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ニュースペーパー2019年4月

2019年4月 1日

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選挙で安倍政権を倒そう! 統一自治体選挙・参議院選挙に勝利しよう!!
 2月24日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる沖縄県民投票が実施され、投票率は52.48%でした。結果は、「賛成」19.1%、「どちらでもない」8.8%、「反対」72.2%となり、沖縄県民は「反対」の民意をはっきりと示しました。翌25日、安倍首相は衆議院予算委員会で「真摯に受け止め、基地負担の軽減に全力を尽くす。」と述べましたが、言葉とは裏腹に辺野古での埋め立ては続いています。
 東京新聞は、琉球新報と沖縄タイムスの両編集長が「日本が人権と民主主義をあまねく保障する国であるのか、県民投票が問いかけたのはそのこと」「沖縄は答えを出した。今後は日本政府、ひいては本土の人たちが答えを出す番」と訴えたことを報じました。そして「本土の側も最大の関心を持って見守り、参院選などの判断材料にしなければならない。それこそが、機能不全に陥った日本の民主主義を再起させる道である。」とまとめています。
 12年前の2007年は、統一自治体選挙で自民党候補者の多くは落選し、7月の参議院選挙で自民党は大敗しました。それが、安倍首相の退陣につながったのです。12年前を再現させましょう!統一自治体選挙・参議院選挙に勝利し、安倍政権を退陣させましょう!!!〈写真:2月23日辺野古新基地埋め立てゲート前〉

インタビュー・シリーズ:143
「日米同盟」依存から脱し、東アジアでの信頼醸成を
NPO法人国際地政学研究所理事長 柳澤協二さんに聞く


やなぎさわ きょうじさんプロフィール
 1946年東京都生まれ。1970年東大法学部卒業後防衛庁入庁。運用局長、人事教育局長、官房長、防衛研究所長を経て、2004年~2009年、小泉・安倍・福田・麻生政権で内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)として、北朝鮮の核・ミサイル実験、尖閣警備、自衛隊のイラク・インド洋派遣、海賊対策などに従事。第1次安倍政権では、集団的自衛権などを議論する「安保法制懇」の事務局に参加。現在、NPO法人国際地政学研究所理事長

─2018年12月、防衛計画大綱と中期防衛力整備計画が閣議決定されましたが、その目的はどこにあるとお考えですか?
 2012年末以降、安倍政権が進めてきたことは、日米の軍事的な一体化ということだと思います。2017年1月の施政方針演説で安倍首相は「日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸である。これは不変の原則です」という表現をしています。日米同盟基軸というのは歴代政権も言ってきたことですが、「不変の原則」という言い方をしたのはおそらく安倍首相が初めてでしょう。さらに翌2018年の施政方針演説では「自衛隊は初めて米艦艇と航空機の防護の任務に当たりました。互いに助け合うことのできる同盟は、その絆を強くする」ということを言っているんですね。
 こうした文脈に沿って、わたしは今度の防衛大綱は日米の軍事的一体化の集大成のようなものになるだろうと見ていたのですが、まったくその通りとなりました。これまで日本の防衛力は専守防衛というものだったのが、2018年の大綱では防衛努力をしていくことがすなわち同盟の抑止力の強化そのものであるというような表現になっている。他の道筋を全く考えられないというところまで日米の一体化というものが深まってきているのだろうと言えます。
 また、中国を意識している点も特徴の一つです。防衛大綱はサイバーや宇宙といった新たな領域についても強調されています。これは2018年夏以降、米中の対立が激化する中で、中国がサイバーや宇宙における軍事能力を向上させているということに米国が強い危機感を持つようになってきています。そのことが反映されているのだろうと思います。
 大国間の対立関係が明確になっているなかで、防衛大綱はその米国と一体化していくという事を明確にしている。これによって抑止力が上がると評価をしているけれども、一方で米国の戦争に巻き込まれるリスクも高まっているわけです。結局、米中対立が激化する中で米国に見捨てられないために、積極的に巻き込まれていこうという考え方です。
 ちなみに今度の大綱には「被害の局限」という言葉が出てきます。つまり米国と一体化していくことで日本が攻撃の対象になるという事を既に認識している。しかしこれは日本の平和と安全という観点から見るとどうでしょう。抑止が崩れて戦争になった時には日本に大きな被害が出ます。それを考えるともっと別の立ち位置の取り方があるのではないでしょうか。

─7年連続で防衛費が増大し、2019年度の防衛費も過去最大の予算が組まれました。具体的には米国から大量の戦闘機やイージス・アショアを購入しようとしています。これは米国からの要求なのでしょうか。それとも日本が自主的に軍事を強化しているとみるべきでしょうか。
 この問題が深刻なのは、本当に自主的に購入を決めたであろうという点にあります。自ら進んで米国と一体化したいと思っているからミサイル防衛システムという米国と共通のシステムを持つ。これで米国を引き留めて、抑止力を強化しようと思っているのでしょう。しかし、こんなことではいくらお金があっても足りません。また中国の国防費は日本の3.5倍ですし、軍事技術もとても進んでいる。これを量でカバーしようとしたら、もう際限ないことになるし、破綻の道をたどることになるでしょう。そこは政治がしっかりと線を引くべき問題です。

─日本は一方で独自に攻撃的な兵器を持とうとしています。
 これまで日米は「盾と槍」の関係にありました。槍の部分、すなわち打撃力は米軍が担って、盾の部分を自衛隊が担うという役割分担があったんです。しかし、今度は自衛隊自身が「槍」、つまり日本独自の打撃力をもちはじめた。代表的なのが、長距離巡航ミサイルや高速滑空弾です。
 ただ、これも米国の抑止力のためであって、日本防衛のためではないのですよ。むしろそんなものを持って緊張を高めない方がいいに決まっている。まさに米中対立の中で少しでも米国プラス日本の力を中国よりも有利にしたいという発想があります。

─安倍政権になってから武器輸出が解禁されました。また安全保障技術研究推進制度をもって軍民の研究活動を促進していこうとしています。こうした動きをどのようにお考えですか。
 安倍政権は日米の一体化を追求してきましたが、一方で自ら大国外交を行うという夢も捨てきれずにいます。大国として振る舞うためのツールとして原発・新幹線・武器の輸出というものが位置付けられてきたのですが、どれもうまくいっていない。特に武器に関しては、閣議決定で武器輸出三原則を防衛装備移転三原則に切り替え、大国として相手の国の根幹となるインフラに対する影響力を保持しようという目的があったのだと思います。しかし、はっきりいって戦場で試されたことのない日本製の武器に国際的な競争力はありませんから武器輸出はなかなか難しいと思いますね。技術を米国の武器に反映させるというやり方で仕事量は稼ぐにしても、日本の防衛産業は独自の大規模プロジェクトをもたない、たいへんピンチな状況になっていると思います。

─憲法に自衛隊を明記しようとする動きについてはどのように お考えですか。
 「自衛隊を書き加えたところで何も変わりません」というけれど、実際にはもう安保法制で変わってしまいました。安保法制を追認するかどうかというのが実質的な問題点だと思います。その安保法制とは何かといえば、海外で武器を使うようになる、あるいは日米が一体化して戦争に巻き込まれるリスクも高まるということです。そういう自衛隊を支持できるかどうかという事が問われることになるでしょう。

─それでは平和と安全のために日本はどういった努力をすればよいのでしょうか。特に今朝鮮半島を巡って緊張緩和、非核化に向けた動きが出てきている中で、日本は蚊帳の外にいます。日本としては主体的な役割をどう果たしていくべきなのでしょうか。
 脅威というものが攻撃する能力と攻撃する意図・動機によって構成されるという事に注目しなければいけないのだと思います。例えば、北朝鮮についても「核の全廃を約束したけれど能力は全く変わっていない。だから引き続き切迫した脅威である」と。つまり防衛省は、能力は変わっていないのだからこっちも対抗できる能力を持つのだと主張しているわけです。しかし、相手に能力があったとしても、日本に対してそれを使う動機がなければいいのです。
 そこで日本を攻撃する動機がどこから生まれるのかを考えていくと、やはり米国との対立の中で日本が攻撃される事態になる可能性があります。ですから米国との関係においても、日米同盟に全面的に依存するという脅迫観念によって思考停止していたら、それこそ危険です。やはり日本自身が米国との間にしっかり線を引いておかなければなりません。
 また相手の動機を減らすという意味では、東アジアにおいて信頼醸成や意思疎通の場を作る必要があると思います。2018年6月12日の米朝首脳会談で合意したのは、利益を示して合意を図ろうという流れです。戦争や制裁という圧力による強制ではなくて、「核をなくせば体制を保障するし、投資を呼び込むことも出来るよ」と。歴史的な背景をもった国家同士の対立というのはそう容易に解けないけれども、しかし利益を中心にお互い妥協するところは妥協する。そしてそうした構図を多国間で作り上げていくことこそが、今一番大事なことなのではないでしょうか。
 同様のことは非核化についてもいえるでしょう。米国の核抑止力に依存する、その信頼性を確保するために日米同盟を強化するという発想では、絶対に核の廃絶などできません。発想を切り替えなければならないでしょう。核はそんなに簡単になくならないけれど、しかし核の存在そのものが悪であると明らかにしていけば、実際に使用しようとするときに敷居を高める効果があるわけですからね。そういう努力が全くなされていないために、日本はますます抑止力に依存しようとしているのです。

─最後に日本の安全保障に関連するお考えをお願いします。
 今わたしがあちこちで申し上げていることは、「抑止力」というものを俎上に載せて議論すべきだということです。平和運動・護憲運動が存在するその一方で、安倍政権は抑止力というものをまるで水戸黄門の印籠のようにかざして、辺野古新基地建設・日米一体化政策・憲法改正を進めようとしているのです。よって、「抑止力」というテーマをしっかりと考えていかないと、いまの政権がやっている政策を本当に批判したことにならないと思うのです。
 もう一つは、護憲派と呼ばれる人たちも自衛隊という存在をどう受け止めるべきか議論すべきだと思います。なかには自衛隊の存在そのものが違憲だという人もいれば、災害派遣だけならいいのではという人もいる。つまり、どのように扱うべきかわからないのです。しかし、それではトータルの自衛隊を受け止めたことにならないと思います。やはり専守防衛に限るとか、米国とは一体化すべきではないなど、そこをしっかり自信をもって答えられるようにすべきではないかと思うのです。そうでないと「敵が攻めてきたときにどうするんだ」と言われたときに答えられないのですよ。改憲派が強みとする「抑止力」というテーマを切り崩すとともに、護憲派の自衛隊に関する認識を確立するという両面の課題があるのではないかと思います。

インタビューを終えて
 柳澤さんからは、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画の決定によって「日米の軍事的一体化が集大成を迎えた」と指摘されましたが、改めて、強化される日米同盟の軍事的抑止力によらない日本の平和と安全について考えさせられるインタビューでした。
(勝島一博)

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防衛大学校でいじめがまん延 福岡地裁で賠償命令
平和・人権・環境福岡県フォーラム 事務局長 前海 満広

 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の上級生から暴行や嫌がらせを受けたとして、福岡県内の男性(24)が在学時に学生だった8人に計1400万円の損害賠償命令を求めた訴訟の判決が2月5日、福岡地裁で言い渡されました。
 足立正佳裁判長は7人の行為の大半を「指導の範囲を逸脱した」、「およそ指導とは言えず原告に苦痛を与えた」として、7人に95万円の支払いを命じ、1人について請求を退けました。一方、集団的ないじめが原因との原告の主張は、「各被告の嫌がらせ行為に関連性は認められない」として退けました。

防衛大人権侵害裁判とは
 2016年3月18日、福岡県内に住む元男子学生が、防衛大学校の学生寮(神奈川県横須賀市)で起きた暴行事件を巡り、「上級生らからいじめを受け、大学側も適切な対応を怠った」として、国と上級生ら計8人に慰謝料など計約3697万2380円(学生1400万円・国2297万2380円)の賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こしました。(被告8人の内、7人は幹部自衛官)
 教官については「暴行を認識しつつ、助けたり予防したりする対策をとらなかった」として安全配慮義務違反を訴えており、防衛大学校の実態を問う全国初の裁判となっています。
 この提訴は、加害学生が在学中であるうちに訴えることによって、防衛大の組織としての責任を追及しようとしました。加害学生の内、すでに退学した者を除き、同年3月22日が卒業する予定であったため、これらの学生が卒業する前の同月18日に訴えを起こしたのです。また、裁判の途中で、被告の8名の加害学生に対する裁判と国に対する裁判とが分離され審理されることになりました。今回は加害学生に対する判決でした。


防衛大裁判(2019年2月)福岡地方裁判所前
防衛大の暴力・いじめの実態が明らかに
 裁判の中で被告の元学生らは、数々の行為を「指導の一環だった」などと主張していましたが、足立裁判長はこれらの行為を「屈辱的で指導として正当化できない」などと判断し、「人格をいわれなく中傷する陰湿かつ幼稚ないじめだ」と認めました。弁護団の佐藤博文弁護士による防衛省に対する「情報公開請求」では、防衛大学校の下級生へのいじめ、嫌がらせの数々の実態が明らかになりました。弁護団は「悪質さの程度が常識を越えている」と批判し、防衛大生に根強い「いじめ体質」があることを指摘しました。これまでの口頭弁論(17回)で数々の「いじめ、暴力」の実態が明らかになっています。
 「人間の尊厳」を傷つける重大な人権侵害行為の実態が認められ、防衛大学校の闇の部分に光を当てたものとして評価できます。原告でいじめ被害を受けた元学生は、判決後の報告会で「自分にしたようなことを二度と繰り返さないでほしい」「防衛大は自分のような学生を一人も出さないよう変わってほしい」と心境を語りました。
 加害学生らを訴えたこの裁判は、今後「被告・国(防大教官)」の裁判の方に力を注ぐ方が賢明であると原告側が控訴を断念し、いっぽう被告側も控訴しなかったため福岡地裁判決が確定しました。

防衛大(国)の組織としての責任を追及する裁判はつづく
 学生らに対する裁判で足立裁判長は、被告・学生に対して、学生間の指導としては適切ではないとして「暴力の認定」を認めました。この「認定」が教官としての「責任」に及ぶかどうかが今後の国に対する裁判での焦点になります。
 防衛大生の「根強いいじめ体質」とは、個々人の問題なのか、学生間指導を基本とする防衛大側の教育のあり方に問題があるのか、今回の被告学生に対しての判決では不十分な内容となっています。「根強いいじめ体質」の背景、原因を引き続き被告・国の裁判で徹底して明らかにしていかなければなりません。この裁判で被告・国に対して、防衛大の安全配慮義務違反を認めさせることができれば、国と公務員個人の両方の責任追及について実務的に大変大義ある裁判例になります。
 自由法曹団通信(2019年2月21日発行)はこう語っています。
 「今回明らかになった実態は、学校教育法、文科省下の学校であれば、国会や監督官庁による厳しい調査を受け、いわゆる「業務停止」「閉校」等の処分になる重大事案である。学生間指導という、あろうことか教育の名で長年行われていたことであり、たまたま起きた非行、不祥事ではない。加えて、士官学校教育という観点で考えても、18歳でエリート軍人として入り、軍事目的で学問をし、兵士としての生活を送り、24時間服務規律に縛られた中で大人となり、成人し、社会人になり、権力を握ることは、民主主義国家でおける軍隊・軍人のあり方として間違っている。私は、防衛大は解体すべきであると思う。判決後東京新聞の半田滋記者と意見交換したが、同記者も同じ意見だった。」
 今回の裁判を通じ、防衛大の実態が明らかとなりつつあります。「防衛大は解体すべきの声」を一つの問題提起として受け止め、引き続き防衛大学校の闇の部分に光を当て支援していく決意です。
(まえうみみつひろ)

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最悪の日韓関係に3・1独立宣言の精神が活かされるのではないか
アジアの平和と歴史教育連帯 運営委員長 李信澈

 我々は...(略)...日本の学者や政治家たちが我々の土地を奪い、我が文化・民族を野蛮人扱いし、我々の長年の社会と民族の立派な心性を無視するからといって、日本の義理の無さを責めようとするものではない。自己を策励することに急ぐ我に、他を恨む余裕はない。...(略)...良心の命じるままに自己の新たな運命を開拓しようとするのであって、決して旧怨や一時的な感情によって他を嫉み追い出すものではない。私たちはただ、古い考えと古い勢力に捕らわれた日本の政治家が功名心のため犠牲にした不合理な現実を正し、自然で正しい世界に戻させようとするものである。

 100年前、朝鮮半島で野火のように拡散していった独立宣言文の一節である。当時、朝鮮の人々はこの独立宣言書を全国津々浦々で朗読した。人々は非暴力を守ろうと努めた。日本人への攻撃もなかった。だが、朝鮮総督府は、3月1日に初のデモがあった日から憲兵を投入して発砲し、人々は死んでいった。
 3・1節100周年記念式における記念辞の中で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、7500人の人々が(日本軍と警察によって)殺害されたと述べたことに対し、日本政府は公式に抗議を表明した。日本の立場としては、韓国の大統領が自国の過ちを誇張して発言したと思う悔しさがあったようだ。だが、今になってその数が不明確だと不快感を表す日本政府の態度は実に大人気ないように思われる。
 先立つ2月25日、安倍自民党総裁の特別補佐である稲田朋美氏は、講演の場で「日本は大人の対応をやめ、(近隣諸国)条項から韓国だけは除外すると宣言するべき」と主張した。実に大人げない対応と言わざるを得ない。近隣諸国条項は1982年、日本の歴史教科書が日本のかつてのアジア侵略を美化しているという周辺国からの抗議を受け、その対応策として日本政府自ら設けた条項である。
 日本の立場からは、韓国の態度が気に入らないということもあり得よう。日本軍「慰安婦」問題に関する両国外相間の合意をめぐり韓国が立場を変えたように見え、1965年の韓日基本条約によって「強制徴用工」の問題に補償を尽くしたと思っていたのに、個人賠償を求めることが不当なことに見えるのだろう。
 しかし、これらの両問題とも未解決の論点を含んでいる。「慰安婦」合意は、発表された当日から、両国での解釈が異なることが確認されていた。それでも日本政府は、その意見の相違について説明することなく自分たちの立場を固守し、最終的かつ不可逆的に解決されたという主張ばかりを繰り返す。日韓基本条約によって強制動員被害者の個人請求権が消滅したわけではないという解釈は、日本の法曹界においても容易に接することができる。それでも日本政府は韓国側の主張に耳を傾けようとはしない。
 韓日両国のこのような認識の食い違いはどこから始まったのか。それは被害者に対する認識の違いからではないか。言い換えれば、それは加害者に対する認識の違いとも言えよう。日本政府は、当時は帝国主義の時代であり、植民地支配は国際法的に合法であったと主張する。だが、韓国は、それは世界の平和に反することであったし、第一次世界大戦直後に世界的に巻き起こっていた平和をめぐる議論の過程で、その過ちが正されるべきだと捉えていた。日本も当然そのような国際的な新潮流に従うべきだと主張した。また、いまも日本が、それに対する反省と責任を果たすべきだと考えている。
 日本社会では、韓国がゴールポストを動かすという主張が度々行われる。だが、世界の平和と脱植民地主義というゴールポストが動かされたことはない。強大国によってつくられたルールと、その解釈に対する批判が存在するだけである。今日の世界各国では、遅まきながらも、植民地主義に対する反省と清算を求める声が日増しに高まっている。1919年、朝鮮の人々が独立を求めたように、いまの韓国の人々は植民地主義の清算を求めている。
 3・1運動の主役となった人たちは、日本を責めるよりは、朝鮮の独立が世界平和という大義を実現するための第一歩であることを説いた。そのような意味から、いまの韓国人は無批判的な反日から抜け出し脱植民的な世界平和という大義に向かうことが、3・1の精神を継承する道であることを忘れてはならないだろう。100年前の帝国日本は、武力と恐怖をもって朝鮮の人々の抵抗を抑圧した。そして不可抗力の状況に至るまで、更に25年間も植民地支配を継続した。平和と脱植民地主義という世界大改造の機運が満ちている今、日本は果たしてどのような選択をするのだろうか?独立宣言書の一節を改めて読み捉えたい。
(イ・シンチョル)

 鬱憤と恨みを抱えた2000万の朝鮮人を力で抑え込むことは、東洋の平和を保障する道ではない。...(略)...今日、我ら朝鮮の独立は朝鮮人をして正当な繁栄を遂げさせるものであると同時に、日本が間違った道から出て東洋に対する責任を果たさせるものである。...(略)...世界の平和と人類の幸福の重要な部分である東洋平和を成す足場を築くものである。朝鮮の独立がどうして些細な感情の問題だと言えよう。

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ゲノム編集ってなんだ?何が問題?
推進急ぐ安倍政権 環境や食の安全に影響
ジャーナリスト・日本消費者連盟共同代表 天笠 啓祐

目的とする遺伝子の働きを壊す
 新しい遺伝子操作食品であるゲノム編集技術を応用した食品が、すでに米国では作付けが始まっており、日本でも審査や承認の仕組みが作られたことから、まもなく私たちの食卓に登場することになりそうです。「ゲノム」とは、すべてのDNAのことをいいます。DNAにはすべての遺伝子がありますから、すべての遺伝子と言ってもいいと思います。ヒトゲノムというと人間の遺伝子全体を指します。そのゲノムを編集するとは、何を意味するのでしょうか。
 ゲノム編集は、基本は目的とする遺伝子の働きを壊す技術です。生命体はバランスや調和で成り立っています。体を大きくする遺伝子がある一方で、あまり大きくなり過ぎないように抑制する遺伝子があります。その一方の遺伝子を壊すと、さまざまなことができます。大きくなる遺伝子を壊すと、小さいままの動物が誕生しますが、中国ではすでにマイクロ豚がペットとして販売されています。逆に抑制する遺伝子を壊すと、成長が早く肉の多い魚や家畜が誕生します。これもすでに市場化が間近な状態にあります。
 ゲノム編集では「クリスパー・キャス」と呼ばれるガイドRNAと遺伝子を壊す制限酵素の組み合わせが用いられています。ガイドRNAが壊したい遺伝子へ制限酵素を導き、その制限酵素がDNAを切断して遺伝子を壊すのです。この仕組みを利用すると簡単に遺伝子を壊せることから、いまや遺伝子操作の主流になりつつあります。
 同じ遺伝子操作技術ではありますが、遺伝子組み換えは、他の生物の遺伝子を挿入して生命体を改造する技術であるのに対して、ゲノム編集は特定の遺伝子を壊して生命体を改造する技術です。壊した遺伝子の代わりに新たな遺伝子を挿入する組み換えも可能になっており、そうなるとゲノム全体を自由自在に変更させることができるということで、「ゲノム編集」という名がつけられたのです。

すでに栽培され市場化されているものも
 まもなくそのゲノム編集技術を応用した作物や家畜が、私たちの食卓に登場することになりそうです。その作物の中には、すでに栽培され市場化されているものがあります。その先端にいるのが米国です。2015年からベンチャー企業のサイアス社が開発した除草剤耐性ナタネの栽培が始まり、2018年にはケイリクスト社が開発した高オレイン酸大豆が収穫され、流通を始めました。
 ケイリクスト社は次に、高食物繊維小麦を2020年までに栽培する予定です。その他にもうどん粉病抵抗性小麦、高オレイン酸低リノール酸大豆などを開発しており、市場化を図っていく予定です。同社以外にもトランス脂肪酸を含まない大豆、変色しないマッシュルーム、アクリルアミド低減ジャガイモ、干ばつ耐性トウモロコシ、収量増小麦などの開発が進んでいます。遺伝子組み換えでは反対が強まり挫折した小麦での開発が目立ちます。
 日本でも農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、「シンク能改変稲」を開発し、2017年度から5か年計画で栽培試験を行っています。この稲は、籾数を増やし、収量増加をもたらすことになっています。世界的には作物だけでなく動物での開発も盛んです。


ゲノム編集食品の規制を求める集会
(1月29日・衆院議員会館)
健康よりも技術開発や経済を優先する政府
 次々に開発されるゲノム編集生物をにらみ、日本では2018年7月から環境省が、9月からは厚労省が規制の方針を検討してきました。きっかけは同年6月15日に閣僚会議で決定した「統合イノベーション戦略」です。戦略の要の位置にある技術だとして、2019年度中にゲノム編集を積極的に推進できるように法律や指針を整理しろと、政権が指令を発したからです。その結果、環境省はカルタヘナ法での対応を検討し、厚労省は食品衛生法での対応を検討し急いだのです。政権与党の意向を受けて、その結論は、規制を最小限にすることで推進の姿勢を鮮明にしたものでした。すなわち環境影響評価も食品の安全審査もほとんど必要ないという結論が出されたのです。食品衛生法で安全審査が行われなくなれば、食品表示もされません。
 しかし、ゲノム編集技術は遺伝子を壊す技術ですが、目的外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が必ず起きます。それが重要な遺伝子を壊せば、その生命体にとって大きな影響が出るだけでなく、環境や食の安全にも影響してきます。さらにはゲノム編集した細胞と通常の細胞が入り乱れる「モザイク」も起きます。これも環境や食の安全に影響が出かねない問題です。とても安全とは言えない技術です。政府の結論は、私たち市民の健康よりも、技術開発や経済を優先しているとしか言いようがありません。
(あまがさけいすけ)

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日本も、そして国際社会も、その役割は大きい―米朝首脳会談に寄せて
フォーラム平和・人権・環境 共同代表 藤本 泰成

 2019年2月27日から28日、ベトナムのハノイにおいて、2回目となる米朝首脳会談が実施されました。合意文書を取り交わしたシンガポールでの初めての首脳会談とは異なり、今回は非核化に向けた協議は合意に至らず、予定された合意文書の署名は見送られることとなりました。

朝鮮の合意案を米国が否定
 トランプ米国大統領(以下大統領)は、記者会見で「いくつか選択肢はあるが、現時点ではどれも選択せず様子を見守ることにした」と述べ、ポンペオ国務長官は、「金正恩朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)国務委員長(以下委員長)も結果を出したかったと思う。我々は彼により多くのものを求めた」と、米側の要求が合意に至らなかった原因であることを示唆しています。トランプ大統領は、「朝鮮は制裁の全面解除を求めたが応じられなかった」と発言しましたが、朝鮮の李容浩外相は、求めたのは全てではなく一部であると主張しました。米側はその一部こそが制裁の最も重要な部分であると反論しています。報道されていることをまとめると、朝鮮側は「寧辺の核実験場の、米国の専門家を交えての完全廃棄」を行うことによって、「2016年から2017年にかけて採択された制裁措置5件、民間経済と人民の生活に支障を与える項目」の解除を求めたと考えられます。李容浩外相は、朝米間の今の信頼の水準で、我々ができる最大のことが「寧辺核実験場の完全廃棄」であると述べています。この提案をもっても何が動かなかったのか、ともかく、事前に朝鮮側によって用意された合意案が、米国側によって否定されたという見方に間違いはないと考えます。
 米朝首脳会談の最中、米下院公聴会に、「トランプは差別主義者で、ペテン師」などと発言しているトランプ大統領の腹心だったマイケル・コーエン元顧問弁護士が呼ばれました。米国内はこの報道一色になっていたようです。ロシア疑惑の追及、メキシコ国境での壁の建設のつまずき、史上最長の政府閉鎖と国家非常事態宣言など、民主党との対立が深まるトランプ政権はきわめて深刻な事態を迎えています。この情勢が米朝会談に大きな影響を与えたことは否めません。と同時に、報道されたボルトン大統領補佐官の「トランプはビックディール、つまり非核化を一貫して要求した。核と生物・化学兵器、弾道ミサイルを放棄する決定を要求した」との発言や、米シンクタンク国際問題研究所のマイケル・グリーン上級副所長の「朝鮮は非核化を諦めない。25年前から続けてきた手法の繰り返しだ」という朝鮮批判の発言などから見ると、米国内のタカ派の影響力も見過ごせない、もしかすると最大の理由ではないかと考えます。

対話の継続と国際社会の役割
 サンダース報道官は「両国首脳は非常に建設的な会談を行ったが、今回は合意に至らなかった。次の機会を楽しみにしている」と発言し、今後も対話を継続するとしています。米国は、今春に予定する「フォールイーグル」や「キー・リゾルブ」などの米韓軍事演習の規模縮小を図り、朝鮮半島の軍事的緊張の緩和を継続するとしています。
 朝鮮戦争の終了もなく、現状の米国の軍事的圧力の下で、朝鮮側の一方的な軍縮が望めるはずはありません。現状で示された方向性と、条件をしっかりと双方が受け止めて、非核化への段階的なアプローチを進めて行くことが求められます。首脳会談が行われたベトナムは、1964年から10年近く米国と戦いました。戦後1986年からのドイモイ政策の中で、東南アジア諸国の中でもトップクラスの経済成長を成し遂げました。米国と戦い続けてきた朝鮮の首脳は、ベトナムの繁栄をどのように見たでしょうか。朝鮮戦争の終結と制裁措置の解除は、朝鮮の繁栄にとって絶対的条件といえます。韓国の文在寅大統領は昨年国連で演説し、寧辺核施設の完全廃棄を前提に「国際社会が、北の新しい選択と努力に応える番だ」と述べています。国際社会の役割は、二度目の米朝首脳会談を終えて、ますます重要になっています。

敵視政策しかない稚拙な安倍外交
 日本による植民地支配、朝鮮戦争、南北分断、多くの不幸の中で、朝鮮は孤立を余儀なくされてきました。日本は朝鮮と国交を持っていません。平和フォーラムは、この間一貫して朝鮮との国交正常化を日本政府に求めるとともに、朝鮮の孤立は、東北アジアの平和にとってきわめて重大な問題だと主張してきました。朝鮮の選択を日本もしっかりと受け止め、国交正常化への道を歩まなくてはなりません。しかし、日本政府はトランプ大統領が制裁措置解除などの譲歩を行わないように、外交的圧力をかけ続けたように見えます。安倍首相は、今回のトランプ大統領の決断に対し、「安易な譲歩をしなかった決断を全面的に支持する」と発言しました。この、まさに安易で稚拙な判断と発言は、東アジア外交における日本軽視を、さらに進展させるに違いありません。3月8日付けの朝鮮労働新聞は「日本の反動勢力だけは、拍手して、嬉しいニュースに接したように振る舞っている」と、安倍首相の対応を批判しています。拉致問題を、金正恩委員長と直接会って解決するとする安倍首相は、繰り返す問題発言によって、その機会さえ失っているのではないでしょうか。解決するとするその責任を放棄しているように見えます。朝鮮高校生を授業料無償化措置から排除し、在日コリアンへのヘイトスピーチを放置し、朝鮮敵視政策を継続する安倍政権を変えなくてはなりません。そのことなくして、21世紀のアジア社会での日本の立場はないと考えます。
(ふじもとやすなり)

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2020年NPT再検討会議へ向け
核兵器禁止条約の早期発効と朝鮮半島の平和・非核化を前進させよう
ピースデポ共同代表 湯浅 一郎

 2020年4月のNPT再検討会議まで残り1年となった。1970年に第1回再検討会議が開かれてから半世紀、2017年に核兵器禁止条約(以下、TPNW)が成立してから初の再検討会議である。この間、NPTは,「不拡散」条約としての制約を持ちつつも、「核なき世界」をめざして、多国間での議論、交渉ができる最も重要な場の1つとして機能し、2000年や2010年合意など幾多の成果を蓄積してきた。しかし、重要な節目を前に、核兵器をめぐり相反する2つの潮流が対立しあう深刻な事態となっている。

核兵器のない世界を求める国際社会
 まず人道アプローチによる世論喚起を背景として、核兵器の存在そのものを禁止する国際法的規範としてのTPNWを、早期に、特に2020年NPT再検討会議までに発効させようとする国際的努力が続いている。ちなみに現在、署名70か国、批准22か国であるが、これが実現すれば、2020年NPT再検討会議ではNPT第6条義務の履行を強く求めていける環境が整う。
 NPTと並び国際的議論の場である国連総会を見ると、2018年の決議で核兵器のない世界実現に必要な諸問題を包括的に取り上げているのは新アジェンダ連合(以下、NAC)決議と日本決議の2つだけである。しかし日本決議は、2017年から過去のNPT合意の歪曲を始め、核兵器国を容認する方向に舵を切っている。その意味で、NAC決議の重要性が増している。
 NAC決議には、2020年NPTを意識して、以下の2節が新たに加わった。「核軍縮への誓約をないがしろにし、核兵器計画の近代化に関する核兵器国の最近の政策表明に懸念をもって留意する」(主文10節)。「すべてのNPT締約国に対して、NPT第6条下の義務の履行を切迫感をもって前進させることを要請する」(主文19節)。この2つは、最近の米ロに見られる核兵器依存の増大とNPT第6条下の義務の履行を無視する姿勢に異議を唱えたものである。米国など核兵器国が、過去のNPT合意を軽視する姿勢を強める中で、2020年NPT再検討会議に向け、NPT第6条義務の履行を強く求めていくことを呼びかけている。


2020NPT再検討会議第2回準備委員会が開催された
欧州国連本部(ジュネーブ、2018年4月25日)
新たな軍拡と核兵器の近代化を進める核兵器国
 一方で、核兵器国は、TPNWへの反対では一致しているが、相互の軍拡を意識して新たな軍拡競争に邁進している。特に米トランプ政権は、「力による平和」を前面に打ち出し、国家防衛戦略、核態勢見直し(NPR)を相次いで発表し、オバマ政権の8年間でようやく緒についた「国際協調に基づく核兵器のない世界」への道筋を否定する方向に向かった。トランプNPRには、局地攻撃を想定した低威力弾頭や、新型の巡航ミサイル開発が盛り込まれ、核兵器使用の敷居が低くされ、核兵器の役割を高める方向で安全保障政策を再構築しようとしている。さらにイラン核合意からの脱退、宇宙軍の創設や中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱表明、宇宙への展開も含むミサイル防衛見直し(MDR)策定など核軍縮に逆行する動きを強めている。これは、2000年、2010年のNPT合意に明白に違反する。ロシアや中国は、これに対抗して核戦力の近代化を進めている。カシミール紛争で緊張が高まる印パは、毎年、核弾頭数を増やし続け、5年後には、それぞれ200発に届きそうな勢いである。


2015年NPT再検討会議前日
ニューヨーク街頭デモで
(2015年4月26日)
日本は「核兵器依存政策」からの脱却を
 2020年再検討会議は、これら2つの相反する流れが激しくぶつかり合う場となるであろう。ここで問われているのは日本のビジョンと行動である。核兵器禁止条約に日本は、厳しい安全保障環境を理由に参加しない方針であるが、これは、「唯一の戦争被爆国」として核兵器の非人道性をもっともよく認識しているとする立場に反する。
 この際、日本は、NPT合意を意図的に歪曲し続けることを一刻も早く止め、自らの安全保障における核兵器の役割の見直し・低減に着手する以外にこの矛盾を乗り越える道はない。それこそが、核兵器国と禁止条約推進国との橋渡しをするための最低限の条件である。それには、日本が「核兵器依存政策」から抜け出す道を歩み始めるしかない。南北、米朝首脳の2つの合意を基礎に、朝鮮半島、ひいては北東アジアの平和と非核化が外交の現実的な課題となっている今こそ、日本は、核兵器に依存しない安全保障政策へと転換することを具現化する北東アジア非核兵器地帯をめざすべきである。それにより核兵器禁止条約に参加する道が見えてくる。
 世界中の市民が、国際条約で禁止される存在となった核兵器に安全保障を依存する有り方の正当性を問い、多国間交渉による核兵器を禁止する法的文書の獲得と朝鮮半島の完全な非核化とをつないだ取り組みを意識的に進めることが求められる。
(ゆあさいちろう)

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福井県知事、県内乾式貯蔵検討と
―崩れる再処理正当化論

 関西電力の3つの原子力発電所を抱える福井県の西川一誠知事は、3月7日、知事選(4月7日投開票)に向けた政策発表の記者会見で、原子力発電所の使用済み燃料を空冷式の貯蔵容器に入れて敷地内を含む県内で保管する可能性も検討すると明らかにしました。これは、原発の貯蔵プールの空き容量不足のため再処理をするしかないとの議論の根拠を崩すものです。
 再処理推進派は、2005年の原子力政策大綱策定時以来、次のような論法で再処理の正当化を図ってきました。「まもなく各地の原発の使用済み燃料プールが満杯になる。原発現地の市町村や県は使用済み燃料の地元外搬出を求めていて、地元での乾式貯蔵を認めてくれない。搬出先は六ヶ所村再処理工場の受け入れプールしかない。これも満杯。早く工場を動かし、燃料を再処理してこのプールに空きを作るしかない。でないと原発のプールが満杯になって原発は運転停止になる。だから工場の早期運転を!」福井県は、1990年代末以来、使用済み燃料は県外に搬出するよう求めてきました。西川知事も再三、県外搬出を主張してきました。

関電の県外搬出約束と知事選
 2017年11月27日に知事が大飯原発3、4号機の再稼働に同意した際、県外保管施設について「2018年中に具体的な計画地点を示す」と関電は約束しています。20年に候補地を確保、30年頃操業という計画です。ところが、2018年12月16日に関電は、計画地点提示断念との方針を知事に伝えます。20年に確保の計画には変わりないとのことです。同月28日の定例記者会見で知事は、原発停止などの罰則を与える必要ないとの考えを示しました。
 知事の3月7日発表の『元気ビジョン2019』には「使用済燃料の中間貯蔵施設の立地地点の確定を国・事業者に強く要請。中間貯蔵施設搬出までの安全な保管方法について地元市町とともに検討」とあります。知事による2015年3月16日の『福井ふるさと元気宣言』は、「使用済燃料の中間貯蔵施設の県外立地を国・事業者に強く求める」とだけ述べていました。この変化をもたらした背景として、上述の関西電力の提示断念の事態、対立候補の杉本達治前副知事の方針、そして、原発受け入れ自治体の首長らの発言が挙げられます。
 記者会見で知事は「(県外に)中間貯蔵施設ができるまでの若干の期間、一時保管するという議論も並行して起こりうる。乾式貯蔵を含め、そういう議論はする」と説明しています。西川知事の下で副知事を務めた杉本氏は「物事を決めつけてやりきることがいいこととは思わない。(乾式など)何が安全か、立地、準立地自治体を含めてよく話をしながら進めていく」との考えを示していました(福井新聞2018年12月7日)。
 選挙に重要な影響力を持つ立地自治体首長の昨年の発言は次のようなものです(明記以外は福井新聞から)。
野瀬豊高浜町長
 「県内での貯蔵を俎上(そじょう)に載せてもいいのかなと思う」(11月30日)。
中塚寛おおい町長
 「町を預かるものとして、地域住民の安全確保が第一」「(乾式貯蔵は)選択肢の一つであることは間違いない」(8月29日)「住民の安心安全を考えたとき、乾式貯蔵も一つの選択肢となり得る」(12月14日。中日新聞)。
山口治太郎美浜町長
 「(乾式貯蔵を)前向きにとらえて練る必要がある」「乾式貯蔵の方が発電所の安全性が高まるという話なので」(12月4日)。(美浜町では山口町長が勇退し、2月19日の選挙で戸嶋秀樹前副町長が「後継者」として無投票当選。)
 また、日本原子力発電の敦賀原発を抱える敦賀市の渕上隆信市長(全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長)は、今年1月4日の記者会見で「安全性を高める点で乾式貯蔵もあり得る、との議論になってくるのではないか...規制委員長が安全と明確に発言したので、敷地内での乾式貯蔵の導入に対してはあまりナーバスにならなくてもよくなってきた」と述べています。

「大きな議論が必要」と原子力規制員会委員長
 福井新聞は、原子力規制委員会の更田豊志委員長が2018年11月28日の定例会見で、「サイト内で貯留されているケースにおいては、使用済燃料プールの貯蔵量が多くなるよりは...むしろ乾式キャスクでの貯蔵を望みたい」と改めて述べたことが最近の首長らの発言の背景にあると指摘しています。規制委の2012年9月の発足以来、当時の田中俊一委員長と更田委員長代理は、たびたび、プール貯蔵より乾式貯蔵の方が安全だとし、5年から10年ほどプールで冷やした燃料は乾式貯蔵に移すべきだと発言してきました。これは、2013年の福島第一原発の事故の教訓だと言います。4号機のプールでは火災が心配されたが、同原発の乾式貯蔵施設(日本で導入された二つの乾式貯蔵施設一つ)の方は津波に襲われながら容器自体や燃料は健全だったからとの説明です。規制委は、このような考え方から、乾式貯蔵促進のために、3月13日、申請手続きを簡素化し、建屋なしの貯蔵も認める規則改正案を正式決定しました。
 福島事故以前に乾式貯蔵を導入していたもう一つの原発は東海第二原発。事故後原子力規制委に申請をしているのは以下の通りです。中部電力2015年1月26日申請(新基準の下での建屋なし貯蔵検討中)、四国電力伊方原発(2018年5月25日申請)、九州電力玄海原発(2019年1月22日申請)。
 更田現委員長は、2月13日の記者会見で、再稼働の現状からすると六ヶ所再処理工場は無用な施設になるのではないかと問われ、「大きな議論が必要」と答えています。田中元委員長は、3月1日都内での講演会で、再処理政策について「個人的にはやらない方がよい」、本格稼働すれば保有量増大と指摘しました。2021年の再処理工場竣工予定を控え大きな議論を巻き起こせるでしょうか。
(「核情報」主宰田窪雅文)

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《投稿コーナー》高校生平和大使にノーベル平和賞を!ノルウェーで再アピール

 3月3~7日、高校生平和大使3名が、広島・長崎両市長の親書を携え、ノーベル平和賞のノミネートに向けてのアピールと現地高校生世代との交流を目的として、2018年に引き続きノルウェーを訪問しました。参加した3名の報告文をお伝えします。

「スピード・実行力のあるオスロ市を見習って」 広島・英数学館高等学校3年 船井木奈美
 私は2018年に続き、2回目のノルウェー・オスロ市の訪問となった。1年ぶりのオスロ市は、大きな変化を遂げていた。
 オスロ市は環境問題に立ち向かうべく、車の交通量の大幅な削減を行い、EUから2019年度の欧州グリーン首都賞を受賞していた。訪問中の3月5日、ノルウェー政府が核兵器禁止条約に署名しないことを表明した。これに対しオスロ市長は、「政府が条約に署名するよう、オスロ市が政府に圧力をかけていく」と、私たちに決意を語った。ノルウェーも日本と同様、「核の傘」国の立場にあるが、オスロ市の核兵器廃絶に向けた意志は強固に見えた。オスロ市は核兵器問題をはじめとする数々の問題に対し、常に意欲的に取り組んでいる。オスロ市のスピード・実行力を是非とも見習いたい。
 オスロ商業高校やNGOで現地高校生と交流し、被爆の実相や私たちの活動を紹介した。生徒からの質問で、核兵器の実在数や保有国、「核の傘」の言葉の意味を聞かれ、日本の若者と同じく、核兵器にまつわる知識の乏しさが問題だと感じた。しかし、短時間の交流の中で「どうしたら高校生平和大使になれるの?」「学校で高校生1万人署名を集めて日本に送るね!」という声が上がり、核兵器廃絶への関心の高まりを目の当たりにし、私達の活動の意義を再確認できた。ノルウェー訪問により、高校生平和大使のネットワークがまた一つ構築され、核兵器廃絶のメッセージが世界に広がる予感がした。


左からオスロ市のマリアンネ・ボルゲン市長、
中村さん、 山口さん、船井さん
「再訪」 長崎・活水高等学校3年 中村涼香
 今回は日本と同じ核の傘にあるノルウェーが国会で核兵器禁止条約に署名しないことを決定したタイミングで訪問することとなった。そういった意味でもノルウェー外務省を含む各所で軍縮大使などに向けて広島と長崎の被爆の実相や核兵器廃絶の必要性を訴えることができたのは非常に意義のあることであったと思う。また2度目の訪問となった今回、私達の活動が少しずつノルウェーの地でも認知されていることを実感した。今回初めて訪問した在ノルウェー日本国大使館を除き全ての訪問先で英語を用いて自分たちの言葉で直接話すことでより多くのことを伝えることができた。現在、SNSなど世界中が一瞬でつながることのできる媒体が数多く存在する中で直接話すことがいかに重要でその影響力が大きいかを感じた。オスロ商業高校やNGOを通して現地の中学生と交流した時には自分たちができることは何か、どうしたら活動に参加できるのかという質問も多く、私達と同じ核兵器の廃絶を願う仲間を増やすことができた。また私自身訪問を通して学んだことも多く、まだまだ若者が知るべきことは多いことを実感した。そういったことも含め今回の訪問は全てこの活動の次のステップにつながる重要なものであった。私が今回の訪問で見て聞いて学んだことは全て次の高校生にしっかりと引き継いでいきたいと思う。

「若い力」 長崎・活水高等学校1年 山口雪乃
 現地では、核兵器廃絶を訴えると同時に自分たちの活動をアピールしてきましたが、交流をしたオスロ商業高校やNGO団体の皆さんの平和活動に対する関心の高さにとても驚きました。どの学生と話をしても、日本の学生と交流をするときよりも活発な話し合いをすることができ、自分自身の意識も以前よりさらに高められたように思います。特に、NGO団体NoToNuclearWeaponsの若者との交流では高校生1万人署名活動の広がりとこれからの可能性を感じました。私たちのこれまでの活動を説明すると、とても関心を持ったようで、「ノルウェーの若者には非核化に向けて何ができるか、日本とノルウェーがNPT条約に署名していない事をどう思うか、ノルウェーと日本の若者が協力できることは何か」など、多くの質問を受けました。私たちが説明したことに対して自分たちもそれを受けて何か行動を起こそうとする姿勢に強く心を打たれ、日本の同世代の若者にも彼らのように積極的に平和活動に取り組む若者がいるという事を伝えたいと思いました。交流した5人の学生は署名活動の存在を知り、自分たちも署名をしたい、学校でも署名を呼びかけて平和のために何かしたい」と非常に協力的でした。これからもこうした若者との交流を通じて署名活動を世界中に広げることで平和活動に関心をもつ若者を増やせるのではないかと期待しています。平和な未来を担う私たち若者が互いに協力しあって、それを実現することが私の願いです。

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加盟団体の活動から(第14回)
生涯現役として平和運動に関わっていく
総評退職者の会 事務局次長 土谷 一雄


村山富市元首相を迎えての特別講演会
(2015年5月・全水道会館)
 総評退職者の会(総評OB会)は、まだ総評が存在していた1981年に、総評を退職した書記、オルグ、役員経験者や総評運動にかかわった人々を会員として組織されました。OB会ですから、会員の親睦と交流は当然のことですが、戦後の平和と民主主義運動の中心を担ってきた総評の出身であり、その運動に携わってきた者として、OBとしても引き続き様々な運動に参加していくことを活動の基本としています。
 毎年5月には定期総会を開き、秋には懇親旅行として、去年は福島県飯舘村に出かけ、原発事故後の状況に触れてきました。12月には、「総評を語る夕べ」を開催、かつての同志が相集い、交流を深めるとともに、単なる総評時代へのノスタルジアではなく、生涯現役として運動に関わっていくことを確認しています。
 1989年に総評が解散(今年は総評解散後30年)し、連合が結成されますが、退職者連合が組織されてからは、総評OB会は退職者連合に加盟し、その一員として活動してきました。
 2012年に第2次安倍内閣が発足、戦争法制をはじめとする「戦争できる国」作りに突進し、民主主義を圧殺する政権運営が強行され、我々が築き上げてきた戦後の平和と民主主義が風前のともしびとなる事態が現出しました。この延長線上には「憲法改悪」があることも明白です。私たちは、この状況を容易ならざる事態であり、戦後最大の危機と捉えています。
 この状況に立ち向かうため、私たちは活動の場を、総評にはなじみの深い「平和フォーラム」に求め、参加することにしました。年寄り集団ですから、幅広い「平和フォーラム」の活動全てにはとても参加できませんが、とにもかくにも安倍内閣打倒に向けてフォーラムの皆さんと活動をともにしていきたいと考えています。
 今年は参議院選挙の年で、いよいよ安倍内閣との政治決戦です。「平和フォーラム」が「市民連合」をリードし、野党のまとめ役として活躍されていることに心から敬意を表します。私たちもこの参議院選挙に全力を挙げる決意です。
 私たちには戦後社会を作ってきた責任があります。私たちの子や孫、次の世代に何としても平和で民主的な国と社会を引き渡すためにがんばりたいと思います。
(つちやかずお)

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〔本の紹介〕
《飯嶋和一にハズレ作なし》
飯嶋和一の一連の作品


星夜航行(新潮社刊)
 《飯嶋和一にハズレ作なし》、読んだことがあるだろうか。慶長7年、常陸の国北限小生瀬の地で一村全員300名以上が殺された史実を掘り起し描いた、『神無き月十番目の夜』、殉教の物語でなく百姓一揆としての島原蜂起(「乱」とは権力側からの視点)を描いた『出星前夜』、相撲の雷電を描いた『雷電本紀』、『始祖鳥紀』、『狗賓童子の島』、『汝、ふたたび故郷に帰れず』、最新では、文禄、慶長の二度に亘る秀吉の朝鮮侵略を中心に据えて描いた『星夜航行』など歴史小説の大家飯嶋和一の作品の評だ。中山義秀文学賞、大仏次郎賞、司馬遼太郎賞など数々受賞もしている。
 評者は、昨夏までこの作家を知らなかった。書評で『星夜航行』を知り、9年の歳月をかけて書き上げたという分厚い上下2冊を一気に読んだ。三河の一向一揆を家康が鎮圧したところから物語が始まり、主人公が、遠州、博多、長崎、琉球、ルソン、そして朝鮮へと流れ、朝鮮で捕虜となり、捕虜によって編成された降倭隊の幹部となって秀吉軍と戦う話だ。秀吉時代の話にも拘らず、あたかも日本の近・現代史を読んでいるかのような錯覚すら覚えた。読了し、疲労困憊した。まさに「歴史とは、現在と過去との対話である」(E・H・カー)。
 それから、発表されている彼の全作品を読んだ。《飯嶋和一にハズレ作なし》、どれも素晴らしい作品だった。目線がいい。同じ島原蜂起を題材とした堀田善衛の『海鳴りの底から』と比べるとその違いが分かる。堀田はインテリだ。飯嶋は名もない庶民に温かい眼差しを注ぐ。『出星前夜』は、島原、天草の農漁民2万7000人(3万7000人説もある)が12万余の幕府軍と闘う絶望の物語だが、著者はこの99・5%の絶望の物語の末尾に0・5%の希望を書き込む。飯島作品の特徴は常に末尾に於いて冒頭のテーマに立ち戻るところにある。
 全作品を読んでしまった今、まだ読んでいない人が羨ましい。それは御菓子を先に食べた子どもが、まだ食べ終わっていない子どもを羨ましがるのと似ているかもしれない。そんな作家に出会ったのは初めてだ。次作が楽しみだ。敗戦の年に生まれ、この春74歳になる評者はそれまで生きていられるだろうか。
(内田雅敏・弁護士)

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核のキーワード図鑑


9条は地球の核に反対です

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安倍9条改憲NO!安倍政権退陣! 4.19国会議員会館前行動(仮称)

日時:4月19日(金)18:30~19:30
場所:衆議院第2議員会館前
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

憲法集会が今年も開催されます。 「平和をつなぐ未来をつむぐ 2019年は平和憲法をまもりいかす大切な年 許しません 今国会での改憲発議」
許すな!安倍改憲発議 -2019平和といのちと人権を! 5.3憲法集会

日時:5月3日(金・休日)11:00~15:00 パレード出発15:00~
場所:有明・東京臨海防災公園
主催:5.3憲法集会実行委員会
共催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会安倍9条改憲NO!全国市民アクション

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