなくとも原型炉の次の段階の経済性「実証炉」建設に進めるとの結論が用意されます。六ヶ所再処理工場で取出したプルトニウムを軽水炉で利用した後の使用済み燃料を第二再処理工場で再処理する。取り出したプルトニウムは高速炉で燃やすというのが経産省の計画です。だから、再処理政策継続のためには高速炉計画の話が必要なのです。
 用意したのは2016年9月に原子力関係閣僚会議が設置を決めた高速炉開発会議。同年12月に閣僚会議がもんじゅ廃炉の決定を出すとともに、高速炉開発会議の下に戦略ワーキングループ(WG)を設置して、18年末までに10年計画を策定すると発表という流れです。ただし、今年になって仏側がASTRID縮小・延期を決定、さらに仏計画凍結との報道もあり、骨子では、米仏との国際協力が謳われているだけでASTRIDは登場していません。
 もんじゅ・ASTRID型のナトリウム冷却炉で決定ではなく、5年程度は多様な技術間競争をさせ、2024年以降に選択技術の絞り込みという計画です。高速炉の本格的利用が期待されるのが21世紀後半と予想すると、21世紀半ば頃現実的なスケールの高速炉運転開始が期待されるというのが根拠です。12月18日にWGでロードマップ本体をまとめ、高速炉開発会議に示すことになりました。

●原子力関係閣僚会議の流れ(2013年12月第1回~)
◎2013年12月13日原子力政策司令塔的役割を果たすべく設置(閣議口頭了解)
★2015年11月13日、原子力規制委員会が原子力研究開発機構はもんじゅ運転の資格がないとし、代わりの運営主体を探すか、「施設の在り方を抜本的に見直す」よう勧告。
◎2016年9月21日第5回(もんじゅ決定年内、高速炉開発会議設置方針発表)
「核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組むとの方針を堅持する。」「新規制基準の策定、日仏高速炉協力の開始など」大きな情勢の変化を踏まえ「高速炉開発会議(仮称)」を設置する。もんじゅについては「廃炉を含め抜本的な見直し」を行い、その方針を、「高速炉開発の方針と併せて、本年中に原子力関係閣僚会議で決定する」

◆高速炉開発会議の流れ
(2016年10月7日第1回上記閣僚会議で設置決定)
目的:「資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、核燃料サイクルの推進」との方針の下「高速炉開発方針案の検討・策定作業を行う。」
構成員:経済産業大臣、文部科学大臣、原子力研究開発機構理事長、電気事業連合会会長、三菱重工社長(すべて、もんじゅの失敗をもたらした当事者)
◇2016年10月27日第2回仏説明:「ASTRIDは工業規模(60万kW)の第4世代炉の実証炉(商用炉の前段階)であり、安全性能・運転性能における革新技術を実証。」
◇2016年12月19日第4回もんじゅ廃炉方針をASTRID協力などで正当化。「戦略ワーキンググループ」設置案。「『もんじゅ』再開に関わるハードルや不確実性が非常に大きいこと、および、新たな方策を持って代替しうるということ等が報告された。」

◎2016年12月21日第6回もんじゅ廃炉・戦略ワーキンググループ設置決定
高速炉開発会議での議論に基づき「高速炉開発の方針」をまとめた格好。「今後10年程度の開発作業を特定する『戦略ロードマップ』...を策定する。」「実務レベルの『戦略ワーキンググループ』を設置し、2017年初頭から検討を開始し、2018年を目途に策定することを目指す」「今後は、国内外の大型ナトリウム試験施設の活用等による模擬試験、ASTRIDを含む海外炉の類似の大型機器の運転データ蓄積等により、『もんじゅ』を再開した場合と同様の知見の獲得を図る。」「ナトリウム冷却炉を念頭に高速炉開発を継続」。

◆高速炉開発会議 戦略ワーキンググループ
◇2018年6月1日第10回ASTRID延期・縮小方針議論。仏代表:現在のウラン市場の状況から「それほど緊急ではない」。シミュレーション用として実験施設利用案。これは10~20万KWeの小型「技術実証炉」NewASTRIDを含む。*原型炉もんじゅは28万KWe。11月28日、日経が仏政府は2020年からASTRID計画を凍結と報道。
◇2018年12月3日第15回「骨子」発表
◇2018年12月18日第16回戦略ロードマップ発表。高速炉開発会議及び閣僚会議に提示へ。
(「核情報」主宰 田窪 雅文)

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加盟団体の活動から(第12回)
中小・非正規・女性者・外国人労働者の闘い
全国一般労働組合全国協議会 書記長 渡辺 啓二


全国一般福岡地本・岐阜一般も参加して成功した、
2018西日本春闘討論集会(北九州市)
 全国一般全国協(略称)は、全労協に所属している全国一般である。20都府県に36の加盟単組があり、約1万1千名の中小・非正規労働者が結集している。東北、北関東・長野、首都圏、福井・京都・阪神、四国、九州・山口に各ブロックがあり、2018年の春闘では「働き方改革法NO!」の全国キャラバンを展開した。
 全国一般全国協の大きな特徴は、中小労働者、非正規労働者、女性労働者、外国人労働者の組織化と団結を目指していることである。これらの労働者への賃金・労働条件を始めとしたあらゆる差別に反対し、均等待遇を求め、最低賃金大幅アップ、長時間労働強化反対の闘いを強めている。
 福祉・介護関係の労組は「実行委員会」を作り厚労省交渉を毎年定期的に行い、制度政策要求を突きつけ交渉している。また、介護労働者の権利宣言も発している。東京南部やゼネラルユニオンなどを中心に、英会話などの語学学校の外国人語学講師の組織化を進め、業界内では最大の労働組合となっている。これらを背景に、全国協内での共闘も強め、毎年の厚労省・文科省交渉を継続して行い、雇用契約・社会保険制度など根本的な問題の改革をめざし交渉している。トラック運輸・ハイタク労働者も、国土交通省・厚労省へ毎年の申し入れ行動を行っている。
 また、福島・いわき・宮城の三労組は、放射線の除染労働者の組織化を進め、ユニオン北九州と共に、福島第一原発内で働き労災認定された労働者の裁判(「あらかぶ」裁判)や、同じく第一原発内で過労死労災認定された猪狩忠昭さんの裁判を闘っている。過労死問題では、東京東部労組による「すかいらーく」や「ワタミ」を追い詰め徹底した責任追及と再発防止を求めた闘いがある。争議では、非正規労働者へ不当な差別を許さず闘っているメトロコマース支部の裁判の闘い、解雇撤回・職場復帰を求めて闘う東京労組全労FAユナイテッド分会の闘いが、年度内判決となり正念場を迎えている。
 中小労働運動の全国的な交流・共闘では、全港湾と全日建連帯との三単産共闘があり、フクシマ連帯キャラバン、辺野古新基地建設反対の闘いも積極的に担っている。
(わたなべけいじ)

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〔本の紹介〕
『不死身の特攻兵―軍神はなぜ上官に反抗したか』
鴻上尚史著/講談社現代新書/2017年


 平和運動に関わるなら、先の大戦がいかに誤った戦争だったか、当時のエリート・指導層がいかに無能で愚かだったかを学び、現代に伝え、生かすべきだと思っている。この著書は、陸軍の特攻兵として9回も出撃し、すべて生還。戦後95歳まで生きた佐々木友次元伍長の話であるが、特攻を命じた上官・参謀たちの醜悪ぶり、滑稽さも明らかにされる。そして、この特攻作戦に何らかの形で抵抗する軍人らも登場し、特攻作戦がいかに無謀で愚かな作戦だったか明らかにされる。
 特攻を命令した参謀や上官たちの多くは「俺も必ず後に続く」と宣言しながらも、戦後、生き延び、特攻を事実上強制した自らの責任回避のため、特攻兵を国のため自ら進んで志願し命を捨てたものとして美化賛美してきた。この著書はこの論調に痛烈に反撃するものだ。
 佐々木さんの生還に、上官や参謀らは「恥さらし」「臆病者」「腰抜け!」「今度こそ死ね!」と罵倒、暗殺計画さえ立てた。当時上官の命令は絶対。反論・反抗は許されないが、佐々木さんは屈しない。その遺志の頑強さは驚異的だ。ベテラン操縦士だからこそ、この作戦の過ちを見抜いていた。
 航空特攻の場合、初期を除き、その戦果は嘘ばかりで実際は微々たるものだった。特攻機は、敵艦に達するまでに大半が撃墜された。米軍のレーダーに捕捉され、迎撃機の餌食となり、近づいただけで爆発する近接信管という艦船からの機関砲の犠牲となった。まれに体当たりできてもその破壊力は小さかった。急降下による爆弾投下は艦内に潜り込み爆発するが、航空機による衝突は空気抵抗が大きく甲板の表面で爆発するだけの威力しかなかった。戦艦・大型空母等の撃沈例は軽微で、大半は小型船舶が中心、当時の日米の戦局を転換する効果はなかった。むしろ、本土決戦・一億特攻への戦意高揚に利用され、終戦を大幅に遅らせ、戦争犠牲者を増やす要因となった。しかし、特攻兵は必ず犠牲となり飛行機も破壊。航空特攻による犠牲者は約4000人、その多くが20歳前後の若者であった。死を強制された若者の親や妻たちの戦後の苦悩苦難はいかほどであったか。こんな愚かな戦争を二度と繰り返さないためにも、広く読まれることを願いたい。
 関連著書に「特攻隊振武寮」(朝日文庫)、「特攻―なぜ拡大したか」(幻冬舎)、「つらい真実―虚構の特攻隊神話」(同成社)等がある。
(富永誠治)

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核のキーワード図鑑


核背負い宇宙をさまよう地球よあわれ、人間の罪は重い

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安倍改憲発議を許さない!
国会議員会館前行動

 2019年の年明け、いよいよ、平和憲法を守るため、私たちは、安倍政権との戦後最大のたたかいを迎えます。市民と立憲野党が連携し、安倍改憲発議を許さず、統一自治体選挙・参議院選挙に勝利し、安倍政権を退陣に追い込む年にしましょう!
 次の行動に多くの参加を呼びかけています。

安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!
1.19国会議員会館前行動

日時:1月19日(土)14:00~15:30
場所:衆議院第二議員会館前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

安倍9条改憲NO!安倍政権退陣!
国会開会日行動(仮称)

日時:通常国会開会日の12:00~13:00
場所:衆議院第二議員会館前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会

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