ニュースペーパー

2021年03月01日

座談会:オンライン修学旅行について

インタビュー・シリーズ:163

企画・運営した高校生に聞く

─簡単な自己紹介として、オンライン修学旅行の中でどのような役割を担われたか、企画を立てたときの話などをお願いします。

反町梨里佳(そりまちりりか、田園調布雙葉高校2年) 中学3年の時長崎に修学旅行に行く経験があって、被爆者に話をうかがい「伝えていってほしい」と聞いて、自分も何かアクションを起こしたいと思った時にこの活動を見つけて、署名活動に参加しました。

オンライン修学旅行では、主に広報を担当し、ツイッターインスタグラムなどSNSで広報しています。

西山喬紘(にしやまかたひろ、都立大江戸高校3年) この活動に加入したきっかけは、高校2年の広島修学旅行です。事前や当日の学習を通して、自分の無知さに気づいて、何か行動に移したいと考え、参加させていただきました。オンライン修学旅行では、他の方々の頑張りに助けられてばかりで、議事録をとったりだとか、裏方の仕事を主にしてきました。

滝沢佳奈(たきざわかな、東京学芸大学付属高校2年) 中学の頃から原爆などに興味があって、広島や長崎に行って自由研究でいろいろ調べている中で、自分からなにか行動したいと思って核廃絶に向けたこの活動に参加することを決めました。オンライン修学旅行では、主に3日目の長崎大学の教授の方に話をしていただくことの調整などをしました。

小泉花音(こいずみかのん、桜蔭高等学校2年) 私がこの活動に関わり始めたきっかけは、中学2年生の国語の授業で読んだ、黒い雨という井伏鱒二さんの小説です。広島で原爆が落とされたときのことを日記調で語っているのですが、読んだときに本当にショックを受け、自分の無知さに気づかされました。高校1年からこの活動に参加しています。オンライン修学旅行では、反町さんと同じで、広報を担当することが多くて、ポスターをデザインする作業やサイトを開設する作業を担当しました。

─オンライン修学旅行は反町さんの発案だったと聞いていますが、どういう発案で、まわりの受け止めはどうだったのでしょうか

反町 去年の7月に高校生平和大使の選考会があり、その際に集まった四人とその高校生平和大使に選ばれなかった人たちも一緒に活動していきましょうという形になって、新しく何か企画を立ち上げようとなったんです。いつも行っていた街頭での署名活動がコロナウイルスの影響でなくなってしまっていて、街頭署名はまず出来ない、外での活動ができないのでオンラインを使って何か活動したいというのがまずありました。私たち四人とか他の子の活動のきっかけを聞いていても、修学旅行がきっかけだという子が結構周りにも多くて、修学旅行で長崎とか広島を訪れて、そこで平和への意識をもつという人が私たち以外にも結構多いと思うんです。去年はコロナウイルスの影響で修学旅行が中止になってしまう学校がとても多くて、そういう平和について知ることができる機会をコロナウイルスによって奪われてしまうというのが、すごいもったいないことだなと思ったので、オンラインを使って皆にその学習の機会を提供したい、私達みたいにアクションを起こすきっかけにしてほしい、ということでオンライン修学旅行を提案しました。その時、西山くんとあと一人、高松さんという子がいたんです。結構他の団体とかもオンラインでイベントとかを開催していて、その中でできれば私たちにしかできないこと、オンライン修学旅行を高校生が開催することに意義があるんじゃないかっていうことで決定しました。

西山 すごい壮大で、できるのか?と最初思ったのがありました。実際にはその骨組みが決まってから進行が早く進んで、大変有意義で楽しいイベントを企画できました。

小泉 後からこの企画をやることになったよっていう風に伝えられた側だったんです。前代未聞の企画だなっていう風に感じました。でも、アイデアを膨らませていくにつれて可能性もたくさん見えてきて、こういうこともできそうだなっていう風に、だんだん現実味も増してきて、そこから皆で協力し合ってイベント開催までたどり着けたという感じです。

滝沢 私もいつもこの署名活動でオンライン修学旅行っていうのをしたことがなかったので、うまくいくかなっていうのがまず最初にあったんですけど、だんだんみんなで進めていくうちに、なんかいい感じに。

─そういう苦労ばなし的なことをそれぞれお願いします。

反町 私たちが対面で集まれないというのが障害になっていて、顔を合わせて会ったことがない子達もいる中で、まず仲良くならないと話が進まない。夏休みから始めたので休み中はみんな時間があってかなりズームでも集まれて、企画をした後に話していく中で仲良くなって話し合いもポンポン進んでいったかなっていう感じです。

オンライン長崎修学旅行

─ポスターもどういう感じで作ったのか話もしてもらえますか

小泉 ポスターのデザインは反町さんと一緒に行ないました。この可愛い素敵な絵は反町さんが書いてくれたものです。私はその下の部分の編集をしました。以前からポスターやビラづくりを担当することが多かったんですが、毎回試行錯誤という感じでした。コロナで時間が増えたことをきっかけに本格的にデザインについて勉強してみるような時間ができて、今回は最終的にキャンバと言うアプリケーションを使ってデザインしたんです。作業を進めていく途中で色々な発見もあったりして、自分自身にとっても大きな学びになったかなと感じています。

─苦労ばなし的なことがあれば聞かせてもらえますか

西山 僕はみんなより一個年上の高校三年生だったので夏休み忙しいところもありました。その分、みんなすごい優秀な方々なんで、全然カバーしてくれて本当に成功することができたので僕はもうみんなに感謝しかないです。

滝沢 広瀬先生との連絡はその中学校の頃の研究で1回お話を聞いたことがあったので、スムーズに行けたんですが、他のコンテンツを企画する時に、みんなの定期考査とか部活とかが重なってしまって忙しくて、夏休みぐらいから始めたんですがどんどんスケジュールがあの遅れて最後ぎりぎりになってしまったっていうのが一番大変だったかと、でも仕事空いてる人で分けたりしてカバーできたと思っています。

─色んな感想や振り返りとして、まず事前学習のビブリオバトルについて

西山 自分が提案させて頂いたものですが形になるか不安だったんですけが結構好評をいただいて、動画を使って本を紹介するのが面白い発想だったのではないかと思っています。

─山川さんの被爆体験の話はどう決まっていきましたか

反町 被爆者講話は、まず木村さんという女性の方にお話を8月ぐらいに伺っていて、それをコンテンツとして流すか、改めて被爆者の方にお話を聞くかと話し合い、ズームではありますが直接お話を聞いて、質疑応答ができるのが一番良い形だと思いました。山川さんにお話を伺って質疑応答も高校生に参加してもらえるようになりました。

滝沢 広瀬さんと事前に打ち合わせて話していただきたいのは、若い人へのメッセージ特にオンライン修学旅行は高校生に向けたものなので、高校生が一歩を踏み出すような言葉をいただけたらと思い、お願いました。

─企画の中で何が一番心に残りましたか

小泉 長崎バーチャルツアーかな、動画編集を私たち全員が分担して高校生一人一人が少しずつ分担して行ないましたが、最終的に動画が一堂に会し、繋げたときに本当に長崎を旅行しているかのような感じの動画に完成させることができて、たくさんの方のご協力があってこそ完成したものですし、学びのコンテンツとしても、ためになるようなものが作れたかなと思って、それを実際動画という形に残すことで一回限りのものでなく今後 YouTube で誰にでも見ていただけるような形に出来たという意味でも、バーチャルツアーは印象深いと感じています。もう一つ夜に消灯前自由時間という時間を設けていてズームでみんなでUNOをしたり、人狼ゲームを行ったりしたんですけれどそれがすごく楽しくて本当に修学旅行の夜みたいな和気あいあいという修学旅行みたいな感じになったので印象に残っています

反町 小泉さんとちょっと被ってしまうんですけれど、長崎のバーチャルツアーで、私もその動画を作って全体繋げて流れているのを見た時に、本当に長崎に修学旅行に来た感じがして、動画だし実際に行ってるわけじゃないから、長崎感を感じられることはないだろうと思ってたんですけど、動画を流しながらチャット機能を使って他の高校生とかと感想を話しながらも進めていって、私たち東京の子達が驚きの言葉をチャットに打つと、長崎の高校生の子がこれはこうなんだよって教えてくれたり、チャットで会話してるのとか、オンライン修学旅行ならではだと感じることができました。

滝沢 バーチャルツアーが印象に残っている理由は、準備が大変だったのは、編集が大変で、それがなんとか繋がって流せたことの達成感、その時のチャットでみんなであのま交流している感じがすごい印象に残りました。あと三日目の講義の時も高校生にむけた修学旅行なので、被爆者講話とプラスしてもうちょっと知識的な側面も多分新しく知った高校生が多いと思うので、コンテンツとして含められて良かったなと感じました。

西山 オンライン修学旅行に自ら参加してくれた子が、この活動に興味を持って最終的に東京の署名活動に入ってくることが、誰かを巻き込んだという点で最も印象に残っています。まだちょっと皆と結構距離あるなって感じてたんですけど、オンライン修学旅行の後に打ち上げとかして色々話すことを通してだいぶみんなの距離が少し縮まってきたと思うような、意外な側面とかを見れたりして良い経験でした。

─事後ディスカッションSESSION 一週間後にやりました。ここで平和、学校での平和教育の在り方、核兵器禁止条約の話とかをそれぞれ話をしてもらいたいと思います

反町 ディスカッションの時に、一つのチームに入ら入らないで色々なところを回ってたんですが、話し合いの様子を見ていて、主に参加してくれていたのが、長崎の高校生、長崎支部の子達が参加してくれていて、それに加えて私たち東京支部の子っていう感じだったんです。私の学校でこういう話をする機会があんまりなくて、こういう機会を作ることで、聞いてる私でも考える、高校生がそういう話し合いをしてる事に何か可能性を感じました。

西山 学校でそういう話をしたかったんですけど、なかなかみんなあんまりそっちに興味を抱いてくれなくて。オンラインを通して、いろんな地域の高校生同士が話をしてるって本当に素晴らしいことになったと感じたし僕自身もちょっと参加したかったなという感じです。

滝沢 グループディスカッションに参加してみて、自分のグループは東京と長崎の違いみたいなのが結構浮き彫りになって、例えば平和教育でも長崎はちゃんと小学校から8月にそういう学習の機会があるとか、核兵器禁止条約でも支持する立場が違ったり、そういうのが分かって、小さい頃からどういう環境を作るかで、持つ意見が変わるのかなと感じました。

小泉 これまでのバックグラウンドや受けてきた教育に影響されて、抱いてる思想や考えに違いがあるのは、ディスカッションを通して一人一人の考え方の違いが浮き彫りになったことで改めて実感しました。同時にオンラインだからこそこんなに遠く離れた場所にこんなに違った人々が簡単に集えて、話し合ってお互いの意見を比べられること自体がすごく有意義なものだと感じます。参加していて本当に楽しかったし、決して意見が違うから敵対するみたいなことはなく、皆、そういう考え方もあるんだ、みたいなスタンスで、すごく勉強になったと思っています。

運営側の反省点のひとつですが、ディスカッションを運営する経験が初めてだったこともあって、今思えば時間管理のやり方などあまりうまく行かなかったところもあり、今後もっと改善していけたらと思っています。

─意外だったこととか改善点、それぞれ話をしてください

反町 これまでオンライン修学旅行に限らず東京支部でワークショップなどを行ってきたんですが、そこでも出た反省点で同じような感じなんですけが、広報を担当している立場として修学旅行を企画した意図にもあるんですが、平和とか戦争について考えたことがない人に参加して欲しい。新しい人たちに参加して欲しいというのが一番あって、広報を通してできればもっとたくさんの人を集めたかったなと思っています。

ディスカッションの時も結構長崎の支部の子が参加してくれていて、他は私たちの誘った友達が結構多くて、SNSを通じてもっと世界中に発信できたはずで、やり方を変えれば多くの人に広まったはずなのに、そこが狭かったなと思っていて広報の仕方を勉強して変えていく必要があると思っています。

西山 まず宣伝という部分で本当にそこは痛感した部分で、自分たちで良いものを作れたと自負しているのですが、それに比べたら参加人数が少々寂しい感じでした。それと僕も含めてちょっと、締め切りだとかが結構僕ら高校生もなかなか忙しいこともあって期限を守れないとうまくいかないのでそこをもう少し自分の中でも徹底して行きたいと思います。

滝沢 経験として今回気づいた事ではまず、オンライン修学旅行で司会をした経験がみんななくて、1日目の時にあまり詰めて準備をしなかった、その時は想定して準備を前にやらなかったので、途中にトラブルが起きたりとかして、ちゃんと注意を払わないといけないというのが学びでした。

小泉 広報の点での反省点も感じていますが、加えてもっと参加者の皆さんに、より参加型の企画にできたら、有意義な体験を提供できたのではないかと感じています。私たち自身もその点は意識して工夫し、バーチャルツアーの時にコメント欄を活用して感想をつぶやきあえるようにしたりはしたんですけれど、参加してくれる方もいる一方で、ちょっと引け目を感じちゃうのか、参加しづらい方もいるのかなとも感じました。参加しやすい空気づくり、コミュニケーション力?場を、雰囲気を作り上げるような能力も高めていかなければいけないと感じました。すごく難しいことだと思うんですけれど、経験がものを言って、場数を重ねるにつけて、学んでいける所かとは思うので、今後また更にイベントを企画したりする際に、これまでの反省点を漏らすことなく生かして毎回より良いイベントを参加者の皆さんに提供できるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

─大学進学とか受験生になったりとか、今後署名活動にどう関わっていくか、後輩にどう繋げていくかという観点で一言お願いします

反町 今年高校3年生になるんですけれど、去年修学旅行を企画している時も学業と一緒に進めていくのが結構大変だなと思っていて、今年さらに忙しくはなると思うんですが、その中でもこれから静岡との企画もありますし、他にもやりたい企画が自分の中では結構あるので、それを後輩につなげていけるように、引き継げる後輩を集めるところから始めるんですが、引き継ぎを一番のこれからの仕事にしたいなと思っています。

西山 僕が進学する大学は平和学を履修できるので、この活動を通して改めて社会問題に対して、自分の生きてきた人生から何かアプローチをかけたいなと考えているのでそういった基板を学習して将来的にも当然この活動は、卒業してもOBとしてしっかり携わっていけたらと考えております。

滝沢 オンライン修学旅行を通して、コロナが終わった後でもこういう企画は、新しい人とか、全国的に広げるのに有効だなと思ったので、後輩にオンライン修学旅行の反省点も含め伝えていきたいと思っています。来年はまだ高校3年生なのでサポートできる部分はサポートしていきたいと思っています。

小泉 私も引き継ぎは急務だなと感じています。これまでの引き継ぎは口頭で伝えてきたりしてきた部分が多かったのですが、今年度はGoogleドライブなどのオンラインツールを皆が使うようになってきたので、それも活かしつつ、自分たちがやったことをきちんと引き継ぎ資料とそして記録化して後輩に引き継いでいけたらなと思います。私自身も来年は高校3年生になるので本腰を入れて活動することはできなくなるかもしれませんが、少なかれ顔は出していきたいです。同時に、自分自身で本を読んだり講演会に参加したりして、核や平和について学びを深めていけたらなと思っています。

─ありがとうございました。これからも続けて活動してください。(司会:竹内広人)

 

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2021高校生1万人署名活動チラシ(pdf, 14.4MB)

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