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ニュースペーパー2020年2月

2020年2月 1日

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安倍政権の自衛隊私物化を許さない!中東に送るな!!
 安倍政権は米国のよびかけた「有志連合」に直接は参加しなかったものの、2019年12月27日に、防衛省設置法の「調査・研究」を根拠に自衛隊を中東に派遣するというトンデモ閣議決定し、1月10日には河野太郎防衛大臣が、海上護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機に対して、中東への派遣命令を出しました。哨戒機は11日に沖縄の那覇基地から出発し、護衛艦「たかなみ」は2月2日に横須賀から出港します。
 今回の自衛隊派遣を通して、日米軍事一体化がますます進められていくこととなります。
 そもそも自衛隊と米軍は、2015年4月に日本とアメリカとの間で改めて結ばれた「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」で「平時から緊急事態までのいかなる状況においても、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域において防衛協力する」ことが取り決められています。単なる行政協定に過ぎない日米ガイドラインが、平和憲法をないがしろにし、安全保障条約の条約上で明記されている「極東」の範囲を飛び越えて、運用されている実態があります。
 日本が米国と一体となって「戦争ができる国」へと進むことを許さず、自衛隊員が「普通の国の軍隊」のように他国に派遣され、殺し殺される関係の中に入っていくことは何としても阻止しなければなりません。(写真は2019年12月27日早朝、首相官邸前で閣議決定に抗議する行動)

インタビュー・シリーズ:153
温暖化被害でおこる地球規模の大量殺人をいかに阻むか 私たちは問われている
明日香 壽川さんに聞く


あすか じゅせんさん
 東北大学東北アジア研究センター教授地球温暖化問題や越境大気汚染問題のような、一国だけでは解決できない問題に取り組んでいる。日本における脱原発、脱温暖化は、目標設定や制度改革があれば既存の技術で十分可能であり、かつ経済合理的でもあることを示す戦略レポート「原発ゼロ・エネルギー転換戦略」を発表した「未来のためのエネルギー転換研究グループ」のメンバー。

─台風大型化など異常気象と気候変動は関係がありますか
あります。例えば、温暖化が進めば海面温度が上がり、海面温度が上がれば、台風が巨大化します。それは科学者が前から予測していたことであり、それが現実となっています。基本的には、より大きな太陽エネルギーを地球が蓄えるようになって、そのエネルギーがいろいろな形で気象に影響しています。特に、集中豪雨と熱波については、個別の事象に対して人為的な影響がどのくらいの割合になっているかが、ある程度定量的に言えるようになっています。
途上国だけでなく、アメリカのような先進国でもハリケーン・カトリーナなどによって何千人の人が犠牲になるような被害が多く出ています。それらと比べると日本の被害はまだ小さいです。もちろん、これは悪いことではなく、そういう意味では日本は恵まれています。集中豪雨や台風の被害はありますが、干ばつと山火事はないからです。大量に押し寄せる環境難民もいません。そのためもあって、温暖化問題への関心は他の国と比べて低いのが現状です。

─世界の若者の動きが伝えられています。
スウェーデンの高校生グレタ・トゥンベリさんたちの動きがあり、同時発生的にいくつかの動きも世界で起きています。グレタさんは2018年8月に一人で座り込みを始めたのですが、それより前の2017年に、アメリカではサンライズ・ムーブメントという若い人たちのグループが議員の事務所を占拠したりしています。グレタさんが呼びかけたFridaysforFutureでは、2019年9月27日の金曜日に160カ国以上で約400万人の若者たちが街頭に出て温暖化問題の重要性を訴えました。若者たちの訴えは、「もっと温暖化問題を真剣に考えて、もっと行動してもらいたい」「将来世代に気候変動対策の責任を押し付けないでほしい」「私たちの未来を奪わないでほしい」というシンプルかつストレートなものです。

─ヨーロッパ、アメリカで温暖化問題への関心は高いのですか。
日本よりは高いです。特にヨーロッパは高いです。ただ、グレタ・トゥンベリさんたちにとっては十分でないので、彼女はスウェーデン政府を批判する行動を起こしました。それが世界に飛び火して、何百万人が同時にアクションをするまでになっています。最近、いろいろな国で選挙があり、スイス、オーストリア、ドイツなどでは、緑の党が大きく躍進しています。アメリカでも、今、大統領選に向けて民主党の中で候補者選びが行われていますが、大きな争点のうちの一つは温暖化です。多くの国で、温暖化対策で票が集まる状況になりつつあります。その背景にあるのが、温暖化被害の拡大と若者たちの異議申し立てです。被害は本当に深刻です。海面上昇も、想定よりも速いスピードで進んでいて、海岸侵食などが実際に起きています。ガンジス川のデルタに多くの人口が集中するバングラディシュでは、ユニセフの報告によると、すでに600万人が気候変動によって移動を強いられています。

─温暖化と格差問題の関係についてのお考えはいかがでしょうか
温暖化の責任という意味では、国全体のCO2排出量は大事ですが、それよりも大事なのが一人当たりのCO2排出量です。また、歴史的なCO2排出も問われます。そのような観点で見れば、温暖化問題における加害者は、これまでCO2をたくさん排出してきた人々で、今豊かな生活をしている先進国に住む人々です。一方、被害者というのは、豪雨やハリケーン被害を考えると、水辺の粗末な家に住んでいて、堤防もないし、保険にも入っていないし、歴史的な排出量も一人当たりのCO2排出量も少ない貧しい人たちです。先進国の中でも貧しい人がより大きな被害を受けます。格差や差別の問題と温暖化問題は強く結びついています。だからこそ、「社会システム自体を変えないと温暖化対策は無理」という議論が米民主党の大統領候補の人たちによってもなされています。しかし、日本ではそうした社会正義に結びつけた議論が少なく、「日本は公害を解決し、空気もきれいだから、温暖化対策は必要ない」「アメリカ、中国、途上国が悪い」「技術やイノベーションで解決できる」といった理解不足と責任転嫁と言いうる議論が横行しています。残念ながら、日本での温暖化問題の議論は非常に「軽い」です。

─グリーン・ニューディールとはどういうことですか
グリーン・ニューディールは、温暖化対策を進めることによって、経済成長や雇用拡大が同時に達成できるというものです。すでに多くの国で、原発や化石燃料業界に従事する人よりも、再生可能エネルギー業界に従事している人の方が多いです。米民主党の候補の多くはグリーン・ニューディールを支持しているので、民主党候補が選挙に勝てばアメリカはかなり変わります。他方、温暖化対策に反対する人々は、お金の力を使って共和党議員を動かしています。また、米国では、いわゆる保守的で宗教心に篤い人たち(例:キリスト教福音派)が、「大きな政府は良くない」「政府の環境規制は無い方がいい」と考えてしまっています。化石燃料会社が発信源である温暖化懐疑論にも影響を受けています。

─日本におけるエネルギー政策をどのように見ていらっしゃいますか。
温暖化対策はエネルギー政策とコインの表裏の関係にあります。というよりも、エネルギー政策、とくにエネルギー・ミックス(発電エネルギー技術ごとの発電量割合)が決まると、温室効果ガス排出量もほぼ決まってしまいます。その意味で、エネルギー・ミックスの数字が非常に重要です。省エネ、再エネ、原発のミックスで、どれだけCO2排出を減らすかということです。政府は、原発は安くて安全、省エネはもう無理、再エネは高い、と繰り返し言ってきました。しかし省エネのポテンシャルはあり、再エネはどんどん安くなっています。一方、原発のコストはどんどん高くなっています。すなわち、原発に頼らなくてもCO2削減はできますし、その方が経済的です。政府や産業界が「温暖化対策のために原発が必要」と言っているのは、完全に方便です。私たちは、今の政府のエネルギー・温暖化政策に対する具体的な対案として、「原発ゼロ・エネルギー転換戦略」*を提案しています。日本版グリーン・ニューディールでもあり、現在、毎年20兆円も払っている化石燃料輸入費の大部分が国内で回ることになるので、経済的にも日本にとってプラスになります。

─国際的に批判されている日本の石炭火力についてはいかがですか
日本では2015年以降建設計画が50基あり、2019年3月の時点では、そのうちキャンセルが13基、建てられてしまったのが12基、残りは建設中、アセス中、計画中です。先進国で石炭火力を新設している国は、日本ぐらいしかありません。世界の潮流とは真逆であり、国際社会から不思議がられています。

─いまカーボン・フリー、脱炭素社会に向けて動いていかないと、グレタさんが言っているような地球の危機とか滅亡などに直接つながっていくのでしょうか。
 科学者的に言うと、地球は滅亡しないです。ただ、人が住みにくくなるのは確かで、このままでは億単位の人が温暖化被害を受けます。多くの命も失われることになります。地球の危機とか滅亡というよりも大量殺人だと私は思います。人間が原因で人間が死ぬのですから。そのような大量殺人を止めるか、止めないかが問われているというのが正しい状況認識です。
 公平性を考えると、先進国の責任は、はるかに大きいです。グローバリゼーションは世界を大きく変えました。しかし、先進国と途上国との関係や貧富の格差という意味では、世界はそれほど大きくは変わっていません。COPなどでの温暖化問題の国際交渉も、結局は南北問題です。途上国は、「自分たちに責任はない」「今の被害に対して先進国は賠償せよ」と言い続けています。ご存知のように、多くの先進国が自国ファーストになってきています。なので、国際政治的には非常に難しくなっています。

─脱原発についてはいかがでしょうか
 原発がなくても、技術的にも経済的にも脱炭素は可能とする研究は世界でも日本でも増えています。原発は高く、再エネは安いというのが明白になっているからです。日本では、原発はおそらく自然死するでしょう。しかし、国民のお金を使って、政治的に自然死させるのをできるだけ遅らせようとする人がいるので、そういう人たちには抵抗しないといけないと思います。エネルギー転換を遅らせることは、日本の将来的な経済成長や雇用拡大にもマイナスです。  正直に言うと、自分は脱原発の必要性を、福島第一原発事故の後に強く認識しました。多くの温暖化問題研究者は、原発事故の前までは原発に関してはあまり語らなかったのは事実です。原発は必要とは言いませんでしたが、不要ともはっきり言わなかった。そこは反省しないといけない。だからこそ、昔から脱原発に関わってきた人と協力し、研究者として具体的な対案をだしていくことで、今の政治に対して大きなインパクトを与えられたらと考えています。
*「「原発ゼロ・エネルギー転換戦略日本経済再生のためのエネルギー民主主義の確立へ」未来のためのエネルギー転換グループ2019年6月25日http://bit.ly/np-zero
参考文献「脱「原発・温暖化」の経済学」明日香壽川、朴勝俊著、中央経済社、2018年

インタビューを終えて
グレタ・トゥンベリさんが一躍有名になった。気候変動をめぐっては、地球の将来を危ぶむ特に若い世代を中心に、大きなムーブメントが起きている。日本では、巨大な台風が首都圏を直撃して大きな被害が出た。しかし、日本社会の反応は鈍い。巨大な低気圧、異常乾燥と森林火災、熱波、多くの人命が失われ、特に貧困層にその被害が大きい。明日香さんの指摘を、私たちは真摯に受け止め運動をつくらないと。
(藤本泰成)

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日米軍事一体化を許すな!オスプレイの飛行訓練反対!
緩やかに全国の運動をつなげ、反基地運動を強化していこう!
北海道平和運動フォーラム 代表 長田 秀樹

拡大する日米共同軍事訓練
 安倍政権による「集団的自衛権」の行使を認める「安保関連法(戦争法)」施行以降、自衛隊と米軍との「実戦」に備えた共同訓練が拡大している。2019年4月から運用が始まった新しい「防衛計画の大綱」では、北海道が「訓練適地」に位置づけられ、同年9月には、道外の部隊としては初めて九州・沖縄を管轄する陸上自衛隊西部方面隊と米陸軍との共同訓練が北海道東部の「矢臼別演習場」で実施された。
 さらに、2020年1月22日から「北海道大演習場」において、自衛隊と米海兵隊との「日米共同訓練(ノーザン・ヴァイパー)」が実施され、普天間基地所属のMV-22オスプレイが参加することになった。日本国内における「日米共同訓練」としては、過去最大規模の日米両部隊で4,100人が参加し、オスプレイの補給拠点として民間空港である新千歳空港に隣接する「航空自衛隊千歳基地」を使用する。「千歳基地」は一部民間機も使用しており、米政府が求める「自衛隊基地も民間施設もより自由に軍事使用できる」ことを加速するものと言わざるを得ない。
 普天間基地所属のオスプレイはすでに2度の墜落事故を起こしている。2016年の名護市沖での空中給油中時の事故は、米軍の緊急時のチェックリストに「ホースやほかの装備がオスプレイにぶつかることがありうる。プロペラにぶつかれば大惨事を引き起こしかねない」と、あらかじめ機体の構造上の危険性が記されていることが判明した。また、2017年のオーストラリア沖で揚陸艦「グリーンベイ」への着艦に失敗した事故は、「オスプレイの強い下降気流が揚陸艦の艦体に跳ね返りローターの弧に入り込んだ」ものとされており、明らかに安全性に問題がある欠陥機と言わざるを得ない。
 オスプレイが参加しての北海道での「日米共同訓練」は2017年8月以来2回目となる。オーストラリア沖で墜落事故を起こしたにもかかわらず、事故原因を明らかにしないまま直後に訓練を強行し、飛行ルート等も一切明らかにせず、住宅密集地での飛行や沖縄県外では初の夜間飛行、訓練終了後も通告なしで飛来するなど、まさに米軍の「やりたい放題」であった。


航空自衛隊千歳基地ゲート前で日米共同訓練に抗議
2020年1月14日
全国基地問題ネットワークが北海道で抗議行動
 2020年1月13日、全国基地問題ネットワーク主催の「WEDON'TNEEDTHISOSPREY!日米共同訓練の中止を求める抗議集会」が千歳市で開催され、全国・全道から500名が結集した。講演で、半田滋(東京新聞論説兼編集委員)さんは、安倍政権による「安保関連法」制定で「護衛艦『いずも』の空母化や自衛隊日報隠蔽問題など、専守防衛や文民統制といった日本の防衛政策の基本がぐらつき始めた」と指摘した。また、飯島滋明(名古屋学院大学教授)さんは、「オスプレイは事故が多く、沖縄では騒音のため眠れず平和的生存権が侵害されている」と述べた。さらに、沖縄からは「辺野古新基地建設と自衛隊の南西諸島配備」、山口・秋田からは「イージス・アショア」の問題が報告された。

全国の反基地運動を共有していこう
 全国基地問題ネットワークは、1995年の沖縄での少女暴行事件以降、米軍基地の撤去を求める運動が全国に広がる中、東京・神奈川・長崎・沖縄・北海道の各平和運動センターが代表委員団体となって1997年に結成し、米軍基地を有する県や米海兵隊の実弾移転訓練など米軍による軍事訓練が強行されている県を中心に組織され、各都道府県による運動のネットワーク化に向け活動してきた。
 今回の「日米共同訓練」は、2016年9月1日の「日米合同委員会」の合意である「オスプレイの訓練は、日本本土を含め沖縄県外における訓練を増加させる」にもとづくもので、1月18日からは宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島演習場などにおいても、オスプレイが参加する「日米共同訓練」が実施されるように、今後、全国に展開することが危惧される。
 こうした状況だからこそ、全国基地問題ネットワークの運動が問われると考える。2019年11月の第19回総会において、新たに「平和フォーラム」が代表委員団体に、事務局を東京平和運動センターが担うこととなった。"緩やかな"運動体でいい。全国の運動を共有化し、「基地のない沖縄・日本」をめざす存在でありたい。
(おさだひでき)

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「関西生コン事件」の一断面から
「法令を守れ、公正な取引条件の実現を」がなぜ犯罪にされるのか
小谷野 毅(全日本建設運輸連帯労働組合書記長)

 2018年7月にはじまる「関西生コン事件」について、2019年12月、労働法学会の代表理事経験者ら78人の研究者は、「労働組合運動を理由とする刑事事件としては戦後最大規模」としたうえで、「信じがたい弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表した。(注)
 事件とされているのは、ストライキ、正社員化を要求する団交申し入れや団交拒否に対する抗議行動、破産・企業閉鎖に対抗する工場占拠闘争など、いずれも多くの組合が労働組合の当たり前の団体行動権の行使としてとりくんできた活動ばかり。研究者らが指摘するとおり、憲法28条の労働基本権保障や組合活動は刑事罰の対象としないとする労組法1条2項をないがしろにする深刻な事態にほかならない。

品質保証を求める活動が犯罪にされた
 そのなかで事件数でもっとも多いのが「コンプライアンス活動」で、これはやや馴染みのない組合活動かもしれない。わかりやすくいえば、建設現場の不正防止と公正取引の実現を求める活動だ。
 ご承知のように建設現場では法令違反が横行している。労働災害は長年にわたり全業種中トップであり、大和ハウスのような超大手ゼネコンやハウスメーカーのレオパレスに至るまで、建設業界では手抜きや大規模な欠陥工事が後を絶たない。企業利益を優先し、現場労働者のいのちや健康、消費者の財産を犠牲にする価格競争が、こうした犯罪的な不正を再生産しているのだ。
 1995年の阪神大震災では、阪神道路や山陽新幹線など一瞬にして倒壊したコンクリート構造物の倒壊原因が、安売り競争による欠陥生コンにあったことを明らかにした。私たちはその教訓をふまえて、ゼネコンの価格ダンピングと品質軽視を規制することで適正販売価格を実現すること、それによって中小企業の経営安定、労働者の雇用安定、品質確保を三位一体で実現するという趣旨の産業政策を確立した。その日常活動が「コンプライアンス活動」である。
 最近の活動スタイルは3人一組でおこなう現場巡回活動だ。クレーンの吊り荷の下で作業させている、クレーンの転倒防止策がとられていない、道路使用許可に違反してガードマンが配置されていない、産業廃棄物として処分されるべき汚水が側溝に垂れ流しされているなど。これら法令違反を発見すると1人が現場監督に申し入れをおこない、もう1人が自治体担当課や労基署、交通警察などに臨場して改善指導するよう要請する。残り1人がその様子をビデオで記録するのである。また、ゼネコンが品質管理のずさんな安売り生コン業者を使っていれば、安定供給と品質保証が約束できる生コン協同組合から仕入れていくよう働きかける。

国策事業をチェックすることが恐喝!?
 企業別労働組合が多数を占める日本では珍しいかもしれないが、コンプライアンス活動は世界の産業別労働運動では基本的な活動にほかならない。たとえばITF(国際運輸労連)は日本をふくむ世界各地にインスペクターを配置している。インスペクターとは組合が指名した法令違反の査察担当者のことで、港に寄港する船を訪問して産業別労働協約や国際的な安全基準が守られているかどうかをチェックする。その船に組合員がいるかどうかは問わない。BWI(国際建設林業労連)も世界各国の建設現場でインスペクションをおこなっている。ワールドカップやオリンピックのような巨大イベントの施設工事については国際調査団を派遣して労働環境をチェック。東京五輪のため突貫工事中の新国立競技場建設現場にも国際調査団はやってきて、月28日労働や、コンクリートパネルを吊り上げた下で作業させる危険事例などについて、日本政府と東京都などに質問状を送った。
 こうしてみると私たちのコンプライアンス活動が特段変わったことをやっているのではないことが理解されると思う。しかし、警察と検察はこの活動を敵視して、「軽微な不備に因縁を付けた」、つまり、暴力団のゆすり・たかりになぞらえて恐喝未遂事件にしたのである。不正を告発するビラまきが威力業務妨害だとして逮捕、起訴された組合員も多数いる。法律を守らず、品質不安のある生コンを使う側が、どうして「被害者」なのか。
 新国立競技場の現場では、「現場内で写真を撮ったり、得た情報を流出させたあなたは『国家機密漏えい者』/あなたの軽率な行動が国家事業を揺るがす」などと書かれたポスターが貼られていた。「見ざる、聞かざる、言わざる」で働けということだ。関西生コン事件の本質がここに示されているのではなかろうか。
注・声明全文はホームページ「連帯ユニオン中央本部」に掲載。
(こやのたけし)

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多くの問題を抱え日米貿易協定が発効
トランプ追従、消費者無視の安倍政権
全日本農民組合連合会 書記長 市村 忠文

 2020年1月1日から日米貿易協定が発効しました。新聞やテレビでは「食肉の輸入価格が下がって消費者に恩恵がある」などと報道されましたが、そうでしょうか。内容を精査すると、日本がこれまで結んできた環太平洋経済連携協定(TPP)や、ヨーロッパ連合との経済連携協定(日欧EPA)に比べても、多くの問題が見えてきます。

歯止めない牛肉の輸入拡大
 安倍晋三首相は「両国の全ての国民に利益をもたらすウィンウィンの協定だ」と述べました。しかし、交渉は最初から大統領選挙の再選をめざすアメリカのトランプ大統領のペースで、極めて短期間に進められました。農産物については、TPPによってオーストラリアなどが日本に輸出する牛肉などの関税が下がったために不利になった米国の農業界に配慮し、交渉の前提として関税水準をTPP並みにすることを日本から提起しました。最初から手の内を見せる通商交渉などありえないことです。
 その結果、牛・豚肉などは軒並み現在のTPPの水準まで一気に関税が下がり、大幅な市場開放が行われました。そのうえ、セーフガードという、輸入が急増した時に関税率を上げて制限をすることが国際的に認められていますが、日米協定で牛肉についてはセーフガードを発動する水準を超えて輸入された場合は、すぐに発動水準を上げるための協議をすることが決められました。これではセーフガードの意味をなしません。
 一方、日本からの自動車の関税は、TPPでは撤廃と決まっていたものが継続協議で妥協するなど、日本側の譲歩だけが目立つ「不公平な協定」となりました。安倍首相は「自動車は関税撤廃が前提」と日米首脳会談で合意したと国会で答弁しましたが、協定では「さらなる交渉の対象」とされているだけです。野党側が関税撤廃の根拠を求めても出されませんでした。
 また、今回の協定は世界貿易機関(WTO)のルールにも違反しています。二国間・多国間の貿易協定は、原則的に関税撤廃率90%以上の場合だけ認められています。各国が勝手に協定を結んでブロック経済化することを避けるためです。しかし、アメリカは自動車の関税撤廃を約束していないので、撤廃率は50%台になります。日頃から「世界の自由貿易ルールを守る」と強弁する安倍首相が、WTO違反を容認したのです。
 このように、米国追従と都合の悪い情報は隠ぺいする安倍政権の体質が如実に示されたのが日米貿易協定なのです。


多くの国会議員も参加した日米貿易協定問題の院内集会
(10月10日・衆議院議員会館)
貿易拡大は食や環境問題の解決に逆行
 それでは、私たちの暮らしにどう影響があるのでしょうか。まず、食料自給率の問題です。この間の安倍政権の農政により食料自給率は低下を続け、2019年は37%と、ついに過去最低になりました。政府はTPP協定の時から一貫して、国内対策によって農畜産物の生産量や農家所得は減少することはなく、自給率も維持されると強弁してきました。ところが、TPP11、日欧EPAの協定が発効してから、牛肉や豚肉の輸入は過去10年で最多水準を更新しています。東京大学の鈴木宜弘教授は「3つの協定によって、牛肉の自給率は、2035年に現在の36%が16%に、豚肉も49%から11%に低下。牛乳や乳製品なども28%に、野菜は43%、果物でも28%になる」と予測しています。
 また、食の安全問題もあります。アメリカで牛の成長を促進するために使われる肥育ホルモンに発がん性の疑いがあるとして、EUは米国からの輸入を止めており、いまだに決着していません。また、遺伝子組み換えやゲノム編集された食品もアメリカは輸出拡大を狙っていますが、それに合わせるように、2019年、日本ではこれらの食品表示の改悪が行われました。
 一方、牛のげっぷや糞尿によるメタンガスが地球温暖化の大きな要因になっていると環境団体から指摘されています。さらに、牛肉1キロを作るのに飼料として穀物10キロが必要であり、8億人と言われる世界的な飢餓問題とも関連します。このように、農畜産物の貿易拡大は、国内外の食や環境にも大きな影響を与えるものです。
 日米交渉はこれで終わったわけでありません。日米首脳の共同声明で「協定発効後4ヶ月以内に次の交渉課題を協議する」ことになっています。さらに「米国は交渉において、日本の農産品に関する特恵的な待遇を追求する」とも記されている。これは、今回の協定にはないコメなどの残された農産物や、食の安全や医療・医薬品などを含め、幅広い分野で再交渉を行うということです。
 平和フォーラムも参加する「TPPプラスを許さない!全国共同行動」は、今後も日米交渉に対し、農産物問題だけではなく、幅広く私たちの暮らしにつながる問題として運動を続けることにしています。
(いちむらただふみ)

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上関原発ボーリング調査(工事)と計画中止を求めて
上関の自然を守る会共同代表 高島 美登里

 2019年11月、福島第一原発事故以降、静かだった上関原発予定地田ノ浦に緊迫した空気が流れました。中国電力が原子炉設置許可申請のためのボーリング調査(工事)準備作業に着手しようとしたからです。

県知事が原発建設に向けた埋立を許可
 その背景には7月に、村岡嗣政山口県知事が予定地の埋め立て免許再延長を認めたことにあります。公有水面埋め立てをめぐっては3・11福島第一原発事故を受け、当時の二井関成知事が埋め立て中止を中国電力に申し入れ、免許は失効するはずでした。ところが、中国電力は失効直前の2012年10月に延長申請を提出しました。山口県は4年にわたり判断を引き延ばした挙句、2016年に延長許可、更に今回の再延長許可です。今回の再延長許可には以下の問題点があります。
 第一に予定地の正面わずか3.8kmに位置する祝島島民の意思を無視していることです。祝島では漁業を中心とした生活を守るために住民の90%が1982年の計画浮上以来38年間反対し続けています。
 第二に国のエネルギー政策において原発の新設はリプレースされていません。県が許可した唯一の根拠は重要電源開発地点指定ですが、これはフクシマ以前の2001年に出されたもので解除して然るべきものです。
 第三は今回の再延長は通常の竣功期限(3年)にボーリング調査(工事)期間6ヶ月を加えていることです。このボーリング調査(工事)は2009年に提出した原子炉設置許可申請に対し、不十分であるとして追加調査を命じられた事項への対処です。フクシマ以降、新規立地基準など存在せず全く根拠がありません。中国電力が再稼働基準を参考に勝手に調査(工事)を実施するのです。
 第四は田ノ浦には環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類に指定されているヒガシナメクジウオはじめ希少海生生物や海藻が生息しています。2006年のボーリング調査でカサシャミセン(2億年前から生息し生きた化石と呼ばれる)やスギモク(日本海特産種の海藻)などが降り積もった泥の影響で死滅しました。このダメージを繰り返させてはいけないとボーリング調査(工事)に先立ち、上関の自然を守る会は、ヒガシナメクジウオの事前調査を実施しました。するとどうでしょう。田ノ浦湾内9か所のうち、ボーリング予定地点に最高密度で生息していたのです!私たちにはヒガシナメクジウオが「僕たちの生命を助けて!!」と叫んでいるように聞こえました。
 第五にフクシマ以降、原発交付金の大幅減により、町長自ら「原発財源に頼らない町政運営」を迫られ、風力発電2基を建設するなど町内世論に変化が起きています。今回の調査(工事)は推進反対の対立構造を再燃させます。


2019年11月26日、原発建設予定地の
田浦海岸での抗議行動。後方に祝島が見える
原発に頼らない町づくりで計画中止へ
 根拠のない無駄な調査はやめさせ、再延長許可を取り消すよう、地元反対組織や原水禁、上関の自然を守る会などが再三、山口県に申し入れましたが、県は許可を取り消さず、中国電力は聞く耳持たずの今回の強行です。
 ことここに至っては、実力行動しかありません。11月8日から祝島の漁船が現場海域に繰り出し、監視行動を行う一方、田ノ浦海岸では守る会や県内外の市民団体が終日座り込み、抗議の意思を示しました。
 攻防は1か月余り続き、12月16日、中国電力は荒天や祝島漁業者の理解が得られないことを理由に調査(工事)中断を発表しました。しかし、社長は年度明けに調査再開を表明しており予断を許しません。
 上関海域は1960年代に瀬戸内海全域で埋め立てや護岸工事、海洋汚染が進む中、最後に遺された手つかずの自然が残る生物多様性のホットスポットです。国内外の研究者から「奇跡の海」と呼ばれ高い評価を受けています。この豊かな自然に育まれ、町民は漁業や農業など一次産業を中心に暮らしを営んできました。原発問題の根底には国の政策による一次産業の衰退、過疎という深刻な経済問題が潜んでいます。この根本問題の解決なしには原発計画を中止に追い込むことはできません。祝島以外の地区でも漁業者と連携した鮮魚の産直や未利用海藻の商品化、自然体験型宿泊施設の開設など新たな兆しが生れています。中国電力が原発計画と共に持ち込んだのは「一時産業は衰退し町はダメになる」という自己否定でした。最近「ここは何も無い所」と言っていた住民が「確かに自然は豊かだよね!」と誇らしげに言うようになり、故郷への誇りと愛情を取り戻しつつあります。
 ボーリング調査(工事)や埋め立てが中断している今こそ、反撃のチャンスです。原発に頼らない町作りが今こそ急務です。
 最後になりますが、本活動に際し、全国からの温かいカンパを頂戴しましたことに篤くお礼申し上げます。今後とも、地元住民を中心に、原水禁など労働団体、自然保護や事故が起これば被害を被る広範な市民など様々な側面から力を合わせ、計画中止まで頑張りたいと思います。
(たかしまみどり)

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再稼働をくい止め、原発稼働ゼロにむけた運動を進めていこう!
2020年脱原発の課題
原子力資料情報室 共同代表 西尾 漠

 2020年も、反原発・脱原発の課題は目白押しといえる。まずは、2019年に1基も新規の再稼働をさせなかった実績を2020年も維持することだ。
 原発マネー不正還流の発覚で見通しが立たなくなったが、関西電力は、原子力規制委員会の新規制基準に適合しているとされた高浜原発1号機と美浜原発3号機の再稼働計画を放棄していない。60年まで運転期間の延長を許可された老朽炉である。何としても阻止しなくてはならない。
 新たな新規制基準適合は、既に審査書がまとめられた女川原発2号機に加えて、島根原発2号機でと予想されている。原子力規制委員会の審査を止めるのは難しいが、立地自治体の再稼働同意(事前了解)を阻止することこそ、運動の出番だ。宮城県石巻市の「女川原発の避難計画を考える会」は2019年11月、避難計画に実効性がかけているとして知事、市長を相手取り、同意差し止めの仮処分を仙台地裁に申し立てた。避難計画の実効性欠如はどこでも指摘されており、そもそも避難計画が策定できていないところも多い。周辺自治体も巻き込んだ再稼働阻止の大きな柱の一つである。
 東海第二原発の再稼働をめぐっては、2020年1月6日から「いばらき原発県民投票の会」が県条例直接請求の署名集めを開始した。島根原発2号機の再稼働についても、住民投票条例制定運動にむけた動きがある。
 再稼働を食い止めれば、2020年は稼働原発ゼロにどんどん近づいていく。伊方原発3号機の運転差し止め仮処分が1月17日、広島高裁で決定されたうえに、特定重大事故等対処施設の設置が期限に間に合わないことから、3月17日までに川内原発1号機、5月21日までに同原発2号機、8月3日までに高浜原発3号機、10月8日までに同原発4号機は、確実に運転を停止するからだ。大飯原発3・4号機は定期検査で止まる。
 他方で4月1日から新たな検査制度が施行され、定期検査が電力会社の自主性に委ねられることから、検査期間の短縮と検査間隔の延長が懸念される。しっかり監視していかなくてはならない。

第6次エネルギー基本計画策定のスタートに向けて
 廃炉が進めば現行エネルギー基本計画に盛られた「2030年原子力発電比率22~24%」の目標は、ますます非現実的となる。2020年に開始されると見られている第6次エネルギー基本計画策定に向けて原子力ムラは、パリ協定の運用開始で気候変動対策の強化が必要と「発電時にCO2を出さない原子力」を錦の御旗に新増設の盛り込みを図ろうとしているが、新増設こそ現実にありえないことを内心では承知の上だ。
 新増設の盛り込みで原発の有用性を宣伝し、既設原発の維持に望みをつなごうとしているだけに、未申請の新規制基準適合性審査申請に圧力がかかることも考えられる。そうした動きを許さない運動も必要である。「安全対策費」の高騰と、それにもつながる電力各社の工事発注のあり方の追及が、ブレーキとなる。気候変動問題については、反石炭火電の運動とも手を結び、真に有効な対策を世論に訴えていくことが大切だろう。
 第6次エネルギー基本計画に新増設を盛り込ませないのではなく、新増設はしないと明記させることを目標としたい。4月1日には、先行した東京電力に続いて、8電力会社で発電と送電の法的分離がスタートする。電力システム改革をそこで終わりとすることなく、より望ましい姿を追求していくこと、原子力発電を優遇・温存するための市場制度設計を見直していくことも、第6次エネルギー基本計画の課題となる。

やっかいな後始末
 後始末がいちばん問題なのは、言うまでもなく福島原発事故だ。除去土壌等の再生利用・埋め立てが、廃炉廃棄物のクリアランス(規制解除)とからまって、2020年の大きな課題となる。トリチウム等汚染水の処分問題は、オリンピック後に山場を迎えると予測されている。
 廃炉が決まったとたんに使用済み燃料の搬出先が問われる。六ヶ所再処理工場の運転を前提としていた虚構のツケである。同工場の新規制基準適合性審査は、日本原燃のお粗末な対応でずるずると遅れながらも、「国策」として合格が必至とされる。そのおかしさを審査書へのパブリックコメントで世論に訴えるとともに、地元自治体に操業合意をさせない大きな運動が、2020年には必要だ。
 あてにならない六ヶ所再処理工場に代えて、中間貯蔵施設という形で使用済み燃料の搬出先をつくろうとする動きとの対決が、2020年の課題である。関西電力は2020年末までに候補地を提示することを福井県に約束しているが、どこにもつくらせない運動を進めたい。
 なお2020年1月には伊方原発3号機で、使用済みMOX燃料を原子炉から取り出しプールに移すことが始まった。すぐ続いて高浜原発3号機でも初取り出しを迎える。六ヶ所再処理工場が仮に操業を開始できたとしても処理できないものであることを考えれば、新たなMOX燃料の装荷を止めることが重要だ。
 再処理後の高レベル放射性廃棄物の処分候補地を求めてNUMO(原子力発電環境整備機構)や資源エネルギー庁の宣伝活動が強化されている。岡山県の「放射能のゴミはいらない!県条例を求める会」では、この年末年始に、改選された6市町の首長から改めて高レベル放射性廃棄物拒否の文書回答を得て、県内全自治体の拒否回答を完全なものにした。全国のあらゆる自治体に拒否されてこそ、真剣に高レベル放射性廃棄物の後始末をどうするかの議論が始められる。それは、原発ゼロ法案の成立と連動するものである。
(にしおばく)

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米国の新たな核状況
INF対象ミサイル実験と新型低威力核弾頭製造

 射程500~5500kmの地上発射弾道・巡航ミサイル(核弾頭と通常弾頭の両方)の生産・実験・保有を禁止した米ロの条約──「中距離核戦力(INF)」全廃条約(1987年発効)──が失効してから約半年になります。まずINFをめぐる昨年の動きを簡単に整理しておきましょう。
 昨年2月、米トランプ政権は、ロシアの条約違反を理由に、条約廃棄意向をロシアに通告しました。ロシアは実験方式をごまかすことでINF対象範囲の射程を持つ巡航ミサイル9M729(NATO側呼称SSC-8)を陸上に配備しているというのが米国の主張でした。米国はまた条約に参加していない中国がINF対象ミサイルを多数保有していることも破棄意向の理由の一つに挙げました。2007年以来ロシアも条約を多国化するべきと主張していたこともあって、INF条約は、8月2日に失効しました。
 米国防省は、昨年3月、INF失効後に二つの通常弾頭型ミサイルの実験を行うとしていました。地上発射巡航ミサイルの実験を8月に、地上発射中距離弾道ミサイルの実験を11月にという予定でした。
 実際、米国は、条約失効から2週間余りの8月18日、カリフォルニア州サンニコラス島からINF対象の地上発射巡航ミサイル(射程約1000km)の実験を行いました。米国のNGO関係者は、INF脱退を強調するための実験であり、軍事的必要があってのことではないとの見方を示しています。「憂慮する科学者同盟(UCS)」のデイビッド・ライトは、米国は航空機や艦船(水上艦及び潜水艦)から発射できる何千発もの巡航ミサイルを保有していると指摘しています。例えば、米国は、2017-18年にシリアの目標に対し船から100発以上のトマホーク巡航ミサイル(通常弾頭)で攻撃を仕掛けたと述べています。(トマホークの核弾頭はすべて廃棄されています。)
 実験は、イージス弾道ミサイル防衛システムの垂直発射装置Mk-41を使って海洋発射型トマホークを発射するというものでした。ロシアは、米国がルーマニアに配備し、ポーランドでも配備を計画している地上配備型イージス・システム「イージス・アショア」の発射装置が将来、INF違反の巡航ミサイルの発射に使われうるとの懸念を表明していました。これに対して、米国は「このシステムには、トマホークのような攻撃用弾道・巡航ミサイルを発射するのに必要なソフトウェア、発射管制ハードウェア、支援装置がない」と主張していました。INF条約7条7項には、禁止対象のミサイルの地上発射を実際に実験しないと違反にならないとの規定があったので、能力の存在自体は条約違反にはならないと「米科学者連合(FAS)」のハンス・クリステンセンは説明しています。しかし、今回の実験は、システム変更が簡単にできることを示したもので、ロシア側の懸念が理由のないものではなかったことがわかります。
 11月に予定されていた通常弾頭型中距離弾道ミサイル発射実験は、12月12日に、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から行われました。

近いうちに日本に配備?
 エスパー国防長官は、INF条約失効の翌日の8月3日に地上配備型の中距離ミサイルのアジア配備について「数カ月(での配備)が望ましい」と述べています。もっとも、「ただこうしたことは想定よりも時間がかかるものだ」(日経新聞)とも付け加えています。
 河野太郎防衛大臣は、10月4日、米国が中距離ミサイルの日本配備を計画しているとの報道を受け、「全くございません」と答えています。
 エスパー国防長官は、12月12日の実験後、「開発ができ、司令官らが必要とするとなれば、ヨーロッパ、アジアその他の同盟国と配備の可能性について綿密に協議する」と述べました。しかし、同盟国配備は無理であり、配備するとすればグアムというのが米国のNGOの間での大方の見方のようです。また、国防省関係者は、中距離弾道ミサイル(射程3000~4000km)の配備は少なくとも5年間はないと3月に述べていました。12月末に成立した2020年度米国防権限法では、資金をINF対象ミサイル調達・配備に使うことを禁止し(開発・実験は禁止せず)、代替措置などについて報告を義務付けています。

戦略原子力潜水艦用「低威力」戦術核弾頭生産開始
 昨年1月、戦略原子力潜水艦(SSBN)から発射するミサイル(SLBM)用の「低威力」核弾頭の製造がテキサス州アマリロのパンテックス工場で始まりました。トランプ政権の2018年「核態勢の見直し(NPR)」で、「使える核」の面での遅れ「ギャップ」を埋めるためものとして提示されていた計画一つです(もう一つは、「海洋発射巡航核ミサイル(SLCM)」)。これは、短期的目標として掲げられていたもので、SLBMに搭載されている既存の核弾頭W76-1の一部を改造してW76-2としました(原爆を起爆装置にして水爆を爆発させる仕組みの弾頭の原爆部分だけが作動する構造)。前者の威力が約100キロトンであるのに対し、後者は5-6キロトン(広島の原爆の3分の1程度)とされています。クリステンセンは、50発程度を製造する計画と見ています。
 米国は14隻の戦略原潜を保有しています(太平洋側のワシントン州バンゴール海軍基地所属8隻、太西洋側のジョージア州キングズ・ベイ海軍基地所属6隻)。12隻が運用状態、2隻は整備・修理状態という態勢です。それぞれ20基のトライデントⅡD5ミサイルを搭載。そのうちの2基にW76-2が搭載されるとクリステンセンは推測します。核問題の専門家ウイリアム・アーキンは最初のW76-2(複数)が9月に海軍に引き渡されたとの情報をニューズ・ウイーク誌電子版記事で紹介しています。例えば、米イラン戦争突入のような緊張状態の中で原潜搭載の「使える核兵器」が載っているメニューを見た大統領がどのような判断を下すのか。それがトランプ大統領だとどうなるのか。アーキンは、軍部関係者も懸念する事態の深刻さを指摘しています。
(「核情報」主宰田窪雅文)

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これからの高校生平和大使・高校生1万人署名活動

 ある日、署名活動を終えて戻ってきて、高校生と話していたとき「平和大使になって、署名活動もやって、すごいね。同級生ではここまで平和について活動している子はいないんじゃない?」と声をかけたとき、「そんなんじゃダメなんです。こういうことが当たり前になっていない今の日本がおかしいんです」と気圧されたことがあります。
 若者の平和活動に注目が集まっています。なぜなら、被爆者の話を聞くことが出来る「最後の世代」であると同時に、被爆者の思いを、平和の理念を引き継いでいく「希望の世代」であるとも思います。その一方で、注目されるということは、若者の活動自体が「珍しいもの」であるからでもあります。高校生に気圧されたように「平和活動して偉いね」ではなく、「自分たちの未来をしっかりとつくっていってね」と声をかけるべきなのかもしれません。

各地に広がる高校生の平和活動
 「政治」を自分のことと捉え、「戦争も核兵器もない平和な世界の実現」を求めて高校生1万人署名活動を行っている高校生が日本各地にいます。元々は、「高校生平和大使」が誕生し、平和大使と一緒に海外などへはいけないけれど、平和の思いを持って一緒に活動したいと長崎で始まったのが、「高校生1万人署名活動」です。高校生平和大使も2019年に第22代が選出され、今では全国各地で署名活動が行われています。平和センターや教職員組合などが支援する地域もあれば、高校生が独自に学校で署名を集め、送付してくることもあります。春には第23代の高校生平和大使の選考会がはじまり、また一段と活動の広がりとともに注目されると考えられます。
 2019年12月18日、「メンバーの確保」「署名活動の知名度の向上」「核・平和を考えてもらう」ことを目的に東京の高校生が企画し、ワークショップを行いました。二部構成にし、一部では「署名活動の説明」「第22代高校生平和大使による帰国報告」を行い、二部では「【戦争】をなくすための9つの方法」というアクティビティを行いました。Facebookでの告知を見て参加申し込みをした子や、街頭での署名活動の際に直接案内チラシを受け取って申し込みをした子など、初めて顔を合わせるメンバーばかりでしたが、準備段階での「議論が成立しなかったどうしよう」などという心配は杞憂だったと思うほどに、活発に意見が交わされました。同級生に誘われて参加した子からは「難しかったけど、有意義な時間だった」「学校ではこういう話が出来ないから、話せる場所があって良かった」と回答するアンケートもあり、若者同士で交流出来る場を提供することの意義は大いにあるのだとわかりました。東京の署名活動のメンバーは、今回のノウハウをもとに、定期的にワークショップを企画していくこととしました。若者が考えて行動に移していけるような場を、大人が提供し、見守ってあげることこそが、平和運動の継承につながるはずです。

海外の高校生との交流も
 今年も3月中旬には、韓国釜山にホームステイをしながら、在外被爆者と交流をする韓国訪問が予定されています。被爆74周年原水禁大会の長崎大会において、釜山に訪問した高校生が分科会で「訪問する前後で意識が変わった」と報告をしています。また、3月末には福岡で、九州地方の高校生が集まり「高校生平和サミット」が二日間にわたって行われます。そのほか、静岡県では年に一回「高校生ピースフォーラム」の実施をするなど、高校生が主体となって、企画の段階から一緒に話し合い実現するイベントが行われています。
 原水禁では、高校生平和大使を支援する全国連絡会を通して、2020年2月29日から3月1日までの二日間で、ビキニデーに関連する高校生の交流イベントを企画しました。なぜ原水禁が高校生の活動を支援するのか、原水禁運動とは何か、ビキニデーという被爆の実相を材料に、学んでもらいたいと思います。久保山愛吉墓前祭、焼津市民俗資料館での第五福竜丸展示コーナーの見学、ワークショップ、署名活動、ビキニデー集会の参加など、休む間もないほどの内容です。しかし、普段活動する場所を離れて、同世代の高校生と会話し、一緒に活動することで、高校生の意識は変わっていくはずです。
 高校生平和大使たちは過密スケジュールの欧州訪問を終えると「とてもハードだったけど、充実していた」と感想を述べます。ただただ、「楽しかった」という感想で終えるのではなく、感じたこと、体験したことを持ち帰って、その後の活動につなげてもらいたいと思います。今回のビキニデーに関する高校生の交流イベントも、同様に有意義な時間になるように、高校生と議論を重ねてまいります。
 高校生が活動する地域や支援者の皆様、一層のご理解とご協力をお願いいたします。
(橋本麻由)

賛同カンパ口座記号番号00100-2-486011口座名高校生平和大使を支援する全国連絡会

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加盟団体の活動から(第24回)
私鉄総連の取り組み
日本私鉄労働組合総連合会

 私鉄総連は、1947年(昭和22年)1月10日に結成されました。戦後の賃金闘争や輸送復興闘争から労働協約闘争、基地撤去や原水禁運動など、反戦・平和の運動、そして春闘や交通政策要求などに取り組んできており、この間、大きな組織的動揺や分裂もなく、産業別統一闘争を中心にたたかいを進めてきています。当初は、鉄軌道関係組織から出発し、バス専業組合、ハイヤー・タクシーなど加盟対象を広げ、現在は9地連、その他本部直轄で沖縄県連、ハイタク協議会を含め、227組合で活動をしています。
 持続可能な地域社会をめざすという観点から、高齢者や子どもといった交通弱者の交通手段はもとより、環境保全や災害時の移動手段、省エネ問題の解決などに公共交通は極めて有効な手段です。しかし、モータリゼーションの進展や少子高齢化の進行、規制緩和の弊害などの影響によって、鉄軌道・バス・ハイタクといった公共交通の利用者は年々減少しており、地域の移動手段を守るどころか、存続さえも危ぶまれている状況もみられます。このため、関係省庁や自治体などに対して、連携する各級議員などとともに要請行動をおこない、諸課題の解決や交通産業の活性化に向けた取り組みを進めています。
 また、平和行動としては、私鉄沖縄交流を1976年から取り組んでいます。戦後70年が過ぎてもなお、沖縄県内には多くの米軍基地があり、犯罪・事故・騒音の問題や民意を無視した環境破壊などが解決されないままになっています。このようななかで、少しでも多くの青年女性に、戦争の悲惨さや愚かさを知ってもらい、そして基地の存在や戦争の爪痕などを見ることにより、「平和」について改めて考え、二度と同じ過ちを起こさないという想いとともに、交流で培われた地連、単組を越えた繋がりを大切にし、平和運動をさらに広げていく取り組みを進めています。
 今後も私鉄総連は、「地域の発展」「地域住民の利便性の向上」「防災・減災機能の強化」なども含めた安全・安心な公共交通の確立、労働環境の改善等によって働きがいのある職場づくり、そして、交通運輸産業にとって欠かすことのできない「平和」への取り組みを強めるために、「一人でも泣いている者がないように」という基本理念のもとで組織一丸となって運動を展開していきます。

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加盟団体の活動から(第25回)
ユニオンネット平和センターの決意
ユニオンネット平和センター

 ユニオンネット平和センター(ユニオン平和)は、2019年4月25日に開催した平和フォーラム第21回総会で、中央団体の一員に加わることができました。私たち、「ユニオンネット平和センター」は、「健康で働き続け、生活のできる賃金」をスローガンに、全国で活動する地域ユニオンの協議体です。
 安倍首相は、「息を吐くように、ウソを吐く」のごとく、2020年の年頭挨拶から「賃金水準を上げ、正規雇用を増やしてきた」などと、ウソを繰り返しました。日本の賃金水準は、国際的に見ても、実質賃金の賃下げが続くのは、G7で日本のみ。第2次安倍政権発足からの8年で、非正規雇用労働者を300万人も増やしています。
 「泣いているものがないように、飢えているものがないように」など、労働相談を通じた呼びかけから、組合員の拡大と組織化を進めています。北海道から九州まで加盟する地域ユニオンは、32団体です。私たちの運動を牽引する指導部の多くが、「社会党・総評ブロック」で運動を経験してきた者たちです。
 今日、改憲の動きや、職場での不当労働行為が当たり前に強いられている現状に、「平和・人権・環境」の理念を持つ平和フォーラムは、より重要になっています。私たちは、微力ですが、平和フォーラムの一員に加わることから、地域と職場から「平和・人権・環境」を訴え、平和フォーラムの運動を進める思いでいます。
 9条改憲阻止、原発再稼働反対、辺野古新基地建設反対等の行動が続いています。19日国会行動をはじめ、新宿駅西口3000万人署名、国会院内集会などの参加から、総がかり行動の仲間たちと繋がりを持ち、信頼も生まれています。安倍内閣は、国会が終了した年末の12月27日に「自衛隊の中東派兵」を閣議決定しました。これは国会議論の無視、自衛隊の海外派兵を現実にした憲法違反であり、国民を戦争に引きずり込む暴挙です。私たちは、安倍政権の暴挙を許しません。そのためにも1日も早く安倍内閣を退陣させるしかありません。全国、各地から安倍内閣退陣、戦争反対、平和を守れ、の声と行動を起こし、「市民と野党」そして労働者の共闘で安倍内閣退陣にむけ頑張る決意でいます。

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核のキーワード図鑑 橋本 勝


核軍拡も宇宙時代へ

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短信

安倍政権を退陣させる! 2.6市民集会
日時:2月6日(木)18:30~20:30
場所:北とぴあさくらホール(JR・地下鉄「王子」下車)
内容:講演・講師古賀茂明さん(元内閣審議官)
講演・講師宮子あずささん(看護師)
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会

「建国記念の日と憲法を考える集会-日本と韓国の今-」
日時:2月11日(火・休日)13:30~16:30
場所:日本教育会館8階第二会議室(地下鉄「神保町」「竹橋」下車)
内容:第一部シンポジウム「日韓に壁はあるか-交流の現場から考える-」
 第二部報告「教科書検定と採択-様々な動きをめぐって」
 報告者相可文代さん
主催:フォーラム平和・人権・環境

ニュースペーパーのリニューアルについて
 みなさまにご愛読いただいている本紙・ニュースペーパーですが、2020年4月号より紙面をリニューアルし、原則8ページ(現在は12ページ)で発行致します。料金につきましては、これまで印刷費の高騰や消費税の増税等がありましたが、1部¥200、年間購読¥2,000で発行してまいりました。今後も同料金で発行し、引き続きご愛読いただけますよう取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

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