トップ  »  ニュースペーパー  »  ニュースペーパー2019年11月

ニュースペーパー2019年11月

2019年11月 1日

ソーシャルブックマーク : このエントリーをYahoo!ブックマークに追加 このエントリーをニフティクリップに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 このエントリーをlivedoorクリップに追加 このエントリーをBuzzurlに追加 このエントリーをイザ!ブックマークに追加 このエントリーをFC2ブックマークに追加 このエントリをdeliciousに追加


平和フォーラムが全日建関西生コン支部への違法捜査をやめるよう大阪府警本部へ要請
 前代未聞の警察による労働組合弾圧で9月25日17時30分、全国から集まった平和フォーラム加盟組織代表者が、大阪府警察本部に対して要請を行うとともに、抗議の声を上げました。(写真)
 福山真劫平和フォーラム共同代表が、「ストライキ等憲法で保障されている労働組合活動を抑え込み、組織自体の破壊をもくろむ攻撃を絶対に許してならない、最後までともに闘う」と力強く決意表明をした後、長期勾留の弾圧を受けた当該組合員から、労働者の基本的権利を踏みにじり、平和活動を否定する戦前さながらの警察の取り調べの実態が報告されました。そして、過酷な取り調べの中でも、壁の外から激励の声が聞こえ、大いに勇気づけられたと、労働組合、支援者たちの連帯のとりくみの大切さを力説していました。
 大阪府警に要請した藤本泰成平和フォーラム共同代表ら代表団3名が、府警本部内での要請の模様を報告したうえで、「この弾圧は権力犯罪である、直ちにやめるよう要請してきました。府警担当者は上部に伝えると確約しました。違法捜査をやめさせるまで全国の力を結集して頑張ろう」と訴えました。
 最後に、菊池進全日建委員長が決意表明を行い、"団結頑張ろう"で、警察本部前に労働者の力強いこぶしを突き上げました。

インタビュー・シリーズ:150
危機にある日本の「食」をどうする?
ゲノム食品、農薬、自給率、巨大多国籍企業が種子を独占 山田正彦さんに聞く


やまだ まさひこさんプロフィール
 1942年生まれ、長崎県出身、弁護士。1993年衆議院選挙に初当選し、5期務める。農林水産大臣、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長などを歴任。
 現在は、弁護士業務に加え、「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」弁護団共同代表、「日本の種子(たね)を守る会」顧問、「デトックス・プロジェクト・ジャパン(DPJ)」共同代表として、TPPや種子法廃止の問題点を明らかにすべく現地調査を行い、また各地で講演や勉強会を行っている。
 著書に「『農政』大転換」「TPP秘密交渉の正体」「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」「タネはどうなる?!」「売り渡される食の安全」など多数あり。

─山田さんは農林水産大臣を経験されていますが、安倍政権の農業政策をどう見ていますか。
 安倍政権には農業政策なんてものはないと思います。自動車産業と農林水産業を数字でしか見ていないのです。例えばTOYOTAだけで32兆円の売り上げに対し、農林水産業は全体で8兆円の生産高としか見ていない。数字の大きい自動車産業を選んで、生産額の低い農業は捨てて、足りない農作物はアメリカから輸入すればいいという考えなのです。日本としては、報復関税を考えて、どうにか自動車産業を守りたい。それに対して、アメリカから輸入できるものは農産物くらいしかないのです。私が農林水産大臣だった時に、環太平洋経済連携協定(TPP)の影響を調べたら、食料自給率は14%にまで落ち込むと言われていました。そういうところを考えずに、数字だけしか見ていないのが安倍政権で「工業製品を売って、農産物は買えば足りる」という考えでしかないのです。

─日米貿易協定が9月に合意したことをどう思いますか。
 日米貿易協定は、アメリカの言い値で買うようなものです。アメリカのスーパーに行けば、オーガニック食品が基本です。ロシアも2016年には遺伝子組み換え食品(GMO)は販売禁止になりました。今や、GMO食品は売り場がないのです。だから、それを日本が引き受ける、というのが日米貿易協定の狙いです。
 最近出てきたゲノム編集食品を、アメリカでは「NEWGMO」と呼びますが、日本では、ゲノム編集のものと遺伝子組み換えがおこなわれたものとは違うものと考えられています。だから、ゲノム編集されたものは問題ないとして、厚労省や消費者庁も許可しており、10月から日本では表示なしで販売されることになりました。足りない分は輸入すればいいという考えの安倍政権は、食料自給だけでなく、食の安全もアメリカに売り渡そうとしているわけです。
 かつての民主党政権では、基本政策で食料自給率50%を目指して、第一次産業に力を入れていました。今、安倍政権は食料主権を守っていません。国家は国民を外敵から守る義務があります。それと同じように、国家は国民を飢えさせないために、安全・安心な食料を提供する義務があるのです。この食料主権は憲法25条の生存権に基づく考え方です。

─2017年に「主要農産物種子法」が廃止されましたが、どんな問題がありますか。
 現在、種子法廃止に対する訴訟を起こしています。種子法があったおかげで、おいしいお米が食べられたのであり、改良を重ねてこられたのです。米、麦、大豆を守ってきた法律だといえます。例えば野菜の種子は、30年前までは各地で農民などが改良してきた固定種が中心でしたが、現在では種子会社が作る優性種の「F1」(一代交配種)が主流です。今では、固定種は10パーセント、F1は90パーセントを占めていて、日本の野菜の種子のほとんどが海外に委託してつくられているのです。農薬や化学肥料、種子などは、モンサント、ダウ・デュポン、シンジェンタなど数社で作っているといっても過言ではないほど、これらの多国籍企業によってほとんどが生産されています。
 米・麦・大豆の種子は国や自治体が責任をもって開発するという種子法について、政府は民間の活力を阻害しているとして、ほとんど審議もしないまま、2017年に廃止をしてしまいました。食の安全などを考えたら、種子法廃止というのは大変なことなのですが、全然報道されませんでした。
 さらに、政府は300種くらいあるコメの種類が多すぎるとして、集約をしようとしています。農水省は、モンサントが作ったF1品種の米である「みつひかり」を紹介して回っています。コシヒカリの1.2~1.4倍の収量で、作りやすいとされています。しかし、F1という種子は単年でしか使えず、毎年種子会社から種を買わなくてはなりません。このままだと種の価格が高くなっていくことが容易に想像されます。

─各地では「種子条例」を制定する運動が起きていますね。
 2017年12月25日に種子法廃止の通知が出されて、2018年4月には廃止になってしまい、種を守れないという危機感から、地方自治体によっては個別に動き出しました。都道府県がこれまで通りに種子の開発を行うことが出来るように条例をつくったのです。私たちは条例をつくる動きを仕掛けるために、10万部ほどリーフレットをつくりました。条例は法律よりも低いと思われていますが、2000年に施行された地方分権一括法で強い権限を与えられたのです。
 条例を直接つくることが出来るように、請願権を使い、市町村議会議員などを通して、種子法に代わる条例を県が制定するよう意見書を出してほしいとお願いしたのです。地方議会は、もちろん自民党議員が多いです。でも、自民党議員の票田も含めて、農業従事者が地方ではそれなりに力があるので、与野党問わずとりくんでもらえました。一番初めに対策を行ったのが新潟県柏崎市でした。新潟県はコメ所であるからこそ、危機感を持って対策を講じてくれたのだと思います。続いて兵庫県です。酒米の山田錦の味が落ちることを心配したようです。続いて、埼玉、山形、富山、福井と続き、2020年度中には26の道県で成立すると見込んでいます。
 法律でなくても、条例で自治体ができるというのは、地方分権のおかげなのです。地方分権一括法では、国からは通知のみで、それは助言でしかないため無視しても問題ありません。条例は法律にさえ違反していなければ、何をしてもかまわないのです。つまり、地方自治で対策が出来るということなのです。
 海外でもそういった事例があります。イタリアのトスカーナ地方でのことですが、「自家採取禁止法案」、別名「モンサント法案」というものがあり、種子を農家が次年度用に自家採取をした場合に、罰金が課されるというものでした。それに対して、トスカーナ地方の伝統的な種子を条例で守ったという事例があります。種子はなくなってしまったらそれで終わりです。だから、私は今、対抗する運動を進めています。闘えば勝てるものなのです。

─食品の安全性や農薬の規制も問題がありますね。
 先日、学校の校庭整備のため、長い期間、モンサント社が販売するラウンドアップという除草剤を使い続けていたところ、末期がんになってしまったというドウェイン・ジョンソンさんに会ってきました。なんとモンサントは、ラウンドアップは発がん性があるというデータを持っていたにもかかわらず、販売を続けていたのです。ジョンソンさんは、長い間ラウンドアップを販売し続けていたことに対し、裁判に訴え、モンサントに勝訴しました。賠償金は320億円にのぼります。
 これだけ話題になったラウンドアップですが、日本ではどこでも手軽に買え、除草剤として使用されています。ジョンソンさんの裁判を経て、2019年8月から100円ショップのダイソーではラウンドアップの販売が禁止となりましたが、日本ではまだまだ野放しと言えるような状態です。
 ラウンドアップも含め、グリホサートという成分を持つ除草剤がたくさん使われています。農薬会社はこれまで、グリホサートは分解性が高く、人体には影響しないと言い続けてきたのですが、実際にはそんなことはありませんでした。私が2019年3月に国会議員など28人の髪の毛を検査したところ、19人からグリホサートが検出されたのです。ここまで高確率で検出されるとは、検査を依頼した学者たちも驚いたほどでした。それだけ残留性がある農薬なのです。
 アメリカに行った際に現地で購入したポテトチップスのパッケージの裏面には、農薬使用による発がん性などに関する注意書きがあるのです。日本ではこのような表記は見つかりません。海外のスーパーでは基本がオーガニック食品です。日本では、そのような流れは一部だけで、まだまだです。こういう点でも、日本と海外での食に対する安全への意識というか対応が違っているのがわかります。

─平和フォーラムも含めてこれからの運動についてお話ください。
 足元から運動をしていくことが大切だと思います。憲法問題なども大事なことだと思いますが、身近な問題を地域からとりくむことが大切ではないかと思います。まずは自分たちの食生活を守ること、これは平和でないと出来ないことなのです。そして、実際に生産している地域からその食生活を守るしかありません。
 農協や市民団体、労働組合を含めて、様ざまな条例を作る動きなどを、地方からとりくんでいくのが良いと思います。GMO食品はこの地域で販売してはいけないとか、販売したら罰金を科すとか、地方自治で闘っていってほしいです。こういうものは、一つ成功事例が出来れば、自信に繋がって、次の行動にも広がります。
 生活を守ることの根本は食の安全だと思います。食の安全に関して、日本は海外から大幅に遅れています。正しいと思うことを信じて続けていけば、日本の食の安全を確かなものに出来ると思っています。世界の潮流においていかれてはいけません。がんばりましょう。

インタビューを終えて
 生きていくうえで必要不可欠な「食」。日本の「食」は安心・安全だと思っていたのは私だけではないだろう。今回、山田さんのお話を聞いて、知らないうちに「食」の世界では言葉を失うほど驚くことが次々と起きていた。あのスナック菓子が、アメリカでは成分表の記載と並んでWARNINGとの記載があり売られているとは...。これから何を信じて食べればよいのだろうか...。
(北村智之)

このページの先頭へ

生物多様性から見て辺野古新基地建設はありえない
生物多様性は、あらゆる政策を縛っている 湯浅 一郎(ピースデポ共同代表)

 2018年9月の沖縄県知事選や2019年2月の県民投票は、沖縄県民が辺野古埋め立て中止を求めていることを示した。この民意を無視した埋め立て強行は、民主主義、地方自治の破壊である。が、もう一つ重要な視点として、生物多様性国家戦略や生物多様性条約に真っ向から反する行為を政府が率先して行っているという問題がある。政府は、目の前の都合によって、子孫が生きていくための未来を支える基盤をつぶしている。これは、気候変動問題と同様に国家による犯罪と言うべき行為である。生物多様性の観点から、辺野古新基地建設が如何なる意味で犯罪であるかを見ておこう。

生物多様性の保持・回復は現代の焦眉の課題
 2019年5月6日、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットホーム」(以下、IPBES)の第7回総会(パリ)で生物多様性に関する「地球規模アセスメント報告書」が発表された。この世界規模での生物多様性の現状を評価した初の報告書は、極めて衝撃的な内容を含んでいる。例えば「世界中に約800万種と推定される動植物について、約100万種が絶滅の危機にある」、「海生哺乳類の33%超が、絶滅の危機に直面している」等としている。
 20世紀末、人類は、このまま生物多様性を破壊していけば、自らも含めて破滅への道であることを自覚し始める。1992年6月、リオデジャネイロでの「環境と開発に関する国際連合会議」(地球サミット)で生物多様性条約が採択され、1993年5月に発効したことは、その一つの現れである。日本は2008年6月に生物多様性基本法を施行し、2010年10月、同条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で開催された。この会議では、2020年までに「生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施する」ことを掲げた「生物多様性戦略計画20112020」(愛知目標)が採択された。これらを背景に閣議決定されたのが2012年9月の第5次「生物多様性国家戦略」である。しかし、冒頭で見たIPBES報告書は、生物多様性条約発効から四半世紀にわたる世界的努力にもかかわらず、事態はより悪化していることを示している。政府には、この警告を真摯に受け止め、「国家戦略」を守り、推進する責務がある。


土砂搬出反対署名提出集会で発言する筆者
(2019年6月10日)
3重の意味で生物多様性国家戦略に反する辺野古新基地建設
 辺野古新基地建設は、少なくとも以下の3点で生物多様性国家戦略に反している。
 第1に、そもそも辺野古・大浦湾を埋立てること自体が生物多様性国家戦略に違反する。埋め立てられる海はジュゴン・ウミガメ、サンゴ類の生息地であり、国際的な観点からも生物多様性の豊庫である。この海をつぶすことは、日本におけるジュゴンの絶滅もやむを得ないという選択である。2019年3月18日、沖縄県なきじん今帰仁村の海岸にジュゴン1頭の死骸が漂着したことは日本のジュゴンが絶滅の危機に瀕していることを示しているが、その要因の一つが辺野古埋め立てである。
 第2に埋立てに必要な土砂、海砂の採取にも同じ構図が当てはまる。埋立てには、東京ドーム約17杯分の計約2,062万m3の土砂を沖縄を含む西日本各地から供給せねばならない。その内訳は、岩ズリ1,644万m3、山土360万m3及び海砂58万m3である。ここで「岩ズリ」とは、採石の残余として発生する砂、泥及び小石の混合物で、その7割強は沖縄県外の香川県から鹿児島県までの西日本一帯から持ち出す。さらに2019年になり大浦湾側の海底に厚さ60mとも言うマヨネーズ状の軟弱地盤があり、海底地盤改良工事だけで砂杭7万7千本、敷砂用として新たに650万m3の砂が必要となる。この膨大な岩ズリや海砂採取は、それぞれの地で生物多様性の豊かな山や海を破壊することでしか確保されない。
 第3の問題が、辺野古への外来種持ち込みによる生態系の危機である。亜熱帯である辺野古に搬入される岩ズリの多くは温帯域で採取される。また同じ亜熱帯でも例えば沖縄本島と奄美大島では、島嶼としての歴史が異なり、それぞれ独自の進化を遂げている。辺野古に沖縄島以外から大量の岩ズリを持ち込めば、沖縄島独自の生態系に有害な外来種が侵入する可能性がある。アルゼンチンアリ(山口県など瀬戸内海一帯)、ハイイロゴケグモ、オオキンケイギク(奄美大島)、ヒアリなど有害な特定外来種が持ち込まれる可能性がある。少なくとも外来種侵入防除対策が不可欠となるが、政府は、防除対策をすると言うだけで、具体策は示されていない。
 以上より生物多様性から見て、辺野古新基地建設計画は中止すべきであるとの結論が見えている。
(ゆあさいちろう)

このページの先頭へ

「基地の島、沖縄」主権が奪われている日本の現状
岸本 喬 沖縄平和運動センター事務局次長

 「国土面積のわずか0.6%の沖縄に、在日米軍専用施設の70.3%が集中している。沖縄本島の18.2%を占めている」。これは、みなさんが何度も聞いたフレーズでしょう。
 2018年3月時点の米国防総省資料によると、在日駐留米軍人は55,026人、約半数の25,843人が沖縄駐留となっており、海兵隊だけをみると在日海兵隊の約80%が沖縄駐留となっています。 

「普天間基地」~沖縄国際大学へのヘリ墜落事故から15年、オスプレイ配備から7年~
 8月14日、2004年に起きた沖縄国際大学構内への米軍CH53型ヘリの墜落事故から15年が経ちました。この事故では米軍が大学構内の現場を占拠して、大学関係者なみならず、本来、救助や2次災害防止、事故原因調査にあたるべき、沖縄県警と宜野湾市消防署をも締め出し、取材にきたメディアをシャッタアウトしたどころか撮影したカメラまで奪おうとしました。
 このことは、言うまでもなく日本の主権が米軍により一方的に制限されたことにほかなりません。
 またその際、批判を受け策定したガイドラインは、結果米軍優先となり、2017年の東村高江で起きた同型機の墜落事故でも米軍が現場を封鎖し、県警が周辺を警備したことは記憶に新しく、地元紙は「米軍の特権を強化しただけだった」と批判しました。
 そして同年12月に、宜野湾市内の保育園と小学校に部品や窓枠を落下させ、今年6月には浦添市内の中学校テニスコートにゴム製テープを落下させています。「学校、病院を含む人口密集地を飛ばない」とする日米合意事項違反であり、県民の生命軽視は到底許されるものではありません。またそれにまったく抗議すらできない日本政府の対米従属を、沖縄の日常が浮き彫りにしています。
 オスプレイが普天間基地に配備されてから10月1日で7年となりました。沖縄平和運動センターは「NOOSPREY金曜行動」をその月からはじめ、同様に7年で316回目となりました。米国では事故を繰り返していた欠陥機オスプレイの配備に10万人が抗議県民大会を開催し、建白書をもって安倍総理に直訴する中で、ここでも民意を聞き入れず、安倍政権は主権を捨て米国追従となり強行配備しました。4年後の2016年12月には、新基地建設を強行する辺野古・大浦湾に目と鼻の先の安部(あぶ)海岸に墜落大破、同日に普天間基地の滑走路に胴体着陸事故を起こしました。
 地元紙によると、協定違反の夜間飛行が年々増大し、2017年170回、2018年224回、2019年(5月まで)111回を数えています。宜野湾市の基地被害110番には連日苦情が寄せられています。配備7年目を前に、9月には沖縄国際大学をはじめ県内9つの大学、短大、専門学校の学長らが教育機関周辺上空での米軍機の飛行中止を求める要請書を日米両政府に発信しています。専門家も指摘するとおり、米軍優先の日米地位協定であり、日本政府がすべての権利を放棄している以上、県民のいのちは守られません。

「嘉手納基地」~静かな夜を返せ!爆音訴訟 高裁、飛行差し止め請求棄却
 9月11日、米軍嘉手納基地爆音訴訟第三次の控訴審判決で、嘉手納基地周辺の住民・原告22,000人に対し、「住民の騒音被害は受忍限度を超えている」としながらも、住民が求めた夜間・早朝の米軍機飛行差し止めについての請求を退けました。高等裁判所の大久保正道裁判長は、一次、二次同様に、米軍機には日本政府の指揮・命令権が及ばないからだとする「第三者行為論」と原告住民や県民には理解できない論理によって退けました。では、第三者行為論というのであればと、原告団は米国政府に直接、夜間・早朝の米軍機飛行差し止め賠償を求めて「対米訴訟」を起こしましたが、高裁は棄却しました。これではいったい日常的に被害を受けている住民はどこに救済を求めればいいのでしょうか。裁判所までが政府に対し「忖度」しているのかと原告団は怒りをあらわにしています。
 フィールドワークなどでかでな道の駅から嘉手納基地の現実を目の当たりにされた方も多いと思います。地元紙を検索し主なものをピックアップすると、「次世代型の空中給油機KC46初飛来か」(7月15日付)、「長期訓練か!横田のオスプレイ3機飛来5ヶ月ぶり4度目」(7月23日付)、「米空軍の情報収集機コブラボール連日飛来北朝鮮を警戒か」(8月2日付)、「横田や岩国から米軍機飛来続々台風避難か」(9月8日付)、「米軍F15が緊急着陸フックランディング後は自走できず」(9月25日付)、「朝からうるさい嘉手納所属F15が急上昇・旋回、飛行訓練で騒音」(10月10日付)、このように嘉手納基地は横田や岩国などの県外、米本国、カナダなど海外からも訓練や警戒活動で様ざまな機種が使用し、爆音は絶えることがありません。高裁も認めるとおり、爆音は受忍限度を超えています。せめて「静かな夜を返してほしい」。40年以上にわたる裁判で周辺住民は訴えています。日本は三権が思考停止状態ではないでしょうか。
 1952年のサンフランシスコ講和条約第3条で沖縄について、「合衆国は、...住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする」と書かれています。すでに1972年の復帰から47年、米国・米軍及び日本政府の沖縄に対する認識は変わっていないのかもしれません。先述のとおり、主権を奪われているのは日本そのものなのに。
(きしもとたかし)

このページの先頭へ

「食・みどり・水」の課題に対しとりくみ続けてきた
「全国集会」 全農林労働組合 高橋和哉

50年を超える「食・みどり・水」の運動  2018年11月、50回目の節目として開催された「食とみどり、水を守る全国集会」は、1968年に静岡県熱川で開かれた「中央労農会議第1回全国活動者会議」を前身とし、1993年山口県山口市の第25回から現在の名称となり毎年開かれてきました。参加者数は当初こそ100人規模でしたが、「食とみどり、水を守る」課題が増え、それに対する運動の広がりとともに集会参加者も増加し、1987年山形県上山市の第19回から2005年長崎県長崎市の第37回までは毎回1,000人を超える大規模な集会となりました。近年は500人から800人で推移していましたが、毎年、開かれる「食・みどり・水」の課題を共有し、運動の学習と交流の場として定着してきました。
 しかし、「全国集会」を受け入れる全国の組織事情が厳しくなってきていることから、2019年3月28日に開かれた「第50回食とみどり、水を守る全国集会」第5回実行委員会で、「全国集会」は「第50回群馬・高崎集会」を区切りとして一旦休止するものの、都道府県でのとりくみを検証するとともに運動の継続性を考慮し、「全国活動者会議(仮称)」を毎年秋に開催することなどを確認しました。
 これを受け、8月27日の全国活動者会議第1回実行委員会で、「第51回食とみどり、水を守る全国活動者会議」を11月29日、東京都千代田区の「日本教育会館」を会場に100人規模で開催することを決定したところです。


第50回食とみどり、水を守る全国集会in群馬
2018年11月30日
労農運動の意義を継承し、山積する課題にとりくもう!
 中央労農会議が結成されて10年目の1970年に開催された「第2回全国活動者会議」で、高野啓吾事務局次長(当時)があらためて明らかにした同会議の目的は、「活動者会議は、労農提携を発展させていくうえで、労農提携の中心組織である中央・地方の労農会議が果たすべき課題を明らかにし、活動の指針を討議の中からつくりあげていこうとすること」であり、「単なる学習会や研究会といったものではなく、労農提携の運動を展開していくためのエネルギーをこの"場"でつくりあげていこうということ」としています。
 その目的通り、活動者会議には全国から第一線の幹部・活動家197人が結集し、儀式的な議事は一切はぶき、討議を中心に進められました。「業態別共闘の現状と問題点」では、(1)米価・食管闘争、(2)葉たばこ共闘、(3)林政共闘、(4)出稼者の組織化、(5)農協の民主化と農協労の組織化、について各組織から提案の説明がされ、情勢認識の共有を図るとともにそれぞれの地域や職場で運動を進める意思を固め合いました。
 前述の「第25回食とみどり、水を守る全国集会」は、11月18日から20日まで3日間の日程で開催され、全国からのべ2,304名が参加しました。スローガンは「町と村で生き続けられる農林業を!」。主催者あいさつで食とみどり、水を守る中央労農市民会議の志摩龍雄議長(当時)は、「緑・水・環境の保全に全力を挙げ、命と暮らしを守り、農林業の活性化、地域の活性化を図るため国民的な運動を強力に展開するとともに、政治経済のあり方を問いながら21世紀に向けて全人類の生存のため、私達の果たす役割はたいへん重要であるという自覚を持ってこれからの運動をすすめていくことが大事」と訴えました。
 集会は第1日目全体集会、第2日目分科会、第3日目総括集会の構成で行われ、分科会は、(1)農林業・食・緑・水講座入門、(2)農林業と食料政策・制度をめぐって、(3)食と営農をめぐって、(4)水と環境問題をめぐって、(5)中山間地域対策をめぐって、(6)地域活性化をめぐって、について、大学、生産者団体、消費者団体、中央省庁、地方自治体、労働組合や政党など各分野の講師からそれぞれ問題提起等があり、活発な議論が行われました。
 このように、この運動は名称や参集範囲の変更などはあったものの、「食・みどり・水」をめぐる様ざまな課題に対し学習を深め、議論を通じて問題意識を共有し、職場や地域での運動へとつなげていく取り組みとして今日まで続けられてきました。これは、関係者の努力の賜であり、労農運動へのエネルギーが生き続けている証ではないでしょうか。
 今日では、遺伝子組み換え食品、水道事業の民営化など、「全国集会」開始当時には、想像もつかない課題が山積しています。
 このたび、事務局を全農林中央本部が担い、実行委員会(平和フォーラム、全農林、自治労、日教組、全水道、森林労連、政労連農林水産共闘、全日農、日消連)と都道府県労農市民会議が連携を密にして、この運動を継承していきたいと思います。
(たかはしかずや)

第51回食とみどり、水を守る全国活動者会議
日時 11月29日(金)13:30~17:50その後、交流会18:00~
会場 東京・千代田区一ツ橋「日本教育会館」9階会議室
内容 あいさつ、各課題の講演、報告・意見交換
参加者 各都道府県の「食・みどり・水」運動に関わる組織代表等
参加費 6,500円(交流会参加費含む)
連絡先 全農林労働組合中央本部(髙橋・立花)03-3508-1395

このページの先頭へ

福島原発事故刑事裁判
被害事実を軽視、被災者を踏みにじる不当判決
福島原発刑事訴訟支援団 地脇 美和

 9月19日、東京地裁永渕健一裁判長は、東京電力福島第一原発事故の責任を問い、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3被告人の刑事裁判の判決で、「全員無罪」を言い渡した。
 この判決は、国の原子力政策を忖度した不当判決であると心の底から、抗議する。2012年6月、福島原発告訴団として、福島地検に、福島県民をはじめ、全国1万4716人が告訴・告発して以降、私たちは、被害者ではなく、国策に異議申し立てをする「あきらめない危険な人々」扱いだった。東京地裁は、傍聴のために、早朝のバスや新幹線で駆けつける福島県内外の人々に対して、法廷の廊下にバリケードをはり、多数の職員を配置し、所持品を取り上げ、カメラや録音機がないか、金属探知機や体を触るボディーチェックを行い、ノートに何か挟んでいないか、1ページごとの確認をした。法廷内には屈強な衛視を何人も立たせ、法廷内を監視、居眠りしている人を起こし、思わずあげた抗議の声を威圧した。

被害状況の事実認定をしなかった
 判決で許しがたいのは、双葉病院などからの避難の過程で44名も亡くなった悲劇を「長時間の搬送や待機等を伴う避難を余儀なくさせた結果、搬送の過程又は、搬送先において死亡させ」たと、たった一言で片付け、原子力災害のもたらした悲惨な被害状況について全く事実認定しなかったことだ。亡くなった方々と遺族への敬意が全く払われていない。現場検証の要請にも応じなかった。裁判長らは、全ての被災者を踏みにじり、再び傷つけた。悲惨な原発事故を二度と引き起こさないという規範は導き出されず、被害事実は徹底して軽視され、血も涙もない不当判決が出された。


東京電力刑事裁判の判決日9月19日、
東京地方裁判所前
安全対策のレベルも大きく引き下げた
 判決は、結論で、「自然現象に起因する重大事故の可能性が一応の科学的根拠をもって示された以上、何よりも安全性確保を最優先し、事故発生の可能性がゼロないし限りなくゼロに近くなるように、必要な結果回避措置を直ちに講じるということも、社会の選択肢として考えられないわけではない。」としつつ、「当時の社会通念の反映であるはずの法令上の規制やそれを受けた国の指針、審査基準等の在り方は、上記のような絶対的安全性の確保までを前提としてはいなかったとみざるを得ない。」と判断した。東電や政府は、「原発事故は絶対に起こらない。五重の壁に守られている。安全だ、心配する方がおかしい」と、さんざん喧伝していたことは、すっぽりと抜け落ちている。政府の地震調査研究推進本部(推本)が、一般防災の参考データとして示した長期評価(地震対策の前提とするために、ある地域に、どの程度の確率で、どのような地震が起きるかを予測した評価結果)について、原発の安全対策は、一般防災より高いレベルが求められるにもかかわらず、事実上否定した。
 伊方原発訴訟の最高裁判決(1992年)は「原子炉施設の安全性が確保されないときはこのような従業員や周辺住民の生命に重大な危害を及ぼし、環境を汚染し深刻な災害を引き起こすおそれがあり、このような災害が万が一にも起こらないように安全性を確保しなければならない」としていた。しかし、判決は最高裁判決を否定し、原発に求められる安全性のレベルを大きく引き下げる誤った判断をした。これは、過酷事故を起こしても罪にならないという「原子力ムラ」救済のメッセージであり、司法は独立しているのか、疑わしい。
 公判では、部下が津波対策を進めていたにもかかわらず、それを握りつぶした過程が、押収された多くの資料、会議録、メールなどで明らかになった。しかし、判決はこの事実を「供述の信用性には疑義がある」と根拠も示さず、切り捨てた。被告人に不都合な事実を切り捨て、証拠を無視した。
 事故から8年6か月。未だに原子力緊急事態宣言は解除されていない。解除できない実態があるということだ。この間、闇に葬られようとしていた事実が、あきらめない、泣き寝入りをしない人々によって、明らかにされてきた。私たちは、この不公正極まりない判決を許さない。わずか10日で、控訴を求める署名は2万筆を超え、控訴手続きが行われた。これから、高裁において、逆転有罪を勝ち取るべく、あきらめずに、みなさんと一緒に進んでいきたい。
(ちわきみわ)

このページの先頭へ

道民との約束を反故にする深地層研究計画延長提案を許さない!
北海道平和運動フォーラム 事務局長 難波 優

 幌延町は北海道の北部に位置する人口2,300人の町です。
 幌延町には、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターがあります。 

全道各地で「核のごみ」に猛反発
 1984年、旧動力炉・核燃料開発事業団は、「核のごみ」の貯蔵と処分研究を一体的にすすめる「貯蔵工学センター計画」を公表しました。翌85年10月30日、吉田登動燃理事長は、幌延町で建設予定の核廃棄物処理施設の横路孝弘知事への「調査通告」を強行しようとしました。道庁ロビーでの1,000人による阻止行動では、逮捕者がでるという激しい衝突になりました。さらに反対派の監視行動をかいくぐり、11月23日には抜き打ちの「現地踏査」が強行されました。これに道民が猛反発し、全道各地で抗議行動が起こり、「白紙撤回」に至りました。
 その後、「放射性廃棄物は受け入れ難い」とする道の「核抜き条例」や、「放射性廃棄物は持ち込まない」「研究終了後は閉鎖し埋め戻す」「最終処分場としない」などとする「三者協定」が締結され、「幌延深地層研究センター」がスタートしました。日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターが「条例や協定を守るからやらせてほしい」と道民にお願いし、研究期間を含め約束したものであり、こうした経過を肝に銘ずるべきです。

協定を反故にする研究計画延長
 にもかかわらず、日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターは8月2日、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の地層処分における研究期間を2028年度末までに延長する新たな研究計画案を道および幌延町に提出しました。1998年の「深地層研究所(仮称)計画」では「全体の研究期間は20年程度」と明記されており、2001年からはじまった研究は2021年ころには終了しなければなりません。また、歴代の幌延深地層研究センター所長は「程度といえば2~3年のこと」と明言していました。これらを反故にする「研究延長」は断じて容認できず、日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センター・北海道・幌延町に対し「白紙撤回」と「受入拒否」を求めた要請行動を実施してきました。
 2017年に公表された最終処分の適地を示す「科学的特性マップ」において、道内では幌延町を含む86市町村が「最適地」とされています。今回の「計画案」では、地層処分の技術基盤の整備の完了が確認できなければ、埋め戻しの工程は示さないとしており、研究期間の再延長とともに「三者協定」は空洞化され、なし崩し的に幌延が最終処分地にされる危険性があります。


2018年11月23日の「幌延デー」集会後のデモ
これ以上核のごみを増やすな!
 地震が多発する日本列島に安定した地層はなく、10万年間も監視が必要な、核廃棄物の存在をのちの世代に知らせることができない「地層処分」は即刻見直すべきです。まずは、「核燃料サイクル」政策を断念し、これ以上「核のごみ」を増やしてはならない。その上で、現在ある「核のゴミ」については、常に人間の監視が行き届く体制のもと長期的に管理し、その間に最終的な処分のあり方についての研究をすすめていくしかありません。
 引き続き、「核のごみ」の地層処分に反対し、「研究延長」の撤回を求めるとともに、幌延をはじめ道内すべての自治体において「最終処分場」を受け入れない運動を展開していかなければなりません。
 幌延町近辺の平年の初雪は10月22日。最も遅い初雪でも11月14日です。どういうわけか「11月23日」は吹雪の日が多いです。しかし、私たちは、「泥棒猫」のような卑劣な強行調査を忘れず、絶対に核廃棄物処理施設建設を許さないため、毎年「11月23日」に11.23幌延デー集会を開催しています。ぜひ、サロベツの地で何が起きているのか。全国のみなさんにも肌で感じていただければと思います。
(なんばまさる)

このページの先頭へ

中東情勢の混迷とトルコ配備の米戦術核

 10月6日にトランプ大統領がシリア北部から米軍を撤退すると発表した後、トルコ軍が同地域にいるクルド人勢力に攻撃を掛けた結果生じた混迷を極める状況の中で、シリアから最短で約110キロメートルの地点にあるトルコのインジルリク基地に置かれた約50発のB61型核爆弾のセキュリティーが注目されています。「米科学者連合(FAS)」の核問題専門家ハンス・クリステンセンらは、早急にこれらを撤去すべきだと訴えています。

冷戦時代の遺物──米欧の政治的「きずな」
 欧州配備の米国の核兵器について米国も受け入れ側の国々も公式には明確な情報を提供していません。以下、クリステンセンらの調査によって「公然の秘密」となっている状況を見てみましょう。
 トルコ配備の核兵器は、現在ヨーロッパの「北大西洋条約機構(NATO)」諸国の5カ国6基地に配備されている約150発のB61型核爆弾の3分の1を占めます。他の4カ国はベルギー、ドイツ、イタリア、オランダです。ギリシャと英国に配備されていたものは、それぞれ、2001年と2004~2007年に米国に持ち帰られました。
 もともと、米国の核兵器の欧州配備は、1949年に設立されたNATOが旧ソ連およびその同盟国側(「ワルシャワ条約機構(WTO)」(1955年設立))の圧倒的通常兵力に対抗するためとして進めたものです。1954年から核砲弾、核爆弾、短距離ミサイル、核地雷など米国のさまざまな核兵器の欧州配備が進められ、1971年には、その数は最高の約7300発に達しました。冷戦終焉時には約4000発だったその数は、大幅に減り、種類も核爆弾だけになったのですが、WTOは崩壊し、米ロの立場が完全に逆転しているにも関わらず、配備が続いています。NATOは、ヨーロッパ各国と米国の政治的きずなの象徴として、これらの核を配備し続けるべきだとの態度をとってきています。

欧州配備の米核兵器1954~2008年(クリステンセン/FAS)

危険なトルコ配備
 下の表にあるように約80発は米欧の「核共有(ニュークリア・シェアリング」の対象で、核戦争となった場合、トルコを除く受け入れ国4カ国のパイロットが自国の航空機で投下することになっています。インジルリク基地の状況は特殊で、米国もトルコも戦闘飛行隊を常駐させていません。非常時になると他所から航空機が飛来して運びだして使用する計画です。トルコのパイロットが投下に関わる計画かどうかは曖昧です。非常時の飛来はロシアに「核攻撃準備」を知らせるようなもので、実質的には同基地は貯蔵所に過ぎないと見られています。
 トルコでの核配備は60年前に始まりました。クリステンセンによると、2000年時点ではインジルリクに90発が配備されていて、そのうち40発はトルコのF16機で投下されることになっていました。もともと別の二つの基地に配備されていたこれら40発は、2005年頃までに米国に撤退となりました。
 残りの50発は、2016年7月のクーデター未遂事件の際に注目を浴びました。インジルリク基地のトルコ軍が関係していたということで、一時、同基地への送電が遮断され、米軍関係は基地からの移動を禁止されました。
 クリステンセンは、自分たちは何年も前から撤退を主張していたのに、政府が待ちすぎて今の状況を招いたと批判します。核セキュリティーのために撤退を決定すると、関係が悪化しているトルコを放棄したと見られるという事態になってしまっているからです。しかし、今決定をしないと、さらに危険な状況の中での撤退を迫られることになりかねません。輸送にはC-17輸送機が2機必要だろうとクリステンセンは見ます。
 10月14日には、ニューヨーク・タイムズ紙が、週末、国務・エネルギー両省高官らが撤収の検討と報じました。同月17日には、民主・共和両党の上院議員が、インジルリク基地にある米空軍の人員及び「アセット」を他の場所に移す可能性について報告するよう大統領に要求する法案を提出しました。
 クリステンセンは、「欧州における米国の戦術核についてどう考えるにしても、トルコはもはや容認できる場所ではない」と述べています。
(「核情報」主宰田窪雅文)

欧州配備の米核兵器 2019年(クリステンセン/FAS 2019)

欧州配備の米国B61 型核爆弾2019年(クリステンセン/FAS)

国名 空軍基地名 核兵器 航空機
ベルギー クライネブローゲル B61-3/-4 20発 F-16
ドイツ ビュッヘル B61-3/-4 20発 PA-200
イタリア アビアノ B61-3/-4 20発 F-16 (米軍)
ゲディ B61-3/-4 20発 PA-200
オランダ フォルケル B61-3/-4 20発 F-16
トルコ インジルリク B61-3/-4 50発 無[飛来計画]
計:5ヵ国 6基地 150発

このページの先頭へ

《投稿コーナー》
みんなの力で死刑をなくそう!
平岡 秀夫(「死刑をなくそう市民会議」共同代表世話人、第88代法務大臣)

「死刑をなくそう市民会議」の発足
 今年の6月1日に、死刑問題に係わる各種の市民グループ・学者・弁護士の代表的な方々が発起人となり、また、多くの著名人の方々が参加の呼びかけ人となって戴いて、「死刑をなくそう市民会議」が発足しました。
 そして、8月31日には、明治大学リバティーホールで350人の参加者を得て「死刑をなくそう市民会議」の設立集会が開かれました。そこでは、我が国最大の人権擁護団体である日弁連の中本和洋前会長が、冒頭の基調講演において、日弁連が2016年10月の福井人権大会で初めて死刑廃止宣言を出した時の会長として、宣言を出すまでの厳しい道のりを話してくれました。
 世界の潮流は、死刑廃止へと向かっている(2018年12月末現在、世界各国の中で、死刑存置国が56カ国であるのに対し、死刑廃止国は142カ国((10年以上死刑の執行を停止している「事実上の廃止国」28カ国を含む)になっています。)にもかかわらず、日本では、まったくその兆しが見えてこないのは何故でしょうか?

日本の世論調査の結果は何から来るのか
 実は、日本の政府は、なぜ死刑を廃止しないのかと問われて、「国民世論の多数が,極めて悪質,重大な犯罪について死刑もやむを得ないと考えていること」を一番大きな理由として挙げています。しかし、その説明の源となる内閣府の世論調査には、マジックがあるのです。
 確かに、一番最近(2014年11月)の世論調査では、「死刑は廃止すべきである」とするものが9,7%であるのに対し、「死刑もやむを得ない」とするものが80,3%もあり、我が国では、圧倒的に死刑維持派が多いように見られています。
 しかしながら、この設問の仕方に問題が有ることはさて置いて、さらに詳しくこの世論調査を見てみますと違った側面も見えてきます。例えば、「死刑もやむを得ない」(80,3%)のうちには「将来的に廃止してもよい」が40,5%もありますし、また、「もし、仮釈放のない『終身刑』が新たに導入されるならば、死刑を廃止する方がよいと思いますか。それとも、『終身刑』が導入されても、死刑を廃止しない方がよいと思いますか。」の問については、「廃止する方がよい」が37,7%になります。
 市民の皆さんが死刑のことについてもっと詳しく知ることになれば、死刑の存廃問題についての市民の意識も変わってくるのではないかと思われます。

死刑のことをもっと知ろう
 そこで、死刑のことをもっと詳しく知ってもらうために、幾つかのクイズを出してみます。ちょっと考えてみて下さい。先ず質問です。

次に答えです。

(ひらおかひでお)

このページの先頭へ

加盟団体の活動から(第21回)
教え子を再び戦場に送るな!
内藤奨 日本教職員組合・組織共闘部長


戦争法案反対 10万人国会包囲行動
(2015年8月30日)
 日本教職員組合(日教組)は、全国の教員・学校職員等による労働組合の連合体であり、教職員労働組合連合体としては日本最大の組織です。日教組は1947年6月8日に、教育の民主化と研究の自由を獲得すること、平和と自由とを愛する民主国家の建設のため団結すること、そのために経済的・社会的・政治的地位を確立することを目的に、三つの教職員団体が合同して結成されました。具体的には、全国の子どものための教育条件の整備や教職員の待遇の改善、地位の向上などを主な目的として、教育に関わる制度・政策に対する提言など数多くの活動を行っています。
 また、長い期間、トップダウンで画一的な教育を行うことに反対し、現場の教職員による柔軟で人間的な教育の実現を訴え、文部科学省(旧文部省)などの教育行政と対立してきましたが、1995年には単純な対立の構図では解決できなくなった様々な教育課題の状況をふまえ、教育行政との関係は拮抗と協調のパートナーシップにもとづく新たな展開へと移りました。現在は、多様な価値観を認め合いながら、ともに学びともに生きる横断型の市民社会をめざし、子どもと教育、教職員に関する様ざまな課題・政策に対する要求や提言、各種活動を行っています。
 日教組はこうした運動の一つとして、1951年第18回中央委員会で決定された「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを掲げ、平和運動にも積極的に関わってきました。そこには、自らが愚かな戦争に加担して、数多くの教え子を死なせ、また多くのアジア等の人々に惨禍を与える教育をしてしまったことへの痛切な反省が存在しています。日教組は、安倍政権による憲法改悪を阻止し、改めて憲法前文や9条に示された恒久平和主義の意義、基本的人権の尊重及び国民主権の重要性を確認し、一人ひとりの人権が尊重される平和で民主的な社会の実現をめざし、引き続き平和フォーラムと連帯し、とりくみをすすめていきます。
(ないとうすすむ)

このページの先頭へ

〔本の紹介〕
『この世界の片隅に〈上・中・下〉』
著者:こうの史代 双葉社

 今、当たり前のように、勉強することも、恋愛をすることも、どんな仕事をするか、何を食べるかを選ぶことも「自由」にすることが出来ます。こんな当たり前だと思うことが、許されなかったのが、戦争です。
 「この世界の片隅に」は2016年、映画化を望む多くの声に支えられ、クラウド・ファンディングで制作資金を集め、公開後は徐々に公開規模を拡大し、連続上映1000日を超える人気作品で、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
 原作は、戦時下の広島県呉市で生活する主人公すずの日常を、昭和9年1月から21年1月まで描いたものでしかありません。広島で生まれ育ち学生だった主人公が、呉に嫁ぎ生きていく。終戦を迎え、戦時下で失ったものは何だったのか。生まれた場所も時代も違う主人公に対して、いつの間にか気持ちを重ねてしまい、主人公が涙を流す描写の時には、一緒に泣いてしまうほどの作品です。空襲警報が鳴る、焼夷弾が落ちてくる、瓦礫の下に人が死んでいる、自分を訪ねてきてくれた人と別れるときに2度と生きて会えないという気持ちになる、繋いでいた手の先にいた小さな子どもが次の瞬間には生きていない、家の外が燃えている。とある少女を主人公にして日常を描いたものといっても、それは決して、1人だけが悲しい人生を送ったという話ではないということが容易に想像できます。当時の広島、長崎、日本中で、そして戦争の被害にあった地域で生きる世界中すべての人に共通する状況だったのではないでしょうか。
 この作品は、漫画を原作に、テレビドラマや映画にと映像化をしており、場面によっては鍵となるフレーズも変わっています。また2019年12月20日には、「この世界のさらにいくつもの片隅に」と題し、多くの新規場面を追加したバージョンの映画が公開されます。
 「さらにいくつもの」というフレーズの通り、前作の主人公の人生のみならず、さらにいくつもの人生が描かれることになります。それぞれの人生、戦時下の日常がどのようなものであるか、体験していない世代こそ、登場人物を自分に置き換え、作品の中で自分が一緒に生きている、それはどんな世界なのかを想像しながら鑑賞していただきたいです。
(橋本麻由)

このページの先頭へ

核のキーワード図鑑


原発への マネー道

このページの先頭へ

平和・自由・人権 すべての生命を尊重する社会を憲法理念の実現をめざす第56回大会

日時:11月9日(土)~11日(月)
場所:北海道函館市

11月9日(土)
◎開会総会15:00~16:00「函館アリーナ」
◎メイン企画16:00~18:00「同アリーナ」

11月10日(日)
◎分科会9:30~12:30「函館アリーナ」「花びしホテル」
◎フィールドワーク8:00~17:00「函館近郊」
◎ひろば14:00~16:00「函館アリーナ」

11月11日(月)
◎閉会総会9:30~11:00「函館アリーナ」

※問い合わせは平和フォーラムまで。

このページの先頭へ

同じカテゴリの記事

一覧を見る

メルマガ登録・解除

平和フォーラムメールマガジンをお読みください

   

バックナンバー powered by まぐまぐトップページへ

FeedアイコンRSS