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横浜市教科用図書採択地区の統合に関する事務局長見解

2009年10月19日

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                                            フォーラム平和・人権・環境 (平和フォーラム)事務局長 藤本泰成

 神奈川県教育委員会は、10月15日、横浜市教育委員会の要望を受けて、現在18地区に分かれている市立小中学校の教科用図書採択地区を1地区に統合することを、賛成4反対2の賛成多数で認める決定を下しました。同時に、厚木・愛川・清川の3市町村にまたがる採択地区「愛甲地区」から厚木市を分離する案について、全会一致で決定しました。
 この決定については、教育委員から「統合と分離の相反する決定を下すのは理解できない」とする意見も出されました。また、横浜市教委に対しては、「教育の多様化が求められるとき、採択地区の統合は時代に逆行する」「統合への変更理由が稚拙である」など多くの意見が出されたと報道されています。
 平和フォーラムは、以下の観点から、今回の神奈川県および横浜市教育委員会の決定は許されるものではないと考えます。

 1.横浜市教育委員会は、2010・2011年度使用中学校歴史教科書の採択に関し、今年8月4日、6人の教育委員によって18採択地区ごとに「ふさわしい教科書」を、無記名投票によって採択しました。その結果、10採択地区では現行使用していた教科書を、8採択地区では「自由社版」教科書を採択しました。採択する教科書が違ったのは18ある採択地区ごとに児童・生徒の学習環境や学力などの違いを考慮した結果としか説明できません。今回の横浜市教育委員会の採択地区の統合については、この採択結果と大きく矛盾するものです。

 2.今回の統合によって、小中学校491校、約27万人の児童・生徒を擁する全国最大の採択地区が生まれます。文部科学省は、1997年9月11日「教科書採択の改善について(文初教第454号)」局長通知を発出し、「各都道府県教育委員会におかれては、前記調査結果を参考の上、行政改革委員会の意見の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じ、教科用図書採択地区の小規模化や採択方法の工夫改善など教科書採択の在り方の改善に引き続き努められるとともに、併せて貴管下の市町村教育委員会に対しても周知徹底を図り、同様の改善方を指導されるようお願いします。(本文)」「現在においても、私立の小・中学校においては、各学校の教育課程に合わせて学校単位で採択が行われている。公立学校においても学校単位で自らの教育課程に合わせて教科書を採択する意義をより重視すべきであり、将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要がある。(別添二)」としています。政令指定都市中最大の人口を抱える横浜市の採択地区の統合は、このような文科省の方針とも大きく異なるものです。

 3.神奈川県教育委員会は、横浜市の統合を認めた上で「愛甲地区」については厚木市を分離することに同意しています。文科省の方針を含め、このことの整合性をどのように説明するのか明確になっていません。

 平和フォーラムは、横浜市に対して今年8月4日教科書採択に関しての抗議文を送付しました。その中で、採択のあり方について、教育現場で教科書を使う教員や保護者の意見が届いているのか疑問であると主張しました。私たちは、教科書採択については、教員や保護者の意見を尊重し、各学校の教育課程・教育目標にそって決定されるべきと考えます。教育は、国民の義務であり国民の権利です。市民権利を尊重する憲法とそのことを実現しようとする社会状況にあって、今回の神奈川県および横浜市教育委員会の決定は、市民社会への挑戦と言っても過言ではありません。傲慢な教育行政のあり方は、横浜市の子どもたちの教育にどの様な影響を与えるでしょうか。私たちは、そのことを憂慮します。
 また、横浜市教育委員会が今年8月4日、18採択地区の内8地区で採択した「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する「自由社版」歴史教科書は、政府が東アジアの歴史に対する公式見解として現在も踏襲する1995年の「村山首相談話」を否定する歴史観によって作られています。平和フォーラムは、この教科書を採択したことに抗議の声を上げてきました。今回の教科用図書採択地区の統合によって、横浜市が諸外国から批判される「自由社版」歴史教科書を一括使用することも考えられます。その時、保護者や教員の声、グローバル化の中で多くの外国人児童・生徒を抱える学校において、批判される教科書を使用する児童・生徒の感情にどのように答えるのでしょうか。
 平和フォーラムは、神奈川県および横浜市教育委員会が、保護者・教員、市民の声に耳を傾け、「各学校の教育課程にあわせた学校単位の採択をめざす」とする文科省通知の趣旨から、今回の決定を再検討すべきと考えます。
 

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